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発明の名称 高速深絞り成形時の耐加工剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−86271
公開日 平成10年(1998)4月7日
出願番号 特願平8−248218
出願日 平成8年(1996)9月19日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
発明者 児玉 悟史 / 井上 正 / 吉武 明英 / 藤井 康司
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 2枚の金属板間に粘弾性樹脂層を挟着してなる樹脂複合型制振金属板において、板厚が厚い方の金属板の板厚をt(mm)、降伏強度をY(MPa)とし、粘弾性樹脂層の応力速度102 〜105 MPa/Sにおける剪断密着強度の最小値をτ(MPa)とした場合に、H≦12……(1)ただし、H=Y×t2 /τの関係を満たす高速深絞り成形時の耐加工剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2枚の金属板の間に粘弾性樹脂を挟み込んだ振動吸収性能を有する複合材料において、高速深絞りプレス成形などを行った場合の加工剥離の少ない、高速深絞り成形時の耐加工剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂複合型制振金属板は、2枚の金属板の間に粘弾性樹脂を介在させて、その粘弾性特性により金属板に加えられた振動を吸収する材料である。この材料は、近年の自動車に対する騒音規制の強化から、エンジンオイルパンなどの自動車部品への適用が増加している。
【0003】自動車のエンジンオイルパンなどの製造は成形速度(成形品の高さ変化の速度)10m/min以上の高速深絞りのプレス成形が行われるのが一般的である。樹脂複合型制振金属板をこの高速深絞りプレス成形した場合、粘弾性樹脂(ダンパー樹脂)には応力速度102 MPa/S以上の衝撃的なせん断力が働く。このような衝撃力の下では、ダンパー樹脂には脆性的な破壊が起こる場合があり、静的なプレス成形の場合には加工剥離が発生しない材料でも、表皮金属板のズレに起因する加工剥離が発生する。この加工剥離が成形部品の広い領域で発生した場合には、成形部品の剛性が低下し使用時の振動が激しくなり、その結果、疲労割れが発生したり、制振性を悪化させるなどの問題が発生する。
【0004】この加工剥離を低減する手段としては、ダンパー樹脂(粘弾性樹脂)と接する鋼板面にクロメート処理を施す方法(特開平5-133800号公報)やダンパー樹脂に接する鋼板の粗さを特定範囲にすること(特開昭63-72533号公報)などのダンパー樹脂と鋼板の界面接着強度を向上させる方法が提案されている。しかしこれらの方法は樹脂層内部の破壊により発生する加工剥離に対しては全く効果がない。
【0005】またこのほかに、ダンパー樹脂のせん断変形抵抗を限定する方法(特開昭63-72535号公報、特開昭63-72536号公報、特開昭63-153126 号公報、特開昭63-153127 号公報、特開昭63-153128 号公報)、ダンパー樹脂の弾性率を限定する方法(特開昭59-87146号公報)、ダンパー樹脂のせん断密着強度をある値以上とする方法(特開昭59-57743号公報、特公平5-75578 号公報)などが提案されているが、これらは静的な加工に対しては効果が発揮されるものの、自動車のエンジンオイルパンなどの高速深絞りプレス成形の場合には十分に剥離を低減することができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの課題を解決すべくなされたもので、高速深絞りプレス成形時における表皮金属板のズレに起因する加工剥離の少ない樹脂複合型制振金属板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高速深絞りプレス成形において、ダンパー樹脂に与えられる衝撃的せん断力に着目し、この衝撃せん断力によっても剥離の発生しないための樹脂複合型制振金属板の構成条件を鋭意検討した。その結果、2枚の樹脂複合型制振金属板のうち板厚の厚い方の金属板の板厚と降伏強度、粘弾性樹脂(ダンパー樹脂)の応力速度102 〜105 MPa/Sにおけるせん断密着強度の最小値が特定の範囲となるように調整することにより加工剥離が低減されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、2枚の金属板間に粘弾性樹脂層を挟着してなる樹脂複合型制振金属板において、板厚が厚い方の金属板の板厚をt(mm)、降伏強度をY(MPa)とし、粘弾性樹脂層の応力速度102 〜105 MPa/Sにおける剪断密着強度の最小値をτ(MPa)とした場合に、H≦12……(1)ただし、H=Y×t2 /τの関係を満たす高速深絞り成形時の耐加工剥離性に優れた樹脂複合型制振金属板である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明についての詳細を説明する。本発明の金属板には、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛メッキ鋼板、Al系、Cr系、Ni系、Sn系の金属メッキ鋼板、Al板、ステンレス鋼板、銅板などが挙げられ、金属板表面にクロメート処理、リン酸塩処理、有機樹脂被覆処理などの化成処理を施してもよい。この金属板の厚みは強度、コスト面を考慮して、0.4〜1.0mmが好ましい。
【0010】ダンパー材となる粘弾性樹脂層には、エポキシ、ポリウレタン、アクリル、熱硬化性ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン系の樹脂を単独で使用しても、混合して使用してもよく、これらの樹脂にニッケル粉、鉄粉、銅粉、ステンレス粉、その他の合金金属粉、金属繊維、カーボンブラック、グラファイトなどの導電性物質を添加し、抵抗溶接性を付与することも可能である。この樹脂層の厚みは制振性、コスト面を考慮して、35〜100μmが好ましい。
【0011】H(Y×t2 /τ)≦12ただし、t:板厚が厚い方の金属板の板厚、Y:降伏強度(MPa)、τ:粘弾性樹脂層の応力速度102 〜105 MPa/Sにおける剪断密着強度の最小値(MPa)
この関係は、発明者の実験により見出だされたので、H値が12以下の場合は、高速深絞りプレス成形時における剥離率が低減され、特にH値が7以下の場合、特に顕著である。これに対し、H値が12超えの場合には剥離率は極端に増加する。このため、H≦12の範囲に限定する。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。板厚0.4〜1.2mmの様々な降伏強度の冷延鋼板に、Ni粉をダンパー樹脂の重量に対して5wt%混入せしめたゴム変性アクリル樹脂または熱硬化性ポリエステル樹脂を樹脂厚50μmで塗工し、板厚0.4〜1.2mmの様々な降伏強度の冷延鋼板を圧着・加熱し、樹脂複合型制振金属板を作製し、供試材とした。
【0013】ゴム変性アクリル樹脂は、分子中に不飽和結合を有するゴム成分とアクリル酸金属塩またはメタクリル酸金属塩、さらに重合性単量体を主成分とする樹脂であり、熱硬化性ポリエステル樹脂は芳香環を有する共重合ポリエステルを主成分とする樹脂である。
【0014】実施例及び比較例に用いた冷延鋼板の板厚構成、降伏強度を表1に示す。このようにして作製された樹脂複合型制振金属板を図1に示す形状に加工した。図示する樹脂複合型制振金属板のサンプルは、幅16mm、長さ14mmの樹脂複合型制振金属板の上金属板1にエッジから6mmの位置にスリットを入れ、下金属板2には反対のエッヂから6mmのスリットを入れる。その後、ラップ代8mmの接着部分を残して、16mm×6mmの表皮金属板部分を取り除き粘弾性樹脂層3を介在した樹脂複合型制振金属板を作製した。
【0015】この後、図2に示す引張り試験装置に装着して、10、102 PMa/Sの応力速度での樹脂のせん断密着強度を測定した。この装置は、第一バー11と第二バー12との間にサンプル装着治具13を取り付けたもので、図1のように加工した樹脂複合型制振金属板の端面2をサンプル装着治具13のカギ部に引っかけて、一定の荷重増加速度で第一バー11を引張ることにより粘弾性樹脂層3(ダンパー樹脂)に一定の応力速度を加えることができるものである。
【0016】またこのサンプルを、図3に示すホプキンソンバー試験装置を応用した試験機に装着して、105 MPa/Sの応力速度でのダンパー樹脂のせん断密着強度を測定した。この装置は、圧縮ガスを利用して、第一バー11の後方から衝撃バー21を衝突させ、その衝突により生じた圧縮の衝撃波が第一バー11を通過し、サンプル装着部も通過する。このとき図1のサンプル端面1とサンプル装着治具13との間には隙間22ができるように、スペーサー23,23を入れてあるため、圧縮の応力は樹脂複合型制振金属板の粘弾性樹脂層(ダンパー樹脂)に加わらない。サンプル装着部を通過した圧縮の衝撃波は第二バー12の最終端まで到達し、この部分で反射され、引張りの衝撃波となる。この引張りの衝撃波はサンプル装着治具13のカギ部から、サンプルに伝えられ、ダンパー樹脂にせん断応力が加わる。この間の伝達応力は第一バー11,第二バー12に埋め込まれた応力検出器24,25で検出される。
【0017】応力速度102 、105 MPa/Sでのせん断密着強度のうち、どちらか小さい方の値をτとして、表皮金属板の板厚の厚い方の板厚をt、降伏強度をYとして、上記の式(1)のH値を求めた。各応力速度でのせん断密着強度、H値を表1に示している。
【0018】さらにこれら樹脂複合型制振金属板の高速深絞りプレス成形時の耐加工剥離性を調査するため、図4の金型形状のハット型成形試験機で、成形速度10m/minで高速成形を行い、その側壁部の剥離率を表皮金属板を引き剥して調査した。図4の試験機は、平板形状の樹脂複合型制振金属板を2つのダイス31,32間に橋渡しし、しわ押さえ板33,34で押さえて、中央部分をパンチ35で押し込んでいく。剥離率は全側壁部の面積に対する剥離領域の面積で求めた。この剥離率も同じく表1に示す。
【0019】表1の実施例1〜5と比較例1、及び実施例7,8と4、5とを比較すると、同一樹脂を使用していても、プレス成形後の剥離率が表皮金属板の板厚、降伏強度により著しく変化し、実施例では40%以下であるのに対し、比較例では剥離率が93%以上と極めて高い。さらに実施例6のように応力速度が10MPa/Sでのせん断密着強度の小さい樹脂でも、応力速度が102 、105 MPa/Sと大きくなるに従い、そのせん断密着強度は増加し、この効果によりプレス時の剥離率が低減した。また、実施例7,8と比較例4,5とを比較すると、実施例によれば、応力速度が105 MPa/Sと高い領域でせん断密着強度が極端に低下する複合型制振金属板の場合にも、表皮金属板の板厚を小さくするか、鋼板強度を低下させることにより剥離率を低減することができた。
【0020】H値と剥離率の関係を図5に整理すると、H値が12以下である場合には剥離率は小さく、H値が12を超える場合には剥離率が極端に増加することがわかった。
【0021】
【表1】

【0022】
【発明の効果】以上説明したように、H値(Y×t2 /τ)を12以下とすることにより、高速深絞りプレス成形時における加工剥離が低減されるという顕著な効果を発揮する。




 

 


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