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発明の名称 回転子組立体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−255586
公開日 平成8年(1996)10月1日
出願番号 特願平7−334385
出願日 平成7年(1995)12月22日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】生沼 徳二
発明者 スティーブン・ドゥアン・ハンセン / ジェームス・アーサー・ブレイク
要約 目的


構成
特許請求の範囲
【請求項1】 中央の円形開口を画定しているアーチ形の面を有する複数の固定子磁極片を有している誘導電動機に設けられており、軸に装着された高トルクの円筒形の回転子組立体であって、該回転子組立体は、前記開口内で同心状に回転するように該開口に同心状に嵌まり込んでおり、(a) 前記アーチ形の磁極片に隣接している外縁の電気導体と、(b) 前記軸と前記電気導体との間で、側面が前記外縁の電気導体に隣接している回転子磁性材料環と、(c) 該磁性材料環及び前記電気導体から前記軸を電気的に絶縁するために前記軸と前記磁性材料環との間に設けられている電気絶縁体とを備えた回転子組立体。
【請求項2】 前記電気導体は、銅を含んでいる請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項3】 前記磁性材料は、鉄を含んでいる請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項4】 前記電気絶縁体は、セラミックス材料を含んでいる請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項5】 前記電気絶縁体は、前記磁性材料を半径方向に支持するように前記軸に装着されている請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項6】 前記電気導体は、前記磁性材料上の導電層である請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項7】 前記電気導体、磁性材料及び電気絶縁体の各々は、銅、鉄及びセラミックス材料からそれぞれ成る中空の円筒である請求項1に記載の回転子組立体。
【請求項8】 前記円筒は、一組の相互に嵌まり合った関係の組立体内の同心円筒である請求項7に記載の回転子組立体。
【請求項9】 前記電気絶縁体の円筒は、自己支持形の頑丈な中空壁のセラミックス円筒を含んでいる請求項7に記載の回転子組立体。
【請求項10】 前記組立体は、前記電気絶縁体により前記軸に同心状に装着されている請求項7に記載の回転子組立体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線管の回転ターゲットの電動機駆動回転子に関し、特に、回転させるためにターゲット陽極円板がその上に装着されているX線管内の改善された電気誘導電動機回転子に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、X線管と呼ばれるX線ビームを発生する装置は、真空のチャンバ又は管内の電気回路の隔設された2つの電極を含んでいる。これらの電極のうちの1つの電極は、熱電子放出陰極電極であり、この電極はターゲット電極、即ち陽極電極から間隔を置いて管内に装着されている。陰極は電気抵抗加熱されることにより、陽極ターゲットに向かう電子流を発生する。電子流は、ターゲットに衝突する非常に高速の電子の細いビームとして適当に集束される。所定の材料(通常、耐熱材料を含んでいる)の衝突表面がターゲットに形成されている。従って、ターゲット材料に衝突する電子の運動エネルギは、非常に高周波の電磁波、即ちX線に変換される。このX線はターゲットから放出され、適当にコリメーションされて、被検体内に入り込む。これは、内部の分析又は検査の目的、例えば人間の医療診断手順のために行われる。ターゲット表面に衝突する電子の高速ビームによって、局限された位置に極めて高い温度が生じる。このような高温はターゲット材料及び構造に対して有害である。その結果、回転する円板状のターゲットを利用することが一般的になった。回転するターゲットによって、電子が衝突するターゲットの領域は絶えず変化する。これにより、局限された熱の集中が回避されると共に、加熱の影響がターゲット構造全体により良く分散される。10,000RPMを超えるターゲット回転速度は稀ではない。
【0003】X線管ターゲット陽極を回転させるために用いられている駆動手段の一例として、例えば同軸回転のための電気誘導電動機の電機子、即ち回転子が、真空のガラスのX線管の細くなった部分に装着されている。電動機の界磁巻線が管の細くなった部分を密に同軸に取り囲んでおり、電動機の界磁巻線は、周知の電動機の原理に従って同心の回転子に作用して、回転子を回転させる。ターゲット円板は熱電子放出陰極と対向するように、延長された回転子の軸に同軸状に装着されている。
【0004】X線発生能力が増大し、その結果、X線管及びターゲットが大きくなることにより、ターゲットの始動トルク及び運転トルクを大きくするために、より効率的な電動機駆動が必要になった。
【0005】
【発明の目的】従って、本発明の目的は、X線管内の回転ターゲットの電動機駆動手段のための改善された高トルクの電気誘導電動機回転子を提供することにある。
【0006】
【発明の概要】誘導電動機の回転子構造が、回転子軸を含んでおり、この回転子軸は、回転子軸に同心状の厚いスリーブ付きの電気絶縁体を有している。この電気絶縁体上に同心状の磁性材料のスリーブが設けられている。この磁性スリーブに、導電性材料から成るもう1つの同心状のスリーブが嵌め込まれており、これにより、高電圧の絶縁破壊に対する耐力が増加した高トルクの電機子組立体が完成する。
【0007】本発明は、以下の図面及び説明により、より良く理解される。
【0008】
【実施例】図1には、本発明による改善された回転子構造10が示されている。回転子構造10は、取り囲んでいる又は取り巻いている電動機電機子構造11、例えば適当な固定子巻線(図示していない)を有している4極の電動機固定子に対して通常の同心関係にある。回転子構造10の基本形式には、回転子軸と取り巻いている電動機固定子との間に所定の順序で配列された所定の電気的な回転子の材料の一連の半径方向の部分が含まれている。回転子構造10は、この例では、回転子軸12を含んでいる。回転子軸12に、上述の電動機材料の一連の部分が設けられている。電気絶縁材料を含んでいる第1の円筒形部分13が、軸12にぴったりと同心状に嵌め込まれている。円筒13は、セラミックス又はガラス材料のような耐高温性の高電気絶縁材料で形成されていることが好ましい。円筒13の温度は約500°Cに近付くことがある。良磁性材料から成っているより薄い壁の円筒14を含んでいる第2の部分が、円筒13に同心状に嵌め込まれている。円筒14の材料には、鉄(Fe)、又は同様な良磁性特性の金属合金を含めることができる。回転子の第3の部分は、銅(Cu)及びその合金のような良導電性材料から成っている最も外側の薄い壁の円筒15を含んでいる。代替的には、場合によっては、導電性の円筒15は、誘導電動機回転子に対する回転子導電体としての、円筒14上の金属コーティングであってもよい。この点で、回転子10に対する電気材料組立体は完成する。
【0009】X線管回転子組立体に関連する主要な問題は、X線管の動作の間に存在する極めて高い電圧にそれが耐えなければならないということである。例えば、回転する大きな陽極は通常、軸12に固定されており、非常に高速の電子の細いビームを受けながら軸12と共に回転する。種々の設計及び工学技術の基準のため、軸12は通常、鋼鉄のストック材料で形成されている。その結果、回転子10は、回転するターゲット陽極の電位に対応する非常に高い電位、例えば約90KVになることがあり、固定子11は地気電位になっている。どのような絶縁破壊及び対応する高電圧放電によっても、X線管及び回転子の有害な動作が生じる。典型的には、X線管の用途では、前述のような高電圧は、図1の円筒15のような最も外側の導電性の円筒とそれに隣接した固定子の外縁との間に非常に大きな間隔を設けることによって制御される。しかしながら、回転子と固定子との間の間隔を大きくすることは、高電圧絶縁破壊を防止する点では成功したが、電動機の効率を著しく低レベルまで低下させ、得られる回転子の加速度は、より大きな且つより高速のターゲット陽極に対して不適当となる。磁性材料の固定子と円筒14のような回転子内の対応する磁性材料との間に十分な間隔があるため、効率は低下する。X線管の用途に対する本回転子の構成は、(a)回転子と固定子との間の間隔を小さくすることにより、トルクを高くするが、高電圧絶縁破壊に対する耐性が下がることと、(b)回転子と固定子との間の間隔を大きくすることにより、高電圧絶縁破壊に耐えるが、トルクの発生が低下することとの間の妥協を表す。しかしながら、改善されたX線管で得られる構造の間隔の制約、並びに前述の設計要素(a)及び(b)のうちで、高電気絶縁破壊に対する耐性を有し、トルクがより高い回転子が必要とされている。図1の回転子の構成によって、前述の(a)及び(b)の妥協の特徴が分離されて、個別に配慮され得るように、回転子の構成要素はより効率的に利用されている。例えば、非常に高電圧を電気的に絶縁する壁の厚い円筒13が、軸12と磁性円筒14との間の間隔を満たしていると共に軸12と磁性円筒14と係合しており、磁性材料の円筒14及び回転子の導体円筒15からの軸12の電気絶縁を改善すると同時に、磁性円筒14を磁性材料の固定子11に対してより近い動作関係で配置して、トルクを増大させる。導電性であると共に短絡している半径の大きな円筒15を用いることにより、もう1つのトルクの利点が得られる。更に、回転子の磁性材料の円筒14及び導電性の円筒15は、地気電位の固定子11に、より近付けられている。この構成では、回転子は最高の高電位を生じない傾向がある。
【0010】本発明は、改善されたX線管誘導電動機の回転子を提供する。この回転子では、回転子磁性材料及び回転子導体が回転子の最も端の外縁に、そして誘導電動機の固定子の磁極片にぴったり隣接して配置されている。高効率の絶縁体は、磁性材料の構成要素及び導電性材料の構成要素を回転子の軸から絶縁するだけでなく、これらの構成要素を固定子の磁極片に近く配置することにより回転子のトルクを増大させる。誘導電動機固定子では、図1に示されるようなアーチ形(弧状)の面を有している複数の磁極片が、同心状の円形開口を画定している。この開口内には、円筒形の軸に装着された電機子が同心状に存在している。電機子内では、電機子の磁性材料及び電機子の導体が回転子の外縁に支持されている。回転子の外縁では、電機子の磁性材料及び電機子の導体は固定子の磁極片にぴったり隣接しているので、最大のトルクが得られる。同時に、これらの外縁の構成要素は、軸12上の絶縁材料から成る中空で壁が厚い円筒13によって電機子軸から電気的に絶縁されている。円筒13は、磁性材料の円筒14と軸12との間にあると共に、磁性材料の円筒14及び軸12と係合している。本発明の回転子の重要な構成要素は、種々のセラミックス及びガラスの合成物のような、比誘電率が高く、絶縁耐力が大きい材料から成る中空で壁が厚い円筒13である。更に、円筒13は又、良好な構造健全性及び耐高温性を有していると共に、頑丈な構造で且つ電気的に絶縁する回転子の構成要素として用いられており、軸12と磁性円筒14との間の間隔を満たしている。この構成では、この間隔に対する機械的性質及び電気的性質を組み合わせた性質、特に、軸12を電気的に絶縁すると共に、電流の漏れ及び前述の高電圧絶縁破壊に対する有効な障壁としての役目を果たす性質を有していない他の構造及び材料を必要としない。前述の回転子の構成要素は、同心状に相互に嵌まり合った関係の組立体内で、互いに同心状に且つ軸12に配置されている円形の環(バンド)、スリーブ又は円筒として都合よく形成されている。回転子の各円筒は通常、分離した独立の構成要素であるが、最も外側の導体は、溶着(デポジット)された銅のコーティング、又は次の隣接した磁性材料の円筒14に接着された層とすることができる。
【0011】前述のような相互に嵌まり合った組立体内で、構成要素の環、スリーブ又は円筒は、図示したように互いに係合しているか、又は互いに密に接触していてもよい。上述の材料及びこれらの材料の組立体は、X線管の困難な動作状態の下でその材料及び組立体の電気的特性及び磁気的特性を維持しながら、より大きなターゲット陽極に対する急速な加速及びトルク移動に耐えるのに有効である。
【0012】好ましい実施例により本発明の開示及び説明を行ってきたが、当業者には理解されるように、本発明の要旨の範囲を逸脱することなく種々の変更及び変形を行うことができる。
 

 
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