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発明の名称 連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−5945
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−166526
出願日 平成8年(1996)6月27日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
発明者 村上 勝彦 / 久保 典子 / 鈴木 真 / 石井 俊夫 / 久保田 淳
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に独立に変更することを特徴とする連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法。
【請求項2】 磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、磁場の磁束密度の2乗と移動磁場の周波数との積が一定の条件で、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に連続的に変更することを特徴とする連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法。
【請求項3】 浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて左右独立に磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、2分割された左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相を鋳造中に相対的に変化させることを特徴とする連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法。
【請求項4】 浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて左右独立に磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、2分割された左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相を鋳造中に相対的に変化させると共に、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に独立に変更することを特徴とする連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳型に設置したリニア移動磁場発生装置により鋼の連続鋳造鋳型内の溶鋼流動を制御する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造法においては、タンディッシュから浸漬ノズルを介し、鋳型短辺に向け注入された溶鋼の吐出流は、短辺凝固シェルに衝突して下降流と上昇流とに分かれ、そして、下降流は鋳片未凝固層深部に進入し、又、上昇流は鋳型内溶鋼表面(以下、「メニスカス」と記す)で鋳型短辺から浸漬ノズルに向かう流れとなり、メニスカスに「渦」、「盛り上がり」等の流れの乱れを生成させる。
【0003】脱酸生成物であるアルミナを主体とする酸化物は、下降流により鋳片未凝固層深くまで侵入して凝固シェルに捕捉され、又、メニスカス上に添加されたモールドパウダーは、メニスカスの渦や盛り上がりにより溶鋼中に巻き込まれ、凝固シェルに補捉される。そして、これらに起因する非金属介在物が鋳片の品質欠陥の主原因であり、この現象は鋳造速度の増速に伴う吐出流速度の高速度化や、浸漬ノズル内又は浸漬ノズル吐出孔にアルミナが付着して左右の吐出流速が不均一となる、所謂、偏流が発生した場合に顕著となっている。
【0004】この対策として、電磁力(Electro-magnetic force)を用いて溶鋼流動を制動しようとする試みが数多く提案されている。
【0005】特開平3−142049号公報(以下、「先行技術1」と記す)には、対向する鋳型長辺各背面の上下に設置した上下各一対の磁極の間で、鋳片の幅全体にわたり静磁場を印加させ、吐出流を磁場で減速させる方法が開示されている。
【0006】特開平1−150450号公報(以下、「先行技術2」と記す)には、メニスカスの下1.5mから4.0mの鋳造方向下方の範囲に、直流磁場もしくは低周波交流磁場を印加させ、磁場を通過する溶鋼流動を減速・分散させる技術が開示されている。
【0007】又、先行技術1、2は磁場が移動しない静止型磁場であるに対し、特開平5−23804号公報(以下、「先行技術3」と記す)には、低周波の交流電源による移動磁場を用いる技術が開示されている。先行技術3では鋳型長辺背面にリニア移動磁場発生装置を配置し、浸漬ノズルからの溶鋼の吐出流方向と反対方向に磁場を移動させることで溶鋼を磁場の移動方向に移動させ、溶鋼の吐出流速度を減速させる技術であり、その際、吐出する溶鋼流の断片が移動磁場の周波数周期の1周期以上の期間を磁場内に滞在するように、リニア移動磁場発生装置に印加する電流の周波数の下限値を定めている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1は、鋳片の全幅にわたって磁場を配置し、吐出流の局所に磁場を配置した場合に発生する溶鋼流の局部的な回り込みを防止している。しかし、先行技術1においても磁場が強過ぎる場合には、上下の磁場の谷間に沿って水平方向に溶鋼流が走り、この溶鋼流は短辺凝固シェルに衝突した時点で流れ方向を変え、下降流となる。更に、鋳片の端部である短辺近傍では、鋳片と鋳型壁とが電気的に絶縁状態にあるため、誘導電流が逆向きに流れて下降流を加速する方向に電磁力が作用するので、下降流は未凝固層深くまで侵入する。その結果、鋳片の幅方向中央部の品質は向上するものの、短辺近傍部は品質が劣化する。
【0009】先行技術2では、溶鋼への制動力の発生手段として、直流磁場に代わって、低周波の交流磁場を用いる方法も開示している。交流磁場の場合は、準静的な誘導電流が存在しないため、先行技術1で発生する鋳片短辺近傍での下降流を助長する現象はない。
【0010】交流磁場の場合、印加する電流の周波数に応じて磁界の方向と誘導電流の方向とは180度変化するものの、磁気による制動力の方向は変わらないため流動制御が可能である。しかし、この制動力は、印加する電流値に応じ、最大から零まで周期的に変化することになる。
【0011】先行技術2では印加する電流の周波数が一定で且つ1Hz未満の低周波であるので、磁気制動された溶鋼流は溶鋼流の慣性力のために印加される電流の周波数で変動する。その結果、その変動がメニスカス部まで及ぶ高速鋳造の場合、電磁力の制御によって逆にメニスカスが乱れ、パウダーの巻き込みを助長する。
【0012】先行技術3は、磁場の移動方向への吐出流の制動を目的としたもので、この場合、周波数が低く且つ磁束密度が大きい条件の下で、吐出流の速度制動に主眼をおいた制御を行うと、浸漬ノズルを中心としてメニスカスが大きく上下振動することがある。これは、電磁力による吐出流の速度変動周期と鋳型サイズに起因する湯面変動との共振現象により発生するものである。更に、移動磁場の周波数を上げて磁場移動方向の制動力を優先させると、移動磁場による付随流れが発生し、浸漬ノズルからの吐出流速と磁場強度とのバランスがくずれた場合には、パウダー巻き込みを助長するような状況も起こり得る。
【0013】以上のように、電磁力を利用した鋳型内溶鋼の流動制御方法に関して、いずれの方法も改善の余地が大きいのが現状である。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは移動磁場における流動制御方法を改善し、未凝固層深奥までの吐出流の侵入による脱酸生成物の混入と、メニスカスにおける湯面変動に起因するモールドパウダーの巻き込みとを共に防止して、鋳片全幅にわたって非金属介在物のない高品質の鋳片を製造するための連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る本発明の連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法は、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に独立に変更することを特徴とするものである。
【0016】交流移動磁場により溶鋼吐出流に作用する制動力は、以下の2種類の制動力に区別することができる。
【0017】1つは、磁場が移動することにより、溶鋼中に誘導電流を発生させ、この誘導電流と磁場とによる電磁力により、磁場の移動方向に溶鋼を強制的に流動させ、この強制的な溶鋼流動と浸漬ノズルからの吐出流とを干渉させて、吐出流速度を減速又は加速させるもので、以下この制動力を本願では「駆動力」と呼ぶ。
【0018】他の1つは、電磁ブレーキとも呼ばれるもので、磁場中を吐出流が流動することで、吐出流に誘導電流が発生し、この誘導電流と磁場とで生じる電磁力により、吐出流速度を減速させるもので、以下この制動力を本願では「ブレーキ力」と呼ぶ。交流磁場によるブレーキ力は、電流値に比例して周期的に変動する。
【0019】移動磁場の磁束密度をB、移動磁場の周波数をf、浸漬ノズル吐出孔からの溶鋼吐出流の流速をVとすると、駆動力はB2 fに比例して磁場の移動方向に作用し、又、ブレーキ力はB2 Vに比例する。
【0020】そのため、磁束密度Bと移動磁場の周波数fを鋳造中に独立に変更することにより、吐出流に対して様々の磁気制動制御を行うことができ、又、磁束密度を変更せずに周波数のみ変更することで、駆動力を増減しつつブレーキ力を保持することができるので、浸漬ノズルからの吐出流速に応じた制動力で制御することが可能となり、移動磁場による付随流れを抑えることができる。
【0021】請求項2に係る本発明の連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法は、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、磁場の磁束密度の2乗と移動磁場の周波数との積が一定の条件で、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に連続的に変更することを特徴とするものである。
【0022】リニア移動磁場発生装置に印加する電流の周波数を鋳造中に連続的に変更するので、電磁力による吐出流の速度変動周期と鋳型サイズに起因する湯面変動との共振現象が完成する以前に周波数が変化するため、共振現象の防止が可能となり、浸漬ノズルを中心としたメニスカスの上下振動現象を防止できる。又、磁場の磁束密度の2乗と移動磁場の周波数との積が一定の条件で変更するので、駆動力を減じることがない。
【0023】請求項3に係る本発明の連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法は、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて左右独立に磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、2分割された左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相を鋳造中に相対的に変化させることを特徴とするものである。
【0024】鋳型幅方向左右に2分割されているリニア移動磁場発生装置に供給する交流電流の位相を相対的に変化させることにより、電磁力による吐出流の速度変動周期と鋳型サイズに起因する湯面変動との共振現象に外乱を加えることができるので、共振の発生がなく、浸漬ノズルを中心としたメニスカスの上下振動現象を防止できる。
【0025】請求項4に係る本発明の連続鋳造鋳型内の溶鋼流動制御方法は、浸漬ノズルを中心として鋳型幅方向左右に2分割され、磁場の移動方向が鋳型幅方向であるリニア移動磁場発生装置にて左右独立に磁場を印加して鋳型内の溶鋼流動を制御する方法において、2分割された左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相を鋳造中に相対的に変化させると共に、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に独立に変更することを特徴とするものである。
【0026】印加する交流電流の位相を鋳造中に相対的に変化させると共に、磁束密度と移動磁場の周波数とを鋳造中に独立に変更するので、共振現象による浸漬ノズルを中心としたメニスカスの上下振動現象を防止しつつ、吐出流に対して様々の制動制御を左右独立に行うことができる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る鋳型内溶鋼の流動制御方法を適用した連続鋳造機の鋳型部の概要を示す図であり、(a)は側断面図、(b)は平面図である。
【0028】各1対の鋳型長辺2と鋳型短辺3とを組み合わせた矩形型鋳型1の上部にタンディッシュ4が設けられ、タンディッシュ4は図示しない取鍋から溶鋼5の供給を受ける。溶鋼流量調整用のスライディングノズル14がタンディッシュ4の底部に設けられ、スライディングノズル14の下面に浸漬ノズル6が取り付けられている。タンディッシュ4内の溶鋼5はスライディングノズル14と浸漬ノズル6を介して鋳型1内に注入される。浸漬ノズル6の下端部は鋳型1内の溶鋼5に浸漬され、浸漬ノズル6の左右一対の吐出孔7から、溶鋼5が鋳型短辺3に向けて吐出される。鋳型1内に吐出された溶鋼5は冷却され、凝固シェル16を生成し、図示しないピンチロールにて、鋳型1から下方に連続的に引き抜かれる。鋳型内溶鋼5のメニスカス17上にはモールドパウダー15が添加されている。
【0029】両鋳型長辺2の背面には、鋳型長辺2を挟んで対向する位置にリニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10が、浸漬ノズル6を中心として鋳型幅方向に分割され、配置されている。左側のリニア移動磁場発生装置8、8は左側の電磁場制御装置9に接続され、又、右側のリニア移動磁場発生装置10、10は右側の電磁場制御装置11に接続され、浸漬ノズル6の左右で独立に磁場を制御できるようになっている。磁場の移動方向は、浸漬ノズル6から鋳型短辺3に向かう方向と、その逆の方向に切り替えることができる。リニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10の鋳造方向の中心位置は浸漬ノズル6の吐出孔7下端付近とする。ここで示す電磁場制御装置9、11は、電源装置を兼ね備えたもので、リニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10に印加する電源の電圧値、電流値、周波数値、及び交流電流の位相を変えることができるもので、周波数は、0.05Hzから60Hz程度まで変更可能であることが望ましい。
【0030】リニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10の鋳型長辺2を挟んで対向する磁極は、その移動磁場による期待する駆動力の形態に応じ、N極とS極の異極対向のケースと、N極、若しくはS極の同極対向のケースにすることができる。即ち、鋳型1厚み全体に駆動力を作用させる場合には、異極対向が望ましく、且つこの場合には、大きなブレーキ力が期待できる。他方、鋳型1の壁近傍のみに駆動力を作用させる場合は、同極対向とすれば良い。しかし、この場合には、磁束密度は鋳型1の壁近傍では大きいが、鋳型1厚み中心ではゼロになるため、ブレーキ力は鋳型1の壁近傍のみしか期待できない。従って目的に応じて、対向する磁極の特性を決めれば良い。対向する磁極の特性は、例えば電磁場制御装置9、11により印加する電流の位相を切り替えて行うことができる。
【0031】このような構成からなる溶鋼流動制御装置において、移動磁場の磁束密度はリニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10に印加する電流又は電圧を鋳造中に増減することで制御し、リニア移動磁場の周波数fは印加する交流電流の周波数を鋳造中に変更して制御し、又、左右のリニア移動磁場発生装置8、8、及び10、10に印加する交流電流の位相は0〜180度の範囲で鋳造中に相対的に変更して印加する。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕DI缶用素材として使用され、鋼板の高清浄性が要求される炭素濃度が0.03wt%程度の低炭素Alキルド鋼に本発明を適用した。
【0033】本実施例では、前述した図1の溶鋼流動制御装置に、更に湯面レベル計12、12と演算装置13とを加えた装置にて実施した。即ち、図1に示すように、鋳型内溶鋼5の上には湯面レベル計12、12が浸漬ノズル6を挟んで鋳型幅方向の左右対称な位置に1個ずつ設置され、鋳型内湯面変動を測定している。湯面レベル計12、12の測定信号は演算器13に入力され、鋳型内の湯面変動に応じ、電磁場制御装置9、11に信号を出力することができるようになっている。
【0034】又、左右のリニア移動磁場発生装置の鋳造方向中心位置は浸漬ノズル吐出孔下端から150mmの位置として、磁場の移動方向は鋳型短辺から浸漬ノズルの方向とし、異極が対向するように配置した。
【0035】鋳造条件は、鋳片幅1550mm、鋳片厚み230mm、鋳片引抜き速度は2.0m/minである。
【0036】左右のリニア移動磁場発生装置共、鋳型中心における磁束密度が実効値で3100ガウスになるように電流値を設定し、電流周波数は0.15Hzとし、又、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相差は0度の条件で鋳造を開始した。
【0037】鋳造中に、湯面レベル計の浸漬ノズル左右の測定値を比較し、左右のメニスカスに3mm以上の差が生じた場合に、湯面レベルの高い側のリニア移動磁場発生装置の周波数を増加し、同時に低い側のリニア移動磁場発生装置の周波数を減少した。このようにしてメニスカスの変動状況に応じて交流電流の周波数を0.05〜0.3Hzの範囲内で最適値となるように制御した。
【0038】同時に、湯面レベル計の信号で、浸漬ノズルの左右でメニスカスが周期的に上下且つ交互に振動することを確認すると、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相差を相対的に徐々に増加した。位相差の変更は0から180度まで相対的に変更した。
【0039】本実施例では、印加した周波数が低いにもかかわらず、周波数が低い場合に発生する鋳型左右の周期的な湯面の上下振動変動は、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する電流の位相を相対的に変化させることによって防止でき、且つ、湯面下近傍に適正な流れを形成することができた。位相の相対的な変化は30〜150度の範囲で変更すると左右の周期的な湯面変動は回避できた。
【0040】鋳造された鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板において超音波探傷試験にてモールドパウダー及び脱酸生成物を起因とする非金属介在物の欠陥を調査した。非金属介在物の欠陥発生率は、後述する比較例における欠陥発生率を1.0として比較すると0.6となった。
【0041】このように、鋳造中に印加する周波数を変更することで吐出流速度を左右で均等にすることができ、且つ、位相を変更することで周期的な湯面変動を防止することができるので、メニスカス直下近傍の流れの最適化が得られ、又、磁束密度を高い状態に保持できるので、吐出流速の鋳型下方方向の制動効果が得られ、その結果、アルミナを主体とする脱酸生成物や、モールドパウダー等の凝固殻への補足防止と浮上促進が図られ、内部及び表面ともに極めて清浄な鋳片を得ることができた。
【0042】〔実施例2〕実施例1と同一な鋼種、及び、装置にて本発明を適用した。
【0043】鋳造条件は、鋳片幅1550mm、鋳片厚み230mm、鋳片引抜き速度は1.5m/minである。
【0044】左右のリニア移動磁場発生装置共、鋳型中心における磁束密度が実効値で2200ガウスになるように電流値を設定し、電流周波数は0.5Hzとし、又、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相差は0度の条件で鋳造を開始した。
【0045】鋳造中に、湯面レベル計の浸漬ノズル左右の測定値を比較し、左右のメニスカスに3mm以上の差が生じた場合に、湯面レベルの高い側のリニア移動磁場発生装置の周波数を増加し、同時に低い側のリニア移動磁場発生装置の周波数を減少した。このようにしてメニスカスの変動状況に応じて交流電流の周波数を0.1〜0.8Hzの範囲内で最適値となるように制御した。
【0046】同時に、湯面レベル計の信号で、浸漬ノズルの左右でメニスカスが周期的に上下且つ交互に振動することを確認すると、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相差を相対的に徐々に増加した。位相差の変更は0から180度まで相対的に変更した。
【0047】印加する電流が0.5Hz以下の低周波時には、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する位相に変化のない場合は、メニスカスの上下振動が発生したが、交流電流の位相を相対的に変化させることで防止することができた。又、0.5Hz以上の周波数では、電流の位相変化なしでも、メニスカスの上下振動は、ほとんど発生しなかった。
【0048】鋳造された鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板において超音波探傷試験にてモールドパウダー及び脱酸生成物を起因とする非金属介在物の欠陥を調査した。非金属介在物の欠陥発生率は、後述する比較例における欠陥発生率を1.0として比較すると、0.55となった。
【0049】本実施例の適用効果は、実施例1と同様に、浸漬ノズルからの吐出流の沈静化に威力を発揮し、内部及び表面共に極めて高清浄な鋳片が得られた。ただ、本実施例では、磁場の移動方向以外に向かう流れに対する制動効果は、実施例1に比較して小さいため、浸漬ノズルからの吐出速度の小さい、すなわち鋳造速度の低いケースでその大きな効果が期待できる。
【0050】〔実施例3〕実施例1と同一な鋼種、及び、装置にて本発明を適用した。但し、本実施例では、湯面レベル計は湯面変動を測定するのみであり、測定した信号は電磁場制御装置にフィードバックしていない。
【0051】鋳造条件は、鋳片幅1550mm、鋳片厚み230mm、鋳片引抜き速度は2.0m/minである。
【0052】本実施例では、印加する電流の周波数を0.2〜1.2Hzの範囲内で連続的に変化させ、同時に、磁場移動方向の駆動力が一定になるように、即ち、磁束密度の2乗と周波数との積が一定になるように、周波数の変化に応じて自動的に印加電流を変化させて磁束密度を3100ガウスから1270ガウスまで変更した。尚、交流電流の周波数の変更は、最低周波数の約1周期に相当する時間(約5秒間)で0.2Hzから1.2Hzまで連続的に変化させた。
【0053】本実施例においては、メニスカスの上下振動の共振現象が完成する時間以内に周波数が連続的に変化するため、位相制御を取り入れるまでもなく鋳型内の液面レベルは極めて平静であった。
【0054】鋳造された鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板において超音波探傷試験にてモールドパウダー及び脱酸生成物を起因とする非金属介在物の欠陥を調査した。非金属介在物の欠陥発生率は、後述する比較例における欠陥発生率を1.0として比較すると0.7となった。
【0055】本実施例でも、実施例1、2と同様に内部及び表面共に、清浄な鋳片が得られた。
【0056】尚、磁場の移動方向に対して更に大きな駆動力を必要とする場合は、周波数を本実施例よりも高い範囲で変動させれば良く、逆に、駆動力が大き過ぎる場合は、本実施例より更に低い範囲で周波数を変動させれば良い。
【0057】〔比較例〕実施例1と同一な鋼種、及び、装置にて実施した。鋳造条件は、鋳片幅1550mm、鋳片厚み230mm、鋳片引抜き速度2.0m/minである。
【0058】左右のリニア移動磁場発生装置共、鋳型中心における磁束密度が実効値で1000ガウスになるように電流値を設定し、電流の周波数を1.0Hzの一定条件として、左右のリニア移動磁場発生装置に印加する交流電流の位相は同一の条件で鋳造を開始した。
【0059】鋳造中に、湯面レベル計の浸漬ノズル左右の測定値を比較し、左右のメニスカスに3mm以上の差が生じた場合に、湯面レベルの高い側のリニア移動磁場発生装置の電流を増加し、同時に低い側のリニア移動磁場発生装置の電流を減少した。このようにしてメニスカスの変動状況に応じて交流電源の電流値を変更して、鋳型中心における磁束密度が実効値で300〜1200ガウスの範囲内で制御した。
【0060】鋳造された鋳片を薄鋼板に圧延し、薄鋼板において超音波探傷試験にてモールドパウダー及び脱酸生成物を起因とする非金属介在物の欠陥を調査した。そして、この欠陥発生率を1.0として、本発明の実施例と比較した。比較例では、磁束密度が小さくなる時期に該当する鋳片で、主に脱酸生成物であるアルミナによる欠陥発生率が高い。これは、磁束密度が小さくなる時期に鋳型下方方向の溶鋼の制動力が弱くなり、吐出流が未凝固層深くにまで進入したものと考える。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、浸漬ノズルからの吐出流の沈静化に加え、リニア移動磁場による鋳型内流動の最適化が図られ、モールドパウダーの巻き込み防止と脱酸生成物の浮上促進が実現した結果、鋳片幅方向全体にわたって内部及び表面共に極めて清浄な鋳片を得ることができる。




 

 


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