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発明の名称 ポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−278111
公開日 平成10年(1998)10月20日
出願番号 特願平9−90482
出願日 平成9年(1997)4月9日
代理人
発明者 古川 幹夫 / 山田 良尚 / 越後 良彰
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 焼成時の収縮量が0.05mm以上のポリイミド前駆体の無端状の成形体を被覆しようとする部分に嵌め、次いでこれを焼成することを特徴とするポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法。
【請求項2】 無端状の成形体が円筒又は円筒を含む形状を有することを特徴とする請求項1記載のポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法。
【請求項3】 円筒又は円筒を含む形状を有する無端状の成形体の円筒部の内側面を基材表面の被覆しようとする部分に嵌めることを特徴とする請求項2記載のポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法。
【請求項4】 基材が金属であることを特徴とする請求項1記載のポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】全芳香族系ポリイミド樹脂はその優れた耐熱性、耐摩擦、摩耗特性又は機械特性から、近年様々な産業分野においてその需要が増加してきたエンジニアリングプラスチックの一つである。特に、機械部品や構造部材等は合成樹脂の粉末を原料として粉末冶金法又は高温高熱プレスなどの成形法で所望の成形体とすることによって得られている。合成樹脂のうちでも、特にポリイミド樹脂はその優れた耐熱性、耐摩擦、摩耗特性から、摺動部材として有用であり、例えば、すべり軸受け、ピストン、ギア、ブレーキライニング等に応用されている。これらの応用の大部分は従来金属製であった部品の代替であり、無給油下でも金属の様に焼き付けを起こさないため、高い清浄度の要求されるOA機器や家電製品の部材としての応用が急速に伸張している。これらのポリイミド製部品はポリイミド粉末を直接所望の形状にプレス成形するか又はポリイミド成形体を所望の形状に切削加工することにより得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリイミド樹脂は金属に比べて未だ高価な素材であり、金属からポリイミドへの代替にあたってコストアップになることがポリイミド製部品の普及の障壁となっている。この問題を解決する手段としては、ポリイミド前駆体ワニスを従来から使用されている部品表面に塗布し、焼成することによりポリイミド樹脂で被覆された部品を得る方法が考えられる。
【0004】しかし、この方法の場合、ポリイミド樹脂の特性が要求される部位にのみ容易にポリイミド樹脂の被覆を行うことは可能であるが、通常、ポリイミド前駆体ワニスの塗布により得られる塗膜層はその膜厚が高々数百μm程度であるため耐久性が低く、摩耗による消失や剥離が発生し、使用に耐え難いものである。そこで、本発明の課題は、金属製などの部品においてポリイミド樹脂の特性を要求される部位に容易にポリイミド成形体の被覆を行う方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、粉末成形されたポリイミド前駆体の成形体を被覆しようとする部位に嵌め、これを焼成することによりポリイミド成形体が基材表面に強固に圧着することを見いだし、かかる知見に基づき本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は、焼成時の収縮量が0.05mm以上のポリイミド前駆体の無端状の成形体を被覆しようとする部分に嵌め、次いでこれを焼成することを特徴とするポリイミド成形体を基材表面に被覆する方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリイミド及びポリイミド前駆体は、閉環して下記式(1)で示される反復単位を有するホモポリマーもしくはコポリマーである。
【化1】

ここで、Rは少なくとも一つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、4価のうち2価づつは対をなして炭素6員環内の隣接する炭素原子に結合している。Rの具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0008】
【化2】

また、R’は1〜4個の炭素6員環を有する2価の芳香族残基を示す。R’の具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0009】
【化3】

本発明において、種々の特性、成形性等の点からこれらの内、閉環して下記式(2)の構造式に示されるポリイミドを形成するポリイミド前駆体が好ましい。
【0010】
【化4】

【0011】本発明において、ポリイミド前駆体とはイミド閉環率が30%以上のものを言う。イミド閉環率は成形体の特性に影響し、イミド閉環率が30%未満のポリイミド前駆体からなる成形体は閉環に伴う縮合水の発生量が多いことから、ボイドやクラックの発生を来したり、表面平滑性が失われるおそれがある。なお、ほぼ完全にイミド閉環したポリイミド成形体は焼成時の収縮力が少ないことから好ましくない。
【0012】本発明はポリイミド前駆体の焼成時の収縮力を利用するものであるが、これはイミド閉環率と相関があり、イミド閉環率が高い成形体ほどその焼成時の収縮量が減少する傾向にあり、それに伴って収縮による圧着力が低下する傾向がある。したがって、本発明に用いられるポリイミド前駆体はイミド閉環率が30〜60%であるものが特に好ましい。
【0013】ここで、イミド閉環率は、閉環して式(2)で表されるポリイミドとなるポリイミド前駆体の場合を例示すると、赤外吸収スペクトルの604cm-1と882cm-1に基づく吸収を測定することにより、次式を使用して計算することができる。
イミド閉環率=(a/a, )×100(%)
ただし、a、a, は次式で表され、aは被験体の吸光度比であり、a, は閉環率100%のものの吸光度比である。
a/a, =604cm-1の吸収/882cm-1の吸収【0014】上記特性を有するポリイミド前駆体の成形体は、従来行われているようにポリイミド前駆体粉体を粉末プレス成形することによって得られる。粉末プレス成形は粉末成形専用の粉末プレス機を用いて行うのが最も簡便であり生産性も優れる。通常、プレス機に付属の粉末供給機で金型に充填されたポリイミド前駆体粉体を常温(室温)で成形圧500〜7000kgf/cm2 で0.5〜10秒間加圧することによりポリイミド前駆体成形体が得られる。また、本発明者らが先に提案した特願平7−340702号のポリイミド前駆体の成形体を用いても良い。
【0015】ポリイミド前駆体粉体は公知の製造法によって得られたものが使用できるが、特に、本発明者等が先に提案した特開平5−271539号、特願平5−202763号又は特願平5−202764号に記載された方法で得られたポリイミド前駆体の粉粒体を用いることが好ましい。すなわち、ポリイミド前駆体に対して貧溶媒であるテトラヒドロフラン、アセトニトリル又はアセトンなどを溶媒とする懸濁重合法によって得られた粉体、あるいはこの粉体を適宜熱処理し、部分イミド閉環したものが好ましい。
【0016】また、本発明のポリイミド前駆体の成形体に特定の効果を発現する目的で種々のフィラー又は潤滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で添加することもできる。この場合、ポリイミド前駆体粉体にフィラーを予め添加しておき、これを成形する。代表的なフィラーとしては、グラファイト、シリカ、マイカ、ポリフルオロエチレン樹脂、二硫化モリブデン、ガラス等が挙げられる。
【0017】本発明はポリイミド前駆体の成形体が焼成によってイミド閉環し、ポリイミド成形体に変換するときに発生する収縮力を利用して基材表面にポリイミド成形体を被覆する方法であるので、被覆し得るポリイミド成形体の形状は無端状のものである。本発明の効果が好適に発揮されるのは、円柱又は円筒形基材の外周表面への被覆であり、したがって、被覆しようとするポリイミド前駆体の被覆面は少なくとも円筒内側面を含む形状であることが好ましい。
【0018】被覆しようとするポリイミド前駆体の成形体の被覆面は基材の被覆部位にぴったりと嵌合するように設定するのが好ましい。成形体を嵌めたときに、基材とポリイミド前駆体との間に部分的に空隙があると、焼成により収縮しても空隙が残存し、密着性が低下するため好ましくない。また、ポリイミド前駆体の成形体を基材の被覆部位に嵌めたときの空隙が焼成時におけるポリイミド前駆体成形体の収縮量以上であると、収縮力が基材に及ばず、ポリイミド成形体が基材表面に強固に被覆されないことがある。
【0019】ポリイミド前駆体の成形体の焼成におけるイミド閉環による収縮量は、例えば、イミド閉環率、ポリイミド前駆体の成形体の形状や添加するフィラー等により変化する。本発明の効果を発現するためには、自由焼成したときの収縮量が0.05mm以上であるポリイミド前駆体成形体を用いることが好ましい。自由焼成による収縮量が0.05mm未満であるポリイミド前駆体の成形体を用いると、ポリイミド成形体が基材表面に十分強固に被覆されないので、好ましくない。ここで、自由焼成とは、ポリイミド前駆体成形体を基材に固定することなく、無負荷の状態で焼成することをいう。
【0020】基材は、本発明においてはポリイミド前駆体の成形体を基材に嵌めた基材とともに焼成するものであることから、焼成温度によって劣化、変形しない素材からなるものが選ばれる。そのような素材からなる基材であればいかなるものでもよいが、上記理由より例えば、鋼鉄製、タングステン鋼製やその他合金製等の金属を素材とする基材を用いることが好ましい。
【0021】焼成は、イミド閉環の縮合水の発生を伴うことから、比較的低温から連続的に最終温度まで昇温して行うことが好ましい。急激な温度変化を伴う焼成条件は急激な収縮力を招き、それに伴いクラックの発生などの可能性があるため避けるべきである。昇温速度は、成形体の形状、大きさなどによるが、一般的に60℃/時間以下である。最終温度は従来のポリイミドの焼成で適用される温度で良く、通常300〜400℃である。また、本発明によって得られる被覆したポリイミド成形体は、必要に応じて切削加工もしくは研削加工により所望の形状に加工することもできる。
【0022】次に、本発明を図面に基づいて説明する。図1は本発明の方法の一例を示すものであって、円柱の基材1の外周に円筒状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めたものである。図2、図3及び図4は本発明の方法の他の例を示すものであって、図2に示す円柱状の基材1の外周に設けられた溝3にリング状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めたものであって、焼成後は図3及び図4に示すように基材1の溝3にリング状のポリイミド成形体4が被覆される。図5はさらに他の例を示すものであって、四角柱の基材1の外表面に四角の枠状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めたものである。図6はさらに別の例を示すものであって、凸部を有する円柱の基材1の外周に基材の外形と同じ形状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めたものである。
【0023】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明する。実施例中、特に明記しない限り、ポリイミド前駆体成形体は、イミド閉環率40〜50%、平均粒径50〜250μmのポリイミド前駆体粉体を粉末プレス機を用いて成形圧5tf/cm2 で室温プレスしたものを用いた。なお、ポリイミド前駆体粉体は下記参考例に従って製造したものを用いた。また、基材は炭素鋼(S45C)の表面に硬質クロムメッキを施したものを用いた。
【0024】参考例(ポリイミド前駆体粉体の製造方法)16.45kgのピロメリット酸二無水物を300kgのアセトンに溶解した溶液に、450kgのアセトンに溶解した15.00kgの4,4, −ジアミノジフェニルエーテル溶液を連続的に添加、撹拌し、ポリイミド前駆体の分散した液を得た。反応中、溶液は20℃に保たれた。この分散液を濾取し、アセトンで洗浄して湿粉体を得た。これを減圧下に加熱乾燥してポリイミド前駆体粉体を得た。
【0025】実施例1図1に示すように被覆しようとする直径10mm、高さ10mmの円柱の基材1の外周に、自由収縮したときの内径の収縮量が0.24mmの円筒状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めた。次いで、これを120℃から300℃まで5℃/時間で連続昇温し、続けて300℃で3時間焼成を行った。その結果、ポリイミド成形体が基材表面に強固に圧着した被覆物を得た。
【0026】実施例2図2に示すように円柱状の基材1の外周に設けられた幅3mm、深さ0.2mmの溝3と嵌合するように、自由焼成したときの内径の収縮量が0.6mmのリング状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌め、これを実施例1同様に焼成した。その結果、図3及び図4に示すように溝部3にポリイミド成形体4が強固に圧着した被覆物を得た。
【0027】実施例3図5に示すように、辺の長さがそれぞれ20mm、高さが40mmの寸法を有する四角柱の基材1の外表面に、自由焼成したときの内周の収縮量が0.42mmの四角の枠状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌め、これを実施例1同様に焼成した。その結果、ポリイミド成形体が基材表面に強固に圧着した被覆物を得た。
【0028】実施例4図6に示すように、円柱部の直径が10mmであって凸部を有する円柱の基材1の外周に、自由焼成したときの内径の収縮量が0.24mmであって基材1の外形と同じ形状のポリイミド前駆体の成形体2を嵌めた。次いで、これを実施例1同様に焼成した。その結果、ポリイミド成形体が基材に強固に圧着した被覆物を得た。
【0029】実施例5ポリイミド前駆体の成形体としてグラファイトを40重量%を配合したポリイミド前駆体の成形体を用いた以外は実施例1と同様にして、嵌め込み及び焼成を行ったところ、ポリイミド成形体が基材1に強固に圧着した被覆物を得た。なお、本実施例で用いたポリイミド前駆体の成形体を自由焼成したところ、内径の収縮量は0.1mmであった。
【0030】比較例1実施例1のポリイミド前駆体の成形体の代わりにほぼ完全にイミド閉環したポリイミド粉体を成形して得られたポリイミド成形体を用いた以外は実施例1と同様にして、嵌め込み及び焼成を行ったところ、得られた被覆物はポリイミド成形体が基材に強固に圧着しておらず、基材から容易に外れた。なお、ここで用いたポリイミド成形体を自由焼成したところ、内径の収縮量は0.02mmであった。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかように、本発明によれば、被覆しようとするポリイミドとしてポリイミド前駆体の無端状の成形体を用いるので、焼成によるポリイミド前駆体の収縮力によってポリイミド成形体を基材表面に強固に被覆することができる。




 

 


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