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潤滑性、プレス成形性、耐食性および耐コイル変形性に優れた亜鉛系めっき鋼板 - 日本鋼管株式会社
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発明の名称 潤滑性、プレス成形性、耐食性および耐コイル変形性に優れた亜鉛系めっき鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−15482
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平8−176085
出願日 平成8年(1996)7月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】潮谷 奈津夫
発明者 三好 達也 / 杉本 芳春 / 山下 正明
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 鋼板と、前記鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、亜鉛または亜鉛合金めっき層と、前記亜鉛または亜鉛合金めっき層の上に形成されたクロメート被膜と、そして、前記クロメート被膜の上に塗料を塗布しそしてこれを加熱硬化させることによって前記クロメート被膜の上に形成された樹脂被膜とからなる亜鉛系めっき鋼板において、前記クロメート被膜の量は、金属クロム換算で、鋼板の片面当たり5〜200mg/m2 の範囲内であり、前記樹脂被膜の厚さは、鋼板の片面当たり、0.3〜3.0μmの範囲内であり、前記樹脂被膜は、固形分換算で、(1)溶剤系熱硬化型樹脂:100重量部、(2)固形潤滑剤としての130℃以下の融点を有しそして平均分子量が5000以下、且つ、酸価0.1以上のポリエチレン樹脂:前記溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して1〜30重量部、および、(3)防錆顔料:前記溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して3〜30重量部、からなっており、そして、前記溶剤系熱硬化型樹脂は、(A)下記化学成分を有する水酸基含有ウレタンプレポリマー、(a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリオールからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリオール、(b)イソシアネート化合物、および、(c)2価のアルコール、および、(B)硬化剤としての、ブロックポリイソシアネート化合物およびアミノ樹脂のうちの少なくとも1種、からなっていることを特徴とする、潤滑性、プレス成形性、耐食性および耐コイル変形性に優れた亜鉛系めっき鋼板。
【請求項2】 前記溶剤系熱硬化型樹脂は、ガラス転移温度の異なる2種以上の樹脂からなっている、請求項1記載の亜鉛系めっき鋼板。
【請求項3】 前記ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂は、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂とからなっている、請求項2記載の亜鉛系めっき鋼板。
【請求項4】 前記低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、前記高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂との配合比が、9:1〜1:9の範囲内である、請求項2または3記載の亜鉛系めっき鋼板。
【請求項5】 前記固形潤滑剤としてのポリエチレン樹脂の融点は、90〜130℃の範囲内であり、そして、その粒径は20μm 以下である、請求項1から4の何れか1つに記載の亜鉛系めっき鋼板。
【請求項6】 前記防錆顔料は、クロム酸塩化合物およびシリカのうちの少なくとも1種からなっている、請求項1から5の何れか1つに記載の亜鉛系めっき鋼板。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、その表面上に潤滑油等を塗布しなくても、優れた潤滑性およびプレス成形性を有し、プレス成形後の外観および耐食性が良好であって、且つ、コイル自体の変形が生じにくい亜鉛めっき鋼板または亜鉛系合金めっき鋼板(以下、「亜鉛系めっき鋼板」と略称する)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板は、耐食性に優れているので、各種の産業分野において広く使用されている。このような亜鉛系めっき鋼板を、自動車や家庭電気製品等の部品、また、建材用途の材料として使用する場合には、亜鉛系めっき鋼板に対し、プレスによる曲げ、絞り、張り出しおよびロールフォーミング等の加工が施される。
【0003】亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性は、冷延鋼板に比べて劣っている。その原因は、プレス成形時における亜鉛系めっき鋼板の、成形用金型に対する摩擦抵抗が、冷延鋼板の、成形用金型に対する摩擦抵抗よりも大きいためである。そこで、亜鉛系めっき鋼板のプレス成形性を向上させ、成形された後の亜鉛系めっき鋼板の外観を良好にならしめるために、一般に、亜鉛系めっき鋼板の表面上に、潤滑油や防錆油を塗布することが行われている。
【0004】しかしながら、亜鉛系めっき鋼板の表面上に、潤滑油等を塗布することは、製造工程を煩雑にし、且つ、作業環境を悪化させる。のみならず、潤滑油等を塗布してプレス成形した場合でも、プレス成形条件が厳しい場合には、プレス成形時にかじりが発生することがあり、プレス成形された亜鉛系めっき鋼板の耐食性が劣化することがある。
【0005】一方、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を、より向上させるために、亜鉛系めっき層の表面上に、クロメート被膜、または、クロメート被膜および樹脂被膜が形成されたクロメート処理亜鉛系めっき鋼板が知られている。このようなクロメート処理亜鉛系めっき鋼板の、平板状での耐食性は良好である。
【0006】しかしながら、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板に対して、潤滑油等を塗布しないでプレス成形を施すと、成形不良や割れが発生し、更に、連続・高速プレス成形時においては、成形用金型および亜鉛系めっき鋼板の温度上昇により、クロメート被膜および樹脂被膜に剥離や黒化現象が発生する結果、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板の耐食性および表面性状が劣化する。
【0007】従って、クロメート処理亜鉛系めっき鋼板の場合においても、プレス成形を施す場合には、その表面上に、潤滑油等を塗布することが必要とされており、更には、金型および亜鉛系めっき鋼板を冷却する意味においても、潤滑油の塗布は重要な役割を果たしている。
【0008】上述した問題を解決し、その表面上に潤滑油等を塗布しなくても、常温および高温時において優れた潤滑性およびプレス成形性を有し、且つ、耐食性の良好な表面処理鋼板の開発が従来から要求されており、例えば、次のような表面処理鋼板が提案されている。
【0009】■ 特開平6−254486号公報に開示されている、亜鉛系めっき鋼板の表面上にクロメート被膜が形成され、前記クロメート被膜の上に、ガラス転移温度(Tg)の異なる特定のウレタン系樹脂の2種以上と融点130℃以下、平均分子量5000以下のポリエチレン樹脂およびシリカからなる樹脂被膜が形成された、常温および高温時の潤滑性、プレス成形性および耐食性の優れた亜鉛系めっき鋼板(以下、先行技術という)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術には、次のような問題がある。即ち、先行技術の場合には、潤滑性、プレス成形性、プレス成形後の外観性および耐食性の向上が認められる。しかしながら、潤滑性が良好であるために、コイルに巻き取った後、コイルカーで移動する際に内周部分がずれて筍状に変形したり、コイルを保管中に楕円形状に変形したりすることがある。
【0011】従って、この発明の目的は、上述した問題を解決し、優れた潤滑性、プレス成形性および耐食性を有し、且つ、耐コイル変形性に優れた亜鉛系めっき鋼板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、特定の溶剤系熱硬化型樹脂と、固形潤滑剤とそして防錆顔料とが所定の割合で配合された塗料を、亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層の表面上に形成されたクロメート被膜の上に塗布し、これを加熱し硬化させて、前記クロメート被膜の上に樹脂被膜を形成すれば、優れた潤滑性、プレス成形性および耐食性を有し、且つ、耐コイル変形性に優れた亜鉛系めっき鋼板が得られることを知見した。
【0013】この発明は、上記知見に基づいてなされたものである。請求項1記載の発明は、鋼板と、前記鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、亜鉛または亜鉛合金めっき層と、前記亜鉛または亜鉛合金めっき層の上に形成されたクロメート被膜と、そして、前記クロメート被膜の上に塗料を塗布しそしてこれを加熱硬化させることによって前記クロメート被膜の上に形成された樹脂被膜とからなる亜鉛系めっき鋼板において、前記クロメート被膜の量は、金属クロム換算で、鋼板の片面当たり5〜200mg/m2 の範囲内であり、前記樹脂被膜の厚さは、鋼板の片面当たり、0.3〜3.0μmの範囲内であり、前記樹脂被膜は、固形分換算で、(1)溶剤系熱硬化型樹脂:100重量部、(2)固形潤滑剤としての130℃以下の融点を有しそして平均分子量が5000以下、且つ、酸価0.1以上のポリエチレン樹脂:前記溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して1〜30重量部、および、(3)防錆顔料:前記溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して3〜30重量部、からなっており、そして、前記溶剤系熱硬化型樹脂は、(A)下記化学成分を有する水酸基含有ウレタンプレポリマー、(a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリオールからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリオール、(b)イソシアネート化合物、および、(c)2価のアルコール、および、(B)硬化剤としての、ブロックポリイソシアネート化合物およびアミノ樹脂のうちの少なくとも1種、からなっていることに特徴を有するものである。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記溶剤系熱硬化型樹脂は、ガラス転移温度の異なる2種以上の樹脂からなっていることに特徴を有するものである。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂は、硬化後のガラス転移温度が50℃以下である低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃超である高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂とからなることに特徴を有するものである。
【0016】請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、前記高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂との配合比が、9:1〜1:9の範囲内であることに特徴を有するものである。
【0017】請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか1つに記載の発明において、前記固形潤滑剤としてのポリエチレン樹脂の融点は、90〜130℃の範囲内であり、そして、その粒径は20μm 以下であることに特徴を有するものである。
【0018】請求項6記載の発明は、前記防錆顔料は、請求項1から5の何れか1つに記載の発明において、クロム酸塩化合物およびシリカのうちの少なくとも1種からなっていることに特徴を有するものである。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明において、亜鉛系めっき層の表面上に形成される樹脂被膜のベース樹脂として溶剤系熱硬化型樹脂を使用する理由は、次の通りである。
■ 溶剤系熱硬化型樹脂は、水系樹脂に比較して、樹脂中に添加される潤滑剤および防錆剤等の添加剤との相溶性、および、塗料としての長期安定性に優れている。
■ 熱硬化型樹脂は、熱可塑性樹脂と異なり、融点が存在しないので、高温時の機械的強度に優れている。従って、このような樹脂からなる塗料によって樹脂被膜を形成すれば、プレス成形時の摩擦熱によって鋼板の表面温度が上昇しても、樹脂被膜に剥離や変形が生じにくい。
【0020】樹脂被膜のベース樹脂として、ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂を使用する理由は、次の通りである。ガラス転移温度の低い溶剤系熱硬化型樹脂は、低温時における柔軟性に優れている。従って、このような樹脂をベース樹脂とした樹脂被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板をプレス成形するに際し、プレス成形条件が、緩やかな場合または緩やかな部分では、プレス成形性およびプレス成形後の外観が良好である。しかしながら、プレス成形条件が、表面が高温になるような酷しい場合または酷しい部分では、樹脂被膜が軟化してめっき鋼板から剥離し、剥離した樹脂被膜が成形用金型に付着する結果、プレス成形性およびプレス成形後の外観の劣化を招く。
【0021】一方、ガラス転移温度の高い溶剤系熱硬化型樹脂は、高温強度に優れている。従って、このような樹脂をベース樹脂とした樹脂被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板をプレス成形するに際し、プレス成形条件が、表面が高温になるような酷しい場合または酷しい部分でも、樹脂被膜が軟化してめっき鋼板から剥離するようなことは生じない。しかしながら、ガラス転移温度の高い溶剤系熱硬化型樹脂は、低温時における柔軟性が悪いために、プレス成形条件が、緩やかな場合または緩やかな部分では、樹脂被膜が粉化してめっき鋼板から剥離し、剥離した樹脂被膜が成形用金型に付着する結果、プレス成形性およびプレス成形後の外観の劣化を招く。
【0022】そこで、この発明においては、樹脂被膜に、上述したプレス成形の際の、低温時における柔軟性、および、高温時における強度を共に付与するために、樹脂被膜のベース樹脂を、ガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂によって構成した。
【0023】好ましい溶剤系熱硬化型樹脂は、硬化後のガラス転移温度が50℃以下の低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、硬化後のガラス転移温度が50℃超の高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂とによって構成された樹脂である。上述した低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂の、より好ましいガラス転移温度は、10〜50℃の範囲内であり、そして、上述した高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂の、より好ましいガラス転移温度は、50℃超〜100℃の範囲内である。
【0024】低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂との好ましい配合比は、9:1〜1:9の範囲内である。上記配合比が9超:1未満では、このような樹脂をベース樹脂とする樹脂被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板のプレス成形時に、その成形条件が、鋼板表面が高温になるような酷しい場合に、樹脂被膜が軟化してめっき鋼板から剥離する問題が生ずる。
【0025】一方、上記配合比が1未満:9超では、上記成形条件が、鋼板表面がそれほど高温にならないような緩やかな場合に、樹脂被膜が粉化してめっき鋼板から剥離する問題が生ずる。低ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂と、高ガラス転移温度の溶剤系熱硬化型樹脂とのより好ましい配合比は、9:1〜5:5の範囲内である。
【0026】上述したガラス転移温度の異なる2種以上の溶剤系熱硬化型樹脂の各々は、(A)下記化学成分を有する、ガラス転移温度の異なる水酸基含有ウレタンプレポリマー、(a)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリエステルポリオールからなる群から選ばれた少なくとも1種のポリオール、(b)イソシアネート化合物、および、(c)2価のアルコール、および、(B)硬化剤としてのブロックポリイソシアネート化合物およびアミノ樹脂のうちの少なくとも1種からなっていることが必要である。
【0027】硬化後のガラス転移温度は、(A)ウレタンプレポリマーと、(B)硬化剤(架橋剤)との反応によって得られるものであるが、ガラス転移温度の異なる2種以上の(A)ウレタンプレポリマーを使用することにより、同一の硬化剤を用いて、硬化後のガラス転移温度を変えることができる。
【0028】以下に樹脂被膜の具体的な組成について説明する。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリンのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドのごとき直鎖状ポリアルキレンポリオール等が使用される。
【0029】ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と低分子ポリオールとを反応させて得られる分子鎖中に水酸基を有する線状ポリエステルが使用される。前記二塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、イタコン酸、フマル酸、無水マレイン酸のごとき二塩基酸またはそのエステル類が使用される。
【0030】ポリエーテルポリエステルポリオールとしては、例えば、前記二塩基酸と前記ポリエーテルポリオールとの混合物、または、前記二塩基酸と前記低分子ポリオールとの混合物をエステル化反応させて得られる、分子鎖中に水酸基を有する線状ポリエステル、または、末端にカルボキシル基、および/または、水酸基を有するポリエステルに、アルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)を付加反応させて得られたポリエーテルが使用される。
【0031】イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、o-,m-,またはp-フェニレンジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、それぞれ、芳香族環が水素添加された、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4- ビフェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4- ジイソシアネート、ω,ω’- ジイソシアネート-1,4-ジメチルベンゼン、ω,ω’- ジイソシアネート-1,3- ジメチルベンゼン等のような、芳香族環を有するイソシアネート化合物、または、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート化合物が挙げられ、これらを、各々単独または混合して使用する。
【0032】2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、水添ビスフェノールAのごときジオール類が使用される。硬化剤としてのブロックポリイソシアネートプレポリマーの代表的なものを挙げれば、いわゆるポリイソシアネートを公知のブロック剤を使用してブロック化せしめたブロックポリイソシアネートプレポリマーであって、例えば、「バーノックD−550、バーノックD−500、バーノックB7−887」(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、「タケネートN−815−N」( 以上、武田薬品工業株式会社製) 、「アヂイトール(ADDITOL )VXL−80」(以上、ヘキスト合成株式会社製)等である。
【0033】硬化剤としてのアミノ樹脂としては、メラミン尿素アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログアナミンまたはスピログアナミンのごときアミノ成分と、ホルムアルデヒド、パラホルム、アセトアルデヒド、グリオキサールのごときアルデヒド成分と、そして、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、iso−プロパノール、sec−ブタノールのごときアルコール成分とを反応させて得られる樹脂が使用される。
【0034】塗料中に添加される固形潤滑剤として、ポリエチレン樹脂を使用すべきである。その理由は、ポリエチレン樹脂が、連続プレス成形等によって生ずる、かじり、鋼板の破断等を防止して、鋼板に対し、摺動、変形および摩耗に対する抵抗を付与し、これによって、鋼板および成形用金型の損傷を防止する作用を有しているからである。
【0035】ポリエチレン樹脂は、一般に、平均分子量が数百から数百万である結晶性熱可塑性樹脂であり、そのガラス転移点は約−100℃であって常温よりも低く、その融点は90〜140℃であって、常温では柔軟な性質を有している。更に、その臨界表面張力は約30dyne/cmであり、表面エネルギーが低いので、濡れ性および付着性が低いことから、優れた潤滑作用を有している。
【0036】しかしながら、本発明のように、亜鉛系めっき層の表面上に形成される樹脂被膜のための塗料中に、潤滑剤として含有させる場合には、塗料の分散性および薄膜形成性の観点から、その粒径が、20μm以下好ましくは10μm以下、より好ましくは約5μmの微粉末であることが必要であり、このような微粉末でないポリエチレンでは、所期の効果が得られない。
【0037】ポリエチレン樹脂の融点は、潤滑性に影響を与える。即ち、その融点が高いほど、常温近傍における力学的強度即ち変形抵抗が高くなるので、ポリエチレン樹脂を含有する樹脂被膜の潤滑性(摺動性)が低下する。従って、この発明において使用する、潤滑剤としてのポリエチレン樹脂の融点は、130℃以下、好ましくは、90〜120℃の範囲内であることが必要である。また、成膜性の観点から、ポリエチレン樹脂の平均分子量は、5000以下であることが必要である。なお、上述した範囲内の融点、平均分子量および粒径を有する2種以上のポリエチレン微粉末を使用してもよい。
【0038】ポリエチレン樹脂が酸価を有すると、常温時の摩擦係数はやや低下させるが、高温時の摩擦係数および成形後外観は低下させないことがわかった。これは、極性基を持たないポリエチレン樹脂に、酸価を付与することにより、わずかに濡れ性および付着性が増加するが、ポリエチレン樹脂全体としては大きく性能が低下しないためではないかと考えられる。酸価としては0.1〜30のものが良好である。酸価30超のポリエチレン樹脂は、常温の摩擦係数のみならず高温時の摩擦係数および成形後外観を低下させるので好ましくない。
【0039】潤滑剤としてのポリエチレン樹脂の含有量は、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して、1〜30重量部の範囲内とすべきである。ポリエチレン樹脂の含有量が、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して1重量部未満では、潤滑性の向上効果が得られない。一方、その含有量が30重量部を超えると、樹脂被膜自体の凝集力および強度が低下する結果、プレス成形時に樹脂被膜の剥離が増加する問題が生ずる。ポリエチレン樹脂のより好ましい含有量は、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して、5〜20重量部の範囲内である。
【0040】塗料中に潤滑剤と共に添加される防錆顔料としては、クロム酸塩系化合物およびシリカの少なくとも1種を使用することが好ましい。クロム酸塩系化合物およびシリカは、防錆顔料として、亜鉛系めっき鋼板の耐食性を、より向上させる作用を有している。
【0041】このように、樹脂被膜中にクロム酸塩系化合物およびシリカの少なくとも1種からなる防錆顔料が含有されていることにより、プレス成形が施されていない平板状での耐食性が向上することは勿論、プレス成形によって、樹脂被膜に変形等のダメージが発生した場合でも、耐食性の劣化を防止することができる。特に、この発明においては、プレス成形時に、樹脂被膜に疵等の損傷が生じにくいので、樹脂被膜中に含有されている防錆顔料の効果は極めて大きい。
【0042】クロム酸塩系化合物としては、例えば、クロム酸カルシウム、クロム酸ストロンチウム、クロム酸バリウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸亜鉛カリウム、クロム酸銀等が使用される。
【0043】また、シリカとしては、疎水性シリカ例えば「AEROSIL R972, AEROSIL R811」(以上、日本アエロジル株式会社製)等、および、親水性シリカ、例えば、「AEROSIL 130, AEROSIL 200, AEROSIL 300 」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「サイロイド266, サイロイド72」(以上、富士デビィソン化学株式会社製)、「ファインシールX-37, ファインシールT-32」(以上、徳山曹達株式会社製)等が使用される。
【0044】防錆顔料の含有量は、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して、3〜30重量部の範囲内とすべきである。防錆顔料の含有量が、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して3重量部未満では、耐食性の向上効果が得られない。一方、30重量部を超えても、より以上の耐食性向上効果が得られないのみならず、樹脂被膜の凝集力が低下して、プレス成形時に樹脂被膜が剥離しやすくなる問題が生ずる。防錆顔料のより好ましい含有量は、溶剤系熱硬化型樹脂の固形分100重量部に対して、5〜20重量部の範囲内である。
【0045】塗料中には、上述した溶剤系熱硬化型樹脂、固形潤滑剤および防錆顔料のほかに、必要に応じて、他の成分、例えば、顔料、染料などの着色剤、溶剤、界面活性剤、安定剤等を含有させてもよい。
【0046】上述した溶剤系熱硬化型樹脂、固形潤滑剤および防錆顔料からなる、所定の溶剤によって希釈した塗料を、亜鉛系めっき鋼板の表面上に塗布しそして加熱して架橋硬化させることにより、樹脂被膜が形成される。
【0047】上述のようにして形成される樹脂被膜は、亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっき層の上に形成されたクロメート被膜の上に形成することが必要である。このように、クロメート被膜の上に樹脂被膜を形成することにより、クロメート被膜中に含まれるCr6+のクロム酸イオンによる自己補修効果が生じ、且つ、クロム酸イオンの還元生成物であるCr3+のクロム水和酸化物被膜が表面を被覆することにより、不動態化効果によるアノード面積の減少等によって、優れた耐食性が得られ、且つ、樹脂被膜の形成も良好になる。なお、クロメート被膜の形成は、塗布処理、電解処理および反応処理等、既知のどのような手段で行ってもよい。
【0048】クロメート被膜の付着量は、金属クロム換算で、鋼板片面当たり5〜200mg/m2 の範囲内とすることが必要である。クロメート被膜の量が、金属クロム換算で、鋼板片面当たり5mg/m2 未満では、亜鉛系めっき鋼板の耐食性向上効果が得られない。一方、クロメート被膜の量が、金属クロム換算で、鋼板片面当たり200mg/m2 を超えると、その量に見合った耐食性向上効果が得られないのみならず、鋼板の変形を伴う曲げ加工やプレス成形が施された場合に、クロメート被膜の凝集破壊が発生する。クロメート被膜の、より好ましい量は、金属クロム換算で、鋼板片面当たり10〜150mg/m2 の範囲内である。
【0049】亜鉛系めっき層の上のクロメート被膜と、潤滑のための最上層の樹脂被膜との間には、潤滑剤を含まない他の樹脂被膜が存在していてもよい。他の樹脂被膜が形成されている場合の、最上層の樹脂被膜との合計量は5μm以下とすることが必要である。最上層の樹脂被膜との合計量が5μmを超えると、溶接性が劣化する問題が生ずる。
【0050】この発明において、潤滑のための樹脂被膜が形成されるべき鋼板は、その少なくとも1つの表面上に亜鉛めっき層を有する亜鉛めっき鋼板でも、亜鉛のほかに、ニッケル、鉄、マンガン、モリブデン、コバルト、アルミニウム、クロムおよびシリコン等のうちの少なくとも1つの成分を含有する亜鉛合金めっき層を有する亜鉛合金めっき鋼板でも、または、上述した亜鉛めっき層または亜鉛合金めっき層の複数層を有する複層亜鉛系めっき鋼板でもよい。また、鋼板としては、冷延鋼板、熱延鋼板およびステンレス系鋼板等が使用されるほか、鋼以外の例えばアルミニウム等の金属板を使用することもできる。
【0051】亜鉛系めっき鋼板の少なくとも1つの表面に対する樹脂被膜の形成は、次のようにして行われる。即ち、亜鉛系めっき層の上に形成されたクロメート被膜の表面上に、ロールコーター、カーテンフローコーターまたはスプレー塗装等の既知の方法によって上述した組成の塗料を塗布し、または、上述した組成の塗料中に、その表面上にクロメート被膜が形成された亜鉛系めっき鋼板を浸漬した後、付着した塗料を、ロールや空気の吹きつけにより絞って、所定量の塗膜を形成する。次いで、クロメート被膜の表面上に塗料が塗布された亜鉛系めっき鋼板を、熱風炉や誘導加熱装置により、80〜150℃未満の温度に加熱することによって、塗料中の溶剤を蒸発させ、樹脂を架橋硬化させる。かくして、亜鉛系めっき鋼板の表面上に形成されたクロメート被膜の上に、樹脂被膜が形成される。
【0052】上述した樹脂被膜の焼付け温度は、80〜150℃未満の範囲内とすべきである。焼付け温度が80℃未満では、樹脂被膜の架橋硬化が十分に進行しないので、高温時の潤滑性およびプレス成形時の剥離や疵の発生を防止することができない。一方、焼付け温度が150℃以上になると、樹脂被膜の架橋硬化が進み過ぎて樹脂被膜が硬く且つ脆くなる結果、プレス成形時に樹脂被膜のパウダリングが発生しやすくなり、金型への付着などの問題が生ずる。
【0053】上述のようにして形成された樹脂被膜の厚さは、鋼板片面当たり、0.3〜3.0μmの範囲内とすべきである。樹脂被膜の厚さが、鋼板片面当たり0.3μm未満では、プレス成形時に、亜鉛系めっき層が受ける損傷を防止することができない。一方、樹脂被膜の厚さが、鋼板片面当たり3.0μmを超えると、溶接性が劣化し、且つ、プレス成形条件が特に厳しい場合には、樹脂被膜の剥離量が増加して、金型への付着や、焼き付け等の問題が発生する。
【0054】
【実施例】次に、この発明を、実施例により、比較例と対比しながら説明する。
〔実施例1〕この発明の範囲内の亜鉛系めっき鋼板およびこの発明の範囲外の亜鉛系めっき鋼板を製造するための樹脂被膜を構成する溶剤系熱硬化型樹脂中の水酸基含有ウレタンプレポリマーの材料として、表1に示した成分組成のNo. 1〜8のポリオールを準備した。
【0055】
【表1】

【0056】以下に、表1のポリオールNo. 1を使用した水酸基含有ウレタンプレポリマーの製造例について述べる。加熱装置、攪拌機、水分離器および温度計を備えた反応装置に、ポリエステルポリオールとしての芳香族ポリエステルポリオール(AR):915重量部および脂肪族ポリエステルポリオール(AL):915重量部を供給し、これらを、不活性ガスの雰囲気下において加熱しそして融解した。このようにして融解したポリエステルポリオールを、攪拌しながら100℃の温度に加熱しそして100℃の温度で30〜60分間保持し次いで脱水した。次いで、融解したポリエステルポリオールを70℃の温度まで冷却した。
【0057】次いで、上記70℃の温度のポリエステルポリオール中に、2価のアルコールとしての1,4-ブタンジオール:28重量部、イソシアネート化合物としてのジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート:313重量部、反応触媒としてのジブチルチンラウリレート:0.55重量部および溶剤としてのシクロヘキサノン:940重量部をそれぞれ添加しそして混合し、70℃の温度で5〜10時間反応させた。
【0058】上記混合物が所定の粘度になった後、2価のアルコールとしての1,3-ブタンジオール:10重量部を上記混合物に添加した。次いで、溶剤としてのシクロヘキサノン:4150重量部を添加し、かくして、不揮発分:30%、粘度:1400cpsを有する水酸基含有ウレタンプレポリマーを調製した。
【0059】更に、表1に示すように各種の異なる成分組成、不揮発分および粘度を有するNo. 2〜8のポリオールを使用し、上記と同じ方法によって、水酸基含有ウレタンプレポリマーを調製した。
【0060】このようにして調製された水酸基含有ウレタンプレポリマーの各々を使用して、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とNCO/OH=1/1の当量比で添加し架橋硬化させて、No. 1〜8の8種類の熱硬化型樹脂を調製した。このようにして得られた熱硬化型樹脂の各々のガラス転移温度を、表1に併せて示す。
【0061】次いで、No. 1〜8のポリオールの各々を使用して調製された溶剤系熱硬化型樹脂のうちの、ガラス転移温度が異なる2種を表2に示したように組み合わせ、この発明において使用される9種類の溶剤系熱硬化型樹脂A〜Iを調製した。
【0062】比較のために、表2に併せて示すように、この発明の範囲外の樹脂および硬化剤を使用した3種類の樹脂J〜Lを調製した。一方、表3に示した成分組成の5種類の固形潤滑剤a〜eを準備した。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【0065】板厚0.8mm、めっき量20g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板の亜鉛めっき層の両表面をアルカリで脱脂し、次いで、亜鉛めっき層の上に、クロメート処理液をロールコーティング法により塗布した後、これを加熱、乾燥して、亜鉛めっき層の表面上に、鋼板の片面当り、金属クロム換算で50mg/m2 の量のクロメート被膜を形成した。
【0066】表1、表2に示した溶剤系熱硬化型樹脂No. 1〜8およびA〜Lのうちの何れか1つと、表3に示した潤滑剤aと、そして、防錆顔料としてのシリカとからなる塗料を、上記電気亜鉛めっき鋼板の両面に形成されたクロメート被膜の上に、ロールコーティング法により塗布した。次いで、このように塗料が塗布された電気亜鉛めっき鋼板を、誘導加熱装置により200℃の温度まで加熱して、クロメート被膜の上に、約1.5μmの厚さの樹脂被膜を形成した。このようにして、表4に示す、この発明の範囲内の亜鉛系めっき鋼板(以下、「本発明鋼板」という)No. 1〜11を調製した。
【0067】また、板厚0.8mm、めっき量90g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板、めっき量20g/m2 の亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、めっき量45g/m2 の合金化溶融亜鉛めっき鋼板、めっき量60g/m2 の亜鉛−55%アルミニウム合金めっき鋼板の各々の亜鉛系めっき層の両表面をアルカリで脱脂し、次いで、亜鉛系めっき層の上に、クロメート処理液をロールコーティング法により塗布した後、加熱、乾燥して、亜鉛系めっき層の表面上に、鋼板の片面当り、金属クロム換算で50mg/m2 の量のクロメート被膜を形成した。
【0068】表2に示した溶剤系熱硬化型樹脂Aと、表3に示した潤滑剤aと、そして、防錆顔料としての親水性シリカとからなる塗料を、上記亜鉛系めっき鋼板の両面に形成されたクロメート被膜の上に、ロールコーティング法により塗布した。次いで、このように塗料が塗布されためっき鋼板を、誘導加熱装置により200℃の温度まで加熱して、クロメート被膜の上に、約1.5μmの厚さの樹脂被膜を形成した。このようにして、表4に併せて示す本発明鋼板No12〜15を調製した。
【0069】
【表4】

【0070】比較のために、表2に併せて示した、この発明の範囲外の樹脂J〜Lを使用した塗料により、上記と同じように、クロメート被膜の上に約1.5μmの厚さの樹脂被膜を形成し、表4に併せて示すこの発明の範囲外の亜鉛系めっき鋼板(以下「比較用鋼板」という)No. 1〜3を調製した。
【0071】上述した本発明鋼板および比較用鋼板の各々について、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性を、以下に述べる性能試験によって評価した。評価結果を表5に示す。
【0072】
【表5】

【0073】(1)潤滑性図1に概略正面図で示す試験機を使用した。試験機は、図1に示すように、箱状の枠2の一側2aに固定されたフラット面を有する雌ダイス1と、雌ダイス1と向き合った、所定高さの実質的に水平な突条3を有する雄ダイス4と、雄ダイス4を支持し、そして、雄ダイス4を雌ダイス1に向けて水平移動させるための、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5とからなっている。雄ダイス4は、油圧シリンダ5のロッド5aに、ロードセル6を介して固定されている。なお、雄ダイス4の突条3の幅は10mmであり、その先端の長さは1mmである。
【0074】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出された試験片を、雌ダイス1と雄ダイス4との間の間隙に垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雌ダイス1と雄ダイス4とにより試験片7を50kgf(500kgf/cm2 )の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの動摩擦係数を調べ、これによって潤滑性を評価した。なお、試験は常温(20℃)試験片のほか、実際のプレス作業時の板温上昇を考慮して、150℃の温度の高温試験片についても行った。
(2)プレス成形性円盤状の試験片を、ポンチ径:50mm、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ力: 1トンの条件で、カップ状に成形したときの限界絞り比を調べ、これによって、プレス成形性を評価した。
(3)成形後の外観性図2に概略正面図で示す試験機を使用した。試験機は、図1に示すように、箱状の枠2の一側2aに固定された、所定高さの実質的に水平な突条8を有する雄ダイス9と、雄ダイス9の突条8と向き合った所定深さの溝10を有する雌ダイス11と、雌ダイス11を支持し、そして、雌ダイス11を雄ダイス9の突条8に向けて水平に移動させるための、枠2の他側2bに固定された油圧シリンダ5とからなっている。雌ダイス11は、油圧シリンダ5のロッド5aに、ロードセル6を介して固定されている。なお、雄ダイス9の突条8の幅は30mmであり、突条8の先端の半径は0.25mmである。
【0075】本発明鋼板および比較用鋼板から切り出された試験片を、雄ダイス9と雌ダイス11との間の間隙に垂直に挿入し、油圧シリンダ5を作動させて、雄ダイス9と雌ダイス11とにより試験片7を50kgf(500kgf/cm2 )の圧力で押しつけた。次いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの試験片の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化程度を評価した。評価基準は、次の通りである。
【0076】
◎:傷つきおよび黒化が全く発生せず、外観が極めて均一である、○:傷つきおよび黒化の発生が極めて僅かで、外観がほぼ均一である、△:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が不均一である、×:全面に傷つきおよび黒化が著しく発生し、外観が極めて不均一である。
(4)コイル変形性種々の摩擦係数を有する実際のコイルを用いて、40℃の温室内に10時間保持し、前後のコイル内径変化を調べた。その結果を図3に示す。なお、コイル内径変化評価基準は、次の通りである。
【0077】
◎:コイル内径変化5mm以下○:コイル内径変化5mm超〜10mm×:コイル内径変化10mm超また、摩擦係数の測定方法は、(1)潤滑性で示した試験機を使用し、試験片7を5kgf(50kgf/cm2 )の圧力で押し付けた。次いで、試験片7を矢印に示すように、100mm/分の速度で上方に引き抜き、そのときの動摩擦係数を調べた。
【0078】図3に示すように、コイル内径変化は摩擦係数に依存していることが分かった。そこで、簡便に耐コイル変形性を調査するために、40℃での摩擦係数測定により評価を行った。なお、評価基準は次の通りである。
【0079】
◎:摩擦係数0.050超○:摩擦係数0.45超〜0.050以下×:摩擦係数0.045以下(5)平板耐食性試験片に対し、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を施し、白錆の発生するまでの時間を調べ、これによって評価した。
(6)成形後の耐食性図2に概略正面図で示した試験機を使用し、本発明鋼板および比較用鋼板から切り出された試験片を、前述したと同様の方法によって、雄ダイス9と雌ダイス11とにより押しつけ、次いで上方に引き抜いた。このようにして引き抜かれた試験片の端縁部を、タールエポキシ塗料によってシールした後、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験を120時間施して白錆の発生率を調べ、これによって成形後の耐食性を評価した。評価基準は、次の通りである。
◎:白錆発生率 5%未満、○:白錆発生率 5〜20%未満、△:白錆発生率 20〜40%未満、×:白錆発生率 40%以上。
表4および表5から明らかなように、本発明の範囲外の樹脂からなる被膜が形成された比較用鋼板No. 1〜3は、何れも、潤滑性、成形後の外観性および成形後の耐食性が悪かった。これに対して、本発明鋼板No. 1〜21は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性のすべてにおいて優れていた。
【0080】〔実施例2〕実施例1と同様のクロメート被膜がその両表面に形成された鋼板の、前記クロメート被膜の上に、前述した溶剤系熱硬化型樹脂Aの固形分100重量部に対して、潤滑剤aまたはbおよび防錆顔料としてのシリカをこの発明の範囲の割合で含有する塗料を、実施例1と同様の方法により塗布し次いで加熱して、クロメート被膜の上に樹脂被膜を形成した。このようにして、表6に示す本発明鋼板No.22〜34を調製した。
【0081】
【表6】

【0082】比較のために、本発明の範囲外の潤滑剤を使用した比較用鋼板No. 4、5、潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて少ない塗料を使用した比較用鋼板No. 6、潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較用鋼板No. 7、防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れて少ない塗料を使用した比較用鋼板No.8、防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較用鋼板No. 9、クロメート被膜の量が本発明の範囲を外れて多い比較用鋼板No. 10、および、樹脂被膜の量が本発明の範囲を外れて少ない比較用鋼板No. 11を調製した。
【0083】上述した本発明鋼板No. 22〜34および比較用鋼板No. 4〜11の各々について、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性を、前述した性能試験によって評価した。評価結果を表7に示す。
【0084】
【表7】

【0085】表6および表7から明らかなように、本発明の範囲外の潤滑剤を使用した比較用鋼板No. 4、5は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性のうちの何れかが悪かった。
【0086】潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて少ない塗料を使用した比較用鋼板No.6は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性および成形後の耐食性が悪かった。
【0087】潤滑剤の含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較用鋼板No. 7は、被膜の凝集力の低下に基づく剥離量の増加のために、成形後の外観性、平板耐食性および耐食性が悪かった。
【0088】防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れて少ない塗料を使用した比較用鋼板No. 8は、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性が悪かった。防錆顔料の含有量が本発明の範囲を外れて多い塗料を使用した比較用鋼板No.9は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性および成形後の耐食性が悪かった。
【0089】クロメート被膜の量が本発明の範囲を外れて多い比較用鋼板No. 10は、プレス成形性、成形後の外観性およびコイル変形性が悪かった。そして、樹脂被膜の量が本発明の範囲を外れて少ない比較用鋼板No. 11は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、平板耐食性および成形後の耐食性が悪かった。
【0090】これに対して、本発明鋼板No. 22〜34は、潤滑性、プレス成形性、成形後の外観性、コイル変形性、平板耐食性および成形後の耐食性のすべてについて優れていた。
【0091】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の亜鉛系めっき鋼板によれば、表面に潤滑油等を塗布することなく、優れた潤滑性およびプレス成形性が発揮され、摩擦熱が発生し、鋼板が高温になるような厳しい条件でプレス成形が施されても、樹脂被膜に損傷や黒化が生ぜず、製造後保管中にコイルが変形せず、且つ、優れた耐食性が得られ、かくして、工業上有用な効果がもたらされる。




 

 


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