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発明の名称 鋼の連続鋳造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−5960
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−166105
出願日 平成8年(1996)6月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
発明者 石井 俊夫 / 久保 典子 / 鈴木 真 / 中田 正之
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 浸漬ノズル内の溶鋼に不活性ガスを吹き込むと共に、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、鋳型長辺背面に設けられた磁場印加装置にて、左右独立に磁場を印加して鋳型内溶鋼の流動を制御して鋳造する矩形型鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法において、鋳型内溶鋼湯面における不活性ガス浮上量が浸漬ノズルの左右で同じになるように磁場印加装置を制御すると共に、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz以下となるように不活性ガス吹き込み量を制御することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳型内溶鋼の流動を制御して、高品質の鋳片を製造する鋼の連続鋳造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、タンディッシュから浸漬ノズルを介して鋳型内に注入された溶鋼の吐出流は、鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して下降流と上昇流とに分かれ、下降流は鋳片未凝固層深部に進入し、又、上昇流は鋳型内溶鋼湯面で鋳型短辺から浸漬ノズルに向かう流れとなって、溶鋼湯面に「渦」、「盛り上がり」等の流れの乱れを生成させる。
【0003】脱酸生成物であるアルミナを主体とする介在物は、下降流により鋳片未凝固層深くまで侵入して凝固シェルに捕捉され、又、鋳型内溶鋼湯面上に添加されたモールドパウダーは、溶鋼湯面の渦、盛り上がり等により溶鋼中に巻き込まれ、凝固シェルに補捉される。そして、これらが鋳片の品質欠陥の主原因であり、この現象は、鋳造速度の増速に伴う吐出流速度の高速度化や、浸漬ノズル内又は浸漬ノズル吐出孔にアルミナが付着して吐出流速が左右で不均一となる、所謂、偏流が発生した場合に顕著となっている。
【0004】このため、浸漬ノズルの形状変更や電磁力を利用して、鋳型内の溶鋼流動を制御しようとする試みが数多く提案されている。
【0005】そのうち電磁力を利用した方法として、特開昭62−252650号公報(以下、「先行技術1」と記す)には、浸漬ノズル左右の湯面レベル差を検出して、レベル差がなくなるように鋳型直下に設置した並進方式の電磁攪拌装置の攪拌方向と攪拌推力を調整し、偏流を防止し、高品質鋳片を安定して製造する方法が開示されている。
【0006】又、特開平4−9255号公報(以下、「先行技術2」と記す)には、鋳型幅方向に2又は4箇の渦流式レベル計を設けると共に、浸漬ノズルからの溶湯吐出部に電磁力を作用させるべく当該部位の鋳型外面に電磁ブレーキ装置を設け、渦流式レベル計の信号に基づき、鋳型内溶鋼の湯面レベル差が許容範囲を越えた時、湯面レベルの高い部位の溶鋼に湯面の盛り上がりを抑制する電磁力を印加させて偏流を抑制し、パウダーの巻き込みや介在物の低減を目指す方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1及び先行技術2共に、浸漬ノズル左右の鋳型内溶鋼レベル差を検出し、所定値以内に制御するものであるが、通常、鋳型内湯面にレベル差が生じた場合、レベル差を検出した時点において、溶鋼湯面には既に渦や盛り上がりが発生し、モールドパウダーの巻き込みが起こっている。そのため、先行技術1及び2のように湯面のレベル差を検出した後に、電磁攪拌や電磁ブレーキを用いて湯面レベル差をなくしたとしても、モールドパウダーの巻き込みは既に発生しているので、根本的にモールドパウダーの巻き込みを防止することはできない。
【0008】一方、低炭素鋼等のAlキルド鋼を鋳造する場合には、浸漬ノズルの内部及び浸漬ノズル吐出孔へのアルミナ付着を防止するため、Arガス等の不活性ガスを浸漬ノズル内の溶鋼に吹き込むことが一般的に行われている。
【0009】例えば、特開昭61−20659号公報によれば、スライディングノズル固定盤に設けた0.1〜0.4mmの直径を有する小孔又はスリットから、微細な不活性ガスの気泡をノズル内に吹き込み、アルミナの付着を防止している。
【0010】しかし、従来、浸漬ノズル内に吹き込まれた不活性ガスが、鋳型内でどのように流れ、鋳型内溶鋼湯面で浮上しているのかを知る手段がなく、又、不活性ガス気泡の浮上に起因する鋳型内溶鋼の湯面変動によるモールドパウダーの巻き込みについては考慮されることがなく、従って、鋳片品質との関係が明らかでないまま、不活性ガスは浸漬ノズル内に吹き込まれていた。
【0011】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは鋳型内の溶鋼湯面で、渦や盛り上がりの発生を防止し、且つ、ガス気泡による湯面変動を制御することにより、モールドパウダーの巻き込みがなく、脱酸生成物の少ない高品質の鋳片を製造する連続鋳造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による鋼の連続鋳造方法は、浸漬ノズル内の溶鋼に不活性ガスを吹き込むと共に、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、鋳型長辺背面に設けられた磁場印加装置にて、左右独立に磁場を印加して鋳型内溶鋼の流動を制御して鋳造する矩形型鋳型を用いた鋼の連続鋳造方法において、鋳型内溶鋼湯面における不活性ガス浮上量が浸漬ノズルの左右で同じになるように磁場印加装置を制御すると共に、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz以下となるように不活性ガス吹き込み量を制御することを特徴とするものである。
【0013】矩形型鋳型を用いた連続鋳造においては、浸漬ノズルから鋳型短辺に向けて吐出された溶鋼流は、対向する鋳型短辺側の凝固シェルに衝突して上昇流と下降流に分かれ、上昇流は溶鋼湯面に至り、溶鋼湯面では鋳型中央方向への流れとなる。一方、浸漬ノズル周囲の溶鋼湯面では、左右の鋳型短辺から鋳型中央に向かう流れが衝突すること、更に、浸漬ノズルに吹き込む不活性ガスの浮上に溶鋼が追随して流動するので、流れの方向は一定せず、複雑な流れになる。
【0014】矩形型鋳型を用い磁場を印加しない鋳造条件において、鋳型内溶鋼湯面の流速を浸漬ノズルの左右で測定した場合に得られる溶鋼の表面流速の左右の差の絶対値と、鋳片を薄鋼板まで圧延して調査された品質欠陥インデックスの関係を図5に示す。尚、図5に示す溶鋼湯面の流速は、鋳型幅の1/4の距離だけ浸漬ノズルから鋳型短辺に離れた左右対称の位置で測定した結果である。
【0015】図5から明らかなように、溶鋼湯面の流速差が増加するに従い、品質欠陥のインデックスは上昇する、即ち、品質欠陥が発生し易くなることが判る。
【0016】ところで、浸漬ノズル内の溶鋼中に吹き込まれた不活性ガスは、浸漬ノズルの吐出孔から排出されると溶鋼との比重差により浮上を開始し、鋳型内の溶鋼湯面に浮き上がり、溶融モールドパウダー層を貫き大気に至る。
【0017】モールドパウダー層内にガス回収装置の下部を埋設して、浮上する不活性ガスを回収し、ガス分析装置で分析した浸漬ノズル左右の不活性ガス量の比と浸漬ノズルの左右の溶鋼表面流速の差との関係を図6に示す。尚、浸漬ノルズ左右の不活性ガス量の比とは、浸漬ノズルの左側で回収された不活性ガス量の合計を、浸漬ノズルの右側で回収された不活性ガス量の合計で除算したものである。
【0018】図6から明らかなように、溶鋼の表面流速の差が大きな場合には、表面流速の速い側において不活性ガス浮上量が多く、不活性ガスの浮上量が浸漬ノズルに対して非対称になっており、又、溶鋼の表面流速の差が小さい場合には、不活性ガスの浮上量が左右で概ね同じであることが確認される。
【0019】そこで、回収される浸漬ノズル左右の不活性ガス量が略同じになるように磁場印加装置を制御することにより、浸漬ノズル左右の溶鋼の表面流速が略同じになり、これによって品質欠陥の発生を防止することができる。
【0020】又、発明者等の調査結果では、溶鋼の表面流速の差が小さくても、高品質な鋼種では、モールドパウダー性の品質欠陥が発生しており、溶鋼の表面流速のみの制御では不十分であることが判明した。
【0021】このモールドパウダー性の品質欠陥は、浸漬ノズル内に吹き込んだ不活性ガスの気泡が湯面に浮上して消滅する時に生じる鉛直方向の溶鋼湯面の変動により、溶融状態のモールドパウダーが巻き込まれて発生するもので、そして、湯面変動の振幅が大きく、又、湯面変動の周波数が高い程、モールドパウダーの巻き込み頻度が高くなることを確認した。
【0022】このモールドパウダーの巻き込み原因は、以下のように考えることができる。即ち、溶鋼湯面上のモールドパウダーには、溶鋼の湯面変動に起因する鉛直方向の運動エネルギーと、溶鋼との浮力差による位置エネルギーと、溶鋼との界面張力による界面エネルギーとが常に作用しており、鉛直下向き方向の運動エネルギーが、位置エネルギーと界面エネルギーとの合計のエネルギーより大きくなった時に、モールドパウダーの溶鋼中への混入が発生する。
【0023】これを図7に示す模式図により説明する。図7に示すように溶融したモールドパウダーを半径rの粒と仮定し、溶融パウダーの密度をρp 、溶鋼の密度をρm、表面張力をσ、重力加速度をgとする。又、鋳型内溶鋼湯面は、実際には種々の周波数の振動が重なり合って変動するものであるが、その内の1つの振動数のみをとりあげて単純化し、図7に示すように溶鋼湯面は振幅H/2、周波数fで正弦波振動していると仮定すると、振動による溶鋼湯面の変位yは、(1)式で表される。
y= (H/2)× sin(2πft) ……(1)
【0024】溶融したモールドパウダー粒は、溶鋼湯面と同一の運動をしているので、モールドパウダー粒の鉛直下向き方向の最大速度Vmax は、(1)式を微分した時の最大値として、(2)式で示すことができる。
Vmax = Hπf ……(2)
【0025】すると、モールドパウダー粒の有する運動エネルギーの鉛直下向き方向の最大値は(3)式で示すことができる。
運動エネルギー= (1/2)×(4ρp πr3/3) ×Vmax2= 2ρp π3 r3 H2 f2/3 ……(3)
【0026】界面エネルギーは(4)式で、又、位置エネルギーは(5)式で表される。
界面エネルギー= 4π r2 σ ……(4)
位置エネルギー= 4π r4 g(ρm −ρp )/3 ……(5)
【0027】モールドパウダーの巻き込みは、鉛直下向き方向の運動エネルギーが、位置エネルギーと界面エネルギーとの合計のエネルギーより大きくなった時に発生するので、これを式に示すと(6)式が得られる。
2ρp π3r3H2f2/3 ≧ 4πr2σ+ 4πr4g (ρm −ρp )/3 …(6)
ここで、ρm =7000kg/m3 、ρp =3000kg/m3 、σ=3kg/s2 、g=9.8m/s2 、H=0.005mとして(6)式に代入して、fについて整理すると(7)式が得られ、横軸をモールドパウダー粒、縦軸を周波数として(7)式を図示すると、図8が得られる。
2 ≧ (36+156800 r2)/(1.48×r) ……(7)
【0028】図8に示すように、(7)式を満足する範囲、即ち運動エネルギーの方が大きい範囲は、パウダー粒径が大きくなる程、湯面変動の周波数が低下することが判る。従って、モールドパウダーの巻き込みを防止するには、パウダー粒径が大きくなる程、湯面変動の周波数を低い領域とする必要があることが推察できる。
【0029】そこで、実機において渦流式レベル計による湯面レベル測定値を周波数解析し、製造した鋳片の薄鋼板におけるモールドパウダー性欠陥との関係を調査した。図9は、その調査結果の1例を示すものである。
【0030】図9は、浸漬ノズルにArガスを15Nl/min吹き込み、吐出流に磁場を印加して浸漬ノズルの左右でArガスの浮上が略同一となるように制御しつつ、鋳型幅の1/4の距離だけ浸漬ノズルから鋳型短辺に離れた左右対称な位置で測定した渦流式レベル計の信号を周波数解析し、該当する鋳片で最も周波数の高い値を、その鋳片の周波数として、この鋳片の周波数と薄鋼板における品質との関係を整理したものである。尚、全ての測定時期において、Arガスの浮上量が鋳型内左右で略同一となるように制御していたため、偏流はなく、湯面変動の振幅は5mm以内に抑えられていた。
【0031】図9に示すように、鋳型内の溶鋼湯面変動が100Hzを越える振動数の範囲で、モールドパウダー性の欠陥発生率が増加しており、振動数が100Hz以下であれば低位安定した結果が得られた。
【0032】モールドパウダーの運動エネルギーは、(3)式に示すように湯面変動の周波数の2乗に比例して大きくなる。この周波数を100Hz以下とするために、浸漬ノズル内に吹き込む不活性ガスの供給量を制御する。不活性ガスの供給量を低下させると、溶鋼に対する不活性ガスの体積比率が減少して、ガス気泡径が微細化するので、ガス気泡の消滅による湯面変動への影響が減少して、鋳型内溶鋼の湯面変動の周波数が低下する。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は鋳型形状が矩形型の連続鋳造機の概略側断面図で、図2は概略平面図である。
【0034】図1及び図2において、1は鋳型長辺、2は鋳型短辺、3はタンディッシュ、4は溶鋼、5は浸漬ノズル、6は不活性ガス吹き込み管、7は不活性ガス吹き込み管6に設置された不活性ガス流量制御装置、8は浸漬ノズル5の吐出孔、10は左側の磁場印加装置、11は右側の磁場印加装置で、磁場印加装置10、11は、浸漬ノズル5を中心として鋳型幅方向左右に2分割され、鋳型長辺1を挟んで磁極を対向して鋳型長辺1の背面に配置されており、磁場は浸漬ノズル5の左右で独立に磁場強度を制御できるようになっている。
【0035】12は左側の不活性ガス回収装置、13は左側の不活性ガス分析装置、14は右側の不活性ガス回収装置、15は右側の不活性ガス分析装置で、不活性ガス回収装置12、14で回収されたガスを不活性ガス分析装置13、15で分析して、湯面で浮上する不活性ガス量を測定する。不活性ガス回収装置12、14は、それぞれ鋳型内湯面を5分割して、不活性ガスを回収するようになっている。
【0036】16、16a、16b、16c、16dは左側の湯面レベル計で、5分割された左側の不活性ガス回収装置12の測定位置に対応する溶鋼の湯面変動を測定している。17、17a、17b、17c、17dは右側の湯面レベル計で、同様に、5分割された右側の不活性ガス回収装置14の測定位置に対応する溶鋼の湯面変動を測定している。
【0037】18は周波数解析装置で、全ての湯面レベル計の測定信号を入力して、測定信号を周波数解析処理している。19は演算装置で、不活性ガス分析装置13、15の信号と周波数解析装置18の信号とを入力している。20は磁場印加装置の制御装置で、演算装置19から信号を受け、左右の磁場印加装置10、11を独立に制御する。又、演算装置19からの信号は不活性ガス流量制御装置7に出力され、浸漬ノズルに吹き込まれる不活性ガス量を制御する。21は溶鋼の吐出流、23は溶鋼湯面上のモールドパウダー層である。
【0038】磁場印加装置10、11は、移動磁場印加装置、又は、静磁場印加装置のどちらを用いても良い。移動磁場印加装置は、磁場を鋳型短辺2から鋳型中央に移動させて溶鋼中に誘導電流を発生させ、この誘導電流と磁場とによる電磁気力により溶鋼を磁場の移動方向に移動させ、吐出流21と干渉させることで、吐出流21の流速を制動するものである。又、静磁場印加装置は電磁ブレーキとも呼ばれるもので、固定した磁場内を吐出流21が流動することで吐出流21に誘導電流が発生し、この誘導電流と磁場とで生ずる電磁気力が吐出流21を減速する駆動力となるものである。このようにして、何れの装置も、吐出流速を制動することができる。
【0039】タンディッシュ3から、スライディングノズル9を経由し、浸漬ノズル5を介して鋳型短辺2に向けて鋳型内に注入される溶鋼4の吐出流21は、鋳型短辺2側の凝固シェル24に衝突して上昇流と下降流とに分離し、上昇流は凝固シェル24に沿って上昇し、溶鋼湯面位置では、鋳型短辺2から浸漬ノズル5に向かう流れとなる。又、浸漬ノズル5にアルミナ付着防止のために不活性ガス吹き込み管6を介して吹き込むArガス等の不活性ガスは、浸漬ノズルの吐出孔8を通過した途端に、ガス気泡22となり、溶鋼湯面に向かって浮上を開始する。
【0040】鋳型内の溶鋼湯面上には溶融したモールドパウダー層23があり、このモールドパウダー層23の中を、鋳型内の溶鋼4中を浮上してきたガス気泡22が通り抜ける。
【0041】モールドパウダー層23を通過した不活性ガス気泡22は、内部がブロックに分割された不活性ガス回収装置12、14で回収される。ここで回収された不活性ガスは、不活性ガス分析装置13、15に導かれ、各ブロックにおける不活性ガスの浮上量が測定される。
【0042】ここで左右の不活性ガス分析装置13、15で測定された不活性ガス浮上量を演算装置19に送り、演算装置19で左右のガス浮上量を比較して、左右のガス浮上量が、浸漬ノズル5の両側で同じになるように、更に、望ましくは浸漬ノズル5と鋳型短辺2との間の中央位置で浮上量が最大となるように、磁場印加装置の制御装置20に出力信号を送り、磁場印加装置10、11の磁場強度を制御する。浸漬ノズル5と鋳型短辺2との間の中央位置で浮上ガス量が最大となるよう制御する理由は、ガス浮上分布がこの時に、最も品質が良くなるからである。
【0043】一方、湯面レベル計16、16a、16b、16c、16d、17、17a、17b、17c、17dで測定された湯面位置の信号は、周波数解析装置18に送られ、周波数解析処理される。周波数解析処理された信号は、演算装置19に送られ、演算装置19では、それぞれの湯面レベル計位置での湯面変動の周波数を比較する。
【0044】そして、各湯面レベル計で測定した信号に、100Hz以上の周波数域が含まれるかを判定し、含まれる場合は、浸漬ノズル5内に吹き込む不活性ガス量を減少するために、不活性ガス流量制御装置7にガス量を減少させる信号を送る。
【0045】尚、鋳型内溶鋼湯面において、一般的に不活性ガス浮上量の最も多い湯面位置が、最も湯面変動の周波数が高いので、その湯面位置の湯面変動の周波数を100Hz以下とすれば、鋳型内の湯面全体で湯面変動の周波数を100Hz以下とすることができる。従って、全ての湯面レベル計の測定信号に100Hz以上の周波数が含まれるかを判定せずに、最もガス浮上量の多い湯面位置、又は、浸漬ノズルの左右でそれぞれ最も浮上量の多い湯面位置での湯面変動の測定信号のみから湯面変動の周波数判定をすることができる。この場合は、不活性ガス分析装置13、15で測定された各ブロックにおける浮上ガス量とを照らし合わせることで実施することができる。
【0046】不活性ガス流量制御装置7は、演算装置19からの信号を受け、不活性ガス流量を低下させ、湯面変動の周波数を下げる。但し、湯面変動が少なすぎる場合は、湯面における溶鋼の更新が少なくなり、湯面において溶鋼が凝固する、所謂「皮張り」等の品質に対して別の悪影響が発生するので、全ての湯面レベル計の湯面変動の測定値が1mm以上を確保できる不活性ガス量とすることが望ましい。
【0047】尚、本発明は上記の構成に限り実施されるものではない。例えば、湯面レベル計は、不活性ガス回収装置12、14の各ブロックと対応して設置する必要はなく、浸漬ノズル5の左右でそれぞれ2個以上設置されれば本発明の適用は可能であり、又、不活性ガス回収装置12、14は5分割に限るものではなく、3分割以上であれば問題なく本発明が実施できる。
【0048】
【実施例】図1及び図2に示すスラブ連続鋳造機における本発明の実施例を説明する。
【0049】低炭素Alキルド鋼を、鋳型サイズが220mm厚、1600mm幅で、鋳片引抜き速度2.2m/minにて鋳造した。用いた磁場印加装置は、周波数が1Hzの移動磁場装置で、鋳型厚み中心位置での最大磁束密度は0.3テスラである。鋳型への溶鋼供給量の制御はスライディングノズルにて行い、浸漬ノズルに体積比率でHeガスを10%含有したArガスを15Nl/min吹き込み、鋳造を開始した。
【0050】ガス回収装置の中心位置は、浸漬ノズルから鋳型短辺へ400mm離れた左右対称な位置とし、ガス回収装置の大きさは、180mm厚み、600mm幅、高さ50mmで、600mm幅を5分割として、浮上するArガス中のHeガスを分析した。
【0051】本実施例では、図3に示す制御方法を用い、ガス分析装置で測定されるHeガスの浮上量が鋳型左右で概ね同じとなり、且つ浮上位置が浸漬ノズルと鋳型短辺との間の中央位置で最大となるように左右の移動磁場印加装置を制御しつつ、更に、ガス浮上量の最も多い位置の湯面変動の周波数が100Hz以下となるようにArガス量を制御した。
【0052】上記条件で、300ton/ヒートの溶鋼を20ヒート鋳造した。鋳造中のArガス量の変化は5〜15Nl/minの範囲内で制御されていた。鋳型内溶鋼湯面の変動量は、Arガスの浮上量を鋳型内の左右で略同等としたために鋳型内の偏流の発生が防止され、最大でも4mmであった。
【0053】従来例として、低炭素Alキルド鋼を、鋳型サイズが220mm厚、1600mm幅、鋳片引抜き速度2.2m/minとし、磁界として周波数が1Hzの鋳型短辺から浸漬ノズル方向への移動磁場で、スラブ厚み中心位置での磁束密度を0.1テスラの一定条件で鋳造した。その他の条件は実施例と同一として、20ヒート鋳造した。
【0054】各20ヒートの鋳片を薄鋼板に圧延し、モールドパウダーと脱酸生成物であるアルミナとによる非金属介在物起因による欠陥を調査した。図4に結果を示す。従来例に比較し本発明の実施例では、非金属介在物に起因する欠陥が75%低減した。
【0055】実施例において、Arガス量が10Nl/min以下、且つ、溶鋼中のArガスの体積比率が10%以下の場合は、Arガス気泡が凝集・合体して大型化しても浮上頻度が低くなるため、溶鋼湯面の振動周波数が100Hzを越えないため、特に品質が良好であった。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、浸漬ノズル内に供給される不活性ガスの鋳型内浮上量が浸漬ノズルの両側で概ね同じに保持され、且つ溶鋼の湯面変動の周波数が100Hz以下に保持されるので、モールドパウダーと脱酸生成物の少ない高清浄の鋳片を製造することができる。




 

 


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