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発明の名称 レジノイド研削砥石
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−202535
公開日 平成10年(1998)8月4日
出願番号 特願平9−4291
出願日 平成9年(1997)1月14日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
発明者 永田 晃 / 中根 茂喜
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 合成樹脂結合剤中に無機質充填材粒子が分散させられた結合剤組織によって砥粒が結合されたレジノイド研削砥石であって、前記無機質充填材粒子は、前記合成樹脂結合剤との結合力が該無機質充填材粒子よりも低い被覆膜を有することを特徴とするレジノイド研削砥石。
【請求項2】 前記被覆膜は、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、パラフィン蝋、ワックス、およびフッ素樹脂の何れかで構成される請求項1のレジノイド研削砥石。
【請求項3】 前記無機質充填材粒子は、平均粒径が0.5 〜50 (μm)の範囲にある請求項1のレジノイド研削砥石。
【請求項4】 前記無機質充填材粒子は、前記結合剤組織全体に対して1 〜70(容量%)の範囲の割合で含まれるものである請求項1のレジノイド研削砥石。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機質充填材粒子を樹脂結合剤中に含むレジノイド研削砥石の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、粗加工等のように取り代の大きい研削加工には、一般に合成樹脂結合剤(レジンボンド)で砥粒を結合したレジノイド研削砥石が用いられる。合成樹脂結合剤は、ガラス質結合剤(ビトリファイドボンド)、金属質結合剤(メタルボンド)や電着結合剤等に比較して弾性率が低いことから、研削加工中に被削材から砥粒に作用する負荷を結合剤の弾性変形によって緩和できるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のレジノイド研削砥石では、結合剤中に微細な無機質充填材粒子が分散させられることが多い。すなわち、結合剤の弾性変形は砥粒に作用する負荷を軽減するが、過度の弾性変形は砥粒の被削材への食い込みを妨げ、却って研削性能を低下させる。また、容易に弾性変形させられる結合剤は、ドレッシング(目立ておよび形直し)の際や研削加工中において、ドレッサ、切り屑や脱落砥粒等から力を受けても一時的に弾性変形するだけで削り取られ難く、その表面が適度に後退させられない。そのため、切れ刃として機能する砥粒先端と略同一面上に結合剤の表面が位置して被削材表面を擦ることから溶着(すなわち切り屑や結合剤自身の結合剤表面における焼けつき)が生じ、被削材表面を荒らすと共に切り屑の排出を阻害して研削抵抗を増大させる。更に、結合剤表面が適度に後退させられないことは、砥粒の適度な目替わりすなわち切れ刃の自生作用を阻害することともなる。そこで、高い研削性能を得るためには、結合剤組織が微小破砕されることによりその表面が徐々に後退することが望まれることから、結合剤の弾性率を実質的に高める目的で、結合剤中に無機質充填材粒子が分散させられて適度な弾性率を有する結合剤組織によって砥粒を結合することが行われているのである。
【0004】しかしながら、無機質充填材粒子が分散させられた結合剤組織は、弾性率が高められるだけではなく、結合剤が無機質充填材粒子と強固に接合させられることによって硬度も結合剤単独の場合よりも高められる。そのため、弾性率が高められてドレッシング中等における結合剤組織の弾性変形が抑制されても、無機質充填材粒子との強固な接合力および高い硬度によって結合剤が削り取られ難いことから、結合剤組織表面が好適に後退しないため、上述のような溶着が生じると共に砥粒の目替わり等が阻害されるという問題は十分に抑制されていなかった。しかも、結合剤組織に高い結合力が与えられた結果その表面が殆ど後退しないことから、砥粒が目替わりさせられないまま溶着によって周囲の結合剤組織を含めた大きい単位で脱落し易くなるため、却って研削性能が低下させられる場合もあった。因みに、上記の無機質充填材粒子としては、例えば、アルミナ(Al2O3 )、シリカ(SiO2)、炭化珪素(SiC )、ジルコニア(ZrO2)等のセラミックスや、タルク、マイカ等の粘土鉱物、フッ化物等が用いられているが、一般に、結合剤を構成する合成樹脂は、このような無機質充填材粒子の-OH 基等と強固に接合させられるのである。
【0005】本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、適度な弾性率を有し且つ好適に後退させられる結合剤組織を備えたレジノイド研削砥石を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するため、本発明の要旨とするところは、合成樹脂結合剤中に無機質充填材粒子が分散させられた結合剤組織によって砥粒が結合されたレジノイド研削砥石であって、(a) 前記無機質充填材粒子は、前記合成樹脂結合剤との結合力がその無機質充填材粒子よりも低い被覆膜を有することにある。
【0007】
【発明の効果】このようにすれば、レジノイド研削砥石において、無機質充填材粒子は、合成樹脂結合剤との結合力がその無機質充填材粒子よりも低い被腹膜を有して構成される。そのため、合成樹脂結合剤と無機質充填材粒子との界面には、合成樹脂結合剤との結合力が低い(すなわち接着力が低い、或いは剥離性が高い)被腹膜が介在することによって、合成樹脂結合剤と無機質充填材粒子との間の結合力が実質的に低くされ、無機質充填材粒子の合成樹脂結合剤からの剥離性が高められる。したがって、レジノイド研削砥石は、研削面よりも十分に内部側においては、無機質充填材粒子が分散させられることによって結合剤組織の弾性率が高められていることから、結合剤の弾性率が低いことに起因する砥粒の被削材への食い込み阻害や、ドレッシングの際や研削加工中における結合剤組織の過度な弾性変形が抑制される。一方、研削面においては、露出させられた無機質充填材粒子は、合成樹脂結合剤との結合力が低く容易に脱落させられるため、その研削面近傍における結合剤組織の硬度は実質的に合成樹脂結合剤単独で結合剤組織を構成した場合と略同様な低い値となることから、上記のように弾性変形が抑制されることと相俟って結合剤組織が容易に微小破砕されて徐々に後退させられる。これにより、適度な弾性率を有し且つ好適に後退させられる結合剤組織を備えたレジノイド研削砥石が得られる。
【0008】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記被覆膜は、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、パラフィン蝋(固形パラフィン:メタン列炭化水素のうち常温で固体のもの)、ワックス(蝋:脂肪酸のアルコールエステル)、およびフッ素樹脂の何れかで構成される。このようにすれば、これらの化合物は、一般に合成樹脂の成形の際に離型剤として用いられるものであって、レジノイド研削砥石に用いられる合成樹脂結合剤と適度に低い結合力(すなわち接着力或いは親和力)を有するものであることから、砥石の成形性を大きく損なうことなく、結合剤組織の後退性を十分に高めることができる。
【0009】また、好適には、前記無機質充填材粒子は、平均粒径が0.5 〜50 (μm)の範囲にある。結合剤組織が好適に微小破砕(すなわち、砥粒の平均粒径に対して十分に小さい単位で削り取られること)されるためには、平均粒径が0.5(μm)以上であることが望ましく、合成樹脂結合剤による砥粒の結合力を十分に高く維持するためには、平均粒径が50 (μm)以下であることが望ましいためである。因みに、砥粒間の距離(ボンドブリッジの大きさ)は、砥粒および結合剤の構成比率等によって大きく異なるものであるが、一般的には、平均粒径が50 (μm)以上になると無機質充填材粒子の大きさが砥粒間距離に近い大きさとなって、砥粒相互の合成樹脂結合剤による結合力が部分的に失われるため、砥粒が脱落し易くなる。なお、更に好適には、無機質充填材粒子の平均粒径は3 〜15 (μm)程度とされることが望ましい。
【0010】また、好適には、前記無機質充填材粒子は、前記結合剤組織全体に対して1 〜70(容量%)の範囲の割合で含まれるものである。弾性率を十分に向上させるためには、無機質充填材粒子の割合が1(容量%) 以上とされることが望ましく、結合剤組織中の合成樹脂結合剤の量を砥粒の過度な脱落が生じないように十分な結合力が得られる程度に多くするためには、無機質充填材粒子の割合が70 (容量%) 以下とされることが望ましいためである。なお、一層高い弾性率を確保し且つ一層高い結合力を確保するためには、更に好適には、無機質充填材粒子の割合は5 〜40 (容量%) の範囲とすることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において各部の寸法比等は必ずしも正確に描かれていない。
【0012】図1は、本発明の一実施例のレジノイド研削砥石10の断面を示す図である。図において、レジノイド研削砥石10は、例えば、外径585 (mm)×厚さ75(mm)×内径19(mm)程度の寸法で全体が一体的に構成された両頭平面研削用ディスク形研削砥石であって、一点鎖線で上下に区分して示すように、研削面(使用面)12を備えた使用部分14と、取付面16を備えた取付部分18とから成るものである。レジノイド研削砥石10は、全体が例えば粒度#60程度(すなわち平均粒径200 〜300[μm]程度)のアルミナ(Al2O3 )系の砥粒20がフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の合成樹脂結合剤22で結合されて構成されているが、上記の取付部分18には、両頭平面研削盤のフランジに取り付けるために径方向の数カ所の円周上において各々周方向に均等に配置された複数個のナット24が、取付面16に端面が露出した状態で埋め込まれている。なお、中央位置には厚み方向に貫通する研削液供給穴26が設けられている。
【0013】図2(a) に、後述の被削材40の加工中における上記レジノイド研削砥石10の研削面12近傍の断面を拡大して示すように、合成樹脂結合剤22中には、例えば粒径0.5 〜50 (μm)程度のシリカ(SiO2)やタルク、マイカ等から成る無機質充填材粒子28が多数分散させられており、使用部分14は、砥粒20、合成樹脂結合剤22、無機質充填材粒子28、および多数の気孔30とから構成されている。本実施例においては、上記合成樹脂結合剤22および無機質充填材粒子28から結合剤組織が構成されており、砥粒20、結合剤組織、および気孔30の割合は、例えばそれぞれ50(容量%) 、20(容量%) 、および30(容量%) 程度となっている。上記無機質充填材粒子28は、図2(b) に示されるように、例えばシリコーン樹脂、パラフィン蝋、ワックス、フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の合成樹脂結合剤22との結合力が小さい(すなわち剥離性が高い、或いは親和力が小さい)有機化合物から成り、無機質充填材粒子28自身の粒径の1/5 程度以下の厚みの被覆膜32によってその表面が覆われている。なお、合成樹脂結合剤22と砥粒20および被覆膜32との結合力は、例えば、処理された無機質充填材粒子28と結合剤のみが混合された試験片を作製し、そのものの曲げ強度や磨耗試験、および破断面の電子顕微鏡観察等によって評価される。
【0014】上記のレジノイド研削砥石10は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、先ず、上記の被覆膜32を構成する有機化合物を、上記無機質充填材粒子28に対して例えば1(%) 程度の割合となるようにアルコール等の溶剤中に溶解し、例えば混合機によってその溶液と無機質充填材粒子28とを混合する。このとき、溶剤量は無機質充填材粒子28が僅かに湿る程度とされる。これにより、無機質充填材粒子28は、溶剤で溶解させられた上記有機化合物によってその表面が覆われることとなる。次いで、混合機中に例えば粉末状態の前記の合成樹脂結合剤20を無機質充填材粒子28に対して99〜30(容量%) 程度の割合となるように投入し、混合した後、上記砥粒20を混合機中に投入して更に混合する。なお、砥粒20の投入量は、レジノイド研削砥石10の混合時の割合で、例えば砥粒20が70(容量%) 程度、結合剤組織を構成する合成樹脂結合剤22と無機質充填材粒子28の合計が30(容量%) 程度となるように決定される。このように混合した調合物を前記の砥石寸法に硬化収縮を考慮した寸法の成形型を用いて粉末加圧成形し、例えば、180(℃) 程度の熟成温度で熟成することにより、前記図1に示されるレジノイド研削砥石10が得られる。
【0015】図3は、両頭平面研削盤における上記のレジノイド研削砥石10の使用状態を示す図である。図において、両頭平面研削盤は、互いに対向して備えられてそれぞれ回転軸34、34で回転駆動される一対のフランジ36、36を備えており、一対の上記のレジノイド研削砥石10が、それら一対のフランジ36、36の対向面に複数本のボルト38によって取り付けられている。一対のレジノイド研削砥石10、10の間には、ベアリングの外輪等の被削材40を例えば紙面の裏面から表面に向かう一方向に連続的に送るためのガイド42が備えられており、一対のレジノイド研削砥石10、10は、被削材の加工寸法に応じた距離だけ相互に隔てて位置させられている。この両頭平面研削盤においては、一対のレジノイド研削砥石10、10をそれぞれ図に矢印で示される方向に回転させた状態で、被削材40をそれら一対のレジノイド研削砥石10、10間に供給することにより、複数の被削材40が順次所定寸法に加工される。
【0016】上記図3に示される両頭平面研削盤において、下記表1に示される種々の結合剤組織を備えたレジノイド研削砥石10によるベアリング外輪の幅寸法(軸心方向の長さ寸法)の焼入材研削結果を、本発明の範囲外である比較例と併せて下記表2に示す。なお、表1において、「無機質充填材粒子」欄における括弧内の数値は、無機質充填材粒子28の平均粒径を表している。また、「容量部」は、レジノイド研削砥石10の総容量に対する樹脂結合剤22および無機質充填材粒子28それぞれの容量比(容量 [%] )を表しており、括弧内の数値は結合剤組織全体に対する無機質充填材粒子28の容量比を表している。また、表2において、「消費動力」は加工時に掛かる電力値であって砥石の切れ味がよいほど低い値となる。「加工数」は、砥石一組当たりの被削材40の加工可能個数である。また、加工条件は下記のとおりである。
[加工条件]
・砥石周速度:1800(m/min)・被削材材質:SUJ−2(焼入材、HRC硬度60〜70)
・被削材取代:0.3(mm)【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】上記表2から明らかなように、本実施例のレジノイド研削砥石10によれば、比較的低い消費動力で多数の被削材40をその表面46に「焼け」を生じさせることなく研削可能であった。これは、図2(a) に示されているように、研削加工中において結合剤組織表面44が研削面12(すなわち切れ刃として機能する砥粒20の先端面)よりも十分に後退させられて、砥粒20がその研削面12に好適に突き出した状態となる結果、その結合剤組織表面44が被削材表面46に殆ど接触させられないことから、その表面44に溶着が生じ難くされて、高い研削性能が維持されているためである。なお、研削砥石においては、焼けが発生することなく低い電力で多数加工できることが望まれることから、上記表2において「加工数/動力」の値が大きいほど高い研削性能を有していると評価できる。例えば、「加工数/動力」が100 以上であれば、十分に高い研削性能を有しているといえるが、本実施例によれば、その値が140 以上と高いことから、比較例の研削砥石に比較して極めて高い研削性能を有しているといえる。
【0020】これに対して、例えば、比較例21の結合剤組織中に無機質充填材粒子28が含まれていないレジノイド研削砥石では、電力負荷が極めて大きく、被削材表面46に当初から「焼け」が発生して加工不能であった。すなわち、図4に示されるような、無機質充填材粒子28が含まれていない砥石では、合成樹脂結合剤22が過度に弾性変形させられることから、砥粒20が被削材40へ食い込むことが妨げられ、また、ドレッシングの際や研削加工中においては、ドレッサ、切り屑や脱落砥粒等から力を受けても結合剤組織が一時的に弾性変形するだけで削り取られ難く、その表面44が適度に後退させられない。そのため、砥粒20の先端面と略同一面上に合成樹脂結合剤22の表面44が位置して被削材表面46を擦ることから溶着48が生じ、被削材表面46を荒らすと共に切り屑の排出を阻害して研削抵抗を増大させる。このため、前記表2に示されるように消費電力が増大して加工不能となったのである。
【0021】また、図5は、被覆膜32が設けられていない無機質充填材粒子50が結合剤組織中に含まれる比較例22〜25のレジノイド研削砥石の研削面12近傍を示す図であるが、この場合にも、図に示されるように溶着48が発生し易いことから、実施例1〜13に比較して消費動力が増大すると共に1組の砥石で加工可能な被削材22の数量が少なくなる。上記比較例22〜25では、合成樹脂結合剤22中に無機質充填材粒子50が含まれることによって結合剤組織の弾性率が高められているため、図4に示される場合(比較例21)のような研削中等における結合剤組織の弾性変形は生じ難いが、合成樹脂結合剤22が無機質充填材粒子50と強固に接合させられることによって硬度も結合剤単独の場合よりも高められる。そのため、弾性変形が抑制されているにも拘わらず結合剤組織が削り取られ難いことから、その表面44が好適に後退しないため、溶着48が生じると共に砥粒20の目替わり等が阻害されて、上記表2に示されるように高い研削性能が得られないのである。しかも、結合剤組織に高い結合力が与えられた結果その表面44が殆ど後退しないことから、破線で示される砥粒20aのように、目替わりさせられないまま周囲の結合剤組織を含めた大きい単位で砥粒20の脱落が生じ易くなるという問題もあった。
【0022】なお、比較例24では、無機質充填材粒子50として用いられているマイカがシリカ程には合成樹脂結合剤22との結合力が高くないことから、上記研削条件では「焼け」は生じなかったが、無機質充填材粒子50が結合剤組織から脱落し易いものとはいえないため、本実施例に比較すれば消費動力が高く、また、加工数も少なくなっている。したがって、この比較例24のレジノイド研削砥石においても、上記の場合よりも厳しい研削条件では「焼け」が生じ易いものと推定される。
【0023】一方、比較例26〜29では、実施例1〜20と同様に被覆膜32を備えた無機質充填材粒子28が用いられていることから、21〜25に比較すると焼けの程度はかなり良好となっている。しかしながら、比較例26では、無機質充填材粒子28の粒径が0.3(μm)程度と小さ過ぎることから、結合剤22の研削面12からの後退性が悪く、消費動力が高く、被削材40も完全な焼けではないものの焼け気味となっている。また、比較例27では無機質充填材粒子28の粒径が55(μm)程度と大き過ぎることから、無機質充填材粒子28によって砥粒20相互の合成樹脂結合剤22による結合力が部分的に失われるため、砥粒20が過度に脱落し易くなって、消費動力は極めて低くなるものの研削面12の後退速度が著しく速く、加工数が少なくなる。したがって、無機質充填材粒子28の粒径は実施例1〜20に示されるような0.5 〜50 (μm)程度の範囲が好ましいのである。なお、実施例1〜20中においても、実施例12、13の対比から明らかなように粒径が3(μm)以上であることが一層好ましく、また、実施例14〜16の対比から明らかなように粒径が15 (μm)以下であることが一層好ましい。すなわち、無機質充填材粒子28の粒径は3 〜15 (μm)程度の範囲が最も好ましい。
【0024】また、比較例28では、無機質充填材粒子28の結合剤組織中における容量割合が0.5 (容量%) 程度と極めて少なくされているため、無機質充填材粒子28の添加効果自体が殆ど得られず、消費動力が大きくなると共に「焼け」が生じて殆ど加工不能であった。また、比較例29では、無機質充填材粒子28の結合剤組織中における容量割合が74(容量%) 程度と過度に多くされているため、比較例27以上に砥粒20が脱落し易くなって実質的に研削加工が不可能であった。したがって、結合剤組織中における無機質充填材粒子28の容量割合は、1 〜70(容量%) の範囲が好ましいのである。なお、実施例1〜20中においても、実施例1、2の対比から明らかなように無機質充填材粒子28が5(容量%) 以上であることが一層好ましく、また、実施例6〜8の対比から明らかなように40(容量%) 以下であることが一層好ましい。すなわち、無機質充填材粒子28の容量割合は、5 〜40(容量%) 程度の範囲が最も好ましい。
【0025】要するに、本実施例においては、レジノイド研削砥石10において、無機質充填材粒子28は、各々の表面を覆って設けられて合成樹脂結合剤22との結合力がその無機質充填材粒子28よりも低い被腹膜32を有して構成される。そのため、合成樹脂結合剤22と無機質充填材粒子28との界面には、合成樹脂結合剤22との結合力が低い被腹膜32が介在することによって、合成樹脂結合剤22と無機質充填材粒子28との間の結合力が実質的に低くされ、無機質充填材粒子28の合成樹脂結合剤22からの剥離性が高められる。したがって、レジノイド研削砥石10は、研削面12よりも十分に内部側においては、無機質充填材粒子28が分散させられることによって結合剤組織の弾性率が高められていることから、合成樹脂結合剤22の弾性率が低いことに起因する砥粒20の被削材40への食い込み阻害や、ドレッシングの際や研削加工中における結合剤組織の過度な弾性変形が抑制される。一方、研削面12においては、露出させられた無機質充填材粒子28は、合成樹脂結合剤22との結合力が低く容易に脱落させられるため、その研削面12近傍における結合剤組織の硬度は実質的に合成樹脂結合剤22単独で結合剤組織を構成した場合と略同様な低い値となることから、上記のように弾性変形が抑制されることと相俟って結合剤組織が容易に微小破砕されて徐々に後退させられる。これにより、適度な弾性率を有し且つ好適に後退させられる結合剤組織を備えたレジノイド研削砥石10が得られる。
【0026】しかも、本実施例においては、被覆膜32は、シリコーン樹脂、パラフィン蝋、ワックス、およびフッ素樹脂の何れかで構成される。そのため、これらの有機化合物は、一般に合成樹脂結合剤22を構成する合成樹脂の成形の際に離型剤として用いられるものであって、その合成樹脂結合剤22と適度に低い結合力(すなわち高い剥離性或いは低い親和力)を有するものであることから、レジノイド研削砥石10の成形性を大きく損なうことなく、結合剤組織の後退性が十分に高められる。
【0027】また、本実施例においては、無機質充填材粒子28は、平均粒径が0.5 〜50 (μm)の範囲にある。そのため、無機質充填材粒子28の粒径がボンドブリッジの大きさよりも十分に小さくされていることから、合成樹脂結合剤22による砥粒20の結合力が十分に高く維持されつつ、結合剤組織が例えば200 〜300(μm)程度である砥粒20の粒径よりも十分に小さい単位で好適に微小破砕されて、一層高い研削性能が得られる。特に、無機質充填材粒子28の平均粒径が3 〜15 (μm)程度の範囲では、一層高い研削性能が得られる。
【0028】また、本実施例においては、無機質充填材粒子28は、結合剤組織全体に対して1 〜70(容量%)の範囲の割合で含まれている。そのため、弾性率を十分に向上させつつ、結合剤組織中の合成樹脂結合剤22の量が砥粒20の過度な脱落が生じないように十分な結合力が得られる程度に多くされていることから、一層高い研削性能が得られる。なお、特に、無機質充填材粒子の割合が5 〜40 (容量%) の範囲では、更に高い弾性率を確保しつつ更に高い結合力を確保できる。
【0029】以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施される。
【0030】例えば、実施例においては、本発明が両頭平面研削盤用のディスク型レジノイド研削砥石10に適用された場合について説明したが、前述のような溶着が生じ得る条件下で用いられるレジノイド研削砥石であれば、リング型の平面研削砥石や、カップ型砥石、円筒研削砥石、心なし研削砥石、内面研削砥石等の種々の研削砥石にも本発明は同様に適用される。
【0031】また、実施例においては、粒度#60程度のアルミナから成る砥粒20が用いられたレジノイド研削砥石10について説明したが、炭化珪素(SiC )砥粒、ジルコニア−アルミナ(ZrO2−Al2O3 )系砥粒等の他の一般砥粒、立方晶窒化ホウ素(CBN)砥粒やダイヤモンド砥粒等の超砥粒、或いはこれらの混合物が用いられるレジノイド研削砥石にも本発明は同様に適用され、砥粒20の粒度は適宜変更される。
【0032】また、実施例においては、レジノイド研削砥石10の全体が、砥粒20が合成樹脂結合剤22によって結合された砥石組織から構成されていたが、樹脂やステンレス鋼等から成るコアの周囲にセグメント砥石が貼り着けられたセグメント形砥石等にも本発明は同様に適用される。
【0033】また、実施例においては、無機質充填材粒子28は0.5 〜50 (μm)程度のシリカやタルク、マイカ等から構成され、被覆膜32はシリコーン樹脂、パラフィン蝋、ワックス、フッ素樹脂等の有機化合物から構成されていたが、無機質充填材粒子28としては、アルミナ(Al2O3 )、炭化珪素(SiC )、ジルコニア(ZrO2)等のセラミックスや、上記の他の粘土鉱物、フッ化物等が合成樹脂結合剤22よりも十分に弾性率が高い種々の無機質材料が用いられ得、被覆膜32としては、無機質充填材粒子28よりも合成樹脂結合剤22との間の結合力が小さい化合物であれば、ポリビニルアルコール等の他の有機化合物等が用いられてもよい。
【0034】また、被覆膜32を無機質充填材粒子28の表面に膜形成するに際しては、溶剤に溶かした有機化合物を無機質充填材粒子28に混合したが、液状の有機化合物が用いられる場合には溶剤に溶解する工程は不要であり、また、膜形成方法としては、フッ素樹脂等でよく行われるディスパージョン塗布法が採られてもよい。
【0035】また、実施例においては、粉末状の合成樹脂結合剤22を用いてレジノイド研削砥石10を製造したことから、レジノイド研削砥石10の成形は粉末加圧成形で為されていたが、液状の合成樹脂結合剤22を用いて所定の型内に流し込み成形することにより製造されるレジノイド研削砥石10にも本発明は同様に適用される。
【0036】また、実施例においては、レジノイド研削砥石10は、50(容量%) の砥粒20、20(容量%) の結合剤組織、および30(容量%) の気孔30から構成されていたが、これらの割合は研削加工用途に応じて適宜変更される。例えば、無気孔のレジノイド研削砥石にも本発明は適用され得る。
【0037】その他、一々例示はしないが、本発明はその主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。




 

 


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