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発明の名称 電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法およびその装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−94862
公開日 平成10年(1998)4月14日
出願番号 特願平8−254816
出願日 平成8年(1996)9月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男 (外1名)
発明者 鷲見 郁宏 / 中田 正之 / 村上 勝彦
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 連続鋳造鋳型の鋳型高さの範囲内の少なくとも2水準のそれぞれの高さに前記鋳型の外周を囲んで電磁コイルを設け、前記電磁コイルにより前記鋳型の内部に高周波電磁場を印加しつつ前記鋳型で溶融金属を凝固させながら下方に引き抜く溶融金属の連続鋳造方法において、前記鋳型として、前記各電磁コイルで外周を囲まれた高さ方向範囲の一部または全部を含む範囲の全周領域に鉛直方向のスリットを有する水冷鋳型を用い、前記各電磁コイルの間に導電性の磁気シールド材を前記鋳型の外周を囲んで設け、そして、前記高周波電磁場を連続的または間欠的に印加することにより各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することを特徴とする電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項2】 連続鋳造鋳型の鋳型の直上と、鋳型高さの範囲内の少なくとも1水準の高さとに電磁コイルを設け、前記鋳型直上の電磁コイルは前記鋳型の軸芯を囲んで配置し、前記鋳型高さ範囲内の電磁コイルは前記鋳型の外側を囲んで配置し、前記各電磁コイルにより前記鋳型の内部に高周波電磁場を印加しつつ前記鋳型で溶融金属を凝固させながら下方に引き抜く溶融金属の連続鋳造方法において、上部に鉛直方向のスリットを有し前記上部が櫛形を呈し、且つ、前記電磁コイルで外周を囲まれた高さ方向範囲の一部または全部を含む範囲の全周領域に鉛直方向のスリットを有する水冷鋳型を用い、前記各電磁コイルの間に導電性の磁気シールド材を前記鋳型の外周を囲んで設け、そして、前記高周波電磁場を連続的または間欠的に印加することにより各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することを特徴とする電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項3】 上側に設置された前記電磁コイルと下側に設置された前記電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、前記上側の電磁コイルで鋳型振動のポジティブストリップ期と比較してネガティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加する、請求項1または2記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項4】 上側に設置された前記電磁コイルと下側に設置された前記電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、前記下側の電磁コイルで鋳型振動のネガティブストリップ期と比較してポジティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加する、請求項1または2記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項5】 上側に設置された前記電磁コイルと下側に設置された前記電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、前記上側の電磁コイルで鋳型振動のポジティブストリップ期と比較してネガティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加し、且つ前記下側の電磁コイルで鋳型振動のネガティブストリップ期と比較してポジティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加する、請求項1または2記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項6】 前記シールド材の厚さは下記(1)式:δ={2/(μωσ)}1/2 ------------------(1)
但し、δ:磁場浸透深さ(m)
μ:透磁率(H/m)
ω:角周波数(rad/s)
σ:電気伝導率(Ω-1/m)
で表わされる磁場浸透深さδよりも大きい、請求項1から5のいずれか一つに記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項7】 連続鋳造用鋳型の鋳型高さ範囲内の少なくとも2水準のそれぞれの高さに前記鋳型の外周を囲むように設けられた各電磁コイルと、前記各電磁コイルの高さ範囲の全部または一部を含む範囲の全周領域に鉛直方向のスリットを有する溶融金属の連続鋳造用水冷鋳型と、前記各電磁コイル間の高さ範囲の全部または一部を含む範囲に、前記鋳型の外周を囲んで設けられた磁気シールド材とが備えられていることを特徴とする電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造装置。
【請求項8】 連続鋳造用鋳型の直上に前記鋳型の中心軸線を囲むように設けられた電磁コイルと、鋳型高さ範囲内の少なくとも1水準の高さに前記鋳型の外周を囲むように設けられた電磁コイルと、鉛直方向のスリットを少なくとも上部に有し前記上部が櫛形を呈し、前記鋳型の外周を囲むように設けられた前記電磁コイルの高さ範囲の全部または一部を含む範囲の全周領域に鉛直方向のスリットを有する溶融金属の連続鋳造用水冷鋳型と、前記各電磁コイル間の高さ範囲の全部または一部を含む範囲に、前記鋳型の外周を囲んで設けられた磁気シールド材と、が備えられていることを特徴とする電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶融金属の連続鋳造、特に鋼の連続鋳造方法に関し、鋳片の品質を向上させると共に鋳造速度を大幅に向上させることを可能とする電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融金属を冷却された鋳型内に注入し、凝固しつつある鋳片を連続的に鋳型内から引き抜き連続鋳造を実施する際に、鋳片の凝固は鋳型の内壁面から開始し、薄い凝固殻を形成しつつ進行する。そのため、連続引抜きに伴なう鋳型−凝固殻間の摩擦力によって凝固殻に大きな力が加わり、凝固殻の変形による鋳片表面の欠陥や、凝固殻の破断によるブレークアウトのような種々の問題が発生する。このような問題は鋳造速度の増大に伴って一層顕著となる。上記問題を解決するためには、鋳型−凝固殻間の摩擦力を低減させると共に、凝固殻を強化しその健全性を高めることが必要であり、この目的達成のために電磁力を利用した連続鋳造方法が検討されている。
【0003】単体の電磁コイルによって電磁場を連続鋳造鋳型内の鋳片に印加する方法は従来から研究されており、例えば、特開平8−33959号公報に示されているように、連続鋳造鋳型の外部に電磁コイルを配置し、鋳型内溶融金属のメニスカス近傍に高周波電磁場を印加する方法が一般的である。これは、メニスカス近傍に高周波電磁場を印加すると、溶融金属に誘導電流が発生し、この誘導電流と印加された電磁場との相互作用により電磁コイルと反発する方向にローレンツ力が作用する現象を利用するものである。上記特開平8−33959号公報は、電磁コイルと鋳型外面との間に上下可動な電磁シールド材を配設し、これを上下に動かすことにより鋳型内溶融金属のメニスカス部での電磁場の強度を制御する方法(先行技術1という)を開示している。
【0004】また、鋳型内溶融金属のメニスカス部や凝固殻に対する種々の電磁場効果を利用するために、複数の電磁コイルを鋳型の外周部に配置することもある。例えば、特開平8−141710号公報は、鋳型−凝固殻間の摩擦力低減および凝固殻の強化を行なうために、鋳型の外周部にメニスカスを挟んで上下2段に電磁コイルを設置し、鋳型内溶融金属のメニスカス近傍に高周波電磁力を作用させながら連続鋳造をする方法(先行技術2という)を開示している。これは上段の電磁コイルまたは下段の電磁コイルのいずれか一方のみに印加し、同時に上下段両方の電磁コイルに印加することはしないものである。そして、上段の電磁コイルの印加によりメニスカス近傍の凝固殻に鋳型内側の斜め下方に押曲げ力を作用させることにより上記凝固殻内部に圧縮力を作用させ、ネガティブストリップ期における凝固殻に対する圧縮力に加算され、かくして凝固殻の強化をしている。一方、下段の電磁コイルの印加により鋳型内周にコイルから離れる向きの高周波磁力が作用し、溶湯を内方向に押し戻すことによって鋳型と凝固殻との間に流入する溶融パウダーの量が増加することにより、鋳型−凝固殻間の摩擦力を低減させている。
【0005】上述したように、電磁力を溶融金属もしくは凝固殻に作用させる場合、低周波電磁場を用いると大きな電磁力が得られるが撹拌力も大きくなり、湯面の乱れを助長するので避けるべきでる。従って、高周波電磁場を用いることになるが、高周波電磁場を印加すると所謂表皮効果のため、鋳型の外側から鋳型内部に電磁力を作用させることは困難である。そこで、通常、電磁コイルを設置する場所に当たる鋳型上部に鉛直方向(鋳型の高さ方向)にスリットを設けた櫛形の鋳型を用いる。図5に、上部に鉛直方向のスリットを設け櫛形を呈した鋳型の概念図を示す。かくして、鋳型内部に効率よく電磁力を印加することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】溶融金属の連続鋳造において、鋳型−凝固殻間の摩擦力を低減させると共に凝固殻を強化しその健全性を高めるためには、先行技術2が開示しているように、複数の電磁コイルを用いることにより効率よく行なうことができ、実用化が可能となる。この場合、複数の電磁コイルに同時に印加し同時に複数の電磁力を鋳型内側に作用させることにより、上記鋳型−凝固殻間の摩擦力の低減および凝固殻を強化するに当たり、連続鋳造の各種操業条件、例えば、鋳造速度、鋳型の振動条件および鋳型形状・寸法等の変化に対して一層適切に対応することができると共に、電磁力印加による上記効果を更に向上させることができる。従って、上記利点を活用するために複数の電磁コイルを同時に使用することが必要である。
【0007】これに対して、先行技術2では複数の電磁コイルを設置しているが、同時に複数の電磁場を印加した場合の電磁場の干渉についての記載はない。しかしながら、複数の電磁コイルによって電磁場を印加する場合、鋳片の初期凝固部、従って極めて狭い領域に複数の電磁場を印加しなければならないので、各電磁コイルは互いに近接して配置しなければならない。ところが、複数の電磁コイルによって上記狭い領域に複数の電磁場を印加しようとすると、それぞれの電磁場強度に応じて互いに及ぼし合う影響度合いが異なり、電磁場分布が一定とならない。従って、使用する電磁場強度に応じてその都度電磁コイルの配置を変える必要が生じる。
【0008】また、電磁場を間欠的に印加することは、鋳型−凝固殻間の摩擦力低減および凝固殻の強化を図る際に、鋳型振動速度と鋳造速度との大小関係即ち、ポジティブストリップ期およびネガティブストリップ期と印加すべき電磁場強度との関係を適正化するために必要となる場合がある。特に、電磁場を間欠的に印加した場合はその非定常性から電磁場分布および強度が不安定となる。この不安定性により鋳片の凝固殻に加わる電磁場の効果が減少し、各電磁コイルへの印加パターン如何によっては、逆に鋳片の表面欠陥が増大してしまう。また、各電磁コイルで類似の周波数を用いた場合や各電磁コイルの配置如何によっては、高周波電源の発振方式により電磁場の発振自身を阻害することがある。
【0009】この発明の課題は、鋳型の外側や鋳型の直上に配置した複数の電磁コイルを用いて鋳片の表面欠陥を低減させるに際し、相互に他の電磁コイルからの電磁場の影響を受けることなく、それぞれの電磁コイルから鋳型内の溶融金属のメニスカス近傍の凝固殻に対して、希望する電磁場を安定して得る方法および装置を開発することにあり、このような課題を解決することにより上述した問題を解消しようとするものである。
【0010】従って、この発明の目的は、連続鋳造時の連続引抜きに伴なう鋳型−凝固殻間の摩擦力によって凝固殻に大きな力が加わっても凝固殻に変形をきたさず、鋳片表面に欠陥を発生させず、且つ凝固殻の破断防止によりブレークアウトを防止することにより、鋳片の品質を向上させると共に鋳造速度を大幅に向上させることを可能とする、電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法およびその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した問題点を解決すべく鋭意研究を重ね、その結果下記知見を得た。
【0012】鋳型に対して設置された各電磁コイル間の空隙部に磁気シールド材を設置することにより、各電磁コイルによって生じる電磁場が拡散する領域が上記磁気シールド材によって限定され、お互いの電磁場分布が干渉することにより生じる電磁場の歪み等の電磁場特性に対する影響を最小限に食い止めることが可能となる。このように、他の電磁コイルによる電磁場の影響を殆んど受けないために、他の電磁コイルの電磁場強度の如何によらず一定の電磁場分布を得ることができる。即ち、電磁場を印加したい場所への安定した電磁場印加が可能となる。また、逆に、電磁場強度を電磁コイルの印加条件によって変化させても、他の電磁コイルの電磁場分布に影響を及ばさない。
【0013】このように、各電磁コイル間に磁気シールド材を設けることによって、お互いの電磁場強度が操業条件によって変化しても常に一定の場所に磁場を印加することが可能となり、鋳片の凝固殻に及ぼす電磁場の効果を安定して最大限に発揮させることができる。
【0014】更に、各電磁コイル間に磁気シールド材を設けることは、電磁コイルによって印加される電磁場が間欠的である場合または電磁場強度が周期的に変化する場合に、下記理由により特にその効果を発揮する。即ち、上記場合、電磁場の印加立上がりや印加立下がりが生じるために同じ連続鋳造の操業条件下でも磁場強度の変化が大きくなる。電磁場分布が非定常なこのような場合には、お互いの電磁コイルによる電磁場の干渉の影響が極めて大きくなり、磁場分布の不安定性が問題となる。この不安定性は磁場印加の間欠の周期が長くなるにつれて電磁場の干渉の影響は大きくなり、間欠印加の周期と鋳型の振動周期とを同期させる場合には特に大きくなるために、鋳型内溶湯メニスカスの乱れを誘発する。ところが、各電磁コイル間に磁気シールド材を設けることにより各電磁コイルの干渉が抑制され、間欠印加時にも干渉に伴なう磁場分布の不安定性を最小限にすることができる。
【0015】上記効果を発揮させるためには、磁気シールド材の厚さは、下記(1)式:δ={2/(μωσ)}1/2 ------------------(1)
但し、δ:磁場浸透深さ(m)
μ:透磁率(H/m)
ω:角周波数(rad/s)
σ:電気伝導率(Ω-1/m)
で表わされる磁場浸透深さδよりも大きくすることが望ましい。
【0016】上述した方法により、メニスカス近傍の凝固殻に対して、複数の電磁コイルで安定した高周波電磁場分布をうることが可能となれば、効果を奏することができる。
【0017】さて、前述したように、上側(上部)の電磁コイルの印加によりメニスカス近傍の凝固殻内部に圧縮力を作用させることにより、ネガティブストリップ期における凝固殻に対する圧縮力にこれを加算することにより、凝固殻の一層の強化を図ることができる。従って、下側(下部)の電磁コイルよりも上側の電磁コイルによる電磁場印加を大きくし、且つ、ポジティブストリップ期よりもネガティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加することにより、上記効果が発揮される。また、ポジティブストリップ期に下側の電磁コイルで印加することにより、モールドパウダーの凝固殻−鋳型間への流込み量が増加し、その間の摩擦力が低減されることから、下側の電磁コイルよりも上側の電磁コイルによる電磁場印加を大きくし、且つ、ネガティブストリップ期よりもポジティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加することにより、上記効果が発揮される。
【0018】この発明は上記知見に基づきなされたものであって下記構成を有する。請求項1記載の発明の方法は、連続鋳造鋳型の外周を囲んで少なくとも2水準の高さのそれぞれの場所に電磁コイルを設け、電磁コイルにより鋳型の内部に高周波電磁場を印加しつつ鋳型で溶融金属を凝固させながら下方に引き抜く溶融金属の連続鋳造方法において、鋳型として、各電磁コイルで外周を囲まれた部分の一部または全部を含んで全周に鉛直方向のスリットを有する水冷鋳型を用い、各電磁コイルの間に導電性の磁気シールド材を前記鋳型の外周を囲んで設け、そして、高周波電磁場を連続的または間欠的に印加することにより各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。
【0019】請求項2記載の発明の方法は、連続鋳造鋳型の鋳型の直上と、鋳型の外周を囲んで少なくとも1水準の高さとに電磁コイルを設け、鋳型直上の電磁コイルは鋳型の軸芯を囲んで配置し、各電磁コイルにより鋳型の内部に高周波電磁場を印加しつつ鋳型で溶融金属を凝固させながら下方に引き抜く溶融金属の連続鋳造方法において、上部に鉛直方向のスリットを有し上部が櫛形を呈し、且つ、電磁コイルで外周を囲まれた部分の一部または全部を含む範囲の全周領域に鉛直方向のスリットを有する水冷鋳型を用い、各電磁コイルの間に導電性の磁気シールド材を鋳型の外周を囲んで設け、そして、高周波電磁場を連続的または間欠的に印加することにより各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。
【0020】請求項3記載の発明の方法は、請求項1または2記載の発明において、上側に設置された電磁コイルと下側に設置された電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、上側の電磁コイルで鋳型振動のポジティブストリップ期と比較してネガティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加することにより、各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。
【0021】請求項4記載の発明の方法は、請求項1または2記載の発明において、上側に設置された電磁コイルと下側に設置された電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、下側の電磁コイルで鋳型振動のネガティブストリップ期と比較してポジティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加することにより、各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。
【0022】請求項5記載の発明の方法は、請求項1または2記載の発明において、上側に設置された電磁コイルと下側に設置された電磁コイルとの二組の電磁コイルを用い、上側の電磁コイルで鋳型振動のポジティブストリップ期と比較してネガティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加し、且つ下側の電磁コイルで鋳型振動のネガティブストリップ期と比較してポジティブストリップ期においてより大きな電磁場を印加することにより各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。
【0023】請求項6記載の発明の方法は、請求項1から5のいずれか一つに記載の発明において、シールド材の厚さを式:δ={2/(μωσ)}1/2 で表わされる磁場浸透深さδよりも大きくすることにより、各電磁コイルから発生したそれぞれの電磁場の干渉を抑制することに特徴を有するものである。但し、上式において、δ:磁場浸透深さ(m)、μ:透磁率(H/m)、ω:角周波数(rad/s)、σ:電気伝導率(Ω-1/m)である。
【0024】請求項7記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造装置は、連続鋳造用鋳型の外周を囲むように少なくとも2水準の高さのそれぞれの場所に設けられた各電磁コイルと、各電磁コイルか囲む部分の全部または一部を含み全周に鉛直方向のスリットを有する溶融金属鋳造用の水冷式連続鋳造用鋳型と、各電磁コイル間に相当する鋳型部分の全部または一部を含み鋳型の外周を囲んで設けられた磁気シールド材とが備えられていることに特徴を有するものである。
【0025】請求項8記載の電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造装置は、連続鋳造用鋳型の直上に鋳型の中心軸線を囲むように設けられた電磁コイルと、鋳型の外周を囲むように少なくとも1水準の高さに設けられた電磁コイルと、鉛直方向のスリットを少なくとも上部に有し上部が櫛形を呈し、且つ、鋳型の外周を囲むように設けられた上記電磁コイルが位置する高さ範囲の全部または一部を含む範囲の全周に鉛直方向のスリットを有する溶融金属鋳造用の水冷式連続鋳造用鋳型と、各電磁コイル間に相当する鋳型部分の全部または一部を含み鋳型の外周を囲んで設けられた磁気シールド材とが備えられていることに特徴を有するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1に、この発明の一実施形態を説明するための設備構成の概略縦断面図を示す。タンディッシュ1内の溶融金属2を浸漬ノズル3から連続鋳造用鋳型4内に注入する。鋳型4内溶融金属上面に連続鋳造用フラックス5を添加する。鋳型4の上方で鋳型4に近接した位置に一組の電磁コイル6aを設置する。更に、鋳型4の高さ方向中央部の外側周囲に他の一組の電磁コイル6bを設置する。電磁コイル6a、6bの中心軸線を鋳型4の中心軸線に一致させる。そして、電磁コイル6a、6bの間には鋳型4の外周を取り巻く所定厚さの環状磁気シールド板7を設置し、電磁場の干渉を防止する。一方、鋳型4は冷却水等で冷却され、また、上端から下部までの鋳型高さの大半の範囲を全周にわたり、鉛直方向に細長い切込み(スリット)8を施してある。このスリット8は電磁場を鋳型4の内側まで浸透させるために設けてあり、鋳型4上部は櫛形を呈する。
【0027】溶融金属2を鋳型4に注入し鋳片9を鋳造中、上記二組の電磁コイル6a、6bにより高周波電磁場を鋳型4の内側に印加する。鋳型4内に注入された溶融金属2aはメニスカス10近傍の鋳型内壁面から凝固を開始し、薄い凝固殻11を形成する。鋳片9は下方に引き抜かれつつ連続的に鋳造される。
【0028】上記実施形態において、電磁コイルの設置場所は、鋳型高さの範囲内に複数段に設けてもよく、また電磁コイルの中心軸線は鋳型の中心軸線と一致または平行していることが望ましいが、鋳型の形状により偏芯させてもよい。鋳型形状は、スラブ、ブルーム、ビレットおよびビームブランク等の鋳造用鋳型のいずれでもよく、偏平型、角型および丸形等いずれでもよい。更に、鋳型には凝固収縮を吸収し凝固殻の変形を抑制するために下狭のテーパーをつける。スリットを設ける鋳型の領域は、鋳型の内側への高周波電磁場の透過効率向上のために少なくとも電磁コイルによって囲まれた全領域を含んでいることが望ましい。また、その領域を適宜増減させることができ、鋳型全体にわたって設けてもよいが、鋳型の剛性や冷却能力を確保する観点から鋳型下部にはこれを設けず一体化させておく方が望ましい。
【0029】
【実施例】この発明を実施例により、更に説明する。初めに、円筒型電磁鋳造装置を用いて、電磁コイルによる電磁場の発振試験を実施した。図2に、この発振試験に用いた円筒型電磁鋳造装置の概略縦断面図を示す。鋳型4は内径100mm、外形150mmの丸鋳型で、スリット8は鋳型4の上端から下方に100mmまでの全周領域に、隙間幅1mm、16分割で設け、隙間を耐火物で充填し十分乾燥させた。電磁コイル6a、6bは鋳型4の外周に、上部電磁コイル6aと下部電磁コイル6bの二段に設けた。電磁コイル6a、6bはいずれも高さ40mm、内径160mm、外形200mmで巻数5ターンであり、スリットが設けられた範囲の鋳型外周に設置した。上下二段の電磁コイル6a、6bの中間には磁気シールド板7を設けた。磁気シールド板7は銅製であり、厚さ5mm、内径160mm、外形250mmの環状板である。
【0030】上記装置において、鋳型4の内部に鋳片が存在しない状態で電磁場の発振試験を行なった。電磁場の発振周波数は、1、3および10kHzの3種類を用い、上下電磁コイルの周波数をそれぞれ独立に設定可能とした。電磁コイル電流はすべて1000Aであった。電磁場発振による鋳型の発熱を防止するため、冷却水による冷却を施しつつ発振させた。
【0031】表1に、電磁場の発振試験条件および発振結果を示す。
【0032】
【表1】

【0033】発振パターンは、上部電磁コイルの発振周波数を1、3および10kHzの3水準とし、この各々に対して下側電磁コイルの発振周波数を1、3および10kHzとした。そして、各発振パターンを、磁気シールド板を設置した場合としない場合とについて試験した。同表で、×は発振が不可であったこと、△は発振後10秒以内に電源がトリップしたこと、○は発振試験繰返し回数の80%以上が発振可能であったこと、そして◎は発振試験繰返し回数の100%が発振が可能であったことを示す。
【0034】表1から下記事項がわかる。
■電磁シールド板を設置しなかった場合、試験No.3および7のように、各電磁コイルの発振周波数の差が大きい場合には、発振はしたものの、電源投入後数秒で両方の電磁コイルが干渉し、電源がトリップし、発振は停止した。シールド板を用いない場合のその他の試験No.においては、発振不可能であった。これに対して、■電磁シールド板を設置した場合は、試験No.1、5および9のように、上・下部電磁コイルで同じ発振周波数を用いた場合には、条件によって発振不可能な場合があったものの、その他の場合は問題無く発振し、発振状況は著しく改善された。
【0035】次いで、上記発振試験で用いた図2に示した装置において、上部電磁コイルを別の寸法形状のものに変更し、且つその設置場所を鋳型の直上に変更した。図3に、この実施例および比較例の試験で用いた円筒型電磁鋳造装置の概略縦断面図を示す。高周波誘導加熱溶解炉(図示せず)でC含有率0.1wt.%の炭素鋼を100kg溶解し、化学成分組成および温度を所定値に調整後、タンディッシュ1を介して浸漬ノズル3より水冷鋳型4に注入した。タンディッシュ1内溶鋼2の過熱度を30℃に調整した。鋳型4の振動条件は、振動数60cpmm、振幅±4.5mmとし、鋳型4内溶鋼12の上面(湯面)には連続鋳造用モールドパウダー13を添加しつつ、鋳造速度0.8m/minで鋳片を引き抜いた。鋳型4内溶鋼面は鋳型4上端から50mm下の位置、即ち、鋳型のスリット8形成部分の1/2の位置になるようにタンディッシュ1からの溶鋼2供給を制御した。
【0036】電磁コイルは二組設置した。下部電磁コイル6aは、上端を鋳型内湯面と同じ高さとなるように設置した。一方、上部電磁コイル6aは、鋳型4の直上5mm(鋳型が最高位置のとき)の高さに下端が位置するように設置した。上部電磁コイルは内径80mm、外形150mm、高さ20mmそして巻数1ターンのものである。そして、実施例試験においては、上部電磁コイル6aと下部電磁コイル6bとの間に環状の電磁シールド板7を設置し、一方、比較例試験においては、この電磁シールド板7を除去した。
【0037】溶鋼の連続鋳造を開始し鋳造状態が安定した後、電磁コイル6a、6bによる電磁場の印加を実施した。発振パターンは次の通りである。下部電磁コイル6bについては、連続的に発振周波数3kHz、電磁コイル電流1000Aの共に一定値で印加した。これに対して、上部電磁コイル6aについては、鋳型振動に同期させて間欠的に印加した。即ち、鋳型振動速度が鋳造速度以上となる所謂ネガティブストリップ期にのみ印加することとし、この時の発振条件は、発振周波数3kHzの一定値、電磁コイル電流3000A、5000Aおよび10000Aの3水準で印加した。
【0038】上記試験結果は下記の通りである。
■この試験の電磁コイル構成では、磁気シールド板を設置しない場合(比較例)でも発振は可能であった。これは、上記発振試験のときには発振しなかったが、今回発振できた理由は、電磁コイル6a、6b間の距離が大きくなったため電磁場の干渉が低減したからである。
【0039】■上部に設置した電磁コイルの間欠印加によって、いずれの電磁コイル電流においても間欠印加の前後で湯面の形状が変化した。磁気シールド板除去した場合(比較例)には、間欠印加の前後で大きな湯面形状の乱れが観察された。湯面形状は電磁場により変化するので、この湯面の乱れは電磁場分布が不安定であることを示している。これに対して、磁気シールド板を設置した場合(実施例)には、いずれの電磁コイル電流においても湯面形状の不安定な乱れは観察されず、間欠印加による規則的な形状変化のみが得られた。
【0040】また、鋳造後の凝固鋳片を観察した結果、湯面形状の変化に伴った横縞状の凹みが鋳片全周にわたって認められ、磁気シールド板を除去した場合には凹みが深く且つ乱れていた。これに対して、磁気シールド板を設置した場合には規則的で比較的浅い凹みになっている。
【0041】図4に、上部電磁コイル電流の大きさと凝固鋳片表面の凹み深さ指数との関係を、磁気シールド板を設置した場合と除去した場合とについて示す。電磁コイル電流が大きくなるにつれて凹み深さが深くなる傾向があるが、磁気シールド板を設置すれば、電流を大きくしても、即ち、印加する磁場強度を大きくしても、磁気シールド板を設置せずに強度の小さな磁場を印加した場合よりも凹みは浅いことがわかる。
【0042】上述した結果より、各電磁コイル間に磁気シールド板を設置することにより、電磁コイルにより印加された電磁場に対して他の電磁コイルにより印加された電磁場が影響を及ぼすという、お互いの磁場分布の干渉を抑制する効果が著しいことがわかる。
【0043】
【発明の効果】上述したように、この発明によれば、溶融金属の連続鋳造において複数の電磁コイルにより高周波電磁場を印加する電磁鋳造を行なう際に、相互の電磁場の干渉を最小限に抑え、安定した電磁場を得ることができる。従って、電磁場の不安定性による鋳型内湯面の乱れを発生させることなしに、凝固殻と鋳型間の摩擦力を低減させ、かつ凝固殻の強化を図ることが可能となる、電磁力を応用した溶融金属の連続鋳造方法およびその装置を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。




 

 


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