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発明の名称 二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−329211
公開日 平成10年(1998)12月15日
出願番号 特願平9−145086
出願日 平成9年(1997)6月3日
代理人
発明者 新郷 宗博 / 松本 哲夫 / 稲葉 兼平 / 山本 文夫
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ポリアミド(A)90〜99.9重量%と、エチレン95〜60重量%、無水マレイン酸 0.1〜10重量%および不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル 4.9〜30重量%からなるエチレン系共重合体(B)10〜0.1 重量%を配合した樹脂組成物を原料として用いて製膜した未延伸フィルムを、水分率が 0.2〜2.0重量%となるように吸水処理した後、延伸温度を70〜120 ℃の範囲で縦及び横方向に同時二軸延伸することを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアミドフィルム本来の優れた透明性を有し、かつ、耐ピンホール性、寸法安定性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリアミドフィルムは、機械的特性、熱的特性、ガスバリヤー性をはじめ、耐摩耗性、耐衝撃性や耐ピンホール性に優れており、包装用材料として巾広く用いられている。
【0003】しかし、耐ピンホール性については温度依存性が大きく、10℃以下のような低温下で使用される場合、落下や内容物による突き刺しにより生じるピンホールが原因で、充填物の漏れ出しなどのトラブルが発生することがあり問題であった。
【0004】このような問題を解決するために、ポリアミドとエチレン、無水マレイン酸および不飽和カルボン酸のアルキルエステルからなるエチレン系共重合体を混合した樹脂組成物を原料として用いた、低温での耐ピンホール性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムが提案されている(特公平7−15059号公報)。しかしながら、上記のポリアミドフィルムにおいてはフィルムの透明性が低下するため、未延伸フィルムを急冷製膜したり、低温延伸を施して透明性の低下を防ぐことが必要となるが、その結果、ボーイングが増大してフィルムの巾方向の物性の均一性が損なわれるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミドフィルム本来の優れた透明性を有し、かつ、低温でも耐ピンホール性に優れ、しかも、生産効率の優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、この課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリアミドに特定の組成を有するエチレン系共重合体を配合し、特定の条件で延伸することにより、フィルムの透明性を損なうことなく巾方向の物性の均一性や、低温下における耐ピンホール性を改善できることを見い出し本発明に到達した。
【0007】すなわち本発明の要旨は次の通りである。ポリアミド(A)90〜99.9重量%と、エチレン95〜60重量%、無水マレイン酸0.1〜10重量%および不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル 4.9〜30重量%からなるエチレン系共重合体(B)10〜0.1 重量%を配合した樹脂組成物を原料として用いて製膜した未延伸フィルムを、水分率が 0.2〜2.0 重量%となるように吸水処理した後、延伸温度を70〜120 ℃の範囲で縦及び横方向に同時二軸延伸することを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】次に本発明をさらに詳細に説明する。本発明におけるポリアミドとは、その分子内にアミド結合(−CONH−)を有する熱可塑性高分子化合物であり、ポリε−カプラミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリアミノウンデカミド(ナイロン11)、ポリラウリルアミド(ナイロン12)、および、それらの共重合物などが含まれる。これらの中で特に、本発明に好適なポリアミドとしてはナイロン6を挙げることができる。
【0009】本発明におけるエチレン系共重合体中の無水マレイン酸成分は、 0.1〜10重量%、好ましくは 0.5〜5.0 重量%、最適には 1.0〜2.0 重量%である。
【0010】無水マレイン酸成分が 0.1重量%より少ないと得られる共重合体のポリアミドへの親和性が不十分となり、得られる二軸延伸フィルムの透明性や耐ピンホール性が低下する。また、無水マレイン酸成分が10重量%を超えると溶融押し出し時にゲルが多量に発生しフィルター昇圧速度が速くなり生産性の低下につながる。
【0011】本発明におけるエチレン系共重合体中の不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルとしては、例えばn−ブチルアクリレートが好適であり、成分重量%としては 4.9〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。
【0012】不飽和カルボン酸の低級アルキルエステル成分が 4.9重量%より少ないと、得られる共重合体の耐ピンホール性の改善効果が不十分であり、30重量%を超えて共重合しても耐ピンホール性の改善効果が飽和し、かえって透明性が低下するため好ましくない。
【0013】次に、本発明におけるポリアミド(A)とエチレン系共重合体(B)の混合割合は、Aが90〜99.9重量%に対して、Bが10〜 0.1重量%であり、さらに好ましくはAが95〜99.5重量%に対して、Bが5〜 0.5重量%である。Bが10重量%より多い場合には、二軸延伸フィルムの透明性が損なわれ、また、溶融時のゲルの生成量が増加し、フィルター昇圧速度が速くなり生産効率が低下し、Bが 0.1重量%より少ない場合には、ポリアミドとの組成物からなる二軸延伸フィルムの耐ピンホール性が不十分となる。
【0014】本発明における二軸延伸フィルムを製造する方法は特に限定されるものではなく、従来より公知の方法を用いることができる。たとえば、予め、AとBをブレンドした後、押出機で溶融混練しペレットを得た後、このペレットを再溶融し、Tダイ法、インフレーション法等によって製膜し、未延伸フィルムを製造することができる。あるいは、AとBをブレンドした後、押出機で溶融混練した後、連続的に製膜し未延伸フィルムを製造することができる。
【0015】本発明においては、未延伸フィルムを、水分率が0.2 〜2.0 重量%、好ましくは 0.4〜1.5 重量%となるように吸水処理した後、縦及び横方向に同時二軸延伸することが必要である。吸水率が0.2 重量%未満の場合には、延伸応力が増大して切断などのトラブルが起こり操業性が低下し、また、吸水率が2.0 重量%より大きいと、得られる延伸フィルムの強度が低下したり、巾方向のフィルムの厚みムラが増大する。また、吸水率が大きすぎると吸水処理中の未延伸フィルムに折れシワが生じたり、フィルムの蛇行などのトラブルが生じやすくなる。未延伸フィルムの水分率を0.2 〜2.0 重量%とするためには、たとえば未延伸フィルムを10〜30℃に温調した水槽に20秒以下、好ましくは5〜15秒間浸水処理を行えばよい。
【0016】吸水処理を施した未延伸フィルムは同時二軸延伸するに先立って、温度50〜70℃、好ましくは60℃付近で予熱される。予熱温度が50℃より低いと延伸が困難となり、また、予熱温度が70℃より高いと、延伸フィルムの透明性が悪化する。
【0017】本発明においては、吸水および予熱処理を施した未延伸フィルムを温度70〜120 ℃の範囲で延伸することが必要である。延伸温度が70℃より低いと延伸切断が発生しやすく、また120 ℃より高いと延伸フィルムの強度が低下したり、フィルムの透明性が低下するので好ましくない。また、延伸倍率は通常、縦および横方向に2.0 〜 4.0倍の倍率で同時二軸延伸される。延伸倍率が2.0 倍未満の場合は、得られる延伸フィルムの強度が低く、延伸倍率が 4.0倍を超える場合にはフィルムの延伸切断が発生しやすくなる。
【0018】次に、延伸フィルムは、温度 140〜215 ℃で熱処理される。熱処理温度が 140℃より低いと、熱収縮率の斜め差が大きくなり、215 ℃より高いと、得られる延伸フィルムの耐ピンホール性や透明性が低下するので好ましくない。なお、通常、熱処理ゾーンは設定温度の異なる複数のゾーンによって構成されており、全ての熱処理ゾーンにおいて上記の温度範囲を満たすことが必要である。
【0019】二軸延伸フィルムの厚みは1〜50μm 、通常10〜30μm とするのが適当である。なお、フィルムの耐ピンホール性は厚み依存性があり、フィルムがあまり厚くなると低下する傾向があるため注意が必要な場合がある。
【0020】また、本発明において、二軸延伸フィルムは単層でもよいし、他のフィルムと複合した複層フィルムとしてもよい。さらに、本発明において、フィルムには必要に応じて公知の添加剤、たとえば酸化防止剤、結晶核剤、滑剤、帯電防止剤などを含有させることもできる。
【0021】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例および比較例の評価に用いた測定方法は次のとおりである。
【0022】(1) 繰り返し屈曲疲労テストMIL-B-131Fに示される Fed. Test Method Std. NO.101C の Method 2017に従い、いわゆるゲルボテスターで5℃下で 1000 回屈曲を加えた後、そのフィルムに生じるピンホールの個数を数えた。
(2) 曇度JIS-K-6714法により測定した。
(3) 水分率二軸延伸する直前の未延伸フィルムを採取し、秤量瓶に入れた後乾燥し、乾燥前後の重量変化より水分率を算出した。
(4) 熱水収縮率の斜め差フィルムの幅方向に対して斜め45°と 135°の方向の熱水収縮率の差を測定した。測定サンプルは、それぞれ上記の方向に沿ってフィルムを巾10mm×長さ 100mmの寸法にカットし、100 ℃熱水中で5分間ボイル処理した後、20℃×65%RHで2時間放置した後の寸法を測定し、処理前の寸法に対する収縮率を求めた。
(5) 操業性の評価吸水処理中の未延伸フィルムの折れシワやの蛇行の発生状況や、延伸フィルムのタルミの発生状況を観察し次の基準で評価した。
A:全く問題なく良好。
B:延伸フィルムに若干のタルミやシワが見られるが大きな問題はない。
C:延伸切断が発生したり、タルミやシワの発生がきつく、生産トラブルがあった。
【0023】実施例196%濃硫酸中、濃度1g/dlで25℃で測定した相対粘度 3.0のナイロン6(ユニチカ社製 A1030BRF )97.5重量%と、エチレン83.4重量%、無水マレイン酸 1.6重量%およびn−ブチルアクリレート15.0重量%からなるエチレン系共重合体(a)を 2.5重量%混合し、250 ℃に設定した押出機で溶融混練しペレット化した。次いでこのペレットを260 ℃でTダイより溶融押出しし、表面温度10℃のドラム上で冷却して厚み 150μm の未延伸フィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを温度20℃の温水槽に導き、10秒間浸水処理を施した後、速度 108m/min で、予熱温度60℃、延伸温度95℃および熱処理温度を第1セット 140℃、第2セット 160℃、第3セット 190℃、第4セット 208℃、第5セット 211℃にそれぞれ設定した各ゾーンを通過させ、厚み15μm の二軸延伸フィルムを得た。(延伸前の未延伸フィルムの水分率は 0.4%であった。)なお、延伸は、縦方向 3.3倍、横方向 3.0倍の倍率で同時二軸延伸し、熱処理ゾーンにおいて横方向に5%の弛緩処理を施した。得られた延伸フィルムの性能を表1に示した。なお予熱、延伸および熱処理の各ゾーンの長さは次のとおりである。

【0024】実施例2〜5浸水処理条件を表1に示した条件として、延伸前の未延伸フィルムの水分率を変更した以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの性能を表1に示した。
【0025】比較例1〜4浸水処理条件及び延伸温度を表1に示した条件とした以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの性能を表1に示した。
【0026】
【表1】

【0027】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアミドフィルム本来の優れた透明性を有し、かつ、耐ピンホール性、寸法安定性に優れ、しかも生産効率の優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。本発明により、ポリアミドフィルムの使用範囲が広がり、産業上の利用価値は極めて高い。




 

 


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