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発明の名称 X線管用陽極
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−129980
公開日 平成8年(1996)5月21日
出願番号 特願平6−265757
出願日 平成6年(1994)10月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
発明者 黒田 晋一 / 平石 雅弘 / 山西 圭一
要約 目的
高温使用も可能で耐久性の高いX線管用陽極を提供する。

構成
陽極基体1の端面に30〜90度の皿取り角度を有した凹部2を形成し、この端面の凹部に陽極ターゲット材料3をCVD法によって被膜してなるX線管用陽極である。この陽極の製法は、端面の凹部2を除いた円筒外周部に銅箔でマスキングをした後、前記凹部に陽極ターゲット材料3をCVD法によって被膜し、マスキングを除去した後端面を機械加工して前記陽極基体の陽極ターゲット材料のみを残し他の被膜を除去して製作する。
特許請求の範囲
【請求項1】陽極基体の端面に30〜90度の皿取り角度を有する凹部が形成され、この凹部に陽極ターゲット材料が化学的蒸着法によって直接固着したことを特徴とするX線管用陽極。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,固定形の陽極型X線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固定形の陽極型X線管(以下固定陽極型X線管いう)は、小型にもかかわらず大きな熱容量が得られる。一般にX線管は,例えばX線診断として医療用に利用されているが、外科用の手術などの場合には小型で軽量な固定陽極型といわれるX線管が用いられる。X線を得る際にターゲットに供給される電気エネルギーは1%がX線エネルギーに変換されるにすぎず、残りの99%は不所望の熱に変わり、これがターゲットに著しい温度上昇をもたらしている。一般に固定陽極型X線管における放熱は、第3図および第4図に示すように陽極基体に熱伝導性の良好な銅製の柱状陽極基体11と、この陽極基体11の一端傾斜面に埋設された円板状陽極ターゲット12からなっている。
【0003】このような陽極基体を製造する方法としては、従来から2つの方法が実用化されている。即ち、「キャスティング法」と「ろう接法」である。先ず「キャスティング法」は、第3図に示すようにMo又はWからなる陽極ターゲット12に対して、銅の陽極基体11を溶融させ気密封止するものである。
【0004】他方、「ろう接法」は第4図に示すように、予め陽極基体15の傾斜面に陽極ターゲット12が入る凹部13を形成し、この凹部13の底面側に適当なろう材14をシート状又は置きろう等を介在させる方法で、このろう接により陽極ターゲット12を接合するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,これらいずれの方法もつぎの欠点を有している。まず,「キャスティング法」では、銅材からなる陽極基体11を高周波加熱法あるいはバーナー法等により融点以上に温度上昇させるため、高エネルギーを必要とし、コストアップの原因となっている。また、銅材を溶融するルツボ等が必要でありしかもこれらの耐久性が悪く、陽極基体製作の経費アップの要因となっている。しかし最大の問題点は、この手法による陽極基体11と陽極ターゲット12との密着性の低下とその不安定さによる熱伝導性の低下である。これは銅で構成されている陽極基体11と高融点金属(たとえばタングステン等)で構成されている陽極ターゲット12の金属同士のなじみ性の問題、すなわち銅−タングステンはもともと濡れ性が悪く互いに合金層を作らない金属の組合せよよるためである。したがって、このような状況で作製されたX線管では少し過大な負荷が加わればターゲット表面の割れや溶融、極端な場合にはターゲットの剥がれといった問題となって現れる。
【0006】次に「ろう接法」では、ろう接時の気泡発生が主因となり、繰り返し負荷による熱応力のためターゲットの剥がれ、あるいは熱伝導性の低下によるターゲット表面の割れや溶融が発生する。また、本質的にろう材の融点で最高使用温度が限定されるため、陽極ターゲット12と陽極基体15との直接接合に比べて使用限界温度を低くしなければならない。また、陽極ターゲット12と陽極基体15との隙間の発生が、不純物混入や耐電圧低下の原因ともなっている。この発明はこのような問題点を解決するX線管用陽極を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明が提供するX線管用陽極は、熱伝導性の良好な銅からなる陽極基体に対して,従来から適用されているキャスティング法やろう接法に変えて,陽極基体に対する陽極ターゲットの接合を高融点金属の化学的蒸着法すなわちCVD法により行わせたものである。また具体的には化学的蒸着法による固着を良好ならしめるため、陽極基体と陽極ターゲットとの接合部の形状をターゲット面に対して30〜90度の皿取り角度を有した凹部として形成したものである。
【0008】さらにこのX線管用陽極は、陽極基体の端面に凹部を形成し、この陽極基体に対して端面を除く外周面に銅箔を巻き付けた後、陽極ターゲット材料を化学的蒸着法によって被膜し、その後陽極基体の端面を凹部陽極ターゲット材料を残して被膜を研磨除去するようにして製作する。
【0009】
【作用】本発明の場合、化学的蒸着法すなわちCVD法により、銅からなる基体と高融点金属X線放射層との密着力が高まり、すなわち、着き回りの良い方法で高融点金属X線放射層を設けることになり,タ−ゲットが必要とする条件である苛酷な熱負荷に対しても安定でしかも機械的密着強度が高くなり、熱放射性の良好なターゲットが得られる。
【0010】
【実施例】この発明のX線管用陽極基体を第1図の断面図に示す。柱状の陽極基体 1の一端が傾斜面1aに形成され、この傾斜面1aには円錐台状の凹部 2が形成されている。この凹部 2には、CVD(化学気相蒸着法)により高融点金属の陽極ターゲット 3が形成されている。
【0011】この発明の一実施例について以下に詳述する。第1図に示した凹部2が形成された陽極基体1に後述するとおりのCVDによってタングステン3を生成させる。生成温度は500〜700度の任意の温度に設定し、WF6 をH2 によって還元することによって銅製の陽極基体の上にタングステンを生成させる。ガス条件としては,たとえばWF6 =200CCM、H2 =1000CCM、全圧0.5〜760torrの任意とした。このようなタングステン成膜後、機械加工等によってX線管用陽極を製作する。
【0012】第2図に上記の方法で得られた、タングステン−銅の陽極ターゲットの接合界面の電子顕微鏡(SEM)写真と元素分析(EPMA線分析)の結果を示す。このように本手法では極めて良好に接合されていることがわかる。このように接合または界面には他の不純物が元素は認められず、熱伝導性を低下させたり、長期信頼性を低下させるようなことはない。
【0013】この発明の有効性を確認するために,本手法のCVDによる方法と他方は従来法のキャスティング法とし,得られたターゲットを実際にX線管に封じ込めて試験をした。
【0014】試験条件としては,透視(長時間入力)を行う時を想定した条件で熱負荷に対するターゲット面の荒れ具合を比較した。試験結果は,従来法より約20%の長時間最大入力が向上することを確認した。以上によって透視時の許容入力を大きくすることができ、X線画質を向上することができる。また、660W,20秒の大線量透視や同様に高出力が必要な簡易DSAのような術式にも対応できるようになった。これは現在の同等機種のX線管では最大のものである。次に、X線撮影(短時間最大定格)についても比較したが両者の差は認められなかった。
【0015】つぎにこの発明のX線管用陽極の製造方法であるが、その特徴は基体の端面部分以外にタングステンが被膜されないよう、円筒部外周面を銅箔でマスキングを行いCVDを行う点にある。そしてCVD後は銅箔を剥ぎ取ることにより容易に不要部分に膜を付けすることなく必要部分のみの被膜が実現する。
【0016】この発明のようにマスクに銅箔を用いると,タングステン膜を形成した後膜が生成したマスクを剥ぐ作業は容易である。CVDは300〜800℃で行われるため,マスクと銅基材は密着してしまっている。しかし,CVD後の冷却の工程でマスクにタングステン膜が蒸着するため,基材との間に熱膨張係数差が生じ,銅箔のマスクを剥がす方向に力が働く。そのため,CVD後の銅箔は容易に剥がれる。ただ、銅箔の厚さがあまりに薄いとと銅箔マスクとの密着の力が強く容易に剥がれない。また厚い銅箔では加工性,シール性が悪くなる。 以下、この発明のX線管用陽極基体の具体的な製造方法を説明する。
【0017】まず、銅製の基体1の端面に陽極ターゲットのタングステンを形成する凹部2を形成する。つぎに銅製の基体1の円筒部外周にマスク用銅箔を巻き付ける。マスク用銅箔の加工法はその生産量によって異なるが,少量の場合は,刃物で容易に加工できるし,多量の場合は,型を用いたプレス成形で加工すれば良い。マスク用銅箔は、その上を銅線で縛り、銅箔が外れたり移動しないようにする。勿論、繰り返し使用する治具を利用することも可能であるが、膜が付着するため寿命に限度がある。そのため銅線のような安価な使い捨ての材料が有利である。以上の準備が完了すると、CVD装置の反応管にマスキングした基体1をセットし、タングステン膜をCVD法により生成する。条件は例えば400〜800℃でWF6 =100〜300CCM,H2 =300〜1000CCMである。そしてCVD後取り出せる温度に冷却した後、反応管より取り出してマスク5を剥がすと端面部分のみにタングステン膜3SがCVD法により生成される。これを機械加工により一定の形状に仕上げてX線管用陽極を作成するのである。
【0018】この発明は、X線管用陽極とその製造方法に特徴があるが、その内容をまとめるとつぎのとおりである。
【0019】付記1陽極基体の端面に30〜90度の皿取り角度を有する凹部が形成され、この凹部に陽極ターゲット材料が化学的蒸着法によって直接固着したことを特徴とするX線管用陽極。
【0020】付記2陽極基体の端面に凹部を形成し、この端面を除いた円筒外周部にマスキングをした後陽極ターゲット材料を化学的蒸着法によって直接固着させるようにしたことを特徴とするX線管用陽極の製造方法。
【0021】付記3陽極基体の端面に凹部を形成し、この端面を除いた円筒外周部に銅薄でマスキングをした後、前記凹部に陽極ターゲット材料をCVD法によって被膜し、マスキングを除去した後端面を機械加工して前記陽極基体の陽極ターゲット材料のみを残し他の被膜を除去することを特徴とするX線管用陽極の製造方法。
【0022】付記4陽極基体の端面に30〜90度の皿取り角度を有した凹部を形成し、この端面を除いた円筒外周部に銅薄でマスキングをした後、前記凹部に陽極ターゲット材料をCVD法によって被膜し、マスキングを除去した後端面を機械加工して前記陽極基体の陽極ターゲット材料のみを残し他の被膜を除去することを特徴とするX線管用陽極の製造方法。
【0023】
【発明の効果】本発明に基づく固定陽極(ターゲット)を装着したX線管は医療の分野で診察やX線断層撮影に使用することができる。その中でも特に、小型で軽量な固定陽極X線管として外科用手術等に有効に使用できる。このように高温使用に対しても耐久性の高いX線管用陽極を提供する。また、特に30〜90度の皿取り角度を有した凹部に陽極ターゲット材料をCVD法によって被膜するものであり、苛酷な熱負荷や生産工程のガラス封着用コバール材のろう接時(800〜850度Cの加熱)においても陽極基体の銅と陽極ターゲットの高融点金属の熱膨脹係数差によって発生する熱応力による割れ等のない信頼性の高いX線発生層をもつX線管を提供することができる。




 

 


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