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発明の名称 中・高密度ポリエチレン樹脂成形体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−44219
公開日 平成10年(1998)2月17日
出願番号 特願平8−207138
出願日 平成8年(1996)8月6日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
発明者 北尾 幸市
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 成形体を融点より低い温度でアニールし、その後アニール温度から60℃までの温度範囲を10℃/min以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする中・高密度ポリエチレン樹脂成形体の製造方法。
【請求項2】 ポリエチレン樹脂を溶融成形後冷却するに際し、融点から60℃までの温度範囲を10℃/min以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする中・高密度ポリエチレン樹脂成形体の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ガス導管用ポリエチレン管などの中・高密度ポリエチレン樹脂成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、都市ガス用導管として、軽量で施工性に優れ、可撓性があるため地震などにも強く、しかも優れた耐食性を有する中・高密度ポリエチレン管が注目を集めており、従来用いられていた鋼管に置き変わりつつある。
【0003】ポリエチレン管の低温靭性は、後述のNDT(Nil DuctilityTemperature:無延性温度)で評価すると、中密度材のNDTは−15℃前後、高密度材のNDTは−35℃前後である。したがって、中密度材を−15℃より低温になる、また高密度材を−35℃より低温になる寒冷地で使用すると脆性破壊を引き起こす恐れがある。
【0004】ここで、NDTとは、先端にレーザにより深さ0.5mmの切り込みを入れた深さ2mm、角度45°のVノッチを設けた長さ55mm、幅10mm、板厚5mmの試験片を用いて、スパン40mm、衝撃速度3.8m/secの条件でシャルピー試験を行い、測定される吸収エネルギーが低温側から増加し始める温度である。
【0005】ポリエチレン管は、一般的には押出成形後直ちに水冷固化され、固化後は空冷されて製造されるが、文献1〔Angew.Makromol.Chem.,105,167(1982)〕には、こうして製造されたポリエチレン樹脂成形体を融点直下の温度でアニールすると靭性の向上することが報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者等が追試したところ、アニールの条件によっては靭性の向上が認められない場合があった。
【0007】本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、安定して低温靭性の優れた中・高密度ポリエチレン樹脂成形体を製造し得る方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、成形体を融点より低い温度でアニールし、その後アニール温度から60℃までの温度範囲を10℃/min以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする中・高密度ポリエチレン樹脂成形体の製造方法により解決される。
【0009】ここで、融点とは、140℃から80℃の間を冷却速度25℃/minで冷却して作成した試料を5℃/minで昇温しながら示差熱分析したときに測定される融解ピーク温度のことである。
【0010】本発明者等は、ポリエチレン樹脂成形体の低温靭性を向上させる目的で成形体のアニール条件の影響を検討したところ、低温靭性がアニール後の冷却条件により大きな影響を受けることを見出した。
【0011】図1に、高密度ポリエチレン樹脂シートを100℃で30minアニールしたときのNDTとアニール後の冷却速度の関係を示す。
【0012】アニール後の冷却速度を10℃/min以下にすれば、未アニール試料より低いNDTが得られ、低温靭性が向上することがわかる。
【0013】この原因は必ずしも明確でないが、ポリマーのエンタングルメント(絡み合い)が緩冷却により弱められ、その結果クレージング(クラックの分散)が促進したことによると考えられる。
【0014】融点以上の温度でアニールするとこのような効果は得られなかった。冷却速度の制御範囲は60℃まで行えば充分で、それより低い温度範囲における冷却速度は低温靭性に影響を与えなかった。
【0015】以上は、一度製造されたポリエチレン樹脂成形体を再度加熱アニールし、アニール後の冷却速度を制御する方法であるが、ポリエチレン樹脂を溶融成形後冷却するに際し、融点から60℃までの温度範囲を10℃/min以下の平均冷却速度で冷却しても同様な効果が得られた。
【0016】このことから、融点近傍からの冷却中に形成されるポリマーのエンタングルメントの状態が低温靭性の支配的要因であることが推察される。
【0017】なお、本発明の効果は、中・高密度ポリエチレン樹脂からなる成形体には認められたが、低密度ポリエチレン樹脂からなる成形体では確認できなかった。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、中・高密度ポリエチレン樹脂であれば、どんなポリエチレン樹脂にも適用できる。
【0019】アニール後のアニール温度から、また溶融成形後の融点から60℃までの温度範囲を10℃/min以下の平均冷却速度で冷却するとき、一定速度で冷却しても、また、冷却途中に加熱保持処理を施しても同様な効果が得られる。
【0020】
【実施例】
(実施例1)日本ポリオレフィン社製の押出しグレード高密度ポリエチレン樹脂を用い、従来法をシミュレートした条件、すなわち熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い水冷固化後大気中で放冷する条件で、厚さ5mmのシートを作成した。このシートを表1に示す条件で赤外線イメージ炉を用いてアニールし、試料1〜5を作成した。そして、上述した方法でNDTを測定した。
【0021】なお、用いたポリエチレン樹脂のメルトフローレートMFRを、JISK6760にしたがい温度190℃、荷重2.16kgで測定したところ、0.3dg/minであった。また、1000個の炭素当たりの分岐度を、文献2〔Macromolecules,19,2722(1986)〕にしたがい13CーNMRを用いて評価したところ、1.7個/1000Cであった。
【0022】試料1は、80℃×60minのアニール後、冷却速度10℃/minで60℃まで冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0023】試料2は、80℃×60minのアニール後、冷却速度2℃/minで60℃まで冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0024】試料3は、120℃×30minのアニール後、冷却速度10℃/minで60℃まで冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0025】試料4は、120℃×30minのアニール後、冷却速度1℃/minで60℃まで冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0026】試料5は、アニールの行われてない試料である。結果を表1に示す。
【0027】本発明法の条件でアニールされた試料1〜4のNDTは−42℃〜−45℃と、アニールの行われてない従来法で作成された試料5のNDT−35℃に比べ大きく低下しており、本発明法により低温靭性が改善されていることがわかる。
【0028】
【表1】

【0029】(実施例2)実施例1で用いた高密度ポリエチレン樹脂を用い、表2に示す溶融成形条件(熱プレス条件)およびその後の冷却条件により厚さ5mmのシート状試料6〜9を作成した。冷却は、熱プレス後急冷して一定温度に保持する冷プレスの条件を変えたり、赤外線イメージ炉を用いて融点から60℃までの温度範囲の冷却速度を制御して行った。そして、上述した方法でNDTを測定した。
【0030】試料6は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、冷プレスにて100℃で60min保持後大気中で放冷した本発明法による試料である。この試料の融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は1℃/minであった。
【0031】試料7は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、融点から60℃までの温度範囲を3℃/minの平均冷却速度で冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0032】試料8は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、冷プレスにて20℃で5min保持した本発明外の試料である。この試料の融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は35℃/minであった。
【0033】試料9は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、水冷固化後大気中で放冷した従来法をシミュレートした試料である。このときの融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は20℃/minであった。
【0034】結果を表2に示す。本発明法で作成した試料のNDTはいずれも−44℃〜−45℃と、従来法や本発明法の条件外で作成した試料のNDT−35℃〜−33℃に比べ大きく低下しており、本発明法により低温靭性が改善されていることがわかる。
【0035】(実施例3)日本ポリオレフィン社製の押出しグレード中密度ポリエチレン樹脂を用い、表2に示す溶融成形条件およびその後の冷却条件により厚さ5mmのシート状試料10〜13を作成した。そして、上述した方法でNDTを測定した。
【0036】なお、用いたポリエチレン樹脂のMFRと1000個の炭素当たりの分岐度は、実施例1に示した方法で測定したところ、それぞれ0.2dg/min、8.8個/1000Cであった。
【0037】試料10は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、冷プレスにて80℃で30min保持後大気中で放冷した本発明法による試料である。この試料の融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は2℃/minであった。
【0038】試料11は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、融点から60℃までの温度範囲を3℃/minの平均冷却速度で冷却後大気中で放冷した本発明法による試料である。
【0039】試料12は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、冷プレスにて20℃で5min保持した本発明外の試料である。この試料の融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は35℃/minであった。
【0040】試料13は、熱プレスにて190℃で5minの溶融成形を行い、水冷固化後大気中で放冷した従来法をシミュレートした試料である。この試料の融点から60℃までの温度範囲における平均冷却速度は20℃/minであった。
【0041】結果を表2に示す。本発明法で作成した試料のNDTはいずれも−23℃〜−24℃と、従来法や本発明法の条件外で作成した試料のNDT−15℃に比べ大きく低下しており、本発明法により低温靭性が改善されていることがわかる。
【0042】
【表2】

【0043】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されているので、安定して低温靭性の優れた中・高密度ポリエチレン樹脂成形体を製造し得る方法を提供できる。




 

 


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