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発明の名称 電動機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−80018
公開日 平成8年(1996)3月22日
出願番号 特願平6−206558
出願日 平成6年(1994)8月31日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
発明者 梨木 政行
要約 目的
小型で大きなトルクを発生でき、トルクリップルが小さい、また、高い回転数では、いわゆる界磁弱め制御も可能な電動機を提供する。

構成
径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でm個存在するステータと、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でn個存在するロータとを有する電動機において、m,nは十分大きな値とし、|m−n|を1もしくは2と小さな値とし、ステータに2極の多相交流ステータ巻き線を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】 径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でm個存在するステータと、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でn個存在するロータと、を有する電動機において、|m−n|=1又は2で、ステータに磁気抵抗の小さい部分を2箇所以上含んで巻回されたステータ巻き線を備えることを特徴とする電動機。
【請求項2】 請求項1記載の電動機において、ステータに2極の多相交流ステータ巻き線を備えることを特徴とする電動機。
【請求項3】 請求項1乃至2記載の電動機において、電気角的かつ機械角的に360度の構成要素を、機械角360度の中に複数組含むことを特徴とする電動機。
【請求項4】 径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でm個存在するステータと、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でn個存在するロータと、を有する電動機において、|m−n|=k、m>k、n>kで、kは3以上の整数であり、ステータに磁気抵抗の小さい部分を2箇所以上含んで巻回されたステータ巻き線を備えることを特徴とする電動機。
【請求項5】 請求項1乃至4記載の電動機において、回転トルクを減ずるように作用する磁束を回転トルクの減少がより少ない磁路へ誘導する補助手段を設けたことを特徴とする電動機。
【請求項6】 請求項1乃至4記載の電動機において、電動機の全周において、ステータとロータとを通じる磁気抵抗の大きい部分の幅が磁気抵抗の小さな部分の幅より大きいことを特徴とする電動機。
【請求項7】 請求項1乃至6記載の電動機において、ステータとロータとの磁気回路が電磁鋼板を積層して構成していることを特徴とする電動機。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電動機、特に電動機の有する改良されたステータ及びロータの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図17に突極型の2極ロータ128をもつ従来の同期電動機の断面図を示す。ステータ126は、36個の巻き線用スロット127をもち、図18の巻き線図に示す2極3相交流巻き線を持っている。これらにより形成される電動機は、ケース125に収納される。
【0003】この電動機の動作は、3相交流巻き線が任意の回転位置へ起磁力を発生できることを利用して、ロータの回転させたい回転位置へ前記起磁力を発生させる事により所望の回転トルクを得るものである。
【0004】この電動機の駆動方法は、ロータ回転位置検出手段を設け、図17に示したロータ回転角ARを認識し、所望のトルクが発生するように適切な3相電流を制御してトルクを得、速度制御、位置制御などを行う。
【0005】また他の方法としては、動かしたい位置へ3相交流巻き線により起磁力を発生し、ロータをその所望の回転位置へ動かし、その動作を連続させる事によりオープンループ制御で位置検出することなく速度制御、位置制御を行うこともできる。
【0006】図19は従来のリラクタンスモータである。ロータ122は、4個の突極124を持つ。ステータ121は、6個の突極129A,129B,129C,129D,129E,129Fと各突極にそれぞれ巻回された巻き線123とを持っている。突極129Aと129Dにそれぞれ巻回された各巻き線は、直列に巻かれていて、AD相巻き線である。突極129Bと129Eにそれぞれ巻回された各巻き線は、直列に巻かれていて、BE相巻き線である。突極129Cと129Fにそれぞれ巻回された各巻き線は、直列に巻かれていて、CF相巻き線である。
【0007】この電動機の動作は、AD,BE,CFの各3相巻き線にロータ122の突極を磁気的に吸引する方向に順次通電する事によりリラクタンス力を得、回転トルクを得る。この電動機の駆動方法、応用方法は前述の同期電動機と類似している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図17に示した同期電動機においては、磁極の両端を使えなく界磁面積が小さくなるので、誘導電動機に比較し同一値の電流を流したときの発生トルクが小さくなるという課題と界磁磁束の存在自由度が高いため大きなピークトルクを得にくいという課題とがある。
【0009】図19に示したリラクタンスモータにおいては、ステータとロータの両方が回転方向に磁気的に不連続であるため、トルクリップルが大きく発生するという課題がある。
【0010】本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型であっても大きなトルクを発生でき、トルクリップルが小さい電動機を提供することにある。
【0011】また、高い回転数では、いわゆる界磁弱め制御も可能な電動機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でm個存在するステータと、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でn個存在するロータと、を有する電動機において、|m−n|=1又は2で、ステータに磁気抵抗の小さい部分を2箇所以上含んで巻回されたステータ巻き線を備えることを特徴とする。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載の電動機において、ステータに2極の多相交流ステータ巻き線を備えることを特徴とする。
【0014】請求項3記載の発明は、請求項1乃至2記載の電動機において、電気角的かつ機械角的に360度の構成要素を、機械角360度の中に複数組含むことを特徴とする。
【0015】請求項4記載の発明は、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でm個存在するステータと、径方向の磁気抵抗が大きい部分と小さい部分とが全周でn個存在するロータと、を有する電動機において、|m−n|=k、m>k、n>kで、kは3以上の整数であり、ステータに磁気抵抗の小さい部分を2箇所以上含んで巻回されたステータ巻き線を備えることを特徴とする。
【0016】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4記載の電動機において、回転トルクを減ずるように作用する磁束を回転トルクの減少がより少ない磁路へ誘導する補助手段を設けたことを特徴とする。
【0017】請求項6記載の発明は、請求項1乃至4記載の電動機において、電動機の全周において、ステータとロータとを通じる磁気抵抗の大きい部分の幅が磁気抵抗の小さな部分の幅より大きいことを特徴とする。
【0018】請求項7記載の発明は、請求項1乃至6記載の電動機において、ステータとロータとの磁気回路が電磁鋼板を積層して構成していることを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明によれば、m,nは十分大きな値とし、|m−n|を1もしくは2と小さな値とすることにより、ステータの突極とロータの突極の相対位置関係が少しづつずれた複数のトルク発生機構を作り出し、電動機出力トルクをその各発生トルクの総和とする事によりどの回転角においてもトルクリップルを小さくすることができる。
【0020】また、ステータ巻き線を複数のトルク発生機構に共通な巻き線とし、複数のトルク発生機構の磁束が共通の巻き線に同時に鎖交する構造とするので、従来構造の電動機より鎖交磁束の回転角度変化率を複数倍大きくすることができる。この結果、前記巻き線には従来より複数倍の電動機誘起電圧が発生することになり、従来と同じ電流でも大きな電力注入ができるようになり、電動機の機械出力で表現すると大きなパワー、大きなトルクを発生することができる。
【0021】また、補助巻き線によりさらにトルク出力の増大を図ることができる。
【0022】さらに、ステータとロータとの各突極の幅を小さくすることにより、またステータ巻き線が発生する起磁力の回転角度を制御する事により、ステータとロータとの鎖交磁束の量を制限できるようになり、高速回転運転中の電動機の内部磁気エネルギの低減即ち電動機駆動装置側からみた無効電力の低減を可能とし、力率の改善を可能とした。また、本発明によれば、各巻き線の鎖交磁束の量を制御できるのであるから高速回転におけるいわゆる界磁弱め制御、即ち、定パワー制御を実現することができる。更に、ステータ巻き線の起磁力を制限することなく、ステータとロータとの鎖交磁束の量を制限できるようになるのであるから、その状態でさらに大きな電流も流すことができ、高速回転の界磁弱め領域においても大きなピークトルク出力を可能とした。
【0023】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明に係る電動機の好適な実施例について説明する。本発明に係る一実施例である電動機の断面図を図1に示す。この電動機のステータ51は、磁気抵抗が大きい部分である凹部と磁気抵抗が小さな部分である突部とを存在させるためにm個、本実施例においては電動機巻き線配設用スロット53を形作る歯52を兼ねた突部を36個持っており、各スロット53には磁気抵抗の小さい部分を2箇所以上含んでステータ巻き線を巻回されている。これは、図18に示す通常の交流回転機と同じ2極3相交流巻き線が巻回されている。なお、図1における各スロット53に付されたスロット番号と図18に示した電動機巻き線の数字とは対応した数字であり、いずれかのスロットに巻き回された電動機巻き線を巻き線Nとして表すことにする。ロータ54は、磁気抵抗が大きい部分と磁気抵抗が小さな部分とを存在させるためにn個、本実施例においては突部55を35個持っている。このように、ステータ51とロータ54の突部は、|m−n|=1の関係を有している。従って、ステータ51の突部とロータ54の突部55とが互いに対向して磁気抵抗が小さくなる場所はロータ54が35分の1回転すると1周して元に戻る関係となっている。一方、ロータ54とステータ51間の磁気抵抗が最小に小さくなっている場所の反対側即ち180度ずれた角度ではステータ51とロータ54間の磁気抵抗は最大に大きくなる関係になっている。本実施例における電動機は、このような形状のステータ51及びロータ54の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されている。勿論、電磁鋼板以外の磁性材料で同様の磁気回路を構成しても同様の電磁気的動作を得る事ができる。これ以降に示す各実施例においても同様とする。
【0024】次に図1の電動機の動作について説明する。
【0025】この電動機の各スロット53には図18に示す2極3相交流巻き線が巻回されていて、これらのステータ巻き線、すなわち電動機巻き線へパワートランジスタなどにより制御して適切な3相交流電流を流す事により、任意のステータ角度にほぼ正弦波状の起磁力を発生する事ができることは良く知られている。
【0026】今、例えば図1において、電動機巻き線へ電流を流した場合の動作について説明する。簡略化のために特定スロットに電流を流した場合について考えてみる。
【0027】巻き線3から巻き線3と対称の位置にある巻き線21へ電流を流すと図1の右側から左側に向かって起磁力が発生する。しかし、この状態ではステータ51とロータ54の磁気抵抗の関係は左右対象になっているので回転力は発生しない。巻き線7から巻き線7と対称の位置にある巻き線25へ電流を流すと図1の右下側から左上側に向かって起磁力が発生する。この状態ではステータ51とロータ54の磁気抵抗の関係はアンバランスであり、右下側の磁気抵抗が左上側の磁気抵抗より相対的に小さくなっており、起磁力が働いている方向の全磁路の磁気抵抗が小さくなるように反時計方向の回転力が発生する。この回転力について図2で説明する。
【0028】図2には、電動機の要部が示され、ステータ60の一部、ロータの突部61及び電動機巻き線62、63がそれぞれ示されている。電動機巻き線62から電動機巻き線63へ電流CTを流すとステータとロータ間に起磁力が発生し、磁束FLが発生し、回転力F1が発生する。これらの各物理量について分析する。
【0029】前提条件として、磁束FLはステータ、ロータ間のエアギャップが十分小さく、ステータの突部とロータの突部とが対向している部分のみに磁束が存在すると仮定して数値的な取扱いを行う。また、起磁力Hと磁束密度BBとは図3に示したような関係で、電流CTにより磁気飽和しない線形な範囲で動作させるものと仮定する。通常、磁気抵抗はエアギャップ部が支配的であり、この例においては全て磁気抵抗はエアギャップ部で発生するものとする。また、電動機巻き線62、63は1ターンとし、ステータ、ロータの軸方向の長さをLとする。
【0030】回転方向に働く力即ち回転力の他にラジアル方向に働く力も存在するが、ラジアル方向に働く力は電動機の軸受けで支えられ、あるいは電動機の他の部分のラジアル方向の力とキャンセルされる関係であることからラジアル方向への変位は無いので数値計算上は無視することにする。従って、ラジアル方向への仕事量は零である。
【0031】今、電動機巻き線62、63へ定電流CTが流されており、時間△t間にロータが△Xの距離をF1の方向へ動いたと仮定する。この時の注入電力EINは、【数1】
EIN=V・I・△t =△FL/△t・CT・△t =BB・△X・L・CT ・・(1)
となる。
【0032】起磁力CT、エアギャップ長LG、面積SS、磁束密度BB、透磁率MY(4π×10-7H/m)、磁気抵抗MRとの関係は、次の通りである。
【0033】
【数2】
MR≒LG/(MY・SS) ・・(2)
【数3】
FL=BB・SS=CT/MR ≒CT・MY・SS/LG ∴BB≒CT・MY/LG EIN=BB・△X・L・CT ≒△X・L・CT2 ・MY/LG ・・(3)
また一方、電動機の内部磁気エネルギE1と微小変化△X移動後の内部磁気エネルギE2は、磁気エネルギが図3のBB−H特性の左側の面積である事から次のようになる。
【0034】
【数4】
E2−E1=1/2・△FL・CT =1/2・BB・△X・L・CT ・・(4)
微小変化△Xの前後のエネルギ関係は、機械的出力エネルギをEOとすると次のようになる。
【0035】
【数5】
EIN+E1=EO+E2 ∴EO=EIN+E1−E2 =BB・△X・L・CT−1/2・BB・△X・L・CT =1/2・BB・△X・L・CT =1/2EIN ・・(5)
電動機の回転力F1は機械的出力エネルギEOとの関係、式(3)、(5)より次のようになる。
【0036】
【数6】
F1=EO/△X =1/2・BB・△X・L・CT/△X =1/2・BB・L・CT =1/2・L・CT2 ・MY/LG ・・(6)
このように、電動機の回転力を電流値CTと電動機の各サイズL,LGで表す事ができる。
【0037】結論としては回転力は電動機の長さL,電流の二乗CT2 に比例し、エアギャップ長LGに反比例する事になる。また、注入エネルギEINの半分は磁気エネルギとなり、残り半分が機械的出力EOとなっている。
【0038】以上の論理は、図3に示す電磁気関係において、磁気飽和しない部分で動作させる事を前提に考えてきたが、次に磁気飽和する場合について考えてみる。注入電力EINは次のようになる。
【0039】
【数7】
EIN=V・I・△t =△FL/△t・CT・△t =B0 ・△X・L・CT ・・(7)
磁気飽和しても電流CTに比例した電力注入が行われる事になる。磁気飽和する様な起磁力、即ち、電流値をCT0 とする。内部磁気エネルギE1,E2は次のようになる。
【0040】
【数8】
E2−E1=1/2・△FL・CT0 =1/2・B0 ・△X・L・CT0 ・・(8)
回転力F1は、次のようになる。
【0041】
【数9】
F1=EO/△X =(EIN+E1−E2)/△X =(B0 ・△X・L・CT−1/2・B0 ・△X・L・CT0 )/△X =B0 ・L・CT−1/2・B0 ・L・CT0 ・・(9)
今、例えば、磁気飽和する起磁力の3倍の電流CT=3・CT0 を流したとすると、回転力F1は次のようになる。
【0042】
【数10】
F1=B0 ・L・3・CT0 −1/2・B0 ・L・CT0 =5/2・B0 ・L・CT0 ・・(10)
この場合、注入電力の5/6が回転エネルギに変換され、内部磁気エネルギへ変換されたエネルギは注入電力のわずか1/6である事が解る。即ち力率良く運転するためには磁気飽和領域で運転すれば良い事になる。
【0043】また、直流電動機、永久磁石型同期電動機等の電動機では、フレミング左手則により、回転力FFは式(11)であることは良く知られている。
【0044】ここで、平均磁束密度BBは、通常の電動機設計ではスロット部と歯の部分とが50%ずつにあると仮定すると、飽和磁束密度B0 の約半分の値となると仮定している。
【0045】
【数11】
FF=2・BB・L・CT =B0 ・L・CT ・・(11)
式(10)と式(11)を比較すると、図2の回転力F1は磁束の飽和領域で使用すれば界磁磁束を他の手段で生成する直流電動機等の従来の電動機の回転力FFに近づくことが示唆されている。
【0046】ここで、図2において、電動機の回転力F1とステータの突部の幅、ロータの突部の幅、及びステータの突部とロータの突部とが対向している部分の幅Xとは関係がない事も明らかになった。
【0047】図4は図2と比較し、ほぼ同じスペースに2組の突部をもたせている。したがって図2において電動機巻き線62、63に流した電流CTを図4の電動機巻き線66、67に流し、さらに直列に電動機巻き線68、69に流せば発生する回転力F2は、式(6)、式(10)で示される回転力F1の2倍の回転力となる。
【0048】また、電動機巻き線67、68に流される電流は、同じ値で逆向きの電流であるから起磁力がキャンセルし合っている。即ち電動機巻き線66から電動機巻き線69へ電流CTを流した場合と等価であり、電動機巻き線67、68を除去する事ができる。結果として、電動機巻き線の長さは、コイルエンド部がわずかに長くなるだけで、2倍の回転力F2が得られた事になる。
【0049】さらに、電動機巻き線の長さをほとんど変えずにステータ、ロータの突部の数をNN倍に増加することにより、同じスペースで回転力をNN倍に増加できることを示唆している。電動機のコイルエンドが少し長くなることはその分だけ銅損も増加するが、電動機全体の損失、効率としては小さな問題である。
【0050】次に、電動機の銅損に関し、コイルエンドの長さと電動機効率との関係を考えてみる。
【0051】図5において、70はロータ、71は電動機巻き線、LCEはコイルエンドの長さ、LLはロータの有効長である。電動機の形状は、細長い形状から太く短い電動機まで種々形状の電動機が使われている。今ロータ径一定として考えた場合、コイルエンド長LCEに比較しロータ有効長LLを十分大きな値とすればコイルエンドの銅損は相対的に小さな値となり無視できる。
【0052】電動機の基本性能として[回転トルク/単位体積]ということについて考える。論理の簡略化のために電動機内部の磁気エネルギの変化分E1−E2については無視することにする。一般例として図5の様な電動機形状を想定すると、[回転トルク/単位体積]は一定電流を電動機巻き線71に流した状態でいかに大きな回転力FFを得るかという問題に置き換える事ができる。回転力FFは、式(1)より次のように表すことができる。
【0053】
【数12】
FF≒EIN/△X =CT・△FL/△X ≒CT・dFL/dX ・・(12)
直流電動機、永久磁石型同期電動機等の電動機では、フレミング左手則により回転力FFは式(11)よりFF=2・BB・L・CTであり、【数13】
dFL/dX=2・BB・LL ・・(13)
となる。これはロータ70の回転と同期して磁束密度BBの磁束が電動機巻き線を横切る関係である事を示している。
【0054】本発明は式(13)で示されるdFL/dXより大きな値を得、かつ、トルクリップルが小さく、高速回転も可能な電動機を提案するものである。従って、式(12)が示すように大きな電力注入が大きな回転力FFになり、そのためには大きなdFL/dXが得られるように電動機巻き線へ電流を流せば良く、必ずしも磁束FLもしくは磁束密度BBが大きな値である必要はない。この具体的事例を既に図2と図4の比較において示した。
【0055】図4において、電動機巻き線67、68を除去し電動機巻き線66、69へ電流CTを十分磁気飽和するように流した時、そのdFL/dXは式(13)の2倍の値となり、従来の直流電動機等が発生する回転力FFの2倍の値となる。
【0056】以上のような基礎技術に基づいて、図1に示した本実施例における電動機の動作について説明する。
【0057】今、例えば巻き線3から巻き線21へ電流CTを流すと左側半分はロータ54の突部55の数が35なので、図2、図4で説明したように式(6)あるいは式(9)の関係より、左側半分のロータ54の突部55へは35/2倍に近い回転力FCが発生している。但し、この時同時に電動機の右側半分は、全く逆の動作を行い、反時計方向の回転力FCCが発生しており、電動機の右側半分と左側半分とがキャンセルし合い、合計の回転力は零となっている。この電動機の左右がバランスしているわけである。しかし、この電動機の部分的な回転力は従来電動機に比較し強大なものであることは事実である。この電動機の駆動方法は、既に紹介したように、上記磁気的バランスを崩せば良い事になる。
【0058】この電動機の具体的駆動方法の一つは、図18に示す2極3相交流巻き線を巻回し、適切な角度に起磁力を生成する方法である。3相電流を通電すれば起磁力が発生し、磁気抵抗の小さくなる回転方向へ回転力FFが発生することになる。3相交流電流による起磁力分布は正弦波状であり、発生回転力FFは少し複雑な関係となる。
【0059】今、例えば簡単な例として、巻き線7から巻き線25へ電流を流すと図1の右下側から左上側に向かって起磁力が発生する。この状態ではステータ51とロータ54の磁気抵抗の関係はアンバランスであり、右下側の磁気抵抗が左上側の磁気抵抗より相対的に小さくなっており、起磁力が働いている方向の全磁路の磁気抵抗が小さくなるように反時計方向の回転力が発生する。右下側の磁束密度が左上側の磁束密度より大きく、右下側の回転力FCCが左上側の回転力FCより大きいということも言える。正確には、対向するステータ51の突部とロータ54の突部55とに印加される起磁力を求め、式(6)あるいは式(9)に従って回転力を求め、電動機全周について累積する必要がある。
【0060】このように、ステータ51の突部とロータ54の突部55の個数をわずかに異なるようにすることでステータ51の突部とロータ54の突部55との相対関係が少しずつずれて存在するので、それぞれの発生トルクを合計した電動機出力トルクのトルクリップルが小さいという特徴がある。ステータ51の突部とロータ54の突部55とのわずかな差は、前述したような|m−n|=1かあるいは|m−n|=2程度である。いずれにしても、電動機の右側半分は反時計方向の回転力FCCを発生し、左側半分は時計方向の回転力FCを発生する。また、ステータ51の突部とロータ54の突部55との相対的位置関係はバーニア構造となっているため、ロータ54が1回転する間に35回転する関係となる。
【0061】従って、この電動機の駆動周波数は、ある回転速度での駆動周波数を比較すると、例えば2極永久磁石型同期電動機を駆動する3相交流周波数の35倍の周波数で駆動する事になる。
【0062】以上の説明は、m=36,n=35の場合で、m>nの場合であり、図1のように上側でステータの突部とロータの突部が一致している場合を想定すると、各部で発生する回転力の方向は図1に示すFC,FCCの方向となる。また、ロータの回転方向と3相交流電流の位相回転方向とは逆方向となる。
【0063】一方、m=36,n=37でm<nの場合は、図1のように上側でステータの突部とロータの突部が一致している場合を想定すると、各部で発生する回転力の方向は図1に比較しFC,FCCの方向が逆の方向となる。また、ロータの回転方向と3相交流電流の位相回転方向とは同じ方向となる。
【0064】図1に示した電動機の他の巻き線構成例として、2極の多相交流ステータ巻き線、例えば図6に示したような5相の電動機巻き線を配設する場合について説明する。
【0065】図6では簡略化のため集中巻きで示しているが、全周に5相の電動機巻き線を巻回し、順次各相の電流を通電する事により式(6)、式(9)等で表される回転力を任意に得るものである。またこの時、駆動したい方向へ回転力を発生する部分のみで磁束がループするようにし、駆動したい方向と反対方向へ回転力を発生する部分では磁束密度が小さくなるように各電動機巻き線の電流を制御すれば効率よく大きな回転力を得る事ができる。即ち、例えば図1の状態において時計方向に駆動したい場合、電動機に左側半分で磁束がループし、右側半分ではほとんど磁束が存在しないようにすれば良い。
【0066】具体的な例としては、巻き線の相数を大きくしコイルピッチを電気角で180度より小さくし、電動機全周の一部の巻き線にだけ適宜電流を流し必要な起磁力だけを発生させるようにすれば、有効な回転トルクだけを発生させ効率よく回転トルクを得ることができる。
【0067】この他にも各種の多相の電動機巻き線、変形した電動機巻き線が可能である。例えば、良く用いられる手法としては起磁力の高調波を減少させる目的で単節、分布巻きがあるが、同様の目的で、部分的な電動機巻き線を追加あるいは削除する方法などもある。
【0068】図7は、本発明に係る他の実施例を示した図であり、図1のステータ構造を変形した図である。図7には、実際にはその要部のみが示されており、本実施例における電動機は、図1の3スロット分の電動機巻き線が集中的に巻回されているスロット56と、ステータの磁気的な抵抗部を作るための凹部57と、を有している。このような構造とする事により電動機巻き線の簡略化を図ることができる。その反面、欠点としては、起磁力分布が正弦波から次第に外れ、高調波を多く含むようになる傾向がある。
【0069】なお、本実施例における電動機の構造は、磁気抵抗が大きい部分と磁気抵抗が小さな部分とがステータ及びロータにそれぞれm個、n個存在すればよく、必ずしもステータ及びロータに幾何学的凹凸部を持たせる必要はない。例えば図8に示した空隙部73のように、ロータの外周は円形で、内部構造を工夫する事により磁気抵抗を作るなどの種々変形が可能である。
【0070】但し、図1に示した電動機において注意すべきこともある。それは、磁気回路の機磁力に対し磁気回路が不平衡なのでロータの軸方向に起磁力が発生する事になり、モータ構成上ロータ軸磁束は有害な場合もある。従って、ロータ軸からの漏れ磁束が問題となる場合は、ロータの軸あるいはモータ前後のフランジあるいはモータのケースなどを非磁性体とすること等により軸方向の磁気抵抗を大きくしておく必要がある。
【0071】回転トルクのアンバランス及びラジアル方向の磁気的吸引力のアンバランスについては、通常の回転機において例えば2極電動機を4極電動機と同様に、全周即ち機械的な360度に図1に示した電動機の電気角的かつ機械角的に360度の構成要素を複数、例えば2組組み込む事により、即ち、機械角180度の間に図1の電動機を回転方向に圧縮して配置することにより解消する事ができる。
【0072】このような多極化は、一電動機巻き線当たりの鎖交磁束の回転角度変化率を下げるものの、コイルエンドの長さを短くする事ができ、特にモータの長さが短い場合はコイルエンド部の銅損を減少させる事ができる事になり、その意味でモータ効率を向上させる効果がある。また、この多極化は、ステータヨーク部の厚みを低減させる効果もある。
【0073】図9に本発明に係る他の実施例を示す。この実施例は、高速回転においても回転容易でかつ大きな回転トルクを発生可能とするものである。図1に示した電動機のステータ及びロータの磁気抵抗の小さい突部と磁気抵抗の大きい凹部との合計した幅の比がほぼ1:1であったのに対し、図9に示した本実施例においては、電動機の突部と凹部との比を、突部の比が小さくなるようにして磁気抵抗を大きくしている。すなわち、磁気抵抗の大きい部分の幅が磁気抵抗の小さな部分の幅より大きくすることを特徴としている。この結果、図9において下部の方はある範囲においてステータの突部とロータの突部とが対向しておらず、磁気抵抗が非常に大きくなっている。
【0074】このような状態で例えば巻き線10、28に電流を流し右下から左上の方向に起磁力を発生させた場合、起磁力を小さくすることなく即ち通電電流を小さくすることなくその位相制御により、磁束の総通路幅を非常に小さくする事ができ、磁束の大きさを小さくする事ができる。このように電流位相を、起磁力がより下部側から上部側に働くようにシフトすると、発生磁束を小さくする事ができ、各電動機巻き線に回転時に発生する逆誘起電圧を小さな値とする事ができる。
【0075】従って、直流電動機におけるいわゆる界磁弱めによる高速回転と同等の動作が可能となる。またこのような高速回転時においても通電電流CTを大きく流す事が可能なので大きなトルク発生も可能である。
【0076】次に、回転力をさらに増加させる技術について説明する。
【0077】定性的には、磁束をバイパスする磁気回路を付加する事によって、駆動したい方向と反対の方向の回転力を発生する磁束を減少させ、電動機内部で発生している回転力をより有効に活用するものである。既に説明したように、例えば、巻き線7から巻き線25へ電流を流すと図1の右下側から左上側に向かって起磁力が発生する。この時各部の磁束密度の差により反時計方向回転力FCCの方が時計方向回転力FCより大きいためその差分の回転力を得る事ができる。
【0078】しかし、この時、駆動したい方向の反対方向の回転力FCを小さくする事ができれば、電動機の回転力、出力はさらに大きな値となる。
【0079】この実施例について、図10を用いて具体的に説明する。図1に比較し巻き線1、6、7、12、13、18、19、24、25、30、31、36が6相の巻き線A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2、E1、E2、F1、F2にそれぞれ置き換わっている。この6相の電動機巻き線は例えば図6の5相巻き線図を6相にしたようなものである。図11に各電動機巻き線が発生する起磁力、磁束の関係を、図10を簡略化しイメージ的に示す。
【0080】例えば、巻き線8から巻き線26へ流れる電流は、起磁力78、79を発生する。今、追加した巻き線A2、A1へ電流を流すと起磁力80、81、82を発生する。起磁力81は起磁力78を助長し、起磁力79とキャンセルする関係となる。そして、起磁力78、81で励起された磁束は、起磁力80の方向へ誘導される。起磁力80の方向へ発生する磁束は、図10に示したロータ回転位置では左右対象となっており、電動機の回転力を発生しない。結果として、起磁力79により励起されていた磁束は減少し、時計方向の回転力も減少し、電動機の反時計方向の総合計回転力は増加する事になる。
【0081】図10に示した実施例は、図1と比較すると、一部のスロットの電動機巻き線を除去し磁束誘導巻き線A1〜F2を配設するようにしたが、図1の各スロット電動機巻き線に重畳するなど種々の変形が可能である。
【0082】図12に本発明の他の実施例を示す。ステータ95は、図1の電動機に相当する駆動部を2組、磁束をバイパスする磁路を2組備えている。ステータ95の右側部には12個の突部102を持ち、この機械角で約130度の部分が電気角的には360度の機能を果たすように3相交流巻き線が配設されている。この12個の突部102に対向するロータ84の突部の数は11個である。更に、回転トルクを減ずるように作用する磁束を回転トルクの減少がより少ない磁路へ誘導する補助手段として、駆動方向と反対の方向に働く磁束を誘導するバイパス磁路96と磁束誘導巻き線97、98とを有し、それと対称の位置には、同様にバイパス磁路99と磁束誘導巻き線100、101とを有する。
【0083】一方、図12に示した電動機の左側約130度の部分は右側と対象な構造となっている。即ち、ステータの左側部にも図1に相当する12個の突部103を持ち、この機械角で約130度の部分が電気角的には360度の機能を果たすように3相交流巻き線が配設されている。ステータ左側部の12個の突部103に対向するロータ84の突部の数は11個である。
【0084】図12に示した電動機は、電動機中心に対し点対称に構成されており、回転力を除く他の力は、ロータ軸を中心としてキャンセルするように構成している。磁束誘導巻き線97、98、100、101により得られる起磁力は、図10に示した電動機と同様に回転力を増す起磁力は助長し、回転力を妨げる起磁力はキャンセルするように配置、通電できる構造となっている。バイパス磁路96、99は、ロータ84がどの回転角にあってもロータの3個の突極と対向する形状となっており、ロータ84とステータ95間の磁気抵抗の回転位置依存性がないように作られているため、起磁力及び磁束の有無に関わらずこの部分では回転力を発生しない。
【0085】次に、この電動機の具体的動作について説明する。
【0086】この電動機には前述したように多相交流巻き線が用いられているが、説明を簡略化するために特定の電動機巻き線に電流が流れた場合の動作について考えてみる。
【0087】図12の状態において反時計方向にロータ84を回転させる場合、巻き線G1からG2へ電流を流すことで起磁力104を得ることができ、反時計方向の回転力を得る事ができる。しかし、同時に起磁力105も発生するため時計方向の回転力も発生する。
【0088】この時、磁束誘導巻き線100から101へ電流を流すと、106、107、108の方向へ起磁力が発生することになるので、起磁力104を助長し、起磁力105を減少させ、起磁力105の方向の磁束を起磁力106の方向へ誘導する働きをなす。この結果、反時計方向回転力は増加し、時計方向回転力は減少するので、右側半分の発生する回転力の合計としては反時計方向回転力が発生する。
【0089】全く同様な動作が左側の巻き線H1,H2および磁束誘導巻き線97、98でも行われ、電動機の合計回転力としては右側半分で得られた回転力の2倍の回転力を得る事ができる。巻き線H1,H2,97,98に流される電流による動作については説明を省略する。
【0090】今、駆動する回転方向に関係なく回転力を発生する起磁力及び磁束は、ステータ95側からロータ84側へ向かうように制御すると仮定すれば、磁束を誘導するバイパス磁路96、99へは常にロータ84側からステータ95側へ起磁力及び磁束が向かうようにすれば良い。従って、磁束誘導巻き線97、98、100、101へは直流を流しておけば良いことになり、比較的簡単な直流駆動回路で実現する事ができる。また、他の方法として、他の巻き線へ流す3相交流電流をダイオードで整流し巻き線97、98、100、101へ直列に接続するなど、比較的負担の少ない回路での制御も可能である。
【0091】具体的な例として、3相交流巻き線がスター結線する場合は各相の巻き線を結線する巻き線の中心部へ3相全波整流回路を設け、3相各相の巻き線を3相全波整流回路の交流端子に接続し、直流整流端子を前記磁束誘導巻き線97、98、100、101へ接続し直流電流を流すようにする方法もある。この場合は、前記3相全波整流回路は電動機内部もしくは近傍へ配置し電動機への配線を簡略化することができる。
【0092】ところで、図12に示す磁束のバイパス磁路96、99は軸方向に作る事も可能である。その例を図13及び図14に示す。
【0093】ステータ51の磁気的共通部からロータ54の磁気的共通部へ駆動方向と反対の方向に働く磁束を誘導するバイパス磁路113とその磁束誘導巻き線83とを設けるものである。この構成により図10の場合と同じ効果を得ることができる。
【0094】なお、軸方向の磁束は軸方向の力を発生するが、この力は電動機の軸受けで支持され、回転力は発生しない。あるいは、軸方向磁路を複数作り、それらの軸方向の力が互いにキャンセルするように構成することも可能である。
【0095】また、図6に示したような多相の巻き線を図12、図13、図14の電動機に適用し必要な部分のみに起磁力を生成する場合は、バイパス磁路96、99、113が存在するだけで回転力を減少させる側の磁気抵抗を減少させる効果があり、磁束誘導巻き線97、98、100、101、83が無くてもそれなりの効果を発揮する。
【0096】図15に本発明に係る他の実施例としてその電動機の断面図を示す。
【0097】この電動機のステータ51は、図1で示したものと同様な構造である。ロータ115は、34個の突部114を持っている。従って、ステータ51の突部とロータ115の突部114とが互いに対向して磁気抵抗が小さくなる場所は、ロータ115が1/34回転すると1/2回転するという関係となっている。ロータ115とステータ51間の磁気抵抗が小さくなっている場所の90度ずれた角度ではステータ51とロータ115間の磁気抵抗は大きくなる関係になっている。電動機各部へロータ115とステータ51間に磁束が存在すると仮定すると、ロータ115各部に発生する回転力は図15に示すように、時計方向回転力FC1、FC2及び反時計方向回転力FCC1、FCC2となる。
【0098】今、例えば巻き線3から巻き線21へ電流を流すと、各部分的回転力はキャンセルし合い総合計回転力はほとんど零となる。巻き線9から巻き線27へ電流を流すと、FC1、FC2に該当する部分へは大きな起磁力が発生し、FCC1、FCC2に該当する部分へは小さな起磁力しか発生しないので、相対的に時計方向の回転力が発生する事になる。
【0099】図15の電動機の巻き線としては、上記説明のように図18の巻き線が可能である。また、図1に示した電動機がそうであるように図6のような多相巻き線として、必要な回転力が得られる部分の巻き線に通電する事も勿論可能である。
【0100】また、図18のような相数の多い多相巻き線にして、駆動方向に有利な部分のみに起磁力を発生させる事により、より効率よい運転も可能である。同様に、電動機内部で生成する磁束量が小さくなるように電流位相を制御すれば、高速回転及び高速回転における大トルク出力の実現も可能である。
【0101】図15に示した電動機は、図12に示した電動機の変形例と同様に、多極化及び不要な磁束をバイパスする磁路等の補助手段の適用も可能であり、有効である。
【0102】また、特に図示しないが、|m−n|=k、m>k、n>kで、kは3以上の整数であるようなステータとロータの構造で、多相の巻き線を配設し適宜各相に電流を流すことにより、図1、図15の電動機と同様な回転力を得る事ができる。この時各相電流の位相回転速度はロータの回転速度のおおよそn/k倍となる。
【0103】また、この電動機においても、図12に示した電動機の変形例と同様に、多極化及び不要な磁束をバイパスする磁路等の補助手段の適用も可能であり、有効である。
【0104】以上、本発明に係る電動機について多くの実施例をあげて説明したが、各実施例の構成の一部が欠落した構造においても類似の効果が得られ、本発明に含むものである。例えば図16の電動機は、図1においてステータの突部を半分除去したものである。動作原理は図1の電動機とほぼ同じであり、磁路数は減りその分回転トルクは減るが巻き線の配設スペースを増加でき、巻き線数が減るので巻き線を簡素化できるという利点もある。
【0105】このようにステータもしくはロータの突部を部分的に除去し類似の効果を得る事ができ、いずれも本発明に含むものである。
【0106】なお、ステータの突部の数m,ロータの突部の数nの限界最大値は、ステータとロータとの磁気抵抗の関係が本発明の主旨に沿う限界値でもあり、ステータとロータとのギャップ長とステータの突部の隣接間隔及びロータの突部の隣接間隔とに関係した数となる。具体的には、ロータ外周をギャップ長で割った値までの数は取り得る。
【0107】また、ステータ及びロータの突極部形状についても主に矩形形状の場合について説明したが、特に矩形である必要はなく、またスキュー等の変形も可能である。
【0108】また、電動機の複合化も可能であり、回転方向の複合化即ち多極化については本実施例においても触れたが、回転軸方向の複合化、径方向の複合化、それらのさらに複合化なども可能であり、本発明に含むものである。
【0109】また、本発明を複合して変形した例として、ロータとステータとの突極部のピッチが互いに異なる部分を複数組作り、所望トルクに応じて適宜該当する巻き線へ通電する事により回転力を得る事も可能である。
【0110】以上、説明した本発明電動機の主な磁束の方向はラジアル方向であるが、磁束の方向がロータ回転軸の方向であり、ステータとロータとがロータ回転軸方向に対向している構造の電動機に変形することも可能である。例えばいわゆるフラット型の電動機などである。
【0111】また、回転型の電動機について説明したが、回転型だけでなく本発明を直線状に、あるいは曲線状に展開したリニアモータ等も本発明に含むものである。
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、電動機の出力トルクは、ステータの突極とロータの突極の相対位置関係が少しづつずれた複数のトルク発生機構により得るのでトルクリップルを小さくすることができる。
【0113】また、ステータ巻き線を複数のトルク発生機構に共通な巻き線とし、複数のトルク発生機構の磁束が共通の巻き線に同時に鎖交する構造とするので、従来構造の電動機より鎖交磁束の回転角度変化率を複数倍大きくすることができるようにした。この結果、前記巻き線には従来より複数倍の電動機誘起電圧が発生することになり、従来と同じ電流でも大きな電力注入ができるようになり、同一サイズの従来電動機に比較し大きなパワー、大きなトルクの発生ができるようにした。
【0114】また、磁束を誘導するバイパス磁路、磁束誘導巻き線等の補助手段によりさらにトルク出力の増大を図ることができる。
【0115】さらに、ステータとロータとの各突極の幅を小さくすることにより、またステータ巻き線が発生する起磁力の回転角度を制御する事により次のような効果、特徴をより顕著なものとした。
【0116】第一に、ステータとロータとの鎖交磁束の量を制限できるようになり、高速回転運転中の電動機の内部磁気エネルギの低減即ち電動機駆動装置側からみた無効電力の低減を可能とし、力率の改善を可能とした。
【0117】第二に、各巻き線の鎖交磁束の量を制御できるのであるから高速回転における界磁弱め制御即ち定パワー制御を実現できることも意味している。
【0118】そして、第三に、ステータ巻き線の起磁力を制限することなく、ステータとロータとの鎖交磁束の量を制限できるようになるのであるから、その状態でさらに大きな電流も流すことができ、高速回転の界磁弱め領域においても大きなピークトルク出力を可能とした。




 

 


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