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発明の名称 熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58028
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−220015
出願日 平成8年(1996)8月21日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】潮谷 奈津夫
発明者 村岡 隆二 / 和田 典巳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 熱間圧延ラインの仕上圧延パススケジュールの初期に、鋼板に、実質的な圧下を施すことなく、前記鋼板の表面上に高圧水または高圧水と研削材を噴射して、前記鋼板の前記表面上のスケールを除去するための1次デスケーリング工程を行い、次いで、前記1次デスケーリング工程終了後1秒以上経過した後に、前記鋼板の前記表面上に高圧水または高圧水と研削材を噴射して、前記スケールを除去するための2次デスケーリング工程を少なくとも1回行うことを特徴とする、熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法。
【請求項2】 前記2次デスケーリング工程を、前記鋼板に、実質的な圧下を施すことなく行うことを特徴とする、請求項1に記載した方法。
【請求項3】 前記2次デスケーリング工程を、前記鋼板に、所定の圧下率による圧下を施しながら行うことを特徴とする、請求項1に記載した方法。
【請求項4】 前記2次デスケーリング工程を、複数回行い、複数回行われる前記2次デスケーリング工程のうちの少なくとも1回を、前記鋼板に、実質的な圧下を施すことなく行い、複数回行われる前記2次デスケーリング工程のうちの残りの少なくとも1回を、前記鋼板に、所定の圧下率による圧下を施しながら行うことを特徴とする、請求項1に記載した方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、厚板、形鋼などの熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延ラインにおける従来のデスケーリング方法に関して、加熱時に形成される1次スケールの除去は、粗圧延機の直前に配置されたハイドロリックスケールブレーカーによる高圧水の噴射によって行われている。また、圧延時に形成される2次スケールの除去は、粗圧延機および仕上圧延機の各々の直前に配置されたハイドロリックスケールブレーカーによる高圧水の噴射によって同様に行われている。
【0003】しかしながら、これ等の従来技術、特に、上述した2次スケールの除去方法においては、デスケーリングの際の高圧水の干渉や滞留に起因してスケールの除去が十分に行われない場合があった。スケールの除去がこのように不十分であると、鋼板の表面上にスケールむらが形成されたまま圧下され、その結果、スケール疵や鋼板の強度のばらつき等の問題が生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した問題を解決する手段として、特開平7−48622は、圧延終了後直ちに、鋼板を700から800℃まで水冷することによって、2次スケールを除去するための方法を開示している (以下、「先行技術1」という)。しかしながら、先行技術1の方法を実施するためには、鋼板を上述した温度範囲内に均一に水冷するための設備の使用を余儀無くされ、従って、膨大な設備費用が必要であり、更に、このような水冷に起因して、鋼板に熱歪が生ずる虞れがあった。
【0005】上述した問題を解決する別の手段として、特開平7−48623は、圧延終了温度を850℃以下に限定することによって、2次スケールを除去するための方法を開示している (以下、「先行技術2」という)。しかしながら、先行技術2の方法においては、圧延終了温度が上述した850℃以下に限定されるため、圧延終了温度が850℃を超える高温で仕上圧延された鋼板に適用することができず、汎用性が低い。
【0006】従って、この発明の目的は、スケール疵や鋼板の強度のばらつき等の問題を解決することはもとより、先行技術1および2が包蔵する問題をも解決することができる、熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、スケール疵や鋼板の強度のばらつきの問題、ならびに、先行技術1および2が包蔵する問題を解決することが可能な、熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法を開発すべく、鋭意研究を重ねた。
【0008】その結果、次の知見を得た。
■ スケールむらは、鋼板の表面上に形成された黒灰色のスケール層(以下、「第1スケール層」という)と、第1スケール層の上に形成された赤色のスケール層(以下、「第2スケール層」という)とからなっている。
■ 第1スケール層は、マグネタイト (Fe3 4) からなっており、組織が均一で、鋼板に対する密着性に優れており、しかも、その厚さは、10μm以下と薄い。
■ これに対して、第2スケール層は、ウスタイト (FeO) 、ヘマタイト (Fe2 3)等の微粉からなっており、組織が不均一であり、その厚さは、20μm以上と厚い。
■ 第2スケール層は、鋼板の高温圧延工程におけるデスケーリングの際の高圧水の干渉や滞留に起因して、第1スケール層上に部分的に残留し易い。
■ このように第1スケール層上に部分的に残留した第2スケール層は、圧延によって粉砕されて、その表面積が増大し、これが酸化されることによってより一層厚く成長する。
■ このように成長した第2スケール層が残留した鋼板を更に圧延すると、成長した第2スケール層に起因してスケール疵が発生する。
■ 鋼板を加速冷却する場合において、厚い厚さを有する第2スケール層における冷却能は、薄い厚さを有する第1スケール層における冷却能に比して小さい。従って、鋼板を加速冷却する場合において、第2スケールを含むスケールむらが形成されると、鋼板の強度のばらつきを生じ、その範囲は、鋼板の表面のみならず、その板厚の1/4にまで及ぶ。
■ 仕上圧延パススケジュールの初期の段階において、第2スケール層を除去し、鋼板の表面上に、薄く且つ均一な組織を有するマグネタイトからなる第1スケール層のみを残せば、上述したスケール疵や鋼板の強度のばらつきの問題を解決することができる。
■ その表面上に第1スケール層のみが残された鋼板は、塗装性およびレーザー切断性に優れており、このような鋼板を、造船、建築、橋梁、圧力容器、ラインパイプ等の様々な分野に提供することができる。
【0009】この発明は、上述した知見に基づいてなされたものであり、請求項1に記載した発明は、熱間圧延ラインの仕上圧延パススケジュールの初期に、鋼板に、実質的な圧下を施すことなく、前記鋼板の表面上に高圧水または高圧水と研削材を噴射して、前記鋼板の前記表面上のスケールを除去するための1次デスケーリング工程を行い、次いで、前記1次デスケーリング工程終了後1秒以上経過した後に、前記鋼板の前記表面上に高圧水または高圧水と研削材を噴射して、前記スケールを除去するための2次デスケーリング工程を少なくとも1回行い、かくして、前記鋼板の前記表面上に、薄く且つ均一な組織を有するスケール層、即ち、第1スケール層を残すことに特徴を有するものである。
【0010】請求項2に記載した発明は、前記2次デスケーリング工程を、前記鋼板に、実質的な圧下を施すことなく行うことに特徴を有するものである。請求項3に記載した発明は、前記2次デスケーリング工程を、前記鋼板に、所定の圧下率による圧下を施しながら行うことに特徴を有するものである。
【0011】請求項4に記載した発明は、前記2次デスケーリング工程を、複数回行い、複数回行われる前記2次デスケーリング工程のうちの少なくとも1回を、前記鋼板に、実質的な圧下を施すことなく行い、複数回行われる前記2次デスケーリング工程のうちの残りの少なくとも1回を、前記鋼板に、所定の圧下率による圧下を施しながら行うことに特徴を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】熱間圧延ラインの仕上圧延において、ハイドロリックスケールブレーカーを用いて、複数種類のデスケーリングパターンに従って、鋼板にデスケーリング処理を施した。
【0013】即ち、図1から図5に示すように、一対の仕上圧延ロール2の入側および出側に、鋼板の表裏面に向けて高圧水を噴射するための上下一対のスプレーヘッダ1aおよび1bをそれぞれ設け、仕上圧延ロール2間において、鋼板3のフォワードパスおよびリバースパスを行いながら、鋼板3の進行方向に応じて、上記スプレーヘッダ1aおよび1bの何れか一方を選択的に使用して、仕上圧延ロール2間を通過する鋼板3の表裏面に高圧水を噴射し、かくして、鋼板にデスケーリング処理を施した。上述したデスケーリング処理は、以下に示す7種類のデスケーリングパターンに従って行われた。
【0014】デスケーリングパターン■図1(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図1(b)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程を行った。
【0015】デスケーリングパターン■図1(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後2秒間経過後に、図1(b)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程を行った。即ち、デスケーリングパターン■は、1次デスケーリング工程の終了後、2次デスケーリング工程が開始されるまでに、2秒間待機されていることを除き、デスケーリングパターン■と同一である。
【0016】デスケーリングパターン■図2(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図2(b)に示すように、同様に、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程を行った。
【0017】デスケーリングパターン■図3(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図3(b)に示すように、同様に、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程としての第1工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図3(c)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印A方向に再びフォワードパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程としての第2工程を行った。
【0018】デスケーリングパターン■図4(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図4(b)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程としての第1工程を行った。この工程の終了後直ちに、図4(c)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向に再びフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程としての第2工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図4(d)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向に再びリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程としての第3工程を行った。
【0019】デスケーリングパターン図5(a)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後1秒間経過後に、図5(b)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程を行った。
【0020】デスケーリングパターン■図1(a)に示すように、鋼板3に実質的な圧下を施すことなく、これを、仕上圧延ロール2間を矢印A方向にフォワードパスさせながら、スプレーヘッダ1aから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、1次デスケーリング工程を行った。この工程の終了後直ちに、図1(b)に示すように、鋼板3を仕上圧延ロール2間を矢印B方向にリバースパスさせて、鋼板3に所定の圧下率による圧下を施しながら、スプレーヘッダ1bから鋼板3の表裏面に高圧水を噴射して、2次デスケーリング工程を行った。即ち、デスケーリングパターン■は、1次デスケーリング工程の終了後直ちに、2次デスケーリング工程が開始されることを除き、デスケーリングパターン■と同一である。
【0021】上述したデスケーリングパターン■から■の第1および第2デスケーリング工程の各々における圧下の有無、および、第1および第2デスケーリング工程間の待機時間を、表1に示す。
【0022】
【表1】

【0023】上述したデスケーリングパターン■から■に従って、鋼板にデスケーリング処理を施し、この処理の完了後に、鋼板の表面上における第2スケール層の有無を調べ、その面積率を求めた。このようにして求められた、鋼板の表面上における第2スケール層の面積率を図6に示す。
【0024】図6から明らかなように、デスケーリングパターン■から■の何れにおいても、鋼板の表面上に第2スケール層は残存していなかった。これに対して、デスケーリングパターン■においては、鋼板の表面上に第2スケール層が残存しており、その面積率は約65%であった。また、デスケーリングパターン■においても、鋼板の表面上に第2スケール層が残存しており、その面積率は約35%であった。
【0025】デスケーリングパターン■から■の何れにおいても、鋼板の表面上に第2スケール層が残存していなかった理由は、次の通りである。
(1)1次デスケーリング工程において、鋼板に実質的な圧下が施されていないこと。
(2)1次デスケーリング工程終了後1秒以上経過した後に、2次デスケーリング工程が行われていること。
【0026】これに対して、デスケーリングパターン■において、鋼板の表面上に第2スケール層が残存していた理由は、1次デスケーリング工程において、鋼板に所定の圧下率による圧下が施されたことである。一方、デスケーリングパターン■において、鋼板の表面上に第2スケール層が残存していた理由は、1次デスケーリング工程終了後直ちに、2次デスケーリング工程が行われたことである。
【0027】デスケーリングパターン■から■におけるように、鋼板に実質的な圧下を施すことなく、1次デスケーリング工程を行うと、たとえ、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層が鋼板の表面上に残存していても、これは圧下されないため、鋼板の表面上に残存している第2スケール層の、圧下による粉砕、および、このように粉砕された第2スケール層の、鋼板の表面上への圧着が防止される。
【0028】従って、この発明の熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法の1次デスケーリング工程においては、鋼板に実質的な圧下を施すべきではない。デスケーリングパターン■から■におけるように、1次デスケーリング工程終了後、2次デスケーリング工程が開始されるまでの待機時間が1秒以上であると、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層中に、鋼板と第2スケール層との間の温度差によって、亀裂の発生が促進され、その結果、2次デスケーリング工程において、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層を容易に且つ完全に除去することができる。
【0029】従って、この発明の熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法においては、1次デスケーリング工程終了後1秒以上経過した後に、2次デスケーリング工程を行うべきである。
【0030】上述から明らかなように、この発明の熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法は、デスケーリングパターン■から■によって代表されるパターンに従って実施される。
【0031】この発明の熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法は、仕上圧延パススケジュールの初期において実施すべきである。上記デスケーリング方法を、仕上圧延パススケジュールの中期または後期において実施しても、第2スケール層を完全に除去することはできない。その理由は、第2スケール層は、仕上圧延開始の前段階および初期段階での温度で主に成長するため、仕上圧延初期に圧着された厚い第2スケール層は、鋼板表面に強固に深く付着し、仕上圧延中期および後期のデスケーリングでは、第2スケール層を完全に除去することは困難であるからである。これに対し、仕上圧延初期において、上述したデスケーリング方法を実施すれば、厚い第2スケール層を圧着する前に、これを比較的容易に除去することができ、従って、第2スケール層を完全に除去することが可能になる。
【0032】なお、この発明の上述したデスケーリング方法において使用される高圧水に、必要に応じて、所定の化学成分組成を有する研削材を添加することも可能である。
【0033】
【実施例】次に、この発明の熱間圧延ラインにおけるデスケーリング方法を、実施例により、比較例と対比しながら更に詳細に説明する。
【0034】重量%で、C:0.12%、Si:0.36%、Mn:1.36%、P:0.008%、S:0.001%、Nb:0.009%、Ti:0.007%、Al:0.054%、N:0.0031%、並びに、残り、鉄および不可避的不純物からなる鋼板を、1200℃に加熱し、加熱時に発生したスケール、所謂、1次スケールを除去した。次いで、このようにして1次スケールが除去された鋼板に仕上圧延処理を施した。仕上圧延の開始温度は880℃であり、その終了温度は830℃であった。このようにして仕上圧延処理を行いながら、その処理の初期において、デスケーリングパターン■から■の何れか1つに従ったデスケーリングを行い、かくして、本発明方法AからEを実施した。
【0035】本発明方法AからEの各々について、鋼板の板厚、デスケーリングのタイミングおよびデスケーリングパターンを表2に示す。
【0036】
【表2】

【0037】上述した仕上圧延処理の終了後における鋼板の表面性状を調べた。即ち、鋼板の表面におけるスケール層の種類を目視によって確認し、鋼板の断面におけるスケール層の厚さを光学顕微鏡によって測定した。このようにして確認されたスケール層の種類、および、このようにして測定されたスケール層の厚さを、表2に併せて示す。
【0038】更に、上述した仕上圧延処理の終了後における鋼板の表面上のスケールの密着性を調べた。即ち、本発明方法A、CおよびDにおける鋼板を、一方の表面を残したまま20mmに減厚し、これを100mm幅に切断して、各々のサンプルを調製した。本発明方法BおよびEにおける鋼板については、上述したように減厚することなく、その厚さのまま使用し、これを100mm幅に切断して、各々のサンプルを調製した。このようにして調製された各サンプルを、その厚さの2倍の表曲げ半径をもって、その表面が外側に位置するように180°折り曲げた。各サンプルの折り曲げ部分におけるスケールの剥離の程度を観察した。サンプルの折り曲げ部分において、片状スケールの剥離が認められた場合は不良と評価し、その剥離が認められなかった場合は良好と評価した。各サンプルについてのスケールの密着性に関する上述した評価を、表2に併せて示す。
【0039】表2から明らかなように、仕上圧延パススケジュールの初期に、デスケーリングパターン■から■に従ったデスケーリングが行われた本発明方法AからEにおいては、第2スケール層の残存が全く認められず、鋼板の表面上に認められたのは、4.5から7.3μmの範囲内の薄い厚さを有する第1スケール層であり、しかも、その密着性は良好であった。
【0040】比較のために、上述した鋼板と同一の成分組成を有する鋼板を、同様に、1200℃に加熱し、加熱時に発生したスケール、所謂、1次スケールを除去した。次いで、このようにして1次スケールが除去された鋼板に仕上圧延処理を施した。仕上圧延の開始温度は、上述と同様に、880℃であり、その終了温度は830℃であった。このようにして仕上圧延処理を行いながら、その処理の初期、中期および後期の何れかにおいて、デスケーリングパターン■、■および■の何れか1つに従ったデスケーリングを行い、かくして、本発明の範囲外の比較方法FからIを実施した。
【0041】比較方法FからIの各々について、鋼板の板厚、デスケーリングのタイミングおよびデスケーリングパターンを表2に併せて示す。比較方法FからIの各々について、仕上圧延処理の終了後における鋼板の表面性状を、本発明方法AからEにおけると同一の方法で調べた。比較方法FからIの各々について、鋼板の表面上のスケール層の種類、および、スケール層の厚さを、表2に併せて示す。
【0042】更に、比較方法FからIの各々について、仕上圧延処理の終了後における鋼板の表面上のスケールの密着性を、本発明方法AからEにおけると同一の方法で調べた。比較方法FからIの各々について、各サンプルについてのスケールの密着性に関する評価を、表2に併せて示す。
【0043】表2から明らかなように、仕上圧延パススケジュールの初期にデスケーリングが行われたが、それがデスケーリングパターン■または■に従って行われた比較方法FまたはGにおいては、第1スケール層のみならず、第2スケール層の残存も認められ、そのスケール層の厚さは、63.8μmまたは34.1μmと厚く、しかも、その密着性は不良であった。また、デスケーリングパターン■に従ってデスケーリングが行われたが、それが、仕上圧延パススケジュールの中期または後期に行われた比較方法HまたはIにおいては、仕上圧延パススケジュールの初期にデスケーリングが行われなかったため、第1スケール層のみならず、第2スケール層の残存も認められ、そのスケール層の厚さは、20.7μmまたは25.2μmと厚く、しかも、その密着性は不良であった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、(1)鋼板に実質的な圧下を施すことなく、1次デスケーリング工程が行われるので、たとえ、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層が鋼板の表面上に残存していても、これは圧下されないため、鋼板の表面上に残存している第2スケール層の、圧下による粉砕、および、粉砕された第2スケール層の、鋼板の表面上への圧着が防止され、(2)1次デスケーリング工程終了後、2次デスケーリング工程が開始されるまでに、1秒以上の待機時間が設けられているため、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層中に、鋼板と第2スケール層との間の温度差によって、亀裂の発生が促進され、その結果、2次デスケーリング工程において、1次デスケーリング工程によってでは除去することができなかった第2スケール層を容易に且つ完全に除去することができ、(3)しかも、鋼板の表面上に残存した第1スケール層は、組織が均一で、鋼板に対する密着性に優れており、更に、その厚さは、10μm以下と薄いため、スケール疵を発生させることはなく、その結果、スケール疵や鋼板の強度のばらつき等の問題を解決することはもとより、先行技術1および2が包蔵する問題をも解決することができ、かくして、有用な効果がもたらされる。




 

 


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