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発明の名称 金属担持金属酸化物触媒およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−118499
公開日 平成10年(1998)5月12日
出願番号 特願平8−274469
出願日 平成8年(1996)10月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
発明者 神橋 範子 / 鈴木 俊男 / 広田 一雄 / 田中 爾文
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 触媒金属をその表面積の95%以下が金属酸化物担体表面から露出した状態で担持してなることを特徴とする金属担持金属酸化物触媒。
【請求項2】 金属酸化物前駆体と触媒金属の化合物とを含有する溶液から焼成することを特徴とする、請求項1記載の金属担持金属酸化物触媒の製造方法。
【請求項3】 金属酸化物前駆体と触媒金属の化合物とを含有する紡糸原液から紡糸した後、焼成することを特徴とする繊維状金属担持金属酸化物触媒の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長時間の使用により初期の活性が低下しない金属担持金属酸化物触媒およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、無機担体に触媒金属を担持した金属担持触媒は提供されており、例えば、耐熱性繊維に白金を担持したメタンガス燃焼用触媒等が提案されている。金属担持触媒に用いられる無機担体としては、具体的にはシリカガラス繊維や、アルカリガラス繊維、アルミナ繊維等が知られており、これらの無機担体を作製した後で、これを触媒活性を有する金属の化合物を溶解した溶液に浸漬したり(例えば特開昭50−121188号公報参照)、あるいは作製した無機担体に触媒金属化合物をめっきしたり(電解めっき法、無電解めっき法)または蒸着させたり(CVD、PVD、例えば特開平4−71643号公報参照)すること等によって触媒金属を無機担体に担持させた金属担持触媒が提供されている。
【0003】しかしながら、このようにして製造された金属担持触媒においては、触媒金属は単なる付着により無機担体の表面上に担持されているだけであり、担体表面から100%露出した状態で担持されているため、長時間の使用により、触媒金属が熱によってシンタリングを生じ、その活性が低下しやすいという問題があった。さらに、めっき法や蒸着法では触媒金属を担持させるために大がかりな装置が必要であり、このためコスト高になるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、長時間の使用の後も初期の活性をほぼ維持できる金属担持金属酸化物触媒を提供することを目的とする。さらに、本発明はこのような金属担持金属酸化物触媒を特殊な装置を用いることなく、しかも容易に製造することの出来る金属担持金属酸化物触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、触媒金属をその表面積の95%以下が金属酸化物担体表面から露出した状態で担持してなることを特徴とする金属担持金属酸化物触媒に関する。
【0006】また本発明は、金属酸化物前駆体と触媒金属の化合物とを含有する溶液から焼成することを特徴とする、上記金属担持金属酸化物触媒の製造方法に関する。
【0007】本発明者らは、鋭意検討の結果、金属酸化物担体に担持された触媒金属の表面積の95%以下が金属酸化物担体表面から露出していれば、その金属担持金属酸化物触媒は活性を示し、さらにその活性を長時間保持できることを見いだした。すなわち、本発明の金属担持金属酸化物触媒において担持された個々の触媒金属は、従来のごとく単なる付着により、その個体全体が金属酸化物担体表面から露出した状態で担持されているのではなく、触媒金属表面積の95%以下、好ましくは10〜95%、さらに好ましくは35〜80%が金属酸化物担体表面から露出した状態、換言すれば露出部分以外は金属酸化物担体中に埋没した状態で存在している。露出面積がこの範囲より多いと、従来より指摘されているように熱により触媒金属がシンタリングしてしまい好ましくない。また、露出面積がこの範囲より少ないと、担持された触媒金属のうち触媒として機能しない部分が多くなってしまう。本発明の金属担持金属酸化物触媒はこのような特徴に起因して、従来から指摘されている熱による触媒金属のシンタリングが無く、初期の活性を長時間維持できると考えられる。
【0008】本明細書中において、触媒金属の表面露出率は金属酸化物担体に担持された全触媒金属の表面を構成している総金属原子数に対する、そのうち気相ガスと接触可能な金属原子の数の割合を表すものとし、次式(I)に従って計算できる(岸田等、化学工学論文集No21,vol.6,990頁(1995))。
【0009】
【数1】

【0010】金属酸化物担体に担持される触媒金属は金属結晶からなる金属粒子の形態であり、式(I)において、金属粒子はすべて球状であって、金属粒子表面を構成している金属原子はTEM観察で得られる金属平均粒子径で一様に存在すると仮定すると、式(I)から以下の式(II)を導くことができる。なお、「気相ガスと接触可能な金属原子数」とは金属粒子表面を構成している金属原子のうち気相中に露出している金属原子の数を意味する。
【0011】
【数2】

【0012】このうち、「金属粒子の総表面積」はTEMから求めた粒子径により、「気相ガスと接触可能な表面積」はCO吸着量により求めることができる。すなわち、「TEMから求めた粒子径」および「CO吸着量より求めた粒子径」を用いて、さらに式(II)を変換すると、以下の式(III)が導かれる。
【0013】
【数3】

【0014】このことにより、金属粒子が単なる付着のみにより金属酸化物担体表面上に担持されている場合にはTEM観察より求められる粒子径とCO吸着量より求められる粒子径とがほぼ一致することから金属粒子の表面積露出率はおよそ100%と算出され、金属粒子が金属酸化物担体中に埋没しているとCOガスの吸着量は少なくなり、CO吸着量より求められる粒子径はTEMより求められる粒子径より小さく計算されることから金属粒子の表面積露出率は当然に100%より少なく算出されることになる。
【0015】本発明の金属担持金属酸化物触媒を製造するにあたっての大きな特徴は、触媒金属を、金属酸化物担体作製時に同時に、溶液中に添加することにある。すなわち、本発明は担体の作製過程において触媒金属化合物を添加することを特徴とし、これらの混合物を焼成することにより、本発明の金属担持金属酸化物触媒を得ることができる。
【0016】具体的には、コージュライト、ムライト、アルファ−アルミナ、ジルコニアスピネル、チタニア等のセラミックス製支持体を、触媒金属化合物および金属酸化物前駆体を含む溶液に浸漬し、焼成することにより得ることができる。従って、セラミックス製支持体の形状は特に制限されず、例えば、ペレット状、ハニカム状等が挙げられる。
【0017】触媒金属化合物および金属酸化物前駆体を含む溶液の製造方法としては、例えば、金属酸化物がアルミナのとき、アルミニウム塩を用いて調製する場合には、例えば、後述の塩基性アルミニウム塩水溶液を撹拌しながら、後述の有機多価酸を少量ずつ添加して混合した後、触媒金属の化合物を少なくとも一種混合する。また、アルミニウムアルコキシドを用いて調製する場合には、例えば、後述するアルミニウムアルコキシド、アルカノールアミン化合物を有機溶媒と混合し、触媒金属の化合物を一種以上添加し、加水分解の開始剤である水を混合する。得られた溶液に、そのままセラミックス製支持体を浸漬してもよいが、均一にアルミナをセラミックス製支持体に付着させるためには、溶液をある程度濃縮し、アルミナのネットワークを形成させてから浸漬するのが好ましい。このとき、濃縮を進行させすぎると溶液の粘度が上がり、セラミックス支持体に浸漬しにくくなるため好ましくなく、溶液の粘度の目安としては室温(25℃)で10センチポイズ以下が好ましい。このように、触媒金属化合物およびアルミナ前駆体を含む溶液を浸漬したセラミックス製支持体を乾燥し、焼成することにより、セラミックス製支持体上に触媒金属を含むアルミナ層が形成される。
【0018】本発明において用いられる触媒金属としては、焼成後の担体上で触媒活性を示すことができるものであれば特に制限されるものではなく、従来から固体触媒として知られている遷移金属、遷移金属酸化物、典型金属酸化物、金属硫化物、金属塩等が挙げられ、好ましくは遷移金属であり、さらに好ましくは8族金属である。これらは一種添加してもよいし、二種以上を混合して添加してもよい。
【0019】触媒金属の金属化合物としては無機金属化合物および有機金属化合物が挙げられ、その無機金属化合物の具体例としては塩化パラジウム、塩化ロジウム、塩化ルテニウム等の金属塩化物、硫酸パラジウム、硫酸ロジウム、硫酸チタン、硫酸マンガン等の金属硫酸化合物、硝酸パラジウム、硝酸ロジウム、硝酸ニッケル等の金属硝酸化合物、ヘキサクロロ白金酸水和物、テトラアンミン白金塩化物水和物、テトラアンミンパラジウム塩化物水和物等の錯塩が挙げられ、有機金属化合物の具体例としては酢酸パラジウム、酢酸ロジウム、安息香酸ロジウム、酢酸ニッケル、酢酸マンガン、テトラアンミンパラジウム酢酸塩水和物、テトラアンミン白金酢酸塩水和物、ヘキサアンミンロジウム塩化物等が挙げられる。
【0020】触媒金属の添加方法については、担体作製過程において担体材料を含む溶液に添加されるため、この溶液粘度を大きく変えるものでなければ特に制限されない。従って、触媒金属またはその化合物がこの溶液に可溶な場合には、直接その溶液に添加してもかまわないし、触媒金属またはその化合物が可溶な溶媒に溶かしてから添加してもかまわない。また、担体作製に悪影響を及ぼさない範囲で必要に応じて温度を変えて行ってもかまわない。添加される触媒金属量は特に制限されるものではなく、用いる金属の種類や用途に応じて添加量を変えればよい。一般的には得られる金属酸化物に対し0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度添加されていればよい。
【0021】本発明における金属酸化物前駆体とは焼成により酸化物に転換するものを意味する。例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタニウム、ヴァナジウム、タングステン等の無機塩、有機塩、塩基性塩等が挙げられ、特に本発明における金属酸化物としてはアルミナが好ましい。これらは単独でも2種類以上併用して用いることもできる。
【0022】このようにして得られた金属担持金属酸化物触媒は、金属酸化物担体作製過程において触媒金属を添加して製造されているため、触媒金属が特定割合で金属酸化物担体表面から露出した状態で担持されている。このため、熱による触媒金属のシンタリングが無く、初期の活性を長時間維持できる。かかる触媒の形状は特に限定されず、粒子状、繊維状、ハニカム状等いかなる形状をとっても、本発明の金属担持金属酸化物触媒は従来の触媒より有利な上記特性を有する。
【0023】その中でも、特に、本発明の金属担持金属酸化物触媒を繊維状にすることは粒状等に比べて幾何学的表面積が大きく、少量でも接触面積が大きくなり、処理量の多いところにも長時間使用できるため好ましい。繊維状金属担持金属酸化物触媒は、公知の金属酸化物繊維の製造方法において、紡糸原液の調製過程で触媒金属化合物を添加混合し、濃縮して紡糸原液を得、その紡糸原液から紡糸し、それを焼成することにより製造することが出来る。紡糸原液の調製方法としては、例えば、アルミニウム塩を用いて調製する場合およびアルミニウムアルコキシドを用いて調製する場合等が挙げられる。
【0024】アルミニウム塩を用いて調製する場合には、例えば、塩基性アルミニウム塩水溶液を撹拌しながら、有機多価酸を少量ずつ添加して混合した後、触媒金属の化合物を少なくとも一種以上混合し、濃縮することによって紡糸原液を得ることができる。
【0025】塩基性アルミニウム塩としては、式(Al2(OH)nCl6-nm(3≦n≦5、m≦10)で表される塩基性塩化アルミニウムおよび式(Al2(OH)n(Lac)6-nm(3≦n≦5、m≦10)で表される塩基性乳酸アルミニウムなどが挙げられる。塩基性アルミニウム塩水溶液の濃度としては、80重量%以下が好ましく、特に50〜70重量%が好ましい。
【0026】また、有機多価酸とは、2つ以上のカルボキシル基を有する有機化合物をいい、特に紡糸原液への溶解性の問題から、一般に重合体と呼ばれるものは好ましくない。具体的には、シュウ酸、マロン酸、こはく酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの飽和脂肪族カルボン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸などが挙げられ、特にカルボキシル基を2〜3個、水酸基を1〜2個有するものが好ましく、このような有機多価酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸が挙げられる。これらの有機多価酸は単独でも、2種以上併用して用いてもよい。有機多価酸の量としては、水溶液中のアルミニウム量に対して0.1重量%以上であれば十分効果が認められ、特に1〜5重量%が好ましい。なお、本発明においては、得られる金属酸化物繊維の性質を大きく変えない範囲であれば、強度または耐熱性を向上させる目的で他の成分、例えば、ケイ素、カルシウム、マグネシウム等を含んでもよい。
【0027】塩基性アルミニウム塩水溶液に有機多価酸を添加する際には、有機多価酸が膨潤することを考慮して塩基性アルミニウム塩水溶液を撹拌しながら少量ずつ添加することが好ましい。また、混合する際の温度としては特に限定されるものではなく、例えばクエン酸であれば常温(約10〜40℃)で十分均一な溶液とすることが可能である。
【0028】触媒金属の金属化合物としては前述のものが使用可能であり、その量は特に制限されるものではなく、用いる金属の種類や用途に応じて添加量を変えればよい。一般的には担体に対し0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度添加されていればよい。
【0029】濃縮するときの圧力としては特に制限されるものではなく、常圧で行えばよく、濃縮するときの温度としては80℃以下であることが好ましく、特に40〜60℃で行うのが好ましい。この時の温度が80℃以上であると、溶液表面から急激にゲル化が進行し、固形分が析出するなど、安定に紡糸原液を得られにくくなるために好ましくない。一方、濃縮温度が低いとゲル化の進行が遅くなるため、作業性を考慮すると好ましくない。このようにして、60℃における粘度が1〜100ポイズ程度、好ましくは1〜20ポイズ程度になるまで濃縮し、紡糸原液を得ることができる。
【0030】一方、紡糸原液の調製にあたってアルミニウムアルコキシドを用いる場合には、例えば、アルミニウムアルコキシド、アルカノールアミン化合物、マグネシウム化合物を一種の有機溶媒または二種以上の混合有機溶媒と混合し、触媒金属の金属化合物を一種以上添加し、水により加水分解した後、濃縮することによって紡糸原液を得ることができる。
【0031】まず、アルミニウムアルコキシド含有溶液を得ることが必要である。そのためにアルミニウムアルコキシド、アルカノールアミン化合物またはアルミニウムアルコキシド、アルカノールアミン化合物及びマグネシウム化合物を有機溶媒または混合有機溶媒にそれぞれ混合させる。
【0032】アルミニウムアルコキシドとしては、一般式(RO)3Al(R:アルキル基)で示されるものが挙げられ、そのRの具体例としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
【0033】また、アルカノールアミン化合物としては、例えばモノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノn-プロパノールアミン、モノiso-プロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジiso-プロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリn-プロパノールアミン、トリiso-プロパノールアミンなどが挙げられる。
【0034】アルカノールアミン化合物は、次のステップで安定な加水分解を進行させ、アルミニウムアルコキシドを有機溶媒または混合有機溶媒に効果的に混合させるために添加するものであり、その添加量としては、アルミニウムアルコキシド1モルに対して活性水素のモル数で0.5〜2.5モルの範囲が好ましく、特に0.8〜2.0モルが好ましい。アルカノールアミン化合物の添加量が0.5〜2.5モルの範囲にあるときには、加水分解時にアルミニウムアルコキシドの加水分解速度の調整が十分に行われて、紡糸操作に適した粘性を有するゾルが得られるが、0.5モルより少ない場合には、加水分解速度が速くなり、沈殿物が析出したり、紡糸操作に適したゾルが得られにくくなるので好ましくない。また、2.0モルより多い場合には、粘性を有するゾルは得られるものの、紡糸操作に適したほどの粘性を有するゾルは得られず、繊維の形態を保持するのが困難になる傾向があるので実用的ではない。
【0035】マグネシウム化合物としては、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、フッ化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ホスフィン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムなどの無機マグネシウム化合物や、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウムなどの有機マグネシウム化合物があげられる。
【0036】マグネシウム化合物および混合有機溶媒は、紡糸原液の曳糸性を向上させることを目的として用いるため、少なくともどちらか一方が紡糸原液に含まれていればよく、両方が含まれていればさらに好ましい。マグネシウム化合物を添加する場合には、その添加量としては、焼成時における酸化マグネシウム/アルミナの重量比率で0.1〜10%となるように添加することが好ましく、特に0.5〜5%となるように添加することが好ましい。マグネシウム化合物の添加量が0.1%より少ない場合及び10%より多い場合には、紡糸原液の曳糸性を高めにくくなるので好ましくない。
【0037】有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノールに代表されるアルコール類が挙げられる。混合有機溶媒としては、上記の有機溶媒を二種以上混合するが、混合有機溶媒中で含有量が最も多い有機溶媒(主溶媒)に対して、他の有機溶媒としては、主溶媒より沸点の高い溶媒を用いることが好ましい。例えば主溶媒としてiso-プロパノール(沸点82℃)を用いた場合には他の有機溶媒としてsec-ブタノール(沸点99℃)を用いる。その混合比(モル比)としては0.1〜0.8が好ましく、特に0.2〜0.5が好ましい。有機溶媒または混合有機溶媒の使用量としては、アルミニウムアルコキシド1モルに対して5〜30モルが好ましく、特に8〜25モルが好ましい。
【0038】得られたアルミニウムアルコキシド含有溶液には前述の触媒金属の金属化合物を、この溶液から得られるアルミナに対して触媒金属が0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%となるように添加混合した後で、例えば水を加えてアルミニウムアルコキシドを加水分解させる。この時の水の添加量としては、アルミニウムアルコキシド1モルに対して0.5〜2モルの範囲で添加することが好ましく、特に0.8〜1.5モルの範囲で添加することが好ましい。0.5モルより少ない場合には、紡糸原液を紡糸した後に繊維の形態を保持しにくくなるために好ましくない。また、2モルより多い場合には、加水分解速度が速まるため、粉末状の沈殿物が析出しやすくなり、さらに得られた紡糸原液のゲル化が速くなり、紡糸可能な状態が短くなるので、操業性を考慮すると好ましくない。
【0039】その後、紡糸原液を得るために、加熱して濃縮するが、混合有機溶媒の場合にはその主溶媒の沸点付近の温度で行うことが好ましい。この時、単一の有機溶媒では濃縮によって溶液の粘度が上昇し、紡糸可能な粘度の領域でゲル化の進行が速くなる傾向があるが、混合有機溶媒では沸点が高い他の有機溶媒の存在によってゲル化の進行が抑えられ、安定した紡糸原液を得ることができる。
【0040】以上のようにして得られた紡糸原液は紡糸工程に供される。これらの紡糸原液は優れた曳糸性を示すため、公知の紡糸方法、例えば紡糸口金から紡糸原液を空気中に押し出す乾式紡糸法により繊維化することができ、前駆体繊維(焼成する前の繊維を前駆体繊維という)を得ることができる。この時に用いる紡糸口金としては、内径0.1〜1mm、長さ1〜10mm、長さと内径の比(L/D)が10以下の範囲のものが好ましい。また、吐出線速度としては、1〜5m/min.であればよく、引き取り速度と吐出線速度との比(紡糸ドラフト)としては、5〜15になるように引き取り速度を設定すればよい。
【0041】そして、この前駆体繊維を加熱乾燥し、焼成して、本発明の繊維状金属担持アルミナ触媒を得ることができる。加熱方法としては、目的に応じて任意の方法で行うことが可能である。例えば、弛緩状態、あるいは緊張状態の前駆体繊維を空気中または窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で加熱し有機成分を炭化させ(加熱乾燥)、さらに酸化性雰囲気(酸素が含まれる雰囲気)下、好ましくは空気中で加熱して炭化した有機成分を燃焼し、除去するとともにアルミニウム化合物を相当する酸化物に変換させる(焼成)。この酸化アルミニウムはさらに真空中または水素雰囲気下で焼成することも可能である。しかしながら、加熱、焼成条件は上述の方法に制限されるものではなく、加熱、焼成を一段階で行うこともできる。乾燥温度としては、有機成分が炭化する温度以上であれば特に限定されるものではなく、80〜250℃であることが好ましく、特に100〜200℃であることが好ましい。さらに焼成温度としては、500〜1100℃であることが好ましく、特に700〜900℃であることが好ましい。焼成温度が1100℃よりも高いとα相のアルミナが析出し、比表面積が低下するため好ましくなく、また、500℃より低いと有機成分が残留炭素として存在してしまうために好ましくない。焼成時間としては、有機成分が十分燃焼除去され、アルミナが形成される時間であれば、特に限定されるものではなく、好ましい範囲としては1〜5時間である。
【0042】このようにして得られる繊維状の金属担持金属酸化物触媒は、前述の金属担持金属酸化物触媒と同様に、触媒金属が特定割合で金属酸化物担体表面から露出した状態で存在している。このため、熱による触媒金属のシンタリングが無く、初期の活性を長時間維持でき、さらには、この金属担持金属酸化物触媒は繊維状であるため、先の金属担持金属酸化物触媒と比較してもさらに有意な活性を示す。
【0043】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例中の溶液の粘度、紡糸原液の曳糸性(長)、比表面積、金属微粒子粒径、メタン転化率の測定は次の方法により行った。触媒金属の表面露出率については前述の式(III)に従い計算した。
(a)溶液粘度東機産業(株)製B型回転粘度計を用いて60℃にて測定した。
(b)紡糸原液の曳糸性(長)
紡糸原液の液面に直径10mmのテフロン棒を漬けた後、毎分50cmのスピードで引き上げることにより得られる繊維の長さを測定した。
(c)比表面積不活性ガス(窒素ガス)雰囲気中、1Torr以下、かつ300℃で2時間前処理し、日本ベル社製のベルソープ28を用いて77K(窒素の沸点)にて測定した。
【0044】(d)金属微粒子径の測定(TEM観察)測定試料はLuft法に従い、エポキシ樹脂包埋し、ダイヤモンドナイフにて超薄切片を作製した。日本電子社製透過型電子顕微鏡(JEM−200CX)を用いて写真を撮影し、写真上から1試料につき100個の粒子径を測定し、それを平均して求めた。
(パルス法)パルス式CO吸着量測定法(触媒学会触媒委員会、測定法標準化マニュアル,1989、参照)によりCO吸着量を測定し、金属1molに対しCO1molが化学吸着するものとして金属粒子径を計算した。
【0045】(e)メタン転化率試料が、粒状の場合は300〜500μmにふるい分けしたものを0.1g採取し、希釈材のアルミナ(300〜500μmにふるい分けした参照触媒JRC−ALO−1A、日本触媒学会)0.5gとよく混合した後、反応管に詰め(触媒層体積1.2cc)、メタン1%を含む空気を常圧下、流量50cc/minで流し、500℃において燃焼させた。また、試料が繊維状の場合は0.1g採取し、上記の希釈材のアルミナ0.5gとよく混合した後、触媒層体積が1.2ccになるように反応管に詰めて同様に燃焼させた。反応前後のメタンをガスクロマトグラフ(島津製作所製GC−8A)を用いてTCDにより検出し、次式により計算した。
【0046】
【数4】

【0047】実施例1、2、3塩基性塩化アルミニウム(Al2(OH)5ClnH2O;Al=12重量%、多木化学社製、商品名:タキバイン)30gに室温で撹拌しながらクエン酸・1水和物0.84gを徐々に添加した溶液に、塩化パラジウムを0.07g(アルミナに対してパラジウムが0.5重量%、実施例1)、1.4g(アルミナに対してパラジウムが10重量%、実施例2)、0.014g(アルミナに対してパラジウムが0.1重量%、実施例3)となるようにそれぞれ加えて密閉して60℃で撹拌溶解し、常圧、60℃で濃縮して紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液のAl分はいずれも15重量%であり、60℃における粘度はいずれも1ポイズであった。紡糸原液の曳糸長はそれぞれ55cm、50cm、57cmであった。
【0048】次に、この紡糸原液を内径0.45mm、長さ3mmの紡糸口金から吐出線速度3.6m/min.、引き取り速度36m/min.となるように空気中に押し出すことにより紡糸した後、120℃で12時間乾燥させて前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維をそれぞれ空気中900℃で2時間焼成させて繊維状パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0049】実施例4アルミニウムイソプロポキシド1モルをiso-プロパノール(有機溶媒、沸点82℃)15モルと混合して60℃で1時間撹拌した後、トリエタノールアミンを0.4モル、sec-ブタノールを4モル、硝酸マグネシウムを酸化マグネシウム/アルミナの重量比率で1%とを加えて6時間撹拌して溶液を得た。この時の調製は窒素雰囲気下で行った。得られた溶液に塩化パラジウムを、アルミナに対してパラジウムが0.5重量%となるように添加して溶解させた後、水を1モル加えて1時間撹拌して加水分解させ(窒素雰囲気下)、その後、溶液の粘度が250ポイズ以上になるまで大気中80℃で加熱濃縮させて紡糸原液を得た。紡糸原液の曳糸長は72cmであった。
【0050】次に、この紡糸原液を内径0.45mm、長さ3mmの紡糸口金から吐出線速度3.6m/min.、引き取り速度36m/min.となるように空気中に押し出すことにより紡糸した後、相対湿度80%、温度80℃での加熱処理を6時間施して乾燥させ前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維を空気中、900℃で2時間焼成させて繊維状パラジウム担持アルミナ触媒を得た。
【0051】実施例5アルミニウムイソプロポキシド(アルミニウムアルコキシド)1モルとエチルシリケート1モルをiso-プロパノール(有機溶媒、沸点82℃)15モルと混合して60℃で1時間撹拌した後、トリエタノールアミン(アルカノールアミン化合物)を0.4モル、sec-ブタノール(有機溶媒、沸点99℃)を4モル、硝酸マグネシウムを酸化マグネシウム/シリカ−アルミナの重量比率で1%とを加えて6時間撹拌して溶液を得た。この時の調製は窒素雰囲気下で行った。得られた溶液に塩化パラジウムを、シリカ−アルミナに対してパラジウムが0.5重量%担持されるように添加して溶解させた後、水を1モル加えて1時間撹拌して加水分解させ(窒素雰囲気下)、その後、溶液の粘度が250ポイズ以上になるまで大気中80℃で加熱濃縮させて紡糸原液を得た。紡糸原液の曳糸長は62cmであった。以下、実施例4と同様にして繊維状パラジウム担持シリカ−アルミナ触媒を得た。
【0052】実施例6塩基性塩化アルミニウム(Al2(OH)5ClnH2O;Al=12重量%、多木化学社製、商品名:タキバイン)30gに室温で撹拌しながらクエン酸・1水和物0.84gを徐々に添加した溶液に、塩化白金酸を0.09g(アルミナに対して白金が0.5重量%担持される)加えて密閉して60℃で撹拌溶解し、常圧、60℃で濃縮して紡糸原液を調製した。得られた紡糸原液のAl分は15重量%であり、60℃における粘度は1ポイズであった。紡糸原液の曳糸長は52cmであった。以下、実施例1と同様にして繊維状白金担持アルミナ触媒を得た。
【0053】比較例1塩化パラジウムを添加しない他は、実施例1と同様に行いアルミナ繊維を得た。この得られた繊維0.5gを約20gの水に分散し、1.0重量%の塩化パラジウム水溶液0.5gを添加した(アルミナに対してパラジウムが0.5重量%担持された)。この分散液を120℃で蒸発乾固した後、空気中500℃で2時間熱処理してパラジウムを焼き付け、触媒を得た。
【0054】比較例2塩化パラジウムを添加しない他は、実施例4と同様にしてアルミナ繊維を得た。この得られた繊維0.5gを約20gの水に分散し、0.5重量%のパラジウムが含まれる塩化パラジウム水溶液0.5gを添加した(アルミナに対してパラジウムが0.5重量%担持される)。この分散液を120℃で蒸発乾固した後、空気中500℃で2時間熱処理してパラジウムを焼き付け、触媒を得た。
【0055】結果このようにして得られた触媒の窒素吸着法による比表面積および触媒金属の表面露出率を、それぞれの紡糸原液の曳糸長とともにまとめて以下の表1に示す。また、これらの触媒を用いて、メタン1%を含む空気を500℃において常圧下、流量50cc/min.にて10時間流通させた後の転化率を求め、初期の転化率とともにまとめて表1に示した。
【0056】
【表1】

【0057】
【発明の効果】本発明によれば、熱による触媒金属のシンタリングが無く、長時間初期の活性を維持できる触媒を容易に提供することが可能となる。




 

 


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