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発明の名称 ブラシレスモータの制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−223973
公開日 平成8年(1996)8月30日
出願番号 特願平7−53565
出願日 平成7年(1995)2月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
発明者 森 智之
要約 目的
ブラシレスモータの制御方法において、安価なマイクロコンピュータを用い、電機子巻線の通電を適切に切り替え、振動や騒音の低減、回転の安定化を可能とする。

構成
電機子巻線の端子電圧(誘起電圧)と基準電圧とを比較回路10bで比較し、交点で変化する位置信号Dの変化を制御回路11により検出し、この変化点により1周期(電気角360)の時間を算出、記憶する。今回と前回計時の1周期の時間の差を算出し、時間差に応じてテーブルのデータを読み出し、電気角30度相当の時間については今回の変化点前に算出し、電気角90度および150度相当の時間については今回計時された1周期の時間をもとにして算出し、それら算出時間を計時し、この計時終了点で電機子巻線の通電を切り替える。
特許請求の範囲
【請求項1】 直流電源をインバータ手段でスイッチングして多相の電機子巻線を有するブラシレスモータに印加し、かつ前記ブラシレスモータの回転子の位置検出に基づいて前記インバータ手段を駆動して前記電機子巻線の通電を切り替えるブラシレスモータの制御方法であって、前記電機子巻線に発生する誘起電圧と基準電圧とを比較して前記ブラシレスモータの回転に同期した位置信号を得、該位置信号の変化点をもとにして1周期または半周期の時間(電気角360度に相当する時間)を計時し、該計時された時間を常に所定数だけ記憶し、今回計時された1周期または半周期の時間と前回計時されている1周期または半周期の時間との差を算出し、該算出時間差に応じて予め設定されたテーブルのデータを読み出す一方、前回計時された1周期または半周期の時間をもとにして前記通電切り替えタイミングに相当する時間(該時間のうち少なくとも最も短い時間)を今回の位置検出点前に算出するとともに、該算出された時間を前記読み出されたデータで補正し、前記補正された通電切り替えタイミングに相当する時間を今回の位置信号の変化点から計時し、該計時の終了時点で前記電機子巻線の通電を切り替えるようにしたことを特徴とするブラシレスモータの制御方法。
【請求項2】 直流電源をインバータ手段でスイッチングして三相の電機子巻線を有するブラシレスモータに印加し、かつ前記ブラシレスモータの回転子の位置検出に基づいて前記インバータ手段を駆動して前記電機子巻線の通電を切り替えるブラシレスモータの制御方法であって、前記電機子巻線の1つに発生する誘起電圧と基準電圧とを比較して前記ブラシレスモータの回転に同期した位置信号を得、該位置信号の変化点をもとにして1周期または半周期の時間(電気角360度または180度に相当する時間)を計時し、該計時された時間を常に所定数だけ記憶し、今回計時された1周期または半周期の時間と前回計時されている1周期または半周期の時間との差を算出し、該算出時間差に応じて予め設定されたテーブルのデータを読み出す一方、前回計時された1周期または半周期の時間をもとにして電気角30度に相当する時間を今回の位置検出点前に算出するとともに、該算出された時間を前記読み出されたデータで補正し、今回計時された1周期の時間をもとにして電気角90度および150度に相当する時間を算出しており、前記補正された電気角30度に相当する時間、電気角90および電気角150度に相当する時間を今回の位置検出点から計時し、該計時の終了時点でそれぞれ前記電機子巻線の通電を切り替えるようにしたことを特徴とするブラシレスモータの制御方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は空気調和機の圧縮機等に用いる直流ブラシレスモータ(以下ブラシレスモータと記す)の回転制御技術に係り、特に詳しくはブラシレスモータの巻線電流を最適に切り替え、ブラシレスモータの回転制御の安定化を図るブラシレスモータの制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】このブラシレスモータの回転制御においては、ロータ(回転子)の位置を検出する手段としてホール素子を使用せずに、ブラシレスモータの電機子巻線に誘起される電圧を利用するものがある。
【0003】上記誘起電圧を利用して回転子の位置を検出し、この位置検出をもとにしてブラシレスモータの通電を切り替えて同ブラシレスモータを回転制御するには、例えば三相モータである場合図8に示す制御装置を必要とする。
【0004】図8において、この制御装置は、交流電源(商用100V)1を倍電圧整流、平滑化するための倍電圧整流平滑回路2と、この倍電圧整流、平滑化された直流電源Vdcをスイッチングしてブラシレスモータ3の電機子巻線に印加するために複数のスイッチング素子(トランジスタ)U,V,W,X,Y,Zをブリッジ接続したインバータ回路4と、ブラシレスモータ3の端子電圧(例えば120度位相の異なる電圧;誘起電圧を含む)R,S,Tをもとにして回転子3aの位置を検出する位置検出部5と、ブラシレスモータ3の各電機子巻線の通電を所定に切り替え、かつ位置検出部5からの位置検出信号A,B,Cをもとにして各電機子巻線の通電を所定に切り替えるためにインバータ回路4の駆動信号を出力する制御回路6と、この駆動信号によりインバータ回路4のスイッチング素子(トランジスタ)U,V,W,X,Y,Zをオン、オフする駆動回路7とを備えている。
【0005】なお、上記制御装置を空気調和機の圧縮機の制御に用いた場合、交流電源1と倍電圧整流平滑回路2との間には力率改善用リアクタ8が設けられる。
【0006】位置検出部5は、端子電圧R,S,Tの電圧波形を90度位相遅らせ、かつ平滑化するための微分回路5bおよび積分回路5cと、これら90度位相遅れの電圧を組み合わせ中性点電位Vnを得るための抵抗回路5cと、上記90度位相遅れの電圧と中性点電位とを比較して位置検出信号A,B,Cを出力する比較回路5dとを備えている。
【0007】制御回路6は、マイクロコンピュータおよび駆動回路等からなり、駆動信号を出力してインバータ回路4のトランジスタU,V,W,X,Y,Zを駆動する。
【0008】上記構成の制御装置において、ブラシレスモータ3の起動時には例えば同ブラシレスモータ3を所定時間同期運転するが、所定時間経過後には上記位置検出信号A,B,Cに基づいて同ブラシレスモータ3を回転制御する(いわゆる位置検出による運転に切り替える)。
【0009】上記位置検出による運転においては、回転子3aの位置を検出し、この位置検出に基づいて各電機子巻線の通電を切り替えるため、上記位置検出部5は、例えば図9(a)ないし(c)に示す各電機子巻線の端子電圧R,S,Tを90度位相遅れとし、この位相遅れの電圧(図9(d)ないし(f)に示す)と中性点電位Vnとを比較し、その交点で変化する位置検出信号(図9(g)ないし(i)に示す)A,B,Cを出力する。
【0010】上記位置検出信号A,B,Cが制御回路6に入力すると、この制御回路6は位置検出信号A,B,Cのタイミングをもとにしてインバータ回路4の各トランジスタU,V,W,X,Y,Zの導通状態を切り替える駆動信号(図9(j)ないし(o)に示す)を発生する。
【0011】各駆動信号により各トランジスタU,V,W,X,Y,Zが駆動されるため、ブラシレスモータ3の電機子巻線電流が切り替えられ、ブラシレスモータ3が回転制御される。
【0012】また、制御回路6は駆動信号の他に、チョッピング信号を駆動回路7に出力しており、駆動回路7はインバータ回路4の上アーム(あるいは下アーム)のトランジスタの駆動信号のオン部分を所定デューティ比(オン、オフ比)でチョッピングする(図9(j)ないし(l)に示す)。
【0013】このように、位置検出信号A,B,Cに基づいてブラシレスモータ3の各電機子巻線電流を切り替えて同ブラシレスモータ3を回転制御し、またチョッピングのオン、オフ比を可変してブラシレスモータ3を所定回転数に制御する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ブラシレスモータの制御方法におては、積分回路5bを用いて回転子3aの位置を検出し、この位置検出をもとにして電機子巻線の通電切り替えタイミングを得ているため、以下の問題点が生じる。
【0015】その1つのとしては、電機子巻線に誘起される電圧波形には種々の周波数成分が混在しており、積分回路(積分フィルタ)5bの特性上それら全ての周波数に対する定数決定ができない。したがって、積分回路を通した電圧波形には必要としない周波数成分が含まれ、特にブラシレスモータ3の回転数の変化によって含まれる周波数により、出力90度遅れに誤差が生じ、結果回転子3aの位置検出に誤差が生じる。
【0016】また、積分回路5bを必要とすることから、どうしてもコストアップになるだけなく、部品の増加により制御基板が大きく、スペースをとるといった欠点もある。
【0017】さらに、積分回路5bを通して得る90度遅れが常に一定であるが、ブラシレスモータ3の回転数や負荷状態によってはその90度遅れが最適でない、つまりブラシレスモータ3の効率を最大とする通電切り替えタイミングが回転数や負荷状態によって異なるため、常に最大の効率となるように通電を切り替えることができない。
【0018】そこで、積分回路5bを用いずに、回転子3aの位置を検出してブラシレスモータ3を制御する方法がある。この制御方法の場合、電機子巻線に誘起される電圧波形と中性点電位とを比較し、この比較結果をブラシレスモータ3の制御回路(マイクロコンピュータ)に入力し、この制御回路によって演算して通電切り替えタイミングを決定する。
【0019】この制御方法では、既に説明した方法とは異なり、積分回路5bを使用せず、直接電機子巻線の端子電圧波形(誘起電圧波形)をもとにして位置検出信号を得ているため、例えば位置検出信号の変化点から最初の通電切り替えタイミングである30度の時間から通電の切り替えが可能である。
【0020】しかし、30度の時間が極めて短いことから、位置検出信号をもとにしてその30度の時間を演算した際、この演算が実際の通電切り替え時間までに終了しないということがないようにするため、高速演算機能を有するマイクロコンピュータを使用することになり、どうしても高価なマイクロコンピュータを用いなければならず、コストのアップになってしまう。
【0021】この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は積分回路を用いずにブラシレスモータの通電切り替えを最適に行うことができ、しかも安価なマイクロコンピュータで実現することができるようにしたブラシレスモータの制御方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は直流電源をインバータ手段でスイッチングして多相の電機子巻線を有するブラシレスモータに印加し、かつ前記ブラシレスモータの回転子の位置検出に基づいて前記インバータ手段を駆動して前記電機子巻線の通電を切り替えるブラシレスモータの制御方法であって、前記電機子巻線に発生する誘起電圧と基準電圧とを比較して前記ブラシレスモータの回転に同期した位置信号を得、該位置信号の変化点をもとにして1周期または半周期の時間(電気角360度に相当する時間)を計時し、該計時された時間を常に所定数だけ記憶し、今回計時された1周期または半周期の時間と前回計時されている1周期または半周期の時間との差を算出し、該算出時間差に応じて予め設定されたテーブルのデータを読み出す一方、前回計時された1周期または半周期の時間をもとにして前記通電切り替えタイミングに相当する時間(該時間のうち少なくとも最も短い時間)を今回の位置検出点前に算出するとともに、該算出された時間を前記読み出されたデータで補正し、前記補正された通電切り替えタイミングに相当する時間を今回の位置信号の変化点から計時し、該計時の終了時点で前記電機子巻線の通電を切り替えるようにしたことを要旨とする。
【0023】また、この発明は直流電源をインバータ手段でスイッチングして三相の電機子巻線を有するブラシレスモータに印加し、かつ前記ブラシレスモータの回転子の位置検出に基づいて前記インバータ手段を駆動して前記電機子巻線の通電を切り替えるブラシレスモータの制御方法であって、前記電機子巻線の1つに発生する誘起電圧と基準電圧とを比較して前記ブラシレスモータの回転に同期した位置信号を得、該位置信号の変化点をもとにして1周期または半周期の時間(電気角360度または180度に相当する時間)を計時し、該計時された時間を常に所定数だけ記憶し、今回計時された1周期または半周期の時間と前回計時されている1周期または半周期の時間との差を算出し、該算出時間差に応じて予め設定されたテーブルのデータを読み出す一方、前回計時された1周期または半周期の時間をもとにして電気角30度に相当する時間を今回の位置検出点前に算出するとともに、該算出された時間を前記読み出されたデータで補正し、今回計時された1周期の時間をもとにして電気角90度および150度に相当する時間を算出しており、前記補正された電気角30度に相当する時間、電気角90および電気角150度に相当する時間を今回の位置検出点から計時し、該計時の終了時点でそれぞれ前記電機子巻線の通電を切り替えるようにしたものである。
【0024】
【作用】上記手段によれば、ブラシレスモータの電機子巻線の端子電圧(誘起電圧)と基準電圧とが比較され、その比較結果による交点で変化する回転子の回転に同期した位置信号が得られる。
【0025】上記位置信号の変化(立ち上がり、立ち下がり)により1周期の時間(電気角360度に相当する時間)が計時され、少なくとも前回および今回計時された1周期の時間が記憶される。また、今回計時された1周期の時間と前回計時されている1周期の時間との差が算出され、この算出時間差に応じてテーブルのデータが読み出される。
【0026】上記ブラシレスモータが三相四極のモータである場合、その計時、記憶された時間をもとにして上記位置検出点から上記電機子巻線の通電を切り替えるタイミングまでに相当する時間(電気角30度、90度および150度)が算出される。
【0027】電気角30度に相当する時間は今回の位置検出前に前回計時された1周期の時間をもとにして算出され、この算出時間が上記読み出されたデータで補正される。電気角90度および150度に相当する時間は今回計時された1周期の時間をもとに今回の位置検出後に算出される。
【0028】このように、今回の位置検出から電気角30度遅れの点の通電切り替えまでの時間が短くとも、その電気角30度に相当する時間が今回の位置信号の変化前に算出される。したがって、ブラシレスモータを回転制御する制御回路であるマイクロコンピュータとしては演算速度の遅い、つまり安価なものを用いることができる。
【0029】また、電気角30度に相当する時間が前回計時されている1周期の時間をもとにして算出されているが、この算出時間がテーブルのデータで補正され、この補正された時間は今回計時された1周期の時間をもとにして電気角30度に相当する時間を算出した場合とほぼ同じ値になる。
【0030】したがって、各相の通電切り替えタイミングが最新の情報をもとにして得られることから、極めて適切な通電切り替えが可能となり、ひいては回転むら、振動や騒音がより抑えられる。
【0031】
【実施例】この発明のブラシレスモータの制御方法は、例えば三相の直流ブラシレスモータ(以下ブラシレスモータと記す)の1相の端子電圧(誘起電圧)と基準電圧との交点(位置検出点)を検出し、この交点により得た1周期の時間(電気角360度に相当する時間)をもとにして所定位相角(電気角30度、90度、150度)遅れ点に相当する時間を算出する際、特に今回の位置検出前にその電気角30度に相当する時間の演算を開始すれば、当該制御回路の演算速度が遅くとも、今回の位置検出から電気角30度の通電切り替えタイミングまでに間に合うことに着目し、その電気角30度についてはその位置検出前から開始し、かつ前回計時された1周期の時間と今回計時された1周期の時間との差に応じて電気角30度に相当する時間を補正する。
【0032】そのため、この発明のブラシレスモータの制御方法が適用される制御装置は例えば図1に示す構成をしている。なお、図中、図8と同一部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
【0033】図1において、この制御装置は、三相四極のブラシレスモータ3の3つの電機子巻線の端子電圧(誘起電圧を含む)R,S,Tのうち1つ、例えば端子電圧Rと基準電圧Vdc/2とを比較して位置信号Dを出力する位置検出部10と、この位置信号Dの変化点(立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジ)により1周期の時間(電気角360度に相当する時間)を位置検出毎に計時し、少なくとも今回および前回計時の時間を記憶し、この計時、記憶された1周期の時間をもとにして所定位相角(例えば電気角30度、90度および150度)に相当する時間を算出し、かつ少なくとも電気角30度に相当する時間については今回の位置検出前に前回計時された1周期の時間をもとにして算出するとともに、今回および前回計時の1周期の時間差ΔTを算出し、この差分に応じて例えば下記表1のテーブルのデータを読み出して電気角30度に相当する時間を補正し、今回の変化点からそれら算出時間の経過点でブラシレスモータ3の電機子巻線の通電をそれぞれ切り替える制御回路(マイクロコンピュータ)11とを備えている。
【0034】
【表1】

【0035】なお、表1に示すテーブルデータは制御回路11の内部メモリ(あるいは外部メモリ)に記憶されており、そのデータの値は一実施例を示したものである。
【0036】位置検出部10は、所定の基準電圧Vdc/2を発生する基準電圧発生回路10aと、この発生基準電圧Vdc/2と誘起電圧波形とを比較する比較回路10bとを備えている。制御回路11は、PWM制御時にインバータ回路4の上アームのトランジスタU,V,Wまたは下アームのトランジスタX,Y,Zをオン、オフする駆動信号、この駆動信号のオン部分をチョッピングするチョッピング信号およびこのチョッピングを上アームまたは下アームに切り替える制御信号を出力する機能を有している。
【0037】また、上記制御装置は、制御回路11からの駆動信号、チョッピング信号および制御信号を入力し、駆動信号のオン部分をチョッピングし、このチョッピングされた駆動信号を含む駆動信号によりインバータ回路4の各トランジスタU,V,W,X,Y,Zを駆動する駆動回路12を備えている。
【0038】次に、上記制御装置の動作を図2のタイムチャート図および図3ないし図7のフローチャート図を参照して詳しく説明すると、まずブラシレスモータ3の起動時には誘起電圧が発生しないことから、制御回路11は既に公知の同期運転を実行する。
【0039】この同期運転によりブラシレスモータ3を低周波から徐々に加速し、位置検出部10において出力する位置信号Dにより誘起電圧と基準電圧Vdc/2との交点の検出が可能となるまで、つまり適切な位置信号Dが得られるまで上記処理を実行する。
【0040】すると、位置検出部10にはブラシレスモータ3のR相の端子電圧Rが正常に入力し(図2(b)示す)、位置検出部10は端子電圧Rの誘起電圧と基準電圧発生回路3aからの基準電圧Vdc/2とを比較回路10aで比較し、この比較結果の位置信号Dを出力する(図2(c)に示す)。
【0041】ここで、制御回路11は入力位置信号Dによりその変化点(立ち上がりあるいは立ち下がりエッジ)を検出する。例えば、誘起電圧が上昇時である場合インバータ回路4の上アームトランジスタU,V,WをPWM制御しており、通電切り替えタイミング後の位置信号Dの最初の立ち上がりエッジ(図2に示すt1,t3)を検出する。また、誘起電圧が下降時である場合インバータ回路4の下アームトランジスタX,Y,ZをPWM制御しており、通電切り替えタイミング後の最初の立ち下がりエッジ(図2に示すt2,t7)を検出する。
【0042】なお、PWM制御において、制御回路11からの駆動信号、チョッピング信号および制御信号を駆動回路12に入力し、この駆動回路12はその制御信号にしたがって所定駆動信号とチョッピング信号とを合成し、この合成された駆動信号を含む駆動信号によりインバータ回路4を駆動する。
【0043】上記入力位置信号Dの上記エッジ検出毎に図3ないし図7に示すルーチンを実行し、まずそのエッジ検出がt3時点であるとすると、この検出の現在の時刻taをフリーランニングタイマで検出し、この時刻taを内部のメモリに一時記憶する(ステップST1)。
【0044】続いて、t1時点とt3時点との間、1周期の時間(電気角360度に相当する時間)T3を算出する(ステップST2)。この場合、t3時点の時刻taからt1時点の時刻tcを減算してその時間T3を算出し、記憶する。この1周期の時間T3(=Ta)と前回の交点(t2時点)計時された1周期の時間Tb(=T2)との差Ta−Tb(=T3−T2)=ΔTを算出し(ステップST3)、この時間差ΔTに応じて表1のデータを読み出す(ステップST4)。
【0045】続いて、時刻taに前回算出の電気角30度に相当する時間T(30)=T2×(30/360)を加算するとともに、この加算値を上記読み出されたデータで補正し(ステップST5)、この補正された時刻ta+T(30)+ΔT=t(30)を制御回路11のフリーランニングタイマのコンペアレジスタAにセットする(ステップST6)。
【0046】なお、電気角30度に相当する時間T(30)=T2×(30/360)の算出については後述するが、当該位置信号Dのエッジ(t3時点)前にその時間T(30)を算出するための演算を開始している。したがって、t3時点経過後即座に上記時刻t(30)=ta+T(30)を算出することができ、この時刻t(30)をコンペアレジスタAにセットすることができる。
【0047】一方、上記位置信号Dの検出エッジにより図4に示すルーチンを実行し、その検出エッジが立ち上がり、立ち下がりの何れかを判断し(ステップST15)、立ち上がりエッジであるときにはステップST16に進み制御回路20の内部に予め設定されているフラグをセットし(“1”とし)、立ち下がりエッジであるときにはステップST17に進みそのフラグをクリアする(“0”にする)。
【0048】続いて、上記コンペアレジスタAとフリーランニングタイマの値とが一致すると、図5に示すt(30)割り込みルーチンを実行し、上記フラグがセットされているときには、ステップST20からST21に進み、インバータ回路4のトランジスタWを駆動する信号をオフにするとともに(図2(f)に示す)、トランジスタUを駆動する信号をオンにする(図2(d)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の下アームを構成するトランジスタX,Y,Zを駆動するための信号をチョッピングするように、上アームから下アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST22)。
【0049】一方、上記フラグがクリアされているときには、ステップST20からST23に進み、インバータ回路4のトランジスタZを駆動する信号をオフにするとともに(図2(i)に示す)、トランジスタXを駆動する信号をオンにする(図2(g)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の上アームを構成するトランジスタU,V,Wを駆動するための信号をチョッピングするように、下アームから上アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST24)。
【0050】上記割り込み処理が終了すると、メインルーチンに戻る。メインルーチンでは、電気角90度に相当する時間T(90)を算出するため、上記算出時間T3を用いて上記位置信号Dの検出エッジから位相角90度に相当する時間T(90)=T3×(90/360)を算出するとともに、この算出時間T(90)を時刻taに加算してその電気角90度の時刻を算出し(ステップST7)、この算出時刻t(90)=ta+T(90)をコンペアレジスタBにセットする(ステップST8)。
【0051】この後、上記コンペアレジスタBとフリーランニングタイマの値とが一致すると(図2に示すt5時点)、図5に示すt(90)割り込みルーチンを実行する。上記フラグがセットされているときには、ステップST30からST31に進み、インバータ回路4のトランジスタYを駆動する信号をオフにするとともに(図2(h)に示す)、トランジスタZを駆動する信号をオンにする(図2(i)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の上アームを構成するトランジスタU,V,Wを駆動するための信号をチョッピングするように、下アームから上アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST32)。
【0052】一方、上記フラグがクリアされているときには、ステップST30からST33に進み、インバータ回路4のトランジスタVを駆動する信号をオフにするとともに(図2(e)に示す)、トランジスタWを駆動する信号をオンにする(図2(f)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の下アームを構成するトランジスタX,Y,Zを駆動するための信号をチョッピングするように、上アームから下アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST34)。
【0053】上記割り込み処理が終了すると、メインルーチンに戻る。メインルーチンでは、電気角150度に相当する時間T(150)を算出するため、既に記憶されている時間T3を用いて位置信号Dのエッジから電気角150度に相当する時間T(150)=T3×(150/360)を算出するとともに、この算出時間T(150)を時刻taに加算してその電気角150度の時刻t(150)を算出し(ステップST9)、この算出時刻t(150)=ta+T(150)をコンペアレジスタCにセットする(ステップST10)。
【0054】この後、上記コンペアレジスタCとフリーランニングタイマの値とが一致すると(図2に示すt6時点)で、図6に示すt(150)割り込みルーチンを実行する。上記フラグがセットされているときには、ステップST40からST41に進み、インバータ回路4のトランジスタUを駆動する信号をオフにするとともに(図2(d)に示す)、トランジスタVを駆動する信号をオンにする(図2(e)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の下アームを構成するトランジスタX,Y,Zを駆動するための信号をチョッピングするように、上アームから下アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST42)。
【0055】一方、上記フラグがクリアされているときには、ステップST40からST43に進み、インバータ回路4のトランジスタXを駆動する信号をオフにするとともに(図2(g)に示す)、トランジスタYを駆動する信号をオンにする(図2(h)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の上アームを構成するトランジスタU,V,Wを駆動するための信号をチョッピングするように、下アームから上アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する(ステップST44)。
【0056】上記割り込み処理が終了すると、メインルーチンに戻る。メインルーチンでは、電気角360度に相当する時間T3を用いて電気角30度に相当する時間T(30)=T3×(30/360)を算出してメモリに記憶する(ステップST11)。この時間T(30)の算出は当該メインルーチンを繰り返した際に上記ステップST6で用いるためである。
【0057】続いて、前々回の位置信号Dのエッジを検出した時刻tc(図2に示すt1時点)を記憶しているメモリに前回検出の位置信号Dのエッジを検出した時刻tb(図2に示すt2時点)を書き込み、つまり前々回の時刻tcに変えて前回の時刻tbを記憶する(ステップST12)。
【0058】また、前回検出の位置信号Dのエッジの時刻tb(図2に示すt2時点)を記憶しているメモリに今回検出の位置信号Dのエッジ時刻ta(図2に示すt3)を書き込む(ステップST13)。つまり、次の位置信号Dのエッジの時刻を得るために、メモリを1つ確保しておく必要があるからである。
【0059】続いて、今回の位置信号Dの変化点時に計時された1周期の時間T3をTaとし(ステップST14)、そして入力位置信号Dのエッジを検出すると、再び当該メインルーチンを実行し、そのエッジ検出の現時刻ta(図2に示すt7時点)をメモリに記憶する(ステップST1)。
【0060】続いて、t2時点とt7時点との間の時間(電気角360度に相当する時間)T4を算出する(ステップST2)。この場合、t7時点の時刻からt2時点の時刻を減算してその時間T4を算出し、記憶する。この1周期の時間T4(=Ta)と前回の交点(t3時点)計時された1周期の時間Tb(=T3)との差Ta−Tb(=T4−T3)=ΔTを算出し(ステップST3)、この時間差ΔTに応じて表1のデータを読み出す(ステップST4)。
【0061】続いて、t7時点の時刻に前回算出の電気角30度に相当する時間T(30)=T3×(30/360)を加算するとともに、この加算値を上記読み出されたデータで補正し(ステップST5)、この補正された時刻を制御回路11のフリーランニングタイマのコンペアレジスタAにセットする(ステップST6)。
【0062】一方、図3に示すフラグを処理し(ステップST15ないしST17)、上記コンペアレジスタAとフリーランニングタイマの値とが一致すると、図4に示す割り込み処理を実行する。
【0063】上記割り込み処理が終了すると、メインルーチンに戻り、以下上述同様にして、図3のメインルーチンを実行し、コンペアレジスタB,Cとフリーランニングタイマの値とが一致すると、図5および図6の割り込みルーチンを実行し、かつ繰り返す。
【0064】図2のタイムチャートを参照して具体的に説明すると、t7時点では位置信号Dのエッジが立ち下がりであることから、フラグをクリアし(ステップST6)、その後上記コンペアレジスタAにセットされている時刻t(30)が経過した時点(図2に示すt8時点)で図4に示すt(30)割り込みルーチンを実行する。
【0065】この場合、フラグが立っていないため、上述したようにインバータ回路4のトランジスタZを駆動する信号をオフにするとともに(図2(i)に示す)、トランジスタXを駆動する信号をオンにする(図2(g)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の上アームを構成するトランジスタU,V,Wを駆動するための信号をチョッピングするように、下アームから上アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する。
【0066】また、位置信号Dのエッジから位相角90度の時刻t(90)=t7+T4×(90/360)を算出し、この時刻t(90)が経過した時点(図2に示すt9時点)で図5に示す(90)割り込みルーチンを実行する。
【0067】この場合、フラグが立っていないため、上述したようにインバータ回路4のトランジスタVを駆動する信号をオフにするとともに、トランジスタWを駆動する信号をオンにする。これと同時に、インバータ回路4の下アームを構成するトランジスタX,Y,Zを駆動するための信号をチョッピングするように、上アームから下アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する。
【0068】さらに、位置信号Dのエッジから位相角150度の時刻t(150)=T7+T4×(150/360)を算出し、この時刻t(150)が経過した時点で図6に示す割り込みルーチンを実行する。
【0069】この場合、フラグが立っていないため、上述したようにインバータ回路4のトランジスタXを駆動する信号をオフにするとともに(図2(g)に示す)、トランジスタYを駆動する信号をオンにする(図2(h)に示す)。これと同時に、インバータ回路4の上アームを構成するトランジスタU,V,Wを駆動するための信号をチョッピングするように、下アームから上アームのチョッピングに切り替えるための制御信号を駆動回路12に出力する。
【0070】このように、誘起電圧と基準電圧Vdc/2との交点を検出し、この交点をもとにして電気角360度に相当する時間を算出、記憶し、その交点から所定位相角(電気角30度、90度および150度)遅れ点に相当する時間を電気角360度に相当する時間をもとにして算出する。
【0071】しかも、電気角30度遅れ点に相当する時間の算出については、前回の交点時において算出、記憶されている時間(電気角360度に相当する時間)をもととする。
【0072】したがって、ブラシレスモータ3を回転制御する制御回路11としてのマイクロコンピュータは演算速度が遅いものでよく、つまり安価なマイクロコンピュータでブラシレスモータ3の回転制御を実現することができる。
【0073】また、電気角30度に相当する時間を今回計時の1周期の時間と前回計時の1周期の時間差に応じて表1のデータで補正する。この表1のデータ(補正値)はその時間差が大きいほど、大きくなっている。したがって、電気角30度に相当する時間が今回計時の1周期の時間をもにして算出した場合とほぼ同じ値となり、つまり電気角30度に相当する時間が適切な通電切り替えタイミングに対応する。
【0074】このようにして算出された電気角30度、90度および150度に相当する時間の経過時点でブラシレスモータ3の通電切り替えが行われるため、ブラシレスモータ3の通電を適切に切り替えることができ、回転むら、振動や騒音を抑えることができ、また脱調、回路の破損を防止して回転制御の安定化、効率のよい運転を可能とすることができる。
【0075】なお、上記実施例において、1相の位置信号Dをもとにして各電機子巻線の通電切り替えタイミングを得ているが、2相あるいは3相の位置信号をもとにして各通電切り替えタイミングを得るようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のブラシレスモータの制御方法によれば、ブラシレスモータの端子電圧(誘起電圧)と基準電圧との交点(位置信号の変化点)を検出し、この交点により1周期の時間(電気角360度に相当する時間)を計時、記憶し、今回計時された1周期の時間と前回計時されている1周期の時間とぼ差を算出し、この時間差に応じてテーブルのデータを読み出す一方、今回の変化点前に前回計時されている1周期の時間をもとにして所定位相角(電気角30度)に相当する時間を算出し、かつこの算出時間を上記読み出されたデータで補正し、今回計時された1周期の時間をもとにして他の所定位相角(90度、150度)に相当する時間を算出しており、このようにして得た時間経過後に電機子巻線の通電を切り替えるようにしたので、ブラシレスモータを回転制御する制御回路としてのマイクロコンピュータは演算速度が遅いものでよく、つまり安価なマイクロコンピュータでブラシレスモータの回転制御を実現することができ、また積分回路を用いずにブラシレスモータの通電を適切に切り替えることができ、ひいては回転むら、振動や騒音を抑えることができ、また脱調、回路の破損を防止して回転制御の安定化、効率のよい運転を可能とすることができるという効果がある。




 

 


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