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発明の名称 連続焼鈍ラインおよび該連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−15609
公開日 平成10年(1998)1月20日
出願番号 特願平9−80243
出願日 平成9年(1997)3月31日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外2名)
発明者 八角 忠明 / 山下 陽俊 / 飯住 健爾 / 浜上 和久 / 井田 幸夫 / 赤岡 和夫 / 高橋 憲男 / 宮川 和也
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 流体噴出部を周面に有し、螺旋状に巻きかけられた鋼帯を前記流体噴出部から噴出した流体圧により浮上支持した状態で前記周面に沿って案内することにより前記鋼帯の進行方向を変更するフロータを少なくとも一か所に設けたことを特徴とする連続焼鈍ライン。
【請求項2】 前記フローターを焼鈍炉の出側に配置したことを特徴とする請求項1記載の連続焼鈍ライン。
【請求項3】 前記鋼帯の浮上量を制御する浮上量制御手段を前記フロータに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の連続焼鈍ライン。
【請求項4】 焼鈍炉の出側に調質圧延機を配置して、前記焼鈍炉と前記調質圧延機との間に前記フローターを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続焼鈍ライン。
【請求項5】 焼鈍炉の出側に二基のルーパーを配置して、各ルーパーの間に前記フローターを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連続焼鈍ライン。
【請求項6】 焼鈍炉の入側に冷間圧延機とクリーニング設備とを配置して、前記冷間圧延機と前記クリーニング設備との間に前記フローターを設けたことを特徴とする請求項1又は3に記載の連続焼鈍ライン。
【請求項7】 連続焼鈍ラインにおいて、周面から流体が噴出するフローターを少なくとも一か所に設け、該フローターに鋼帯を螺旋状に巻きかけて該鋼帯を前記周面に沿って浮上状態で案内することにより前記鋼帯の進行方向を変更することを特徴とする連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法。
【請求項8】前記鋼帯の浮上量を制御することにより、該鋼帯の張力を制御するようにしたことを特徴とする請求項7記載の連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続焼鈍ラインおよび該連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法に関する。
【0002】
【従来の技術】冷延鋼板の連続焼鈍設備においては、ラインの中央セクションに連続焼鈍炉を配置し、焼鈍炉と入側セクションおよび焼鈍炉と出側セクションとはそれぞれルーパーを介して連結することが一般的である。入側セクションには鋼帯の払出し装置、溶接機、電解脱脂(クリーニング)設備が配置され、一方、出側セクションには、通常、鋼帯のせん断装置(シャー)および巻き取り装置が、また、最近ではせん断装置と巻取装置との間に調質圧延機や精整設備が配置される。
【0003】ところで、入側セクションへのコイルの供給や出側セクションでの巻取コイルの切断・抜き取りの際には、入側および出側セクションでのライン速度の低減若しくは停止が当然必要となるため、入出側セクションでの加減速に伴うストリップ張力の変動が中央セクションの焼鈍炉内にも伝播して該ストリップの蛇行やヒートバックル、クーリングバックルといった炉内ストリップの安定通板を阻害する要因となる。
【0004】そこで、従来においては、焼鈍炉の入側および出側にそれぞれフリーピットを配置して焼鈍炉内と入側および出側セクションとの張力との縁切りを行い、これにより、入側および出側セクションでの加減速に伴うストリップ張力の変動を吸収するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の連続焼鈍ラインでは、以下の第1〜第3の問題がある。
(第1の問題)フリーピットにおいて張力が“0”となるため該フリーピットの前後にブライドルロールが必要となり、しかも、ブライドルロール上で鋼帯が常にスリップし易いという問題がある。また、炉の入出側に高精度ダンサーロールを配置するとともにライン全体の厳密な慣性保償を行うために高精度且つ面倒な張力制御が必要となり、更には、既設改造においては、高精度ダンサーロールの設置スペースの確保の問題がある。
(第2の問題)近年、生産性および歩留りの向上を目的として、焼鈍炉の出側に調質圧延機や精整設備を連続させることが行われている。その際に、既設の連続焼鈍ラインであって該ラインに対して焼鈍炉の出側に直線的に連続するスペースがない場合や、新設の場合であっても、一直線上に長いラインであるとレイアウト上好ましくなかったり建設コストが高くなったりすることがあるため、焼鈍炉の出側で鋼帯の進行方向を変更する(所定角度だけ曲がった方向に案内する)装置が提案されている。
【0006】従来の鋼帯の進行方向変更装置6としては、図12に示すように、複数個のローラ61を鋼帯Sの進行方向に沿って外形線が略円状となるように配置し、各ローラ61に鋼帯Sを螺旋状に巻き付けて案内するものが知られている。このようなローラ61を用いた装置では、ローラ径が大きいほど鋼帯を螺旋状に案内する際にローラとの間にスリップが生じやすいため、例えば直径100mm程度の小径のローラを使用している。
【0007】しかしながら、小径のローラを通板速度が速いラインで用いると、ローラの回転数が高くなるためローラ表面の肌荒れや軸受の損耗が激しく、ローラ表面や軸受の寿命が短くなる。
【0008】図13は、直径が100mm程度の小径ロールを用いた場合のローラ表面寿命と通板速度との関係を示すグラフである。このグラフの斜線部分は一般的なライン補修周期を示すが、小径ロールの場合には通板速度が400mpmを超えると、一般的なライン補修周期より短い期間でローラ表面の交換が必要となる。
【0009】また、連続焼鈍直後の鋼帯であってしかも板厚が1.0mm以下の薄板である場合には、各小径ローラとの接触面で折れが生じやすく、押し疵も入りやすいため、鋼帯に負荷する単位張力(鋼帯1mm2 当たりにかかる張力)を例えば0.2kgf/mm2 程度まで小さくする必要がある。ところが、張力を低くすると、高速通板ラインでは鋼帯に蛇行が生じやすい。
【0010】図14は、張力をパラメータとした蛇行量(蛇行の振幅)と通板速度との関係の一例を示すグラフである。このグラフから分かるように、通板速度が400mpm以上の場合には、張力が0.5kgf/mm2 以上でないと蛇行量が大きく、板破断が生じる可能性が高くなることが判る。
【0011】このように、小径ローラを用いた進行方向変更装置においては、高速通板される板厚の薄い鋼帯を、折れや疵を生じさせずに且つ大きく蛇行させずに、焼鈍炉の出側で所定角度だけ曲がった方向に案内することが困難である。
(第3の問題)焼鈍炉の出側に調質圧延機を有する連続焼鈍ラインにおいては、材料の時効劣化の問題から調質圧延機の入側板温は通常50°C以下に規制されるため、焼鈍炉と調質圧延機との間に水冷装置を配置して板を冷却をすることが一般に行われているが、このように水冷装置を用いると、焼鈍炉において表面濃化する鋼中元素(Mn,Si,Alなど)が水冷装置の液中内にコンタミネーションとして濃化していくとともに鋼帯表面に再付着し、スキンパス時に肌荒れ状の外観欠陥となるという問題がある。
【0012】この場合、焼鈍炉と水冷装置との間に酸洗設備を設置することにより、鋼中表面濃化元素を化学的に除去することが可能であるが、酸洗設備の設置スペース、建設コストおよびランニングコストの面で新たな問題が生じる。
【0013】本発明は上述した種々の問題に着目してなされたものであり、請求項1又は請求項7の発明の目的は、焼鈍炉の入側、出側での張力変動を良好に吸収することができる連続焼鈍ラインおよび連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法を提供することにある。
【0014】請求項2の発明の目的は、請求項1の発明の目的に加えて、焼鈍炉の出側で鋼帯の進行方向を変更する際に、高速通板される板厚の薄い鋼帯であっても、折れや疵が生じないように且つ大きな蛇行が生じないようにすることができる連続焼鈍ラインを提供することにある。
【0015】請求項3又は請求項8の発明の目的は、請求項1、2又は7の発明の目的に加えて、浮上量の制御で鋼帯の張力を制御することにより、優れた応答性の張力制御を行うことができる連続焼鈍ラインおよび連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法を提供することにある。
【0016】請求項4の発明の目的は、請求項1〜3のいずれか一項の発明の目的に加えて、調質圧延機の入側での鋼帯の冷却を簡単且つ低コストで行うことができる連続焼鈍ラインを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】かかる目的を解決するために、請求項1に係る連続焼鈍ラインは、流体噴出部を周面に有し、螺旋状に巻きかけられた鋼帯を前記流体噴出部から噴出した流体圧により浮上支持した状態で前記周面に沿って案内することにより前記鋼帯の進行方向を変更するフロータを少なくとも一か所に設けたことを特徴とする。
【0018】請求項2に係る連続焼鈍ラインは、請求項1において、前記フローターを焼鈍炉の出側に配置したことを特徴とする。請求項3に係る連続焼鈍ラインは、請求項1又は2において、前記鋼帯の浮上量を制御する浮上量制御手段を前記フローターに備えたことを特徴とする。
【0019】請求項4に係る連続焼鈍ラインは、請求項1〜3のいずれか一項において、焼鈍炉の出側に調質圧延機を配置して、前記焼鈍炉と前記調質圧延機との間に前記フローターを設けたことを特徴とする。
【0020】請求項5に係る連続焼鈍ラインは、請求項1〜4のいずれか一項において、焼鈍炉の出側に二基のルーパーを配置して、各ルーパーの間に前記フローターを設けたことを特徴とする。
【0021】請求項6に係る連続焼鈍ラインは、請求項1又は3において、焼鈍炉の入側に冷間圧延機とクリーニング設備とを配置して、前記冷間圧延機と前記クリーニング設備との間に前記フローターを設けたことを特徴とする。
【0022】請求項7に係る連続焼鈍ラインにおける鋼帯の進行方向変更方法は、連続焼鈍ラインにおいて、周面から流体が噴出するフローターを少なくとも一か所に設け、該フローターに鋼帯を螺旋状に巻きかけて該鋼帯を前記周面に沿って浮上状態で案内することにより前記鋼帯の進行方向を変更することを特徴とする。
【0023】請求項8に係る鋼帯の進行方向変更方法は、請求項7において、前記鋼帯の浮上量を制御することにより、該鋼帯の張力を制御するようにしたことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である連続焼鈍ラインを説明するための説明的平面図、図2はフローターと鋼帯との関係を説明するための説明図、図3は図2の右側方から見た図、図4〜図10はライン構成の変形例を説明するための説明的平面図、図11はベンドタイプのフローターを説明するための説明図である。
【0025】図1に示すように、この連続焼鈍ラインは、焼鈍炉1の入側にクリーニング設備7および入側ルーパー8を配置するとともに、該焼鈍炉1の出側に二台のフローター2(2a,2b)を配置して鋼帯Sの進行方向を90°ずつ変更してから焼鈍炉1側のラインと並列配置された出側ルーパー3、調質圧延機4および精整設備5に向かうように構成されている。
【0026】図2および図3に示すように、フローター2はヘリカルターナー形式のものであり、円筒体21の半円周面21aに鋼帯Sの面を対向させる螺旋帯状の案内面22が設けてある。この案内面22の全面には空気供給装置(図示せず。)から円筒体21内に導入された空気(流体)を鋼帯Sの面に向けて噴出する図示しない多数の空気噴出口(流体噴出部)が設けてあり、また、案内面22の幅は通板させる鋼帯Sの幅より広く形成されている。このフローター2に鋼帯Sを下側から案内面22と同じ螺旋角(ここでは45°)で導入して該案内面22に螺旋状に巻きかけると、鋼帯Sは空気噴出口から噴出する空気圧によって浮上支持された状態で案内面22に沿って螺旋状に案内されてその進行方向が変更される。
【0027】なお、この実施の形態では、流体として空気を用いているが、これに限定されず、空気以外の気体や液体であってもよい。また、鋼帯を浮上支持するフローターの形式としては、鋼帯の進路を該鋼帯の縦方向に約180°変更するベンドタイプ(図11参照)もあるが、このベンドタイプ形式のフローターは構成上前後にロールを要するため該ロールが鋼帯の疵発生原因となる。また、捩じりが足りないため鋼帯に張力を付与しにくく、したがって、通常、張力が低く、それに応じて浮上量も少ない(5mm以下)ため、張力制御代を得にくい。更に、ラインに平面状にフローターを設けても張力付与が困難である。これらの理由から、フローターは鋼帯の幅方向に進路を変更するヘリカルターナー形式とする。
【0028】焼鈍炉1の出側直後のフローター2aは、図1に示すように、焼鈍炉1の中心線C1 に対して円筒体21の軸方向C2 が45°となり、且つ案内面22の始点における幅方向中心点が入側ラインの中心線C1 上となるように配置してある。また、他方のフローター2bの軸方向C3 は、フローター2aの軸方向C2 に対して90°となり、且つ案内面の始点における幅方向中心点とフローター2aの案内面の終点における幅方向中心点とが一直線上となり、且つ案内面の終点における幅方向中心点がルーパ3以降のライン中心線C4 上となるように配置してある。
【0029】そのため、焼鈍炉1から出た鋼帯Sは、フローター2aの案内面22に下側から上側に向けて螺旋状に巻きかけられて、案内面22に沿って浮上状態で案内されてその進行方向が90°変更された後に、次のフローター2bの案内面22の始点(上側)に向かう。その後、フローター2bの案内面22に上側から下側に向けて螺旋状に巻きかけられて、案内面22に沿って浮上状態で案内されてその進行方向が90°変更された後に出側ルーパ3に向かい、出側ルーパ3から調質圧延機4および精整設備5へ通板される。
【0030】ここで、フローター2をなす円筒体21の半径Rは、鋼帯Sの板厚tおよび鋼帯Sの案内面22からの浮上量hに応じて、下記の(1)式を満たす大きさとしてある。
【0031】R+h>500t/2 ‥‥(1)
(1)式を満足するフローター2を使用することにより、フローター2に巻きかけられた鋼帯Sの曲げ半径(R+h)が、鋼帯Sの応力が降伏点以下となるように設定されるため、鋼帯Sをフローター2で螺旋状に曲げながら案内する際に、鋼帯Sに塑性変形が生じないようにすることができる。
【0032】(1)式を満足しない場合は、通板時に鋼帯Sに塑性変形が生じるおそれがあり、通板性や鋼帯形状に悪影響を及ぼすことがある。具体的に扱いやすい円筒体21の半径Rは500〜2500mmで、特に1000mm前後が好適である。500mm未満では鋼帯の浮上の安定性を保ちにくくなり、一方、2500mmを越えると設備費およびランニングコストがかかり経済的でない。
【0033】また、鋼帯の張力制御については、鋼帯Sの浮上量と張力とが相関するため、浮上量の制御による張力制御が好適である。浮上量の制御はフローター2の案内面22の空気噴出口から噴出する空気圧の変更や、該噴出口の部分的開閉によって容易に行うことができる。なお、浮上量制御は例えばレーザー変位計などで測定しながら行ってもよいし、試験的実測または計算に基づく浮上量と空気圧などとの関係をモデル化し、そのモデルに沿って空気圧をコントロールするようにしてもよい。
【0034】ここで、フローター2の案内面22からの鋼帯Sの浮上量は5〜50mmの範囲が好ましく、特に操業の安定性および空気圧の負担を考慮して浮上量は10〜20mm程度が更に好ましい。
【0035】なお、ヘリカルターナーで浮上量を意図的に変化させると、幾何学的理由により、鋼帯が浮上量の変化量と同程度幅方向に移動する。通板ラインの幅方向の移動は蛇行や疵等の発生要因となるため、浮上量の意図的変更は好ましくないと考えられるが、実際に調査してみた結果、必要な張力制御には数mm程度の変更で足り、ライン中に通常のCPC(Central Position Control)を設置することで問題なく補正可能であることが判った。この理由により、浮上量の制御代は多くとも±10mm以下、好ましくは±5mm以下の範囲とする。
【0036】張力については、ライン速度400mpm以上の高速通板における操業の安定性から0.5kgf/mm2 以上必要である。上限は5kgf/mm2 程度まで可能であるが、1〜2.5kgf/mm2 が好ましい。また、ライン速度が極端に大きくなると、慣性が大きくなって張力制御が難しくなるため、ライン速度は1500mpm以下、好ましくは1000mpm以下とする。
【0037】上記の説明から明らかなようにこの実施の形態においては、焼鈍炉1の出側に設けられたフローター2の案内面22に鋼帯Sを螺旋状に巻きかけ、該案内面22の空気噴出口から噴出する空気圧によって鋼帯Sを浮上支持した状態で前記案内面22に沿って螺旋状に案内してその進行方向を変更するようにしているので、出側セクションでの巻取コイルの切断・抜き取りの際のライン速度の低減若しくは停止による加減速によって生じる鋼帯Sの張力の変動をフローター2の案内面22上を通板される鋼帯Sの浮上量の変化として吸収して焼鈍炉1内との張力の縁切りを行うことができ、これにより、該張力変動の焼鈍炉1内への伝播が回避されて該鋼帯Sの蛇行やヒートバックル、クーリングバックルといった炉内鋼帯の安定通板を阻害する要因を排除することができる。
【0038】また、フローター2の案内面22上を通板される鋼帯Sの浮上量を制御して該鋼帯Sに出側ルーパー3の張力とほぼ同等の張力を付与することにより、フリーピットで問題となっていたブライドルロールのスリップ問題を解消することができ、しかも、ダンサーロールのように機械的摺動部や回転部を持たないので張力制御に対して抜群の応答性を発揮することができるとともに、機械的故障もないためラインの安定稼働を確保することができる。
【0039】更に、焼鈍炉1と該焼鈍炉1の出側に配置された調質圧延機4との間にフローター2を設けているので、焼鈍炉1から出た鋼帯Sをフローター2の空気噴出口から噴出する空気によって強制空冷して調質圧延機4の入側板温を50°C以下とすることが可能になり、この結果、従来必要であった水冷装置及び酸洗設備が不要になってラインの省スペース化及び低コスト化を図ることができる。
【0040】更に、焼鈍炉1の出側直後にフローター2を設けているので、鋼帯Sの空冷効果を最大にすることができるとともに、焼鈍炉1内張力およびライン速度とヘリカルターナーにおける好適張力および好適速度範囲とを一致しやすくなるすることができる。
【0041】更に、焼鈍炉1の出側に二台のフローター2a,2bを設けているので、縦長の設置スペースに好適なものとすることができるとともに、張力制御機能および鋼帯冷却機能の向上を図ることができる。
【0042】更に、焼鈍炉1から出た鋼帯Sを案内面(円周面)22から流体が噴出する構造のフローター2(2a,2b)に螺旋状に巻きかけて該案内面22に沿って浮上状態で案内することにより鋼帯Sの進行方向を変更しているため、鋼帯Sの通板速度が400mpmで、且つ、板厚が1.0mm以下の場合においても、鋼帯Sに負荷される単位張力を0.5kgf/mm2 以上にすることができ、しかも、フローター2の円筒体21の半径Rが鋼帯Sをフローター2で螺旋状に曲げながら案内する際に鋼帯Sに塑性変形が生じない大きさに設定されている。
【0043】このため、鋼帯Sの通板速度が400mpm以上と速く、且つ、鋼帯Sの板厚が1.0mm以下と薄い場合においても、鋼帯Sに負荷される単位張力を0.5kgf/mm2 以上とすることにより、焼鈍炉1の出側でのフローター2a,2bによる通板中に該鋼帯Sに折れや疵、および大きな蛇行が生じないようにすることができる。
【0044】なお、上記実施の形態では、焼鈍炉1の出側に二台のフローター2a,2bを設置して、鋼帯Sの進行方向を焼鈍炉1に対して90°ずつ合計180°変更しているが、フローター2による変更角度は90°に限定されないとともに、フローター2の設置台数も二台に限定されない。例えば、図4に示すように、一台のフローター2で進行方向を90°変更して焼鈍炉1からルーパ3へ鋼帯Sを搬送してもよい。
【0045】また、上記実施の形態では円筒状のフローター2を用いているが、本発明で使用できるフローター2はこれに限定されず、鋼帯Sが螺旋状に巻きかけられる周面を有するものであれば、例えば、半円筒状や断面が円弧と多角形とをつなげた形状のものでもよい。
【0046】更に、上記実施の形態では、主要な設備のみ図示しているが、付帯設備のライン内への追加は任意である。また、上流設備及び下流設備を省略しているが、コイルの払出し、巻取及び溶接やこれらに付随したルーパーなどを上流及び下流に付加することができるのは勿論のこと、上流工程(冷間圧延など)、下流工程(化成処理など)を付加してもよい。また、水冷設備などのように設備能力によっては不要となるものを除くこともできる。
【0047】更に、上記実施の形態では、前述のように、フローター2を用いることによって、鋼帯Sの通板速度が400mpm以上と速く、且つ、板厚が1.0mm以下と薄くい場合であっても、鋼帯Sに負荷される単位張力を0.5kgf/mm2以上と大きくすることができるとしているが、一般的な連続焼鈍ラインの能力から通板速度は1000mpm以下とし、張力は経済的な観点から蛇行が問題とならない範囲で最小(例えば5.0kgf/mm2 以下)とし、板厚は例えば0.1mm〜1.0mmとする。板厚が1.0mmを越えると、大きな浮上圧が必要なために設備コストがかかり、また、螺旋状の曲げが不規則になりがちで通板性に劣る。板厚の薄い側には特に制限はないが、ラインそのものの通板性に左右され、通常は0.1mmを下限値とする。
【0048】次に、図5〜図10を参照して、ライン構成の変形例を説明する。なお、図5〜図10についても主要な設備のみ図示しており、したがって、付帯設備のライン内への追加は任意である。また、上流設備及び下流設備を省略しているが、コイルの払出し、巻取及び溶接やこれらに付随したルーパーなどを上流及び下流に付加することができるのは勿論のこと、上流工程(冷間圧延など)、下流工程(化成処理など)を付加してもよい。また、水冷設備などのように設備能力によっては不要となるものを除くこともできる。
【0049】まず、図5に示す連続焼鈍ラインは、焼鈍炉1の入側にクリーニング設備7および入側ルーパー8を配置するとともに、出側に出側ルーパー3を直線状に配置し、更に、出側ルーパー3の後に二台のフローター2(2a,2b)を配置して鋼帯Sの進行方向を出側ルーパー3に対して90°ずつ合計180°変更してから焼鈍炉1側のラインと並列配置された調質圧延機4および精整設備5に向かうように構成されている。
【0050】このように焼鈍炉1出側で出側ルーパー3と調質圧延機4との間にフローター2を配置することにより、ライン停止を比較的簡単に行うことができるとともに、フローター2のメンテナンスを行うに際して焼鈍炉1を停止しなくて済むため該メンテナンスを簡単に行うことができる。
【0051】図6に示す連続焼鈍ラインは、焼鈍炉1の入側にクリーニング設備7および入側ルーパー8を配置するとともに、出側に第1の出側ルーパー3aを直線状に配置し、更に、第1の出側ルーパー3aの後に二台のフローター2(2a,2b)を配置して鋼帯Sの進行方向を第1の出側ルーパー3aに対して90°ずつ合計180°変更してから焼鈍炉1側のラインと並列配置された第2の出側ルーパー3b、調質圧延機4および精整設備5に向かうように構成されている。
【0052】このように焼鈍炉1出側に二基の出側ルーパー3a,3bを配置して、各出側ルーパー3a,3b間にフローター2を設置することにより、ライン停止を比較的簡単に行うことができるとともに、比較的、低張力及び低ライン速度の位置にフローター2が配置されるため、鋼帯Sの冷却を効果的に行うことができ、いわば、図1および図5に示す連続焼鈍ラインの長所を兼ね備えた効果を得ることができる。
【0053】図7に示す連続焼鈍ラインは、焼鈍炉1の入側に入側設備7aおよび入側ルーパー8を配置するとともに、出側に第1の出側ルーパー3aを直線状に配置し、次いで、第1の出側ルーパー3aの後に二台のフローター2(2a,2b)を配置して鋼帯Sの進行方向を第1の出側ルーパー3aに対して90°ずつ合計180°変更してから焼鈍炉1側のラインと平行配置された第2の出側ルーパー3b、調質圧延機4および精整設備5に向かうように構成されている。なお、作用効果については、図6に示す連続焼鈍ラインと同様であるのでその説明を省略する。
【0054】図8に示す連続焼鈍ラインは、互いに直線状に配置されたクリーニング設備7及び入側ルーパー8の後に一台のフローター2を設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更して該変更ラインに焼鈍炉1を配置し、次いで、該焼鈍炉1の出側に一台のフローター2を設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更して該変更ラインに出側ルーパー3を配置し、次いで、出側ルーパー3の後に一台のフローター2を設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更してから焼鈍炉1側のラインと並列配置された調質圧延機4および精整設備5に向かうように構成されている。
【0055】このように焼鈍炉1の入側直前、出側直後および出側ルーパー3の後ろにそれぞれフローター2を配置することにより、焼鈍炉1の入側及び出側における鋼帯Sの張力変動の吸収、張力制御および出側での鋼帯Sの冷却をフローター2のみで賄うことができる。なお、出側ルーパー3の後ろのフローター2は図5の場合と同じであるが、この例では設備スペースを有効に活用する一助にもなっている。
【0056】図9に示す連続焼鈍ラインは、互いに直線状に配置された入側設備7a及び入側ルーパー8の後に一台のフローター2aを設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更して該変更ラインに焼鈍炉1を配置し、次いで、該焼鈍炉1の出側に一台のフローター2bを設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更して該変更ラインに第1の出側ルーパー3aを配置し、次いで、第1の出側ルーパー3aの後に一台のフローター2cを設けて鋼帯Sの進行方向を90°変更してから焼鈍炉1側のラインと並列配置された第2の出側ルーパー3b、調質圧延機4、精整設備5及び出側設備7bに向かうように構成されている。
【0057】このように焼鈍炉1の入側直前、出側直後および第1の出側ルーパー3aと第2の出側ルーパー3bとの間にそれぞれフローター2a,2b,2cを配置することにより、焼鈍炉1の入側及び出側における鋼帯Sの張力変動の吸収が可能となる。また、フローター2b,2cを配置することにより、出側での鋼帯Sの冷却を同時に行うことができるという効果がある。
【0058】図10に示す連続焼鈍ラインは、互いに直線状に配置された酸洗設備9、冷間圧延機10、第1の入側ルーパ8aの後に、二台のフローター2(2a,2b)を配置して鋼帯Sの進行方向を第1の入側ルーパー8aに対して90°ずつ合計180°C変更してから酸洗設備9側のラインと並列配置されたクリーニング設備7、第2の入側ルーパー8b、焼鈍炉1、水冷設備11、出側ルーパー3および調質圧延機4に向かうように構成されている。
【0059】このライン構成は、焼鈍炉1の入側に酸洗−冷間圧延設備を連続して足す場合に有効な例である。なお、冷間圧延機10の出側は張力が高いので、冷間圧延機10の出側の第1の入側ルーパー8aで張力を落とした後、該第1の入側ルーパー8aと焼鈍の前処理設備であるクリーニング設備7との間をフローター2でつなぐのが好適である。
【0060】
【実施例】
(実施例1)図1のライン構成で、半径Rが1000mmであるフローター2a,2bを用い、両フローター2a,2bとも浮上量hを15mmとし、板厚0.5mm、板幅1000mmの鋼帯に対してライン速度500mpm、単位張力1.0kgf/mm2 として、焼鈍炉1後の鋼帯Sの進行方向を前述のように二回変更して出側ルーパ3に向かわせたところ、フローター2a,2bによる通板中に鋼帯Sに折れや疵が生じなかった。また、板破断の原因となるような大きな蛇行も生じなかった。
(実施例2)図7のライン構成で、半径Rが1000mmであるフローター2a,2bを用い、両フローター2a,2bとも浮上量hを15mmとし、通板板厚0.1〜0.8mm、板幅600〜1200mmの鋼帯に対してライン速度800mpm、平均操業張力1.5kgf/mm2 として調査した結果、浮上量1mmが0.03〜0.05kgf/mm2 の張力に相当した。操業中に対応すべき変動を±10%程度とすると、±3〜5mm程度の浮上量制御を行えば足りるので、浮上量変化による板の幅位置変更は問題なくCPCによる補正で十分に対応できることが判った。
【0061】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、請求項1又は7の発明によれば、焼鈍炉の入側、出側での巻取コイルの切断・抜き取りの際のライン速度の低減若しくは停止による加減速によって生じる鋼帯の張力の変動をフローターの案内面上を通板される鋼帯の浮上量の変化として吸収することができるので、該張力変動の焼鈍炉内への伝播が回避されて該鋼帯の蛇行やヒートバックル、クーリングバックルといった炉内鋼帯の安定通板を阻害する要因を排除することができるという効果が得られる。
【0062】また、フローターの案内面上を通板される鋼帯の浮上量を制御して該鋼帯に出側ルーパーの張力とほぼ同等の張力を付与することにより、フリーピットで問題となっていたブライドルロールのスリップ問題を解消することができ、しかも、ダンサーロールのように機械的摺動部や回転部を持たないので機械的故障もなくラインの安定した稼働を確保することができるという効果が得られる。
【0063】請求項2の発明によれば、請求項1の発明に加えて、高速通板される板厚の薄い鋼帯であっても、焼鈍炉の出側でのフローターによる通板中に、鋼帯に折れや疵、および大きな蛇行が生じないようにすることができるという効果が得られる。
【0064】請求項3又は8の発明によれば、請求項1、2又は7の発明に加えて、浮上量の制御で張力を制御することにより、張力制御に対して抜群の応答性を発揮することができるという効果が得られる。
【0065】請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれか一項の発明に加えて、焼鈍炉と該焼鈍炉の出側に配置された調質圧延機との間にフローターを設けることにより、焼鈍炉から出た鋼帯をフローターの流体噴出部から噴出する流体によって強制冷却して調質圧延機の入側板温を50°C以下とすることが可能になり、この結果、従来必要であった水冷装置及び酸洗設備が不要になってラインの省スペース化及び低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0066】請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項の発明に加えて、焼鈍炉の出側に二基のルーパーを配置して、各ルーパーの間にフローターを設けることにより、ライン停止を比較的簡単に行うことができるとともに、比較的、低張力及び低ライン速度の位置にフローターが配置されるため、張力制御および鋼帯の冷却を効果的に行うことができるという効果が得られる。
【0067】請求項6の発明によれば、請求項1又は3の発明に加えて、焼鈍炉の入側に冷間圧延機とクリーニング設備とを配置して、冷間圧延機とクリーニング設備との間にフローターを設けることにより、焼鈍炉の入側に酸洗−冷間圧延設備を連続して足す場合に有効なものとすることができる。




 

 


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