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発明の名称 反応バグフィルターシステム及びその運転方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−5536
公開日 平成10年(1998)1月13日
出願番号 特願平8−160176
出願日 平成8年(1996)6月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
発明者 浜口 敬三 / 三好 康夫 / 長田 容
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 焼却炉等の燃焼排ガス中の塵埃及び酸性ガスを除去する反応バグフィルターと、前記反応バグフィルターに供給される前記焼却炉等の燃焼排ガスの温度を低下させて調温する減温塔と、前記反応バグフィルターに供給される排ガス中にアルカリ剤を注入するアルカリ剤供給装置と、前記反応バグフィルターの濾布に付着するダストを払い落とす払い落とし装置と、前記反応バグフィルターの排ガス入側と出側の圧力を検出する第1と第2の圧力検出器と、前記反応バグフィルターのバグハウス内温度を検出する温度検出器と、前記反応バグフィルターの排ガス流量を検出する流量検出器と、制御装置とを具備する反応バグフィルターシステムに於いて、前記制御装置が、前記焼却炉等を運転するための制御手段を備えるとともに、前記焼却炉等の燃焼排ガス中の酸性ガス濃度と前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤添加量と排ガス流量とによって排ガス中に供給するアルカリ剤の添加当量比Mを設定するアルカリ剤添加当量比算出手段と、前記第1と第2の圧力検出手段によってバグフィルター差圧Pを算出するバグフィルター差圧算出手段と、前記反応バグフィルター内温度Tを計測するバグハウス内温度計算手段と、前記流量検出器の出力に基づいて反応バグフィルターの濾過速度Lを算出する濾過速度算出手段と、補正因子である総括因子設定手段とを具備し、これら手段の出力に基づいて前記反応バグフィルター出力側排ガスの酸性ガス濃度を推定して、排出される排ガス中の酸性ガス濃度を所定値または所定値以下に設定することを特徴とする反応バグフィルターシステム。
【請求項2】 焼却炉から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総括因子Sとによる関係式からバグフィルターの酸性ガス除去率Rを算出し、前記酸性ガス除去率Rによって酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定し、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法。
R=f(M,T,L,P,S)
但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の総括因子【請求項3】 焼却炉から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総括因子Sとの5つの因子の酸性ガス除去率Rに与える影響度に応じた係数を求める各除去率推定係数式(FM ,FT ,FL ,FP ,FS)による総合的な除去率推定係数式Fに基づいてバグフィルターの酸性ガス除去率Rを求めて、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定し、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法。
M =g(M)
T =h(T)
L =i(L)
P =j(P)
S =k(S)
F=FM ×FT ×FL ×FP ×FSR=(100×A)/(A+1)
A=A0 ×FA0 =R0 /(100−R0
但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の総括因子,FM :Mの除去率推定係数式,FT :Tの除去率推定係数式,FL :Lの除去率推定係数式,FP :Pの除去率推定係数式,FS :Sの除去率推定係数式,F :M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A :酸性ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能),A0 :酸性ガス除去能基準値または初期値(定数),R0 :酸性ガス除去率基準値または初期値(定数),【請求項4】 前記除去率推定係数式(FM ,FT ,FL ,FP )は、それぞれの制御因子による一価関数であり、指数関数または整式、およびこれらの組み合わせによって、それぞれの制御因子ごとに設定することを特徴とする請求項3に記載の反応バグフィルターシステムの運転方法。
【請求項5】 前記制御因子(M,T,L,P)の制御範囲が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度120〜250℃、濾過速度0.3〜3.0 m/min、バグフィルター差圧30〜300 mmAq とする請求項2,3または4に記載の反応バグフィルターシステムの運転方法。
【請求項6】 前記制御因子の内に3つ制御因子を固定し、残りの1つの制御因子の値を制御して酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする請求項2,3,4または5に記載の反応バグフィルターシステムの運転方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、都市ごみ焼却処理施設および可燃性廃棄物焼却処理施設に付属する反応バグフィルターシステム及びその運転方法に関し、詳しくは、排ガス中に含まれる酸性ガスを効率よく除去するための反応バグフィルターの最適運転方法がなし得る反応バグフィルターシステム及びその運転方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】バグフィルターは、従来から燃焼排ガス中のダストを除去する集塵機として広く使用されている。最近では都市ごみ焼却施設にも用いられている。このような施設におけるバグフィルターでは、バグフィルター内にアルカリ剤を噴霧して、排ガス中のHCl、SOX 等の有害ガスを除去する有害ガス除去装置として用いられる場合が多い。このような除塵および酸性ガス除去機能を備えているバグフィルターを反応バグフィルターと呼ぶことにする。反応バグフィルターの酸性ガス除去性能は、通常、反応バグフィルター内の反応温度やアルカリ剤添加当量比といった因子によって評価したり、パルスジェット方式、逆洗方式といった濾布洗浄方式の違いで評価されていた。
【0003】反応バグフィルターシステムにおける運転制御では、温度、濾過速度、バグフィルター差圧を固定して、アルカリ剤添加量を制御して、バグフィルター出口の酸性ガス濃度を監視しているケースが多かった。即ち、出口酸性ガス濃度が基準値を越えるような時に、アルカリ剤添加量を増加させるといった制御方法であった。また、バグフィルター内の温度が変化した際に、出口酸性ガス濃度を制御する上で、出口酸性ガス濃度が基準値を越えない限り、新たな制御を特に系統的に行わないことが多かった。これは濾過速度やバグフィルター差圧が変化したときにも同様であった。また、バグフィルター差圧を上昇させたり、濾過速度や温度を下げたりして酸性ガス除去効率を向上させるような試みは、単独の制御因子についてはなされることがあった。しかし、複数の因子を定量的に把握し関連づけて、酸性ガス除去の制御に活かすことはなされていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】都市ごみ焼却処理施設および可燃性廃棄物焼却処理施設の排ガス中に含まれるバグフィルター入口又は炉出口の酸性ガス濃度(以下、入口酸性ガス濃度と称する)の計測には、ガスクロマトグラフィ等の分析計で計測する方法があるが、機器が高価なものであることと、連続的に計測することは通常困難である欠点がある。また、半導体ガスセンサは耐久性に問題があるので好ましいものではない。勿論、出口と同様に連続測定機を用いて、入口濃度を監視することが好ましいが、このような観点から排ガス中の入口酸性ガス濃度を推測して中和剤の当量比を設定する制御方法が可能であれば理想的である。
【0005】また、バグフィルターで処理された排ガス中の酸性ガス濃度(出口酸性濃度)の推測は、反応バグフィルターの酸性ガス除去効率が推測できれば可能であるが、反応バグフィルターの酸性ガス除去効率を決定する因子はさまざまなものが存在する。例えば、アルカリ剤添加量、アルカリ剤添加当量比、アルカリ剤種類、バグフィルター内の温度、濾布における濾過速度、排ガス流量、バグフィルター差圧、濾布の反応層の厚み、濾布の種類、排ガス中水分濃度、飛灰の性状、ごみ質、洗浄方式(払い落とし方式)、パルスジェット圧、パルスジェット間隔、逆洗間隔、バグフィルター内の流速分布等数多く存在する。
【0006】これらの因子は相互に関連していたり、実際にこれらの因子を総合的に制御することが困難であったり、これらの因子の酸性ガス除去効率に与える影響度が正確に把握できないのが現状であった。このようなことから、従来、これらの因子を特定して最適な反応バグフィルターの運転を系統的に行うことは困難な状況にあった。
【0007】従って、従来技術で述べたように、単独の制御因子による出口酸性ガス濃度の制御にとどまったり、複数の因子を系統的に制御して、出口酸性ガス濃度を最適に制御することができなかった。更には、出口酸性ガスをサンプリングしてその濃度が基準値を越えてから運転制御を行うという事後処理的な制御であった。このような事後処理的に出口酸性ガス濃度を制御する場合、例えば、アルカリ剤添加量によって出口酸性ガス濃度を制御するにあたり、出口酸性ガス濃度が基準値を越えたと判断して、アルカリ剤添加当量比を増大させたとすると、時間的なずれによって、既に、出口酸性ガス濃度が基準値以下であるにもかかわらず、過剰にアルカリ剤を添加し続けることがあり、アルカリ剤を余分に消費することになる欠点があった。
【0008】また、アルカリ剤添加量を一定のままに維持した場合は、反応バグフィルター温度や排ガス流量が低下したとすると、酸性ガス除去効率が上昇し出口酸性ガス濃度が基準値を越えることがないにもかかわらずアルカリ剤添加量は一定に維持されるために過剰なアルカリ剤が消費される欠点があった。
【0009】また、出口酸性ガス濃度が基準値を越える場合または越えることが予想される場合、例えばバグフィルター差圧を増加させることで、アルカリ剤添加量を増加させずに済むことが考えられる。しかし、従来は、このような操作をすることなくアルカリ剤を一定量を添加しており、その結果、アルカリ剤の消費量が多くなる欠点があった。
【0010】更に、反応バグフィルターの酸性ガス除去効率を評価する上で、例えば、濾過速度が10%増加した分が、アルカリ剤添加量の増加分の幾らに相当するか、また、バグフィルター内温度が何度上昇分に相当するか、などの各因子による酸性ガス除去分率に対する定量的な評価をすることなく、酸性ガス除去がなされていた。言い換えると従来の反応バグフィルターは最適制御することなく運転されており、エネルギーが無駄に消費される場合が多い欠点があった。
【0011】本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、先に述べた酸性ガス除去効率に影響を与える因子の中で、反応バグフィルターの酸性ガス除去率が制御可能な因子によって、酸性ガス除去率を推定した制御することによって最適制御するようにした反応バグフィルターシステム及びその運転方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、先に述べた酸性ガス除去効率に影響を与える因子の中で、都市ごみ焼却処理施設および可燃性廃棄物焼却処理施設が建設された時点で変更不可能な因子、及び制御が困難な因子を除いて、日常の運転の中で制御可能な制御因子と、他の不確定な因子による総括因子(酸性ガス除去効率に大きな影響を与えない因子を一つにまとめた因子)とによって、反応バグフィルターシステム及びその運転方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、第一の発明は、焼却炉等の燃焼排ガス中の塵埃及び酸性ガスを除去する反応バグフィルターと、前記反応バグフィルターに供給される前記焼却炉等の燃焼排ガスの温度を低下させて調温する減温塔と、前記反応バグフィルターに供給される排ガス中にアルカリ剤を注入するアルカリ剤供給装置と、前記反応バグフィルターの濾布に付着するダストを払い落とす払い落とし装置と、前記反応バグフィルターの排ガス入側と出側の圧力を検出する第1と第2の圧力検出器と、前記反応バグフィルターのバグハウス内温度を検出する温度検出器と、前記反応バグフィルターの排ガス流量を検出する流量検出器と、制御装置とを具備する反応バグフィルターシステムに於いて、前記制御装置が、前記焼却炉等を運転するための制御手段を備えるとともに、前記焼却炉等の燃焼排ガス中の酸性ガス濃度と前記アルカリ剤供給装置によるアルカリ剤添加量と排ガス流量とによって排ガス中に供給するアルカリ剤の添加当量比Mを設定するアルカリ剤添加当量比算出手段と、前記第1と第2の圧力検出手段によってバグフィルター差圧Pを算出するバグフィルター差圧算出手段と、前記反応バグフィルター内温度Tを計測するバグハウス内温度計算手段と、前記流量検出器の出力に基づいて反応バグフィルターの濾過速度Lを算出する濾過速度算出手段と、補正因子である総括因子設定手段とを具備し、これら手段の出力に基づいて前記反応バグフィルター出力側排ガスの酸性ガス濃度を推定して、排出される排ガス中の酸性ガス濃度を所定値または所定値以下に設定することを特徴とする反応バグフィルターシステムである。
【0013】第二の発明は、焼却炉から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総括因子Sとによる関係式からバグフィルターの酸性ガス除去率Rを算出し、前記酸性ガス除去率Rによって酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定し、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法である。
【0014】R=f(M,T,L,P,S)
但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の総括因子【0015】第三の発明は、焼却炉から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガス除去を行う反応バグフィルターの運転方法に於いて、前記排ガスの酸性ガスを中和するアルカリ剤のアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、およびバグフィルター差圧Pの制御因子と、他の総括因子Sとの5つの因子の酸性ガス除去率Rに与える影響度に応じた係数を求める各除去率推定係数式(FM ,FT ,FL ,FP ,FS)による総合的な除去率推定係数式Fに基づいてバグフィルターの酸性ガス除去率Rを求めて、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度を推定して、酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法である。
【0016】FM =g(M)
T =h(T)
L =i(L)
P =j(P)
S =k(S)
F=FM ×FT ×FL ×FP ×FSR=(100×A)/(A+1)
A=A0 ×FA0 =R0 /(100−R0
但し、R:バグフィルターの酸性ガス除去率(%),M:アルカリ剤添加当量比(−),T:バグハウス内排ガス温度(℃),L:バグフィルター濾過速度(m/min ),P:バグフィルター差圧(mmAq),S:その他の総括因子,FM :Mの除去率推定係数式,FT :Tの除去率推定係数式,FL :Lの除去率推定係数式,FP :Pの除去率推定係数式,FS :Sの除去率推定係数式,F:M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A:酸性ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能),A0 :酸性ガス除去能基準値または初期値(定数),R0:酸性ガス除去率基準値または初期値(定数),【0017】第四の発明は、第3の発明において、前記除去率推定係数式(FM ,FT ,FL ,FP )は、それぞれの制御因子による一価関数であり、指数関数または整式、およびこれらの組み合わせによって、それぞれの制御因子ごとに設定することを特徴とするに記載の反応バグフィルターシステムの運転方法である。
【0018】第五の発明は、第2,3または4の発明において、前記制御因子(M,T,L,P)の制御範囲が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度120〜250℃、濾過速度0.3〜3.0 m/min、バグフィルター差圧30〜300 mmAq とする反応バグフィルターシステムの運転方法である。
【0019】第六の発明は、第2,3,4または5の発明において、前記制御因子の内に3つ制御因子を固定し、残りの1つの制御因子の値を制御して酸性ガスの反応バグフィルター出力濃度が所定濃度値または所定濃度値以下になるように制御することを特徴とする反応バグフィルターシステムの運転方法である。
【0020】以下、本発明の作用について説明する。本発明は、反応バグフィルターシステムにおいて、酸性ガス除去効率に影響を与える数多くの因子の中から4つの制御可能な制御因子(アルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィルター差圧Pと、総括因子Sの合計5つ(以下、5つの説明因子)を抽出して、酸性ガス除去率が推定できるとともに、上記5つの説明因子の内、総括因子を除く4つの因子(以下、4つの制御因子)で酸性ガス出口濃度を制御することができる。
【0021】酸性ガス除去効率に影響を与える因子として、総括因子FS を設定することによって、4つの制御因子以外の酸性ガス除去効率に影響を与える因子の変更、例えば、異なる性能等を有する濾布に交換、バグハウスの改造等が発生した場合には、総括因子FS の値を適宜変更することのみによって、4つの制御因子による制御方法を変更することなくても制御できる簡便さがある。更に、ある焼却施設で制御に用いた除去率推定係数式を、類似した別の焼却施設で用いる場合には、総括因子FS の値の変更のみで、運転が可能である。このように総括因子FS は制御因子の補正因子としての機能を有する。
【0022】4つの制御因子毎に除去率推定係数式で与えるので、4つの制御因子間の酸性ガス除去効率への影響度を定量的に比較できる。反応バグフィルターの酸性ガス除去率Rを評価する際に、酸性ガス除去能Aを定義し、同式を導入することにより、5つの説明因子の積でFおよびAを表すことができるから、酸性ガス除去率Rを算定することができる。
【0023】ここで、酸性ガス除去能Aは次のようにも、表現することができる。
A=(入口酸性ガス濃度)/(出口酸性ガス濃度)−1即ち、酸性ガス除去能Aは、出口濃度が小さくなれば除去能は上昇し、除去率が0%のとき、除去能Aは0、除去率が50%のとき、除去能は1、除去率が100%のとき、除去能は無限大といったような意味を持つ導入式である。
【0024】さて、酸性ガス除去率の示強関数であるFM 等の5つの除去率推定係数式は、相対的な強度即ち強度比を表しており、一方、酸性ガス除去能Aも入口濃度と出口濃度の比であることから、これらの式は、式の意味上よく類似しているから結合して用いることができる。よって、酸性ガス除去能AはFで容易に説明できるから、酸性ガス除去率Rを評価するにあたり、酸性ガス除去能Aを導入することは、有効なことである。
【0025】次に、各4つの制御因子による除去率推定係数式は、経験式としてか、あるいは、理論計算式として、各制御因子による一価関数として、指数関数または整式およびこれらの組み合わせで与えることによって、上記第二,第三の発明の方法によって、推定する酸性ガス除去率が算出される。一度設定した除去率推定係数式は、他の焼却施設のバグフィルターシステムにもそのまま応用が可能であり、汎用的なものである。
【0026】以上から、酸性ガス除去率の推定方法が確立されるために、酸性ガス除去率を簡便な式によって、容易にしかも定量的に推定することが可能である。
【0027】次に、各制御因子の制御範囲について述べる。アルカリ剤添加当量比を10以上とすると、アルカリ剤供給装置の能力に限界があることと、アルカリ剤供給量の増大によってコストが増大するので好ましくない。
【0028】温度を120 ℃以下とすると、酸性ガスの酸露点に達し、配管等の腐食が著しくなるから好ましくなく、250 ℃以上とすると、多くの場合バグフィルター濾布の耐熱限界を越えることと、排ガス中の有害有機塩素化合物が発生するので好ましくない。
【0029】また、濾過速度を0.3m/min以下とすると、アルカリ剤吹込が粉末の場合は濾布に付着せずに重力により落下し、効果的な酸性ガス除去が達成できなくなるから好ましくない。また、3.0m/min以上とすると、濾布表面での酸性ガスとアルカリ剤と接触時間が短くなり、効果的な中和反応が達成できないことと、バグ差圧が大幅に上昇して運転上、支障をきたす場合があるので好ましくない。
【0030】また、バグフィルター差圧は、30mmAq以上300mmAq 以下とする。30mmAq以下であると、30mmAq以下になることは立ち上げ時を除けば、通常の運転ではあり得ないことと、濾布でのアルカリ剤による反応層の厚みが小さくなりすぎて、酸性ガス除去効率が大幅に減少するから好ましくなく、300mmAq 以上とすると、誘引送風機に負担がかかるか大型の誘引送風機を使用しなければならないので好ましくない。
【0031】4つの制御因子の範囲は、実際に実現可能な制御を達成することができる。出口濃度を制御する場合に、4つの制御因子の内、3つを固定し、残りの一つの制御因子を、推定する酸性ガス除去率R式により求めて制御することによって、残りの一つの制御因子の値が同酸性ガス除去率R式によって、正確に決定され、この制御因子値に近づける制御を行うことによって、出口濃度が効率的に素早く制御さることができる。
【0032】この制御に於いて、例えば、アルカリ剤添加量比を上昇させずに、他の制御因子を同式から推定した値に制御することによって、出口濃度を制御することができる。
【0033】実際の出口濃度と、推定出口濃度が異なる場合が、バグフィルターシステム内の何らかの因子の影響で、発生した場合には、総括因子Sの除去率推定係数式FS の値を変更することによって、運転中における推定出口濃度と実際出口濃度を一致させて、上記の同じ制御が可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るごみ焼却施設等に備えられた反応バグフィルターシステムの一実施形態を示す概要図である。同図に於いて、ごみ焼却炉1からボイラ2を介して送られた燃焼排ガスの温度を下げる減温塔3と、減温塔3に供給される水の供給量を調節する水供給量制御弁8と、燃焼排ガスが反応バグフィルター4に送られる際に、燃焼排ガス中の酸性ガスを中和するアルカリ剤を噴霧するアルカリ剤供給装置9と、減温塔3で温度を低下させた燃焼排ガス中のダスト及び酸性ガスを除去する反応バグフィルター4と、反応バグフィルター4に設けられた濾布(フィルター)に付着する灰塵を除去する払い落とし装置5と、反応バグフィルター4によって燃焼排ガス中の灰塵を除去して清浄ガスを煙突7を介して屋外に放出する誘引送風機6と、燃焼排ガスの反応バグフィルター4への流入口と清浄ガスの流出口にそれぞれ設けられた圧力計12,13と、反応バグフィルター4内の温度を計測する温度計14と、排ガス流量計15と、制御装置10と、制御プログラムが書き込まれた記憶装置11とから構成されている。
【0035】本実施形態の反応バグフィルターシステムを備えるごみ焼却設備について説明する。ごみ焼却炉1に投入されたごみは、燃焼用空気と2次燃焼用空気を導入しながら焼却され、燃焼により温度は800〜1000℃程度に達する。高温の排ガスは、ボイラ2に導入されて熱交換され、300〜400℃となる。続いて、燃焼排ガスは減温塔3に送られ、反応バグフィルター4の濾布の耐熱温度以下、即ち250℃以下に設定するために、水噴霧により調温される。減温塔3で温度を低下させて燃焼排ガスは反応バグフィルター4に送られる。燃焼排ガスが反応バグフィルター4に送られる際、その途中のダクトに設けられたアルカリ剤供給装置9から酸性ガスの中和剤として消石灰等の粉末アルカリ剤が吹き込まれる。反応バグフィルターに導入された排ガスは、バグフィルター濾布に堆積したアルカリ剤を通過することによって、排ガス中に含まれるダストおよび酸性ガスが除去される。このときダストとともに重金属やダイオキシン類等も一緒に除去される。反応バグフィルター4には濾布(フィルター)に付着する塵は払い落とし装置5によって除去されている。除去されたダストおよび酸性ガスの反応生成物は、払い落とし装置5によるパルスジェット圧及びパルスジェット間隔を調整することによって払い落とされ、反応バグフィルター4の下部飛灰排出ホッパーにより系外へ排出される。反応バグフィルター4を出た排ガスは、酸性ガス濃度を所定値または所定値以下の清浄なガスとして誘引送風機6で誘引されて煙突7より大気へ放出される。なお、減温塔3には水噴霧量を制御する水供給量制御弁8を経て水が減温塔3内に供給され、その噴霧流量によって燃焼排ガスの温度が制御され、フィルター等の耐熱温度以下に下げる効果と、反応バグフィルター4内の反応温度の制御に寄与している。
【0036】本実施形態の反応バグフィルターシステムでは、制御装置10により屋外に排出される排ガス中の有害酸性ガス量を所定値あるいは所定値以下にするように制御して含塵排ガスを清浄ガスとして排出している。排ガス中の有害酸性ガス量を所定値あるいは所定値以下にするに当たり、制御装置10には、反応バグフィルター4の入出口に設けられた圧力計12,13、燃焼排ガス中の酸性ガス除去率を制御する因子である反応バグフィルター4内の排ガス温度(バグハウス内温度)Tを計測する温度計14、及び排ガス流量計15等の出力が入力され、それらの計測値等によって、アルカリ剤添加当量比Mを設定するアルカリ剤供給装置9、水供給量制御弁8、払い落とし装置5を制御して、出口濃度監視点Bの酸性ガス濃度を所定濃度または所定濃度以下に制御される。
【0037】本実施形態では、反応バブフィルター4の酸性ガスの出力濃度を所定値または所定値以下にするには、制御対象とし4つの制御因子、即ちアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィルター差圧Pと、総括因子Sとを含めた5つの説明因子を制御することによってなし得る。これらの因子から反応バグフィルター4の酸性ガス除去率R(%)が求められる。これらの因子を制御することにより、反応バグフィルター4から排出される排ガス中の酸性ガス除去率R(%)を一定に制御することで反応バグフィルター4の出力濃度を所定値または所定値以下に制御することができる。総括因子Sは酸性ガス除去効率に大な影響を与えない因子を一つにまとめたものであり、酸性ガス除去率Rの補正因子でもある。酸性ガス除去率R(%)は以下の関数で表される。
【0038】
R=f(M,T,L,P,S) ……………………(1)
また、M,T,L,P,Sの各因子が酸性ガス除去率に与える影響度を除去率推定係数式で示し、各除去率推定係数式FM ,FT ,FL ,FP ,FS は以下の関数で表される。
【0039】
M =g(M) ……………………(2)
T =h(T) ……………………(3)
L =i(L) ……………………(4)
P =j(P) ……………………(5)
S =k(S) ……………………(6)
【0040】(2)乃至(6)において、FM はMによる除去率推定係数式、FT はTによる除去率推定係数式、FL はLによる除去率推定係数式、FP はPによる除去率推定係数式、FS はSによる除去率推定係数式であり、それらの詳細については、以下に説明する。
【0041】先ず、図1中に、各因子を制御装置10の入力として示したアルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィルター差圧P(但し、P1−P2)のそれぞれの因子について詳細に説明する。
【0042】Tは温度計14で計測されるバグハウス内排ガス温度である。バグハウス内排ガス温度Tは、バグフィルターでの温度勾配が小さい場合は反応バグフィルター入口温度または出口温度でもよい。バグハウス内排ガス温度Tに影響を与える因子として、反応バグフィルター4より上流の様々な因子、例えばごみ焼却量、燃焼用空気量、減温塔水噴霧量等が考えられるが、通常、減温塔3による水噴霧量によって、バグハウス内排ガス温度Tが制御される。
【0043】Mはアルカリ剤添加当量比であり、酸性ガスである塩化水素ガス(以下、HCl)と亜硫酸ガス及び硫酸ガス(以下、SOx )を対象とし、これらとの中和におけるアルカリ剤反応当量比を意味する。当量比とは酸性ガスの中和に必要な以下の反応式を満たす理論上の消石灰(Ca(OH)2 )添加量に対する実際添加量の比である。
【0044】
【数1】2HCl + Ca(OH)2 → CaCl2 + 2H2 OSO2 +Ca(OH)2 →CaSO3 +H2 O、CaSO3 +1/2O2 → CaSO4 SO3 +Ca(OH)2 → CaSO4 + H2 O但し、SO3 はSO2 に対して少量なので測定では無視することができる。
【0045】但し、ごみ焼却炉から排出される排ガス中のSOx濃度は、HCl濃度に対してSOx 濃度が1/10以下(例えば、入口HCl 濃度が700ppm に対し、入口SOx濃度は50ppm )と小さい場合が多く、従って、HCl のみを考慮した添加当量比を用いてもよい。アルカリ剤添加当量比Mは、バグフィルターで処理する前の入口濃度監視点Aでの濃度(入口濃度)、アルカリ剤添加量、排ガス流量によって決定される。入口濃度の監視は酸性ガス計測器で計測してそのデータを用いるが、常時設置していない場合は、ごみ焼却炉1の定常運転における酸性ガス濃度の設計基準値や代表値で代用することもできる。または、ごみ投入量やごみの発熱量等と、入口酸性ガス濃度の相関が予め判明している場合は、これらの推定値を用いて入口濃度を設定してもよい。
【0046】アルカリ剤添加量は、例えばアルカリ剤供給装置9のアルカリ剤を供給するフィーダの回転数によって制御することができる。排ガス流量は、通常ごみ焼却量によって略決定される量であるが、制御する際には、例えば誘因送風機6のダンパ開度、またはごみ焼却炉1に供給される燃焼用空気量や2次燃料用空気量によって制御することができる。排ガスは通常水分を含んでいるため、ドライ換算する必要があるが、水分濃度を常時計測している場合はこれを用いるものとし、設置されていない場合は設計基準値か代表値を用いる。また、監視点Aの入口濃度を酸素12%換算値で示す場合は、排ガス流量は代表値を用い、排ガス流量の変化をアルカリ剤添加当量比Mの算定に加えなくても良い。
【0047】Lはバグフィルター濾過速度であり、全濾布の濾過面積と濾布を通過する排ガス流量によって決定される。濾過面積は通常一定であるから、バグフィルター濾過速度Lは排ガス流量によって制御することができる。排ガス流量の制御は前記と同じであり、誘因送風機6のダンパ開度または燃焼用空気量や2次燃料用空気量によって制御される。
【0048】Pはバグフィルター差圧であり、バグフィルターの入口と出口に設けた圧力計12,13の圧力値の差によって求められる。バグフィルター差圧Pは濾布に付着したダスト層の厚み、ガス流量、温度、濾布の種類によって影響される。反応バグフィルター4にパルスジェット式を用いた場合、バグフィルター差圧Pを制御するには、払い落とし装置5におけるパルスジェット圧、パルスジェット間隔の調整および排ガス流量によって制御される。また、逆圧式のバグフィルターの場合は、洗浄間隔および排ガス流量によって制御することができる。排ガス流量の制御は前記と同じである。
【0049】酸性ガス出口濃度は、反応バグフィルター4の出口(監視点B)で計測した値を用いて制御するが、排出規制等で換算値が必要な場合は、換算値を用いて酸性ガス出口濃度を制御する。なお、出口酸性ガス濃度とは、HCl 濃度およびSOx 濃度であり、計測値としては瞬時値、移動平均値または一時間平均値を用いる。
【0050】次に、本発明における反応バグフィルターシステムの運転方法の他の実施形態について説明する。図1のごみ焼却施設における反応バグフィルターシステムで、例えば中和剤であるアルカリ剤として粉末消石灰を用い、反応バグフィルターはパルスジェット式を用いた。この反応バグフィルターシステムでは、M=2.0(M0 と称する)、T=180℃(T0 と称する)、L=0.8 m/min(L0と称する)、P=120 mmAq (P0 と称する)の条件下で、HCl 除去率が90%(R0 )であった。この時の各因子に対する除去率推定係数式(FM ,FT ,FL ,FP ,FS )は実験的に下記式が得られた。
【0051】
M =(M/M0 1.5 (但し、0.3 <M<5) …(7)
T =1−0.018 ×(T−T0 ) (但し、160 <T<200 )…(8)
L =exp [−(L−L0 )/0.65](但し、0.5 <L<1.2 )…(9)
P =exp [(P−P0 )/60] (但し、50<P<200 ) …(10)
S =1 …(11)
【0052】M0 ,T0 ,L0 ,P0 は、実施する焼却施設における設立時の設計基準値であり、通常運転モードである。この焼却施設でのHCl 出口濃度の管理値は100ppmで、入口濃度は1000ppm を代表値としており、この場合、HCl 除去率R0 は90%となり一致した。M,T,L,Pの各制御範囲は、アルカリ剤添加当量比Mが0〜10、温度Tが120〜250℃、濾過速度Lが0.3〜3.0 m/min、バグフィルター差圧Pが30〜300 mmAq とする制御範囲内で、かつ、実施する焼却施設の周辺機器等に支障のない範囲で、上記のように適宜制御範囲に定める。
【0053】上記各除去率推定係数式(7)〜(11)は、同焼却施設の立ち上げ性能試験等に4つの制御因子について、それぞれの因子ごとに上記制御範囲内で条件を変えながら、HCl 除去率特性を調べた結果に基づいて、最もよく一致する経験的に得た式を与えたものである。FM はアルカリ剤添加当量比Mの値を増加させることにより単調増加、FT はバグハウス内排ガス温度Tの増加により単調減少、FLはバグフィルター濾過速度Lにより単調減少、FP はバグフィルター差圧Pの増加により単調増加となる。酸性ガス除去率Rはこれと同じ傾向を示す。入口HCl濃度を一定値とすると、出口HCl 濃度はこれら因子によって、逆の傾向を示す。すなわち、除去率が高いときは、出口酸性ガス濃度は低い。代表値M0 ,T0 ,L0 ,P0 の各値をこれら除去率推定係数式(2)乃至(6)に代入するとそれぞれ1になり、酸性ガス除去率に大きな影響を与える場合は1から離れた係数となる。なお、FS の値は出口監視点Bの出口HCl 濃度管理値と達成値が等しい場合、或いは焼却施設の改造や運転条件の大幅な変更がない場合は酸性ガス除去率に大きな影響を与えないので1に設定する。
【0054】このように、M,T,L,Pに対する各除去率推定係数式を下記(12)〜(15)のように与えると、HCl 除去率およびHCl 出口濃度は、例えば表1のように算定される。
【0055】
F =FM ×FT ×FL ×FP ×FS ……………(12)
R =(100×A)/(A+1) ……………(13)
A =A0 ×F ……………(14)
0 =R0 /(100−R0 ) ……………(15)
【0056】但し、FM ,FT ,FL ,FP ,FS :M,T,L,P,Sによる除去率推定係数式,A:酸性ガス除去率誘導式(酸性ガス除去能に対応),A0 :酸性ガス除去能基準値または初期値(定数),R0 :酸性ガス除去能基準値または初期値(定数)
【0057】
【表1】

(但し,入口HCl 濃度1000ppm の場合)
【0058】以下に、表1に示したケース1乃至7について説明する。ケース1は、代表値(設計基準値)M0 ,T0 ,L0 ,P0 の条件を与えたときの(13)式による計算結果と、その時の反応バグフィルターの酸性ガスの出口濃度が示されている。ケース2は、ケース1に対して、アルカリ剤添加当量比を4.0にした計算結果であり、除去率Rが96.2%であり、出口濃度が38ppm となっている。ケース3は、ケース1に対して、温度を160℃に設定した計算結果である。ケース4は、ケース1に対して、濾過速度を1.0 m/minにした計算結果である。ケース5は、ケース1に対して、バグフィルター差圧を150mmAq にした計算結果である。ケース6は、ケース1と同じ除去率が得られるようにバグフィルター差圧を変化させた計算結果である。ケース7は、ケース1と同じ除去率が得られるように温度とバグフィルター差圧を変化させた計算結果である。
【0059】これらの結果は、4つの制御因子を変化させると、それに対応するHCl 除去率および出口濃度が定量的に推定されたことを示している。ケース6および7は、アルカリ剤添加量を減らす場合に、例えば、バグフィルター差圧を26mmAq上昇させるか、温度を20℃下げ、かつ、バグフィルター差圧を8mmAq上昇させることによって、ケース1と同じ除去効率が得られることを示している。即ち、投入するアルカリ剤量を節約することができることを意味している。
【0060】これは、また出口濃度監視点Bでの所定の出口濃度が4つの制御因子の条件で定量的に決定し得ることを意味している。実際には、3つの制御因子を固定し、残りの1つを算出し、この制御因子値に近づけるような制御を行えば、出口濃度を推定出口濃度に近づけることが可能となる。算出された制御因子値に近づけるための制御方法は前述したとおりである。
【0061】次に、本実施形態に関して次のように補足する。先ず、各制御因子の除去率推定係数式の設定は、立ち上げ性能試験時の実データから導いてもよいし、理論計算値から導いてもよい。実際の制御で有効に活用するために、これらの設定した式が現実の除去効率と食い違いが大きく生じた場合は、現実のデータを再度整理して設定しなおす必要があるが、以下の実施例によって検証する。
【0062】以下の実施例で詳しく述べるが、本発明者らは、試験プラントの数多くの試験結果やごみ焼却工場の実データをもとに、除去率推定係数式の算定を慎重に行った。本発明による除去率推定係数式を用いた酸性ガス除去率推定方法は、多くの反応バグフィルターを有するごみ焼却施設に適用できることを確認している。このことは、反応バグフィルターの酸性ガス除去率が、4つの制御因子およびこれらを含めた5つの説明因子で説明できることが裏付けされている。
【0063】本発明による推定値と実際値がずれるような場合には、総括因子FS を用いることにより、実際に則した制御が可能となる。推定値と実際値がずれる原因は、例えば同一焼却施設で運転継続中の場合、反応バグフィルターの形状の改造、濾布の交換、ごみ質の大きな変化等が考えられる。これらの要因は、4つの制御因子の酸性ガス除去効率への影響度をほとんど変化させることがないため、総括因子Sの除去率推定係数式FS の値を変更すれば推定値と実際値を常に一致させることができる。
【0064】また、ある焼却施設で用いた除去率推定係数式を他の焼却施設に適用した場合には、ずれが生じることがあるが、これは焼却施設規模その他周辺機器のさまざまな条件が異なるために、違いが生じている。この場合も4つの制御因子による酸性ガス除去効率への影響度はほとんど変化がないために、同様に除去率推定係数式FS の値を設定することで、同じ除去率推定係数式を採用することが可能である。無論、材質の異なる濾布を交換したり、バグフィルター差圧の立ち方が異なると、酸性ガス除去効率へのバグフィルター差圧の影響がやや異なる場合がある。
【0065】次に、除去率推定係数式は、本実施形態では、上述のように設定したが、例えば、制御因子の範囲によって場合分けして設定してもよい。また、制御因子の制御範囲は、実際の運転に支障がない限り、各因子の制御範囲が、アルカリ剤添加当量比0〜10、温度120〜250℃、濾過速度0.3〜3.0m/min 、バグフィルター差圧30〜300mmAqの範囲のどの値であってもかまわない。
【0066】更に、制御に用いる本発明の酸性ガス除去率推定方法は、例えば、焼却施設の制御室の制御装置(コンピュータ)に計算プログラムとして組み込んでおき、常時、推定出口濃度と実際出口濃度とを比較監視できるようにすることで、推定出口濃度を酸性ガス除去率推定式に基づいて、算出して各制御量を最適な値に制御することが可能となる。また、制御装置による制御が推定値と実際値とが大きくずれる場合は、焼却施設内のアルカリ剤供給不良等の何らかのトラブルが発生したことを素早く予見することが可能である。
【0067】また、入口HCl 濃度に対して、入口SOx 濃度が1/10以下と小さい場合は、HCl 濃度のみについて推定式を立てればよい。また、実際にHCl 出口濃度が管理値以下の場合であって、常にSOx 濃度が管理値以下の場合である場合は、HCl 濃度のみの制御を実施する。
【0068】無論、本発明では、燃焼排ガス中にHCl を含む排ガスを処理するにあたり、アルカリ剤を噴霧して、バグフィルターで中和反応除去する施設であれば、パルスジェット式、逆圧式あるいはその他の洗浄方式のバグフィルターであっても同様の効果があり、適用することができる。
【0069】以下、本発明について実施例に基づいて説明する。
(実施例1)実施例1は、パルスジェット式バグフィルターを用い、中和剤として噴霧するアルカリ剤としては消石灰粉末(JIS特号)を用い、濾布材質としてはガラス繊維を用いた。処理ガス量は約500Nm3/h、入口HCl 濃度は500 〜1000ppm 、入口SOx 濃度は20〜50ppm に設定するものとして制御を実施した。入口濃度を常に連続測定して監視を行った。設定した各除去率推定係数式のパラメータは以下のとおりである。
【0070】
M =(M/M0 1.8 但し、0.1 <M<2 =1.82×(M/M0 1/1.8 −2.24 但し、2<M<8 FT =1−0.0175×(T−T0 ) 但し、140 <T<180 =0.475 ×exp [0.0175×(180-T )/0.0475]
但し、180 <T<220 FL =exp [−(L−L0 )/0.65] 但し、0.5 <L<1.2 FP =exp [(P−P0 )/45] 但し、70<P<100 =(P−P0 )/45+1 但し、100 <P<220 FS =1 R0 =94.2 ここで、M0 =2、T0 =150 、L0 =0.7 、P0 =100 【0071】上記除去率推定係数式FM ,FT ,FL ,FP ,FS について説明する。FM はアルカリ剤添加量比の増加とともに、2までは急激に増加し、2を越えると緩やかに増加することを示している。FT は、温度の増加とともに、180℃までは、急激に減少し、180℃を越えると緩やかに減少することを示している。FL は、濾過温度が増加するとともに、減少することを示している。FP は、バグフィルター差圧が増加するとともに、100mmAqまでは急激に増加し、100mmAqを越えると、緩やかに増加することを示している。
【0072】これらの除去率推定係数式を用いて、HCl 除去率を推定した計算結果と、実際に様々な運転条件を用いて反応バグフィルターを運転して得られたHCl 除去率を比較した結果を、図2、図3、図4、図5に例示した。
【0073】比較例を示す図について説明すると、図2は消石灰添加量比MとHCl 除去率の関係を表す図、図3はバグハウス内排ガス温度TとHCl 除去率Rの関係を表す図、図4はバグフィルター濾過速度LとHCl 除去率Rの関係を表す図、図5はバグフィルター差圧PとHCl 除去率Rの関係を表す図である。
【0074】これらの図は、本発明による酸性ガス除去率推定方法によって得られた酸性ガス除去率の計算値が、実際のデータとよく一致することを示している。従って、本発明の推定方法である5つの説明因子(M,T,L,P,S)を用いる酸性ガス除去率推定方法は、実際の酸性ガス除去率および出口濃度を推定する方法として極めて有効であることを示している。
【0075】(実施例2)本発明を逆圧式バグフィルターで実施した場合を以下に示す。噴霧するアルカリ剤としては粉末消石灰(微粉消石灰)を用い、濾布としてはポリイミド系繊維を用いた。処理ガス流量は30000Nm3/hとし、入口濃度は実施例1と同じ程度であった。各除去率推定係数式のパラメータを以下のように設定した。
【0076】
M =(M/M0 1.8 但し、0.1 <M<2 =1.82×(M/M0 1/1.8 −2.24 但し、2<M<8 FT =1−0.0175×(T−T0 ) 但し、140 <T<180 =0.475 ×exp [0.0175×(180-T )/0.0475]
但し、180 <T<220 FL =exp [−(L−L0 )/1.0 ] 但し、0.4 <L<0.9 FP =exp [(P−P0 )/60] 但し、70<P<100 =(P−P0 )/60+1 但し、100 <P<220 FS =1 R0 =97.1 ここで、M0 =2、T0 =150 、L0 =0.7 、P0 =100 【0077】上記除去率推定係数式FM ,FT は実施例1と同じである。異なる点は、FL式中のパラメータが実施例1が0.65であるのに対して、実施例2では1.0である。また、除去率推定係数式FP 式中のパラメータが実施例1では45であるのに対して、実施例2では60である。これは用いた中和剤である消石灰の種類が異なることと、濾布が異なるために、バグフィルター差圧のたちかたが実施例1とは異なっている。これに伴って、濾過速度も影響を受ける。このようなことによって、濾過速度Lおよびバグフィルター差圧Pによる酸性ガス除去率への影響度が若干異なる。即ち、実施例1で用いた各数式を実施例2の運転条件に適応する場合には、除去率推定係数式の係数を変更する必要があることを示すものである。
【0078】(実施例3)実施例3では、実施例1で設定した各パラメータを焼却規模の大きなプラントに当てはめて、本発明を実施した。ここで用いた除去率推定係数式FM 等のパラメータはすべて、実施例1と同じものを用いた。以下に説明するように、これらを用いて、HCl 除去率を推定した結果と実際のデータとの比較を行ったところ、ほぼ一致した。
【0079】実施例1に用いた推定係数式により、出口HCl 濃度を制御した。制御の手順を示すにあたって、図1を用いて説明する。アルカリ剤添加当量比Mは、先ず、アルカリ剤供給装置(粉末消石灰供給機)9のフィーダによる切り出し回転数によってアルカリ剤供給量を制御する。また、入口濃度をボイラ出口(入口濃度監視点A)にて常時測定し、アルカリ剤添加当量比Mを決定する。アルカリ剤供給装置(粉末消石灰供給機)9のフィーダによるアルカリ剤の切り出し回転数は制御装置10によって設定され、反応バグフィルターの入口濃度およびMの値は制御装置10の制御パネルに常時表示される。入口濃度監視点Aの入口濃度は瞬時値および一時間平均値の両方が表示され、アルカリ剤添加当量比Mの算定には一時間平均値を用いられる。
【0080】バグハウス内排ガス温度Tの制御は、先ず、バグフィルター入口の温度を温度計14で計測して、その計測値に基づいて減温塔3における水噴霧量を調整してバグフィルター入口の温度を調整する。バグハウス内排ガス温度Tは常時制御装置10の制御パネルに表示され、水噴霧量の調整は制御装置10で操作が可能である。
【0081】バグフィルター濾過速度Lは、バグフィルター出口に設けられた流量計15の計測値によって排ガス流量によって制御する。排ガス流量は燃料用空気、二次燃料用空気、および誘引送風機6のダンパ開度によって調整する。これらの値は制御装置10に入力されて最適制御されるとともに、それらの計測値は制御パネルに表示される。制御パネルに表示した値によって管理することができる。バグフィルター差圧Pの制御は、バグフィルター払い落とし装置5によって、パルスジェット圧およびパルスジェット間隔によって制御することができる。これらの値は制御装置10の制御パネルで監視することができるとともに、制御装置10によって制御することが可能である。
【0082】これらM,L,Pの制御は、ある目標値を設定した場合に、制御装置10に自動で設定値に近づけることが可能なシーケンスが組み込んであり、マニュアル制御が可能であるとともに、自動制御が可能である。
【0083】また、監視点Bにおける酸性ガス推定出口濃度、実際出口濃度および目標出口濃度(設定出口濃度)は、制御装置10の制御パネルに常時表示され、設定出口濃度は制御装置10によって入力が可能である。以下、ケース1〜3に従って説明する。
【0084】(ケース1)監視点BのHCl 出口濃度の管理値は50ppm である。今、推定濃度と実際濃度がともに略50ppm 程度であったが、消石灰消費量を低減する必要性が生じたため、出口濃度を50ppm のまま変化させずに、アルカリ剤添加当量比Mを減らして運転した。このとき、運転の諸事情からバグフィルター濾過速度Lおよびバグハウス内排ガス温度Tは変更させたくないため、バグフィルター差圧Pを変えることにした。制御装置10の制御パネル上で、バグフィルター濾過速度Lおよびバグハウス内排ガス温度Tの設定値はそのままの値に設定し、アルカリ剤添加当量比Mを30%減の値を入力し、設定出口濃度は50ppm の設定値を入力した。制御装置10の制御計算プログラムによって、出口濃度が50ppm となるための必要な値が計算され、制御パネルに表示される。制御装置10の制御スタートスイッチをONにし、制御が開始される。約1時間後に所定のバグフィルター差圧Pの値が達成され、監視点BのHCl 濃度もほぼ50ppm に維持できた。ここでの具体的な制御因子の値は表2のとおりであった。
【0085】
【表2】

【0086】(ケース2)HCl 濃度の管理値は50ppm である。現在のところ、ごみの量が減少しているために、定格100 t/dayのごみ焼却量に対して、定格80%の80t/day でごみを焼却する必要性が生じた。この場合に酸性ガス除去制御を定格時と同じにすると過剰に消石灰を吹き込むことになり消石灰が無駄に消費されるので、出口濃度50ppm を維持しながら、消石灰を節約する運転を試みた。即ち、Tは定格時と同じ値、Lは80%負荷のため、定格時の80%の値、Pは何の制御も行わなければ定格時より低くなるが、定格時と同じ値として、入力した。すると制御計算プログラムによって、Mは定格時の40%減の値と算出された。これらのモードによって運転制御をスタートした。すると出口濃度は50ppm をほぼ維持できた。これによって消石灰の消費量を約40%節約することができた。ここでの具体的な制御因子の値は表3のとおりであった。
【0087】
【表3】

【0088】(ケース3)バグフィルターの反応効率をよくするためにバグハウスの改造を行った。この結果、出口濃度が推定出口濃度よりも低くなり、系統的な差が生じるようになった。このような場合では、4つの制御因子による酸性ガス除去率への影響度(除去率推定係数式)は変化しないため、FS の値を変更するのみでよい。FS の値を変更すると、出口濃度と推定濃度の差がほとんどなくなった。このように何らかの大きなプラントの変化があり、推定値と実際値に大きな差が生じた場合に、FS の値を設定し直すことが可能である。FS の値を変更するリセットスイッチをONにすれば、現在の推定値と実際値が同じになるように、FS の値が計算され、設定される。その後、出口管理濃度(目標出口濃度)が50ppm であるため、Mの値を減少させることによって制御した。ここでの具体的な制御因子の値は以下の表4のとおりであった。
【0089】
【表4】

【0090】(実施例4)実施例3での制御方法は、プラントの何らかの設定を変更した場合に、各制御因子または総括因子の除去率推定係数式FS を変更する制御の方法である。即ち、推定出口濃度が目標出口濃度(管理出口濃度)と等しい場合の制御であって、プラントの設定条件等の変更前における事前制御ということができる。実施例4は、実施例3と同じパラメータおよび同じ焼却施設に適用した場合の以下の特徴を持つ制御方法である。
【0091】即ち、一度各パラメータの値を設定すると、実際出口濃度と推定出口濃度は、常に一致する性格を持つものであるが、実際のバグフィルターの運転に於いて、すでに述べたようなさまざまな因子が酸性ガス除去率に影響しているため、これらの不特定因子の影響によって、実際出口濃度と推定出口濃度にややズレが生じる場合がある。このような場合にFS の値を実施例3のケース(3)のように変更することを、マニュアル操作で行うと事実上不便な場合が多い。そこで、実際出口濃度と推定出口濃度が常に一致するように、FS の値を自動的に設定する制御方法が有効となる。このときFS の値は常に制御パネルに表示されるものとする。
【0092】具体的には、今、実際出口濃度および推定出口濃度が70ppm で、FS が1.05であったとし、目標出口濃度を例えば50ppm とすると、例えばアルカリ剤添加当量比で制御する場合は、計算される必要なアルカリ剤添加当量比となるように、制御すればよい。この場合、実際出口濃度が50ppm に達するまで、アルカリ剤添加量を増加させて実際出口濃度が50ppm となるように実行され、目標濃度が容易に達成される。このような制御を行ってもFS の値は、通常は初期値1に近い値をとることになる。FS の値が1にくらべて例えば0.5や1.8などかけ離れた値をとるときは、プラントの何らかの異常であることが逆に判明する。従って、FS の値を、例えば0.9〜1.1に設定し、この範囲を越えるときは制御装置10で検知して警報が鳴るようにすると、制御室でアルカリ剤供給不良等の異常を素早く察知することが可能である。
【0093】さて、このような観点に基づいて以下のような運転条件で出口濃度の制御を実施した。
【0094】
【表5】

(なお、制御因子の値は一時間平均値) 【0095】このような運転条件にて、本発明の監視点Bの酸性ガス出口濃度を制御した場合と、従来の場合(比較例)とで実際出口濃度の変化を比較した図を図6に示す。図6に示したように、本発明の実施例(イ)による制御を実施すると、略目標の60ppm が達成されることが確認できる。比較例(ロ)が出口濃度が目標値を越えたときにアルカリ剤添加量を増加させる制御であるために、アルカリ剤を増加させた場合は過剰に吹き込むことになり、出口濃度は60ppm を大きく下回っている。このとき、アルカリ剤は無駄に消費されることになる。本実施例の場合、10時間頃から出口濃度がやや60ppm を上回っているが、これはアルカリ剤添加量比Mが3.0であても、目標値(60ppm )を達成できず、バグフィルター差圧Pを上昇させたものである。しかし、このような操作を行ったとしてもバグフィルター差圧Pの制御による効果がすぐに表れなかったために、一時的に目標値(60ppm )を上回ったためである。この比較試験で消費された消石灰の量を比較してみると、実施例(イ)の場合は比較例(ロ)に対して約80%の量であったことが確認された。図6は、本発明によれば、監視点Bの酸性ガス出口濃度を一定に保つことができることを示し、消石灰量の消費量を節減できることを意味している。
【0096】上記のように、本発明の反応バグフィルターシステム及びその運転方法は、酸性ガス除去効率に影響を与える数多くの因子の中から4つの制御可能な制御因子(アルカリ剤添加当量比M、バグハウス内排ガス温度T、バグフィルター濾過速度L、バグフィルター差圧P)と、総括因子Sの合計5つの因子(説明因子)を抽出して、酸性ガス除去率が推定できるとともに、上記5つの説明因子の内、総括因子を除く4つの因子(制御因子)で酸性ガス出口濃度を制御することができる。
【0097】また、酸性ガス除去効率に影響を与える因子として、総括因子Sの除去率推定係数式FS を設定することによって、4つの制御因子以外の酸性ガス除去効率に影響を与える因子の変更、例えば、異なる性能等を有する濾布に交換やバグハウスの改造等が行った場合には、除去率推定係数式FS の値を適宜変更することによって、4つの制御因子による制御方法を変更しなくても制御できる。更に、ある焼却施設で制御に用いた除去率推定係数式を、類似した別の焼却施設で用いる場合には、FS の値の変更のみで、運転が可能である。このようにFS は制御因子の補正因子としての機能を有する。
【0098】また、4つの制御因子毎に除去率推定係数式で与えるので、4つの制御因子間の酸性ガス除去効率への影響度を定量的に比較できる。酸性ガス除去率Rを評価する際、酸性ガス除去能Aを定義し、5つの説明因子の積でFおよび酸性ガス除去能Aを表すことができるので酸性ガス除去率Rを算定することができる。
【0099】また、4つの制御因子による除去率推定係数式は、経験式、あるいは、理論計算式として、各制御因子による一価関数として、指数関数または整式およびこれらの組み合わせで与えることができる。上記に記載の方法によって、推定する酸性ガス除去率が算出される。一度設定した除去率推定係数式は、他の焼却施設のバグフィルターシステムにもそのまま応用が可能であり、汎用的な運転方法である。以上から、酸性ガス除去率の推定方法が確立されるために、酸性ガス除去率を簡便な式によって、容易にしかも定量的に推定できる。
【0100】また、バグフィルター差圧Pは、通常の運転では立ち上げ時を除いて30mmAq以下になることはあり得ないが、濾布でのアルカリ剤による反応層の厚みが小さくなり過ぎて、酸性ガス除去効率が大幅に減少するから好ましくない。300mmAq以上とすると、誘引送風機に負担がかかるか大型の誘引送風機を使用しなければならないから、好ましくない。
【0101】反応バグフィルターの監視点Bは4つの制御因子の範囲を設定することで、実際に実現可能な制御を達成することができる。監視点Bの出口濃度を制御する場合には、4つの制御因子の内、3つを固定して、残りの一つの制御因子を、酸性ガス除去率Rを算出する除去率推定係数式によって求めて制御することにより、残りの一つの制御因子の値が上記式によって、正確に決定される。この制御因子値に近づけるように制御を行うことによって、出口濃度が効率的に実際の出口酸性ガス濃度の結果を待たずに素早く制御することができる。
【0102】例えば、アルカリ剤添加量比Mを上昇させずに、他の制御因子を同式から推定される値により制御することによって、出口濃度を制御することができる。実際の出口濃度と、推定出口濃度が異なる場合は、バグフィルターシステム内の何らかの因子の影響で、発生した場合には、総括因子の除去推定係数式FS の値を変更することで、運転中における推定出口濃度と実際出口濃度を一致させることができる。
【0103】
【発明の効果】上記説明したように、本発明は、焼却炉から排出される酸性ガスを含む排ガスの除塵および酸性ガスの除去を行うバグフィルターの運転制御において、酸性ガス除去率推定方法によって、先ず、5つの説明因子によって、正確な酸性ガス除去率および出口濃度を推定することが可能となり、これを用いて、出口濃度が所定の濃度または所定の濃度以下になるように、4つの制御因子を用いて制御可能であることが明らかになった。この酸性ガス出口濃度の制御方法によって、定量的に各制御因子を制御することが可能となり、出口濃度を効率的かつ正確に制御することが可能となった。即ち、酸性ガス出口濃度を制御するにあたり、実際の出口酸性ガス濃度を計測した後に、制御するのではなく、酸性ガス出口濃度が推測されて、アルカリ剤の添加量が正確に把握できるので、必要以上のアルカリ剤を供給されることがないので、アルカリ剤の消費量を節減することができる。また、制御装置の制御パネルにバグハウス内温度を最適温度、濾過速度、バグフィルター差圧のそれぞれ最適な値を正確に把握できるので、運転をするうえでエネルギーの節減ができる利点がある。
【0104】更に、本発明の運転方法によれば、さまざまな運転条件の制約の中で、最適な制御条件が設定できるので、出口濃度を一定に保ちながらしかもごみ焼却炉等の運転が容易になり、酸性ガス濃度を高水準に制御することが可能となる利点がある。
【0105】また、本発明によれば、アルカリ剤添加当量比Mの上限値を10とすることによって、アルカリ剤供給量の増大を防止できる利点がある。また、バグハウス内排ガス温度Tを120〜250℃とすると、酸性ガスの酸露点に達し、配管等の腐食を防止できるとともに、250℃以下とすることで、多くの場合バグフィルター濾布の耐熱限界を越えることと、排ガス中の有害有機塩素化合物の発生を抑えることができる。
【0106】また、バグフィルター濾過速度Lは0.3〜3.0m/min とすることで、0.3m/min 以下とすると、アルカリ剤吹込が粉末の場合は濾布に付着せずに重力による落下が防止できるとともに、効果的な酸性ガス除去が達成できる利点がある。濾過速度Lを3.0m/min 以上とすると、濾布表面での酸性ガスとアルカリ剤と接触時間が短くなり、効果的な中和反応が達成できなくなるが、バグフィルター差圧Pが大幅に上昇して運転上、支障をきたすことがない利点がある。




 

 


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