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発明の名称 鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置および溶接 方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−71473
公開日 平成10年(1998)3月17日
出願番号 特願平8−254907
出願日 平成8年(1996)9月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】高野 茂
発明者 大石 均 / 吉井 忠博 / 金田 栄三 / 高根 茂矩 / 石井 正治
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 上下のクランプダイおよびクランプダイインサートとから構成され、溶接部を非酸化性のガスでガスシールするシールドガス噴出口を、上下のクランプダイインサート中の幅方向複数位置に設けた鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置において、鋼帯の上面側に非酸化性のガスを噴出する噴出口の噴出方向を、鋼帯の溶接部に向かうように構成したことを特徴とする鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項2】 鋼帯上面側のシールドガス噴出口の設置範囲を、溶接する最大幅の鋼帯の幅よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項3】 シールドガスの噴出量を鋼帯の上下面で調整可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項4】 前後の上部クランプダイの対向する面の少なくとも一つの面に、上下方向に回動可能に取り付けられ、スペ−サプレ−ト通過時にはスペ−サプレ−トの厚さに応じて上方または下方に回動してスペ−サプレ−トを通過させ、スペ−サ−プレ−トが上昇した後は、前記上部クランプダイの対向する面間を閉塞してシ−ルドガスの上昇を阻止するシ−ルドガス上昇阻止板を有することを特徴とする請求項1、2または3に記載のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項5】 前記シ−ルドガス上昇阻止板に、複数の貫通孔を設けたことを特徴とする請求項4に記載のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項6】 前記シ−ルドガス上昇阻止板が回動可能に取り付けられている面との間にスプリングを配置し、このスプリングの弾性力でシ−ルドガス上昇阻止板を回動させて、スペ−サ−プレ−ト上昇後の前記上部クランプダイの対向する面間を閉塞するようにしたことを特徴とする請求項4または5に記載のオンラインフラッシュバット溶接装置。
【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6に記載の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置のシールドガス噴出口から、可燃性ガスのみ、または可燃性ガスに空気または不活性ガスを一定比率で混合した混合ガスを噴出し、可燃性ガスを溶接のフラッシュ火花で燃焼させて、鋼帯の溶接部近傍にシールドガス雰囲気を形成させることを特徴とする鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鋼帯の処理ラインにおいて、先行鋼帯の後端と後行鋼帯の先端とを突合せ溶接するときに、溶接部が酸化しないように溶接部をガスシールドすることのできる鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置、およびこの溶接装置を使用した鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製鉄所における鋼帯の処理ライン(例えば酸洗ライン)においては、処理能力を高めるために、先行鋼帯の後端と後行鋼帯の先端とをオンラインで突合せ溶接して、連続して処理するようにしている。
【0003】このようにして鋼帯を処理する際に、突合せ溶接部が溶接不良のために破断すると、ラインを停止しなければならないようなトラブルとなるため、突合せ溶接部は溶接欠陥のない健全な溶接が施されている必要がある。
【0004】突合せ溶接部の溶接欠陥は、溶接部が酸化することにより発生することが多いので、一般には溶接部周辺を非酸化性の雰囲気で覆って溶接するようにしている。
【0005】上述した先行鋼帯の後端と後行鋼帯の先端とをオンラインで突合せ溶接する従来の技術としては、特開昭59−54476号公報に開示されたフラッシュバット溶接装置がある。
【0006】この溶接装置は、(1)溶接動作中に、ストリップ端部の上方および下方に保護ガス層(非酸化性のガスであり、一般にシールドガスという)を施すために、可燃性ガス源から供給されるガスの排出ポートを設けたものであり、(2)排出ポートが、突合せ溶接されるストリップの幅に沿って、クランプダイインサートの中の複数の位置に配置されているものであり、(3)可燃性ガスがプロパン、天然ガスまたは水素であるものであり、(4)クランプダイインサートの対向面に沿って摺動可能である外側カッターバーを有するスペーサプレートを具備し、各溶接部が作られる前に、ダイ部材から溶接フラッシュを除去し、これにより排出ポートをふさぐ傾向のあるフラッシュ粒子を除去するようにしたものであり、(5)各一対の対向ダイインサートの一方の排出ポートが、他方のものに食い違い関係に配置されているものであり、(6)ダイとインサートとの間にスペースが設けられて、ガスを排出ポートへ供給するためのマニホルドの役目をし、排出ポートがマニホルドに対して垂直方向に食い違いに配置されているものであり、(7)溶接動作中に、可燃性ガスフレームを突合せ溶接部に施すことからなるフラッシュバット溶接装置によるフラッシュバット溶接方法であり、(8)フレームが溶接動作中に、ストリップ端の上方および下方の複数の離間した排出ポートにおいて与えられるフラッシュバット溶接装置によるフラッシュバット溶接方法である。
【0007】また、同じような技術としては、実開昭59−190480号公報に開示されたフラッシュバット溶接機がある。この溶接機は、酸化物の発生にともなって生ずる溶接部の欠陥を無くするようにしたフラッシュバット溶接機であり、溶接作業を行うに先立って、シールによって溶接作業空間を大気空間から隔絶形成し、その後溶接作業空間を不活性ガス雰囲気にして溶接を行い、アップセット完了時点まで隔絶状態を維持でき、酸化物を発生させずに、溶接を完了させようとするものである。
【0008】また、実開昭58−137583号公報に開示されたフラッシュバット溶接用電極がある。この電極は、電極内にガス導入路が設けてあるので、溶接部の電極近傍からイナートガスを吹き付けることができ、溶接部に酸化スケールが生成されることがないので、品質良好な溶接部が得られるというものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のフラッシュバット溶接機およびフラッシュバット溶接方法には、次のような問題点があった。すなわち、これらの従来技術においては、溶接部の酸化を防止するために必要な不活性ガス等のシールドガスの供給方法が具体的に示されておらず、場合によっては過剰にシールドガスを供給することとなり、ランニングコストが過大になるという問題点があった。
【0010】例えば、溶接部近傍を効果的に非酸化性雰囲気とするために、被溶接材に対して何度の角度でシールドガスを吹き付ければよいかというような具体例が示されていないので、必要以上のシールドガスを供給することになっていた。
【0011】この発明は、従来技術の上述のような問題点を解消するためになされたものであり、必要最小限のシールドガス供給量で、優れた品質の溶接部を得ることのできる鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置および溶接方法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係る鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置は、上下のクランプダイおよびクランプダイインサートとから構成され、溶接部を非酸化性のガスでガスシールするシールドガス噴出口を、上下のクランプダイインサート中の幅方向複数位置に設けた鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置において、鋼帯の上面側に非酸化性のガスを噴出する噴出口の噴出方向を、鋼帯の溶接部に向かうように構成したものである。
【0013】また、鋼帯上面側のシールドガス噴出口の設置範囲を、溶接する最大幅の鋼帯の幅よりも大きくしたものである。
【0014】また、シールドガスの噴出量を鋼帯の上下面で調整可能としたものである。また、前後の上部クランプダイの対向する面の少なくとも一つの面に、上下方向に回動可能に取り付けられ、スペ−サプレ−ト通過時にはスペ−サプレ−トの厚さに応じて上方または下方に回動してスペ−サプレ−トを通過させ、スペ−サ−プレ−トが上昇した後は、前記上部クランプダイの対向する面間を閉塞してシ−ルドガスの上昇を阻止するシ−ルドガス上昇阻止板を有するものである。
【0015】また、前記シ−ルドガス上昇阻止板に、複数の貫通孔を設けたものである。また、前記シ−ルドガス上昇阻止板が回動可能に取り付けられている面との間にスプリングを配置し、このスプリングの弾発力でシ−ルドガス上昇阻止板を回動させて、スペ−サ−プレ−ト上昇後の前記上部クランプダイの対向する面間を閉塞するものである。
【0016】また、この発明に係る鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接方法は、上記鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置のシールドガス噴出口から、可燃性ガスのみ、または可燃性ガスに空気または不活性ガスを一定比率で混合した混合ガスを噴出し、可燃性ガスを溶接のフラッシュ火花で燃焼させて、鋼帯の溶接部近傍にシールドガス雰囲気を形成させるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の第一の実施の形態の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置を、図1(a)および(b)により説明する。図1(a)はこの溶接装置の正面図、図1(b)は図1(a)のA−A矢視図である。この溶接装置は、2つの鋼帯31aおよび31bの端部同士をオンラインで突合せ溶接するフラッシュバット溶接装置であり、2つの鋼帯31aおよび31bの端部同士を溶接する溶接部16を挟んで上下に2列ずつ設けられた上部クランプダイ1aおよび2a、下部クランプダイ1bおよび2bと、上部クランプダイ1a、2a、下部クランプダイ1b、2bのそれぞれと2つの鋼帯31aおよび31bの上面または下面との間に設けられた上部ダイインサート3aおよび4a、下部ダイインサート3bおよび4bとからなるフラッシュバット溶接装置に、非酸化性の雰囲気を形成するための可燃性ガス、可燃性ガスと空気または不活性ガスとの混合ガス(これらは燃焼させて非酸化性のガスとする。以上を総称してシールドガスという)を供給するシールドガス供給路5a、6aおよび5b、6bを設け、さらにこれらのシールドガス供給路から分岐して、鋼帯の幅方向に沿ってシールドガス噴出口7a、8aおよび7b、8bを設けたものである。
【0018】このフラッシュバット溶接装置を詳述すると、上部のシールドガス噴出口7a、8aは、噴出方向が2つの鋼帯31aおよび31bの端部同士を溶接する溶接部16を向くように設けられており、下部のシールドガス噴出口7b、8bは、水平方向を向くように設けられている。
【0019】また、上部のシールドガス噴出口7aと8aは、鋼帯幅方向の設置位置をずらして千鳥状に配置されている。同じように、下部のシールドガス噴出口7bと8bも、鋼帯幅方向の設置位置をずらして千鳥状に配置されている。これは、できるだけ少ないシールドガスにより、シールドガス雰囲気を形成しようとするものである。
【0020】噴出口の設置間隔または設置数は、鋼帯の上面側と下面側とで異なるようにしてもよい。例えば、ガスシールド用の可燃性のガスが燃焼しているときに、鋼帯の上面側は高温燃焼ガス自体の密度が装置周辺の常温大気よりも小さいため、高温燃焼ガスの上昇流が発生し、特に鋼帯の幅方向両端部では、大気が容易に侵入しやすい。このため、図2(a)に示すように、鋼帯の上面側のシールドガスの覆う範囲L1 を、図2(b)に示す下面側を覆う範囲L2 よりも大きくする等の工夫をするとよい。
【0021】また、同じような理由から、鋼帯の上下面の幅方向端部に近いシールドガスの噴出口を、その噴出方向が幅方向端部に向かうように形成してもよい。
【0022】シールドガス供給路5a、6aおよび5b、6bは、ダイインサート3a、4a、3b、4bの位置決めに使用されるクランプダイ上のキー溝の深さを深くすることによって形成することができる。
【0023】なお、シールドガス供給路5a、6aおよび5b、6bへは、それぞれシールドガス供給管9a、10aおよび9b、10bが接続されている。
【0024】図3は、上部シールドガス供給路5a、6aに供給するシールドガス源と下部シールドガス供給路5b、6bに供給するシールドガス源の供給量を、別々に調整できるようにした場合の配管系統図である。この場合シールドガス源としては、可燃性ガスと空気の混合ガスを使用するようにしている。そして、可燃性ガス供給配管11には、可燃性ガス流量調整弁12aおよび12bを、空気供給配管13には空気流量調整弁14aおよび14bを設けて、上下のシールドガス源の供給量を、別々に調整できるようにしている。なお、図3中符号15aおよび15bは遮断弁である。
【0025】次に、この発明の第二の実施の形態の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置を、図4(a)〜(d)により説明する。図4(a)〜(d)はこの溶接装置の側面図であり、図4(a)および(b)は2枚のシ−ルドガス上昇阻止板21および22を設置した場合を、図4(c)および(d)は1枚のシ−ルドガス上昇阻止板21Aを設置した場合を示している。
【0026】溶接中にシ−ルドガスが燃焼しているときには、鋼帯の上面側は高温燃焼ガス自体の密度が装置周辺の常温空気よりも小さいため、高温ガスの上昇流が発生する。このため、特に鋼帯31aおよび31bの幅方向端部では、大気がシ−ルドガス中に侵入しやすくなり、溶接部を酸化させないというガスシ−ルドの効果が低減されることになる。
【0027】このような問題に対処するため、この鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置においては、シ−ルドガスの上昇を阻止するシ−ルドガス上昇阻止板21および22または21Aを、前後の上部クランプダイ1aおよび2aの対向する面の両面または片面に設けている。
【0028】まず、2枚のシ−ルドガス上昇阻止板21および22を設けた場合について、図4(a)および(b)について説明すると、2枚のシ−ルドガス上昇阻止板21および22は、前後の上部クランプダイ1aおよび2aのそれぞれに設けた支持部材23に、ピン24を介して垂直方向に回動可能に取り付けてある。
【0029】上述したシ−ルドガス上昇阻止板21および22の回動機構を説明すると、シ−ルドガス上昇阻止板21および22と前後の上部クランプダイ1aおよび2aの対向する面とは、それぞれスプリング25および26により接続されている。また、前後の上部クランプダイ1aおよび2aの対向する面それぞれには、ストッパ−27および28が設けられており、シ−ルドガス上昇阻止板21はスプリング25の弾発力により、ストッパ−27に押しつけられ、シ−ルドガス上昇阻止板22はスプリング26の弾発力により、ストッパ−28に押しつけられるようになっている。また、シ−ルドガス上昇阻止板21および22の先端には、回転ロ−ル29および30が設けられており、鋼帯31aの後端と鋼帯31bの先端との間の距離や、溶接電極の位置を調整するために、スペ−サプレ−ト(下方から上方に沿って段階的に板厚が大きくなっている)32が下降していくときには、図4(a)に示すように、シ−ルドガス上昇阻止板21および22が、スペ−サプレ−ト32によりスプリング25および26の弾発力に逆らって押し下げられる。そして、その間回転ロ−ル29および30はスペ−サプレ−ト32の両面に接触して回転し、シ−ルドガス上昇阻止板21および22(1点鎖線で示す)が回動しながらスム−ズに押し下げられるのを助ける。
【0030】逆に、スペ−サプレ−ト32が上昇するにつれて、シ−ルドガス上昇阻止板21および22は、スペ−サプレ−ト32の厚さが薄くなった分だけ、スプリング25および26の弾発力によって回動しながら引き上げられる。そして、スペ−サプレ−ト32が完全に上昇してしまうと、回転ロ−ル29および30はスペ−サプレ−ト32の両面から離れ、シ−ルドガス上昇阻止板21および22は、図4(a)に実線で示すように、ストッパ−27および28に当たり水平状態になるまで、引き上げられる。
【0031】この後、溶接のために前後のクランプダイ1a、1bおよび2a、2bは、図4(b)に示すように接近するが、このときシ−ルドガス上昇阻止板21と22とは、回転ロ−ル29と30とが接触または重なりあった状態、すなわちクランプダイ1aおよび2aの対向する面間を閉塞した状態となり、溶接中にシ−ルドガスが上昇するのを阻止することができる。
【0032】したがって、溶接中のシ−ルドガスの上昇流は抑制され、この部分に大気が侵入して、溶接部が酸化されることはない。
【0033】次に、シ−ルドガス上昇阻止板が1枚の場合について、図4(c)および(d)により説明すると、次のとおりである。シ−ルドガス上昇阻止板21Aは、上部クランプダイ1aに設けた支持部材23Aに、ピン24Aを介して垂直方向に回動可能に取り付けてある。
【0034】上述したシ−ルドガス上昇阻止板21Aの回動機構を説明すると、シ−ルドガス上昇阻止板21Aと上部クランプダイ1aの面とは、スプリング25Aにより接続されている。また、上部クランプダイ1aの面には、ストッパ−27Aが設けられており、シ−ルドガス上昇阻止板21Aはスプリング25Aの弾発力により、ストッパ−27Aに押しつけられるようになっている。また、シ−ルドガス上昇阻止板21Aの先端には、回転ロ−ル29Aが設けられており、スペ−サプレ−ト32が下降していくときには、図4(c)に示すように、シ−ルドガス上昇阻止板21Aが、スペ−サプレ−ト32によりスプリング25Aの弾発力に逆らって押し下げられる。そして、その間回転ロ−ル29Aはスペ−サプレ−ト32の両面に接触して回転し、シ−ルドガス上昇阻止板21A(1点鎖線で示す)が回動しながらスム−ズに押し下げられるのを助ける。
【0035】逆に、スペ−サプレ−ト32が上昇するにつれて、シ−ルドガス上昇阻止板21Aは、スペ−サプレ−ト32の厚さが薄くなった分だけ、スプリング25Aの弾発力によって回動しながら引き上げられる。そして、スペ−サプレ−ト32が完全に上昇してしまうと、回転ロ−ル29Aはスペ−サプレ−ト32の両面から離れ、シ−ルドガス上昇阻止板21Aは、図4(c)に実線で示すように、ストッパ−27aに当たり水平状態になるまで、引き上げられる。
【0036】この後、溶接のために前後のクランプダイ1a、1bおよび2a、2bは、図4(d)に示すように接近するが、このときシ−ルドガス上昇阻止板21Aは、回転ロ−ル29Aが上部クランプダイ1bの面と接触する状態、すなわちクランプダイ1aおよび2aの対向する面間を閉塞した状態となり、溶接中にシ−ルドガスが上昇するのを阻止することができる。
【0037】したがって、この場合も溶接中のシ−ルドガスの上昇流は抑制され、この部分に大気が侵入して、溶接部が酸化されることはない。
【0038】図5は、上述したシ−ルドガス上昇阻止板を2枚設けたときのシ−ルドガス上昇阻止板21および22に、複数の貫通孔21aおよび22aを設けた例を示している。貫通孔21aおよび22aは、シ−ルドガス上昇阻止板21および22を設けたことにより、鋼帯幅方向へのシ−ルドガスの吹き出しが過度にならないようにするために設けたものである。
【0039】なお、当然のことながら、シ−ルドガス上昇阻止板を1枚設けたときにも、貫通孔21aまたは22aに匹敵する貫通孔を設ければ上記効果があるのはいうまでもない。
【0040】また、上述したシ−ルドガス上昇阻止板21および22の鋼帯幅方向の長さは、溶接される鋼帯の最大幅よりも大きくする。
【0041】また、シ−ルドガス上昇阻止板21および22の材質は、電気的に十分な絶縁性を有し、かつ高温のシ−ルドガスにさらされても熱変形や溶損しない十分な耐熱性を有するものが望ましく、例えばセラミックスやセラミックスファイバ−を焼成する等して製造されるセラミックスファイバ−ボ−ド等を使用するとよい。
【0042】次に、本発明の実施の形態の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接方法を説明する。この溶接方法においては、上述した本発明の鋼帯のオンラインフラッシュバット溶接装置を使用して、シールドガス噴出口から、可燃性ガスのみ、または可燃性ガスに空気または不活性ガスを一定比率で混合した混合ガスを噴出し、可燃性ガスを溶接のフラッシュ火花で燃焼させて、鋼帯の溶接部近傍にシールドガス雰囲気を形成させるものであるが、その理由を以下に述べる。
【0043】従来、鋼帯の溶接部近傍を非酸化性保護ガス雰囲気にするシ−ルドガスとして、常温の不活性ガスのみを溶接部近傍に供給する方法が多用されてきたが、この場合非酸化性保護ガス雰囲気にする必要がある空間容量を、すべて不活性ガスで置換するため、多量の不活性ガスを必要としてきた。
【0044】これに対して、可燃性ガスをフラッシュ火花で燃焼させた高温燃焼ガスをシ−ルドガスとして使用すると、燃焼反応による温度上昇分だけガス体積が膨張するので、非酸化性保護ガス雰囲気にする必要がある空間容量を、すべて燃焼ガスで置換するのに必要な可燃性ガスは、非酸化性保護ガス雰囲気にする必要がある空間容量よりも少量でよいことになる。
【0045】また、溶接部近傍の大気(以下、空気という)に含まれる酸素を、可燃性ガスとの燃焼反応によって消費することにより、燃焼反応によって生成される燃焼ガス中の酸素濃度を極低濃度にすることができ、溶接部近傍を非酸化性保護ガス雰囲気にすることができるのである。
【0046】さらに、可燃性ガスに空気または不活性ガスを一定比率で混合した混合ガスを使用する場合の比較について、以下に述べる。
【0047】まず、可燃性ガスと空気とを一定比率で混合した混合ガスを使用する場合、この混合ガスの燃焼形態は一般に予混合燃焼と呼ばれるもので、燃焼反応速度が速く、単位空間体積当たりの発熱率が高くなる。そして、発熱率が高い分だけ鋼帯溶接部は高温になり、溶接効率が高く、言い換えれば溶接に必要な電気エネルギ−を低減することができる。
【0048】しかし、一方でこの燃焼形態においては、燃焼に必要な酸素を溶接部近傍の空気に含まれるものに加えて、混合ガス中の空気に含まれる酸素からも取り込むことになるので、鋼帯幅方向に安定した非酸化性保護ガス雰囲気を形成するためには、例えば鋼帯上面側へのシ−ルドガスの上昇流を阻止するためのシ−ルドガス上昇阻止板を設置し、周辺空気の巻き込みを抑制することが必要になる。
【0049】また、混合ガス中の火炎の伝搬速度に見合うように、シ−ルドガス噴出口での混合ガスの流速を調整しないと、シ−ルドガス供給管への火炎の逆火、火炎の吹き飛びまたは吹き消えが発生しやすいため、燃焼の範囲が狭くなるという問題がある。
【0050】これに対して、可燃性ガスと不活性ガスとを一定比率で混合した混合ガスを使用する場合、基本的には可燃性ガスを不活性ガスで希釈して、可燃性ガスの組成を変化させただけのものであり、この混合ガスの燃焼形態は、一般に可燃性ガスを空気中に噴出させ、拡散によって徐々に混合させながら燃焼させる拡散燃焼と呼ばれるものである。
【0051】拡散燃焼においては、単位空間体積当たりの発熱率が小さいので、前述した可燃性ガスと空気とを一定比率で混合した混合ガスを燃焼させるときのような、溶接に必要な電気エネルギ−を低減させるという長所はないが、燃焼反応が可燃性ガスと空気との拡散混合によるものであるため、火炎が安定するための混合ガスの流速等の燃焼条件の範囲が広くとれ、操作性が良好でシ−ルドガス供給管への火炎の逆火、火炎の吹き飛びまたは吹き消えは発生しにくく、安全性が高いという長所を有する。 さらに、この場合の可燃性ガスの性状に着目すると、燃焼反応は溶接部近傍の空気中の酸素を消費することによって進行するので、単位体積当たりの燃焼が完全燃焼するのに必要な空気量[以下、理論燃焼空気量〔単位Nm3 (空気)/Nm3 (燃料)という〕]が多いほど、効率よく鋼帯の溶接部近傍を非酸化性保護ガス雰囲気にすることができる。
【0052】例えば、製鉄所の鉄鋼製造プロセスの過程で得られる代表的な副生ガスとして、コ−クス製造の際に発生するコ−クス炉ガス(以下COGという)があるが、このCOGの理論燃焼空気量は、約4.7Nm3 (空気)/Nm3 (燃料)である。
【0053】これに対して、例えばプロパンガスの理論燃焼空気量は、約24.2Nm3 (空気)/Nm3 (燃料)であることから、プロパンガスの方が効率よく鋼帯の溶接部近傍を非酸化性保護ガス雰囲気にすることができるといえる。
【0054】しかし、プロパンガスのような理論燃焼空気量が多い可燃性ガスほど密度が大きくなる傾向があり、フラッシュバット溶接作業で、鋼帯の溶接部近傍の空気をあらかじめパ−ジすることを目的として、フラッシュ火花発生タイミングより先行して、鋼帯の溶接部近傍にプロパンガスを供給しようとすると、溶接作業を繰り返し行っている間に、空気との密度差から特にオンラインフラッシュバット溶接装置の下方に、可燃性ガスが滞留して爆発する危険性がある。
【0055】これに対しては、フラッシュ火花による点火ではなく、パイロットバ−ナ、電気ヒ−タ(タングステンやニクロム等の電熱コイル、リボンヒ−タ、点火プラグ等)により点火させる方法があるが、機器のレイアウト上これらの機器を当該箇所に設けることは困難である。
【0056】そこで、可燃性ガスの空気との密度差を小さくし、局所的な滞留を防止するために、空気と密度がほぼ等しい不活性ガス(例えば窒素)と混合させるのである。例えば、常温ベ−スで空気の密度が約1.3kg/Nm3 であるのに対して、プロパンガスの密度は約2.0kg/Nm3 と差があるが、体積比でプロパンガス30%、窒素70%の混合ガスにすると、密度はほぼ1.5kg/Nm3 とほぼ空気と同じ密度となり、密度差に起因する可燃性ガスの滞留は防止できる。
【0057】さらに、上述のような可燃性ガスと不活性ガスとの混合ガスを使用しても、可燃性ガスの一部が不活性ガスに置き換わるだけなので、可燃性ガスのみを使用した場合と比較しても鋼帯の溶接部近傍の非酸化性保護ガス雰囲気の形成状況に顕著な差はなく、一方で極めて若干ではあるが、可燃性ガス量の減少と不活性ガス量の増加の影響で、燃焼ガスの温度が低下することから、燃焼ガスの上昇流が抑制され、鋼帯の幅方向量端部での大気の侵入傾向が弱まる効果もある。
【0058】
【実施例】
(1)実施例1上部のシールドガス噴出口7aと8aおよび下部のシールドガス噴出口7bと8bのいずれも直径3mm、かつ鋼帯幅方向の設置ピッチ30mmとし、上部のシールドガス噴出口7aと8a、下部のシールドガス噴出口7bと8bとは、それぞれ鋼帯幅方向の設置位置が千鳥状になるように設置し、上部のシールドガス噴出口7aと8aとは、噴出方向が鋼帯の溶接部に向かうように構成したフラッシュバット溶接装置を使用し、プロパンガスを上部のシールドガス噴出口7aと8aからはそれぞれ3.5Nm3 /H、下部のシールドガス噴出口7bと8bからはそれぞれ0.5Nm3 /H供給し、プロパンガスを溶接のフラッシュで着火・燃焼させながら、鋼帯の溶接を行った。図6(a)は、そのときの溶接開始からの経過時間(横軸、秒)と溶接部雰囲気中の酸素濃度(縦軸、%)との関係を示すグラフであり、実線が本発明の場合を示し、点線が参考として示した従来例(この場合の従来例は、上部のシールドガス噴出口7aと8aの噴出方向を水平方向としたもので、その他の条件は本発明例と同じである)である。このグラフから明らかなように、本発明を適用すると、鋼帯溶接部周辺の雰囲気を、少ないシールドガス量で、かつわずか2秒程度で完全に非酸化性の雰囲気にすることができるので、シールドガスの供給量を減らすことができるとともに、溶接部の酸化が防止でき、優れた品質の溶接部を提供できることが分かる。
【0059】(2)実施例2上部のシールドガス噴出口7aと8aおよび下部のシールドガス噴出口7bと8bのいずれも直径3mm、かつ鋼帯幅方向の設置ピッチ30mmとし、上部のシールドガス噴出口7aと8a、下部のシールドガス噴出口7bと8bとは、それぞれ鋼帯幅方向の設置位置が千鳥状になるように設置し、上部のシールドガス噴出口7aと8aとは、噴出方向が鋼帯の溶接部に向かうように構成し,さらに鋼帯31aと鋼帯31bの接続部の上方150mmの位置に、溶接する鋼帯の幅が最大となる1850mmよりも大きい全幅2000mmのシ−ルドガス上昇阻止板21および22を設けたフラッシュバット溶接装置を使用し、体積比でプロパンガス30%、窒素70%の混合ガスを上部のシールドガス噴出口7aと8aからはそれぞれ4Nm3 /H、下部のシールドガス噴出口7bと8bからはそれぞれ1Nm3 /H供給し、プロパンガスを溶接のフラッシュで着火・燃焼させながら、鋼帯の溶接を行った。図6(b)は、そのときの溶接開始からの経過時間(横軸、秒)と溶接部雰囲気中の酸素濃度(縦軸、%)との関係を示すグラフであり、実線が本発明の場合を示し、点線が参考として示した従来例(この場合の従来例は、上部のシールドガス噴出口7aと8aの噴出方向を水平方向としたもので、その他の条件は本発明例と同じである)である。このグラフから明らかなように、本発明を適用すると、この場合も鋼帯溶接部周辺の雰囲気を、少ないシ−ルドガス量で、わずか1秒程度で完全に非酸化性の雰囲気にすることができるので、シールドガスの供給量を減らすことができるとともに、溶接部の酸化が防止でき、優れた品質の溶接部を提供できることが分かる。
【0060】さらに、実施例1の結果と比較しても、シ−ルドガス上昇阻止板21および22を設けたことで、シ−ルドガス中の可燃性ガスの供給量をより一層削減できることが分かる。
【0061】
【発明の効果】この発明により、必要最小限のシールドガスを供給することにより、鋼帯溶接時に溶接部周辺に、溶接部を酸化させない非酸化性の雰囲気を短時間で形成することができる。




 

 


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