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発明の名称 衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58004
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−280809
出願日 平成8年(1996)10月23日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】高野 茂
発明者 藤田 毅 / 長滝 康伸 / 吉武 明英 / 佐藤 健太郎 / 井上 正 / 大北 智良
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 冷間圧延により所定の強度を得ることを特徴とする衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法。
【請求項2】 前記冷間圧延の圧下率が2〜10%であることを特徴とする請求項1に記載の衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法。
【請求項3】 下記の式(1)で定義される鋼板の表面粗度Rskを−1.5〜+1.5の範囲内に調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法。
【数1】

【請求項4】 wt%で、C:0.1%以下、Si:1.5%以下、Mn:2%以下、P:0.1%以下、S:0.05%以下を含む鋼を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法。
【請求項5】 wt%で、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下、B:0.001%以下の範囲で、これらの元素を1種または2種以上含有することを特徴とする請求項4に記載の衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車のフロントサイドメンバー類などに用いられる衝撃エネルギー吸収能(圧壊衝撃特性)の高い薄鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の車体には、その軽量化と安全性向上のために、肉厚を薄くした高強度鋼材が積極的に使用されるようになっている。
【0003】なかでも、人命に係わるフロントサイドメンバー類などには、衝突時の衝撃を緩和するために高い衝撃エネルギー吸収能が必要とされるため、現状使用されている300〜400MPa級の鋼板を600〜800MPa級の高強度な鋼板で置き換えようという動きが益々強くなっている。
【0004】一般に、高い衝撃エネルギー吸収能を実現するためには強度、特に降伏強度を高める手段が採られているが、そのために、合金元素の添加や特殊な熱処理などが行われている。しかし、強度を高めれば高めるほど、合金元素の多量添加が必要になり製造コストが上昇したり、熱処理時の不均一性が増し製品歩留りが低下したりする。
【0005】また、降伏強度を著しく高めると、スプリングバックが大きくなりフロントサイドメンバー類などの部品に成形できなかったり、延性も著しく低下するので鋼板の剪断時や曲げ加工時に、エッジに亀裂が発生するような問題も生じる。
【0006】したがって、強度は800MPa程度以下で、これまで以上に高い衝撃エネルギー吸収能を有する鋼板が強く要望されている。
【0007】最近、特開平7ー54098号公報や特開平7ー18372号公報には、薄鋼板の衝撃性能は、衝突時の変形速度に近い歪速度で測定した動的な降伏強度と従来の降伏強度すなわち静的な降伏強度の比(静動比と呼ばれる)で評価することがより実際に近いことが示され、この静動比の高い薄鋼板およびその製造方法が提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者らが上記特許公報に記載された内容を実車テストをシミュレートした試験により追試したところ、静動比では薄鋼板の衝撃特性を的確に評価できず、衝撃性能に優れた薄鋼板を得ることができなかった。
【0009】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、高い衝撃エネルギー吸収能を有する薄鋼板を高歩留りで安定製造できる方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題は、冷間圧延により所定の強度を得ることを特徴とする衝撃エネルギー吸収能の高い薄鋼板の製造方法により解決される。
【0011】前述したように、静動比では薄鋼板の衝撃特性を的確に評価できないことが判ったので、薄鋼板の衝撃特性を正しく評価可能なパラメーターを検討したところ、衝突時の変形速度に近い歪速度103 /secで鋼板の引張試験を行って得られた応力ー歪曲線を積分した以下の数式2に示す単位体積当たりのエネルギーET (kgf・mm/mm3 )が実車における衝撃特性をより的確に反映していることがわかった。
【0012】
【数2】

【0013】図2に、文献1(佐藤等:JASE、1996年春季大会学術講演会前刷集、No.961)に記載の実車テストをシミュレートしたハット成形部材を用いた衝撃試験を行って得られた衝撃吸収エネルギーと静動比、ET の関係を示す。
【0014】ハット成形部材の衝撃吸収エネルギーとET とは極めてよい相関があり、静動比とはほとんど相関のないことがわかる。
【0015】そこで、このET を用いて高い衝撃エネルギー吸収能を有する薄鋼板の検討を行ったところ本発明をするに到った。
【0016】図1に、ET と降伏強度の関係を示す。冷間圧延により降伏強度を変えた薄鋼板すなわち本発明方法で強度を得た鋼板は、同一の降伏強度で比較すると、従来の薄鋼板より高いET を示し、高い衝撃エネルギー吸収能を有していることがわかる。
【0017】また、本発明の方法では、冷間圧延により強度を得ているので製造上のばらつきは少なく、高歩留りで安定製造が可能である。
【0018】なお、冷間圧延の圧下率を高めると著しい延性(特に、曲げ性)の低下を招く場合があるので、素材の強度、延性を考慮して、圧下率を決める必要がある。特に、目標とする強度が高い場合は、予めある程度高強度化した材料を用いて低圧下率で目標の強度を得る方が望ましい。
【0019】冷間圧延の圧下率が2%未満だと強度レベルによっては本発明の効果が充分に得られない場合があり、10%を超えると厳しい条件下の曲げ加工に問題が生じる場合がある。
【0020】以下の数式3で定義される鋼板の表面粗度Rskを−1.5〜+1.5の範囲内に調整すると、鋼の腐食に起因する衝撃エネルギー吸収能の経時的劣化を防止できる。
【0021】
【数3】

【0022】この原因は必ずしも明確でないが、Rskは粗さの振幅分布曲線の中心線に対する対称性を示す指標で、この値が−1.5未満の場合は、潤滑性にとって好ましい油だまりが少ないため摺動抵抗が増してプレス加工時に局部的な加工の集中が生じ、また+1.5を超える場合は、粗さ曲線のパターンが凸型でとがった形となるためプレス加工時に局所的な加工硬化が生じて、発錆の起点が増加するためと考えられる。
【0023】なお、Rskを−1.0〜+1.0の範囲内にすることがより好ましい。本発明に供せられる鋼の成分は下記の範囲内にあることが、下記の理由で好ましい。
【0024】C:0.1wt%以下。0.1wt%を超えると延性、曲げ性が著しく劣化する。
【0025】Si:1.5wt%以下。1.5wt%を超えるとシリケートの介在物が増え、曲げ性が著しく劣化する。
【0026】Mn:2wt%以下。2wt%を超えると著しく低延性となり曲げ性が劣化する。
【0027】P:0.1wt%以下。0.1wt%を超えると著しく低延性となるとともに、脆化する。
【0028】S:0.05wt%以下。0.05wt%を超えるとMnSの介在物が増え、曲げ性が著しく劣化する。
【0029】また、このような成分系の鋼に、Ti:0.1wt%以下、Nb:0.1wt%以下、B:0.001wt%以下の範囲でこれらの元素を1種または2種以上含有させると、図1に示したように、さらに高いET が得られる。Ti、Nbが0.1wt%を超えたり、Bが0.001wt%を超えると、このような効果は得られなかった。
【0030】
【発明の実施の形態】冷間圧延により所定の強度を得る前の素材の薄鋼板は、熱延鋼板でも冷延鋼板でもよく、その製造方法は特に限定されない。すなわち、転炉や電炉で溶製し、連続鋳造後、直接あるいは加熱炉で再加熱後通常の条件で熱間圧延した熱延鋼板や、さらに熱延鋼板を通常の条件で冷間圧延後焼鈍した冷延鋼板を用いることができる。
【0031】しかし、素材の段階ですでに強度な加工を受けている鋼板は、所定の強度を得るために冷間圧延を施すと著しく延性が低下する恐れがあるので、避けたほうが好ましい。通常の調質圧延やレベラーで与えられる程度の歪量ならこのような問題はなく、本発明の素材として使用できる。
【0032】本発明法により製造された鋼板には、その強度が変わるほどの加熱を受けない範囲内で、電気めっきや塗装などの表面処理を施してもよい。
【0033】鋼板の表面粗度Rskは、所定の強度を得るための冷間圧延時のロール表面粗度を変えれることにより容易に変えられる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)表1、表2に示す化学成分の鋼を用いて、降伏強度が650MPa級、400MPa級、350MPa級の強度レベルの29種の試料を作成した。
【0035】試料No.1〜11の降伏強度が650MPa級の試料は、連続鋳造後のスラブを1200℃に再加熱して仕上温度860℃で板厚3mmまで熱間圧延し、650℃で巻き取り、冷間圧延後650℃で連続焼鈍した冷延鋼板に1.5〜11%の圧下率で最終冷間圧延を施した板厚1.6mmの本発明鋼である。試料No.12と13の試料は、C、Si、Mn量を増加したり、Niを添加して、試料No.1〜11と同様な製造条件で作製した降伏強度が650MPa級の冷延鋼板であり、最終冷間圧延の施されてない板厚1.6mmの比較鋼である。
【0036】試料No.14〜17の降伏強度が400MPa級の試料は、連続鋳造後のスラブを1200℃に再加熱して仕上温度850℃で熱間圧延し、550℃で巻き取った熱延鋼板に6%の圧下率で最終冷間圧延した板厚1.2mmの本発明鋼である。試料No.18の試料は、試料No.14〜17と同様な製造条件で作製した降伏強度が400MPa級の熱延鋼板であり、最終冷間圧延の施されてない板厚1.2mmの比較鋼である。
【0037】試料No.19〜27の降伏強度が350MPa級の試料は、連続鋳造後後のスラブを1200℃に再加熱して仕上温度890℃で板厚3mmまで熱間圧延し、690℃で巻き取り、冷間圧延後700℃で連続焼鈍した冷延鋼板に1.5〜18%の圧下率で最終冷間圧延を施した板厚1.0mmの本発明鋼である。試料No.28と29の試料は、Tiの含有量が本発明範囲外の鋼を用い、試料No.19〜27と同様な製造条件で作製した降伏強度が350MPa級の冷延鋼板であり、最終冷間圧延の施されてない板厚1.0mmの比較鋼である。
【0038】そして、これらの試料に対し歪速度103 /secで引張試験を行い、ET を求めた。また、0t、1tの曲げ試験を行い、クラック発生の有、無(×、〇)で曲げ性を評価した。
【0039】結果を表1、表2に示す。いずれの降伏強度レベルにおいても、最終冷間圧延を施し降伏強度レベルを確保した本発明鋼は、最終冷間圧延を施さないで添加元素などで降伏強度レベルを確保した比較鋼に比べ、高いET を示しており、高い衝撃エネルギー吸収能を有していることがわかる。
【0040】また、Ti、Nb、Bを本発明範囲内で1種または2種以上含有させると、より高いET の得られることがわかる。特に、降伏強度が350MPa級や400MPa級の試料の試料で、その傾向が認められる。
【0041】また、最終冷間圧延の圧下率が10%を超えたり(試料No.4、試料No.22)、C、Si、S量がそれぞれ0.1、1.5、0.5wt%を超えると(試料No.6、試料No.7、試料No.8、試料No.9)、通常のフロントサイドメンバー類などの部品にはない非常に厳しい条件の0t曲げにおいて、クラックが発生する場合がある。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】(実施例2)表1および表2に示す本発明鋼である試料No.3、10、14、15、23、25の試料について、最終冷間圧延時のロールの表面粗度を変えてRskを表3に示すように−1.75〜+1.70に変えた試料を作成した。そして、下記の条件で腐食促進試験を行い、これらの試料に対し歪速度103 /secで引張試験を行い、ET を求めた。
【0045】腐食促進試験の条件は、試料を電着塗装後35℃で0.5%NaCl水溶液によるSST試験を3時間行い、65℃で湿度10〜15%の雰囲気中に6時間放置し、55℃で湿度90%以上の雰囲気中に3時間放置する試験を1サイクルとして100サイクル実施した。
【0046】結果を表3に示す。いずれの試料においても、Rskが−1.5〜+1.5の範囲内にあれば、腐食促進試験後のET の低下は小さく、衝撃エネルギー吸収能の経時的劣化が少ないことがわかる。特に、Rskが−1.0〜+1.0の範囲内にあるときは、その低下が極めて小さく、実質的に衝撃エネルギー吸収能の経時的劣化が起こってないといえる。
【0047】一方、Rskを−1.5〜+1.5の範囲外にすると、腐食促進試験後のETは試験前の値より大きく低下しており、衝撃エネルギー吸収能が大きく経時的劣化していることがわかる。
【0048】なお、強度や曲げ性などの特性については、表面粗度Rskの影響は認められない。
【0049】
【表3】

【0050】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されているので、高い衝撃エネルギー吸収能を有する薄鋼板を高歩留りで安定製造できる方法を提供できる。
【0051】また、本発明方法で製造した高い衝撃エネルギー吸収能を有する薄鋼板を用いれば、現状用いられている強度のフロントサイドメンバー類の薄肉化が可能となり、自動車車体の軽量化に大きく寄与できる。




 

 


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