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発明の名称 多環芳香族類の微生物分解促進剤及び多環芳香族類で汚染された水又は土壌の浄化方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−15529
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平8−177687
出願日 平成8年(1996)7月8日
代理人
発明者 川中 聡 / 北畠 千嗣
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 グリセロールを含有してなることを特徴とする多環芳香族類の微生物分解促進剤。
【請求項2】 請求項1記載の微生物分解促進剤を用いて多環芳香族類で汚染された水又は土壌を浄化することを特徴とする多環芳香族類で汚染された水又は土壌の浄化方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多環芳香族類(以下、PAHsと略す)分解菌によるPAHs分解を促進するPAHsの微生物分解促進剤及びその促進剤を用いてPAHsで汚染された水又は土壌を浄化する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大型タンカーの船舶事故、石油コンビナートの破損、地下貯蔵タンクの老朽化、石炭ガス化プラントや石油精製工場からの石炭、石油廃棄物の不法投棄等の原因による石油類の土壌、海洋汚染は近年特に増大している。そのため、地下水、海浜、海洋、河川等で広域的な石油類、特に、発ガン性、変異原性を有するPAHsによる汚染が深刻化し、生物的濃縮による人類への影響が心配されはじめている。土壌あるいは海洋に流出した石油類は蒸発、希散を受け、低沸点の脂肪族炭化水素類や単環芳香族類を中心とした軽質分、つまり易分解性成分は比較的速やかに環境中から消失する。しかし、高沸点なタール成分である重質の脂肪族炭化水素類、PAHs等は物理的にも安定であり、生物的にも難分解性であるため、長期間環境中に残存し、食物連鎖により生物体内に蓄積し、ある一定濃度以上に蓄積すると発ガン性、変異原性を発揮すると言われている。このようなPAHsは様々な化学薬品の原料として多方面の分野で現在もなお広く使用されており、工業廃水中にも排出されている。工業廃水中のPAHsについては、従来、化学的、物理的処理方法あるいは通常の活性汚泥法により分解して除去されていた。しかしながら、化学的、物理的分解方法は非効率的で、コストが高くつく等という問題があった。
【0003】近年、このような発ガン性の高いPAHsに対して分解活性を有する微生物を用いた石油汚染海域、汚染土壌又は地下水の浄化方法に関する研究、開発が行われている(例えば、特開平7−23773号公報、特開平7−95878号公報)。また、微生物を用いた石油汚染地域の浄化方法においては、脂肪酸と炭酸カルシウム、炭水化物又は蛋白質から構成される微生物栄養剤(特開昭53−149868号公報)や、フラボバクテリウムが産生する炭化水素乳化剤を含有する可溶化剤(特開平5−92133号公報)等を含有するPAHsの微生物分解促進剤を汚染された海域あるいは土壌に添加して分解菌を増殖させ、分解を促進させる方法が報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの方法で用いられるPAHsの微生物分解促進剤は、一時的に分解菌を増殖させたりもするが、分解促進効果が一過性であり、持続的に分解を促進させることができるものではなかった。本発明は、PAHsで汚染された環境中に存在する土着性のPAHs分解菌あるいは外部から投入したPAHs分解菌によるPAHs分解を持続的に促進させることのできるPAHsの微生物分解促進剤を提供することを目的とするものである。また、本発明は、PAHsを効率よく分解して除去することのできるPAHsで汚染された水又は土壌の浄化方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、グリセロールがPAHs分解菌によるPAHsの分解を持続的に促進させるということを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、第1の発明は、グリセロールを含有してなることを特徴とするPAHsの微生物分解促進剤を要旨とするものである。また、第2の発明は、上記の微生物分解促進剤を用いてPAHsで汚染された水又は土壌を浄化することを特徴とするPAHsで汚染された水又は土壌の浄化方法を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明にいうPAHsとは、ベンゼン環が2個以上結合した化合物のことであり、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ビフェニール、ピレン、クリセン、ジベンゾフラン、フルオレン、キサンテン、アクリジン等が挙げられる。本発明のPAHsの微生物分解促進剤は、このようなPAHsの微生物による分解を促進させるものであり、PAHsが単独であっても、複数が混合していても分解を促進させるものである。
【0007】本発明のPAHsの微生物分解促進剤は、その成分としてグリセロールを含有するものであり、その含有量としては、グリセロールそのものを用いてPAHsの微生物分解促進剤としてもよいが、1〜99重量%が好ましい。特に、液剤を直接、土壌又は水に散布する場合には、液剤の粘性が高くなると取扱いが困難となるために、5〜20重量%であることが好ましい。
【0008】本発明のPAHsの微生物分解促進剤にはグリセロール以外にも、所望により、栄養性炭素源として任意の炭素源を添加してもよい。このような炭素源としては、特に限定されるものではないが、ポリペプトン、カゼイン、肉エキス、カザミノ酸、アミノ酸のような蛋白質系分解物、グルコース、リボース、トレハロース、サッカロースのような炭水化物類、アドニトール、エタノール、ブタノールのような有機物類、酢酸、蟻酸、クエン酸、レブリン酸、酒石酸のような有機酸等が挙げられ、その中でもグルコースのような炭水化物が好ましい。このような炭素源の添加量としては、0.1〜50重量%が好ましく、特に1〜20重量%が好ましい。
【0009】また、窒素源を添加してもよく、このような窒素源としては、特に限定されるものではないが、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、尿素等の無機窒素源又はカゼイン、ポリペプトンや肉エキスのような有機窒素源が挙げられる。また、有機窒素源は、有機炭素源としても利用することができる。このような窒素源の添加量としては、0.1〜50重量%が好ましく、特に1〜20重量%が好ましい。
【0010】さらに、無機塩類としては、各種のリン酸塩、硫酸マグネシウム等や、微量の無機重金属塩(鉄塩、マンガン塩等)を添加してもよく、イーストエキスのような有機物を微量金属源として添加してもよい。また、必要に応じて、ビタミン類を添加してもよい。
【0011】また、PAHsは難水溶性であるためにツイン80、トリトンX100、フォスファノールのような界面活性剤を添加することが好ましく、その添加量としては、0.1〜50重量%が好ましく、特に1〜20重量%が好ましい。
【0012】本発明のPAHsの微生物分解促進剤の形態としては、特に限定されるものではなく、液状、ゲル状、カプセル状、ペレット状、顆粒状、粉末状等が挙げられ、好ましくは液状である。これらの形態には、公知の方法により、製剤化助剤と混和して製造することができる。
【0013】次に、本発明のPAHsで汚染された水又は土壌の浄化方法について説明すると、上記のPAHsの微生物分解促進剤を、PAHsで汚染された水又は土壌、例えば、土壌、河川、海浜、海洋、廃水等に添加すればよい。
【0014】このときのPAHsの微生物分解促進剤の添加量としては、グリセロール含有量や汚染状況(水又は土壌に含まれるPAHsの量)に応じて適宜決定すればよいが、通常、水又は土壌1kgに対して1〜1,000mlとなるように添加することが好ましく、特に10〜100mlとなるように添加することが好ましい。
【0015】浄化する際の温度としては、微生物が生存し、PAHsを分解する能力が発揮できる温度であれば特に限定されるものではないが、好ましくは10〜50℃であり、さらに好ましくは15〜30℃である。また、処理に要する時間としては、汚染物質の濃度、種類、分解性微生物の数等によって変化するので、適宜選択すればよい。
【0016】本発明においては、上記のPAHsの微生物分解促進剤とともに土壌改良剤、界面活性剤、生石灰、微生物栄養剤、pH緩衝剤、酸素供給剤等を添加してもよく、また、PAHs分解能を有する微生物やこのような微生物の製剤を添加してもよい。このような微生物としては、例えば、シュードモナス属、カンジダ属、トリコデルマ属、モラキセラ属、アエロモナス属、マイコバクテリウム属、バクフォルデリア属に属する微生物が挙げられ、特に、バクフォルデリア属に属する微生物は多種類のPAHsに対する分解能を有するので好ましく、具体的に、バクフォルデリア属PHN−5株(FERM P−15024株)やバクフォルデリア属N372B株(FERM P−15025株)が挙げられる。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1、比較例1〜5グリセロール(実施例1)、グルコース(比較例1)、サッカロース(比較例2)、エタノール(比較例3)、酢酸(比較例4)を水で希釈してPAHsの微生物分解促進剤(10重量%水溶液)を作製した。次に、予めPAHsで汚染されていない非汚染土壌25gに粉末状のフェナントレン50mgを添加して作製した人工汚染土壌に、上記のPAHsの微生物分解促進剤を0.16〜0.2ml添加し、あるいは水0.2mlを添加し(比較例5)、25℃で14日間静置した。なお、それぞれの溶液の添加量は、土壌1g中の全炭素量(以下、TOCと略す)が一定になるように調節した。
【0018】この土壌を7日後に回収し、土壌中の残存フェナントレン量を測定した。このとき、土壌中のフェナントレンの定量は、土壌1gを乾燥させ、酢酸エチルと懸濁して5時間放置した後、グラスフィルター(ワットマン社製)でろ過して土壌を除去し、ガスクロマトグラフィー(ウォーターズ社製)により分析した。ガスクロマトグラフィーはカラムをTC−1(GLサイエンス社製 0.25mm ×60m )とし、90℃で試料を注入して4分間保持させた後、30℃/分で昇温し、300℃で2分間保持させ、水素炎イオン化検出器(FID)で検出した。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】表1から明らかなように、土壌に本発明の微生物分解促進剤を添加することにより、PAHsの分解を促進させることができ、PAHsで汚染された土壌を効率よく浄化することができた。
【0021】実施例2、比較例6、7グリセロール10gと、硫酸アンモニウム10gと、フォスファノール RB−410(東邦化学工業社製)2.5gとを混合し、これを純水77.5gで希釈して液状のPAHsの微生物分解促進剤を作製した。次に、PAHsで汚染されていない非汚染土壌50gに炭酸カルシウム10mgと粉末状のアントラセン90mgとを添加して人工汚染土壌を作製し、この土壌のうち50gに、水1mlを添加した系(比較例6)、あるいは栄養液(グルコース4重量%、ペプトン1重量%を含む水溶液)を0.2mlと水0.8mlを添加した系(比較例7)、上記のPAHsの微生物分解促進剤0.2mlと水0.8mlを添加した系(実施例2)を作製し、25℃で22日間静置した。この間、定期的に土壌を採取し、土壌中の残存アントラセン量、アントラセン分解菌数及びTOCを測定した。
【0022】このとき、土壌中の残存アントラセン量は実施例1のフェナントレンの定量と同様の方法で測定した。また、土壌中のアントラセン分解菌数は以下のようにして測定した。まず、土壌1gをサンプリングし、滅菌水1mlに懸濁し、混釈法(微生物学実験法 講談社 微生物研究懇談会編)により、無機寒天培地(硫酸アンモニウム 2.5g/l、硫酸マグネシウム7水和物 250mg/l、リン酸2水素カリウム 500mg/l、塩化カルシウム2水和物 10mg/l、塩化ナトリウム 500mg/l、寒天 20g/l pH6.5)上に懸濁液50μlを塗布した。次いで、寒天培地上にジエチルエーテルに溶解したアントラセン液を噴霧して、3日後に出現したコロニー数をカウントし、以下の式により土壌1g当たりの菌数を算出した。
【0023】
【数1】

【0024】さらに、TOCは土壌1gに純水5mlを添加し、30分間混合した後、10,000rpmで10分間遠心分離して得た上清をTOC分析機(島津製作所製)で分析した。その結果を図1〜3に示す。図1は残存アントラセン量の経時変化を示す図であり、縦軸にアントラセンの量を、横軸に静置日数を示している。図2はアントラセン分解菌数の経時変化を示す図であり、縦軸にアントラセン分解菌数を、横軸に静置日数を示している。図3はTOCの経時変化を示す図であり、縦軸にTOCを、横軸に静置日数を示している。
【0025】図1から明らかなように、本発明のPAHsの微生物分解促進剤を添加した系(実施例3)では10日目から急激なアントラセンの分解が起こり、22日目には99.5%のアントラセンが土壌中から分解、除去されたが、無添加系(比較例6)では緩やかな分解しか見られず、22日目の分解率は84.9%であった。また、促進剤と同等の栄養効果を有する栄養液を添加した系(比較例7)でも、無添加系(比較例6)とほぼ同じ分解率しか得られなかった。また、アントラセン分解菌数については、本発明のPAHsの微生物分解促進剤を添加した系(実施例3)では分解菌の増加が認められたが、その他の系(比較例6、7)ではほとんど増加しなかった。このときのTOC変化を図4でみると、比較例7と実施例3は、ともに10日目で既にTOCは減少しており、栄養剤としての効果は消失していることが明らかであった。以上のことから、分解促進剤中のグリセロールは栄養剤としての効果以外にも、土壌中のアントラセン分解菌を持続的に活性化させていることがわかる。
【0026】
【発明の効果】本発明のPAHsの微生物分解促進剤は、PAHsで汚染された水又は土壌中に存在するPAHs分解菌あるいは外部から投入したPAHs分解菌のPAHs分解能を持続的に促進させることができる。また、本発明の浄化方法によれば、PAHsで汚染された水又は土壌を効率よく浄化することができる。




 

 


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