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発明の名称 押出圧力調整器および木プラの押出成形方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−249914
公開日 平成10年(1998)9月22日
出願番号 特願平9−54626
出願日 平成9年(1997)3月10日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 博道 (外4名)
発明者 上手 正行 / 松下 康士 / 渡辺 愛子 / 谷口 純 / 小川 健治 / 中野 義則 / 小林 義昭 / 加藤 まさみ
要約 目的
木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供できる技術の確立にある。

構成
木粉を樹脂に混合して樹脂材料とした木プラの押出成形において、金型への送り出しの直前で樹脂材料の温度を上昇させる。温度を上昇させるための構成として、例えば、樹脂材料の融解後かつ金型への送り出し前に、樹脂材料にかかる押出圧力を調整する押出圧力調整器を設け、金型側の部分に、樹脂材料の温度を上昇させるため、例えばヒーターを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】木粉を樹脂に混合した木プラの押出成形において、樹脂材料の融解後かつ金型への送り出し前に、樹脂材料にかかる押出圧力を調整する押出圧力調整器であって、金型側の温度をシリンダー側よりも高まるようにしたことを特徴とする押出圧力調整器。
【請求項2】押出圧力調整器における樹脂材料の通路を、金型側に向かって段階的且つ不連続に狭くなるように形成したことを特徴とする請求項1記載の押出圧力調整器。
【請求項3】押出圧力調整器における樹脂材料の通路を、金型側に向かって連続的に狭くなるように形成したことを特徴とする請求項1記載の押出圧力調整器。
【請求項4】木粉を樹脂に混合して樹脂材料とした木プラの押出成形において、金型への送り出しの直前で樹脂材料の温度を上昇させることを特徴とする木プラの押出成形方法。
【請求項5】木粉は、磨砕処理して嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させたものとしたことを特徴とする請求項4記載の木プラの押出成形方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、木質様を有した木プラの押出成形に関する技術、更に詳しくは、木プラの押出成形時に樹脂材料の温度制御を行うことによって成形品の表面品質を調整するための圧力調整器および圧力調整を行う製法に関するものである。
【0002】
【先行技術】樹脂に天然木材の粉末(木粉)を混合していわゆる木プラといわれる成形品を作製する技術については、さまざまなものが提供されてきた。その中からPCTJP94/00351号(国際公開番号;WO94/20280号)に記載された「セルロース系微粉粒、木質様成形品および木質様製品」の技術について簡単に説明する。
【0003】原料としてのセルロース材を粉砕して得た粉砕粉を磨砕処理して嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒とし、この固定粒に樹脂及び顔料を混合し、かつ溶融させ、その後または溶融と同時に押出成形または射出成形により所望形状に成形する。すると、天然の木の木目に極めて近い模様を表面に有し、しかも手触り感等の風合いも天然の木に近い木質様製品の製造方法及び木質様製品を提供することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記してきた木プラの成形技術における成形品の表面品質に関し、確立された技術がないという課題が残されていた。更に詳しく説明する。木質感が決定される条件のひとつに、木粉(セルロース材の粉砕粉、PCTJP94/00351号の場合には「固定粒」)の樹脂に対する混入割合の高低がある。すなわち、木粉(固定粒)の樹脂に対する混入割合が高いほど木質感が得られる。その一方で、木粉の樹脂に対する混入割合が高いと、表面につやがなくなる。
【0005】本発明が解決すべき課題は、木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供できる技術の確立にある。ここで、請求項1ないし請求項3記載の発明の目的は、木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供することに寄与する押出圧力調整器を提供することである。
【0006】また、請求項4および請求項5記載の発明の目的は、木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供することに寄与する木プラの押出成形方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的を達成するためのものである。
(請求項1)請求項1記載の押出圧力調整器は、木粉を樹脂に混合した木プラの押出成形において、樹脂材料の融解後かつ金型への送り出し前に、樹脂材料にかかる押出圧力を調整する押出圧力調整器であって、金型側の温度をシリンダー側よりも高まるようにしたことを特徴とする(用語定義)「樹脂」とは、木プラの押出成形に適した樹脂のことであり、硬質樹脂、軟質樹脂を含み、例えば塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂などである。最終的に欲する成形品の機能、用途によって決定する。
【0008】「木粉」は、天然木材の粉砕粉およびそのおがくずの他、稲藁、バカスなどの粉砕粉などでもよい。「金型側の温度をシリンダー側よりも高まるように」するため、例えばヒーターを用いる。
(作用)請求項1記載の押出圧力調整器の作用について説明する。
【0009】融解された樹脂材料が押出圧力調整器に送り込まれ、金型へ押し出すのに適した押出圧力に調整される。そして、金型側の部分において、ヒーターによって樹脂材料の温度が上昇し、樹脂材料中の樹脂と金型との間の流れがスムーズになる。その結果、成形品の表面につやが出る。一方、樹脂材料中の木粉の含有率を変化させるわけではないので、含有率に応じた木質感を得られる。従って、表面のつやと木質感とを両立させた成形品を提供できる。
(請求項2)請求項2記載の発明は、請求項1記載の押出圧力調整器を技術的に限定したものであり、押出圧力調整器における樹脂材料の通路を、金型側に向かって段階的且つ不連続に狭くなるように形成したことを特徴とする。
【0010】「段階的且つ不連続」な構成とは、例えば、押出方向の断面形状において階段状に形成されているものをいう。段階の段は樹脂材料の性質、最終成形品の種類など、さまざまな条件から決定される。段階数が多すぎると、不連続が連続に近づいてしまうので、成形品に所望される表面に適正な段数が選択される。
(作用)請求項2記載の押出圧力調整器の作用について、請求項1記載の押出圧力調整器の作用と異なる点について説明する。
【0011】融解された樹脂材料が押出圧力調整器に送り込まれると、段階的且つ不連続に狭くなるように形成された箇所において、押出圧力調整器の内壁に樹脂がこすりつけられてその場に残る。その結果、樹脂材料に含まれた木粉が、相対的に金型の表面付近に浮き上がることとなる。そのため、木粉の含有量の割りに木質感が高い成形品を提供できる。換言すれば、木粉の含有量が少なくて済むので、木粉の含有量が多い場合に起こりやすい成形不良などのトラブルを低減させることができる。
(請求項3)請求項3記載の発明は、請求項1記載の押出圧力調整器を技術的に限定したものであり、押出圧力調整器における樹脂材料の通路を、金型側に向かって連続的に狭くなるように形成したことを特徴とする。
【0012】(作用)請求項2記載の押出圧力調整器の作用について、請求項1記載の押出圧力調整器の作用と異なる点について説明する。融解された樹脂材料が押出圧力調整器に送り込まれると、押出圧力調整器の内壁に樹脂がこすりつけられるが、圧力の高まり方が連続的なので、樹脂のみが内壁付近に残りやすいということはなく、混合が更に進む。その結果、樹脂材料に含まれた木粉のみが、金型の表面付近に浮き上がることはない。そのため、本願に係る押出圧力調整器が存在しない場合に比べて、混合がより長く行われたのと同じ効果を得られる。換言すれば、木目柄の表出も確保しつつ、混合時間が短い場合に起こりやすい成形不良などのトラブルを低減させることができる。
(請求項4)請求項4記載の発明は、木粉を樹脂に混合して樹脂材料とした木プラの押出成形において、金型への送り出しの直前で樹脂材料の温度を上昇させることを特徴とする木プラの押出成形方法である。
【0013】金型への送り出しの直前で樹脂材料の温度を上昇させることができれば、装置の種類や手段は問わない。
(請求項5)請求項5記載の発明は、請求項4記載の木プラの押出成形方法における樹脂材料に混合される木粉を限定したものであり、その木粉は、磨砕処理して嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させたものとしたことを特徴とする。
【0014】なお、より本物の木材に近づけるため、樹脂には顔料を含有させる場合が多い。その「顔料」とは、有色顔料であり、例えば酸化鉄、カドミウムイエロー、カーボンブラックなどの無機顔料または有機顔料である。
(用語定義)「粉粒の表面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させ」る方法とは、例えばボールミルによるすり潰し、高速回転羽根式混合機による高速攪拌の長時間実行などの方法がある。セルロース材の繊維の毛羽立ちを取る処理を、表面粒の固定とは別に行ってもよい。
【0015】「表面粒」とは、例えば酸化チタン、フェライト、アルミニウム、ニッケル、銀、炭酸カルシウムや、セラミックなどである。
(作用)木粉を請求項5のように限定すると、通常の木プラよりも本物の木に近い感触の成形品が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1および図2である。図1は、第一の実施の形態を示すための概念図である。図2は、第二の実施の形態を示すための概念図である。
(第一の実施の形態)まず、第一の実施の形態について、図1に基づいて説明する。
【0017】この実施の形態にて示す押出圧力調整器は、木粉を樹脂に混合した木プラの押出成形において、樹脂材料の融解後かつ金型への送り出し前に、樹脂材料にかかる押出圧力を調整する押出圧力調整器であって、樹脂材料の通路を、金型側に向かって段階的且つ不連続に狭くなるように形成している。そして、金型側の部分に、樹脂材料の温度を上昇させるためのヒーターを備えている。
【0018】ここで、樹脂材料について詳しく説明する。「樹脂」は、木プラの押出成形に適した樹脂であり、この実施の形態では塩化ビニル樹脂とした。また、その樹脂に混合する「木粉」は、おがくずを更に細かく粉砕し、磨砕処理して嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させたものとした。このような樹脂および木粉に加え、顔料を含有させて予めペレット状に形成して木質様ペレットとする。顔料の種類を変えることによって、複数種類の木質様ペレットを用意しておく。その複数種類の木質様ペレットを融解して混合し、金型への送り出し前に前記した押出圧力調整器へ送り込むのである。
【0019】この押出圧力調整器は、押出方向の断面形状が二段の階段状に形成している。融解された樹脂材料が押出圧力調整器に送り込まれると、段階的且つ不連続に狭くなるように形成された箇所において、押出圧力調整器の内壁に樹脂がこすりつけられてその場に残る。その結果、樹脂材料に含まれた木粉が、相対的に金型の表面付近に浮き上がることとなる。そのため、木粉の含有量の割りに木質感が高い成形品を提供できる。換言すれば、木粉の含有量が少なくて済むので、木粉の含有量が多い場合に起こりやすい成形不良などのトラブルを低減させることができる。
【0020】金型側の部分において、ヒーターによって樹脂材料の温度が上昇し、樹脂材料中の樹脂と金型との間の流れがスムーズになる。その結果、成形品の表面につやが出る。一方、樹脂材料中の木粉の含有率を変化させるわけではないので、含有率に応じた木質感を得られる。従って、表面のつやと木質感とを両立させた成形品を提供できる。
【0021】また、木粉を前記のように限定しているので、通常の木プラよりも本物の木に近い感触の成形品が得られる。
(第二の実施の形態)次に、第二の実施の形態について、第一の実施の形態との相違点に着目しながら図2に基づいて説明する。
【0022】この実施の形態では、第一の実施の形態と、押出圧力調整器の構造が異なるのである。この押出圧力調整器は、木粉を樹脂に混合した木プラの押出成形において、樹脂材料の融解後かつ金型への送り出し前に、樹脂材料にかかる押出圧力を調整する押出圧力調整器であって、樹脂材料の通路を、金型側に向かって連続的に狭くなるように形成している。
【0023】従って、融解された樹脂材料が押出圧力調整器に送り込まれると、押出圧力調整器の内壁に樹脂がこすりつけられるが、圧力の高まり方が連続的なので、樹脂のみが内壁付近に残りやすいということはなく、混合が更に進む。その結果、樹脂材料に含まれた木粉のみが、金型の表面付近に浮き上がることはない。そのため、本願に係る押出圧力調整器が存在しない場合に比べて、混合がより長く行われたのと同じ効果を得られる。換言すれば、木目柄の表出も確保しつつ、混合時間が短い場合に起こりやすい成形不良などのトラブルを低減させることができる。
【0024】金型側の部分において、ヒーターによって樹脂材料の温度が上昇し、樹脂材料中の樹脂と金型との間の流れがスムーズになるというところは、第一の実施の形態と同じである。
【0025】
【発明の効果】請求項1ないし請求項3記載の発明によれば、木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供することに寄与する押出圧力調整器を提供することができた。また、請求項4および請求項5記載の発明によれば、木プラの成形技術において、木質感を高めつつ表面につやがある成形品を提供することに寄与する木プラの押出成形方法を提供することができた。




 

 


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