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発明の名称 ポリアミドフィルムの製造方法、およびその方法で得られた二軸配向ポリアミドフィルム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−16047
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平8−175302
出願日 平成8年(1996)7月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
発明者 山岸 健一 / 川北 俊一
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 実質的に無定形、無配向の未延伸フィルムを縦延伸し、ついで、テンター式横延伸機で横延伸して逐次二軸延伸ポリアミドフィルムを製造するに際し、下記式(1)〜(3)の条件で延伸を行い、つぎに熱処理を行い、その後に下記式(4)の条件で弛緩処理を行い、この延伸フィルムの両端を前記テンター式横延伸機のクリップから解放して浮上式熱処理装置により下記式(5)(6)の条件で再熱処理して横方向に弛緩させ、つぎに直ちに冷却して巻き取ることを特徴とするポリアミドフィルムの製造方法。
縦延伸倍率:X 2. 7≦X≦3. 0 (1)
横延伸倍率:Y 3. 4≦Y≦4. 0 (2)
縦横延伸倍率比 Y≧1. 3X (3)
弛緩率:Z 1. 0≦Z≦4. 0(%) (4)
再熱処理温度:T 160≦T≦200(℃) (5)
再熱処理時間:θt 1. 0≦θt ≦4. 0(s) (6)
【請求項2】 弛緩処理を行った後かつ再熱処理を行う前の段階において、フィルムの縦方向の熱水収縮率が2.0%以下、この縦方向と直角な方向の熱水収縮率が2.9%以下、(縦方向の熱水収縮率)<(縦方向と直角な方向の熱水収縮率)、かつフィルムの縦方向に対して45度の方向と135度の方向との熱水収縮率の差が1.8%を越えることを特徴とする請求項1記載のポリアミドフィルムの製造方法。
【請求項3】 請求項1記載の製造方法で得たポリアミドフィルムであって、フィルムの縦方向の熱水収縮率が2. 0%以下、この縦方向と直角な方向の熱水収縮率が1. 0%以下、フィルムの縦方向に対して45度の方向と135度の方向との熱水収縮率の差が1.8%以下、かつフィルムの縦方向とその直角方向との破断強度がともに25kgf/mm2 以上であることを特徴とする二軸配向ポリアミドフィルム。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミドフィルムの製造方法、およびその方法で得られた二軸配向ポリアミドフィルムに関するものである。さらに詳しくは、未延伸ポリアミドフィルムをまず縦延伸し、ついでテンター方式により横延伸して逐次二軸延伸することによるポリアミドフィルムの製造方法、およびその方法で得られた二軸配向ポリアミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸配向ポリアミドフィルムは、機械的特性、光学的特性、熱的特性、バリアー性をはじめとして、耐摩耗性、耐衝撃性、耐ピンホール性などに優れていることから、食品その他の包装材料用フィルムとして広く利用されており、特にレトルト食品用袋(熱水処理用袋)としての利用は多い。このようなレトルト食品用袋は、通常、基材フィルムとして二軸配向ポリアミドフィルムを用い、このフィルムにヒートシール性を有する各種シーラント(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)をラミネートした後、折り畳んで3辺を熱融着した、いわゆる3方シール袋の形態を取っている。実使用では、この袋に食品等を充填した後、高温ボイル処理を施すため、熱寸法安定性が要求される。
【0003】しかしながら、基材フィルム(二軸配向ポリアミドフィルム)の縦方向に対して45度の方向と135度の方向との熱水収縮率の差(以下、「熱水収縮率斜め差」と表記する)が大きいと、袋の捻りやカールといった現象が発生し、商品の外観を損ねるという問題があった。また、このような現象は、縦方向に延伸した後、横方向へ延伸する、いわゆる逐次二軸延伸法では顕著に現れ、端にいくほどその影響が大きくなるために、この逐次二軸延伸法で製造されたポリアミドフィルムは前記のような用途には用いることができなくなってしまうのが常識であった。
【0004】かかる問題に対し、ステンターからでた熱可塑性樹脂フィルムの熱寸法安定性を改良する方法として、弧状型浮上式熱処理を用いた方法が提案されており、すでに公知である。例えば、特開平4−292934号公報には、フィルムを縦方向と横方向に2軸延伸した直後に、弧状縦断面を有する熱風吹き出し手段の弧状面に沿って弧を描くように浮上走行させ、この浮上走行中に、フィルムの縦方向と横方向に関して実質的に同時に熱処理を行う方法が開示されている。
【0005】しかしながら、この方法では、後段の熱処理手段により熱寸法安定性は改良されるものの、いかなる条件で得た延伸フィルムにも適用できるものではない。本発明者らの実験によれば、フィルムの縦方向にかかる張力を制御することが装置の特性上難しいために、縦方向の弛緩処理が不十分になるのに対して、幅方向(横方向)は事実上フリーであるために十分に弛緩処理がなされ、このため各方向の弛緩効果が不均一となって、最終的に得られるフィルムの熱水収縮率斜め差の改善に対しては効果が十分でないことがわかった。
【0006】さらに、特開平4−292937号公報には、フィルムを縦方向と横方向に二軸延伸した直後に、弧状縦断面を有する吹き出しスチームにより弧状面に沿って弧を描くように浮上走行させ、この浮上走行中にフィルム縦方向と横方向に関して実質的に同時に再熱処理を行う方法が開示されている。
【0007】しかしながら、この方法では、水分による寸法変化を生じやすいポリアミドフィルムに適用した場合には処理中にしわを生じさせやすく、ロールフォーメーションの悪化を誘発し、商品価値をなくしてしまうという問題点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミドフィルムを逐次二軸延伸法で製造する場合に問題であった熱水収縮率斜め差を、製造条件の工夫によって小さくすることを目的とする。さらに詳しくは、熱寸法安定性に優れ、かつ、熱水収縮率斜め差が小さく、実用強度を兼ね備えた二軸配向ポリアミドフィルムを得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記事情に鑑み、逐次延伸法における熱水収縮率斜め差を極小化することのできる二軸配向ポリアミドフィルムの製造方法と、熱寸法安定性に優れかつ熱水収縮率斜め差の小さいポリアミドフィルムとの開発について鋭意検討した。その結果、延伸条件、熱処理条件を適切に選択して、特定の熱水収縮率を有するフィルムとし、さらに連続して行う再熱処理の条件を適切に選択すれば、熱寸法安定性のみならず熱水収縮率斜め差をも改善させることができ、ひいては製品品質の向上に対して極めて有効であることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明のポリアミドフィルムの製造方法の要旨は、実質的に無定形、無配向の未延伸フィルムを縦延伸し、ついで、テンター式横延伸機で横延伸して逐次二軸延伸ポリアミドフィルムを製造するに際し、下記式(1)〜(3)の条件で延伸を行い、つぎに熱処理を行い、その後に下記式(4)の条件で弛緩処理を行い、この延伸フィルムの両端を前記テンター式横延伸機のクリップから解放して浮上式熱処理装置により下記式(5)(6)の条件で再熱処理して横方向に弛緩させ、つぎに直ちに冷却して巻き取ることにある。
【0011】
縦延伸倍率:X 2. 7≦X≦3. 0 (1)
横延伸倍率:Y 3. 4≦Y≦4. 0 (2)
縦横延伸倍率比 Y≧1. 3X (3)
弛緩率:Z 1. 0≦Z≦4. 0(%) (4)
再熱処理温度:T 160≦T≦200(℃) (5)
再熱処理時間:θt 1. 0≦θt ≦4. 0(s) (6)
また本発明の方法は、弛緩処理を行った後かつ再熱処理を行う前の段階において、フィルムの縦方向の熱水収縮率が2.0%以下、この縦方向と直角な方向の熱水収縮率が2.9%以下、(縦方向の熱水収縮率)<(縦方向と直角な方向の熱水収縮率)、かつフィルムの縦方向に対して45度の方向と135度の方向との熱水収縮率の差が1.8%を越えるものである。
【0012】また本発明は、上記製造方法で得たポリアミドフィルムであって、フィルムの縦方向の熱水収縮率が2. 0%以下、この縦方向と直角な方向の熱水収縮率が1. 0%以下、フィルムの縦方向に対して45度の方向と135度の方向との熱水収縮率の差が1.8%以下、かつフィルムの縦方向とその直角方向との破断強度がともに25kgf/mm2 以上であることを特徴とする二軸配向ポリアミドフィルムを要旨とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリアミドは、配向結晶性を有するポリアミドが主であるが、特に限定されるものではなく、その分子内にアミド結合を有する線状高分子化合物であればよい。すなわち、前記したポリε−カプラミドをはじめとして、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリラウラミド(ナイロン12)、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)およびそれらの共重合物が含まれ、コストパフォーマンスに優れるナイロン6が特に好ましく用いられる。
【0014】これらのポリアミドには、必要に応じて、フィルムの性能に悪影響を与えない範囲で、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機微粒子等各種添加剤を添加することができる。
【0015】本発明において、実質的に無定形、無配向のポリアミドフィルム(未延伸フィルム)を得るには、例えばポリアミドを押出機で加熱溶融してTダイからフィルム状に押出し、これをエアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法等公知のキャスティング法で回転する冷却ドラム上で冷却固化して急冷製膜する。この未延伸フィルムが配向していると、後工程で延伸性が低下することがある。
【0016】つぎに、この未延伸フィルムは、周速の異なる加熱ローラ群からなるローラ式縦延伸機で、フィルム延伸のための予熱が施された後、この未延伸フィルムのガラス転移点以上の温度で、加熱された延伸ロールと、フィルム冷却のための冷却ロールとの間で縦延伸される。このとき本発明では、縦延伸倍率を下記の式(1)に示す条件にする必要がある。
【0017】
縦延伸倍率:X 2. 7≦X≦3. 0 (1)
縦延伸倍率をかかる範囲にするのは以下の理由による。すなわち2. 7倍より低いと、熱水収縮率は小さくなるが、実用強度を付与できないため、本発明の目的を達成できない。また3. 0倍より高いと、高強度を付与できるものの、縦方向の熱水収縮率が2. 0%より大きくなって、これまた本発明の目的を達成することができない。また後続の横延伸性を低下させ、連続生産性を悪化させる。前記に掲げた範囲内の時のみ、強度、延伸性を損なうことなく、目的とする熱水収縮率が得られる。
【0018】このようにして得られた縦延伸ポリアミドフィルムは、テンター式横延伸機に導かれ、クリップに把持されてフィルム延伸のための予熱が施される。そして、その後、70〜100℃の範囲内の適宜の温度で横延伸するが、本発明においては、倍率条件が下記式(2)(3)を同時に満たしていることを必要とする。
【0019】
横延伸倍率X: 3. 4≦Y≦4. 0 (2)
縦横延伸倍率比 Y≧1. 3X (3)
まず、横延伸倍率を上記式(3)の範囲とするのは、3. 4倍より低いと、テンターを出た後に上記条件の熱水収縮率を満たすフィルムを得難く、また後段の再熱処理によっても熱水収縮率斜め差を改善できないため、好ましくない。反対に4. 0倍より高いと延伸性が低下し、破断が生じやすくなるため好ましくない。好ましくは3. 6〜4. 0倍であり、さらに各方向の物性バランス(強度、伸度など)、延伸性、ならびに端部の未延伸部残存率低下の観点から、3. 7倍近辺が好適である。
【0020】本発明では、横延伸倍率を上記式(2)の範囲内とし、かつ、縦横延伸倍率比(縦延伸倍率に対する横延伸倍率の比率)が上記式(3)の条件を満たすようにしておくことが不可欠であるが、これは、テンターを出た後のフィルムの熱水収縮率を、縦方向の熱水収縮率(SMD)と横方向の熱水収縮率(STD)との大小関係をSMD<STDにならしめるためであり、以下の理由による。すなわち一般には、特にフィルムの中央から端に向かうにつれて、配向や熱収縮率分布が幅方向に傾いた形状を取るが、この現象は横延伸倍率を高くすると顕著となりやすい。このためにテンターからでたフィルムの熱水収縮率斜め差は大きいものとなる。しかしながら、後述するように本発明では、後段の再熱処理工程により主として横方向に再弛緩せしめることにより、最終的な縦方向と横方向との熱水収縮率をバランス化させて熱水収縮率斜め差を極小化させる。Y<1. 3Xの場合は、SMD≧STDとなって、後段の際熱処理工程で横方向の熱水収縮率が小さくなりすぎるために、逆に熱水収縮率斜め差が大きくなる。
【0021】続いて、同テンター内において200℃〜215℃、好ましくは210℃近辺の温度で熱処理を施す。そして、さらに引き続いて190℃〜210℃の温度で弛緩熱処理を施すが、本発明では下記式(4)の条件で幅方向に弛緩する必要がある。
【0022】
弛緩率:Z 1. 0≦Z≦4. 0(%) (4)
これは、縦方向の熱水収縮率( SMD) とその直角方向の熱水収縮率( STD) の関係を上述のようにSMD<STDにせしめるためであり、弛緩率が1. 0%より低いと、熱水収縮率はSMD<STDなる関係になるものの、STDが上述の2. 9%より大きくなり、後段の際熱処理工程で高温を設定しなければならず、フィルムの平面性が損なわれるため好ましくない。逆に、弛緩率が4. 0%より高い場合は、SMD≧STDとなって、上記の場合と同様に後段の再熱処理工程でも熱水収縮率斜め差を極小化できない。つまり、上記式(4)の範囲に弛緩率を設定したときのみ、STD≦2. 9かつSMD<STDなる関係にならしめることが可能となる。なお、この弛緩率は、式(4)の範囲内であれば、特に延伸倍率によって限定されることはないが、寸法安定性を向上させるには高延伸倍率の場合は高めに設定することが好ましい。
【0023】このように本発明では、延伸倍率および弛緩率を上述の各式の範囲とすることによって、上記のように、弛緩処理を行った後かつ再熱処理を行う前の段階において、SMD<STDかつSTD≦2. 9%となることが必要である。さらに本発明では、この段階において、SMD≦2.0%かつ熱水収縮率斜め差が1.8%を越えることが必要である。SMDが2.0%よりも大きくなると、再熱処理によってもSMDはほとんど変化せず、この再熱処理によって45度の方向の熱水収縮率と135度の方向の熱水収縮率とのうちの小さい方の熱水収縮率がさらに小さくなることによって、熱収分布の形状が斜め方向にくびれた形状となり、このため熱水収縮率が良化しないという問題が生じる。またこの段階で熱水収縮率斜め差が1.8%以下であると、前記と同様の理由で、後段の再熱処理によって45度の方向の熱水収縮率と135度の方向の熱水収縮率とのうちの小さい方の熱水収縮率が極端に小さくなって、斜め差が良化しないという問題が生じる。
【0024】このようにして得られた延伸フィルムは、いったんクリップから解放して、端部の未延伸残部をトリミングする。そして、その後、連続で浮上式熱処理装置を通過させて、再熱処理を行う。このとき、処理条件を 再熱処理温度:T 160≦T≦200(℃) (5)
再熱処理時間:θt 1. 0≦θt ≦4. 0(s) (6)
とする必要がある。処理温度が式(5)の範囲より低いと、熱処理効果はほとんどなく、処理後の熱水収縮率斜め差は改善されない。また逆に式(5)の範囲よりも高い場合は、幅方向に過度にフィルムが収縮して平面性が損なわれるうえに、巻き取り時のしわを解消できず好ましくないない。処理時間については、上記式(6)の範囲内であれば処理温度により選択可能であり、処理温度が高い場合は短く、低い場合は長く設定するのが好結果をもたらす。好ましくは、180℃の温度で、2〜3秒再熱処理する。
【0025】本発明では、前記条件にて得られた二軸配向ポリアミドフィルムを、直ちに冷却して巻き取る必要がある。冷却しない場合、フィルム走行中に発生する張力や捲取張力によって縦方向にフィルムが延ばされてしまい、しわを誘発したり、得られたフィルムの縦方向の熱水収縮率が大きくなってしまったりして本発明の目的を達成できない。好ましくはガラス転移点温度(Tg )以下、より好ましくは室温以下に冷却する。このための冷却手法は、フィルム全幅を冷却しうるものなら特に限定されず、チルロール、冷風吹出しノズルなど公知の方法が適用しうる。
【0026】なお、弧状型浮上式処理装置の前後のフィルム導入出部位にはテンションカットできる装置を併設することが好ましく、この装置としては、例えば、サクションロール、Sラップロールなどが挙げられる。
【0027】
【実施例】つぎに、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例の評価に用いた測定方法、ならびに特性値の算出方法は、つぎの通りである。
・熱水収縮率2軸配向ポリアミドフィルムの全幅に対して中央部から左右に全幅の35%の位置に、油性インクで100mm間隔の平行線をマークし、これを幅10mmにスリットした。得られた試料を温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で2時間調湿し、調湿後のマーク間の寸法(以後、「処理前の寸法」という)を測定した。これを100℃熱水中で5分間ボイル処理し、その後、再度、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で2時間調湿後、マーク間の寸法(以後、「処理後の寸法」という)を測定した。これらの測定値を用い、下式にて熱水収縮率を算出した。
【0028】
【数1】

【0029】・熱水収縮率斜め差フィルムの縦方向を基準にして、45度および135度の各方向の熱水収縮率の差の絶対値を、熱水収縮率斜め差とした。すなわち、熱水収縮率斜め差(%)=|45度の方向の熱水収縮率−135度の方向の熱水収縮率|・破断強度2軸配向ポリアミドフィルムを、長さ150mm、幅10mmにサンプリングし、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下で2時間調湿した。そして、島津(株)社製オートグラフAG−100E型を使用し、温度20℃、相対湿度65%の条件下で、調湿したフィルムをチャック間距離100mmで掴み、引っ張り速度500mm/分で引っ張って破断させ、そのときの強度を測定した。
・横延伸性2時間の連続生産を行い、そのときにほとんど破断が生じないものを○、しばしば破断が生じ、連続生産性に乏しいものを×と評価した。
実施例1〜6相対粘度3. 0( 95%濃硫酸中、25℃)のナイロン6(ユニチカ社製A1030BRF、融点:220℃)を、260℃で、幅が630mmのTダイよりシート状に溶融押出し、その後、エアーナイフキャスト法により15℃の回転ドラムに密着させて急冷し、厚さ150μmの実質的に無定形で配向していない未延伸ポリアミドフィルム(以後、単に「未延伸フィルム」という)を得た。
【0030】ついで、この未延伸フィルムを周速の異なる一連の加熱ローラ群からなる縦延伸機に導き、55℃の温度で表1に示した種々の条件で縦延伸して、一軸延伸ポリアミドフィルム(以後、単に「縦延伸フィルム」という)を得た。
【0031】続いて、この縦延伸フィルムをテンター式横延伸機に導いてクリップに把持させ、60℃でフィルム延伸のための予熱を行ったあと、90℃の温度で表1に示した種々の倍率で横延伸した。その後、同テンター内で210℃で定幅熱処理を施し、200℃の温度で、それぞれ表1に示す条件で弛緩することで、中間段階の二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0032】引き続いて、この中間段階の二軸配向ポリアミドフィルムの両端をいったんクリップから解放して端部の未延伸残部をトリミングしたのち、浮上式熱処理装置にて、180℃の温度で2. 0s間だけ再熱処理し、表面温度20℃に調整した冷却ロールに接触させることで直ちに冷却して、最終的な二軸配向ポリアミドフィルムを得た。表1に、得られたフィルムの特性値を、再熱処理製造条件とともに示す。
【0033】
【表1】

【0034】実施例7再熱処理条件を160℃、4. 0sとする以外は、実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
実施例8再熱処理条件を180℃、1. 2sとする以外は、実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
実施例9再熱処理条件を200℃、1. 0sとする以外は、実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0035】これら実施例1〜9では、いずれも式(1)のように縦延伸倍率Xを2. 7≦X≦3. 0とし、また式(2)のように横延伸倍率:Yを3. 4≦Y≦4. 0とするとともに、式(3)のように縦横延伸倍率比をY≧1. 3Xとし、さらに式(4)のように弛緩率:Zを1. 0≦Z≦4. 0(%)としたため、再熱処理前に熱水収縮率がSMD<STDとなるようにすることができた。
【0036】弛緩処理後かつ再熱処理の前の段階においては、SMDが2.0%以下、STDが2.9%以下、SMD<STD、かつ熱水収縮率斜め差が1.8%を越えるものであったため、再熱処理後に極端に熱収縮することがなく、熱寸法安定性に優れ、熱水収縮率斜め差が効果的に低減されたフィルムが得られた。
【0037】再熱処理後においては、SMDが2.0%以下、STDが1.0%以下、かつ熱水収縮率斜め差が1.8%以下であったため、熱寸法安定性がよく、製袋後の袋ひねりも殆ど生じず、実用に供するものであった。
【0038】また、フィルムの縦方向とその直角方向との破断強度がともに25kgf/mm2 以上であり、実用上において充分な強度が得られた。フィルムの横延伸性も良好であり、2時間の連続生産を行ってもほとんど破断が生じなかった。
【0039】すなわち、表1から明らかなように、本発明の製造条件によって初めて、操業性の悪化や強度低下を引き起こすことなく、寸法安定性に優れ、熱水収縮率斜め差が極小化されたフィルムが得られた。
比較例1〜8実施例1と同様にして厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。続いて、延伸倍率を前記式(1)〜(3)を満たさない条件として延伸した。そして、それ以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0040】比較例1、2においては、熱水収縮率斜め差は小さいものの、縦延伸倍率が式(1)の範囲未満であったため、縦方向の強度が低く、実用に供せないものしか得られなかった。
【0041】比較例3〜6においては、縦横延伸倍率比が式(3)の条件を満たしておらず、再熱処理前の熱水収縮率がSMD>STDとなるために、最終的に得られるフィルムの熱水収縮率斜め差を極小化することができなかった。さらに比較例5の条件では縦延伸倍率が高く、横延伸時に切断が多発した。
【0042】比較例7〜8においては、横延伸倍率が式(2)の範囲を越えていたので、再熱処理後にも横方向の熱水収縮率STDの大きいものしか得られず、熱寸法安定性が悪かった。また横延伸時にしばしば破断が生じ、連続生産性が乏しかった。
比較例9弛緩率を6. 0%とした以外は実施例1と同様にして二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、再熱処理前の熱水収縮率がSMD>STDなる関係となったため、比較例3〜6と同様、熱水収縮率斜め差の大きいものしか得られなかった。
比較例10再熱処理条件を150℃、10sとした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、この条件では、再熱処理の温度が低すぎ、また時間が長すぎたため、再熱処理の前後において熱水収縮率斜め差に変化がなく、再熱処理効果は発現しなかった。
比較例11再熱処理条件を210℃、2. 0sとした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、この条件では、再熱処理の温度が高すぎたため、横方向に過度にフィルムが収縮し、しわの混入したものしか得られなかった。また熱水収縮率斜め差も大きかった。
比較例12再熱処理時間を0. 5sとたる以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、この条件では、再熱処理の時間が短すぎて処理効果が現れず、再熱処理の前後で熱水収縮率は変化しなかった。
比較例13弛緩率を0%とした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、この条件では、再熱処理前の横方向の熱水収縮率STDが大きくなりすぎ、再熱処理によっても横方向の熱水収縮率STDは大きく、熱水収縮率斜め差が大きくなり、本発明の目的を達成できなかった。
比較例14浮上式熱処理装置による再熱処理の後に冷却しない以外は、実施例1と同様にして、二軸配向ポリアミドフィルムを得た。しかしながら、フィルム走行中に発生する張力や捲取張力によって縦方向にフィルムが伸ばされ、結果として、縦方向の熱水収縮率SMDが大きくなり、また、熱水収縮率斜め差も大きくなった。また、縦方向にしわが発生し、外観の悪いものしか得られなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、寸法安定性に優れ、かつ、熱水収縮率斜め差を極小化させたフィルムを破断なく製造することができ、逐次二軸延伸法による二軸配向ポリアミドフィルムの製造方法として、極めて有効である。また、得られるフィルムは、幅方向にも物性が均一であるため、これまで制限されていた二軸配向ポリアミドフィルムの利用範囲の拡大がはかれる。




 

 


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