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発明の名称 誘導電動機の制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−289600
公開日 平成8年(1996)11月1日
出願番号 特願平7−92165
出願日 平成7年(1995)4月18日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
発明者 由良 元澄
要約 目的
鉄心の磁気飽和の影響やモータの製造上の寸法精度などによる励磁インダクタンスMの変動およびモータの温度変化等による2次抵抗r2 の変動の影響を受けず、常に精度良く所望の出力トルクを得る。

構成
トルク指令値T* が所定値Trf以下の場合に、トルク電流指令i1q*とトルク電流i1qとに基づき算出されるトルク同相電圧指令Gq ・Δi1qに基づき、励磁インダクタンスMを補正する。一方、前記トルク同相電圧指令G・Δi1qに基づき、2次抵抗値r2 を補正する。この2次抵抗値r2 と磁束密度指令φ* とトルク電流指令i1q* とに基づきすべり角周波数ωs を算出し、さらに角周波数指令ωを算出する。そして、補正された励磁インダクタンスMおよび角周波数指令ωなどに基づき、磁束密度指令φ* 、トルク指令T* をモータに印加する励磁電圧指令ed*およびトルク電圧指令eq*に変換する。
特許請求の範囲
【請求項1】 トルク指令と磁束密度指令を入力とする誘導電動機の制御装置において、モータ電流角周波数ωを入力としてsin ωt信号およびcos ωt信号を出力する2相正弦波発生手段と、前記sin ωt信号とcos ωt信号およびモータ電流の瞬時値iu 、iv 、iwを入力として励磁電流検出値およびトルク電流検出値を出力する3相2相変換手段と、励磁電流同相電圧指令とトルク電流同相電圧指令および前記sin ωt信号とcos ωt信号を入力としてモータに印加する各相電圧指令eu 、ev 、ew を出力する2相3相変換手段と、前記磁束密度指令を励磁インダクタンスMに相当する係数で除算し、励磁電流指令に変換して出力する励磁電流指令発生手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値を減算して励磁電流誤差を出力する第1の減算器と、前記励磁電流誤差を入力としてモータに印加する前記励磁電流同相電圧指令を出力する第1の増幅手段と、前記トルク指令を前記磁束密度指令に除算することによって得たトルク電流指令と前記トルク電流検出値を減算してトルク電流誤差を出力する第2の減算器と、前記トルク電流誤差を入力としてモータに印加する前記トルク電流同相電圧指令を出力する第2の増幅手段と、前記トルク電流指令または前記トルク指令を入力とし、モータの2次抵抗値r2 に相当する係数を乗じることによってすべり角周波数を出力する第3の増幅手段と、前記第2の増幅手段の出力値を入力とし、前記2次抵抗値r2 に相当する係数の補正値を出力する第4の増幅手段と、前記第2の増幅手段の出力値を入力とし、前記トルク指令値が所定値以下の場合のみ励磁インダクタンスMの補正値を出力する第5の増幅手段と、前記トルク指令値が所定値を越えた場合は前記第5の増幅手段の出力値を保持する保持手段とを有し、前記第3の増幅手段は、前記第4の増幅手段の出力値を入力とし、前記2次抵抗値r2 に相当する係数の補正値を修正し、前記第1の増幅手段は、前記第5の増幅手段の出力値を入力とし、前記励磁インダクタンスMに相当する係数の補正値を修正する、ことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
【請求項2】 請求項1に記載の誘導電動機の制御装置において、前記保持手段は前記第5の増幅手段の出力を積分し、当該積分値を入力された前記磁束密度指令の値をアドレスとする複数個のデータとして格納する補正データテーブルであることを特徴とする誘導電動機の制御装置。
【請求項3】 直流電流から変換された三相交流電流によって駆動される誘導電動機の制御装置であって、トルク指令と磁束密度指令の二相指令を前記電動機の1次電流を制御するための三相指令に変換し、前記電動機の実際の三相の1次電流をトルク電流検出値と励磁電流検出値の二相の検出値に変換し、フィードバック制御を行う誘導電動機の制御装置において、前記磁束密度指令と励磁インダクタンスに基づき励磁電流指令値を算出する励磁電流指令発生手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値に基づき励磁電流誤差を算出する励磁電流誤差算出手段と、前記励磁電流誤差に基づき、励磁電流と同相の励磁電圧指令を算出する励磁電圧指令算出手段と、前記トルク指令と前記磁束密度指令に基づきトルク電流指令を算出するトルク電流指令発生手段と、前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値に基づきトルク電流誤差を算出するトルク電流誤差算出手段と、前記トルク電流誤差に基づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するトルク電圧指令算出手段と、前記トルク電流同相電圧指令に基づきモータの2次抵抗の補正値を算出する2次抵抗補正値算出手段と、前記トルク電流指令および磁束密度指令と、前記モータ2次抵抗補正値によって補正された2次抵抗値とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数算出手段と、前記すべり角周波数と実際のモータの角周波数に基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段と、前記トルク電流指令と1次漏れインダクタンスと前記角周波数指令に基づき前記励磁電圧指令を補正して、補正励磁電圧指令を算出する補正励磁電圧指令算出手段と、前記励磁電流指令と1次漏れインダクタンスと前記角周波数指令に基づき前記トルク電圧指令を補正し、さらに前記トルク電流指令と1次抵抗に基づき補正を行い補正トルク電圧指令を算出する補正トルク電圧指令算出手段と、前記トルク電圧指令に基づき励磁インダクタンスの補正値を算出し、当該補正値に基づき前記励磁電流指令算出手段において用いられる励磁インダクタンスの補正指示する励磁インダクタンス補正指示算出手段と、前記補正励磁電圧指令および前記補正トルク電圧指令と、前記角周波数指令とに基づきモータに印加する三相電圧指令を算出する三相電圧指令算出手段と、を有することを特徴とする誘導電動機の制御装置。
【請求項4】 請求項3に記載の誘導電動機の制御装置であって、前記励磁インダクタンス補正指示手段は、前記トルク指令が、予め定められたしきい値以下である場合のみ前記励磁インダクタンス補正値を算出し、補正指示を行うことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工作機械の主軸駆動などに利用され、誘導電動機の出力トルクを任意に制御する誘導電動機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、速度制御やトルク制御を必要とする電動機としては制御が容易な直流電動機が広く用いられてきた。しかしながら、直流電動機は回転子に巻線を持つために構造上複雑であり高価であること、ブラシが摩耗するため定期的に保守が必要であることなどの問題があった。近年、誘導電動機の制御方式としてベクトル制御と呼ばれる制御方式が考案され、この制御方式を採用する誘導電動機は出力トルクを任意に制御できるので、特に工作機械の主軸駆動などの用途に直流電動機に代わって構造が簡単かつ堅牢でブラシ交換の不要な誘導電動機が多く用いられる傾向にある。図4にベクトル制御を用いた従来の誘導電動機の制御装置のシステム構成の一例を示す。この制御装置に対して外部からの入力指令としてはトルク指令T* および磁束密度指令φ* が入力される。前記磁束密度指令φ* は一般的にはモータの設計上、予め設定された固定値である場合がほとんどである。しかし高速の回転数領域においてモータの端子電圧をある程度以下に抑えたい場合や、あえてモータの磁束密度を低減して使用したい場合などには適宜可変された指令値として磁束密度指令φ* が入力される。変換器1は磁束密度指令φ* に応じて必要な励磁電流指令値i1d* を発生する励磁電流指令発生器である。磁束密度と励磁電流の関係は後述するように励磁インダクタンスMを意味しており、この変換器1ではMの逆数を乗算することによって励磁電流指令値i1d* が出力される。なお、図中においてi1d* はid*と略記されている。除算器2はトルク指令T* を磁束密度指令φ* で除算するものであり、誘導電動機の出力トルクは磁束密度とトルク電流値との積に比例することから、除算器2の出力がトルク電流指令値i1q*として出力される。なお、図中においてi1q* はiq*と略記されている。
【0003】この従来のベクトル制御による誘導電動機の制御装置の動作を以下に簡単に説明する。上記励磁電流指令値i1d* およびトルク電流指令値i1q* からモータの1次電流指令値iu*、iv*、iw*はモータ電流の角周波数ωを用いて次のように表され、この演算処理は図中の2相3相変換器3によって行われる。
【数1】
iu*=i1d* ・sin ωt+i1q* ・cos ωt ・・・(1)
【数2】
iv*=i1d* ・sin(ωt−120 °) +i1q* ・cos(ωt−120 °) =( −i1d* /2+√3/2・i1q*)sin ωt +(−√3/2・i1d* −i1q* /2)cosωt ・・・(2)
【数3】
iw*=i1d* ・sin(ωt+120 °) +i1q* ・cos(ωt+120 °) =( −i1d* /2−√3/2・i1q*)sin ωt +( √3/2・i1d* −i1q* /2)cosωt ・・・(3)
図4において電流誤差アンプ4a、4b、4c、減算器5a、5b、5cおよび電流検出器6a、6b、6cの働きによってモータの電流がフィードバック制御されることによってこの1次電流指令値iu*、iv*、iw*に等しい1次電流がモータに通電される。このときモータの1次電流の合成ベクトルI1 は、実際のモータ内部の励磁電流i1dおよびトルク電流i1qの位相が上記励磁電流指令値i1d* およびトルク電流指令値i1q* の位相と等しいという仮定のもとではi1d、i1qを用いて次のように表される。
【数4】
I1 =i1d・sin ωt+i1q・cos ωt ・・・(4)
【数5】
I1 =( i1d2 +i1q2 ) 1/2 ・sin(ωt+θ2) ・・・(5)
【数6】θ2 = tan-1( i1q/i1d) ・・・(6)
【0004】このような1次電流I1 がモータに流れることによって、モータに発生する電圧について考える。ここで一般的な誘導電動機の等価回路を図2に示す。1次漏れインダクタンスL σおよび1次抵抗r1 の両端には電圧降下が発生し、その結果、モータの端子電圧には次のような電圧が発生する。なお、pは微分演算子d/dtである。
【数7】
E1 =Em +( p・L σ+r1)I1 ・・・(7)
(7)式の第2項は第1項Em に比較して小さいので無視すると次式を得る。
【数8】
E1 =Em ・・・(8)
このEm は一般に速度誘起電圧と呼ばれるものであり、モータ内部の励磁電流i1dとの間に次のような関係がある。
【数9】
Em =ω・M・i1d・cos ωt ・・・(9)
【0005】また、図2の誘導電動機の等価回路から明らかなようにEm とトルク電流i1qについて次のような関係がある。
【数10】
Em =r2 ・i1q/s( ただしs=ωs /ω) ・・・(10)
なお、ωs はすべり周波数と呼ばれ、モータの回転角周波数をωm として【数11】
ωs =ω−ωm ・・・(11)
と表される。この結果から実際のモータ内部のトルク電流i1qを所望の値に制御するためには(10)、(11)式の関係をみたすすべり周波数ωs をモータに与える必要があることがわかり、図4においては除算器7および変換器8によってトルク電流指令i1q* に応じたすべり周波数ωs が出力されている。
【0006】以上の従来のベクトル制御による誘導電動機の制御装置の動作について簡単にまとめると、以下のようになる。すなわち、まず(1)、(2)、(3)式に基づいてモータの1次電流がフィードバック制御され、(4)式に表される1次電流I1 が所望の値に制御される。このときに同時に(10)式によって表されるすべりがモータに与えられることによってモータ内部の実際のトルク電流i1qが所望の値、すなわちi1q* に等しく制御される。その結果(4)式に表されるように1次電流I1 とトルク電流i1qとのベクトル差である励磁電流i1dを任意の値に制御することができる。
【0007】ここでモータの出力するトルクについて考える。モータの軸出力Pは図2の誘導電動機の等価回路から明らかなようにモータの2次回路に投入された電力から2次抵抗r2 の損失分を差し引くことによって求めることができる。ある1相分の電力Pu は【数12】
Pu =Em ・i1q・cos ωt−r2 /s・i1q2 ・・・(12)
と表される。近似的に2次抵抗r2 の損失分を無視し、(9)式を代入すると【数13】
Pu =ω・M・i1d・i1q(cosωt) 2 ・・・(13)
が得られる。ここで3相の電動機を考慮して他の2相の電力Pv 、Pw についても考えると【数14】
Pv =ω・M・i1d・i1q{cos(ωt−120 °) }2 ・・・(14)
【数15】
Pw =ω・M・i1d・i1q{cos(ωt+120 °) }2 ・・・(15)
であり、これらの3相分の電力を合計すると最終的な軸出力Pが得られる。
【数16】
P=Pu +Pv +Pw =ω・M・i1d・i1q{(cosωt) 2 +{cos(ω−120 °) }2 +{cos(ωt+120 °) }2 } ・・・(16)
さらに、この式を変形すると次式が得られる。
【数17】
P=3/2・ω・M・i1d・i1q ・・・(17)
ωはモータ回転角周波数ωm にほぼ等しいと近似するとモータの出力トルクTは【数18】
T=P/ωm =3/2・M・i1d・i1q ・・・(18)
と表され、以上の結果より励磁電流i1dとトルク電流i1qを任意の値に制御できればモータの出力トルクTを任意に制御できることがわかる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のベクトル制御による誘導電動機の制御装置においては、以下に示すように2つの問題を有している。その第1は(9)式に示した速度誘起電圧Em と励磁電流i1dの関係において、モータの励磁インダクタンスMがパラメータとして存在しているが、その値は鉄心の磁気飽和の影響やモータの製造上の寸法精度によって大きく変動し、実際のモータに適合した値を制御に用いることは非常に困難である。その結果、発生する速度誘起電圧Em が所望の値にはならず、出力トルクを正確に制御することができない。また第2は(10)式においてトルク電流i1qは2次抵抗r2 の値に影響を受けているが、このr2 はモータの温度変化等によって2倍程度に大きく変動する。その結果、モータに与えられるすべりsは(10)式の関係を満たすことが困難となり、出力トルクを正確に制御することができない。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明は誘導電動機の励磁インダクタンスMおよび2次抵抗r2 の値が正確に把握できない場合やこれらの値が変動する場合においても常に出力トルクを精度良く制御できる誘導電動機の制御装置の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために本発明にかかる誘導電動機の制御装置は、トルク指令と磁束密度指令を入力とし、モータ電流角周波数ωを入力としてsin ωt信号およびcos ωt信号を出力する2相正弦波発生手段と、前記sin ωt信号とcos ωt信号およびモータ電流の瞬時値iu 、iv 、iw を入力として励磁電流検出値およびトルク電流検出値を出力する3相2相変換手段と、励磁電流同相電圧指令とトルク電流同相電圧指令および前記sin ωt信号とcos ωt信号を入力としてモータに印加する各相電圧指令eu 、ev 、ew を出力する2相3相変換手段と、前記磁束密度指令を励磁インダクタンスMに相当する係数で除算し、励磁電流指令に変換して出力する励磁電流指令発生手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値を減算して励磁電流誤差を出力する第1の減算器と、前記励磁電流誤差を入力としてモータに印加する前記励磁電流同相電圧指令を出力する第1の増幅手段と、前記トルク指令を前記磁束密度指令に除算することによって得たトルク電流指令と前記トルク電流検出値を減算してトルク電流誤差を出力する第2の減算器と、前記トルク電流誤差を入力としてモータに印加する前記トルク電流同相電圧指令を出力する第2の増幅手段と、前記トルク電流指令または前記トルク指令を入力とし、モータの2次抵抗値r2 に相当する係数を乗じることによってすべり角周波数を出力する第3の増幅手段と、前記第2の増幅手段の出力値を入力とし、前記2次抵抗値r2 に相当する係数の補正値を出力する第4の増幅手段と、前記第2の増幅手段の出力値を入力とし、前記トルク指令値が所定値以下の場合のみ励磁インダクタンスMの補正値を出力する第5の増幅手段と、前記トルク指令値が所定値を越えた場合は前記第5の増幅手段の出力値を保持する保持手段とを有し、前記第3の増幅手段は、前記第4の増幅手段の出力値を入力とし、前記2次抵抗値r2 に相当する係数の補正値を修正し、前記第1の増幅手段は、前記第5の増幅手段の出力値を入力とし、前記励磁インダクタンスMに相当する係数の補正値を修正することを特徴とする誘導電動機の制御装置。さらに、前記保持手段は前記第5の増幅手段の出力を積分し、当該積分値を入力された前記磁束密度指令の値をアドレスとする複数個のデータとして格納する補正データテーブルとすることもできる。また、本発明にかかる誘導電動機の他の態様は、直流電流から変換された三相交流電流によって駆動される誘導電動機の制御装置であって、トルク指令と磁束密度指令の二相指令を前記電動機の1次電流を制御するための三相指令に変換し、前記電動機の実際の三相の1次電流をトルク電流検出値と励磁電流検出値の二相の検出値に変換し、フィードバック制御を行う誘導電動機の制御装置において、前記磁束密度指令と前記インダクタンスに基づき励磁電流指令値を算出する励磁電流指令発生手段と、前記励磁電流指令と前記励磁電流検出値に基づき励磁電流誤差を算出する励磁電流誤差算出手段と、前記励磁電流誤差に基づき、励磁電流と同相の励磁電圧指令を算出する励磁電圧指令算出手段と、前記トルク指令と前記磁束密度指令に基づきトルク電流指令を算出するトルク電流指令発生手段と、前記トルク電流指令と前記トルク電流検出値に基づきトルク電流誤差を算出するトルク電流誤差算出手段と、前記トルク電流誤差に基づき、トルク電流と同相のトルク電流同相電圧指令を算出するトルク電圧指令算出手段と、前記トルク電流同相電圧指令に基づきモータの2次抵抗値の補正値を算出する2次抵抗補正値算出手段と、前記トルク電流指令および磁束密度指令と、前記モータ2次抵抗補正値によって補正された2次抵抗値とに基づきすべり角周波数を算出するすべり角周波数算出手段と、前記すべり角周波数と実際のモータの角周波数に基づき角周波数指令を算出する角周波数指令算出手段と、前記トルク電流指令と1次漏れインダクタンスと角周波数指令に基づき前記励磁電圧指令を補正して、補正励磁電圧指令を算出する補正励磁電圧指令算出手段と、前記励磁電流指令と1次漏れインダクタンスと角周波数指令に基づき前記トルク電圧指令を補正し、さらに前記トルク電流指令と1次抵抗に基づき補正を行い補正トルク電圧指令を算出する補正トルク電圧指令算出手段と、前記トルク電圧指令に基づき励磁インダクタンスの補正値を算出し、当該補正値に基づき前記励磁電流指令算出手段において用いられる励磁インダクタンスの補正指示する励磁インダクタンス補正指示算出手段と、前記補正励磁電圧指令および前記補正トルク電圧指令と、前記角周波数指令とに基づきモータに印加する三相電圧指令を算出する三相電圧指令算出手段と、を有している。さらに、前記励磁インダクタンス補正指示手段は、前記トルク指令が、予め定められたしきい値以下である場合のみ前記励磁インダクタンス補正値を算出し、補正指示を行うものとすることもできる。
【0010】
【作用】本発明による誘導電動機の制御装置においては、3相2相変換手段によってモータ電流の瞬時値iu 、iv 、iw からモータ内部の励磁電流i1dおよびトルク電流i1qを直流量として検出しており、これらを磁束密度指令から変換した励磁電流指令i1d* およびトルク指令を変換したトルク電流指令i1q* のそれぞれに対して独立にフィードバック制御している。そしてトルク電流指令i1q* とトルク電流i1qとの誤差を増幅して得られるトルク電流同相電圧指令はトルク指令が微小の際には速度誘起電圧に相当することからこのトルク電流同相電圧指令を用いて励磁インダクタンスMの実際の値を同定することができる。また、励磁インダクタンスMについて同定ができているという前提のもとでは、トルク電流指令に対するトルク電流同相電圧指令の変化は与えられているすべり周波数が適性かどうかを意味していることから2次抵抗r2 の変動を同定することができる。その結果、これらの励磁インダクタンスMや2次抵抗r2 について制御装置が制御に用いるパラメータと、実際のモータ内部の値とを常に精度良く一致させることが可能となる。
【0011】
【実施例】図1は本発明に係る誘導電動機の制御装置の一実施例のブロック図である。図1に示す従来の誘導電動機の制御装置と同じ構成要素は同一符号で示してあり、その説明は重複するので省略する。図中の3相2相変換器9はモータ電流の瞬時値iu 、iv 、iw と2相正弦波発生器10の出力したsin ωt信号およびcos ωt信号とから以下の演算によって励磁電流検出値i1dおよびトルク電流検出値i1qを演算している。
【数19】
i1d=iu ・sin ωt+iv ・sin(ωt−120 °) +iw ・sin(ωt+120 °) ・・・(19)
【数20】
i1q=iu ・cos ωt+iv ・cos(ωt−120 °) +iw ・cos(ωt+120 °) ・・・(20)
これら(19)、(20)式の意味について説明する。sin ωt信号およびcosωt信号は後述する2相3相変換器3がモータ端子電圧指令の演算に使用するものと同じであって、sin ωt信号の位相を位相基準信号として3相のモータ電流を直交する2軸座標に投影するものである。なお、この変換処理は一般的にdq軸変換とよばれる。このようにして得られたi1d、i1qを用いて誘導電動機の電圧、電流の関係を以下に説明する。誘導電動機の等価回路を図2に示す。図中のE1 、I1 、I2 はそれぞれ、1次端子電圧、1次巻線電流、2次巻線電流を表したものであり、交流量である。これらの各電流、電圧は(19)、(20)式によって得られたi1d、i1qを用いて以下のように表記できる。
【数21】
I1 =i1d・sin ωt+i1q・cos ωt ・・・(21)
【数22】
I2 =i2d・sin ωt+i2q・cos ωt ・・・(22)
【数23】
E1 =e1d・sin ωt+e1q・cos ωt ・・・(23)
【0012】ここでωは電源電圧の角周波数であるから、i1d、i1q、i2d、i2q、e1d、e1qの各値は直流量すなわちスカラ量である。なお、この直交する座標軸をそれぞれd軸、q軸と称する。上記i1d〜e1qを用いて図2の等価回路の電圧、電流を表すと次式を得る。ただしpは微分演算子(d/dt)である。
【数24】
e1d=r1 ・i1d+p(Lσ+M) i1d−ω(Lσ+M) i1q −p・M・i2d+ω・M・i2q ・・・(24)
【数25】
e1q=ω(Lσ+M) i1d+r1 ・i1q+p(Lσ+M) i1q −ω・M・i2d−p・M・i2q ・・・(25)
これらはモ−タの1次電圧と1次電流すなわちステ−タ側電流、および2次電流すなわちロ−タ側電流との関係を表す式であるが、このままでは1次電圧e1d、e1qは1次側、2次側のどちらの電流にも影響を受けていることから、誘導電動機の1次電流、2次電流は共に1次電圧のみを操作量とするだけでは制御できないことを示している。
【0013】次に2次回路について考える。図2の等価回路は2次回路の電圧、電流を考えるにあたって不適当であり、代わりに図3のような等価回路を考える。この図から、誘導電動機はロ−タが1次電圧の角周波数ωに対してωs =s・ωというすべり周波数を持って回転することによって速度起電力のみ1:sの比率で伝達する変圧器として考えることができる。このように考えて2次回路の電圧方程式は次のように表すことができる。
【数26】
r2 ・i2d+p・M・i2d+s・ω・M( i1q−i2q) −p・M・i1d =0 ・・・(26)
【数27】
r2 ・i2q+p・M・i2q−s・ω・M( i1d−i2d) −p・M・i1q =0 ・・・(27)
ここで、この座標軸の回転位置について誘導電動機内部の磁束ベクトルΦの位置とd軸の位置が一致していると仮定すると磁束ベクトルΦは次のように表される。
【数28】
Φ=φ・sin ωt ( ただしφはスカラ量) ・・・(28)
【数29】
φ=M・i1d−M・i2d ・・・(29)
すなわち図2の等価回路において励磁インダクタンスMに流れる励磁電流im は(30)式のように表され、また、q軸成分の電流が励磁電流im には関与しないことから、q軸成分について(31)式を得る。
【数30】im =i1d−i2d ・・・(30)
【数31】i1q=i2q ・・・(31)
これらの(30)、(31)式を(26)式に代入すると次式を得る。
【数32】
r2 ・i1d=( r2 +p・M) im ・・・(32)
【0014】ここで(32)式からi1dに対するim の応答を考えると【数33】
im /i1d=r2 /( r2 +p・M) =1/( 1+p・M/r2) ・・・(33)
であり、i1dに対してim は1次遅れで応答し、その時定数はM/r2 である。なお、一般的な誘導電動機において、この時定数M/r2 は数100msであり、以降にi1dおよびi1q( =i2q) の制御を考える上においては、これらが十分に速い時定数で変化することからim が一定であると仮定しても差しつかえないことがわかる。またi1d=一定という条件のもとではim はi1dに等しいことがわかる。次に(30)、(31)式を(27)式に代入することによって(34)式を得られ、さらにこれを変形して(35)式を得る。
【数34】
r2 ・i1q=s・ω・M・im ・・・(34)
【数35】
ωs =r2 ・i1q/( M・im) ・・・(35)
上記のようにi1qの変化に対してim を一定として仮定すると、(35)式を満たすようにωs を誘導電動機に与えることによってi1qすなわちi2qを自在に制御できることがわかる。
【0015】以上の2次回路に基づく結果を踏まえて再び1次回路について考える。(24)式に(30)、(31)式を代入すると(36)式を得る。
【数36】
e1d=( r1 +p・L σ) i1d−ω・L σ・i1q+p・M・im ・・・(36)
この式のうち第3項は(33)式で示したようにim の変化が十分に緩やかであることから無視できる。よって次の(37)式を得る。
【数37】
e1d=( r1 +p・L σ) i1d−ω・L σi1q ・・・(37)
今、i1dを所望の指令値i1d* に等しくするという制御系を考えたとき、i1d* とi1dとの誤差Δi1d( =i1d* −i1d) をもとに次の(38)式のようにd軸電圧指令e1d* を出力する制御系を考えることができる。
【数38】
e1d* =Gd ・Δi1d−ω・L σ・i1q* ・・・(38)
なお、Gd は比例積分アンプなどを用いた増幅率であり十分に大きな値である。また第2項は後述するようにi1qをi1dとは独立して制御することから、q軸からの干渉項としてフィ−ドフォワ−ド的に加算される。図1の本発明の実施例においてはこの(38)式に基づいて減算器11にてΔi1d( =i1d* −i1d) を求め、増幅器12のよって増幅率Gd の増幅を行い、(38)式の第1項を得ている。また変換器13によってi1q* にL σを乗算し、さらに乗算器14によってωを乗算することによって第2項を得ている。
【0016】同様に(25)式に(30)、(31)式を代入すると(39)式を得る。
【数39】
e1q=ω・L σ・i1d+( r1 +p・L σ) i1q+ω・M・im ・・・(39)
上記と同様にi1qを指令値i1q* に等しく制御するという系を考えるとき、(39)式より次の(40)式のような制御系を考えることができる。なおGq はGd と同様に十分に大きな値であり、また上述したようにi1d* =一定という仮定のもとでim をi1d* に置き換えている。
【数40】
e1q* =Gq ・Δi1q+ω(Lσ+M)i1d* +r1 ・i1q* ・・・(40)
図1の本発明の実施例においては減算器15にてΔi1q( =i1q* −i1q) を求め、増幅器16によって増幅率Gq の増幅を行い、(40)式の第1項を得ている。また第2項のうちω・M・i1d* は速度誘起電圧Em を意味しており、M・id*が磁束密度指令φ* であることから変換器17によって磁束密度指令φ* に誘起電圧定数Kemを乗算し、その結果に変換器18によってi1d* にL σを乗算したものを加算し、さらに乗算器19においてωを乗じることによって第2項を得ている。また第3項は変換器20においてi1q* にr1 を乗算することによって得ている。以上の(38)、(40)式によって誘導電動機の1次電流i1d、i1qはそれぞれ独立して任意に制御することが可能となる。
【0017】上記は(38)、(40)式は1次電流i1d、i1qを1次電圧を操作することによって任意に制御できることを示すものであるが、そのためには前提条件として(30)、(31)式に示した2次回路側の条件を満たしていることが必要であり、さらにそのためには(35)式に示したωs の条件が満たされている必要がある。しかしながら(35)式のうち、r2(2次抵抗) はロ−タの温度変化等によって、またM( 励磁インダクタンス) は鉄心の磁気飽和等によって一定値とはならない。その結果、所望のi1dに対して(35)式を満たすωsをモータに与えることが困難となり、モ−タ内部における実際のi1d、i1qを制御することは不可能となる。そこで、これらの定数Mおよびr2 を実際のモ−タの状況にあった真値に同定する方法について考える。
【0018】まず、(39)、(40)式から励磁インダクタンスの値についてコントロ−ラ側で想定したノミナル値Mn と実際のモ−タ内部の真値Mとの間に設定誤差ΔM( =Mn −M) がある場合を仮定する。このとき実際にモ−タに発生するq軸電圧は(39)式の通りであるが、コントロ−ラの出力する電圧は次のように表される。
【数41】
e1q* =Gq ・Δi1q+ω・L σ・i1d* +r1 ・i1q* +ω・Mn ・im* ・・・(41)
今、モ−タが無負荷で、i1q≒i1q* ≒0と近似できるとすると(39)、(41)式は次のように変形できる。
【数42】
e1q=ω・L σ・i1d+ω・M・im ・・・(42)
【数43】
e1q* =Gq ・Δi1q+ω・L σ・i1d* +ω・Mn ・im* ・・・(43)
これらの式中でi1d* 、i1dは(38)式によって正確に制御されることから、また(33)式で示したようにim の変化が十分に緩やかであることから【数44】i1d* =i1d ・・・(44)
【数45】im*=im ・・・(45)
と考えることができる。これら(44)、(45)式の条件のもとで(42)式と(43)式との差を考えると次の(46)式となり、変形して(47)式を得る。
【数46】
e1q−e1q* =ω( M−Mn)im −Gq ・Δi1q=0 ・・・(46)
【数47】
Gq ・Δi1q=ω( M−Mn)im = ω・ΔM・im ・・・(47)
(47)式よりi1q* ≒0のときにGq ・Δi1qは励磁インダクタンスMの設定誤差ΔMを表しており、よってGq ・Δi1qを用いてコントロ−ラ側で想定したMn を真値に補正することが可能である。そこで図1の実施例においては増幅器16の出力すなわちGq ・Δi1qを増幅器21において増幅し、その出力をコンパレータ22およびスイッチ23によってトルク指令T* が予め設定されたTrfより少ない場合のみデータテーブル24に入力する。このデータテーブル24では磁束密度指令φ* の値をアドレスとして各磁束密度ごとに増幅器21の出力を積分して保持する。この積分値は励磁インダクタンスMの設定誤差ΔMであり、トルク指令が0でない場合においても磁束密度指令φ* に応じて保持されている設定誤差ΔMを取り出して変換器1の係数1/Mを補償しているので常に励磁インダクタンスMを真値に校正すること可能である。なお増幅器21の増幅率Gmは同定ゲインであり、この値が高いほど励磁インダクタンスMの同定時間が短くなる。
【0019】次に2次抵抗r2 についてもコントロ−ラ側で想定したノミナル値r2nと実際の値r2 との間に設定誤差Δr2 がある場合を仮定する。まず(35)式を変形して(48)式を得る。
【数48】
ω・M・im =( ω/ωs)r2 ・i1q ・・・(48)
この(48)式に(39)式を代入することによって、実際にモ−タに発生するq軸電圧は次のように表すことができる。
【数49】
e1q=ω・L σ・i1d+( r1 +p・L σ) i1q +( ω/ωs)r2 ・i1q ・・・(49)
一方、コントローラの出力する電圧e1q* は(40)、(48)式から次のように表すことができる。
【数50】
e1q* =Gq ・Δi1q+ω・L σ・i1d* +r1 ・i1q* +( ω/ωs)r2n・i1q* ・・・(50)
ここでi1d、i1d* は(44)式の通り、またi1q、i1q* についても(40)式に基づいて次のように等しいと考える。
【数51】i1q=i1q* ・・・(51)
この仮定のもとで(49)と(50)式との差を考えると(52)式を得る。
【数52】
e1q−e1q* =p・L σ・i1q−Gq ・Δi1q +( ω/ωs)・( r2 −r2n) ・i1q=0 ・・・(52)
第1項は他の項に比べて比較的小さいので無視すると次の(53)式を得る。
【数53】
Gq ・Δi1q=Δr2(ω/ωs)i1q ・・・(53)
すなわち(53)式よりGq ・Δi1qは2次抵抗r2 の設定誤差Δr2 を表しており、この誤差はGq ・Δi1qを用いて補正することが可能である。そこで図1の実施例においては増幅器25において増幅器16の出力すなわちGq ・Δi1qに同定ゲインGr を乗算し、その出力に応じて変換器8の係数r2 を補償している。
【0020】このように(38)、(40)式に基づいて構成した制御系は励磁インダクタンスMと2次抵抗r2 をそれぞれ、(47)、(53)式に示すように真値に同定することが可能であり、同定された真値に基づいて(35)式を満たすωs をモ−タに与えることが可能となる。その結果、モ−タ内部における実際のi1d、i1qを所望の指令値i1d* 、i1q* のとおりに制御することが可能となる。
【0021】
【発明の効果】以上、説明したように本発明においてモータ内部の励磁電流id およびトルク電流iq を励磁電流指令id*およびトルク電流指令iq*に対してそれぞれ独立にフィードバック制御しており、その制御に用いられるパラメータの励磁インダクタンスM、2次抵抗r2 について実際のモータにおける真値を同定し、自動的に制御パラメータを適性に追従させている。その結果、鉄心の磁気飽和の影響やモータの製造上の寸法精度などによる励磁インダクタンスMの変動およびモータの温度変化等による2次抵抗r2 の変動の影響を受けず、常に精度良く所望の出力トルクを得ることができるので従来は適用するモータにあわせて制御パラメータの調整が必要であったが、この調整を不要とすることができる。




 

 


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