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発明の名称 Ti−Ni系金属細線の加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−296321
公開日 平成10年(1998)11月10日
出願番号 特願平9−105753
出願日 平成9年(1997)4月23日
代理人
発明者 谷出 喜彦 / 藤本 勝幸 / 野村 紘八
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 Ti−Ni系金属細線を圧延した後に伸線加工を施す際に、圧延後におけるTi−Ni系金属細線断面の短軸寸法Tと長軸寸法Wとの比T/Wが、0.30≦T/W≦0.45を満たすようにTi−Ni系金属細線を圧延することを特徴とするTi−Ni系金属細線の加工方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液体急冷法で得られたTi−Ni系金属細線に伸線加工を施すTi−Ni系金属細線の加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速で回転する回転ドラム中に冷却液を入れ、その冷却液中に金属溶湯を噴出させて金属細線を形成させる金属細線の製造方法は、回転液中紡糸法として特開昭56−165016号公報に開示されている。そしてこの方法を用い、Fe−Ni−Cr−Si−C系合金、Ni−Al系合金、Ti−Ni系合金等の円形断面を有する種々の金属細線が得られている。一般に、液体急冷されたままの金属細線は、強度も低く、線径斑(線径変動)も大きく実用に適さないため、任意の線径に伸線加工したものが用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、液体急冷された金属細線を伸線加工する場合、伸線時の破断が多数発生する。そこで、本発明者らは、液体急冷された金属細線を伸線加工するに際し、工具鋼及び超硬からなるローラーを用いて圧延加工を施した後、順次細孔が小さくなるように多段に配置したダイスを通過させて伸線加工することにより、目標とする線径の連続した金属細線が得られることを見出し、特許出願した(特願平7−334610号)。本発明者らが、前記特願平7−334610号の加工方法により、液体急冷されたTi−Ni系金属細線に圧延加工を施した後に伸線加工を行うと、伸線時の破断は大幅に低減した。しかしながら、伸線加工して得られたTi−Ni系金属細線には強度の低い部分が存在し、高強度で強度斑の少ない高品質なTi−Ni系超弾性細線を製造するという点でまだ十分ではなかった。本発明は、強度の低い部分の数を大幅に低減し、高強度で強度斑の少ない金属細線が得られるTi−Ni系金属細線の加工方法を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、液体急冷法で得られたTi−Ni系金属細線を圧延した後に伸線加工を施す際に、圧延材の断面形状をある特定の範囲に規定することにより、伸線加工して得られたTi−Ni系金属細線の低強度部分の発生を抑制し、高強度で強度斑の少ない高品質なTi−Ni系金属細線を得ることができるという事実を見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、Ti−Ni系金属細線を圧延した後に伸線加工を施す際に、圧延後におけるTi−Ni系金属細線断面の短軸寸法Tと長軸寸法Wとの比T/Wが、0.30≦T/W≦0.45を満たすようにTi−Ni系金属細線を圧延することを特徴とするTi−Ni系金属細線の加工方法を要旨とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の加工方法に用いられるTi−Ni系金属細線は、液体急冷法により作製されたTi−Ni系金属細線であることが望まれる。ここでいう液体急冷法としては、(1)重力を利用して冷却液体中に溶融金属をノズルから噴出して冷却固化する方法(特開昭49−135820号公報参照)、(2)溶融金属流を帯状冷却液体中に噴出して冷却固化させる方法(特開昭58−119440号公報参照)、(3)液体冷却媒体を回転ドラム内に入れ、遠心力でドラム内壁に形成させた液体層に溶融金属を噴出して冷却固化する方法(回転液中紡糸法、特開昭56−160516号公報参照)、(4)溶融金属を紡糸ノズルより噴出し、走行している溝付きコンベアベルト上に形成された冷却液体層に接触させて急冷固化する方法(特開昭58−173059号公報参照)等があげられる。これらの液体急冷法により円形断面を有する金属細線を作製することができるが、特に高品質の円形断面を有する金属細線を得るためには(2)及び(3)の方法を用いて作製することが好ましい。
【0006】本発明においては、液体急冷法により急冷されたままのTi−Ni系金属細線(以下、急冷凝固細線という。)を伸線加工する前に圧延する際、圧延材の断面形状をある特定の範囲に規定することが必要である。すなわち、本発明においては、圧延後におけるTi−Ni系金属細線断面の短軸寸法Tと長軸寸法Wとの比T/Wが、0.30≦T/W≦0.45を満たすようにTi−Ni系金属細線を圧延することが必要であり、さらに、0.37≦T/W≦0.43を満たすように金属細線を圧延することが好ましい。本発明において、圧延後におけるTi−Ni系金属細線断面の短軸寸法Tと長軸寸法Wとの比T/Wが0.3未満の場合では、伸線加工して得られたTi−Ni系金属細線の低強度部分の発生頻度が増加し、強度斑も増加する。一方、T/Wが0.45を超える場合では、伸線加工時の切断の頻度が増し、また、伸線加工して得られたTi−Ni系金属細線の低強度部分の発生頻度も増加する。なお、本発明における細線断面の短軸寸法Tとは圧延材の厚みのことをいい、長軸寸法Wとは圧延材の幅のことをいう。
【0007】また、本発明における圧延にはローラーが用いられるが、ローラーとしては、凹部や溝を有していない、回転軸に垂直方向の断面形状が円形のローラーであれば、円柱状のローラーでも、中心部がやや太くなっているローラーでも利用することができる。さらに、圧延としては、冷間圧延、温間圧延・熱間圧延のどちらでもよい。図1は、本発明における、ローラーを用いた急冷凝固細線の圧延工程の一例を示す概略図である。図1において、1は巻出ボビン、2は巻出ボビン1より供給される素線(急冷凝固細線、以下同じ)、3は素線2を圧延するローラー、4は素線2を巻取る巻取りボビンである。5は素線を安定してローラーに供給するためのガイドコントロール、6は素線にかける張力を調整するためのテンションコントロール、7はトラバース装置である。なお、図1においては、一対のローラーにより圧延が施されているが、ローラーの後方にさらにローラーを多数個設けて、多段で圧延することも可能である。
【0008】この圧延工程において、ローラーは被圧延材の硬度によって様々な硬度のものを用いることが可能である。また、温間及び熱間で圧延する場合、圧延ローラー3にあらかじめ加熱した素線2を供給する方法や、圧延ローラー3の材質をセラミックとし、これに通電することにより加工と同時に素線2を加熱する方法によっても良好に圧延を行うことができる。また、圧延工程におけるワイヤ走行速度としては、150m/min以下が望ましく、さらに5m/min以上120m/min以下であることが好ましい。150m/minより走行速度が速いと、切断が多発しやすく、連続して圧延することが困難になることもある。なお、温間あるいは熱間圧延を行う際は、合金系の絶対温度で示される再結晶温度に対して、1.5倍を越えない温度範囲で加工することが好ましい。
【0009】また、本発明において、圧延されたTi−Ni系金属細線は伸線加工されることが必要であり、伸線加工が施されて初めて円形断面のTi−Ni系金属細線を得ることができる。伸線加工の際は、圧延されたTi−Ni系金属細線の断面の長軸寸法より大きい径のダイスから伸線加工を開始し、種々のサイズの細孔を有する超硬又はダイヤモンドからなるダイスを用い、順次細孔が小さくなるように多段に配置したダイスを通過させることにより目標とする線径の金属細線を得ることができる。例えば、冷間伸線するにあたり、代表的な伸線条件としては、ダイス一段における減面率が3〜30%であり、伸線速度は10〜500m/分である。本発明においては、予めローラーにより圧延加工された急冷凝固細線を用いることにより、被伸線材の表面形状や材料特性(強度、変形能)が改善されているため、加工時の切断数が少なく良好に伸線加工が行えるものである。さらに、本発明においては、必要に応じて圧延前後や伸線工程において適切な温度で焼鈍することも可能であり、各合金組成の加工硬化挙動や変形能などの材料特性に応じて熱処理を施すことが好ましい。
【0010】また、本発明を適用できるTi−Ni系金属細線の合金組成としては、特に限定されるものではないが、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金に適用することが好ましい。優れた超弾性特性や形状記憶特性を有するTi−Ni系金属細線を本発明により製造するためには、Niの含有量が45〜55原子%であるTi−Ni系合金又はこの合金中にFe、Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で5原子%以下含有する合金、あるいは、Niの含有量が30〜50原子%、Cuの含有量が0〜20原子%であるTi−Ni−Cu系合金を用いて液体急冷法により急冷凝固細線を作製し、本発明を適用すればよい。
【0011】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。
実施例1合金組成がTi49.6Ni50.4(数字は原子%を示す。)である合金を用いて、回転液中紡糸法により急冷凝固細線を作製した。すなわち、この合金をアルゴン雰囲気中で溶融した後、アルゴンガス圧で、孔径0.18mmφの黒鉛製の紡糸ノズルより、360rpmで回転している内径500mmφの円筒ドラム内に形成された温度4℃、深さ2.5cmのシリコンオイル(シリコンオイル901、竹本油脂社製、動粘性係数10cst)から成る回転冷却液中に、溶融金属を噴出させて急冷凝固させ、平均直径165μmの円形断面を有する均一な急冷凝固細線を得た。次に、上記のTi−Ni系金属細線100mを用いて、予備加工としてローラーによる圧延を行った後、伸線加工を行った。圧延工程におけるワイヤ走行速度は、100m/min、圧延後の金属細線断面の短軸寸法Tは108μm、長軸寸法Wは245μmでT/W=0.44であった。なお、用いたローラーの直径は1cmであり、形状は円柱状で、ローラーの材質はSKD−11(700Hv)であった。
【0012】そして、この圧延工程を経たTi−Ni系金属細線に、通常のダイヤモンドダイスによって80μmまで伸線加工を施した。このときの伸線速度は8m/分であり、ダイヤモンドダイスはダイス径250μmから200μmまで順次10μmピッチで配列し、200μmから80μmまでは順次5μmピッチで配列した。また、圧延後に600℃で30分間の焼きなまし熱処理を行い、200、175、150、130及び110μmにおいても600℃で15分間の焼きなまし熱処理を行った。そして、ダイス径80μmまで伸線加工を行った後に、480℃で10分間の最終熱処理を行った。そして、インストロン引張試験機において、試長120mm、引張速度30mm/minで連続100本の引張試験を行い、平均強度を求めた。また、本発明においては、得られた100本の平均強度の70%未満の強度で破断したものを強度欠陥による破断とみなし、その破断の個数も調べた。その結果を表1に示す。
【0013】実施例2実施例1と同様に作製した平均直径165μmの円形断面を有する均一なTi−Ni系金属細線(急冷凝固細線)100mを用いて、予備加工としてローラーによる圧延を行った後、伸線加工を行った。圧延工程におけるワイヤ走行速度は、15m/min、圧延後の金属細線断面の短軸寸法Tは99μm、長軸寸法Wは266μmでT/W=0.37であった。なお、ローラーは実施例1で用いたローラーと同じものを用いた。そして、この圧延工程を経たTi−Ni系金属細線に、ダイヤモンドダイスにより80μmまで伸線加工を施した。このときの伸線速度は8m/分であり、ダイヤモンドダイスはダイス径270μmから200μmまで順次10μmピッチで配列し、200μmから80μmまでは実施例1と同様に順次5μmピッチで配列した。また、圧延後に600℃で30分間の焼きなまし熱処理を行い、230、200、175、150、130及び110μmにおいても600℃で15分間の焼きなまし熱処理を行った。そして、ダイス径80μmまで伸線加工を行った後に、実施例1と同様に最終熱処理を行い、引張試験を行った。引張試験により得られた平均強度と強度欠陥の個数を表1に示す。
【0014】実施例3実施例1と同様に作製した平均直径165μmの円形断面を有する均一なTi−Ni系金属細線(急冷凝固細線)100mを用いて、予備加工としてローラーによる圧延を行った後、伸線加工を行った。圧延工程におけるワイヤ走行速度は、15m/min、圧延後の細線断面の短軸寸法Tは107μm、長軸寸法Wは258μmでT/W=0.41であった。なお、ローラーは実施例1で用いたローラーと同じものを用いた。そして、この圧延工程を経たTi−Ni系金属細線に、ダイヤモンドダイスにより80μmまで伸線加工を施した。このときの伸線速度は8m/分であり、ダイヤモンドダイスはダイス径230μmから200μmまで順次10μmピッチで配列し、200μmから80μmまでは実施例1と同様に順次5μmピッチで配列した。また、圧延後に600℃で30分間の焼きなまし熱処理を行い、200、175、150、130及び110μmにおいても600℃で15分間の焼きなまし熱処理を行った。そして、ダイス径80μmまで伸線加工を行った後に、実施例1と同様に最終熱処理を行い、引張試験を行った。引張試験により得られた平均強度と強度欠陥の個数を表1に示す。
【0015】比較例1実施例1と同様に作製した平均直径165μmの円形断面を有する均一なTi−Ni系金属細線(急冷凝固細線)100mを用いて、予備加工としてローラーによる圧延を行った後、伸線加工を行った。圧延工程におけるワイヤ走行速度は、15m/min、圧延後の金属細線断面の短軸寸法Tは150μm、長軸寸法Wは200μmでT/W=0.75であった。なお、ローラーは実施例1で用いたローラーと同じものを用いた。そして、この圧延工程を経たTi−Ni系金属細線に、ダイヤモンドダイスにより80μmまで伸線加工を施した。このときの伸線速度は8m/分であり、ダイヤモンドダイスは、最初のダイス径が210μmで、200μmから80μmまでは実施例1と同様に順次5μmピッチで配列した。また、圧延後に600℃で30分間の焼きなまし熱処理を行い、175、150、130及び110μmにおいても600℃で15分間の焼きなまし熱処理を行った。比較例1では、伸線加工時に破断が2回発生した。ダイス径80μmまで伸線加工を行った後に、実施例1と同様に最終熱処理を行い、引張試験を行った。引張試験により得られた平均強度と強度欠陥の個数を表1に示す。
【0016】比較例2実施例1と同様に作製した平均直径165μmの円形断面を有する均一なTi−Ni系金属細線(急冷凝固細線)100mを用いて、予備加工としてローラーによる圧延を行った後、伸線加工を行った。圧延工程におけるワイヤ走行速度は、15m/min、圧延後の金属細線断面の短軸寸法Tは85μm、長軸寸法Wは340μmでT/W=0.25であった。なお、ローラーは実施例1で用いたローラーと同じものを用いた。そして、この圧延工程を経たTi−Ni系金属細線に、ダイヤモンドダイスにより80μmまで伸線加工を施した。このときの伸線速度は8m/分であり、ダイヤモンドダイスはダイス径350μmから200μmまで順次10μmピッチで配列し、200μmから80μmまでは実施例1と同様に順次5μmピッチで配列した。また、圧延後に600℃で30分間の焼きなまし熱処理を行い、290、240、200、175、150μm、130μm及び110μmにおいても600℃で15分間の焼きなまし熱処理を行った。そして、ダイス径80μmまで伸線加工を行った後に、実施例1と同様に最終熱処理を行い、引張試験を行った。引張試験により得られた平均強度と強度欠陥の個数を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】表1から明らかなように、本発明における圧延条件0.30≦T/W≦0.45で圧延した後、伸線加工を施した実施例1〜3においては、平均強度が175kg/mm2 以上で強度欠陥の数も0個であり、高強度で強度斑の非常に少ない高品質なTi−Ni系金属細線が得られた。これに対して、本発明における圧延条件0.30≦T/W≦0.45から外れた比較例1は、強度欠陥の数が12個存在しており、平均強度も170kg/mm2 と実施例1〜3に比べて低くなった。また、比較例2でも強度欠陥の数は21個存在しており、平均強度も150kg/mm2 とかなり低くなった。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、強度の低い部分の数を大幅に低減することができ、高強度で強度斑の非常に少ない高品質なTi−Ni系金属細線を安価に製造することが可能となる。また、釣り糸や衣料用芯材などに適した線材が得られ、幅広い応用が可能となる。




 

 


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