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発明の名称 植物成長調整剤
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平10−287520
公開日 平成10年(1998)10月27日
出願番号 特願平9−114277
出願日 平成9年(1997)4月15日
代理人
発明者 前川 義雄 / 吉見 幸彦 / 秋山 泰三
要約 目的
菌株を使用した矮化技術によって育苗期の苗の徒長を抑制し、効率的な育苗管理を行なう。

構成
植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株またはシュードモナス属FPH-9601菌株からなる植物成長調整剤であって、この調整剤によって育苗期の苗の徒長を抑制し、効率的な育苗管理を行なうことによって農作物の生産性の向上を図ることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】 植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株またはシュードモナス属FPH-9601菌株からなる植物成長調整剤。
【請求項2】 植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株またはシュードモナス属FPH-9601菌株の菌体濃度が105cfu/g以上である請求項1の植物成長調整剤。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は植物成長調整剤に関し、農作物の育成に於いて特に育苗期の苗の徒長を抑制し、苗の長期保存性を高めることができ、効率的な育苗管理を行なうことができることにより、以て農作物の生産性の向上を図ることを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】近年、農業技術は、国内外を問わず環境保全型の農業を指向しており、環境に優しい農業技術の確立が求められている。このような状況に於いて、病害防除には依然として化学農薬が使用され、植物の生育調整にも農薬が使用されているのが現状であり、農薬の安全性問題とも相俟って環境保全型農業の指向とは程遠い状況下にある。
【0003】現在、植物の生育調整に使用されている薬剤は、植物成長調整剤として植物の発根・活着促進、健苗化、植え傷み防止、側芽発生促進、腋芽抑制、開花・着果・肥大・着色・熟期促進、伸長抑制(矮化)、落下防止、摘果、さび果防止、薬害防止、癒合促進等をその効能としている。しかしこれらの殆どが合成化合物を主成分とする化学農薬である。これらの内、植物の伸長抑制(矮化)に使用される植物成長調整剤として、アンシミドール剤、ジケグラック剤、ダミノジット剤、メフルイジド剤、クロルメコート液剤、パクロブトラゾール粒剤、イナベンフィド粒剤等があるが、いずれも合成化合物が主成分であって、花卉、庭木、果樹、芝、小麦、稲に使用が限られ、その多くが使用濃度に依存する薬効成分であるため、薬害の回避方法や使用時期の選定等に知識と経験が必要とされている。
【0004】一方、近年農業従事者の減少や高齢化あるいは水稲の減反政策等によって、農作業の効率化や高付加価値の畑作物栽培への転換が進められようとしており、植物成長調整剤の使用目的もこのような状況の変化に則した利用が進められつつある。即ち、需要量の多くなってきた軟弱野菜や果菜類の栽培では、セル成型育苗によって農作業の分業化や機械化が進められており、農家は苗をつくることなく、苗を専門に育成する業者から苗を購入し、その苗を農家が栽培して収穫物とすることが行われている。この方式によれば、農家は育苗に要する負担がなくなり、栽培に注力することができる。更に、軟弱野菜ではセル成型苗の機械植え技術も開発され、農作業の効率化や高付加価値栽培への転換は順調に推移してきている。
【0005】しかしながら、このセル成型育苗の最大の欠点は育成苗が徒長することに問題があり、特に夏場等の高温期には苗の徒長が著しく早くなり、栽培するための圃場の準備が少しでも遅れると使用できなくなるような場合も生じる。更に、徒長した苗では機械植えが難しく、苗の本圃への移植時の活着にも問題を生じていることから、これらの作物に有効な苗段階での矮化剤の開発が要望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように植物成長調整剤として、農薬等に於ける安全性の問題を回避し、環境保全型の農業への指向に適合し、更に農作業の効率化や高付加価値栽培への転換に有効なセル成型育苗に於いて、育成苗の徒長を抑制する有効な矮化剤の開発が要望されているが、未だその技術が開発されるに至っていないのが現状である。
【0007】本発明者らは、農作物の根内において相利共生する特定の2菌株を利用した耐病性苗の育成技術を確立し、「育苗培土及びその製造方法並びに耐病性苗の育成方法」として先に出願を行った(特願平8−149988号)が、このような耐病性苗の育成技術研究過程に於いて、これら特定の2菌株が、両菌株共に作物の苗の育成段階で優れた矮化効果を発現することを見出し、係る知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)FPT-9601菌株またはシュードモナス属(Pseudomonas sp.)FPH-9601菌株からなる植物成長調整剤に関し、本発明によればこれらの菌株を使用した矮化技術によって育苗期の苗の徒長を抑制し、効率的な育苗管理を行なうことができ、またこのような効率的育苗管理により、農作物の生産性の向上を図ると共に、微生物を使用するものであることから、農薬等薬剤使用による人畜及び環境生物に対する安全性の問題を回避することができる。即ち、本発明は実効大なる植物成長調整剤に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の植物成長調整剤について詳記する。本発明の植物成長調整剤は、植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株またはシュードモナス属FPH-9601菌株からなる微生物を使用することに特徴を有するものである。
【0010】以下、これら植物内生細菌であるシュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株(以下、Ps.FPTと云う)とシュードモナス属FPH-9601菌株(以下、Ps.FPHと云う)の個々の作用について詳記する。Ps.FPTは、バージェイズ マニュアル オブ システマティック バクテリオロジー,ボリューム2,1986(Bergey's Manual of Systematic Bacteriology,Volume 2,1986)によれば、後述の菌学的特性から、シュードモナス・フルオレッセンスのバイオタイプIV(Pseudomonas fluorescens biotype IVに分類され、抗生物質2,4-シ゛アセチルフロロク゛ルシノールを結晶状で産生することに特徴を有している。特に、ナス科とアブラナ科作物の根内での定着率が高い好低温性の低増殖度細菌である。
【0011】一方、Ps.FPHは、後述の菌学的特性から、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)とシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の両者に類似の菌株であり、特にナス科作物の根内での定着率が高い好低温性の細菌である。また、このPs.FPHは、蛍光性スライムを産生することに特徴を有している。これら植物内生細菌であるPs.FPTとPs.FPHは、兵庫県姫路市網干区のトマト青枯病発病圃場のトマト(品種:甘太郎ジュニア)根内より分離した。これら両菌株は、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、Ps.FPTについては、受託番号FERM BP-5478、Ps.FPHについては、受託番号FERM BP-5479の微生物寄託番号で寄託されている。
【0012】次に、これら植物内生細菌であるPs.FPTの菌学的性質を詳細に説明すれば以下の通りである。
a)形態学的性質グラム陰性桿菌 0.5〜1.0μm×1.5〜2.0μm運動性:有り単極毛を有する芽胞:形成せずb)生育状態PDA培地で3〜4日後に円形、平滑、クリーム色のコロニーを形成する(PDA培地:ポテトデキストロースを3〜5倍に希釈し、寒天を1.5%添加し た培地)
c)生理学的性質2,4-シ゛アセチルフロロク゛ルシノールの産生:結晶状で産生する生育温度:15℃〜35℃(37℃では菌体は凝集)OF試験:Oチトクロームオキシダーゼ:−/±(通常の判定時間では−)硝酸塩還元:脱窒インドール産生:−硫化水素産生:−アセトイン産生:+レバン産生:+L−アルギニンジヒドラーゼ:+ウレアーゼ:−ゲラチン液化:+α−グルコシダーゼ:−/±β−グルコシダーゼ:±/+β−ガラクトシダーゼ:−有機物利用性(酸化):クエン酸、ブドウ糖、蔗糖、D−メリビオース、L−アラビノース有機物資化性:ブドウ糖、L−アラビノース、D−マンノース、D−マンニトール、N−アセチル−D−グルコサミン、グルコン酸カリウム、n−カプリン酸、dl−リンゴ酸、クエン酸ナトリウム【0013】次に、Ps.FPHの菌学的性質を詳細に説明すれば、以下の通りである。
a)形態学的性質グラム陰性桿菌 0.2〜0.5μm×1.0〜1.5μm運動性:有り単極毛を有する芽胞:形成せずb)生育状態PDA培地で2〜3日後に円形、平滑、クリーム色のコロニーを形成するc)生理学的性質蛍光性スライムの産生:+生育温度:15℃〜37℃OF試験:−チトクロームオキシダーゼ:+硝酸塩還元:+インドール産生:−硫化水素産生:−アセトイン産生:−レバン産生:−L−アルギニンジヒドラーゼ:−ウレアーゼ:−ゲラチン液化:−α−グルコシダーゼ:−β−グルコシダーゼ:+β−ガラクトシダーゼ:−アシルアミダーゼ:+有機物利用性(酸化):クエン酸、有機物資化性:ブドウ糖、D−マンノース、D−マンニトール、N−アセチル−D−グルコサミン、グルコン酸カリウム、dl−リンゴ酸、クエン酸ナトリウム、酢酸フェニル、エタノール【0014】Ps.FPTとPs.FPHの培養方法について記載すれば、Ps.FPTとPs.FPH共に同一方法即ち、ポテトエキス0.8g/L、グルコース4g/Lを含有する液体培地で25℃で2週間静置することにより、Ps.FPTとPs.FPHの増殖菌体を得ることができる。
【0015】これらの菌体は、培養後の培養液の状態あるいはこれを乾燥した乾燥菌体の状態で使用してもよいが、安定した効果と持続性を維持するために、培養菌体をバーミキュライト、ゼオライト、シリカ、珪藻土等の担体に固定化して使用することが望ましい。更には、バーミキュライトあるいはピートモスに壌土あるいは腐植土を混合したような育苗培土のような農業資材に固定化してもよい。しかし何れの場合も担体あるいは培土中の両菌株の菌体濃度は105cfu/g以上とすることが必要である。担体あるいは培土中に両菌株を固定化し培養する方法は、これら菌株を担体あるいは培土に植菌し、無菌室で通常15〜30℃で3週間程度培養を行えば、菌体濃度は105cfu/g以上となる。
【0016】本発明の植物成長調整剤は、その効果として植物の矮化を主目的とするものである。このような本発明の調整剤は、その使用方法として前記菌体の培養液や菌体を固定化した担体あるいは培土を直接矮化させたい植物の種子と混合し、この種子を圃場あるいは培土に播種して栽培すればよい。あるいは対象とする作物種によっては、直接幼植物体に菌体懸濁液を葉面散布する方法で使用することもできる。
【0017】本発明の植物成長調整剤が、特にその効果をよく発揮する農作物は、ナス科作物、アブラナ科作物、ウリ科作物、更に具体的にはトマト、ピーマン、ナス、ハクサイ、キャベツ、チンゲンサイ、キュウリ等であるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例を掲げ更に説明を行う。尚、実施例に於いて%は特に断らない限り全て重量%を示す。
【0019】(実施例1)本発明の植物成長調整剤を使用し、以下の条件でトマト苗の矮化試験を行った。外径2.5cm、高さ15cmの栓付き培養瓶に、下層部にホワイト寒天培地(蔗糖無添加)15ml、中層部に海砂3ml、上層部に0.8%寒天5mlを形成させた。各種品種のトマト種子を80%エタノール水溶液に1分間、次いで1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬し種皮消毒を行った。この殺菌種子を上記培養瓶に各々播種した。尚、トマト種子の品種は、桃太郎、大型福寿、ココ、瑞健、ヘルパーM、LS−89、PFN2号を使用した。各々の種子を播種した培養瓶を28℃で4日間暗所に保存し催芽させた後、次いで培養瓶を人工気象器に移し30℃で3日間栽培を継続した。
【0020】本発明の植物成長調整剤であるPs.FPTとPs.FPHの各菌株を108cells/mlの菌体濃度に調製し、この菌体懸濁液を培地容量に対して5v/v%の割合で培養瓶の培地表面に接種した。接種後、更に人工気象器内で20日間栽培を継続した。尚、この場合に菌体懸濁液を接種しないトマト苗について同様に栽培を行った。20間栽培後の各トマト苗の草丈を測定し、菌体を接種しないで栽培した対照苗の草丈から下記の式に基づきトマト苗の矮化率を算出した。尚、一試験区にトマト苗20株を栽培し、草丈は試験区、対照区各20株の平均草丈より矮化率を算出した。
矮化率(%)=(1−本発明試験区平均草丈(cm)/対照区平均草丈(cm))×100結果を表1に示した。
【0021】
【表1】

【0022】(実施例2)バーミキュライト、赤玉土、市販育苗用培土(多木化学(株)製,商品名:多木園芸培土)を18:8:1(堆積比)の割合で混合し、これを温度180℃で1時間熱処理を行い育苗用培土とした。106cells/mlに濃度調整したPs.FPTの菌体懸濁液を上記培土に対して20v/v%の割合で添加し、これを25℃の条件下で2週間静置し、Ps.FPT固定化培土とした。また別に、上記熱処理培土に対して20v/v%の割合で滅菌水を添加し、これを25℃の条件下で2週間静置し、対照用の培土とした。Ps.FPT固定化培土および対照培土をセル成型育苗用トレイ(米国TLC社製;20穴)に充填し、充分に潅水を行った後、トマト、ピーマン、ナス、ハクサイ、キャベツ、チンゲンサイ及びキュウリの各品種の種子を播種した。播種後、バーミキュライトでトレイ上を覆土し、潅水を行った後、これらを28℃、暗黒条件下で保管し催芽させた後、ビニルハウス内で表2に示した各作物の栽培期間で栽培を行った。また、比較のために前記の対照用の培土を用いて同様に栽培試験を行い、これを対照区とした。尚、試験は一試験区に各作物種20株を栽培し、試験区、本発明試験区、対照区共に20株の平均草丈より実施例1と同様に矮化率を求めた。結果を表3に示した。
【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】(実施例3)本発明の植物成長調整剤であるPs.FPTの菌体懸濁液を各々104cells/ml、105cells/ml、106cells/ml、107cells/ml及び108cells/mlとなるように調製し、乾熱殺菌を行ったバーミキュライト(ヒルイシ化学工業(株)製,商品名:ヒルコンS-1)に対して各々20v/v%の割合で添加混合した。これを25℃で2週間静置することにより、Ps.FPTの菌密度の異なる菌体固定化バーミキュライトを調製した。Ps.FPHの菌体懸濁液についても同様に操作を行い、Ps.FPHの菌密度の異なる菌体固定化バーミキュライトを調製した。
【0026】沖積土4部とピートモス1部を混合し育苗用培土として用い、この培土を実施例2と同様のセル成型育苗用トレイに充填した。充填後充分に潅水を行い、充填培土の上部を同型のトレイ底部により表面を鎮圧した。次いで、鎮圧した培土表面にトマト種子(品種:ハウス桃太郎)及びハクサイ(品種:無双)を播種した。播種後、前記Ps.FPTまたはPs.FPHの固定化バーミキュライトで覆土を行った。また、対照区として菌体の固定化を行っていない乾熱殺菌を行ったバーミキュライトを培土として用いた。覆土後充分に潅水を行い、播種後のトレイを28℃、暗好気条件下に置き催芽させた。尚、これらの試験は一試験区当たり100粒の種子を播種して行った。
【0027】催芽後のトレイをビニール温室に移し、4週間セル育苗を行った。育苗開始より2週間後に、各試験区に液肥(N:220mg/l,P2O5:120mg/l,K2O:400mg/l)を500ml/トレイの割合で潅注した。4週間後に生育した苗の各区80株を対象に、苗の草丈を測定し各作物種の平均草丈を求めた。結果を表4に示した。
【0028】
【表4】

【0029】
【発明の効果】本発明の植物成長調整剤は、シュードモナス・フルオレッセンスFPT-9601菌株またはシュードモナス属FPH-9601菌株を使用することに特徴を有し、このような菌株を使用した矮化技術によって育苗期の苗の徒長を抑制し、効率的な育苗管理を行なうことができる。また、このような効率的育苗管理により、農作物の生産性の向上を図ると共に、微生物を使用するものであることから、農薬等薬剤使用による安全性の問題を回避することができる実効大なる植物成長調整剤である。




 

 


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