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発明の名称 加工用ローラー及びワイヤーソー
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−44140
公開日 平成10年(1998)2月17日
出願番号 特願平8−202369
出願日 平成8年(1996)7月31日
代理人
発明者 磯上 峯男
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 表面にワイヤーを案内するための複数のガイド溝を備えた加工用ローラーであって、前記複数のガイド溝は、表面に溝を有する金属製の基体と、該基体の溝表面に薄膜形成法でもって形成された、炭素,炭化物,窒化物,硼化物,炭窒化物,及び酸化物の少なくとも一種を主成分とする硬質層とから成ることを特徴とする加工用ローラー。
【請求項2】 前記硬質層は多層構造を有し、かつ表層が酸化物を主成分とする材料から成ることを特徴とする請求項1に記載の加工用ローラー。
【請求項3】 請求項1に記載の加工用ローラーの複数を、各加工用ローラーの回転軸が互いに平行となるように配設するとともに、各加工用ローラーのガイド溝に捲回させたワイヤーを駆動させ、該ワイヤーに被加工体を接触させることにより被加工体の切断や溝入れを行うように成したワイヤーソー。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種部材や材料の切断や溝入れ加工等に幅広く利用されているワイヤーソーの切断用に使用される加工用ローラー及びそれを利用したワイヤーソーに関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】従来より、各種部材の切断や溝入れ、材料のスライス加工の方式として、主に固定砥粒方式と遊離砥粒方式とが知られているが、特に遊離砥粒方式において、ワイヤーソーによる切断は、材料の切り代が少なくて済み、しかも切断を終えた加工面にワイヤーが接触しないので、破砕屑が少ないといった利点を有しており好適に使用されている。
【0003】特に現在では、一つの材料から多数枚を同時にスライスすることが可能なマルチワイヤーソーにおいて、スライス加工の処理能力の向上がなされ、量産用として実用化されている。さらに、これは単結晶のように脆く割れやすい材料には不可欠なスライス加工方式として注目されている。
【0004】マルチワイヤーソーは、張力を与えた多数のワイヤーの往復運動と砥粒を懸濁させた液体の連続供給により、被切断材をスライスする方式であり、平行配置された2つの駆動用のローラーの間にループ状のワイヤーを多数張り、ローラーを回転させワイヤーを往復運動させながら、これらワイヤーに押圧させた被切断材を加工するものである(例えば、特開平6-122117号公報を参照)。
【0005】ここで、多数のワイヤーはローラー基体の表面に形成された多数のワイヤーガイド溝に設けられるが、ローラー基体の材質は加工の容易さ、ワイヤーとの馴染み等より高分子材料(例えば、超高分子ポリエチレン,ナイロン66など)が主として使用されている。また、最近では精密加工技術の進歩に伴い、セラミックス製基体の検討もなされ、アルミナで実用化され始めている。
【0006】ローラー基体の材料として、セラミックスは高分子材料に比べて耐熱性,耐磨耗性,耐食性に優れているため、スライス加工精度の安定と長寿命化によるローラーの交換手間の省力化及び管理の削減等が期待できる。
【0007】しかしながら、セラミックス製のローラー基体は、高分子材料に比べて製造コストや再生加工費などコスト面で約5倍以上の高額となるため、実際はあまり使用されていないのが現状である。
【0008】そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、作製が簡便でしかも長寿命化を図ることができる信頼性の優れたワイヤーソー用加工用ローラーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の加工用ローラーは、表面にワイヤーを案内するための複数のガイド溝を備えた加工用ローラーであって、複数のガイド溝は、表面に溝を有する金属製の基体と、該基体の溝表面に薄膜形成法でもって形成された、炭素,炭化物,窒化物,硼化物,炭窒化物,及び酸化物の少なくとも一種を主成分とする硬質層とから成ることを特徴とする。
【0010】ここで、硬質層を複数層とすることで、表層を耐熱性,耐磨耗性,耐蝕性等の優れた材料を自由に選択することができる上、表層と金属製のローラー基体との間に介在させる層を表層とローラー基体との密着性を強固にさせる靱性のすぐれた材料や熱膨張係数がローラー基体と近似する材料等を自由に選択することができる。特に、表層に酸化物が主成分である耐腐食層を設け、下地層にガイド溝を構成する金属材料と熱膨張係数が近似する材料から成る層を設けるとなお好適である。
【0011】また、本発明のワイヤーソーは、上記加工用ローラーの複数を、各加工用ローラーの回転軸が互いに平行となるように配設するとともに、各加工用ローラーのガイド溝に捲回させたワイヤーを駆動させ、該ワイヤーに被加工体を接触させることにより被加工体の切断や溝入れを行うように成したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のワイヤーソー用の加工用ローラーの実施の形態について図面に基づき説明する。図1に示すように、後記するマルチワイヤーソーとして使用される加工用ローラーRは、円筒状の芯金1の外周に各種鋼材や合金(ステンレス鋼(SUS304,SUS410),合金工具鋼(SKS3,SKD11))等から成る金属製のローラー基体2がはめ込まれ、このローラー基体2の表面には多数溝が溝入れれされて、この溝部に後記する硬質層が薄膜形成法により被覆されてワイヤーガイド溝3が構成されている。なお、図中、5はフランジで、このフランジ5と芯金1とは取り付けボルト6で固定されている。
【0013】図1のA部を拡大した図2に示すように、ワイヤーガイド溝3に設けられるワイヤー10には、直径が0.10〜0.25mm程度の細いピアノ線が用いられ、ワイヤーガイド溝3は、これら数百本のワイヤー10が走行できるように多数の溝がV溝加工等により溝入れれが施されている。そして、少なくともワイヤーガイド溝3の表面には、1層以上の硬質層7が積層されている。
【0014】ここで、硬質層7は、炭素(ダイヤモンドやDLC等),炭化物,窒化物,硼化物,炭窒化物,酸化物の少なくとも一種を主成分とする材料から成るものとし、これらはCVD法(化学蒸着法,プラズマCVD法等を含む)やPVD法(スパッタ法,イオンプレーティング法,電子ビーム法等を含む)等の各種薄膜形成法により成膜される。特に、表層に酸化物が主成分である耐腐食層を設け、下地層にガイド溝を構成する金属材料と熱膨張係数が近似する材料から成る層を設けることにより、金属製のローラー基体2と硬質層との密着性を好適にするだけでなく、耐蝕性,耐磨耗性,及び摺動性等の機械特性を良好にすることができ、従来のセラミックス単体から成形加工された加工用ローラーに劣らない、非常に優れた加工用ローラーを提供できる。
【0015】次に、このような加工用ローラーを用いたワイヤーソー(マルチワイヤーソー)の実施の形態について説明する。図3に示すように、ワイヤーソーWSは、上記の加工用ローラーRの複数を配して、各加工用ローラーRのワイヤーガイド溝3に捲回したワイヤー10を駆動(往復動)させるとともに、研磨材である砥粒(GC#600〜3,000等)や専用油とを混合させた加工液をノズル11に設けた供給孔11aから吐出させるようにしており、加工台12を上下動させることにより、加工台12に載置固定された被加工体Kの切断や溝入れを行えるようにしている。なお、加工用ローラーRは図3に示すように2個に限定されるものではなく、3個以上配設して、それら加工用ローラーのワイヤーガイド溝にワイヤーを捲回してワイヤーを駆動させるようにしたワイヤーソーでも適用可能である。
【0016】
【実施例】次に、加工用ローラーのより具体的な実施例について説明する。
〔例1〕外径90mmのローラー基体に高速度鋼SKH9を用い、これをステンレス製の加工用ローラーの芯金に装着し、総形チェザーバイトでV溝加工(溝ピッチ0.65mm,溝深さ0.368mm,頂角50°,V溝数163本)を行った。
【0017】次に、ワイヤーガイド溝を含むローラー基体上へ、イオンプレーティング法によりTiCを約5μm の厚さにコーティングして加工用ローラーを形成した。
【0018】この加工用ローラーを用いて、脆性材料である3インチ径の四ほう酸リチウム単結晶のスライス加工を行った。この結果、従来のローラー基体に超高分子ポリエチレンを用いた場合、使用可能時間が約120時間程度であったものが、約1200時間と約10倍の耐久性を示した。
【0019】〔例2〕ローラー基体に銅合金を用いて、他の条件は例1と同一でV溝加工を行った。次に、本加工品上へTiCNを減圧CVD法により約7μm の厚さにコーティングして加工用ローラーを形成した。
【0020】本加工用ローラーを用いて脆性材料である3インチ径のニオブ酸リチウム単結晶のスライス加工を行ったところ、従来のポリエチレン製の加工用ローラーの約6倍もの耐久性を示した。
【0021】〔例3〕ローラー基体にアルミ合金を用いて、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。次に、本加工品上にTiNをプラズマCVD法により約6μm の厚さにコーティングして加工用ローラーを形成した。
【0022】本加工用ローラーを用いて脆性材料である2インチ径の水晶のスライス加工を施したところ、従来のMC−901ナイロン製の加工用ローラーの約5倍もの耐久性を示した。
【0023】〔例4〕ローラー基体に超硬合金(WC−Co系)を用い、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。その後、減圧CVD法により約8μm 厚みのAl2 3 をコーティングして加工用ローラーを作製した。
【0024】本加工用ローラーを用いて脆性材料材料である3インチ径のタンタル酸リチウム単結晶のスライス加工を施したところ、従来のMC−901ナイロン製の加工用ローラーの約8倍もの耐久性を示し、かつアルミナ製の加工用ローラーとほぼ同寿命であった。
【0025】〔例5〕ローラー基体に構造用鋼を用い、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。その後、常圧CVD法により約5μm 厚みのB4 Cをコーティングして加工用ローラーを作製した。
【0026】本加工用ローラーを用いて脆性材料材料である2インチ径のMgAl2 4 単結晶のスライス加工を行ったところ、従来の超高分子ポリエチレン製加工用ローラーの約8倍、アルミナ製の加工用ローラーの約1.2倍の耐久性を示した。
【0027】〔例6〕ローラー基体に合金工具鋼SKD11を用い、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。その後、常圧CVD法により約6μm 厚みのTiB2 をコーティングして加工用ローラーを作製した。
【0028】本加工用ローラーを用いて脆性材料材料である3インチ径のMn−Znフェライト単結晶のスライス加工を行ったところ、従来の超高分子ポリエチレン製の加工用ローラーの約10倍、そしてアルミナ製の加工用ローラーの約1.5倍の耐久性を示した。
【0029】〔例7〕ローラー基体にステンレス鋼(SUS304)を用い、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。次に、本加工品上に常圧CVD法でもって、下地層にTiC(5μm 厚)を、表層にTiN(8μm 厚)を設けた2層構造の硬質層をコーティングした溝部を有する加工用ローラーを作製した。
【0030】本加工用ローラーを用いて、脆性材料材料である3インチ径のGGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)単結晶のスライス加工を行ったところ、従来のMC−901ナイロン製の加工用ローラーの約6倍もの耐久性を示した。
【0031】〔例8〕ローラー基体にチタン合金を用いて、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。次に、本加工品上にARE(活性化反応性蒸着:Activated Reactive Evaporation)法でもって、下地層にTiC(5μm 厚)を、表層にAl2 3 (2μm 厚)を設けた2層構造の硬質層をコーティングした溝部を有する加工用ローラーを作製した。
【0032】本加工用ローラーを用いて、脆性材料材料である3インチ径のYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)単結晶のスライス加工を行ったところ、従来のナイロン66製の加工用ローラーの約15倍、アルミナ製の加工用ローラーの約2倍の耐久性を示した。
【0033】〔例9〕ローラー基体に炭素工具鋼(SK4)を用い、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。次に、本加工品上に常圧CVD法により、下地層〜表層を、TiC(4μm 厚)−TiN(4μm )−Al2 3 (2μm 厚)の3層構造の硬質層をコーティングした加工用ローラーを作製した。
【0034】本加工用ローラーを用いて、脆性材料材料である3インチ径のBGO(Bi12GeO20)単結晶のスライス加工を行ったところ、従来のナイロン66製の加工用ローラーの約20倍、アルミナ製の加工用ローラーの約3倍の耐久性を示した。
【0035】〔例10〕ローラー基体に超硬合金(WC−TiC系)を用いて、他の条件は例1と同一条件でV溝加工を行った。次に、本加工品上に常圧CVD法により、下地層〜表層を、CrC(4μm )−TiC(4μm )−TiN(4μm )−Al2 3 (3μm )の4層構造の硬質層をコーティングした加工用ローラーを作製した。
【0036】本加工用ローラーを用いて脆性材料材料である3インチ径のPbMoO4 単結晶のスライス加工を行ったところ、従来のナイロン66製の加工用ローラーの約25倍、アルミナ製の加工用ローラーの約4倍の耐久性を示した。
【0037】なお、上記実施例においては炭化物としてTiC,B4 C,CrCを挙げたが、これ以外にもWC,TaC,SiC,HfC,ZrC,VC、そしてダイヤモンド薄膜,ダイヤモンド状炭素等でも同様な効果を奏した。また、窒化物としては本実施例以外にTaN,AlN,BN,Si3 4 ,HfN,NbN等が、また、硼化物としてZrB2 等が、酸化物としてZrO2 ,Cr2 3 等も良好な結果を示した。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、ローラー基体が金属材料であるので、セラミックス単体からの成形加工に比べ、V溝加工等の機械加工がはるかに容易であり、しかも安価な鋼材を適宜選択できるため、ローラー基体の選択の自由度ガ大きいという利点がある。
【0039】また、セラミックス単体からでは製造コストも高く、成形加工が困難な超硬化合物材料でも、金属表面に薄膜成長させることにより簡便に被覆コートが可能なため、比較的安価で被切断材の材質に応じて最適な硬質材料を選定できる。
【0040】また、硬質材料を複数積層することで、耐蝕性、耐磨耗性、及び摺動性等の機械的特性を制御することが可能なため、理想的な加工用ローラーを得ることができる。特に、表層に酸化物が主成分である耐腐食層を設け、下地層にガイド溝を構成する金属材料と熱膨張係数が近似する材料から成る層を設けることにより、金属製のローラー基体と硬質層との密着性を好適にするだけでなく、耐蝕性,耐磨耗性,及び摺動性等の機械特性を良好にすることができ、従来のセラミックス単体から成形加工された加工用ローラーに劣らない、非常に優れた加工用ローラーを提供できる。
【0041】さらに、既製の高分子材料やアルミナ製の加工用ローラーの場合、ワイヤーの走行するV溝の磨耗が再生加工できない程度まで大きくなると、使用不可となり廃棄処分せざるを得ないが、本発明の場合は、被覆した部位の磨耗が進行し、基体の金属材料に到達した時点で損傷した部分を再度被覆することが可能なため、何度も繰り返し使用可能であり、省資源化の点においても非常に有効である。




 

 


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