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発明の名称 金属ラミネート用白色フィルム及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−180969
公開日 平成10年(1998)7月7日
出願番号 特願平9−281577
出願日 平成9年(1997)10月15日
代理人
発明者 松井 規和 / 松本 哲夫 / 濱田 知宏
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 エチレンテレフタレート単位100〜75モル%とエチレンイソフタレート単位0〜25モル%とからなるポリエステルに酸化チタンが20〜60重量%配合された組成物からなるB層と、エチレンテレフタレート単位94〜70モル%とエチレンイソフタレート単位5〜25モル%とジエチレンテレ(イソ)フタレート単位1〜5モル%からなるポリエステルに酸化チタンが20重量%以下配合された組成物からなるS層とが、S/B/Sの構成で積層された二軸延伸フィルムであって、フィルム中の酸化チタン含有量が20〜50重量%であることを特徴とする金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
【請求項2】 B層の酸化チタン濃度Cb 重量%と、S層の酸化チタン濃度Cs 重量%との比が下記式を満足してなることを特徴とする請求項1記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
3≦Cb /Cs【請求項3】 B層の酸化チタン濃度Cb 重量%と、S層の酸化チタン濃度Cs 重量%との比が下記式を満足してなることを特徴とする請求項1記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
5≦Cb /Cs【請求項4】 厚みTb μm のB層に配合された酸化チタンCb 重量%と、厚みTs μm のS層に配合された酸化チタンCs 重量%との比が下記式を満足してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
3≦(Cb /Cs )×〔Tb /(Tb +Ts )〕
【請求項5】 次の(1)〜(4)の特性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
(1)引張強度10 kgf/mm2以上(2)150℃における熱収縮率6.0%以下(3)光学密度0.3以上(4)白度81.0以上【請求項6】 B層の厚みが5〜20μm 、S層の厚みが1〜5μm であり、全厚みが6〜30μm であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
【請求項7】 150℃における、フィルムの横方向(TD)と縦方向(MD)の熱収縮率が下記式を満足することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の金属ラミネート用白色フィルム。
TD≦6%、|MD−TD|≧3%【請求項8】 B層及びS層を構成するポリエステルの極限粘度が0.5以上の原料樹脂を用いて溶融共押出して得られた未延伸シートを縦方向及び横方向に同時二軸延伸することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルムの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた熱ラミネート性、成形性及び引張強度を有し、隠蔽性、白度に優れ、金属缶成形時に治具へ摩耗の発生が少なく、印刷性に優れ、金属缶の外面被覆に好適に用いられる金属ラミネート用白色フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、飲料用の包装には、スチール缶、アルミ缶等の金属缶が大量に使用されており、これらの金属缶は、耐食性、印刷性等を付与するために、従来、缶の表面に熱硬化性樹脂を主成分とする溶剤型塗料を塗布して用いられてきた。しかし、このような塗料の塗布は、生産性が悪く、環境汚染等の問題があり、近時、二軸延伸されたプラスチックフィルムあるいはこれをベースとし、ヒートシール可能なフィルムをラミネートした積層フィルムを用いて金属ラミネートすることが多くなってきた。
【0003】プラスチックフィルムで被覆した金属缶は、鋼板、アルミ板等の金属板(メッキ等の表面処理を施したものを含む)にプラスチックフィルムをラミネートし、ラミネート金属板を成形加工して製造される。このような用途に用いられるプラスチックフィルムには、■金属板とのラミネート性がよいこと、■缶の成形性に優れていること、つまり、缶の成形時にフィルムの剥離、亀裂、クラック、ピンホール等の発生がないこと、■缶内容物の風味を損ねることがないこと(缶の内面に用いられる場合)、■レトルト処理をしたときにウォータースポットや白粉が発生しないこと(ウォータースポットとは、ラミネート時に溶融して非晶化したフィルムがレトルト処理時に水滴が付着して結晶化して白色化する現象をいい、商品の美観を損なう。また、白粉とは、オリゴマー等の低分子量物がフィルム表面に析出したものをいい、ラミネートフィルムが缶内面に用いられる場合には、缶内容物の風味を損ね、缶外面に用いられる場合には、缶の美麗性を損なう。)などの数々の特性が同時に要求される。
【0004】通常、缶は表面に印刷が施されるが、その際、下地の金属色を隠蔽する目的で白色塗料が下塗され、その上に印刷が施されている。近年、製造工程の簡略化(低エネルギー化、低コスト化)や、環境問題に対する対策(非溶剤化)から、白色フィルムをラミネートした隠蔽性に優れた缶体の製造が進められている。
【0005】このような白色フィルムとしては、ポリエステル樹脂に高濃度の酸化チタンを配合したものが用いられている。しかし、従来の白色フィルムでは白度や隠蔽性が不充分であり、チタン量をさらに増大させることが望まれている。しかし、チタン量の増大によって、フィルム表面が硬くなり、また製缶用治具が磨耗するといった問題や、削れた金属や酸化チタンがフィルム表面に付着して、印刷時に印刷ぬけが発生したり、鋼板との熱ラミネート性が悪くなったりするという問題がクローズアップされている。
【0006】このような金属ラミネート用白色フィルムとしては、例えば、缶の成形加工性を改良するために共重合ポリエステルに酸化チタンを混合したものが特開平5−170942に開示されている。また、共重合ポリエステルに純度95%以上のルチル型酸化チタンを混合したものが特開平5−339391に開示されている。また、缶の加工性と耐衝撃性とを向上するために、高濃度の酸化チタンのマスターチップと粘度分布の広い希釈ポリマーとを混合したものが特開平6−271686に開示されている。また耐衝撃性を向上させるために酸化チタンのマスターチップに高粘度の希釈ポリマーを混合したものが特開平6−49234に開示されている。また、顔料濃度の異なる2種類の共重合ポリエステルを積層させた積層ポリエステルフィルムが特開平6−39980と特開平7−52351に開示されている。上記のように、ポリエステル樹脂に酸化チタンを充填した単層又は複層のフィルムが種々提案されているが、白度の向上と製缶治具の磨耗の改善とを同時に満足するものではなかった。
【0007】さらに近年、缶用フィルムの白度と隠蔽性とをさらに高め、しかもコストダウンのためにフィルムの厚みをさらに薄くしたいという要望がある。この要望に答えるためには、酸化チタンをさらに高充填に配合しなければならない。しかし、酸化チタンをさらに高充填に配合すると、(a)フィルムの製造時、特に延伸時に破断が発生しやすく操業性が損なわれる、(b)金属板へのラミネート性が悪化する、(c)ラミネートされた金属板を成形加工する時に、金属等で形成された治具が損傷を受けやすい、(d)ラミネートフィルム面への印刷が難しい(欠点が発生しやすい)という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属板との熱接着性(熱ラミネート性)、缶への成形性、隠蔽性及び白度に優れ、しかも製缶時に治具に傷が発生することのない、金属缶の被覆に好適な、金属の表面にラミネートされる白色フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の化学構造のポリエステルを原料として用い、互いに原料の異なる中央の層Bと表裏両側の層Sとでフィルムを3層構造に構成し、しかも酸化チタンの配合量を中央の層Bに偏在化させることによって、上記課題が解決できること、さらには白度及び隠蔽性がより高いフィルムが得られること、またこのフィルムの生産時の操業性が著しく改善されることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
1.エチレンテレフタレート単位100〜75モル%とエチレンイソフタレート単位0〜25モル%とからなるポリエステルに酸化チタンが20〜60重量%配合された組成物からなるB層と、エチレンテレフタレート単位94〜70モル%とエチレンイソフタレート単位5〜25モル%とジエチレンテレ(イソ)フタレート単位1〜5モル%からなるポリエステルに酸化チタンが20重量%以下配合された組成物からなるS層とが、S/B/Sの構成で積層された二軸延伸フィルムであって、フィルム中の酸化チタン含有量が20〜50重量%であることを特徴とする金属ラミネート用白色ポリエステルフィルム。
2.B層及びS層を構成するポリエステルの極限粘度が0.5以上の原料樹脂を用いて溶融共押出して得られた未延伸シートを縦方向及び横方向に同時二軸延伸することを特徴とする、上記1記載の金属ラミネート用白色ポリエステルフィルムの製造方法。
【0011】
【発明の実施形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明の白色ポリエステルフィルムは、酸化チタン濃度の高い中間層(B層)と、その両側に酸化チタン濃度の低い層(S層)とからなり、S層はエチレンテレフタレート単位94〜70モル%とエチレンイソフタレート単位5〜25モル%とジエチレンテレ(イソ)フタレート単位1〜5モル%からなるものであり、B層はエチレンテレフタレート単位100〜70モル%とエチレンイソフタレート単位0〜25モル%とからなるものである。
【0012】S層におけるエチレンイソフタレート単位の割合は、5〜25モル%、好ましくは8〜15モル%である。5モル%未満の場合には、フィルムと金属としてのたとえば金属板との熱ラミネート性や、ラミネートされた金属板から缶への加工性に劣る。25モル%を超えると、製缶工程後のヒートセット時や印刷焼き付け時の耐熱性に問題が生じるうえに、材料の結晶性がなくなって、樹脂ペレットの充分な乾燥が困難となり製膜工程上のトラブルが生じたり、フィルムが非晶性になり、フィルムの強度や耐熱性が不足したり、フィルムがラミネートされた金属板が製缶工程で熱ロールに巻き付いたりする。
【0013】また、S層のジエチレンテレ(イソ)フタレート単位の割合は1〜5モル%、好ましくは、2〜4モル%である。ジエチレンテレ(イソ)フタレート単位を上記の範囲内においてポリエステル構成成分として導入することにより、エチレンイソフタレート単位による非晶性付与効果とエチレンテレフタレート単位の結晶性とのバランスを調整することができ、フィルムと金属との熱ラミネート性、缶への加工性、耐熱性及び強度が得られる。
【0014】また、S層におけるエチレンテレフタレート単位とジエチレンテレ(イソ)フタレート単位との合計は、6〜25モル%の範囲であることが、強度、耐熱性及び熱ラミネート性の点で好ましい。6モル%未満の場合は、ポリエステルフィルムと金属との熱ラミネート性や、ラミネートされた金属板から缶への加工性に劣る。25モル%より多いと、結晶性がなくなって、ペレットの充分な乾燥が困難となる。また、フィルムの強度や耐熱性が不足したり、フィルムが非晶性になって、フィルムがラミネートされた金属板が製缶工程で熱ロールに巻き付いたりする。
【0015】B層におけるエチレンイソフタレート単位の割合は0〜25モル%、好ましくは5〜15モル%である。25モル%よりも多いと、材料の結晶性がなくなり、ペレットの充分な乾燥が困難となる。また、フィルムが非晶性になって、フィルムの強度や耐熱性が不足したり、フィルムがラミネートされた金属板が製缶工程で熱ロールに巻き付いたりする。
【0016】また、B層のポリエステルにはジエチレンテレ(イソ)フタレートを5モル%以下、好ましくは1〜4モル%共重合することによりフィルムの結晶性のバランスを調整することができる。
【0017】本発明において、使用されるポリエステルは、単一のポリエステルでもよいし、また2種以上のポリエステルを溶融混合したものであってもよい。S層及びB層のポリエステル原料は、極限粘度が0.5以上、好ましくは0.6〜1.2である。極限粘度が0.5未満のポリエステルを用いると、フィルム製造時の操業性が悪化し、また得られるフィルムの強度が不足する。しかし、極限粘度があまり大きいと、生産コストが上昇し好ましくない。
【0018】S層とB層のポリエステルの極限粘度の差は、0.1以下、好ましくは0.09以下がよい。極限粘度の差が0.1を超えると、製膜時にフィルムにフローマークが入る。フローマークとは、粘度の異なる2種以上の樹脂がフィードブロックやTダイで合流する場合に発生する一種の樹脂の流動変動、すなわち樹脂の流れ模様のことをいう。
【0019】本発明で用いられるポリエステルは、結晶性の場合には融点が200〜240℃、非晶性の場合にはガラス転移温度が50〜85℃のものが好ましい。これらの範囲を外れると、耐熱性が不足したり、熱ラミネート性が低下したりする。
【0020】S層及びB層を構成するポリエステルは、上記条件を満足する範囲で任意の組み合わせが可能である。その中で、S層のポリエステルの融点(非晶性の場合はガラス転移温度)がB層のポリエステルのそれと同じか、それより低いことが特に好ましい態様である。これにより、フィルムの強度、耐熱性、熱ラミネート性を良好にバランスさせることが可能となる。
【0021】本発明で用いられるポリエステルは、その特性を損なわない範囲(通常5モル%以下)で、イソフタル酸及びジエチレングリコール以外の、別の成分をさらに共重合したものであってもよい。この共重合成分の具体例としては、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンや乳酸などのオキシカルボン酸があげられる。また、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等のグリコール等があげられる。さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3官能化合物等を少量用いてもよい。
【0022】本発明のフィルムにおける酸化チタンの含有量は、全フィルム中の平均濃度として20〜50重量%、好ましくは25〜45重量%、最適には25〜40重量%である。この含有量が20重量%未満であると、フィルムの白度及び隠蔽性が不足する。50重量%を超えると、本発明のような特定の三層構造を有するフィルムであってもフィルムの強度が低下してしまい、ラミネート後のフィルムの成形性が劣る。
【0023】B層の酸化チタンの含有量は、20〜60重量%、好ましくは25〜55重量%、最適には30〜50重量%である。この配合量が20重量%未満であるとフィルムの白度、隠蔽性が不足する。60重量%を超えると、フィルムの強度が低下してしまい、ラミネート後のフィルムの成形性が劣る。
【0024】S層の酸化チタンの含有量は、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、最適には10重量%以下である。この配合量が20重量%を超えると、金属板へのラミネート時、もしくはフィルムがラミネートされた金属板の製缶時に、治具の磨耗が発生して、製造プロセスに多大な悪影響を与えたり、磨耗した金属や酸化チタンが缶加工時にフィルム表面に付着して印刷性に問題が発生したりすることがある。
【0025】酸化チタン含有量が20重量%程度の公知の単層の白色フィルムでは、白度や隠蔽性が不十分である。その対策として、白度や隠蔽性を上げるためにチタン含有量をさらに増大させた場合には、製缶用治具が磨耗するといった問題があるとともに、削れた金属やチタンがフィルム表面に付着して印刷時に印刷ぬけが発生する問題があり、さらに金属板との熱ラミネート性が悪くなるという問題がある。これに対し本発明のフィルムでは、外層であるS層の酸化チタンを低濃度とし、内層であるB層の酸化チタンを高濃度とすることにより、このような種々の問題が解決されたのである。
【0026】本発明によれば、B層に配合された酸化チタンの濃度Cb(重量%)と、S層に配合された酸化チタンの濃度Cs(重量%)との比Cb/Csを、3以上、さらに好ましくは5以上とすることにより、上記の各種の問題をより効果的に解決することができる。
【0027】さらに、S層の厚みをTs(μm)、B層の厚みをTb(μm)として、これらS層とB層とにおける酸化チタン濃度と各層の厚みとの関係が下式3≦(Cb/Cs)×〔Tb/(Tb+Ts)〕
を満足した場合には、フィルムの機械特性や成形性を保ちながら、その白度及び隠蔽性をより向上させることができる。すなわち、外層であるS層のチタン濃度に対して、内層であるB層のチタン濃度を相対的に上げることにより、フィルムの隠蔽性と白度を保ちながら内層フィルムの厚みTbを薄くすることが可能となる。上式の右辺の値が3未満の場合は、フィルムの白度と隠蔽性とを向上させるためにはフィルムの全厚みを厚くしなければならず、このために成形性が低下するだけでなく経済性を失う恐れがある。
【0028】酸化チタンは、必要に応じて公知の任意の表面処理を施して用いることができる。また、酸化チタンは予め練り込み機等で50〜70重量%のマスターバッチ化してもよいし、フィルム化時にダイレクトに添加してもよい。
【0029】酸化チタンは、平均粒径が0.1〜0.5μm 、好ましくは0.2〜0.5μm であるのが良い。0.5μm よりも大きいと、酸化チタンの単位重量あたりの全表面積が少なくなり、フィルムの隠蔽性や白度が不足する場合がある。また得られるフィルムの表面に凹凸ができて、光沢度が低くなったり印刷適性に劣ったりする。0.1μm 未満の場合は、平均粒径が可視光線の波長よりも小さくなって、可視光線がフィルムを通過するおそれがあり、フィルムの隠蔽性や白度は不足する場合がある。
【0030】本発明のフィルムは、次の(1)〜(4)の特性を満足することが好ましい。
(1)引張強度が10 kgf/mm2以上、さらに好ましくは13 kgf/mm2以上。
(2)150℃、30分におけるフィルムの縦方向(MD)及び横方向(TD)の熱収縮率が6.0%以下、さらに好ましくは0.5〜5.0%。
(3)光学密度が0.3以上、さらに好ましくは0.4〜0.7。
(4)白度が81.0以上、さらに好ましくは85.0以上。
【0031】引張強度が10 kgf/mm2未満であると、実用上の強度が不十分になる傾向がある。熱収縮率が6%より大きいと、金属板との接着性が悪くなりやすい。光学密度が0.3未満であると、隠蔽性が不十分になりやすい。白度が81.0未満であると、実用上白度不足となりやすい。下限を規定した特性値はその値が大きい程、また上限を規定した特性値はその値が小さい程、望ましい。しかし、過剰品質とすると、コスト高となるばかりか、かえってフィルム製造時の操業性が悪化するので、上記の範囲程度とするのが好適である。
【0032】B層の厚みは5〜20μm 、好ましくは、10〜15μm であり、S層の厚みは各0.5〜5μm 、好ましくは各1〜3μm であり、全厚みは6〜30μm であることが好ましい。B層の厚みが5μm 未満の場合、フィルムの白度と隠蔽性が不足しやすく、また20μm を超えると、過剰品質となってコストパフォーマンスを失する恐れがある。また、S層の厚みが0.5μm 未満の場合は、製缶時に治具の磨耗を生じたり、印刷性が低下する場合がある。一方、5μm を超えると、フィルムの機械特性は向上するが、フィルム厚みの割に白度や隠蔽性は高くなく、また缶の成形時にS層とB層間の界面で剥離現象が起こり易くなる。フィルムの全厚みは、絞り、シゴキ加工での成形性を確保するためには、9〜25μm であるのがさらに好ましく、12〜17μm であるのがいっそう好ましい。
【0033】本発明のフィルムの、150℃、30分における熱収縮率は、TD≦6%、|MD−TD|≧3%であることがさらに好ましく、またTD≦5%、|MD−TD|≧3.5%であることが、鋼板への熱ラミネート時にシワが生じることを防止できるのでより一層好ましい。
【0034】本発明のフィルムを形成するためのポリエステルは、常法によって製造することができる。例えばイソフタル酸成分とジエチレングリコールとが共重合されたポリエチレンテレフタレート系共重合体は、次のようにして製造することができる。まず、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はその低重合体の存在するエステル化槽に、テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーを連続的に供給し、250℃程度の温度で8時間程度反応させ、エステル化反応率が95%付近のエステル化物を連続的に得る。これを重合缶に移送し、必要量のイソフタル酸又はそのエチレングリコールエステルとジエチレングリコールとを添加する。そして、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の触媒の存在下、1.3hPa以下の減圧下で280℃程度の温度で重縮合反応を行う。
【0035】本発明のフィルムは、次の方法によって製造できる。すなわち、各層を構成する2種の樹脂組成物を別々の押出機を用いて溶融したうえでフィードブロック法により重ね合わせてダイスより押し出す方法や、溶融した2種の樹脂組成物をマルチマニホールドダイス中で重ね合わせて押し出す方法や、前記両方法を組み合わせた方法等を用いて、未延伸シートが製造される。次に、この未延伸シートを、テンター式二軸延伸法あるいはインフレーション法を用いて縦方向および横方向に延伸することにより、本発明のフィルムが得られる。あるいは、各層を構成する2種の延伸フィルムを貼り合わせる方法を用いることもできる。
【0036】テンター式二軸延伸法を用いる場合には、たとえば、S層及びB層を構成する酸化チタンが配合された2種のポリエステル組成物を溶融押出機に供給し、220〜280℃の温度でシート状に押し出し、この押し出されたシートを室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて冷却し、得られた未延伸シートを必要に応じてMDに1〜1.2倍程度の予備延伸し、その後にテンターにより50〜150℃の温度でMD及びTDにそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸し、さらに、TDの弛緩率を数%として、80〜220℃で数秒間熱処理を施すことによって、本発明のフィルムを製造することができる。
【0037】テンターによる二軸延伸方法としては、同時二軸延伸法や逐次二軸延伸法がある。酸化チタンが高充填されている場合には、延伸時にフィルムが破断しやすくなるが、同時二軸延伸法を用いることにより、この破断の発生を著しく低減することができるので、同時二軸延伸法がより好適である。
【0038】延伸後の熱処理は、フィルムの熱収縮率を小さくするために必要な工程である。この熱処理の方法としては、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法等の公知の方法がある。このうち、均一に精度良く加熱できることから熱風を吹き付ける方法が最適である。
【0039】フィルム製造時や製缶時の工程通過性をよくするため、シリカ、アルミナ、カオリン等の無機滑剤を少量添加して製膜してフィルム表面にスリップ性を付与することが望ましい。さらに、フィルム外観や印刷性を向上させるため、たとえば、フィルムにシリコーン化合物等を含有させることもできる。また、金属とのラミネート性を向上させたり、強度をさらに高めるために、フィルム製造中のインラインコーティングもしくはフィルム製造後のポストコーティングにより、接着層等の任意のコーティング層を形成させてもよい。
【0040】本発明のフィルムをラミネートする金属板が鋼板の場合は、クロム酸処理、リン酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理等の化成処理や、ニッケル、スズ、亜鉛、アルミ、砲金、真鍮、その他の各種メッキ処理などを施した鋼板を好ましく用いることができる。
【0041】次に実施例によって本発明を具体的に説明する。以下の実施例及び比較例におけるフィルムの特性値の測定法は、次の通りであった。
【0042】A.極限粘度フェノール/四塩化エタンの等重量混合溶媒を用いて、温度20℃で測定した溶液粘度から求めた。
B.引張強度ASTM D882に規定される測定方法に準じて、幅10mm、長さ10cmの試料(n=5枚)で測定した。なお、データはMDとTDの平均値で示した。
C.熱収縮率幅10mm、長さ10cmの試料を、約0.4g の荷重で150℃雰囲気下に30分間放置し、放置前後の寸法変化を測定し、原長に対する放置後の長さの百分率で求めた。なおデータは、MD方向3枚とTD方向3枚の各平均値と、MD及びTDの平均値とで示した。
D.光学密度Macbeth社製透過濃度計TD 932を使用し、透過ノズル径を3mmとし、入射光量I0 と透過光量Iを求め、透過濃度Dを次式で算出し、これを光学密度とした。
D=−log(I0 /I)
E.白度JIS L 1015 7.11 白色度のC法(ハンターの方法)により測定した。
【0043】F.接着力(熱ラミネート性)
240℃に加熱した金属ロールと、シリコンゴムロールとの間に、試料フィルムと厚みが0.21mmのティンフリースチール板とを重ね合わせて供給し、速度20m/min 、線圧50kgf/cmで加熱接着した。これを水冷した後、島津製作所社製オートグラフを用い、25mm幅の試験片で剥離速度10mm/minの条件で180°剥離テストを行い、剥離強力を測定した。剥離強力あるいはフィルムの破断強力が300gf以上の場合を合格(○印で表示)、剥離強力あるいはフィルムの破断強力が300gf未満の場合を不合格(×印で表示)とした。
G.フィルム厚み延伸フィルムから、ミクロトームを用いて薄切片を採取し、電子顕微鏡を使用してこの薄切片の各層の厚みを測定した。
【0044】H.製缶用治具の摩耗性製缶時の傷の発生状況によって評価した。フィルムをティンフリースチールと貼り合わせた後、フィルム側を缶胴外面として、350ミリリットル相当の2ピース缶の深絞り成形を行った。この操作を100缶分実施し、その際に深絞り成形に使用する治具に発生する傷の有無を観察し、傷が認められない場合を良(○印で表示)、傷が微かでも認められれば不良(×印で表示)とした。
I.ポリエステルの組成バリアン社製の分析装置を用いて、300MHzの条件で 1H−NMR分析を行うことにより求めた。エチレンテレフタレート単位の含有率は全酸成分に占めるテレフタル酸の割合で、エチレンイソフタレート単位の含有率は全酸成分に占めるイソフタル酸の割合で、またジエチレンテレ(イソ)フタレート単位の含有率は全グリコール成分に占めるジエチレングリコールの割合で、それぞれ算出した。
【0045】実施例1〜14、比較例1〜7表1及び表2に示されたS層を構成するポリエステル樹脂組成物を、第1の押出機より温度280℃で溶融押出した。同様に、B層を構成するポリエステル樹脂組成物を、第2の押出機より温度280℃で溶融押出した。溶融した2種の樹脂をマルチマニホールドダイス中で重ね合わせて、表1及び表2に示された厚さ構成のS/B/Sの3層構造とし、この3層構造体をTダイからシート状に押し出し、表面温度18℃の冷却ドラムに密着させて冷却し、厚さ70〜300μm の未延伸シートを得た。得られた未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機に供給し、温度を90℃、延伸倍率をMD3.0、TD3.3として、同時二軸延伸した。その後、TDの弛緩率を5%として、温度155℃で4秒間の熱処理を施した。そして冷却して巻き取り、厚さ7〜30μm の白色複層フィルムを得た。得られたフィルムの特性値を表1及び表2に示す。表1及び表2において、”IPA”はイソフタル酸を表わし、”DEG”はジエチレングリコールを表わす。また、表中の記号Aは下記式の値を示す。
3≦(Cb /Cs )×〔Tb /(Tb +Ts )〕
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】表1、表2から明らかなように、実施例1〜14は、いずれも、白度及び隠蔽性に優れ、鋼板への熱ラミネート性に優れ、また製缶時における治具の傷の発生も見られなかった。これに対し、比較例1は、S層のエチレンイソフタレート単位の含有率が4モル%と過小であったため、熱ラミネート性に劣った。比較例2は、S層のエチレンイソフタレート単位の含有率が27モル%と過大であったため、フィルム強度が低いうえに熱ラミネート性が劣った。比較例3は、B層におけるエチレンイソフタレート単位の含有率が27モル%と過大であったため、フィルム強度が低いうえに熱ラミネート性に劣った。比較例4は、S層のジエチレンテレ(イソ)フタレート単位の含有率が7.5モル%と過大であったため、フィルム強度が低いうえに熱ラミネート性に劣った。比較例5は、B層における酸化チタンの含有率が65重量%と過大であったため、フィルム強度が低かった。比較例6は、B層における酸化チタンの含有率が16重量%と過小であり、またフィルム全体の中の酸化チタンの含有率も15重量%と過小であったため、フィルムの白度が不十分であった。比較例7は、S層における酸化チタンの含有率が25重量%と過大であったため、製缶時に治具に傷の発生が見られた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、優れた熱ラミネート性(熱接着性)、成形性及び強度を有し、隠蔽性、白度に優れた金属缶の被覆に好適に用いられる安価な金属ラミネート用白色複層ポリエステルフィルム及びその製造方法が提供される。




 

 


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