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発明の名称 2相ステンレス溶接鋼管の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−99984
公開日 平成10年(1998)4月21日
出願番号 特願平8−260694
出願日 平成8年(1996)10月1日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男 (外1名)
発明者 塩崎 毅 / 真保 幸雄 / 大村 雅紀
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 2相ステンレス鋼帯を、一定方向に連続的に移動させながら管状に成形し、得られた管状成形体の突き合わされた端部を、電気抵抗加熱または高周波誘導加熱により加熱し、そして、1対のスクイズロールによって突き合わせ、スクイズセンターでアプセットをかけつつ、前記管状成形体の突き合わせ端部が最初に接するV収束点から前記スクイズセンターまでの間においてレーザービームを照射することにより、前記突き合わせ端部を溶接し、次いで、溶接シーム部近傍に対し、加熱および水冷からなる溶体化処理を連続的に施すことを特徴とする、2相ステンレス溶接鋼管の製造方法。
【請求項2】 前記スクイズロールによるアプセット量を、下記式によって算出された、0.01%〜0.2%の範囲内の値とする、請求項1記載の方法。
〔(鋼帯の幅−鋼管の外径)/鋼帯の幅〕×100【請求項3】 前記溶体化処理を、1000〜1100℃の温度で5〜30秒保持し、次いで、冷却することによって行う、請求項1または2記載の方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、化学装置用材料、ラインパイプおよび油井管などの分野に使用される2相ステンレス溶接鋼管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2相ステンレス鋼は、フェライト相とオーステナイト相とからなる複合組織を有しており、鋼中におけるCr、Ni、Mo、N の含有量をコントロールすることによって、塩素イオン環境や炭酸ガス環境において優れた耐食性を示し、オーステナイト系ステンレス鋼およびフェライト系ステンレス鋼に比べて、高強度であることが知られている。
【0003】このように、耐食性および強度特性に優れた2相ステンレス鋼からなる大径の溶接鋼管は、一般に、2相ステンレス鋼板をUOプレス法によって管状に成形した後、そのシーム部をタングステンイナートガス溶接またはサブマージ溶接のようなアーク溶接法で溶接することにより製造される。
【0004】管状に成形された2相ステンレス鋼板のシーム部を、アーク溶接法で溶接すると、フェライト単相で凝固が完了する溶融部とフェライト単相領域まで加熱された熱影響部とでは、冷却後、最終的にフェライト相の粒界および粒内からオーステナイト相が析出し、母材とは異なる組織形態を呈する。
【0005】即ち、溶接部においては、冷却が速いために、フェライト相の粒界および粒内からのオーステナイト相の析出は、平衡状態に到達することができず、母材に比べてフェライト相の比率が高くなる結果、耐食性および靱性の劣化を招いている。このように、性能が低下する溶接部および熱影響部に対する対策として、従来、管体全体に対し、約1050℃の温度で5〜30分間溶体化熱処理を施し、相比率を回復させることが必須とされていた。
【0006】一方、近年、溶接鋼管の製造方法としてレーザ溶接を用いた方法が開発され、ステンレス鋼管を対象として一部実用化され始めている。レーザ溶接法は、鋼帯を管状に成形し、得られた管状成形体を一定方向に連続的に移動させ、その突き合わせ端部を電気抵抗加熱または高周波誘導加熱により予熱した後、上方からレーザビームを照射することによって突き合わせ部を連続的に溶融しそして溶接する方法である。
【0007】このようなレーザ溶接法によれば、レーザビームは極小径に集束され、高エネルギー密度の熱源として用いられるので、通常のアーク溶接法と比較すると、溶接ビードは幅狭で深溶込みになる。従って、高速溶接が可能になり、生産性を向上させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、レーザ溶接法も溶融溶接法の一種であるために、2相ステンレス鋼帯の突き合わせ部を溶融しそして凝固させたままの溶接金属においては、アーク溶接法と同様に、母材に比較してフェライト相の比率が高い組織になる。その結果、製管後における溶体化処理を、従来と同様に約1050℃の温度で5〜30分間行うことが必要になり、生産性が損なわれることになる。
【0009】従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、2相ステンレス溶接鋼管の製造に際し、溶接金属の組織回復を促進し、溶接後に行われる溶体化処理時間を飛躍的に短縮させ、生産効率を向上させ得る方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した観点から、2相ステンレス溶接鋼管の製造に際し、溶接後に行われる溶体化処理時間を飛躍的に短縮させることができる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、2相ステンレス鋼板が、溶接によりフェライト単相領域から急冷されるような熱履歴を受ける場合に、鋼板に対し950℃以上の温度で適当な圧下を与えると、フェライト組織が微細化し、フェライト結晶粒界が増加する結果、フェライト結晶粒界から析出するオーステナイト量が増大して、その後の溶体化処理時間を飛躍的に短縮し得ることを見出した。
【0011】この発明は、上記知見に基づいてなされたものであって、圧下のかかっている領域においてレーザ溶接を行い、溶融部が凝固すると直ちに溶融金属が圧下を受けることを利用するものである。即ち、本発明の2相ステンレス溶接鋼管の製造方法は、2相ステンレス鋼帯を、一定方向に連続的に移動させながら管状に成形し、得られた管状成形体の突き合わされた端部を、電気抵抗加熱または高周波誘導加熱により加熱し、そして、1対のスクイズロールによって突き合わせ、スクイズセンターでアプセットをかけつつ、レーザービームを、前記管状成形体の突き合わせ端部が最初に接するV収束点から、前記スクイズセンターまでの間において照射することにより、前記突き合わせ部を溶接し、次いで、溶接シーム部近傍に対し、加熱および水冷の溶体化処理を連続的に施すことに特徴を有するものである。
【0012】前記スクイズロールによるアプセット量は、下記式によって算出された値が、0.01%〜0.2%の範囲内であることが必要である。
〔(鋼帯の幅−鋼管の外径)/鋼帯の幅〕×100また、前記溶体化処理を、1000〜1100℃の温度で5〜30秒保持し、次いで、冷却することによって行うことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の概略正面図、図2は、図1の部分拡大平面図である。図面に示すように、成形ロール2によって管状に成形された管状成形体1は、矢印に示す一定方向に連続的に移動し、図示しない電気抵抗加熱または高周波誘導加熱によって、その突合わせ端部が加熱された後、1対のスクイズロール3によって管状成形体1をその両側面から加圧し、その両側端を突合わせる。次いで、スクイズセンター4にレーザビーム5を照射することにより、突合わせ部は溶融しそして溶接される。このようにして突き合わせ部が溶接された鋼管は、次いで、加熱装置6および水冷ゾーン7により溶体化熱処理が施される。
【0014】本願発明においては、レーザビーム5の照射を、上述したように、管状成形体の突き合わせ端部が最初に接するV収束点8からスクイズセンター4までの間において行う。即ち、V収束点8からスクイズセンター4までの間は、1対のスクイズロール3によりアプセットされているので、管状成形体1の両端は突き合わされ、圧下がかかっている。従って、この間においてレーザビーム5を照射し、突き合わせ部を溶融させると、溶融部は直ちに凝固し、そして、凝固金属に圧下がかけられる。
【0015】凝固直後、圧下のかかった凝固金属は、前述したようにフェライト粒の細粒化が促進され、フェライト粒界からのオーステナイト相の析出が促進される。突き合わせ部のアプセット量は、下記式〔(鋼帯の幅−鋼管の外径)/鋼帯の幅〕×100によって算出された、0.01%〜0.2%の範囲内の値とすべきである。アプセット量が0.01%未満では、溶接金属のフェライト組織の微細化が不十分になり、フェライト結晶粒界から析出するオーステナイト量を増大させることができない。一方、アプセット量が0.2%を超えると、溶接金属近傍でのメタルフローの立ち上がりが急峻になり、機械的性質が劣化する。
【0016】レーザービームの照射位置は、V収束点8からスクイズセンター4までの間とすることが必要である。その理由は、溶融凝固金属に対し、凝固直後に圧下をかけるためである。スクイズセンター4よりもラインの下流側でレーザービームを照射したのでは、鋼管のスプリングバックによって、溶接金属に引張り力がかかるため、溶接金属に割れが発生する。一方、V収束点8よりも上流側でレーザービームを照射したのでは、管状成形体の突き合わせ端部に存在する隙間をレーザービームが通過し、溶接部を形成することができない。
【0017】上述したように、V収束点8からスクイズセンター4までの間においてレーザービームを照射し、突き合わせ部を溶接した後に行う、溶接シーム部近傍の溶体化処理は、1000〜1100℃の範囲内の温度で、5〜30秒間保持することが好ましい。上記条件で溶体化処理を施すことにより、溶接金属は、母材と同程度の耐食性および靱性を示す。従って、レーザービームによる溶接後に、溶接シーム部近傍に対し、連続的に溶体化処理を施すことにより、十分な性能を示す溶接鋼管が得られる。
【0018】溶体化処理時間が5秒未満では、上述した作用の所望の効果が得られない。一方、溶体化処理時間が30秒を超えても、組織の回復は30秒程度で完了する結果、より以上の効果が得られず、製管速度が低下して生産性の低下を招く。
【0019】
【実施例】次に、この発明を、実施例により比較例と対比しながら説明する。表1に示す化学成分組成の2相ステンレス鋼片を厚さ6mmおよび10mmまで熱間圧延し、次いで、溶体化熱処理を施して、2相ステンレス熱延鋼帯を調製した。
【0020】
【表1】

【0021】得られた2相ステンレス熱延鋼帯を、図1および図2に示したように一定方向に連続的に移動させながら、多段成形ロール法により連続的に円筒状に成形し、得られた管状成形体の突き合わされた端部を、電気抵抗加熱または高周波誘導加熱により加熱し、そして、1対のスクイズロールにより、本発明の範囲内の量でアプセットすると共に、本発明の範囲内の区域において、25KW炭酸ガスレーザを照射することにより突き合わせ部を溶接した。次いで、溶接シーム部近傍を、1000〜1100℃の範囲内の温度で熱処理することにより、外径406.4mmおよび508mmの、表2に示す本発明方法による2相ステンレス溶接鋼管の供試体(以下、本発明供試体という)No. 1〜32を調製した。
【0022】
【表2】

【0023】比較のために、管状成形体に対するアプセット量および炭酸ガスレーザの照射位置の少なくとも1つが本発明の範囲外であるほかは、上記と同じ方法により、表3に示す比較用の溶接鋼管の供試体(以下、比較用供試体という)No. 1〜11を調製した。
【0024】
【表3】

【0025】なお、表2および表3において、レーザービーム照射位置は、スクイズセンターよりも上流側を正の数値で示し、そして、スクイズセンターよりも下流側を負の数値で示した。なお、この実施例における製管速度12m/minが溶体化保持時間5秒に相当する。
【0026】本発明供試体No. 1〜32および比較用供試体No. 1〜11の各々から、長さ20mmの溶接部を切り出し、溶接金属を測定面とする試験片を調製した。この試験片を、60℃の温度の5%NaCl+CH3COOH 溶液に浸漬し、その孔食発生電位を調べた。また、本発明供試体および比較用供試体の溶接部から採取した1/2サイズのシャルピー試験片により溶接金属の衝撃試験を実施し、その延性脆性遷移温度(vTrs)を調べると共に、割れの発生の有無を調べた。その結果を表4および表5に示す。
【0027】
【表4】

【0028】
【表5】

【0029】表2および表4から明らかなように、本発明の範囲内の量でアプセットし、且つ、本発明の範囲内の区域において炭酸ガスレーザを照射することにより突き合わせ部を溶接した本発明供試体No. 1〜32においては、溶接金属の孔食電位が母材と同程度の420mV以上であり、延性脆性遷移温度(vTrs)は−70℃以下であって、優れた耐食性および靱性が得られた。
【0030】これに対して、比較用供試体No. 1およびNo. 7は、溶接後に溶接金属に十分な加圧力が負荷されなかったために、オーステナイトの生成が不十分であった結果、耐食性および靱性がともに劣化した。比較用供試体No. 5およびNo. 10は、アプセット量が大きすぎたために、メタルフローの立ち上がりが急峻になったため、靱性の劣化を招いた。また、比較用供試体No. 2〜4、No. 6、8、9および11は、鋼管のスプリングバックにより、溶接金属に割れが生じた。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、2相ステンレス溶接鋼管の製造に際し溶接金属の組織回復を促進し、溶接後に行われる溶体化処理時間を飛躍的に短縮させ、生産効率を向上させることができる、工業上有用な効果がもたらされる。




 

 


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