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発明の名称 四重極質量フィルタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−293282
公開日 平成8年(1996)11月5日
出願番号 特願平7−120607
出願日 平成7年(1995)4月21日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平
発明者 竹部 雅博 / 熊代 州三夫
要約 目的
目的イオンの透過率を高める。

構成
メインの四重極フィルタ11の直前にプレ四重極フィルタ12を配し、このプレフィルタ12に、メイン四重極フィルタ11に印加する[RF+DC]のうちの交流成分RFと、通過目的イオンの質量に応じて変化する直流バイアス電圧とを印加する。
特許請求の範囲
【請求項1】 中心軸に平行に4本の電極棒を軸対称に配置し、通過させるべき目的イオンの質量に応じた直流電圧及び交流電圧の重畳電圧を電極棒間に印加することにより目的イオンのみを中心軸方向に通過させる四重極質量フィルタにおいて、a)上記4本の電極棒の直前に、各電極棒と同軸に配置された同径の4本の電極棒から成るプレフィルタと、b)プレフィルタに上記交流電圧と、通過目的イオンの質量に応じて変化する直流バイアス電圧とを印加するプレフィルタ駆動回路と、を備えることを特徴とする四重極質量フィルタ。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の質量(実際には質量数mを電荷zで除した値m/z)を有するイオンのみを通過させることにより目的イオンを分離し又は所定の質量範囲を走査して試料の分析を行なう四重極質量フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】四重極質量フィルタ(QMF)は、中心軸(これをz軸とする)に平行に4本の電極棒を軸対称に配置した四重極から成る。z軸を挟んで対向する2本の電極棒を1対とし(従って、x軸方向及びy軸方向に各1対の電極棒が配置されていることになる)、四重極を構成する2対の電極棒の間に交流電圧(RF)と直流電圧(DC)とを重畳した電圧(RF+DC)を印加することにより、その電圧に対応した質量を有する目的イオンのみをz軸方向に通過させ、他の質量のイオンを発散させる。
【0003】四重極質量フィルタがこのようなフィルタとして正しく、しかも高感度に機能するためには、イオンは四重極の中心軸の近傍に入射しなければならない。このため、イオン源と四重極質量フィルタとの間には、イオンを四重極の中心軸付近に収束するためのイオン光学系が設けられる。
【0004】四重極質量フィルタにおける目的イオンの透過率は、また、四重極質量フィルタの端縁場の影響を強く受ける。このため、従来より、四重極質量フィルタ(メインフィルタ)の直前に、狭いギャップを設けて同形の短い四重極(プレフィルタ)を置き、メインフィルタに印加する電圧(RF+DC)のうちの交流電圧(RF)のみをこのプレフィルタに印加して、入射イオンがメインフィルタの端縁場により拡散されないようにしていた。更に、プレフィルタに入射イオンとは逆極性のバイアス直流電圧(上記メインフィルタに印加される直流電圧(DC)とは別である)を印加し、入射イオンの滞留時間を短くすることにより端縁場の影響を更に減少することも行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来、プレフィルタに印加される直流バイアス電圧は一定であった。そのため、プレフィルタに入射するイオンのz方向速度(及びイオンがプレフィルタを通過する時間)は、次の式に示される通り、そのイオンの質量により変化する。
Ez=(1/2)vz2(e:イオンの電荷、Ez:バイアス電圧による電場のz方向成分、m:イオンの質量、vz:イオンのz方向速度)
【0006】これにより、たとえイオン光学系によりイオンをメインフィルタの中心軸付近に収束しても、プレフィルタに入射する際の(及び、メインフィルタに入射する際の)イオンの速度がばらつくとともに、プレフィルタからメインフィルタに入射する際の時刻がばらつき、メインフィルタにおける目的イオンの透過率が低下する。
【0007】本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、目的イオンの透過率を高めた四重極質量フィルタを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係る四重極質量フィルタは、中心軸に平行に4本の電極棒を軸対称に配置し、通過させるべき目的イオンの質量に応じた直流電圧及び交流電圧の重畳電圧を電極棒間に印加することにより目的イオンのみを中心軸方向に通過させる四重極質量フィルタにおいて、a)上記4本の電極棒の直前に、各電極棒と同軸に配置された同径の4本の電極棒から成るプレフィルタと、b)プレフィルタに上記交流電圧と、通過目的イオンの質量に応じて変化する直流バイアス電圧とを印加するプレフィルタ駆動回路と、を備えることを特徴としている。
【0009】
【作用及び効果】プレフィルタに入射するイオンはプレフィルタの直流バイアス電圧により加速され、その速度は上記の通り、直流バイアス電圧が一定であれば質量の平方根に反比例する。しかし、本発明に係る四重極質量フィルタでは、プレフィルタ駆動回路が直流バイアス電圧を目的イオンの質量に応じて変化させるため、目的イオンを質量に拘らずほぼ一定の速度でプレフィルタに入射させることができる。これにより、目的イオンのプレフィルタ及びメインフィルタ入射時の速度及びイオンがプレフィルタを通過する時間(すなわち、イオンがメインフィルタに入射する時刻)のばらつきが抑えられ、目的イオンの透過率が向上する。
【0010】
【実施例】本発明の一実施例である四重極質量フィルタを図1により説明する。図1(a)は本実施例の四重極質量フィルタのイオン光学系13、プレフィルタ12及びメインフィルタ11の入口部分を示すものであり、図1(b)はメインフィルタ11の断面図である。図1(b)に示されるように、メインフィルタ11を構成する4本の電極11a〜11dには、質量走査電源15より直流(DC)と高周波(RF)の重畳電圧Φ=U+Vcosωt …(1)
(これを[RF+DC]とも記載する)が印加される。質量走査電源15は、メインフィルタ11を通過させる目的イオンの質量に応じて、この電圧のRF成分及びDC成分を共に変化させる(走査する)。
【0011】プレフィルタ12には、質量走査電源15から供給される重畳電圧[RF+DC]のうち、容量C1を通過するRF成分のみが印加される。プレフィルタ12には更に、非線形変換器14より直流バイアス電圧(バイアスDC)も印加される。
【0012】本実施例の四重極質量フィルタでは、非線形変換器14は質量走査電源15から抵抗R1及び容量C2を介して質量走査電圧[RF+DC]のうちのDC成分の供給を受ける。質量走査電圧のDC成分は上記の通り、メインフィルタ11を通過するイオンの質量に応じて変化するため、非線形変換器14はこの情報に基づいて直流バイアス電圧の値を変化させる。これにより、プレフィルタ12に入射する目的イオンの速度を質量に拘わらずほぼ一定とすることができ、目的イオンの透過率を向上させることができる。
【0013】なお、図1に示した回路構成は説明の便宜のための単なる一構成例であり、同様の機能を有するデジタル回路或いはCPUを用いてプレフィルタ及びメインフィルタに印加する電圧を生成してももちろん構わない。
【0014】次に、本発明の第2実施例として、イオン透過率を更に向上させるための方法を説明する。本第2実施例に係る四重極フィルタは、中心軸に平行に4本の電極棒を軸対称に配置し、通過させるべき目的イオンの質量に応じた直流電圧及び交流電圧の重畳電圧を電極棒間に印加することにより目的イオンのみを中心軸方向に通過させる四重極質量フィルタにおいて、a)上記4本の電極棒の直前に、各電極棒と同軸に配置された同径の4本の電極棒から成るプレフィルタと、b)プレフィルタに上記交流電圧と、通過目的イオンの質量に応じて変化する直流バイアス電圧とを印加するプレフィルタ駆動回路と、c)プレフィルタの直前に配置された、イオンを所定の位置に収束させるためのイオン光学系と、d)イオンの収束位置をプレフィルタの前方端縁に設定するイオン光学系駆動回路と、を備えることを特徴とするものである。
【0015】このような構成により、本実施例の四重極フィルタでは、プレフィルタに入射するイオンのz方向速度のばらつきを最小限に抑えるとともに、直流バイアス電圧を変化させることによりプレフィルタの有効長さを変化させ、プレフィルタ出口から出射するイオンの運動の位置及び方向(エミッタンス)を、四重極質量フィルタ(メインフィルタ)の目的イオンの透過率が最大となる範囲(アクセプタンス)に適合したものとすることができる。その理由を次に説明する。
【0016】本発明者等のシミュレーション解析によると、プレフィルタ入射時のイオンのz方向速度vzのばらつきが小さい場合、図3(a)に示すように、イオンのプレフィルタ12内での運動形態(軌跡の包絡線)はほぼ固定的となる。それに対し、プレフィルタ入射時のz方向速度vzのばらつきが大きい場合は、図3(b)に示すように、プレフィルタ12内でのイオンの運動は種々の形態のものが混在したような状態となる。なお、図4(a)及び(b)に示すように、イオン光学系においてイオンのz方向速度を狭い範囲に抑えても、低質量イオンの場合にはプレフィルタ内でもz方向速度はあまりばらつかないのに対し、高質量イオンの場合はz方向速度が大きくばらつくようになる。このため、低質量イオンの場合は比較的図3(a)に示すように運動形態を固定的としやすいのに対し、高質量イオンの場合は図3(b)に示すように種々の運動形態が混在したような状態となりやすい。
【0017】イオンの運動形態が図3(a)に示すようにほぼ固定的である場合、メインフィルタ11のアクセプタンスに最も適合するようなイオンの運動形態の位置でイオンがプレフィルタ12を出てメインフィルタ11に入射すれば、イオンの透過率を最大にすることができる。それに対し、図3(b)のようにイオンの運動形態が混在している場合は、プレフィルタ12をどのような長さにしてもイオンの透過率は低位で安定した状態となる。図5はプレフィルタ12の長さを変化させた場合のイオン透過率の変化を示すグラフであるが、イオンの運動形態が固定的である場合(低質量イオン7Daの場合)は、プレフィルタ12の長さが変化するとイオン透過率も大きく変化するのに対し、イオンの運動形態が混在している高質量イオン(238Da)の場合はイオンの透過率はプレフィルタ12の長さに依存せず、常に低い。
【0018】以上より、イオンのプレフィルタ入射時のz方向速度のばらつきを小さくするとともに、プレフィルタ12を適切な長さにしてやることにより、イオンの透過率を最大にすることができる。上記の通り、このイオン透過率改善の効果は特に高質量イオンの場合に著しい。
【0019】そこで、イオンのプレフィルタ入射時のばらつきを小さくするための方策を考える。プレフィルタ12の端縁の電場のz方向成分Ezは図6の(2)式で表わされる。式(2)中のΦは、上記式(1)で表わされる四重極駆動電圧[RF+DC]である。また、H0及びH2は0次及び2次の高調波成分を表わし、「’」、{3}、{5}はそれぞれ1階、3階、5階微分を表わす。Ezを表わす式にこのような高階微分項が含まれることから、プレフィルタ12の端縁においてはEzが大きく変動することがうかがえる。プレフィルタ12に入射するイオンはこの電場Ezによりz方向に加速されるが、いずれの項にもx、y方向の座標の2乗以上の値が掛けられていることから、イオンがx−y平面の中心(z軸上)から周辺方向にばらつくと、そのz方向速度vzは大きくばらつくことがわかる。従って、イオンのz方向速度のばらつきを小さくするためには、プレフィルタ12の端縁場においてイオンをできるだけ中心軸付近に集めればよい。
【0020】従来の四重極質量フィルタの入射光学系では、図2(a)に示すように、入射イオン21はイオン光学系13のイオン出射口ところ(F1)で収束するように設定されていた。それに対し、図2(b)に示すように、イオン21の収束位置をプレフィルタ12の端縁場内(F2)とすることにより、プレフィルタ12に入射するイオン21のz方向速度を揃えることができ、上記の通り、プレフィルタ12の長さを適切な値とすることにより(図5)、イオン21の透過率を最大とすることができる。
【0021】プレフィルタ12に入射するイオン21のz方向速度を揃えることにより、プレフィルタ12内におけるイオン21の運動を固定的なものとすることができるが、その運動の固定的形状(包絡線の形状)はイオン21の質量に応じて変化する。従って、常に最大のイオン透過率を得るためには、プレフィルタ12に入射するイオン21のz方向速度を揃えることの他、イオン21の質量に応じてプレフィルタ12の長さを変化させる必要がある。しかし、質量走査を行なっている間にプレフィルタ12の長さを変化させることは実際的ではない。
【0022】本実施例に係る四重極質量フィルタでは、プレフィルタ12に印加する直流バイアス電圧の大きさを変化させる。これにより、イオン21の速度が変化し、イオン21がプレフィルタ12を通過する時間を変化させることができる。すなわち、直流バイアス電圧を変化させることにより、プレフィルタ12の有効長さを変化させることができる。従って、本実施例の四重極質量フィルタでは、目的イオン21の質量に応じて直流バイアス電圧を変化させることにより、イオン21の質量に拘わらず常にイオンの透過率を最大とすることができる。




 

 


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