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発明の名称 鋼片の連続熱間圧延方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−58022
公開日 平成10年(1998)3月3日
出願番号 特願平8−224109
出願日 平成8年(1996)8月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
発明者 竹林 克浩 / 玉井 良清 / 今江 敏夫 / 二階堂 英幸
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧延の少なくとも最終パスで鋼片にクラウンを形成することを特徴とする鋼片の連続熱間圧延方法。
【請求項2】 粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧延の少なくとも最終パスのロールギャップを、鋼片の少なくとも接合時に尾端となる側の接合予定部通過時に他部位通過時よりも拡大することを特徴とする鋼片の連続熱間圧延方法。
【請求項3】 粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率を得るに際し、凸クラウンを付与したワークロールで圧延する、圧延荷重を調整する、クラウン調整機能を備えた圧延機で圧延する、の一または二以上の組み合わせによって行う請求項1または2記載の鋼片の連続熱間圧延方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼片の連続熱間圧延方法に関し、特にシートバー、スラブ、ビレット、またはブルーム等の鋼片を数本から数十本連続して圧延する場合に適した鋼片の連続熱間圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱間圧延ラインでは、圧延すべき鋼片を一本づつ粗圧延して圧延素材となし、次いで仕上げ圧延して所定の厚みになるように仕上げるという方法で熱間圧延が行われていたが、仕上げ圧延時に圧延素材噛込み不良起因のライン停止を惹起しやすく、また、圧延素材の先端部および尾端部の形状不良に由来する歩留り低下が著しいことが問題視されていた。
【0003】このため最近では、仕上げ圧延に先立ち、予め先行鋼片の尾端と後行鋼片の先端とを次々と接合し、この接合鋼片(圧延素材)を熱間圧延ラインに連続的に供給する連続熱間圧延方法が提案されている(例えば、特開昭57-109504 号公報、特開昭57-137008 号公報等参照)。この連続熱間圧延における鋼片の接合方式は、例えば、仕上げ圧延設備(以下、仕上げミルともいう)入側で先行鋼片の尾端面と後行鋼片の先端面とを端面の直上および/または直下に配置した誘導加熱用のコイルで誘導加熱する途上でまたは完了後に、前記端面同士が接触して押圧し合うように先行・後行両鋼片に力を加えることによって、両鋼片を接合するというものである(特開昭62-234679号公報参照)。
【0004】このように接合された圧延素材は、接合部での形質がそれ以外の部位(定常部という)とは異なるので、そのような接合部のなかった従来と同じ条件で圧延していたのでは接合部で破断してしまうという問題があった。そのため、かかる接合部破断の防止対策が種々提案されている。主なものを挙げると、例えば圧延機の剛性を大きくし(特開平7-16607 号公報参照)あるいは接合部の周囲の温度分布をなだらかにして(特開平3-16611 号公報参照)、接合部圧延時のスタンド間の張力変動を抑制するという方法がある。これらは、主に仕上げミル後段での接合部破断防止に有効である。
【0005】他方、仕上げミル前段から後段にかけての全圧延過程において接合部破断を有効に防止しうる方法として、少なくとも第1スタンドと第2スタンドで端伸び圧延もしくは中伸び圧延を交互に行う方法(特開平6-39404 号公報参照)や、接合部が各スタンドを通過する前後で、好ましくはスタンド毎に板クラウン比率を増大させて、板形状が耳伸びになるように圧延する方法(特開平8-90022 号公報参照)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者らは、とくに仕上げミル第1スタンドにおいて上記した従来技術ではその進展を防止することが困難な接合部破断現象の存在に新規に着眼し、この特異な接合部破断現象について鋭意検討した結果、その原因が接合部の脆化(第1の原因)、および接合部幅端での歪み集中(第2の原因)にあることを突き止めた。
【0007】第1の原因である接合部の脆化は鋼種に依存する。すなわち、相前後する鋼片の先・尾端面同士を一旦溶融させたのち互いに押圧させる接合過程で、表層のスケールや不純物等を伴って溶融メタルが排出され、背後の清浄な固相同士が密着結合することによって強固な接合部が得られる筈のところ、鋼種によっては接合部近傍の結晶粒界に硫黄成分が析出するために接合部が著しく脆化する。
【0008】第2の原因である接合部幅端での歪み集中は、以下の過程で生じる。すなわち、接合部近傍は加熱されて周辺よりも高温であるから、その高温区間が圧延される時には荷重が低下し、圧延機のロールたわみが接合部周辺(高温区間の前後の低温区間)に比較してクラウン比率を減少させる向きに変化する。このとき、ロールバイト入側において接合部幅端に引張歪みが集中する。
【0009】これら第1、第2の原因が重畳すると、仕上げミル第1スタンドにおいて接合部幅端から脆性破壊が生じるため、ここで完全破断に至らないまでも断面積が著しく減少することによって、仕上げミル第2スタンド以降で完全破断する危険度が高くなるのである。本発明は、これらの知見をもとに上述の問題点を有利に解決するもので、仕上げミル第1スタンドでの接合部における脆性破壊発生を防止することにより圧延素材を破断させずに安定に通板しうる鋼片の連続熱間圧延方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧延の少なくとも最終パスで鋼片にクラウンを形成することを要旨とする。
【0011】また、本発明は、粗圧延した後の先行鋼片の尾端部と後行鋼片の先端部とを接合し、連続的に仕上げ圧延する鋼片の連続熱間圧延方法において、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与すべきクラウン比率を所定値に設定するとともにその圧下前からの増分を鋼中硫黄含有量に応じて設定し、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率が得られるように、粗圧延の少なくとも最終パスのロールギャップを、鋼片の少なくとも接合時に尾端となる側の接合予定部通過時に他部位通過時よりも拡大することを要旨とする。
【0012】ここに、粗圧延後に前記所定値から前記増分を差し引いた値以下のクラウン比率を得るには、■凸クラウンを付与したワークロールで圧延する、■圧延荷重を調整する、■クラウン調整機能を備えた圧延機で圧延する、の一または二以上の組み合わせによって行うことが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において特にことわりなく「圧下」というときは、厚み方向の圧下を意味し、「定常部」とは、鋼片の接合部以外の部位を意味する。図1は、本発明の実施に適した熱間圧延設備を例示する模式図であり、図中、1は粗圧延機3を経た鋼片(先行鋼片)、2は先行鋼片1に後続搬送される鋼片(後行鋼片)、4は圧延機スタンドF1, F2,---のタンデム配列になる仕上げ圧延機(仕上げミル)、5は先行鋼片1の尾端部と後行鋼片2の先端部とを切断加工する切断装置、6は切断加工された先行鋼片1の尾端部と後行鋼片2の先端部とを衝合し加熱し互いに押圧させる接合装置、7は仕上げ圧延に先立ち鋼片1、2の表面スケールを除去するためのスケールブレーカである。なお、接合装置6内の加熱手段としてこの例では誘導コイルが配置されているが、これを例えばレーザ溶接機やプラズマ溶接機等、鋼片の端面を溶融可能な他の装置に代えた熱間圧延設備であっても本発明は適用可能である。
【0014】この設備による連続熱間圧延は、まず先行鋼片1、後行鋼片2を順次粗圧延機3によって20〜50mm程度の厚みに圧延し、次いで切断装置5で先行鋼片1の尾端部を、次いで後行鋼片2の先端部を切断加工し、次いで切断加工された先・尾端部を接合装置6内の所定位置に移動させて衝合し、その位置で衝合部を加熱し、先・尾端部が互いに押圧し合うように先行および/または後行鋼片を移動させることによって先・尾端部を接合(加熱後、接合するまでの前記処理を以下「圧接」という。)して、鋼片1、2が接合部で連結された圧延素材を形成し、この圧延素材を仕上げミル4に送給するという手順で行われる。
【0015】発明者らは、上記手順で連続熱間圧延を施される圧延素材の接合部における脆性破壊挙動を調査して、仕上げミル第1スタンド(F1スタンドという)で起こる脆性破壊が、鋼中の硫黄含有量とF1スタンドでのクラウン比率増分とに密接に関係することを知見した。ここに脆性破壊の亀裂進展量は、図2(b)に示すように板幅片側当たりの脆性破壊亀裂長さLであり、図2(a)に示すように未接合部(未接合長L0 )がある場合には接合部幅端点を起点とした長さで評価した。また、クラウン比率増分ΔCは圧延前後のクラウン比率の差であって、第iスタンドでの増分をΔCiとすると、一般に次式で表される。
【0016】ΔCi =Ci −Ci-1 =(Cri /hci )−(Cri-1 /hci-1
ここに、Cri は第iスタンド出側のクラウン(=hci −hei )、hci、hei は第iスタンド出側の夫々板幅中央板厚、板幅端板厚である。ただし、本発明では、hei を板幅端板厚とせず、板幅端から幅方向に100 mm入った位置(エッジ100 mmという。なお、板幅端から幅方向にxmm入った位置をエッジxmmといい、その位置の板厚をクラウン計算に用いるとき、当該位置を定義点という。)の板厚とした。
【0017】図3は、F1スタンドでの接合部におけるクラウン比率増分(以下適宜「F1クラウン比率増分」と略称する)と接合部の亀裂進展量(以下適宜「F1亀裂進展量」と略称する)との関係を鋼中硫黄含有量をパラメータとして示すグラフである。なお、ここでは板厚30mm、板幅1000mmの低炭素鋼(炭素含有量0.01wt%)鋼片を用いた。また、F1スタンドの圧延は、 650mmφのハイスロールをワークロールとし、そのイニシャルロールカーブ(ワークロールの初期の軸方向断面プロフィル(イニシャルクラウン))を種々変化させ、圧下率30%として行った。
【0018】この図から、F1クラウン比率増分が負の場合、すなわちF1スタンドでの圧延後のクラウン比率が圧延前よりも減少する場合には亀裂の進展が著しいが、逆の場合には亀裂の進展が鈍ること、および、F1亀裂進展量が例えば高々10mm程度に抑止されるF1クラウン比率増分は鋼中硫黄含有量の増加とともに大きくなることがわかる。
【0019】一方、発明者らの検討によれば、接合部での未接合長が板幅W〔mm〕の20%程度以上であるとそれ以降の圧延において亀裂底に応力が集中して破断に至る危険性が著しく高くなり、概ね15%未満のときにはその危険性が低い。つまり、図2に示した接合時の半幅当たりの未接合長L0 〔mm〕を用いて表すと、2(L+L0 )<0.15W(すなわち、L<0.075 W−L0 )であればそれ以降の圧延によって破断に至る危険性が低い。そして、Wが最も狭い場合でL0 の大きさや板厚方向の部分的未接合等を勘案すれば、Lの許容上限値を10mm程度以下としておくのが無難である。
【0020】このことから、接合部に対し仕上げ圧延の最初の圧下で付与されるクラウン比率C1 と推定し、その圧下前からの増分ΔCを、例えば図3に示されるような関係に前記したLの許容上限値(例えば10mm)を考慮して、鋼中硫黄含有量Sに応じて設定し、前記C1 から前記増分ΔC(例えば鋼中硫黄含有量0.015 %の場合、0.2 %である。)を差し引いた値以下のクラウン比率C0 が得られるように、すなわち、C0 ≦C1 −ΔC1 (S)となるように、粗圧延の少なくとも最終パスで鋼片にクラウンを形成すれば、F1スタンドでの接合部における脆性破壊発生を回避できることになる。
【0021】粗圧延工程において、圧延後の鋼片で前記クラウン比率C0 が得られるように鋼片にクラウンを付与するには、以下の■〜■の一または二以上の組み合わせによるのが好適である。
■凸クラウンを付与したワークロールで圧延する。これを行うには、1サイクルの連続圧延に供される複数の鋼片毎に前記クラウン比率C0 が得られるようなイニシャルロールカーブを求め、それらのうち最も凸量の大きいカーブを採用すればよい。
■圧延荷重(単に「荷重」ともいう)を調整する。これを行うには、公知のクラウン予測式等を用いて前記クラウン比率C0 に対応する荷重が最終パスで得られるように圧下位置を調整する。ただし、この圧下位置調整を最終パスのみで行うと鋼片毎に厚みに差が生じるので、当該圧延完了時に所望の板厚が得られるように各パスの圧下配分を定める公知のパススケジュール選択手法を併用することが望ましい。
■クラウン調整機能を備えた圧延機で圧延する。該クラウン調整機能を有するクラウン制御装置には、既存のワークロールベンディング装置、ロールシフト装置あるいはロールクロス装置などが適用できる。この場合には、各鋼片について所望のクラウン比率C0 が得られるようにクラウン制御装置を調整すればよい。
【0022】これら■〜■の一または二以上を組み合わせて、粗圧延後のクラウン比率C0がC1 −ΔC1 (S)以下となるように粗圧延を行うことによって、接合部の脆性亀裂発生を抑止できる。なお、上記■〜■は粗圧延機を用いて実施してもよいが、粗圧延機と仕上げミルとの間に専用の加工設備を設置して実施してもよい。
【0023】さて、本発明は、前記したように、粗圧延後に接合部のクラウン比率が前記所定値から前記増分を差し引いた値以下となるように、粗圧延の少なくとも最終パスのロールギャップを、鋼片の少なくとも接合時に尾端となる側の接合予定部通過時に他部位通過時よりも拡大することをもう一つの要旨とした。これによる作用効果を以下に述べる。
【0024】粗圧延工程において接合予定部通過の際にロールギャップを他部位通過時よりも拡大すると、圧下率、荷重、ロールのたわみが共に小さくなって、接合予定部では他部位よりも板厚が厚くなると同時にクラウン比率が小さくなる。この状態で接合された鋼片の接合部は定常部に比べて板厚が厚くクラウン比率が小さい。よってかかる鋼片を仕上げ圧延においてロールギャップを固定して圧下しても、接合部では定常部よりも自ずと荷重が増加し、ロールのたわみが大きくなってクラウン比率が増加する。
【0025】このように、粗圧延工程において接合予定部通過の際にロールギャップを他部位通過時よりも拡大することにより、粗圧延でのクラウン比率減少と仕上げ圧延でのクラウン比率増大との相乗効果が発揮され、F1スタンドで接合部のクラウン比率を有利に増加させることができる。ロールギャップの変更は圧下位置を変更することによって行われる。図4は、圧下位置変更要領説明用のタイミングチャートである。この図に示すように、鋼片の接合予定部(この例では先行鋼片の尾端)を、例えば鋼片検出器等を用いた既存のトラッキング方法により追跡して該部の粗圧延機通過タイミングを検出し、該通過タイミング(この例では所謂尾端抜け時点)より制御所要時間(T0 (遷移時間)+T1 (保持時間)[sec] )だけ遡った時点から、圧下位置の変更を開始する。
【0026】なお、圧下位置変更に係る遷移時間T0 は、粗圧延機の圧下速度Vr およびロールギャップの変位ΔSから次式(B0)によって決定できる。また、接合予定部での板厚変更区間(長手方向)は発明者らの検討によれば板幅Wの約50%の長さにとっておけばよく、変更後圧下位置の保持時間T1 は、これにクロップの切断長Lc を加えた長さを粗圧延速度Vで割った値が余裕を持って確保できるように、すなわち次式(B1)が満たされるように設定すればよい。
【0027】
0 =ΔS/Vr ……(B0)T1 >(0.5 W+Lc )/V ……(B1)ところで、解決課題の項で述べたように接合部での脆性破壊はF1スタンドのロールバイト入側で発生することから、粗圧延時にこのようにロールギャップを拡大して他部位よりも増厚しておくべき部位は、鋼片の少なくとも接合時に尾端となる側、すなわちF1スタンドで後続の接合線に先んじて圧延される側の接合予定部としておけば足りる。よって当然ながら、粗圧延時の先尾端が接合時と同じ場合は、鋼片の少なくとも尾端側の接合予定部が増厚対象となり、粗圧延機と接合装置との間にコイルボックス等、先尾端を逆転させるようなコイル貯蔵手段を用いる場合は、鋼片の少なくとも先端側の接合予定部が増厚対象となる。
【0028】なお、接合方式等の理由で接合予定部の先行側と後行側とを同厚に揃える必要がある場合には、鋼片の接合時に尾端となる側の接合予定部も増厚対象として差し支えない。また、この接合予定部の圧下位置拡大においても、前記■〜■の一または二以上の組み合わせによって好適に実施できることはいうまでもない。以上、本発明の実施形態を詳述したが、ここで説明を割愛した実施形態、例えば、鋼中硫黄含有量の他に例えば鋼中マンガン含有量等のマイナー要因付加、F1スタンドのワークロールの径やイニシャルクラウンの変更、ここではエッジ100mmとした定義点の変更、あるいは接合時の未接合長やF2スタンド以降のスタンド間張力等設定変更等に応じた亀裂進展量許容値の変更、等々を加味して自明に得られる実施形態も、本発明の要旨を逸脱しない限り本発明範囲に属することは勿論である。
【0029】
【実施例】以下に開示する比較例および実施例では、クラウン(板クラウン)の定義点は特にことわらない限り前記したようにエッジ100 mmに置いた。
<比較例1>図1に示した熱間圧延設備を用い、粗圧延機3のワークロールとして径1200mmφで粗最終パススタンド常用のフラットロール、F1スタンドのワークロールとして径650 mmφでイニシャルクラウン−180 μm のロールを装着し、先行、後行とも鋼中の炭素含有量0.01%、硫黄含有量0.015 wt%、幅1000mmの低炭素鋼の鋼片に対し、以下の要領で連続熱間圧延を実施して比較例1とした。
【0030】粗圧延最終パスにおいて、先行・後行鋼片とも入側厚51.5mm、出側厚30mm、圧延温度1100℃で圧延し、荷重約21600kN が記録され、クラウン約150 μm (クラウン比率0.5 %)のシートバー1、2を得た。次いで、これら先行・後行シートバーの尾端部・先端部を夫々切断装置5により切断し、切断後の尾端と先端を接合装置6内に誘導し、高周波誘導コイルにより先・尾端面を10秒間加熱して溶融させた後、圧接した。このとき、シートバー幅端から50mmまでの幅区間は昇温不足で未接合状態(すなわち未接合長L0 =50mm)であった。
【0031】こうして接合されたシートバーを仕上げミル4に送給し、スタンド間張力を前段(F1スタンド〜F3スタンド、以下同じ)で5〜10MPa 、後段(F4スタンド〜F6スタンド、以下同じ)で15〜20MPa として、厚み3mmの熱延板に仕上げた。なお、F1スタンド入側でのシートバー温度は定常部で約1000℃、接合部で約1100℃であり、F1スタンド出側の定常部目標板厚を20mmとした。
【0032】このとき、F1スタンドにおいて、定常部では、荷重約10060kN で出側のクラウンは100 μm となり、クラウン比率が入側と同じ0.5 %であったのに対し、接合部では、荷重が8770kNに低下し、出側厚が19.74 mm、クラウンが91μm (クラウン比率0.46%)となってシートバーよりも0.04%減少して本発明を逸脱した結果、半幅当たり約75mmの脆性亀裂が生じ、接合時の未接合長50mmと合わせて半幅当たり約125 mm(全幅で約250 mm)の未接合部が発生して、接合健全部は板全幅の7.5 割にまで減少した。このような未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、F5、F6スタンド間で接合部が全幅にわたり破断するという事故に至った。
<実施例1>比較例1において、粗圧延機のワークロールを、フラットロールに代えて、本発明(前記■)に則ってイニシャルクラウン300 μm の凸ロールとし、これ以外は比較例1と同一条件で圧延して実施例1とした。
【0033】この結果、粗圧延最終パスにおいて、荷重と出側厚とは比較例1と同じ値であるが、クラウンが約78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シートバーが得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比較例1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続圧延することができた。
<実施例2>比較例1において、粗圧延最終パスの入側厚51.5mmに代えて、本発明(前記■)に則り最終パス荷重を調整(この場合低下)すべくそれ以前のパスの圧下率を増して最終パスの入側厚40mmとし、これ以外は比較例1と同一条件で圧延して実施例2とした。
【0034】この結果、粗圧延最終パスにおいて、出側厚は比較例1と同じ30mmであるが、荷重を前記のように調整した(約11300kN に低下した)ことによりクラウンが約78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シートバーが得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比較例1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続圧延することができた。
<実施例3>比較例1において、本発明(前記■)に則り粗圧延機最終パススタンドに最大能力3000kN/チョックのワークロールベンディング装置を導入してベンディング力を2600kN/チョックとし、これ以外は比較例1と同一条件で圧延して実施例3とした。
【0035】この結果、粗圧延最終パスにおいて、荷重と出側厚とは比較例1と同じ値であるが、クラウンが約78μm (クラウン比率0.26%)の先行・後行シートバーが得られ、これらの接合部は、F1スタンド出側で比較例1と同じクラウン比率0.46%を呈し、鋼中硫黄含有量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)が期待通り得られ、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続圧延することができた。
<比較例2>図1に示した熱間圧延設備を用い、粗圧延機3のワークロールとして径1200mmφで粗最終パススタンド常用のフラットロール、F1スタンドのワークロールとして径650 mmφでイニシャルクラウン−180 μm のロールを装着し、先行、後行とも鋼中の炭素含有量0.01%、硫黄含有量0.015 wt%、幅1000mmの低炭素鋼の鋼片に対し、以下の要領で連続熱間圧延を実施して比較例2とした。
【0036】粗圧延最終パスにおいて、先行・後行鋼片とも入側厚50mm、出側厚30mm、圧延温度1100℃で圧延し、荷重約20400kN が記録され、クラウン約150 μm (クラウン比率0.5 %)のシートバー1、2を得た。次いで、これら先行・後行シートバーの尾端部・先端部を夫々切断装置5により切断し、切断後の尾端と先端を接合装置6内に誘導し、高周波誘導コイルにより先・尾端面を10秒間加熱して溶融させた後、圧接した。このとき、シートバー幅端から50mmまでの幅区間は昇温不足で未接合状態(すなわち未接合長L0 =50mm)であった。
【0037】こうして接合されたシートバーを仕上げミル4に送給し、スタンド間張力を前段で5〜10MPa 、後段で15〜20MPa として、厚み3mmの熱延板に仕上げた。なお、F1スタンド入側でのシートバー温度は定常部で約1000℃、接合部で約1100℃であり、F1スタンド出側の定常部目標板厚を20mmとした。このとき、F1スタンドにおいて、定常部では、荷重約10060kN で出側のクラウンは100 μm となり、クラウン比率が入側と同じ0.5 %であったのに対し、接合部では、圧延荷重が8770kNに低下し、出側厚が19.74 mm、クラウンが91μm (クラウン比率0.46%)となってシートバーよりも0.04%減少して本発明を逸脱した結果、半幅当たり約75mmの脆性亀裂が生じ、接合時の未接合長50mmと合わせて半幅当たり約125 mm(全幅で約250 mm)の未接合部が発生して、接合健全部は板全幅の7.5 割にまで減少した。このような未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、F5、F6スタンド間で接合部が全幅にわたり破断するという事故に至った。
<実施例4>比較例2において、本発明の前記もう一つの要旨に則り、粗圧延最終パスで接合予定部である先行鋼片尾端および後行鋼片先端(この場合後行鋼片先端も対象とした方が好都合であった)を対象に圧下位置を定常部相当部位(他部位)の25.9mmから30.9mmへと変更して接合予定部の出側厚を34mmに増厚するようにロールギャップ拡大を行い、これ以外は比較例2と同一として実施例4とした。この増厚実施時に荷重は約20400kN から約15600kN に低下し、この増厚を施された接合予定部のクラウン比率は他部位の0.5 %から0.32%に減少した(前掲図4参照)。
【0038】当該接合予定部を接合装置6で圧接した際、比較例2と同様に未接合長(L0=50mm)を含む接合部を有するシートバーが得られ、これを比較例2と同じロールギャップに設定したF1スタンドで圧延した。このとき、シートバーの接合部を挟む増厚区間では図5の圧下履歴図に示すように、接合部の前後で荷重が約12700kN に上昇しかつクラウン比率が増加し、接合部においても約11000kN の荷重が確保でき、かつ定常部における0.5 %を上回る0.53%のクラウン比率を呈して、鋼中硫黄含有量(0.016 wt%)に対応するクラウン比率増分(0.2 %)以上の値(0.21%)が期待通り得られた。
【0039】その結果、脆性亀裂が高々10mmに抑制され、接合時の未接合長50mmと合わせた未接合部は、半幅当たり高々60mm(全幅で高々120 mm)に留められた。この程度の未接合部を含む圧延材をさらにF2スタンド以降に通板したところ、亀裂のさらなる進展はなく、安定して連続圧延することができた。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、とくに仕上げミル第1スタンドにおいて従来技術ではその進展を防止することが困難な鋼片接合部の脆性破壊を効果的に抑止でき、接合部がスタンド間で破断するような憂いなしに圧延することが可能となり、生産性の高い連続熱間圧延が実現するという格段の効果を奏する。




 

 


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