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発明の名称 質量分析装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−138620
公開日 平成8年(1996)5月31日
出願番号 特願平6−298794
出願日 平成6年(1994)11月7日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平
発明者 西 伸彦
要約 目的
中性分子や原子を極力排除し、イオンのみをマスフィルタに送り込むようにする。

構成
イオンレンズの後方焦点付近に先端開口を有するコーン形電極を設ける。これによりイオンはコーン形電極の先端開口を通過できる一方、中性分子や原子はコーン形電極によりそれ以降への進行を妨げられる。
特許請求の範囲
【請求項1】 高圧側のイオン化室で試料をイオン化し、ノズルを通して差圧により低圧側のマスフィルタ室にイオンを引き込む質量分析装置において、a)マスフィルタ室内の上記ノズルの後方に設けられたイオンレンズと、b)上記イオンレンズの後方焦点付近に先端開口を有するコーン形電極と、を備えることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】 高圧側のイオン化室で試料をイオン化し、ノズルを通して差圧により低圧側のマスフィルタ室にイオンを引き込む質量分析装置において、a)マスフィルタ室内の上記ノズルの後方に設けられたイオンレンズと、b)上記イオンレンズの後方焦点付近に先端開口を有する第1コーン形電極と、c)コーン形電極の後方に設けられた斜め切りイオンレンズと、d)斜め切りイオンレンズの更に後方に配置された複数枚の同一電位に保持される電極板から構成されるイオンレンズであって、斜め切りイオンレンズの中心に関してコーン形電極と対称の位置に第1コーン形電極と略同形の包絡線を持つ開口を有する第2コーン形電極と、を備えることを特徴とする質量分析装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)、エレクトロスプレイ質量分析装置(ESP−MS)、大気圧化学イオン化質量分析装置(APCI−MS)等の比較的大気圧に近い圧力の下で試料をイオン化する質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこのような質量分析装置の一例を図5により説明する。質量分析装置50は、隔壁57により隔てられたイオン化室51とマスフィルタ室52から成り、マスフィルタ室52の方は通常10-6torr程度の高真空に保持されている。試料導入口56から送り込まれる試料は、まずイオン化室51において各種方法でイオン化される。イオン化の方法により異なるが、イオン化室51は一般に大気圧から1torr程度と、マスフィルタ室52よりもはるかに高い圧力となっている。このため、両室51、52が直接隣接する状態ではマスフィルタ室52の高真空を維持することが困難であるため、通常は図5に示すように隔壁57を2重にし、中間室54をロータリポンプ(RP)等により中程度に排気するという差動排気を行なう。ただし、以降は煩雑を避けるため、中間室54の説明及び図示を省略する。
【0003】イオン化室51で生成された試料のイオンは、両室51、52の圧力差により、隔壁57に設けられたノズル57aを通してマスフィルタ室52に引き込まれる。ノズル57aの直後にはエキストラクタ電極58が設けられ、エキストラクタ電極58は電界によりノズル57aからのイオンの引き込みを助ける。マスフィルタ室52に引き込まれたイオンは、エキストラクタ電極58及びイオンレンズ60が形成する電界によりマスフィルタ65の入口付近に収束される。なお、図5の質量分析装置ではマスフィルタ65として四重極フィルタを使用しており、イオンレンズ60の電界が四重極フィルタの電界に影響を及ぼさないように、四重極フィルタの直前にはノズル61が設けられている。入射したイオンのうち、所定の質量/電荷比(m/z)を有するイオンのみがマスフィルタ65を通過し、イオン検出器66により検出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】イオン化室51では必ずしも全ての試料がイオン化されるわけではなく、一部の試料は中性分子又は原子のまま差圧によりノズル57aからマスフィルタ室52に引き込まれる。このような中性分子や原子は、試料イオンと衝突してそれを散乱させることにより質量分析の感度を低下させたり、イオン検出器66にまで到達してバックグラウンドノイズを生成する。
【0005】本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、このような中性分子や原子を極力排除し、イオンのみをマスフィルタに送り込むことのできるイオン光学系を備えた質量分析装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された第1の発明は、高圧側のイオン化室で試料をイオン化し、ノズルを通して差圧により低圧側のマスフィルタ室にイオンを引き込む質量分析装置において、a)マスフィルタ室内の上記ノズルの後方に設けられたイオンレンズと、b)上記イオンレンズの後方焦点付近に先端開口を有するコーン形電極と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】また、同じ課題を解決する第2の発明は、高圧側のイオン化室で試料をイオン化し、ノズルを通して差圧により低圧側のマスフィルタ室にイオンを引き込む質量分析装置において、a)マスフィルタ室内の上記ノズルの後方に設けられたイオンレンズと、b)上記イオンレンズの後方焦点付近に先端開口を有する第1コーン形電極と、c)コーン形電極の後方に設けられた斜め切りイオンレンズと、d)斜め切りイオンレンズの更に後方に配置された複数枚の同一電位に保持される電極板から構成されるイオンレンズであって、斜め切りイオンレンズの中心に関してコーン形電極と対称の位置に第1コーン形電極と略同形の包絡線を持つ開口を有する第2コーン形電極と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
【作用】イオンレンズは、差圧によりノズルから引き込まれたイオンを後方焦点位置に収束させる。コーン形電極の先端開口はその後方焦点位置の付近に設けられているため、ノズルからマスフィルタ室に引き込まれ、後方焦点位置に収束したイオンはほぼ全てコーン形電極の先端開口を通過し、それ以降に進むことができる。一方、中性分子や原子はイオンレンズにより影響されず、直進するため、ほとんどがコーン形電極によりそれ以降への進行を妨げられる。
【0009】次に、試料のイオン化法の中には、放電等イオン化の際に強い光を伴うものがある。このような光が同じくノズル57aからマスフィルタ室52(図5)に入り、イオン検出器66に入射することによりバックグラウンドノイズを構成する虞があるため、従来より図6に示すような斜め切りイオンレンズ80と呼ばれるイオンレンズが用いられている。斜め切りイオンレンズ80は、両端を斜めにカットした円筒状の電極を中央で切断し、偏心して配置したものであり、入射軸88aから入射したイオンはほぼ両者の中心軸に沿って偏移し、出射軸88bに沿って出射するのに対し、中性粒子や光は入射軸88aを直進するため、イオンから分離されるというものである。
【0010】このような斜め切りイオンレンズ80を使用する場合、イオンを正しく偏移させるためにはその前後の電極が対称的でなければならない。ところが、図7に示すように上記コーン形電極(以降、第1コーン形電極と呼ぶ)79の後にこのような斜め切りイオンレンズ80を設けた場合、斜め切りイオンレンズ80の後にも第1コーン形電極79と対称形のコーン形電極81を設ける必要がある。しかし、マスフィルタ85の入口にこのようなジョウゴ形の壁81を設けると、中性分子や原子を積極的にマスフィルタ85に送り込むことになり、バックグラウンドノイズを増加させることになる。なお、図7の質量分析装置70において、77は隔壁、78はエキストラクタ電極である。
【0011】そこで、第2発明では、複数枚の電極板から構成され、斜め切りイオンレンズの中心に関してコーン形電極と対称の位置にコーン形電極と略同形の包絡線を持つ開口を有する第2コーン形電極を斜め切りイオンレンズの後方に設ける。そして、第2コーン形電極を構成する各電極板には同一の電位を印加しておく。これにより、斜め切りイオンレンズの前後にほぼ対称形の電場が形成されるため、斜め切りイオンレンズが正しく動作するとともに、中性分子や原子は各電極板により遮られて電極板間の隙間から周辺方向に発散し、マスフィルタに入ることが阻止される。
【0012】
【実施例】第1発明の一実施例として、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)を図1及び図2により説明する。本実施例の質量分析装置10は図5の装置と同様、イオン化室11とマスフィルタ室12から成り、両室11、12は隔壁17により隔てられている。なお、本実施例においても上述の通り、隔壁17は2重となっており、間に中間排気室が設けられているが、図1では図示を省略している。マスフィルタ室12には、隔壁17の方からから順に、エキストラクタ電極18、コーン形電極19、イオンレンズ20、シールド電極21、四重極マスフィルタ25及びイオン検出器26が一列に配置されている。
【0013】マスフィルタ室12はターボ分子ポンプ(TMP)等の高真空ポンプにより10-6torr程度の高真空度が保持されている一方、イオン化室11では試料導入口16から導入される試料を、ほぼ大気圧に近い圧力の下で高周波誘導結合プラズマ(ICP=Inductively Coupled Plazma)によりイオン化する。このため、イオン化室11で生成された試料のイオンは、両室11、12の圧力差により、隔壁17に設けられたノズル17aを通してマスフィルタ室12に引き込まれる。
【0014】図2に示すように、エキストラクタ電極18はノズル17aからのイオンの引き込みを助けるとともに、引き込まれたイオンを破線で示すように後方焦点位置Fに収束する。コーン形電極19は、その先端開口部19aがほぼこの後方焦点位置Fの付近となるように配置されているため、イオンはこの先端開口部19aを通過してイオンレンズ20の方に進むことができる。しかし、イオン化室11でイオン化されずにノズル17aからマスフィルタ室12に入った中性分子や原子はこのような収束作用を受けないため、コーン形電極19により遮られてイオンレンズ20の方に進むことができない。なお、イオンレンズ20は、図1に示すような円筒状のものでもよいし、図2に示すようなアパーチャ付の複数の垂直電極板で構成したものでもよい。
【0015】コーン形電極19の先端開口部19aを通過したイオンは、コーン形電極19及びイオンレンズ20により、四重極マスフィルタ25の所定の入口に収束される。四重極マスフィルタ25では4本の平行電極に所定の高周波・直流(RF/DC)重畳電圧が印加され、所定の質量/電荷比(m/z)を有するイオンのみが発散することなく通過してイオン検出器26により検出される。この際、中性分子や原子がコーン形電極19により有効に阻止されているため、目的とするイオンが最大限に、かつバックグラウンドノイズに影響されることなく検出される。従って、試料の定性及び定量分析が高感度で行なわれる。
【0016】第2発明の一実施例であるICP−MSを図3及び図4により説明する。本実施例の質量分析装置30では、マスフィルタ室は、イオン光学系を収納する前段室32と、四重極マスフィルタ45及びイオン検出器46を収納する後段室33の2つに分離されている。両室32、33の間にはシールド電極を兼ねるノズル付隔壁42が設けられ、両室32、33はそれぞれターボ分子ポンプ(TMP)により排気されるという、3段差動排気システムを採用している。ただし、この構造は本発明と直接の関係はなく、上記実施例のように2段差動排気システムであっても構わない。前段室32には、イオン化室31との隔壁37の方からから順に、エキストラクタ電極38、第1コーン形電極39、斜め切りイオンレンズ40及び第2コーン形電極41が一列に配置されている。
【0017】試料導入口36から導入された試料は、イオン化室31においてICPによりイオン化され、差圧により隔壁37のノズルを通して前段室32に引き込まれる。上記第1実施例と同様、ノズルから引き込まれたイオンはエキストラクタ電極38により後方焦点位置Fに収束し、先端開口部より第1コーン形電極39を通過する。このとき、中性分子や原子の大部分は第1コーン形電極39により阻止される。第1コーン形電極39を通過したイオンは、斜め切りイオンレンズ40により図3において上方に偏移され、第2コーン形電極41に進む。一方、イオン源で発生した光は隔壁37のノズル及び第1コーン形電極39の先端開口を通過して来るが、この斜め切りイオンレンズ40の入射軸をそのまま直進するため、前段室32と後段室33との間の隔壁42により遮られ、イオン検出器46には入射しない。
【0018】第2コーン形電極41は図4に示すように、同心の開口41bを有する複数の平板状電極41aにより構成されている。この開口の包絡線(破線で示す)は、斜め切りイオンレンズ40の中心C(図3)に関して、第1コーン形電極39と対称形となるように設定されている。各電極板には同一の電位が印加される。これにより第2コーン形電極41は中心Cに関して第1コーン形電極39と対称形の電場を形成するため、斜め切りイオンレンズ40を正しく動作させ、斜め切りイオンレンズ40を通過したイオンを四重極マスフィルタ45の所定の入口に導く。一方、第1コーン形電極39を通過した僅かな量の中性分子や原子の更に大部分は、この第2コーン形電極41を構成する各電極板41aに衝突し、各電極板41aの間の隙間から外周側に発散するため、更に四重極マスフィルタ45への進行を阻止される。これにより更に高感度の分析を行なうことができる。
【0019】
【発明の効果】第1発明では、ノズルからマスフィルタ室に引き込まれ、後方焦点位置に収束したイオンはほぼ全てコーン形電極の先端開口を通過し、それ以降に進むことができる一方、中性分子や原子は直進するため、大部分がコーン形電極によりそれ以降への進行を妨げられる。このため、マスフィルタ側に進む中性分子や原子の量が大幅に低減され、質量分析における感度低下やバックグラウンドノイズの増加が防止される。
【0020】またこのようなコーン形電極を使用すると同時に、イオン源からの光を遮ぎるために斜め切りイオンレンズを使用する場合、斜め切りイオンレンズの後方に第2発明に係る第2コーン形電極を設けることにより、中性分子や原子は各電極板により遮られて電極板間の隙間から周辺方向に発散し、マスフィルタに入ることが阻止される。この場合も、マスフィルタ側に進む中性分子や原子が更に減少し、質量分析における感度低下やバックグラウンドノイズの増加が防止される。
【0021】なお、図1〜図4においてはいずれも各電極に負の電位を印加しているが、この印加電位の方向は、使用するイオンの正負に応じて適宜変更することはもちろんである。




 

 


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