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発明の名称 二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−230540
公開日 平成10年(1998)9月2日
出願番号 特願平9−37372
出願日 平成9年(1997)2月21日
代理人
発明者 川口 和浩 / 川北 俊一 / 岸田 稔
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 ナイロン6(N6)/ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)=80/20〜95/5(重量比)からなる組成物 100重量部に対して、脂肪酸アミド系滑剤を 0.05 〜 0.5重量部配合した組成物を原料として用い、ダイスよりシート状に溶融押出した後、縦及び横方向に延伸して二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する方法において、ダイス先端(ダイリップ)における溶融樹脂のせん断速度を102 〜103sec-1の範囲の条件で押し出すことを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
【請求項2】 N6の相対粘度が 2.5〜 4.0、MXD6の相対粘度が 2.0〜3.0 である請求項1記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた透明性、実用強度、寸法安定性を有し、長手方向に引裂いた際の直進性に優れた食品、医薬品、雑貨等の包装材料として好適な二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、雑貨等の包装には、各種のプラスチックフィルム製包装袋が多量に使用されており、通常、二軸延伸されたプラスチックフィルムとヒートシール可能な無配向フィルムとをラミネートしたものが多く用いられている。
【0003】特に、二軸延伸ポリアミドフィルムはガスバリヤー性が優れるため、食品などを長期間保存する上で好適な包装材料である。包装袋に要求される特性としては、強度と、開封するときの易引裂性の一見相反すると思われる2つの特性を兼備していることが要求される。従来、易引裂性を満たすためには、ミシン目、ティアテープ、あるいはノッチを付したりするという工夫がなされている。しかし、このような従来の方法では、新たに加工工程を追加することが必要であり、また、フィルムの強度が低下するという問題がある。また、一軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートする方法があるが、引き裂くために大きな力を要したり、あるいは、包装袋を直線的に引き裂けないというトラブルがしばしば発生する。このような場合、開封と同時に内容物が飛散すると、内容物が無駄になったり、また、衣服や調度品を汚したり、あるいは、内容物が熱い場合、火傷の原因になったりするというトラブルが生じる。
【0004】ポリアミド樹脂の改質により、易引裂性を付与する方法として、N6/MXD6=85〜40/15〜60(重量比)からなる混合ポリアミド組成物を溶融押出し、インフレーション法を用いて、長手方向(MD)、巾方向(TD)共に 2.8倍以上に延伸した易引裂性フィルム、およびこの易引裂性フィルムが複数層の一層として形成されたラミネートフィルムが提案されている(特開平5−220837号公報、特開平5−200958公報)。
【0005】また、N6/MXD6=80〜95/20〜5(重量比)の混合物からなり、MXD6の分散粒子の形状を特定の形状に分散させた引裂直進性を有する二軸延伸ポリアミドフィルムが提案されている(特開平7−113015号公報)。
【0006】しかしながら、上記のような従来のフィルムにおいては、易引裂性を付与できたとしても、製膜安定性に問題があったり、フィルムの厚み斑が大きくなり商品価値が低下したり、あるいは引裂直進性が不十分な場合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題点を解決しようとするものであり、ポリアミドフィルムの強靭性と優れた透明性と厚み均一性を有し、かつ、フィルムの長手方向に引き裂いた際の直進性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを安定して生産することができる方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の製造方法を用いることにより、引裂直進性を有し、かつ、厚み斑の少ないポリアミドフィルムを安定して生産することができることを見い出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち本発明の要旨は、ナイロン6(N6)/ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)=80/20〜95/5(重量比)からなる組成物 100重量部に対して、脂肪酸アミド系滑剤を 0.05 〜 0.5重量部配合した組成物を原料として用い、ダイスよりシート状に溶融押出した後、縦及び横方向に延伸して得られた二軸延伸ポリアミドフィルムにおいて、ダイス先端(ダイリップ)における溶融樹脂のせん断速度を102 〜103sec-1の範囲の条件で押し出すことを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるポリアミドは、N6とMXD6の混合物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリアミドや、ポリアミド樹脂に通常用いられる各種の無機及び有機系の添加剤を配合してもよい。無機系添加剤としてはタルク、シリカ、アルミナ、マグネシア、炭酸カルシウムなどの滑剤やハロゲン化銅などの酸化防止剤が挙げられ、有機系添加剤としてはε−カプラミド二量体、グラファイトなどの結晶核剤、芳香族アミン、ヒンダードフェノールなどの酸化防止剤、変性ポリオレフィンなどのフィルム改質剤が例示される。
【0011】また、N6の相対粘度は 2.5〜 4.0、好ましくは、2.9 〜3.3 である。相対粘度が 2.5未満の場合にはMXD6の分散粒子径が大きくなり、フィルムの引裂直進性が低下し、また、相対粘度が 4.0より大きいとフィルムの押出製膜性が低下するため好ましくない。
【0012】本発明におけるMXD6としては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、パラキシリレンアジパミド成分を5%以下(重量%)程度含有したものでもよい。
【0013】また、MXD6の相対粘度は 2.0〜3.0 、好ましくは 2.3〜2.5 である。相対粘度が 2.0未満の場合、N6中でのMXD6の分散粒子の生成が阻害され、得られるフィルムの引裂直進性が低下する。また、相対粘度が3.0 より大きいと、MXD6の分散粒子径が大きくなり、引裂直進性が低下する。
【0014】本発明におけるN6とMXD6の重量比は、N6/MXD6=80/20〜95/5(重量比)である。MXD6が20重量%より多い場合、フィルムの厚み変動等の操業的な問題が発生しやすく、また、MXD6が5重量%より少ない場合は引裂直進性が得られないため好ましくない。
【0015】本発明において用いられる脂肪酸アミド系滑剤としては、飽和脂肪酸のアミド化合物が好適であり、特に、メチルステアリルアミド、エチルステアリルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドなどのステアリン酸化合物が好ましい。
【0016】本発明において脂肪酸アミド系滑剤の添加量は、N6とMXD6の混合物 100重量部に対して、 0.05 〜 0.5重量部である。脂肪酸アミドの添加量が 0.05 重量部未満の場合、引裂直進性に対する改善効果が小さく、また、 0.5重量部より多いと、得られるフィルムの強度が低下するため好ましくない。
【0017】本発明においては、溶融樹脂のダイリップにおけるせん断速度を102 〜103sec-1とすることが必要である。本発明におけるフィルムにおいては、MXD6がN6中に島状に微分散し、製膜中の剪断によりMXD6が流れ方向に棒状に配列すること(分散粒子の異方性)によってフィルムの長手方向の引裂直進性が発現する。ダイリップにおけるせん断速度が102sec-1未満の場合には、上記の分散粒子の異方性が小さくなり、フィルムの長手方向の引裂直進性が低下する。また、せん断速度が103sec-1より大きいと、MXD6の分散粒子径が小さくなりすぎたり、N6との反応により相均一化が起こり引裂直進性が発現しなくなる。
【0018】ダイリップ及びダイスの形状については特に制限はなく、T型、コートハンガー型、リング型等を用いることができる。
【0019】次に、本発明のフィルムの製造方法の実施態様としては、まず、N6/MXD6を、80/20〜95/5(重量比)の割合で混合したものを押出機に供給し、加熱溶融させた後、Tダイからシート状に押出吐出し、回転するキャストロール上で急冷する。次に、得られた未延伸シートを二軸延伸して二軸配向フィルムとするが、二軸延伸の方法としては、テンター式同時二軸延伸法、ロール・テンター式逐次二軸延伸法などが用いられる。
【0020】たとえば、温度220 〜260 ℃で、N6、MXD6及び脂肪酸アミド系滑剤の混合物を押出機より、せん断速度102 〜103sec-1の条件下でT型ダイスより溶融押出する。次に、テンター式同時二軸延伸法を用いる場合には、まず、シートの水分率を1〜6重量%に調整した後、同時二軸延伸機に送り込み、延伸温度 160〜190 ℃、縦及び横方向の延伸倍率をそれぞれ 2.8〜 3.8倍程度として同時二軸延伸する。
【0021】次に、二軸延伸されたフィルムを引き続き熱処理して二軸配向を固定する。この熱処理条件としては、温度 190〜220 ℃、時間3〜10秒、巾方向の弛緩率0〜10%の範囲が望ましい。
【0022】延伸フィルムの厚みは、包装材料として求められる強度を備えておればよく、特に限定されないが、通常10〜50μm 程度である。
【0023】本発明における二軸延伸ポリアミドフィルムは、他のフィルム、紙、布、金属等をラミネートして用いることができ、また、アルミナ、シリカなどを蒸着することもできる。
【0024】
【作用】本発明の方法により得られる二軸延伸ポリアミドフィルムが優れた引裂直進性を有する理由は、押出時のダイスにおけるせん断速度をコントロールし、また、第三成分として脂肪酸アミド系滑剤を添加することによって、MXD6の分散粒子のMD方向への規則正しい配列状態と、N6とMXD6の適度な相溶性が得られるためと推察される。
【0025】
【実施例】次に、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。フィルム特性の測定及び評価方法は、次の通りである。
【0026】(1)ポリアミドの相対粘度〔η〕;96%硫酸 100ml中に試料1gを溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計を用い、25℃の条件下で測定した。
(2)ダイリップにおけるせん断速度ダイリップにおけるせん断速度γ(sec -1)は、総押出量Q(cm3/sec -1)、ダイリップのランド巾W(cm)、ダイリップ間隔T(cm)より、次式より求めた。
γ=6Q/(W・T2
(3)引張強度ASTM−D882の測定法に準じて、幅10mm、試料長 100mmの試料を用いて測定を行った。
(4)フィルムの厚み変動放射線式フィルム厚み測定器をフィルム幅方向に走査することにより、延伸フィルムの厚みをライン走行中にリアルオンタイムで測定した。100mの走行あたり、測定器をフィルム幅方向に5往復させ、厚みの平均値Da 、最大値Dmax 及び最小値Dmin から、次式により厚み変動率P(%)を計算した。
P=〔(Dmax −Dmin )/Da〕×100Pの値が7%未満のものを○(厚みはほとんど変動しておらず、均一である)、7%以上のものを×(厚みが変動しており、均一でない)として評価した。
(5)長手方向の引裂直進性延伸フィルムのTD方向に所定間隔(Ws:20mm)で切れ目を入れ、これらの切れ目に沿ってフィルムをMD方向に 200mm引き裂いた時、切れ目を入れていない他端のズレ幅We(mm)を測定し、次式より引裂きにおけるズレ率α(%)を計算した。
α=(We/Ws)× 100この測定を10回繰り返し、αの平均値が±10%未満のものを◎(引裂直進性が非常に良好)、±10%≦α≦±30%のものを○(引裂直進性が良好)、αが±30%を超えるものを×(引裂直進性が不良)として評価した。
【0027】実施例1N6(ユニチカ社製、商品名:A1030BRF、相対粘度 3.10 )及びMXD6(三菱瓦斯化学社製、商品名:MXナイロン6007、相対粘度2.40)を80:20の重量比で混合したポリアミド組成物 100重量部に、エチレンビスステアリルアミド(第一工業製薬社製)0.1 重量部を混合した組成物を、コートハンガーTダイを備えた 200mmφの押出機を使用して、樹脂温度 260℃、ダイリップにおける溶融樹脂のせん断速度 250sec -1の条件で押し出し、表面温度15℃に温調された回転するキャストロールに密着急冷し、厚み約 150μm の未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムに60℃で1分間の含水処理を施し、テンター式同時二軸延伸機のクリップに把持させ、延伸温度185 ℃の条件下で縦及び横方向に 3×3.3倍に延伸した後、205 ℃で4秒間の熱処理を施して室温まで徐冷し、厚み約15μm の延伸フィルムを得た。熱処理の際、巾方向に5%の弛緩熱処理を施した。得られた延伸フィルムの引張強度、厚み均一性及び長手方向の引裂直進性を測定した結果は表1に示したとおりであり、優れた厚み均一性と良好な長手方向の引裂直進性を有していた。
【0028】実施例2〜4原料として用いた各成分の配合割合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法により延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの各物性の評価結果を表1に示した。
【0029】実施例5〜6原料として用いたN6及びMXD6の相対粘度を表1の様に変化させた以外は、実施例1と同様の方法により延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの各物性の評価結果を表1に示した。
【0030】実施例7〜9ダイリップの間隔を調整して、ダイリップにおけるせん断速度を表1に示した値に変更した以外は、実施例1と同様の方法により延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの各物性の評価結果を表1に示した。
【0031】比較例1〜4N6、MXD6、アミド化合物の各成分の配合比、及びダイリップにおけるせん断速度を表1の様に変化させた以外は、実施例1と同様の方法により延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの各物性の評価結果を表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、包装材料としての十分な強度を有し、かつフィルムの長手方向の引裂直進性に優れた包装材料を、経済的な価格で製造することができる。




 

 


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