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発明の名称 樹脂被覆金属体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−28930
公開日 平成10年(1998)2月3日
出願番号 特願平8−185049
出願日 平成8年(1996)7月15日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
発明者 北川 尚男 / 岡野 嘉宏
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 金属体に、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホンから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性樹脂に10〜50wt%の無機充填材を配合した樹脂被覆材が被覆されていることを特徴とする樹脂被覆金属体。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホンの熱可塑性樹脂を用いた樹脂被覆金属体に関する。
【0002】
【従来の技術】優れた特性を有する熱可塑性樹脂であるポリエーテルエーテルケトン(以降、PEEKと略称する)、ポリフェニレンサルファイド(以降、PPSと略称する)、ポリエーテルサルホン(以降、PESと略称する)を金属体に被覆すると、耐熱性、耐薬品性、耐水性、機械的強度等に優れた樹脂被覆金属体が得られることが知られている。
【0003】しかし、PEEK、PPS、PESを金属体に被覆する際に、通常の焼付け処理では充分な接着力を得ることが難しいという問題がある。すなわち、前記熱可塑性樹脂の融点が高いことから焼付け処理時の加熱温度が高温(300〜450℃)になることと、前記熱可塑性樹脂の熱膨張率が金属体に比べて3〜10倍も大きいことから、加熱後室温まで冷却する過程で、前記熱可塑性樹脂と金属体との界面に熱応力が発生し、接着力が低下してしまうからである。
【0004】そして、接着力が低下した状態で、特に、高温高圧の熱水の下で長期にわたって使用すると、熱可塑性樹脂層を通過した熱水が金属体との界面に滞留し、ブリスター(ふくれ)や剥離が生じて性能が劣化するという問題が発生する。
【0005】このような問題に対して、これまでに、前記熱可塑性樹脂と金属体との接着力を確保し、性能を維持する技術として以下のようなものが考えられている。
【0006】特開平4−86254号公報には、金属体面に、金属アルコキシド又はその初期縮合物からなるプライマー組成物によるプライマー層を形成し、その上に、PEEKを被覆した樹脂被覆金属体が開示されている(先行技術1)。
【0007】特開平4−308746公報には、ブラスト処理を施した鋼材の表面にまだらの溶射金属層および熱可塑性樹脂被覆を積層した被覆鋼材が開示されている(先行技術2)。
【0008】また、特開平4−50585号公報には、Ni、Cr、Moからから選ばれた一種以上の金属による金属被覆層の上に、PEEKによる樹脂被覆層を形成したコーティング鋼管が開示されている(先行技術3)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技術1では金属アルコキシド等によるプライマー層、先行技術2では溶射金属層、先行技術3ではNi等による金属被覆層といった、接着力を確保するための特殊な中間層を形成する必要があることから、被覆工程が煩雑となり、コストもかかるという問題がある。そのために、PEEK、PPSあるいはPESを用いた樹脂被覆金属体を実用的に使用することが困難であった。
【0010】本発明は、上記のような問題点の解決を図ったものであり、PEEK、PPSあるいはPESを用いた樹脂被覆金属体であって、樹脂被覆層と金属体間の接着力が優れ、性能が安定していると共に、安価な樹脂被覆金属体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の樹脂被覆金属体は、PEEK、PPS、PESから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性樹脂に10〜50wt%の無機充填材を配合した樹脂被覆材が金属体に被覆されていることを特徴とする樹脂被覆金属体である。
【0012】このようにして製造された樹脂被覆金属体では、熱可塑性樹脂に無機充填材が配合されているので、被覆樹脂層の熱膨張率が熱可塑性樹脂単体の場合の1 /2〜1/3に低下し、金属体の熱膨張率との差が大幅に少なくなる。その結果、焼付け処理時の熱応力の発生が抑止され、充分な接着力を得ることができる。
【0013】さらに、配合した無機充填物は、樹脂被覆層に熱水等が浸透することを抑える働きもある。
【0014】したがって、高温高圧の熱水の下で長期にわたって使用しても、熱水が金属体との界面に滞留することがなく、ブリスター(ふくれ)や剥離の発生による性能劣化という問題も生じない。
【0015】そして、金属アルコキシドによるプライマー層等の特殊な中間層を形成する必要がないことから、被覆工程は煩雑でなく、安価に製造できる。
【0016】ただし、無機充填材の配合が10wt%未満の場合には、樹脂被覆材の熱膨張率があまり低下しないので、焼付け処理時の熱応力の発生を抑止できず、充分な接着力が得られない。
【0017】また、無機充填材の配合が50wt%を越える場合には、熱可塑性樹脂の割合が少なくなるので、焼付け処理での充分な接着力が得られない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明する。
【0019】図1は本発明の一実施の形態を示す断面図である。図1において、金属体1の外表面には、表面の酸化を抑えるクロメート処理層2が形成されている。金属体1は炭素鋼、ステンレス鋼、各種合金鋼等でできた鋼管、形鋼、鋼板、棒鋼及び成形品や構造物等を総称したものである。クロメート処理層2の表面には、熱可塑性樹脂に10〜50wt%の無機充填材を配合した樹脂被覆材による樹脂被覆層3が設けられている。
【0020】熱可塑性樹脂は、PEEK、PPS、PESから選ばれる少なくとも1種類の熱可塑性樹脂である。
【0021】PEEK、PPS、PESはいずれも耐熱性、耐薬品性、耐水性、機械的強度等に優れており、これらの長所を金属体の樹脂被覆材として生かそうとするものである。
【0022】無機充填材4としては、ガラス、金属酸化物等を用いる。無機充填材4を配合した樹脂被覆材は、粉末状の上記熱可塑性樹脂に粉末状の無機充填材4を所定量均一に混合して得られる。
【0023】金属体1への樹脂被覆材の被覆は、静電粉体塗装あるいは流動浸漬法によって行う。
【0024】なお、上記実施の形態では、酸化防止のためにクロメート処理を行なった場合を示したが、クロメート処理の代わりに、必要に応じて、通常のエポキシ系、ポリエステル系、フッ素系、シリコン系等、ポリウレタン系、フェノール樹脂系の合成樹脂に顔料(金属酸化物、ガラス、カーボン)との添加物を配合し、必要に応じて溶剤を添加してなるプライマーを樹脂層に設けても良い。
【0025】
【実施例】以下、本発明の確認試験について述べる。
【0026】(実施例1)金属体に外径38mmφの鋼管を用い、鋼管外面を、サンドやスチールグリッド、ショット、銅スラグ、風砕スラグ(高炉スラグ)等を用いたプラスト処理によって、10点平均粗さで5〜100μm好ましくは20〜40μmの範囲て粗面化した。次いで、その表面にクロメート処理を施した。
【0027】そして、アミノシラン系の表面処理材で表面処理したガラスパウダーを無機充填材として配合したPEEKを樹脂被覆材として被覆した。
【0028】樹脂被覆層の厚みは100〜1500μm、好ましくは200〜1000μmとした。
【0029】その際、無機充填材のガラスパウダーの量を0〜60%まで変えて配合し、試験材No.1〜試験材No.7の供試材とした。
【0030】PEEKの焼付け加熱温度は約380〜420℃が適切であるので、実施例1では、加熱温度400℃、加熱時間20分で加熱し、その後20℃/分よりも遅い冷却速度で徐冷した。400℃から急冷すると、クラックが入ったり、表面に細かいしわが入る危険性があるからである。
【0031】(実施例2)実施例1のPEEKをPPSに替えた。PPSの焼付け加熱温度は約350〜400℃が適切であるので、実施例2では、加熱時間380℃、加熱時間20分で加熱し、その後徐冷した。それ以外は実施例1と同様に行なった。
【0032】(実施例3)実施例1のPEEKをPESに替えた。PESの焼付け加熱温度は約380〜400℃が適切であるので、実施例3では、加熱温度400℃、加熱時間20分で加熱し、その後徐冷した。それ以外は実施例1と同様に行なった。
【0033】そして、実施例1〜実施例3の各供試材No.1〜No.7について、管内面に60℃の温水を循環させ、管外面の樹脂側を90℃の熱水中に温度差浸漬試験を行なった。
【0034】そして、試験前および試験後の樹脂層の接着力の評価と、試験後のブリスターの発生の有無を調査するために、試験前および試験後でJISK−5400碁盤目試験を行なった。
【0035】その結果を表1〜表3に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】いずれの熱可塑性樹脂の場合でも、無機充填材を10〜50wt%の範囲で配合した供験材は、試験前及び試験後の碁盤目試験の結果は良好で、充分な接着力が得られており、ブリスターの発生も見られず、性能を維持している。
【0040】これに対して、無機充填材を配合していない供試材では、碁盤目試験の結果からみて、充分な接着力が得られておらず、ブリスターの発生も見られ、性能が劣化している。
【0041】また、無機充填材を50wt%を越えて配合した供試材は、碁盤目試験の結果から接着力の低下がみられ、性能劣化の危険性がある。
【0042】この結果、PEEK、PPSあるいはPESに10〜50wt%の無機充填材を配合した樹脂被覆材を被覆することで、良好な樹脂被覆金属体が得られることが確認された。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、無機充填材を熱可塑性樹脂に適切に配合した樹脂被覆材を用いることにより、金属アルコキシドによるプライマー層等の特殊な中間層を形成することなく、良好な性能を有した安価な樹脂被覆金属体を得ることができる。




 

 


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