米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> 日本鋼管株式会社

発明の名称 連続鋳造鋳型内における溶鋼流動検知方法及び制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−5957
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−166104
出願日 平成8年(1996)6月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
発明者 鈴木 真 / 中田 正之 / 石井 俊夫 / 久保 典子
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 浸漬ノズル内の溶鋼にArガスを吹き込みつつ、溶鋼を鋳型内に注入する連続鋳造方法において、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間にそれぞれ複数の湯面レベル計を設置し、これらの湯面レベル計による測定信号を周波数解析処理し、周波数解析処理後の測定信号のうち特定の周波数域の信号量を比較して、信号量の多少から鋳型内湯面におけるArガスの浮上位置を検出し、検出した浮上位置から鋳型内の溶鋼流動パターンを推定することを特徴とする鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動検知方法。
【請求項2】 前記特定の周波数域が、0.01Hz以上1Hz以下であることを特徴とする請求項1に記載の溶鋼流動検知方法。
【請求項3】 浸漬ノズル内の溶鋼にArガスを吹き込み、且つ浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に磁場を印加しつつ溶鋼を鋳型内に注入する連続鋳造方法において、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間にそれぞれ複数の湯面レベル計を設置し、これらの湯面レベル計による測定信号を周波数解析処理し、周波数解析処理後の測定信号のうち特定の周波数域の信号量が、前記複数の湯面レベル計において実質的に同一となるように、吐出流に印加する磁場強度、又は、浸漬ノズル内へのArガス吹き込み量を調節することを特徴とする鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動制御方法。
【請求項4】 前記特定の周波数域が、0.01Hz以上1Hz以下であることを特徴とする請求項3に記載の溶鋼流動制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動の検知方法、及び溶鋼流動の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造において、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼吐出流に起因する鋳型内の溶鋼流動は、鋳片の表面性状及び内部性状に大きな影響を与えることが知られている。その内、鋳型内の溶鋼湯面においては、溶鋼の表面流速が速すぎる場合や、溶鋼湯面に縦渦が発生する場合には、溶鋼上のモールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれて、圧延後の製品における主要な欠陥となっているので、鋳型内湯面での溶鋼流動が特に重要視されている。
【0003】そのため、鋳片品質向上のための重要な課題として、従来から、浸漬ノズル形状の改善や電磁力を利用した鋳型内溶鋼の流動制御方法や、又、鋳型内溶鋼の流動を検出するための手法が、数多く提案されてきた。
【0004】特開昭62−197255号公報(以下、「先行技術1」と記す)には、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間に、それぞれ渦流式レベル計を各2個配設し、各2個のレベル計で検出されるレベル値の偏差から溶鋼の隆起を求め、隆起高さの大小から鋳型内における溶鋼吐出流の偏流を検出する方法が開示されている。
【0005】特開平3−294053号公報(以下、「先行技術2」と記す)には、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間に、それぞれ湯面レベル計を少なくとも1個ずつ配設し、湯面レベル計で検出される各レベル測定値を高速フーリエ変換してパワースペクトルを求め、2つの湯面レベル計で測定された信号の周波数成分を比較することにより、鋳型内における溶鋼偏流を検知し、検知した結果に応じて鋳型に設置した電磁ブレーキ装置の印加電流を制御して、偏流を防止する方法が開示されている。
【0006】特開平4−284956号公報(以下、「先行技術3」と記す)には、浸漬ノズルと鋳型短辺との間に2個の非接触距離計を配設し、2つの測定値の相互相関係数から、2個の非接触距離計の間の溶鋼流速を求め、求めた流速に応じて鋳型に配設した電磁攪拌装置の磁場強度を変更し、溶鋼流速を所定値以下に制御する方法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1に開示された技術では、鋳型短辺側に配設する渦流式レベル計は湯面隆起高さが最大の位置に設置する必要があるが、鋳型幅寸法は種々変更されるので、常に隆起高さが最大の位置に配置することが、現実には不可能となる。又、2個の渦流式レベル計を一式としてレベル値の偏差から隆起を求めるため、2個の渦流式レベル計の基準位置(ゼロ点)を一致させる必要があるが、渦流式レベル計は距離の絶対値を計測するものではなく、その上、基準位置となる鋳型内湯面は刻刻変化するので、基準位置を一致させることは現実的には不可能である。このような理由から、先行技術1では偏流の正確な検知が困難である。
【0008】先行技術2では、鋳型内の偏流の有無を検知することが可能で、又、先行技術3では、溶鋼湯面の流速を測定し所定値以下に制御することが可能となるが、先行技術2及び3とも鋳型内溶鋼の湯面における流動のみを対象とするものであり、後述する鋳型内全体の流動パターンを知るには十分といえない。
【0009】このように先行技術1、2及び3では、連続鋳造鋳型内の溶鋼流動の実態を正確に把握することができず、近年の品質に対する要求の厳格化に対応するには、必ずしも十分とはいえなかった。
【0010】従来、鋳型内の溶鋼流動については、浸漬ノズルから出た吐出流が、鋳型短辺側の凝固シェルに到達・衝突してから上昇流と下降流とに分離する流動パターンが考えられており、上記の先行技術1、2及び3とも、この流動パターンを前提として検討されたものである。
【0011】ところで一般に、連続鋳造においては、浸漬ノズルのアルミナ付着によるノズル閉塞を防止するため、浸漬ノズル内にArガスを吹き込んでいる。このArガスは、気泡となって溶鋼流と共に鋳型内に流入し、溶鋼湯面に浮上する。このArガス気泡の溶鋼流動に及ぼす影響は、その見積もりが極めて困難であるため、従来、十分に考慮されていなかった。
【0012】発明者等は、Arガスの熱膨張による体積変化を考慮し、且つ、Arガスの吹き込み方法を種々変更した条件で水モデル実験を行ったところ、鋳型内流動に対するArガスの影響が極めて大きく、ガス流量やガス気泡径によって、表面流速が大幅に変化するほか、鋳型内の流動パターン自体が、上記の流動パターンから逸脱すること、そして、鋳片品質も鋳型内流動パターンに大きく左右されることが明らかとなった。
【0013】本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、その目的とするところは、鋳造中に鋳型内溶鋼の流動パターンを検知し、更に、検知した流動パターンを最適なパターンに制御する方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願請求項1の発明による鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動検知方法は、浸漬ノズル内の溶鋼にArガスを吹き込みつつ、溶鋼を鋳型内に注入する連続鋳造方法において、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間にそれぞれ複数の湯面レベル計を設置し、これらの湯面レベル計による測定信号を周波数解析処理し、周波数解析処理後の測定信号のうち特定の周波数域の信号量を比較して、信号量の多少から鋳型内湯面におけるArガスの浮上位置を検出し、検出した浮上位置から鋳型内の溶鋼流動パターンを推定することを特徴とするものである。
【0015】本願請求項2の発明による鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動検知方法は、請求項1の発明において、特定の周波数域が、0.01Hz以上1Hz以下であることを特徴とするものである。
【0016】又、本願請求項3の発明による鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動制御方法は、浸漬ノズル内の溶鋼にArガスを吹き込み、且つ浸漬ノズルからの溶鋼吐出流に磁場を印加しつつ溶鋼を鋳型内に注入する連続鋳造方法において、浸漬ノズルと両側の鋳型短辺との間にそれぞれ複数の湯面レベル計を設置し、これらの湯面レベル計による測定信号を周波数解析処理し、周波数解析処理後の測定信号のうち特定の周波数域の信号量が、前記複数の湯面レベル計において実質的に同一となるように、吐出流に印加する磁場強度、又は、浸漬ノズル内へのArガス吹き込み量を調節することを特徴とするものである。
【0017】本願請求項4の発明による鋼の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動制御方法は、請求項3の発明において、特定の周波数域が、0.01Hz以上1Hz以下であることを特徴とするものである。
【0018】本発明者等の実機測定結果、モデル実験結果、及び数値解析によれば、鋳型内溶鋼の流動パターンは、ガス気泡や電磁力印加の影響で複雑に変化するが、その流動パターンを簡略化すると、図2に示すようなA、B、Cの3つのパターンに大別できる。
【0019】この中でパターンAは、吐出流が短辺側の凝固シェルに到達・衝突した後、短辺側の凝固シェルに沿って溶鋼湯面まで上昇し、更に湯面を短辺側から浸漬ノズル側に向かって流れる流れと、短辺側凝固シェルへの衝突点から鋳型下方に下降する流れとに分別されるもので、先に説明した通り、先行技術1、2及び3で前提とした流動パターンである。
【0020】これに対し、パターンBは、吐出流が、ガス気泡の浮上、あるいは吐出流への電磁力の印加により、短辺側の凝固シェルにまで到達せずに、途中で分散する流動パターンである。
【0021】又、パターンCは、ノズル近傍に上昇流が存在する流動パターンで、主に粗大なガス気泡の影響で出現する。パターンCでは、溶鋼表面において、浸漬ノズルから鋳型短辺に向かう流れが観察される。
【0022】これらの流動パターンが、どのような状況で現れるかを以下に説明する。図3は、横軸に浸漬ノズル内に吹き込むArガス流量、縦軸に溶鋼のスループット(スループットとは、溶鋼比重、鋳型サイズ、鋳片引抜き速度の積として求めたもので、単位時間当たりに鋳造される溶鋼重量を表す)をとり、鋳型内で浮上するArガス気泡がどのように変化するかを模式的に示したものである。
【0023】スループットが多い場合や、Arガス流量が少ない場合には、ガス気泡は微細化し、溶鋼中に占める体積比率も小さく、溶鋼流動への影響は小さくなる。これに対し、スループットが少ない場合や、Arガス流量が多い場合には、ガス気泡は大きくなり、溶鋼中に占めるガスの比率も大きくなって、鋳型内の流動パターンを変化させる。特に、粗大なガス気泡が生成する場合には、ノズル近傍に上昇流を形成するほか、ガス気泡の浮上による湯面擾乱を引き起こす。
【0024】これらの事象を基に、浸漬ノズル内に吹き込むArガス量とスループットとを因子として、図2に示した3つの流動パターンの発生区別を概念的に示したものを図4に示す。図4に示すように、Arガス量が多くなるに従い、ガス気泡の影響が大きくなり、鋳型内溶鋼流動はパターンCの領域が広くなり、又、スループットが多くなる程パターンAの領域が広くなり、パターンBは、パターンAとパターンCの境界の限られた領域となる。
【0025】同様に、磁場強度とスループットとを因子とし、それらを横軸と縦軸とにした座標面において、流動パターンの区別をすることができる。実機での測定と数値解析から求めた区別の一例を図5に示す。図5は、最大2000ガウスの磁場強度の印加が可能な移動磁界方式の磁場を適用した場合を示し、横軸の正側は磁場の移動方向が吐出流を減速する方向、負側は吐出流を加速する方向である。図5に示すように、スループットが小さいとパターンCとなり、スループットが多くなるとパターンAに移行する。又、パターンBは、パターンAとパターンCの境界の領域で、吐出流速を減速させる磁場強度が大きくなる程広くなるが、吐出流を加速する磁場強度が大きい場合には、パターンBの存在しない範囲が発生する。このように、パターンBは限られた範囲で形成されることが判る。
【0026】又、鋳型内溶鋼の流動パターン別に、製品におけるモールドパウダー性欠陥の発生量を調査した。図6はその調査結果である。図6に示すように、鋳型内流動がパターンBの場合にパウダー性欠陥が少なく、鋳片品質が最も良好であることが判明した。この理由は以下のように考えられる。
【0027】パターンAの場合、鋳型中央と鋳型中央から鋳型幅の1/4隔てた位置との間の湯面において、溶鋼中へのパウダー混入の原因となる渦が発生し易く、又、表面流速が速い場合には、溶鋼流によりパウダーが削り取られ、この原因によるパウダー混入も発生し易いためである。又、パターンCの場合、浸漬ノズル近傍の溶鋼の上昇流や、浮上する粗大なガス気泡によって、湯面の変動・擾乱が引き起こされ、モールドパウダーの混入が発生するほか、浸漬ノズルから鋳型短辺への表面流速が速い場合には、鋳型短辺近傍で縦渦が発生し、パウダー混入の原因となるからである。これに対し、パターンBの場合には、湯面における渦の発生や、強い表面流の出現がなく、パウダー巻き込みの発生しにくい流動条件になっているためである。
【0028】このように、鋳型内溶鋼の流動パターンをパターンBとすることによって、鋳片の品質低下を防止することができ、製品格落ち率の低減、鋳片無手入れ率の向上が実現できる。
【0029】しかし上記のように、鋳型内溶鋼流動は各種鋳造条件、ガス気泡、電磁力等、多くの影響因子が複雑にからむため、鋳造中における鋳型内溶鋼の流動パターンを正確に検知する手段はこれまでになかった。
【0030】そこで発明者等は、水モデル実験と数値解析により、Arガス気泡の挙動と、流動の関連について調査した。そして、Arガスの浮上挙動と鋳型内流動パターンとが密接に関連しており、そのため、Arガス気泡の湯面での浮上位置を指標として鋳型内流動パターンを推定できることが判った。即ち、水モデル実験の結果を図7に示すように、ガスが短辺近傍から多く浮上する場合にはパターンA、ノズル近傍から多く浮上する場合にはパターンC、又、1/4幅を中心にほぼ鋳型幅方向全体から浮上する場合はパターンBになることが判った。
【0031】そこで、実機において鋳造条件(鋳型サイズ、Arガス量、磁界強度、鋳片引抜き速度)を種々変更した条件で、鋳型幅方向の複数箇所に湯面レベル計として設置した渦流式レベル計の測定信号を周波数解析して、どのような信号が得られるかを調査した。又、同時に、鋳型内溶鋼湯面直上にフードを設けてガスを採取し、採取したガス量とガス成分分析から、鋳型幅方向各位置でのArガスの浮上量を測定した。
【0032】その結果、ガス浮上量が多い位置の渦流式レベル計の信号は、図8に示すように、特定周波数域の信号量が増加することが判明した。尚、図8は鋳型中央から鋳型幅の1/4離れた位置に設置した渦流式レベル計にて測定した信号を周波数解析処理したもので、浸漬ノズル内に吹き込むArガス量が9Nl/minの場合と吹き込みガス無しの場合とを比較して示した図である。図8においては0.3Hzから0.8Hzの周波数域で信号量が増加していることが判る。この信号量の増加は、ガス気泡の浮上によって、溶鋼湯面が乱される現象に起因すると考えられる。
【0033】又、ガス捕集によるArガス浮上量測定結果において、Arガス浮上量の多い位置と、渦流式レベル計の特定周波数域の信号量の増加が見られた位置とは、完全に一致しており、渦流式レベルの特定周波数域の信号の増加は、Arガスの浮上によるものであることが確認できた。
【0034】従って、鋳型幅方向の複数箇所に設置した湯面レベル計の信号を周波数解析処理し、特定周波数域の信号量の多少を比較することで、Arガスの浮上位置を検知し、その結果を指標として、鋳型内溶鋼の流動パターンを推定することが可能となる。
【0035】又、鋳型内溶鋼流動をパターンBとするには、幅方向に設けた複数の湯面レベル計において、特定周波数域の信号量が同程度になるように、磁界強度又はArガス吹き込み量を調整して、溶鋼流動を制御すれば良い。鋳型内溶鋼流動を制御する方法として、浸漬ノズルの形状変更、溶鋼スループットの変更等幾つかあるが、本発明では、連続鋳造機の生産性を損なうことなく鋳造中に制御が可能である、浸漬ノズル内に吹き込むArガス量の変更、又は、吐出流速を制御する磁場強度の変更による方法を選択する。
【0036】尚、湯面レベル計のどの周波数域にガス浮上の影響が反映されるかは、ガス気泡径や、気泡の浮上頻度によって異なり、これらは、ガス吹き込み用に使用するポーラス煉瓦の気孔径やガス流量等によって変化する。しかし発明者等の検討によれば、ガス浮上の影響による信号の変動域は、0.01Hz以上1Hz以下の周波数域であることが判明しているので、この範囲内の周波数を測定し、比較すれば良い。
【0037】
【発明の実施の形態】図1に基づき、本発明の実施の形態を説明する。図1は、鋳型が矩形型の連続鋳造機の鋳型部を示し、(a)は側断面図、(b)は平面図を示す。図1において、1は鋳型短辺、2は鋳型長辺、3は浸漬ノズル、4は浸漬ノズル3へのArガス吹き込み管、5は鋳型長辺2背面に設置した電磁コイル、6a、6b、6c及び7a、7b、7cは浸漬ノズル3を挟んで両鋳型短辺側の溶鋼湯面上に設置した湯面レベル計で、6aと7aは鋳型短辺1近傍に設置した湯面レベル計、6bと7bは鋳型幅の約1/4の距離だけ鋳型中央から離れた位置に設置した湯面レベル計、6cと7cは浸漬ノズル3近傍に設置した湯面レベル計である。電磁コイル5は浸漬ノズル3を中心として左右に分割されており、溶鋼の流動制御を容易とするためには、左右に分割された電磁コイル5は独自に電源を印加できることが望ましい。電磁コイル5から発生する磁場は、磁場が移動する移動磁界又は磁場が固定された静磁場のどちらでも良い。移動磁場は溶鋼流を減速し、且つ加速することができるという特徴を有しており、鋳造条件、鋳型型式等から移動磁界又は静磁場のどちらか適宜選択すれば良い。湯面レベル計6a、6b、6c、7a、7b、7cは、渦流式レベル計等の非接触式レベル計を用いる。
【0038】8a、8bは周波数解析装置であり、湯面レベル計6a、6b、6cにて測定された信号は周波数解析装置8aで、又、湯面レベル計7a、7b、7cで測定された信号は周波数解析装置8bで、それぞれ周波数解析処理される。9は演算装置であり、周波数解析装置8a及び8bで処理された信号を入力し、演算処理する。10は電磁コイルの制御装置、11は演算装置9の出力の表示装置、12は溶鋼、13は鋳型内で凝固した凝固シェル、14は浸漬ノズル3からの溶鋼12の吐出流である。
【0039】溶鋼12は、浸漬ノズル3内にてArガス吹き込み管4からArガスを所定量吹き込まれつつ、図示せぬタンディッシュから浸漬ノズル3を介して、吐出流14とし、鋳型短辺1に向けて注入される。吹き込まれたArガスは、浸漬ノズル3を通り、浸漬ノズル3の吐出孔より鋳型内に浮上する。吐出流14は、電磁コイル5にて印加される磁場により減速される。
【0040】湯面レベル計6a、6b、6c、7a、7b、7cで測定され、周波数解析装置8a、8bで周波数解析された信号は、演算装置9に入力され、演算装置9にて、特定の周波数域の信号量の多少を各湯面レベル計で比較する。Arガスの浮上が多い湯面位置では、特定の周波数域の信号量が多いので、Arガスの浮上位置を検出することができる。
【0041】即ち、鋳型短辺1近傍の湯面レベル計6a、7aにおいて、特定周波数域の信号量の増加が見られる場合には、鋳型内溶鋼の流動はパターンA、浸漬ノズル3近傍の湯面レベル計6c、7cにおいて、特定周波数域の信号量の増加が見られる場合には、鋳型内溶鋼の流動はパターンC、又、鋳型幅方向に3箇所の湯面レベル計において、特定周波数域の信号量が同程度である場合は、鋳型内溶鋼の流動はパターンBと推定される。
【0042】特定の周波数域は、0.01Hzから1Hzの範囲内で、例えば0.5Hzの周波数信号、又は、0.4〜0.5Hzの範囲の周波数信号の総量等、適宜選択することができる。
【0043】このようにして、湯面レベル計の測定信号を指標にして、鋳型内溶鋼の流動パターンが推定できるので、鋳片品質が最も良好であるパターンBとなるように、浸漬ノズル内に吹き込むArガス量又は電磁コイルの磁場強度を調節して、鋳型内溶鋼の流動を制御する。
【0044】浸漬ノズル内に吹き込むArガス量の調整は、演算装置9の出力を表示する表示装置11から状況を把握して、各湯面レベル計の特定の周波数域が略同一となるように、図示せぬ手動式流量制御バルブにて行う。又、磁場の調整は、演算装置9の出力を一定時間毎に電磁コイルの制御装置10に入力し、各湯面レベル計で測定される特定の周波数域が略同一となるように、自動的に磁場強度を調整して行う。
【0045】湯面レベル計は渦流式レベル計が最適であるが、非接触式であれば渦流式レベル計以外のレベル計であっても、本発明の支障とならない。又、本発明の実施の形態では、湯面レベル計が、浸漬ノズル3を挟み片側の鋳型短辺幅方向に3か所の場合について説明したが、片側に2個以上あれば本発明の実施は可能であり、浸漬ノズル3内へのArガス吹き込み位置は、浸漬ノズル3の上に設置されたストッパーや上部ノズルであっても、又、Arガス量及び磁場強度の調整方法は上記の方法以外であっても、本発明の実施に全く支障とならない。
【0046】
【実施例】湯面レベル計として渦流式レベル計を採用し、図1に示す構成の湯面レベル測定装置を用いた本発明の実施例を以下に説明する。
〔実施例1〕鋳型の寸法が厚み250mm、幅2000mmであるスラブ連続鋳造機で、低炭素Alキルド鋼を鋳片引抜き速度1.6m/minで鋳造した。鋳型長辺には、鋳型幅方向に2分割された電磁コイルを設置した。電磁コイルの鋳造方向の中心位置は、浸漬ノズル吐出孔の下端から150mm下方の位置とした。この電磁コイルにより、溶鋼吐出流に対して鋳型短辺から浸漬ノズル側に移動する左右対称な1300ガウスの移動磁界を印加して吐出流の減速を行うと共に、浸漬ノズル内にArガスを吹き込んだ。浸漬ノズルの鋳型内浸漬部の外径は160mmΦである。
【0047】渦流式レベル計を、浸漬ノズルを挟んだ両方の鋳型短辺側に、鋳型厚みの中心で、鋳型中央から180mm(浸漬ノズル近傍)、500mm(鋳型幅1/4付近)、900mm(鋳型短辺近傍)の3か所の位置に、浸漬ノズル左右に合計で6個設置した。
【0048】浸漬ノズルへのArガス吹き込み量を10Nl/minとして、鋳造を開始した。この時はノズル近傍の左右2つの渦流式レベル計において、0.5Hz付近の周波数域の信号量の増加が見られた。即ち、鋳型内溶鋼流動は、パターンCであることが判明した。
【0049】そのため、鋳型内溶鋼流動をパターンBとするため、鋳型幅方向に設置した3個の渦流式レベル計における0.5Hz域の信号量が同程度になるように、浸漬ノズルに吹き込むArガス流量を調整した。Arガス流量を6Nl/minとした場合に、鋳型幅方向の3個の渦流式レベル計における0.5Hz域の信号量を同程度とすることができた。そこで、この条件での鋳造を継続した。
【0050】鋳造後、鋳片を薄鋼板に圧延して、薄鋼板を超音波探傷試験して、モールドパウダーに起因する欠陥を調査した。
【0051】鋳型内溶鋼流動をパターンBとした領域の鋳片では、モールドパウダーに起因する欠陥は皆無であったが、鋳型内溶鋼流動がパターンCの領域の鋳片では、モールドパウダー性欠陥が発見された。
【0052】このように、鋳型内におけるArガスの浮上位置から鋳型内溶鋼の流動パターンを推定し、浸漬ノズルに吹き込むArガス量の変更で、鋳型内溶鋼流動を最適のパターンに変更することができた。
【0053】〔実施例2〕鋳型の寸法が厚み250mm、幅1800mmであるスラブ連続鋳造機で、極低炭素Alキルド鋼を鋳片引抜き速度2.5m/minで鋳造した。鋳型長辺には、鋳型幅方向に2分割された電磁コイルを設置した。電磁コイルの鋳造方向の中心位置は、浸漬ノズル吐出孔の下端から150mm下方の位置とした。この電磁コイルは左右独立した電源に接続され、溶鋼吐出流に対し、移動磁界を左右独立に印加できるようになっている。又、浸漬ノズル内には9Nl/minのArガスを吹き込んだ。浸漬ノズルの鋳型内浸漬部の外径は160mmΦである。
【0054】渦流式レベル計を、浸漬ノズルを挟んだ両方の鋳型短辺側に、鋳型厚みの中心で、鋳型中央から180mm(浸漬ノズル近傍)、450mm(鋳型幅1/4付近)、800mm(鋳型短辺近傍)の3か所の位置に、浸漬ノズル左右に合計で6個設置した。
【0055】電磁コイルに磁界を印加せず鋳造を開始した。この時、鋳型短辺側の2つの渦流式レベル計で、0.4Hz付近の周波数域の信号量の増加が見られた。即ち、鋳型内溶鋼の流動は、パターンAであることが判明した。
【0056】そのため、鋳型内溶鋼流動をパターンBとするため、鋳型幅方向に設置した3個の渦流式レベル計における0.4Hz域の信号量が同程度になるように、鋳型短辺から浸漬ノズル側に移動する移動磁界を印加し、移動磁界の強度を徐々に増加させた。左右の電磁コイルとも移動磁界が1500ガウスとなる時点で、鋳型幅方向の3個の渦流式レベル計における0.4Hz域の信号量が同程度となったので、以後この条件で鋳造を継続した。
【0057】鋳造後、鋳片を薄鋼板に圧延して、薄鋼板を超音波探傷試験して、モールドパウダーに起因する欠陥を調査した。
【0058】鋳型内溶鋼流動をパターンBとした領域の鋳片では、モールドパウダーに起因する欠陥は皆無であったが、鋳型内溶鋼流動がパターンCの領域の鋳片では、モールドパウダー性欠陥が発見された。
【0059】このように、鋳型内におけるArガスの浮上位置から鋳型内溶鋼の流動パターンを推定し、電磁コイルにより印加する磁界の強度を調整することで、鋳型内溶鋼流動を最適のパターンに変更することができた。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、連続鋳造の鋳造中に、鋳型内のArガス浮上位置を検出することで、鋳型内溶鋼の流動パターンを迅速に推定することができ、更に、そのパターンを最適化することが可能なため、品質の優れた連続鋳造鋳片を製造することができる。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013