米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> ユニチカ株式会社

発明の名称 フェノール樹脂高流動成形体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−278079
公開日 平成10年(1998)10月20日
出願番号 特願平9−90483
出願日 平成9年(1997)4月9日
代理人
発明者 坂口 知三 / 村上 武義 / 永田 信夫 / 山尾 睦矩 / 伊吹 洋
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 粒径が50μm以上で、ディスクキュアー法で測定した熱流動性が60〜180mmである粒状フェノール樹脂の表層に、融点が30〜160℃の低表面張力物質が対フェノール樹脂組成比0.1〜5重量%被覆されてなるフェノール樹脂成形材料を射出成形するに際し、溶融樹脂の金型内への充填速度を5〜30cm3 /sec、型締め圧力を70〜90kgf/cm2 にして射出成形することを特徴とするフェノール樹脂高流動成形体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール樹脂高流動成形体の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、射出成形によるフェノール樹脂高流動成形体の製造方法に関するものであある。
【0002】
【従来の技術】フェノール樹脂は安価で耐熱性、剛性率、硬度、電気絶縁性、耐薬品性等の諸特性が優れた樹脂として、従来、電気材料等の各種製品に多用されているが、大部分の製品は、液状の原料を用い、これに紙、布、ガラス繊維、無機フィラー等の補強材、充填材を配合して成形した複合熱硬化性樹脂成形体であった。この成形体は、安価ではあるが、未反応のフェノールを多く含み、気泡の混入が避けられず、したがって特性的にも高度なものは望めないので、高性能製品には利用され得なかった。
【0003】常温にて固体(粉粒体)の熱流動性を有する高純度フェノール樹脂成形材料(熱流動性粒状成形材料)を用いると、フェノール樹脂の成形法として最も一般的に用いられてきた圧縮成形法以外にもトランスファー成形法、射出成形法あるいは押出成形法にて成形可能である。ここで、熱流動性粒状成形材料を用いてトランスファー成形法、射出成形法あるいは押出成形法にて成形する方法を高流動成形といい、得られる成形体を高流動成形体という。
【0004】このような高流動成形可能な熱流動性粒状成形材料であっても、通常、特公平1−38816号公報に記載のように、ガラス繊維のような補強材及びステアリン酸亜鉛のような金属含有有機滑剤を含むものでないと満足な成形ができない現状にあり、すなわち、かかる成形材料からガラス繊維や金属含有有機滑剤を除いたフェノール樹脂成形材料を高流動成形すると成形機のシリンダー内で、成形材料のスムーズな流動性が損なわれ、安定してかつ高精度に成形することが困難であった。
【0005】また、フェノール樹脂成形体を磁気ディスク基板等として用いる場合には上記のような補強材等を含まず、不純物ができるだけ少ないフェノール樹脂成形体が要求される。そこで、本発明者らは先に特願平8−264031号においてガラス繊維や金属含有有機滑剤を含まないフェノール樹脂成形材料を用い、フェノール樹脂高流動成形体を生産性良く得ることができる方法を提案した。しかし、この方法では欠陥となる気泡の発生率が高く、その気泡のサイズも大きいものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本発明の課題は、射出成形によって硬化度が均一でしかも気泡等が少ない均一なフェノール樹脂高流動成形体を生産性良く得ることができるフェノール樹脂高流動成形体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のフェノール樹脂の表層を低表面張力物質で被覆したフェノール樹脂成形材料を後述する特定の条件で射出成形すると、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、粒径が50μm以上で、ディスクキュアー法で測定した熱流動性が60〜180mmである粒状フェノール樹脂の表層に、融点が30〜160℃の低表面張力物質が対フェノール樹脂組成比0.1〜5重量%被覆されてなるフェノール樹脂成形材料を射出成形するに際し、溶融樹脂の金型内への充填速度を5〜30cm3 /sec、型締め圧力を70〜90kgf/cm2 にして射出成形することを特徴とするフェノール樹脂高流動成形体の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、後述する粒状フェノール樹脂の表層を低表面張力物質を被覆してなるフェノール樹脂成形材料を用いる。粒状フェノール樹脂としては、粒径が50μm以上、好ましくは100μm以上で、ディスクキュアー法で測定した熱流動性が60〜180mm、好ましくは90〜160mmであるフェノール樹脂を用いる。ここで、粒径とは、粒体の平均最大径(外接球直径)を表す。粒径が50μm未満の場合は、成形機への供給が安定して行えないことがある。粒径の上限には特に制限はないが、実用的な粒径としては100〜4000μmが適当である。粒体形状は球形、円筒形、立方体形等いずれでも良く、粒径が小さい場合は球形の方が成形中の輸送性に優れている。
【0010】本発明における熱流動性とは常温にては固体であるが、加熱状態にて負荷をかけたときに流動性を示す特性をいう。しかし、フェノール樹脂は通常の熱可塑性の樹脂の場合とは異なって自己硬化性を有するので、ある程度以上の時間流動性を示す温度にて加熱を続けると分子内及び/又は分子間での縮合が始まって架橋して硬化する性質をもっている。そこで、熱流動性を表す尺度として、後記するJIS規格(ディスクキュアー法)で測定した160℃における所定荷重下の試料樹脂円板の流れ(直径の伸び;mm)で表す。この熱流動性が60mm未満の樹脂は成形性が低下する傾向があり、他方、180mmを越える樹脂は硬化反応に必要な時間が長くなるため生産性が低下し、しかも、硬化反応によって生成する水分等が成形品内へ閉じ込められるため、欠陥製品となるおそれがある。
【0011】粒状フェノール樹脂の製造法はなんら限定されないが、例えば特開平4−159320号公報に記載されている方法のように、ノボラック樹脂をヘキサメチレンテトラミンのようなアルカリ触媒兼メチレン架橋剤及び懸濁安定剤の存在下、水媒体中で懸濁重合を行う方法(自己硬化型変性ノボラック樹脂法)、フェノール及びホルムアルデヒドを塩基性触媒及び懸濁安定剤の存在下、水性媒体中にて懸濁重合を行う方法等の重合法(固形レゾール樹脂法)が好適に採用することができる。これらの方法によれば、極めて高純度で真球状に近い球状微粒体が得られる。粒径の大きな成形原料を得るには、上記微粒体を造粒して所定の粒度の原料を調製する方法が有効である。
【0012】低表面張力物質は、融点が30℃〜160℃、好ましくは40℃〜80℃で、常温にて固体状の低融点化合物で、かつ潤滑性、離型性、非付着性等の低表面張力物質(例えば常温〔25℃〕で臨界表面張力が約35ダイン/cm以下の物質)に特有の特性を有する化合物であって、特に金属塩類のような金属元素を含まないものを用いる。融点が30℃未満では成形時に計量不良が起こる傾向にあり、160℃を超えると成形機のシリンダー内で潤滑性が乏しく、安定した成形性が得られない傾向にある。
【0013】代表的な例としては、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ラウリン酸モノグリセライド、エチルステアレート、ステアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等の高級脂肪酸エステル;トリラウリン、トリステアリン、硬化ひまし油等の固形油脂類;ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド;セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール;ステアリルメタクリレート、ステアリルアクリレート等の高級脂肪族(メタ)アクリレート;パラフィンワックス等のワックス状炭化水素;パーフルオロオクタン酸、9H−ヘキサデカフルオロノナノン酸等の含多価フッ素高級脂肪酸;N−エチルパーフルオロオクチルスルホンアミド等の含多価フッ素高級脂肪族スルホンアミド;2−(パーフルオロオクチル)沃化エチル、2−(パーフルオロデシル)沃化エチル等の含多価フッ素高級脂肪族沃化物;1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール等の含多価フッ素高級脂肪族アルコール;2−(パーフルオロデシル)メチルメタクリレート、1H,1H,11H−アイコサフルオロウンデシルアクリレート等の含多価フッ素高級脂肪族(メタ)アクリレート;パーフルオロドデカン等の含多価フッ素高級脂肪族炭化水素;2−(P−オキシ安息香酸メチル・ヘキサフルオロプロペン3量体付加物等の含多価フッ素脂肪族芳香族化合物、ペンタフルオロベンズアミド等の含多価フッ素芳香族炭化水素;TFEワックス(テトラフルオロエチレンテロマー)、CTFEテロマー(クロロトリフルオロエチレンテロマー)等の含多価フッ素オリゴマー化合物等、あるいはこれらの誘導体、これらの一種以上よりなる混合物並びにこれらに重合触媒等の添加物を配合した組成物等の低表面張力物質が挙げられる。
【0014】上記粒状フェノール樹脂の粒体表面に上記低表面張力物質をフェノール樹脂に対して0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%配合する。低表面張力物質の配合量がフェノール樹脂に対して0.1重量%未満では、成形の際に、成形機のシリンダー内で閉塞が起こり連続して成形を行うことが困難になることがあり、他方、5重量%を越えると成形性の向上効果が頭打ちとなり、また透明な成形品が得にくいことがある。
【0015】粒状フェノール樹脂に対する低表面張力物質の被覆は、各粒子間にてできるだけ均一に分布し、しかも膜厚が均等であるように施されているものが好ましい。被覆法としては、前記粒状フェノール樹脂と低表面張力物質を、加熱装置付ブレンダーにて、低表面張力物質の融点以上粒状フェノール樹脂の軟化点以下の温度域内の所定温度にて加熱しつつ混和・攪拌する方法、両原料を上記温度下に流動床攪拌する方法、粒状フェノール樹脂に対して溶解性を示さず低表面張力物質に対して良溶解性を示す溶媒によって低表面張力物質を溶解し、この溶液に粒状フェノール樹脂を混和しつ溶媒を留去・乾燥する方法等が推奨される。
【0016】この際、後記するように、フェノール樹脂成形材料は、少なくとも成形時には水分含有量が1重量%以下に制御されていることが好ましい。通常、重合後の原料フェノール樹脂は、数重量%以上の水分を含有するので、使用に先立っては、上記限度内に水分が低減するように乾燥しておき、上記被覆を施すのが有効である。この際の乾燥法としては、粒状フェノール樹脂を真空中又は乾燥空気循環下に60〜120℃の温度に加熱して行う方法が推奨される。本方法において、低表面張力物質によるフェノール樹脂の被覆とフェノール樹脂の乾燥とを併せて行うのも効率的である。
【0017】このように調製されたフェノール樹脂成形材料は被覆膜が撥水性で低透湿性の低表面張力物質よりなるため、そのままでも長期間設定水分含有量以下に維持することができるが、工業的には品質管理上、成形直前まで密封容器あるいは密封包装に収納して保管するのが好ましい。もちろん、上記のように粒状フェノール樹脂を乾燥せずそのまま被覆処理したフェノール樹脂成形材料であっても、成形直前に乾燥を充分に行い、吸湿しない条件下に成形すれば、上記と同様の成形体となすことができる。
【0018】この際、前記したようにフェノール樹脂成形材料として水分含有量が1重量%以下にすることが好ましく、0.5重量%以下にすることがより好ましい。水分含有量が1重量%を越えると、成形の際に成形体中に気孔が残り、また成形条件によっては加水分解等の劣化現象が派生することもある。
【0019】フェノール樹脂成形材料には、同一種類の樹脂の硬化物を含むことができる。この樹脂硬化物を含む成形材料は、焼成により均一な炭素材料を与える。さらに、フェノール樹脂成形材料を用いて、後述の成形条件にて射出成形を行うと、気泡及び過硬化物を殆ど含まないフェノール樹脂成形体が得られる。
【0020】射出成形するに当たって、溶融樹脂の金型内への充填速度を5〜30cm3 /sec、型締め圧力を70〜90kgf/cm2 にして成形する。
【0021】溶融樹脂の金型内への充填速度が5cm3 /sec未満の場合には、金型内での樹脂の流れが遅いため、外周部に気泡が生じやすい。30cm3 /secより速い場合には、溶融樹脂がノズル部での摩擦熱により発泡したり、あるいは、空気を樹脂板内に巻き込むことにより気泡が発生することがある。充填速度のより好ましい範囲は15〜25cm3 /secである。
【0022】型締め圧力が70kgf/cm2 未満の場合には、型締め圧力不足で気泡が発生することがある。90kgf/cm2 より高い場合には、高い充填圧力が必要となり溶融樹脂がシリンダー内を逆流することにより気泡が発生することがある。また、寸法不良及び製品の応力歪みが大きい等の問題も生ずるおそれがある。型締め圧力のより好ましい範囲は75〜85kgf/cm2 である。
【0023】本発明によって得られる成形体は、そのままでも多様な用途に使用できるが、成形後120〜240℃の温度域内の所定温度でキュアリングすると、架橋がさらに進行し、硬化度の高い各種製品が得られる。
【0024】しかし、本発明においては、フェノール樹脂高流動成形材料を用い、溶融樹脂の金型内への充填速度を5〜30cm3 /sec、型締め圧力を70〜90kgf/cm2 にして射出成形することにより、均一で欠陥の少ないフェノール樹脂高流動成形体を大量生産することが可能となる。また、本発明によって得られた成形体を所定温度でキュアリングすることにより、硬化度の高い各種製品が得られ、さらに、補強材及び金属含有有機滑剤を含んでいないため、真空中又は不活性ガス雰囲気中で高温焼成することにより、高純度のアモルファスカーボン(グラッシーカーボン)、高純度グラファイト等の炭素材料となり、磁気ディスク基板、るつぼ容器等の多様な用途に用いることができる。
【0025】
【実施例】次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されない。
【0026】参考例ノボラック樹脂(三井東圧化学(株)製#600)150重量部を160℃で溶融して、完全けん化ポリビニルアルコール(重合度約2000)1重量部を溶解した90℃の熱水(220重量部)中へ攪拌しながら投入して分散し懸濁系を形成し、続いてヘキサミン24重量部を40重量部の温水に溶解して添加し、さらに同温度にて20分間攪拌を続けて懸濁重合を行い、反応を終了、懸濁体を固液分離し、乾燥して粒状フェノール樹脂成形材料を得た。このフェノール樹脂成形材料の特性を表1に示す。
【0027】ただし、表1に示すこれらの特性は次の方法で測定した。熱流動性(HPF)は、JIS−K−6911(1979)5.3.2〔成形材料(円板式)〕の方法に基づき、試料2gを160℃で1分間1145kgの荷重下で熱プレスし、形成される円板の直径(最長径と最短径の平均値)から求めた。平均粒径は、試料をガラスプレート上に展開して顕微鏡写真を撮り、任意に選んだ100個の粒径を測定して、その平均値で示した。水分は、赤外線ヒーターを用い、試料10gを80℃で30分間加熱しその重量減少から求めた。
【0028】
【表1】

【0029】実施例1〜12参考例で製造した表1に示す特性を有するフェノール樹脂成形材料を用い、M150BL−TS型射出成形機(株式会社名機製作所製)を用いて、表2に示す条件で、直径260mm、厚さ5.2mm、目付350gの円板を成形し、この成形品について、次に述べる方法で気泡発生率を計算した結果を表2に示す。
気泡発生率:(直径100μm以上の気泡が発生した成形品の数÷ショット数)×100【0030】
【表2】

【0031】比較例1〜9参考例で製造した表1に示す特性を有するフェノール樹脂成形材料を用い、M150BL−TS型射出成形機(株式会社名機製作所製)を用いて、表3に示す条件で、直径260mm、厚さ5.2mm、目付350gの円板を成形し、この成形品について、前記のようにして気泡発生率を計算した結果を表3に示す。
【0032】
【表3】

【0033】本実施例で得られた成形体は、いずれも不活性ガス中で1600℃で焼成すると、高純度のアモルファスカーボン材料となることが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、過硬化物等の欠陥を殆ど含まず、硬化度が均一であって、しかも気泡等を含むことなく均一なフェノール樹脂高流動成形体を生産性良く得ることができ、大量生産が可能である。また、本発明の方法によって得られるフェノール樹脂高流動成形体は、気泡発生率が低く、安価で耐熱性、剛性率、硬度、電気絶縁性、耐薬品性等の諸特性が優れ、光学部品、容器、ウインドー材等の製品として多様な用途に好適に使用することができる。さらに、本発明の方法によって得られるフェノール樹脂高流動成形体は、真空または不活性雰囲気中で高温焼成することにより高純度の炭素材料とすることができ、この炭素材料は磁気ディスク基板、坩堝容器等の多様な用途に用いることができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013