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発明の名称 レーザ溶接モニタ方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−76383
公開日 平成10年(1998)3月24日
出願番号 特願平8−230193
出願日 平成8年(1996)8月30日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外4名)
発明者 真保 幸雄 / 塩崎 毅 / 小野 守章
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 レーザビームを被溶接材の突合わせ部の一方の面の側から照射する突合わせ貫通溶接の溶接の状況を監視するレーザ溶接モニタ方法において、前記レーザビームの照射によって前記被溶接材の突合わせ部の他方の面に発生するプラズマ光を、前記被溶接材の他方の面の側に配置した複数のセンサによって測定し、前記複数のセンサから得られる測定値の相対値を求めることにより、溶接状況を監視することを特徴としたレーザ溶接モニタ方法。
【請求項2】 前記請求項1記載のレーザ溶接モニタ方法において、前記複数のセンサに加えて、前記被溶接材の他方の面の側に配置した複数の赤外光センサによって赤外光を測定し、前記複数のセンサから得られる測定値の相対値と、前記複数の赤外光センサから得られる赤外光の測定値の相対値とを求めることにより、溶接状況を監視することを特徴としたレーザ溶接モニタ方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザビームによる突合わせ貫通溶接において、裏波ビードが健全に形成されていることを監視するためのレーザ溶接モニタ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図10は、レーザビーム突合わせ貫通溶接において発生する欠陥の例を示す被溶接材の断面図である。図10(a)は、溶け込み不足による欠陥例を示す被溶接材の断面図である。被溶接材1において、レーザビームが照射された側の面(以下、「表面」と呼ぶ)には、溶融金属2が存在するが、その反対の側の面(以下、「裏面」と呼ぶ)には溶融金属2は存在しない。
【0003】図10(b)は、突合わせギャップによって引き起こされた融合不良による欠陥例を示す被溶接材の断面図である。被溶接材1の表面には、溶融金属2が存在するが、裏面には突合わせギャップ3が存在し、溶融金属2は存在しない。
【0004】レーザビーム突合わせ貫通溶接において、十分な継手強度を得るためには、被溶接材1を突合わせている突合わせ部で、被溶接材1の板厚全部に亙って、すなわち被溶接材1の表面から裏面までに亙って、被溶接材1が溶融され、溶接されることが必要となる。
【0005】しかし、特に被溶接材1の板厚が厚い場合には、図10に示すように溶け込み不足や、突合わせ部の突合わせギャップ3などによる融合不良などによって、溶接を行なう溶接部の裏面に欠陥が発生することが多い。
【0006】従って、このような欠陥をなくし、継手の健全性を確保するために、裏波ビードの形成を監視することが必要と思われる。例えば、この裏波ビードの形成を監視するための方法としては、被溶接材1の裏面の側に配置したカメラなどにより裏波ビードを目視により観察することが考えられるが、この方法では、自動化が困難といえる。
【0007】自動化に適したレーザ溶接状況のモニタ方法としては、溶接部に発生するプラズマ光の強度を測定する方法がある。レーザ溶接においては、集光されたレーザビームのエネルギーにより、溶接部において被溶接材1が蒸発され、さらにプラズマ化される。このプラズマの状態は溶接状況と密接な関係にあり、プラズマの発光状態を測定することで溶接状況をモニタすることができる。
【0008】レーザビームによる重ね溶接をモニタする方法に関する従来技術は、特開平05−077074号公報に開示されている。これは、表面の側に設けた2つのセンサによって、プラズマ光強度を測定する方法である。
【0009】この方法においては、一方のセンサは、溶接部をモニタする際に、仰角が大きくなるように設けてある。すなわち、この一方のセンサは、溶接部の状況を、表面に対してほぼ垂直の位置から検出する。
【0010】また、他方のセンサは、溶接部をモニタする際に、仰角が小さくなるように設けてある。すなわち、この他方のセンサは、溶接部の状況を、表面に対してほぼ水平の位置から検出する。
【0011】そして、この異なる位置に設けられた2つのセンサで検出されるプラズマ光強度をそれぞれの基準値と比較し、両方のプラズマ光強度がそれぞれの基準値より大きい場合に溶接が良好であると判断している。
【0012】さらに、別の従来技術が、特開平06−262377号公報に開示されている。これは、表面の側及び裏面の側にそれぞれ配置した一対の光センサにより、溶接部の表面及び裏面で発生するレーザ誘起プラズマの発光を測定し、レーザビームによる重ね溶接をモニタする方法である。
【0013】この方法においては、表面で発生するプラズマの発光強度Q1 と裏面で発生するプラズマの発光強度Q2 とから総プラズマ強度Qを補正係数Zを用いて以下の式で計算する。
【0014】
Q=Q1 +Z・Q2 (1)
そして、この総プラズマ強度Qが設定基準値より大きい場合に、溶接が良好であると判断している。
【0015】しかしながら、これらの方法はいずれも重ね溶接における継手品質を確保するためになされたものであり、先に述べたような突合わせ溶接において、裏面に発生する欠陥の検出には注意が払われていない。これは重ね溶接においては、溶融金属2がレーザビームが照射される側の被溶接材1、すなわち上の被溶接材1を貫通して、レーザビームが照射されない側の被溶接材1、すなわち下の被溶接材1にまで到達していれば十分であり、溶融金属2が下の被溶接材1を貫通して裏波ビードが形成されているかどうかは問題ではないためである。
【0016】先に述べた特開平05−077074号公報に開示された従来技術では、アンダーカットや溶け込み不足を検出することはできるが、裏波ビードが形成されているかどうかについては、検出できない。この発明を適用して裏波ビードの形成を確保する、すなわち溶け込みの深さを被溶接材1の板厚と同じにすることが可能のように思えるが、表面の側からのみのプラズマ光強度の測定では、間接的にしか裏面の状況をモニタできず、裏波ビードのモニタとしては、信頼に欠ける。
【0017】また、先に述べた特開平06−262377号公報に開示された従来技術では、表面の側に1つ、そして裏面の側にも1つのセンサを配置し、プラズマ光強度の絶対値を監視して、溶け込みの深さの管理を行なっているが、この方法を突合わせ溶接における裏波ビードの形成の確保に適用した場合には、次のような問題がある。
【0018】まず、裏面の側に1つのセンサしか配置していないため、突合わせ溶接における裏波ビードの形成を高い信頼性で管理することが困難である。例えば、突合わせ部に突合わせギャップ3がある場合を考える。
【0019】図11は、突合わせ部に突合わせギャップがある場合のレーザビーム突合わせ貫通溶接の状況例を示す断面図である。レーザビーム4は集光されて被溶接材1に照射されるため、エネルギーが狭い範囲に集中し、非常に高いエネルギー密度が発生する。従って、溶接部では、被溶接材1が蒸発して蒸発圧と蒸発反力により周囲の溶融金属2を押しのけてキーホール5と呼ばれる深い空洞ができる。キーホール5内部には、レーザビーム4が進入し、金属蒸気がレーザビーム4のエネルギーにより電離されて生じた高温のプラズマ6が充満している。
【0020】ここで、突合わせ部に突合わせギャップ3がある場合、レーザビーム4は、溶接部の表面のみを溶融し、裏面を溶融せず、突合わせギャップ3を通過して裏面の側に出ていくことがある。このとき、溶接部で発生したプラズマ6は、キーホール5の開口部から表面に発生し、同様に突合わせギャップ3を通過して裏面に噴出するため、裏面にも発生する。
【0021】この場合、レーザビーム4は、突合わせた被溶接材1の裏面を溶融していないため、裏波ビードは形成されない。つまり、1つのセンサで裏面のプラズマ光強度を監視しても、レーザビーム4が貫通し、プラズマ6も発生していることは確認できるが、裏波ビードが形成されているかどうかは解らない。
【0022】さらに、突合わせた被溶接材1の裏面の側にセンサを配置した場合には、溶接により裏面の側に多く発生するスパッタやヒュームのため、センサの表面に粉塵が付着する。このため、測定されるプラズマ光強度が経時的に低下する。従って、このモニタ方法では、長期にわたって溶接状況を監視する際に、センサ受光部の表面の汚れによりプラズマ光強度の絶対値が変化してしまい、判定が正しく行なわれなくなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来のレーザ溶接モニタ方法においては、突合わせ溶接における裏波ビードの形成を高い信頼性で管理することが困難であり、裏波ビードが形成されているか否かは解らないという問題があった。
【0024】また、長期にわたって溶接状況を監視する際に、センサ受光部の表面の汚れにより測定されるプラズマ光強度の絶対値が変化してしまい、判定が正しく行なわれなくなるという問題があった。
【0025】本発明の目的は、レーザビームによる突合わせ貫通熔接において、裏波ビードが健全に形成されていることを監視するためのレーザ溶接モニタ方法を提供することにある。さらにセンサ受光部の表面の汚れの影響を軽減するレーザ溶接モニタ方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、まず、請求項1に対応する発明は、レーザビームを被溶接材の突合わせ部の一方の面の側から照射する突合わせ貫通溶接の溶接の状況を監視するレーザ溶接モニタ方法において、レーザビームの照射によって被溶接材の突合わせ部の他方の面に発生するプラズマ光を、被溶接材の他方の面の側に配置した複数のセンサによって測定し、複数のセンサから得られる測定値の相対値を求めることにより、溶接状況を監視するレーザ溶接モニタ方法である。
【0027】従って、まず、請求項1に対応する発明のレーザ溶接モニタ方法においては、他方の面の側に複数のセンサを配置したので、裏波ビードが健全に形成されているか否かの監視ができるレーザ溶接モニタ方法を提供できる。
【0028】さらに、複数のセンサから得られる測定値の相対値を求めるようにしたので、センサ受光部の表面の汚れの影響を軽減するレーザ溶接モニタ方法を提供できる。
【0029】また、請求項2に対応する発明は、請求項1記載のレーザ溶接モニタ方法において、複数のセンサに加えて、被溶接材の他方の面の側に配置した複数の赤外光センサによって赤外光を測定し、複数のセンサから得られる測定値の相対値と、複数の赤外光センサから得られる赤外光の測定値の相対値とを求めることにより溶接状況を監視するレーザ溶接モニタ方法である。
【0030】従って、請求項2に対応する発明のレーザ溶接モニタ方法においては、複数のセンサに加えて、複数の赤外光センサによって赤外光を測定するようにしたので、裏波ビードが健全に形成されているか否かの監視ができるレーザ溶接モニタ方法を提供できる。
【0031】さらに、複数のセンサから得られる測定値の相対値と、複数の赤外光センサから得られる赤外光の測定値の相対値とを求めるようにしたので、センサ受光部の表面の汚れの影響を軽減するレーザ溶接モニタ方法を提供できる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るレーザ溶接モニター方法において使用する機器の配置を示す状態図である。
【0033】図11に示すレーザビーム突合わせ貫通溶接を示す断面図と同一部分には、同一符号が付してある。従って、重複する部分の詳細説明は省略してある。図示していないレーザ発振器などから出力されたレーザビーム4は、集光レンズ7あるいは集光ミラーなどによって集光され、突合わされた被溶接材1の突合わせ部が溶融される。この溶融により溶接が行なわれる。溶接部では、溶融金属2が溜まる溶融池から金属蒸気が噴出し、この金属蒸気がレーザビーム4によりプラズマ化され、プラズマ6が発光する。
【0034】このプラズマ6から放出される光は、第1のフィルタ8aを介して第1のセンサ9aによって測定され、また第2のフィルタ8bを介して第2のセンサ9bによって測定される。
【0035】第1のセンサ9aは、裏面の側に、また溶接部をモニタする際に仰角θ1 が小さくなるように配置されている。すなわち、この第1のセンサ9aは、溶接部の状況を、裏面に対してほぼ水平の位置から検出する。ここで、仰角θ1 の例としては、5°から40°程度の範囲があげられる。この第1のセンサ9aには、プラズマ光センサなどが用いられる。
【0036】第2のセンサ9bは、裏面の側に、また溶接部をモニタする際に仰角θ2 が大きくなるように配置されている。すなわち、この第2のセンサ9bは、溶接部の状況を、裏面に対してほぼ垂直の位置から検出する。ここで、仰角θ2 は、90°に近いほどプラズマ6の状態の観察にはよいが、溶接部からのスパッタや、被溶接材1を貫通したレーザビーム4などをある程度避けなければならないため、例として、60°から80°程度の範囲があげられる。この第2のセンサ9bには、第1のセンサ9aと同様に、プラズマ光センサなどが用いられる。
【0037】モニタ装置10は、第1のセンサ9a及び第2のセンサ9bで測定した結果からプラズマ光強度の絶対値などを求める。以下、この第1のセンサ9aで測定されるプラズマ光強度の絶対値をI1 とし、第2のセンサ9bで測定されるプラズマ光強度の絶対値をI2 とし、例をあげてこのプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 による裏波ビードの形成の判定方法を説明する。
【0038】図2は、レーザビーム出力の変化に対するプラズマ光強度の絶対値I1 、I2の変化の例を示す関係図である。この例で、縦軸はプラズマ光強度の絶対値を任意の単位で表し、横軸はレーザビーム出力の値を表している。
【0039】破線Aは、裏波ビードが安定に形成される場合の限界を示しており、この限界はレーザビーム出力が約11kWのときとなっている。すなわち、レーザビーム出力の値が大きい場合には、裏波ビードは安定に形成され、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 はともに大きくなるが、レーザビーム出力が小さい場合には、裏波ビードは安定に形成されず、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は零に近くなる。
【0040】また、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は、レーザビーム出力の低下につれて低下するが、第1のセンサ9aによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I1 の方が、第2のセンサ9bによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I2 よりも速く零に達する。
【0041】このような、レーザビーム出力に対するプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 の変化の違いを図3を用いて説明する。図3は、溶接部の断面とセンサの配置との関係を示す状態図である。
【0042】従来技術の説明でも述べたように、レーザ溶接においては、レーザビーム4が集光されて被溶接材1に照射されるため、エネルギーが狭い範囲に集中し、非常に高いエネルギー密度が発生する。従って、集光したレーザビーム4が照射される溶接部では、被溶接材1が蒸発して蒸気圧と蒸発反力により、周囲の溶融金属2を押しのけて、深い空洞であるキーホール5ができる。キーホール5内部にはレーザビーム4が進入し、金属蒸気がレーザビーム4のエネルギーにより電離されて生じた高温のプラズマ6が充満している。また、このプラズマ6は、キーホール5の口から外部に噴出して、外部にもプラズマ6が生じる。
【0043】第1のセンサ9aから、この溶接部を見た場合には、キーホール5外部のプラズマ6からの光のみを測定することになる。これに対し、第2のセンサ9bから、この溶接部を見た場合には、キーホール5外部のプラズマ6ばかりでなく、キーホール5内部のプラズマ6をも測定することになる。キーホール5内部のプラズマ6は、キーホール5外部のプラズマ6と比較して高温で密度も高い。このため、大きい仰角θ2 を持つように配置された第2のセンサ9bによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I2 は、小さい仰角θ1 を持つように配置された第1のセンサ9aによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I1 よりも大きくなる。
【0044】また、キーホール5内部及び外部のプラズマ6はレーザビーム出力の変化に対して同じように変化するため、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は、ともに同じように変化する。しかし、キーホール5が貫通する限界に近いレーザビーム出力では、キーホール5内部のプラズマ6は存在していても、キーホール5外部のプラズマ6はほとんど存在しないため、レーザビーム出力の低下につれて、第1のセンサ9aによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I1 の方が、第2のセンサ9bによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I2 よりも速く零に達する。
【0045】本実施形態においては、裏波ビードが健全に形成されているか否かの監視には、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 から求まる相対値を用いる。ここで、もしレーザビーム出力の変化に対して、プラズマ光強度の絶対値I1、I2 が同じように変化するなら、相対値をとってもいつも一定の値となり、意味がなくなり、裏波ビードの監視に適さないが、先に述べたように、レーザビーム出力の変化に対して、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は異なった変化を示すため、相対値を用いることができる。
【0046】本実施形態では、最も単純に、相対値として、プラズマ光強度の絶対値I1 をプラズマ光強度の絶対値I2 で割って、相対値I1 /I2 、すなわちプラズマ光強度比I1 /I2 を求め、このプラズマ光強度比I1 /I2 により裏波ビードの監視を行なう。
【0047】図4は、レーザビーム出力の変化に対するプラズマ光強度比I1 /I2 の変化の例を示す関係図である。この例で、縦軸はプラズマ光強度比I1 /I2 を表し、横軸はレーザビーム出力の値を表している。
【0048】破線Aは、図2のときと同様に、裏波ビードが安定に形成される場合の限界を示しており、この限界はレーザビーム出力が約11kWのときとなっている。ゆえに、この例においては、プラズマ光強度比I1 /I2 が0.32以上あれば健全な裏波ビードが形成される。
【0049】ここで、本実施形態においては、プラズマ光強度の絶対値I1 をプラズマ光強度の絶対値I2 で割って、相対値I1 /I2 、すなわちプラズマ光強度比I1 /I2 を求めたが、他の計算によって求められる相対値を用いることもできる。
【0050】図5は、突合わせギャップ3の大きさdの変化に対するプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 の変化の例を示す関係図である。この例で、縦軸はプラズマ光強度の絶対値を任意の単位で表し、横軸は突合わせギャップ3の大きさdを表している。
【0051】突合わせギャップ3の大きさdが大きくなると、被溶接材1の溶接部における裏面が溶融せずに融合不良となる。破線Bは、このような融合不良を引き起こさない場合の限界を示しており、この限界は突合わせギャップ3の大きさdが0.275mmのときとなっている。すなわち、突合わせギャップ3の大きさdが小さいときには、融合不良を引き起こしにくく、突合わせギャップ3の大きさdが大きいときには、融合不良を引き起こしやすい。
【0052】また、第1のセンサ9aによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I1 は、突合わせギャップ3の大きさdが増加するにしたがい減少するが、第2のセンサ9bによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I2 は、突合わせギャップ3の大きさdが増加してもあまり減少しない。
【0053】このような、突合わせギャップ3の大きさdの変化に対するプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 の変化の違いを図6を用いて説明する。図6は、突合わせギャップ3がある場合の溶接部の断面とセンサの配置との関係を示す状態図である。
【0054】突合わせギャップ3の大きさdが大きくなり、溶接部の裏面に未溶融部ができると、キーホール5の裏面側の口は奥に入り、プラズマ6も突合わせギャップ3の内側に入るため、外部に出ている部分が小さくなる。このため、突合わせギャップ3の大きさdの増加に従い、第1のセンサ9aによって測定されたプラズマ光強度の絶対値I1 は低下する。これに対し、第2のセンサ9bでは、突合わせギャップ3の大きさdが増大してキーホール5の裏面側の口が奥に入っても、キーホール5外部に出ているプラズマ6だけではなく、キーホール5内部の強いプラズマ6を見ることができる。このため、突合わせギャップ3の大きさdが増大しても、プラズマ光強度の絶対値I2 はあまり変化しない。
【0055】ここで、突合わせギャップ3の大きさdの変化に対して、プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は異なった変化を示すため、先と同様にプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 とを用い、相対値I1 /I2 、すなわちプラズマ光強度比I1 /I2を求め、このプラズマ光強度比I1 /I2 により裏波ビードの監視を行なう。
【0056】図7は、突合わせギャップ3の大きさdの変化に対するプラズマ光強度比I1/I2 の変化の例を示す関係図である。この例で、縦軸はプラズマ光強度比I1 /I2 を表し、横軸は突合わせギャップ3の大きさdの値を表している。
【0057】破線Bは、図5のときと同様に、被溶接材1の溶接部における裏面が融合不良を引き起こさない場合の限界を示しており、この限界は突合わせギャップ3の大きさdが0.275mmのときとなっている。
【0058】ゆえに、この例においては、プラズマ光強度比I1 /I2 が0.22以上あれば健全な裏波ビードが形成される。図8は、時間の変化に対するプラズマ光強度の絶対値I1 、I2 の変化の例を示す関係図である。
【0059】この例で、縦軸はプラズマ光強度の絶対値を任意の単位で表し、横軸は時間を表している。プラズマ光強度の絶対値I1 、I2 は、長時間測定を続けた場合には半減してしまう。これは、溶接の際に裏面の側に多く発生するスパッタやヒュームなどの粉塵が、センサの受光部の表面などに付着し汚れるためである。しかし、汚れの程度は、第1のセンサ9a、第2のセンサ9bの位置にはあまり依存しない。
【0060】特に、レーザビーム4によりシーム溶接し、金属管を製造するなどの場合には、管の内側は溶接によるヒュームが充満しており、汚れの程度はほとんどセンサの位置に依存しない。このため、あるセンサで測定されるプラズマ光強度を参照値とし、他のセンサで測定されるプラズマ光強度を参照値に対する相対値とすると、この値はセンサ受光部の汚れに影響されない。
【0061】図9は、時間の変化に対するプラズマ光強度比I1 /I2 の変化の例を示す関係図である。この例で、縦軸はプラズマ光強度比I1 /I2 を表し、横軸は時間を表している。
【0062】これから、センサの汚れの程度が第1のセンサ9a、第2のセンサ9bでいつも厳密には同じでないため多少のばらつきはあるものの、このばらつきの程度は初期値に対して±15%以内に常におさまっていることが解る。すなわち、最悪の場合でも、センサの汚れによる誤差は、15%過大にプラズマ光強度比I1 /I2 を見積もる程度に過ぎないことが解る。
【0063】このように、プラズマ光強度比I1 /I2 の特性が図4、図7、図9に示した例のような場合には、プラズマ光強度比I1 /I2 とレーザビーム出力との関係及びプラズマ光強度比I1 /I2 と突合わせギャップ3の大きさdとの関係を双方合わせて考えれば、プラズマ光強度比I1 /I2 が0.32以上であれば健全な裏波ビードが形成されることが解る。また、長時間の使用を考えた場合には、15%の安全率を考慮して、プラズマ光強度比I1 /I2 を0.37以上とすれば健全な裏波ビードが形成されることが解る。
【0064】本実施形態に係るレーザ溶接モニタ方法を実際に適用する場合には、健全な裏波ビードが形成されているか否かを判定するプラズマ光強度比I1 /I2 の設定値は、被溶接材1の材質、厚み、溶接速度、レーザビーム出力などの溶接パラメータに依存するため、先に述べたような実験から予め求めておく必要がある。
【0065】以上のように、本実施形態に係るレーザ溶接モニタ方法は、まず実験から健全な裏波ビードが得られる最小のプラズマ光強度比1 /I2 を求めてこれを設定値とする。次に、レーザ溶接を行ないながら、第1のセンサ9aと第2のセンサ9bとによって測定されるプラズマ光強度I1 、I2 からプラズマ光強度比I1 /I2 を求める。そして、このプラズマ光強度比I1 /I2 が予め求めておいた設定値以上であれば溶接は良好、設定値以下であれば問題があると判断する。この判断に基づき、問題がある場合には溶接を停止し、原因を調査し、原因を取り除いた後に溶接を再開する。
【0066】また、モニタ結果を被溶接材1の材質、厚み、溶接速度、レーザビーム出力などの溶接パラメータにフィードバックして制御することもできる。ここで、本実施形態では2つのセンサを用いたが、さらに多数のセンサを被溶接材1の裏面の側に配置し、プラズマ光強度を測定し、同様の方法で相対値を求めることで、より正確なモニタリングを行なうこともできる。
【0067】あるいは、本実施形態で使用するセンサには、例えばプラズマ光センサなどが用いられると述べたが、これらのセンサに加えて、複数の赤外光センサを被溶接材1の裏面の側に配置し、溶接部の赤外光放射により溶接部の温度やスパッタの発生状況などをモニタし、この測定値の相対値を求めて先に述べたプラズマ光センサの測定値の相対値とこの赤外光センサの測定値の相対値とを合わせて考慮することで、より正確なモニタリングを行なうことができる。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ溶接モニタ方法においては、レーザビームの照射によって被溶接材の他方の面に発生するプラズマ光を、被溶接材の他方の面の側に配置した複数のセンサによって測定し、この複数のセンサから得られる測定値の相対値を求めることにより溶接状況を監視している。
【0069】従って、突合わせ溶接における健全な裏波ビードの形成が高い信頼性で監視できる。また、長期にわたって溶接状況を監視しても、センサ受光部の表面の汚れによる影響を軽減することができる。
【0070】また、複数のセンサに加えて、被溶接材の他方の面の側に配置した複数の赤外光センサによって赤外光を測定し、複数の赤外光センサから得られる赤外光の測定値の相対値と前記複数のセンサから得られる測定値の相対値とにより溶接状況を監視している。従って、より一層高い信頼性を確保できる。




 

 


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