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発明の名称 磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−321644
公開日 平成8年(1996)12月3日
出願番号 特願平7−128659
出願日 平成7年(1995)5月26日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
発明者 小池 文人 / 長谷川 直也
要約 目的
本発明は、非磁性層の両側に配置される磁性層の構造を特別に工夫することで、小さな磁界変化で大きな磁気抵抗変化率を示すことができるようにした磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法の提供を目的とする。

構成
本発明は、少なくとも2層の対になる強磁性層24、26が、それらの間に非磁性層25を介在させて基板20上に積層されてなる磁気抵抗効果多層膜であって、前記対になる強磁性層24、26の少なくとも一方が、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成されてなるものであり、かつ異種磁性材料間に明確な界面が存在せず、濃度勾配を有するものである。
特許請求の範囲
【請求項1】 少なくとも2層の対になる強磁性層が、それらの間に非磁性層を介在させて基板上に積層されてなる磁気抵抗効果多層膜であって、前記対になる強磁性層の少なくとも一方が、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成されてなることを特徴とする磁気抵抗効果多層膜。
【請求項2】 前記対になる強磁性層のうち、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層が、他方の強磁性層の構成材料からなる薄膜層と他の強磁性材料からなり前記薄膜層よりも厚い主層からなることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項3】 前記対になる強磁性層のうち、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層が、他方の強磁性層を構成する磁性材料の成分の濃度勾配を有し、この磁性材料の成分の濃度が、非磁性層側で高く、その反対側で低くされてなることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項4】 前記対になる強磁性層のうち、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層が、他方の強磁性層を構成する磁性材料の成分の濃度勾配を有し、この濃度勾配領域は、他方の強磁性層を構成する磁性材料の成分濃度80原子%以上となる領域が非磁性層側界面から5Å以上を有し、かつこの強磁性層厚の1/2以下とされてなることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項5】 前記強磁性層の非磁性層側と反対側に、強磁性層の磁化をピン止めする交換バイアス層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項6】 少なくとも2層の対になる強磁性層が、それらの間に非磁性層を介在させて構成された積層ユニットが、基板上に複数積層されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項7】 前記対になる強磁性層が、Ni-Fe合金、Co、Ni-Fe-Co合金、Ni、Feから選択された少なくとも2種から構成される一方、非磁性層がAu、Ag、Cu、Crから選択された少なくとも1種により構成されてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の磁気抵抗効果多層膜。
【請求項8】 基板上に形成される強磁性層を成膜するための第1のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第2のターゲットと、前記非磁性層の上に形成される強磁性層を成膜するための第3のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される交換バイアス層を形成するための第4のターゲットを少なくとも備え、前記第1のターゲットと第3のターゲットの少なくとも一方が、本体ターゲットの一部に本体ターゲットと異なる材料からなる補助ターゲットを備えた複合ターゲットから構成される蒸着装置を用い、基板を前記第1のターゲットの近傍から第4のターゲットの近傍まで各ターゲット毎に順次移動しながら基板上に強磁性層と非磁性層と強磁性層と交換バイアス層を順次積層することを特徴とする磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
【請求項9】 基板上に形成される強磁性層を成膜するための第1のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第2のターゲットと、前記非磁性層の上に形成される強磁性層を成膜するための第3のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第5のターゲットを少なくとも備え、前記第1のターゲットと第3のターゲットの少なくとも一方が、本体ターゲットの一部に本体ターゲットと異なる材料からなる補助ターゲットを備えた複合ターゲットから構成される蒸着装置を用い、基板を前記第1のターゲットの近傍から第5のターゲットの近傍まで各ターゲット毎に順次繰り返し移動しながら基板上に強磁性層と非磁性層と強磁性層とからなる積層ユニットを順次積層することを特徴とする磁気抵抗効果多層膜の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッド、位置センサ、回転センサ等に用いられる磁気抵抗効果素子用の磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の用途に用いられている磁気抵抗(MR)効果材料として、Ni-Fe合金薄膜(パーマロイ薄膜)が知られているが、パーマロイ薄膜の抵抗変化率は2〜3%が一般的である。従って、今後、磁気記録における線記録密度およびトラック密度の向上あるいは磁気センサにおける高分解能化に対応するためには、より抵抗変化率(MR比)の大きい磁気抵抗効果材料が望まれている。
【0003】ところで近年、巨大磁気抵抗効果と呼ばれる現象が、Fe/Cr交互積層膜、あるいは、Co/Cu交互積層膜などの多層薄膜で発見されている。これらの多層薄膜においては、FeやCoなどからなる各強磁性金属層の磁化がCrやCuなどからなる非磁性金属層を介して磁気的な相互作用を起こし、積層された上下の強磁性金属層の磁化が反平行状態を保つように結合している。即ち、これらの構造においては、外部磁場のない時、非磁性金属層を介して交互に積層された強磁性金属層が一層毎に磁化の向きを反対方向に向けて積層されている。そして、これらの構造においては、適当な外部磁界が印加されると、各強磁性金属層の磁化の向きが同じ方向に揃うように変化する。
【0004】前記の構造において、各強磁性金属層の磁化が反平行状態の場合と平行状態の場合では、Fe強磁性金属層とCr非磁性金属層の界面、あるいは、Co強磁性金属層とCu非磁性金属層の界面における伝導電子の散乱のされ方が、伝導電子のスピンに依存して異なるといわれている。従ってこの機構に基づくと、各強磁性金属層の磁化の向きが反平行状態の時は電気抵抗が高く、平行状態の時は電気抵抗が低くなり、抵抗変化率として従来のパーマロイ薄膜を上回る、いわゆる、巨大磁気抵抗効果を発生する。このように、これらの多層薄膜は、従来のNi-Feの単層薄膜とは根本的に異なるMR発生機構を有している。
【0005】しかしながら、これらの多層膜においては、各強磁性金属層の磁化の向きを反平行とするように作用する強磁性金属層間の磁気的相互作用が強すぎるために、各強磁性金属層の磁化の向きを平行に揃えるためには、非常に大きな外部磁界を作用させなくてはならない問題がある。従って、強い磁界をかけないと大きな抵抗変化が起こらないことになり、磁気ヘッドなどのように磁気記録媒体からの微小な磁界を検出する装置に適用した場合に満足な高い感度が得られないという問題があった。
【0006】この問題を解決するためには、強磁性金属層間に働く磁気的な相互作用を過度に強くしないように、CrやCuなどからなる非磁性金属層の厚さを調整し、各強磁性金属層の磁化の向きの相対的な方向を磁気的相互作用とは別の方法により制御することが有効と思われる。従来、このような磁化の相対的な方向制御技術として、Fe-Mn合金などの反強磁性体からなる交換バイアス層を設けることにより、一方の強磁性金属層の磁化の向きを固定し、この強磁性金属層の磁化の向きが外部磁界に対して動き難いように構成し、他方の強磁性金属層の磁化の向きを自由に動けるように構成することにより、微小な磁界による動作を可能にした技術が提案されている。
【0007】図7は、特開平6ー60336号公報に開示されているこの種の技術を応用した構造の磁気抵抗センサの一例を示すものである。図7に示す磁気抵抗センサAは、非磁性の基板1に、第1の磁性層2と非磁性層3と第2の磁性層4と交換バイアス層5を積層して構成されたものであり、第2の磁性層4の磁化の向きBが交換バイアス層5による磁気的交換結合により固定されるとともに、第1の磁性層2の磁化の向きCが、印加磁界がない時に第2の磁性層4の磁化の向きBに対して直角に向けられている。ただし、この第1の磁性層2の磁化の向きCは特に固定されないので微小な外部磁界により容易に回転できるようになっている。また、図7に示す構造において、第1の磁性層2の磁化の向きが小さな外部磁界により感度良く回転する必要があるので、第1の磁性層2には軟磁気特性に優れることが必要とされる。このような観点から先の構造においては、第1の磁性層2を構成する磁性材料として、Ni-Fe合金、Ni-Co合金、Co-Zr合金、Co-Mo-Nb合金、Ni-Fe-Co等が好ましい。
【0008】図7に示す構造に対して印加磁界hを付加すると、印加磁界hの方向に応じて第1の磁性層2の磁化の向きCが点線矢印の如く回転するので、第1の磁性層2と第2の磁性層4との間で磁化に角度差が生じることになるために、抵抗変化が起こり、これにより磁場検出ができるようになっている。
【0009】次に、一方の磁性層の磁化の向きを固定し、他方の磁性層の磁化の向きを自由とした構成の磁気抵抗センサの他の例として、図8に示すように、基板6上に、NiOの交換バイアス層7と、Ni-Fe合金の磁性層8と、Cuの非磁性金属層9と、Ni-Fe合金の磁性層10と、Cuの非磁性金属層11と、Ni-Fe合金の磁性層12と、Fe-Mn合金の交換バイアス層13とを順次積層した構造の磁気抵抗センサBが知られている。この例の構造においては、交換バイアス層7、13により、それらに隣接する強磁性金属層8、12の磁化がそれぞれ固定され、強磁性金属層8、12の間に非磁性金属層9、11を介して挟まれた強磁性金属層10の磁化が外部磁界に応じて回転可能に構成されている。
【0010】図7あるいは図8に示す構造の磁気抵抗センサであると、微小な印加磁界の変化に対して磁気抵抗センサAと磁気抵抗センサBの電気抵抗が直線的に感度良く変化する。また、第1の磁性層2としてNi-Fe合金などの軟磁性材料を用いると、その軟磁気特性を利用することができ、ヒステリシスが少ないなどの利点を有する。
【0011】次に、図7と図8に示す構造の磁気抵抗センサとは異なる他の構造の磁気抵抗センサの一例として、図9に示すように、ガラス基板15上に、Cuの非磁性層16と、Co、Co-Pt、Co-Cr-Ta等からなる硬質磁性材料層17と、Cuの非磁性層18と、Ni-Fe合金の軟質磁性材料層19を複数回繰り返し積層した構造の磁気抵抗センサCが知られている。図8に示す構造の磁気抵抗センサCは、硬質磁性材料膜17と軟質磁性材料膜19の保磁力差を利用し、非磁性層18の厚さを所定の厚さに調整することで両磁性層17、19の磁化の向きを平行にあるいは反平行にすることができ、これにより巨大磁気抵抗効果を得ることができる。そしてこの構造の磁気抵抗センサCは、積層数を自由に変更できるので、積層数を多くすることにより、図7と図8に示す構造の磁気抵抗センサよりも大きなMR比を得ることができるとされている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】図7に示す構造の磁気抵抗センサにおいて、最も大きな電気抵抗変化率(ΔMR)が得られるのは、第1の磁性層2と非磁性層3と第2の磁性層4の組み合わとして、磁性層2、4をCoからまたはCo-10at%Fe合金から構成し、非磁性層3をCuから構成した場合であるとされている。
【0013】しかしながら、第1の磁性層2をCoやCo-Fe合金から構成すると、第1の磁性層2の保磁力が大きくなり、高い磁界においてのみ抵抗変化を起こす構成になってしまうので、実用化を目指してより低い磁界でも感度良く磁気抵抗変化を起こすためには、第1の磁性層2の構成材料として、Ni-Fe合金あるいはCo-Fe-Ni合金などの軟磁性材料を用いる必要が生じる。従って先に述べた磁性層2、4を両方CoあるいはCo-10at%Fe合金を用いた場合よりはΔMRは小さくなる問題があった。また、このような問題は、図9に示す構造の磁気抵抗センサCのようにCuの非磁性層18をCo等の硬質磁性材料層17とNi-Fe等の軟質磁性材料層19とで挟んで構成している場合も同様なものである。
【0014】本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、非磁性層の両側に配置される磁性層の構造を特別に工夫することで、小さな磁界変化で大きな磁気抵抗変化率を示すことができるようにした磁気抵抗効果多層膜およびその製造方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決するために、少なくとも2層の対になる強磁性層が、それらの間に非磁性層を介在させて基板上に積層されてなる磁気抵抗効果多層膜であって、前記対になる強磁性層の少なくとも一方が、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成されてなるものである。前記対になる強磁性層のうち、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層が、他方の強磁性層の構成材料からなる薄膜層と他の強磁性材料からなり前記薄膜層よりも厚い主層からなることが好ましい。
【0016】前記対になる強磁性層のうち、少なくとも2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層が、他方の強磁性層を構成する磁性材料の成分の濃度勾配を有し、この磁性材料の成分の濃度が、非磁性層側で高く、その反対側で低くされてなることが好ましい。また、この濃度勾配領域は、他方の強磁性層を構成する磁性材料の成分が80at%以上となる領域で非磁性層界面より5Å以上有することが好ましく、かつこの強磁性層厚の1/2以下の厚さであることが好ましい。更に、前記の構成において、強磁性層の非磁性層側と反対側に、強磁性層の磁化をピン止めする交換バイアス層が形成されてなることが好ましい。
【0017】また、前記の構造において、少なくとも2層の対になる強磁性層が、それらの間に非磁性層を介在させて構成された積層ユニットが、基板上に複数積層されてなる構造とすることができる。更に、前記対になる強磁性層が、Ni-Fe合金、Co、Ni-Fe-Co合金、Ni、Feから選択された少なくとも2種から構成される一方、非磁性層が、Au、Ag、Cu、Crから選択された少なくとも1種により構成されてなることが好ましい。
【0018】次に、基板上に形成される強磁性層を成膜するための第1のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第2のターゲットと、前記非磁性層の上に形成される強磁性層を成膜するための第3のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される交換バイアス層を形成するための第4のターゲットを少なくとも備え、前記第1のターゲットと第3のターゲットの少なくとも一方が、本体ターゲットの一部に本体ターゲットと異なる材料からなる補助ターゲットを備えた複合ターゲットから構成される蒸着装置を用い、基板を前記第1のターゲットの近傍から第4のターゲットの近傍まで各ターゲット毎に順次移動しながら基板上に強磁性層と非磁性層と強磁性層と交換バイアス層を順次積層することにより磁気抵抗効果多層膜を製造することができる。
【0019】更に、基板上に形成される強磁性層を成膜するための第1のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第2のターゲットと、前記非磁性層の上に形成される強磁性層を成膜するための第3のターゲットと、前記強磁性層の上に形成される非磁性層を成膜するための第5のターゲットを少なくとも備え、前記第1のターゲットと第3のターゲットの少なくとも一方が、本体ターゲットの一部に本体ターゲットと異なる材料からなる補助ターゲットを備えた複合ターゲットから構成される蒸着装置を用い、基板を前記第1のターゲットの近傍から第5のターゲットの近傍まで各ターゲット毎に順次繰り返し移動しながら基板上に強磁性層と非磁性層と強磁性層とからなる積層ユニットを順次積層することでも磁気抵抗効果多層膜を製造することができる。
【0020】
【作用】非磁性層を挟んで設けられる強磁性層の少なくとも一方が2種類の異種磁性材料からなると、非磁性層を挟んで対向する強磁性層の非磁性層側をそれぞれ同じ種類の磁性材料から形成することができる。これにより、非磁性層と強磁性層の組み合わせを最も大きな電気抵抗変化を生じるCoあるいはCo-10at%Feの組み合わせとすることができる。また、異種磁性材料層のうち、非磁性層側ではない主層をNiFe等により構成できるために、低磁界での高感度な電気抵抗変化も両立して得ることができる。2種類の異種磁性材料からなる強磁性層として、薄膜層と主層からなる2層構造とするか、一方の強磁性層に他方の強磁性層の構成元素の濃度勾配が付与された構造とすることができる。その場合、薄膜層と主層は主層の方が厚い必要があり、濃度勾配を有する場合は、濃度勾配を有する元素が強磁性層の非磁性層側で高濃度である必要がある。また、2種類の異種磁性材料からなる強磁性層は、2層構造よりは濃度勾配構造の方が好ましい。これは2層構造とした場合、異種材料間の界面が存在し、ここで伝導電子が無用な散乱を受けてしまうためである。濃度勾配構造を有する場合は、この異種材料界面が存在しないために、伝導電子は効率良く電気抵抗変化を生じることができる。
【0021】また、前記強磁性層に接するように交換バイアス層を設けることで一方の強磁性層の磁化の向きが固定されるので、他方の強磁性層の磁化の向きが外部磁界に応じて回転した場合に両強磁性層間で磁化の向きの回転角が異なるようになり、抵抗変化を生じる。更に、少なくとも2層の対になる強磁性層が非磁性層を介在させて構成される積層ユニットが基板上に複数形成された構造であると、強磁性層の磁化の向きが磁界の作用していない状態と磁界の作用した状態において平行状態と反平行状態のどちらかになるので、この変化に応じた抵抗変化を生じる。
【0022】次に、前記構造の磁気抵抗効果多層膜を製造する場合、第1〜第4のターゲットを備えた蒸着装置を用い、第2ターゲットと第3ターゲットの少なくとも一方を異種材料形成用に本体ターゲットと補助ターゲットから構成すると、2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層を基板上に成膜することができる。よって先に説明した構成の磁気抵抗効果多層膜が製造可能になる。また、第1〜第3ターゲットと第5ターゲットを備え、第2のターゲットが本体ターゲットと補助ターゲットから構成されると、非磁性層を挟んでその両側に強磁性層が設けられる構造で強磁性層のうち少なくとも一方が2種類の異種磁性材料からなる磁気抵抗効果多層膜の製造が可能になる。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第1実施例を示すもので、この例の磁気抵抗効果多層膜Dは、非磁性体からなる基板20とその上に順次積層されたバッファ層21と、強磁性体からなる主層22および強磁性体からなる薄膜層23からなる強磁性層24と、非磁性体からなる非磁性層25と、強磁性体からなる強磁性層26と、反強磁性体からなる交換バイアス層27とを主体として構成されている。
【0024】前記基板20は、ガラス、Si、Al23、TiC、SiC、Al23とTiCの燒結体、フェライトなどに代表される非磁性体から構成されている。また、バッファ層21は、基板上面の凹凸やうねりを除去する目的であるいはその上に積層される層の結晶整合性を良好にするなどの目的で設けられたもので、Ta、Zr、Nb、Fe、Crなどの材料から構成されている。
【0025】前記主層22と強磁性層26は、いずれも、強磁性体の薄膜からなるが、具体的には、Fe-Ni合金、Co、Ni-Fe-Co合金、Ni、Feの中から選択される2種の強磁性体から形成される。また、薄膜層23はCoから構成されることが好ましい。この薄膜層23は、最低でも5Åの厚さが必要であり、主層22の厚さの1/2を超えない厚さとする必要がある。これは、非磁性層23と強磁性層24との界面における伝導電子のスピン異存散乱が非磁性体に対してCoを用いた場合に最も好適でその場合に高い磁気抵抗変化を生じるためであり、このような理由から、最低でも5Å程度の厚さがないと伝導電子のスピン異存散乱の面で不足を生じ、磁気抵抗変化が減少する。また、Coの薄膜層23をあまりに厚くしすぎると、保磁力の大きなCoが主層22の磁化の回転を阻害するようになり、主層22の磁化の回転が低磁界で円滑になされ難くなる。なお、前記磁性材料の組み合わせの中で1つの好ましい例として、主層22をFe-Ni合金から構成し、薄膜層23をCoから構成する構造を例示することができる。
【0026】前記非磁性層25は、Cu、Cr、Au、Agなどに代表される非磁性体からなり、特に好ましくはCuが選択され、20〜40Åの厚さに形成されている。ここで非磁性層25の厚さが20Åより薄いと、主層22および薄膜層23と強磁性層26との間で磁気的結合が起こりやすくなる。また、非磁性層25が40Åより厚いと磁気抵抗効果を生じる要因である非磁性層25と強磁性層26と薄膜層23の界面を通過する伝導電子の効率が低下し、即ち、電流の分流効果により磁気抵抗効果が低減されてしまうので好ましくない。
【0027】交換バイアス層27は、Fe-Mn合金、Ni-Mn合金などの反強磁性体から構成することが好ましい。また、交換バイアス層27の外側には、必要に応じてTaなどの保護層を設けても良く、この保護層の上に更に絶縁性のオーバーコート層を設けることもできる。この場合に設けるオーバーコート層は、Ta、Al23、石英などの絶縁材料から構成することが好ましい。
【0028】図1に示す構造の磁気抵抗効果多層膜Dにあっては、交換バイアス層27が強磁性層26に接触され、強磁性層26の磁化の向きが交換バイアス層27との交換結合によりもたらされるバイアス場によってピン止めされるので、このピン止め力に影響しない範囲の外部磁界が作用しても強磁性層26の磁化の向きは変化しない。 これに対し、強磁性層24の磁化は特にピン止めされていないので、外部磁界に応じて磁化の向きが回転するようになり、この結果、強磁性層24と強磁性層26での磁化の向きの回転角が異なるようになるので、抵抗変化を生じるようになる。このようなことから、磁界を印加するか否かにより抵抗変化が起こり、磁気抵抗変化を生じるので、逆に、図1に示す構造の磁気抵抗効果多層膜Dの抵抗変化を測定することで外部磁界を測定できるようになる。従って、この例の磁気抵抗効果多層膜Dを磁気ヘッド、位置センサ、回転センサ等に用いられる磁気抵抗効果素子用として用いることができる。
【0029】また、図1に示す構造の磁気抵抗効果多層膜Dにあっては、強磁性層24が主層22と薄膜層23とから構成されているが、これは、非磁性層25を強磁性層24、26で挟む構造の磁気抵抗効果発生機構にあっては、強磁性層24、26を同種の材料から構成する方が、異種の材料から構成するよりも、伝導電子のスピン依存錯乱以外の因子が生じる可能性が低く、より高い磁気抵抗効果が得られることに起因している。このことから、強磁性層26をCoから構成した場合、強磁性層24の非磁性層25側に所定の厚さのCo層、即ち、Coからなる薄膜層23とすることが好ましい。なお、主層22は強磁性体であるものの、磁化の回転が低磁界で行われる方が良いので、軟磁気特性に優れたものを用いる方が良い。また、薄膜層23は主層22に比べて充分に薄いので、強磁性層24の全体として見た場合は磁化の回転が円滑に行われ、しかも、前述の伝導電子のスピン異存散乱の面で充分な効果を発揮できる程度の厚さを有するので、高い抵抗変化率を得ることができる。
【0030】図2は本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第2実施例を示すもので、この例の磁気抵抗効果多層膜Eは、非磁性体からなる基板20とその上に順次積層されたバッファ層21と、強磁性層30と、非磁性体からなる非磁性層25と、強磁性層26と、反強磁性体からなる交換バイアス層27とを主体として構成されている。なお、この第2実施例の構成で先の第1実施例の構成と同等の部分には同一符号を付してそれらの部分の説明は省略する。前記強磁性層30は、第1実施例の主層22を構成する強磁性体と同様の磁性体からなるが、この強磁性層30が主層22と異なっているのは、強磁性層30の中にCoが含まれ、かつ強磁性層30内でCoの濃度勾配が形成され、その濃度勾配が、非磁性層25に近づくにつれて高くなるように形成されている点である。また、強磁性層30においてバッファ層21側ではCoが含まれておらず、強磁性層30の厚さの中央部分付近から徐々にCo濃度が高くなり、非磁性層25に近い厚さ5Å程度の部分ではCo濃度が80at%程度以上の混合層30’が形成されている。
【0031】この混合層30’は、先の第1実施例の薄膜層23と同様な作用を奏し、非磁性層25と強磁性層30の界面は大きな抵抗変化を生ずるCuとCoの組み合わせとなる。従ってこの例にあっても先の第1実施例と同様な効果を得ることができる。しかも、第1実施例における主層22と薄膜層23間の界面は第2実施例では存在せず、強磁性層30において伝導電子は余分な散乱を受けないために、第1実施例より第2実施例の方が大きな抵抗変化率を得ることができる。
【0032】図3は本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第3実施例を示すもので、この例の磁気抵抗効果多層膜Fは、非磁性体からなる基板20と、その上に順次積層されたバッファ層21と、強磁性層30と、非磁性体からなる非磁性層25と、強磁性層31と、反強磁性体からなる交換バイアス層27とを主体として構成されている。なお、この第3実施例の構成で先の第2実施例の構成と同等の部分には同一符号を付してそれらの部分の説明は省略する。前記強磁性層30、31は、強磁性層30、31の中にCoが含まれ、かつ、強磁性層31内でCoの濃度勾配が形成され、その濃度勾配が、非磁性層25に近づくにつれて高くなるように形成されている点に特徴がある。先の第2実施例では、濃度勾配を有する強磁性層は交換バイアス層27に隣接していない片方のみに設けられていたが、本実施例のように両方の強磁性層を濃度勾配を有する層としても効果は同様である。
【0033】従ってこの例にあっては、強磁性層30、31をいずれもNi-Fe合金から構成し、それらにCoを含有させてCo濃度勾配をつける構成とすることができる。これにより非磁性層25を挟んでその両側に高濃度Coの混合層30’、31’を設ける構造とすることができるが、非磁性層の両側をCo層で挟む構成の磁気抵抗効果素子が最も高い磁気抵抗効果を発揮することが知られていることから、この第3実施例の構造により、第1実施例よりも高く第2実施例と同等の磁気抵抗効果を得ることができる。
【0034】図4は本発明に係る磁気抵抗効果多層膜の第4実施例を示すもので、この例の磁気抵抗効果多層膜Gは、非磁性体からなる基板20の上に、硬質磁性材料からなる硬質磁性層33と非磁性層34と軟磁性材料からなる軟磁性層35とから構成された積層ユニット36が、複数、非磁性層34を介して複数積層された構造にされている。また、各軟磁性層35の下部側、即ち、軟磁性層35と硬質磁性層33とで挟まれた非磁性層34に近い側には、Co濃度の高い薄い高Co濃度層35’が形成されている。前記硬質磁性層33は、CoあるいはCoを高濃度に含むCo-Pt、Co-Cr等の合金から構成されることが好ましく、軟磁性層35は、Ni-Fe合金から構成されることが好ましい。また、非磁性層34は先の第1実施例の非磁性層25と同等の材料からなり、特にCuから構成されることが好ましい。
【0035】この例の構造の磁気抵抗多層膜Gは、硬質磁性層33と軟磁性層35を非磁性層34を介して積層しているので、図9に示す従来例の構造の場合と同様に、非磁性層34を介して保磁力差を有する強磁性層で挟んだ構造となり、これにより磁気抵抗効果が得られる。また、軟磁性層35は薄い高Co濃度層35’を有するので、この例の構造では非磁性層34を高Co濃度層35’とCoあるいはCo系合金の硬質磁性層33で挟む構成とすることができ、この構成とすると、非磁性層34の両側にCoが存在する構成にできるので、高い磁気抵抗効果を得ることができる。更に、この例の構造では、積層ユニット36を必要層数だけ積層できるので、積層数に応じた高い磁気抵抗効果を得ることができる。
【0036】次に図5を基に先に説明した第1実施例の磁気抵抗効果多層膜Cに保護層を被覆した構造の磁気抵抗効果多層膜を製造する方法の一例について説明する。図5は、横一列に複数の成膜室が連続形成されたスパッタ装置の概略構成を示すもので、この例のスパッタ装置は、取込室40、成膜室41、42、43、44、45、46、取出室47がそれぞれ隔壁48を介して横一列に配置され、各室は内部を所定の不活性ガスの減圧雰囲気に調整できるように気密構造にされている。
【0037】また、各成膜室の上部にはターゲットが設けられ、各成膜室は、1つの基板搬送路Rを介して連結されるとともに、この基板搬送路Rに沿って基板20を搬送し、各成膜室を通過させることで各成膜室のターゲットから基板に向けて必要な蒸着粒子を堆積できるように構成されている。また、この例のスパッタ装置においては、成膜室41にTaからなる予備ターゲット51が設けられ、成膜室42にNi-Fe合金の本体ターゲット52aにCoペレットの補助ターゲット52bを配置した第1の複合ターゲット52が設けられ、成膜室43にCuの第2のターゲット53が設けられ、成膜室44にCoまたはNi-Fe合金の第3のターゲット54が設けられ、成膜室45に、Fe-Mn合金の第4のターゲット54が設けられ、成膜室46にTaの保護膜用ターゲット56が設けられている。
【0038】前記構成のスパッタ装置を用いて第1実施例の磁気抵抗効果多層膜Cに保護層を設けたものを製造するには、成膜室をArガス減圧雰囲気に調整した後で基板搬送路Rに沿って所定の速度で基板20を取込室40から成膜室46まで移動させながら各層の堆積を行って製造する。成膜室41では基板20上にTaのバッファ層21を形成する。所定の厚さのバッファ層21を形成すると、基板20を成膜室42に移動させてバッファ層21上にNi-Fe合金の主層22を形成するが、基板搬送路Rに沿って基板20を移動させる際に成膜室42の成膜室43に近い側にはCoのペレット52bが配置されているので、この下を基板20が通過する際にほぼCoの薄膜層23を形成できる。所定厚さの薄膜層23を形成したならば、基板20を成膜室43に送ってCuの非磁性層25を成膜し、次いで、成膜室44でFe-NiあるいはCoの強磁性層26を形成し、成膜室45でFe-Mn合金の強磁性層26を成膜し、最後に成膜室46でTaの保護層を成膜することで、図1に示す磁気抵抗効果多層膜Dに保護層を設けた構成の磁気抵抗効果多層膜を得ることができる。
【0039】図6は、十字型の隔壁60で4つの成膜室61、62、63、64に分割された構成の蒸着装置の一例を示す。この例の装置は、成膜室のターゲットの下方に回転テーブル状の基台が設けられ、この基台上に設置された基板20が順次各成膜室に移送できるように構成され、成膜室61にCoの第1のターゲット65が、成膜室62にCuの第2のターゲット66が、成膜室63にNi-Fe合金の本体ターゲット本体67aおよびCoの補助ターゲット67bからなる第3の複合ターゲット67が、成膜室64にCuの第5のターゲット68がそれぞれ設けられて構成されている。
【0040】この例の装置では、成膜室61において基板20上にCoの硬質磁性層33を形成し、成膜室62においてCuの非磁性層34を形成し、成膜室63においてNi-Fe合金の軟磁性層とCo高濃度層を形成し、成膜室64においてCuの非磁性層34を形成することができるので、成膜室61、62、63、64の順序に基板20を繰り返し移送することにより必要積層数の磁気抵抗効果多層膜Gを得ることができる。なお、この例の装置を用いることで、4つのターゲット65、66、67、68で磁気抵抗効果多層膜Gを製造できるので、ターゲットの必要数を最低限度に抑えて装置コスト並びに製造コストを安くすることができる。
【0041】(製造例1)図5に示すようにターゲットを配置したスパッタ装置を用い、ガラス基板(松波硝子株式会社製#0100)上に、図1に示す積層構造になるように各層を積層して磁気抵抗効果多層膜を製造した。この際、Taのバッファ層の厚さを50Å、Ni-Fe合金の主層の厚さを70Å、Coの薄膜層の厚さを5Å、Cuの非磁性層の厚さを20Å、Coの強磁性層の厚さを50Å、Fe-Mnの交換バイアス層の厚さを110Åとした。なお、Coの薄膜層は、基板をCoペレットの下で所定時間停止させることで単独成膜した。また、スパッタの際のArガス圧を3mTorrに設定し、基板面に平行な100 Oeの磁界を印加した。得られた磁気抵抗効果多層膜試料の電気抵抗変化率(ΔMR)を測定した結果、6.8%の高い値が得られた。
【0042】(製造例2)図5に示すようにターゲットを配置したスパッタ装置を用い、ガラス基板(松波硝子株式会社製#0100)上に、図2に示す積層構造になるように各層を積層して磁気抵抗効果多層膜を製造した。この際、Taのバッファ層の厚さを50Å、Ni-Fe合金の強磁性層の厚さを75Å、Co高濃度層の厚さを5Å、Cuの非磁性層の厚さを20Å、Coの強磁性層の厚さを50Å、Fe-Mnの交換バイアス層の厚さを110Åとした。なお、その他の成膜条件は製造例1と同等とした。得られた磁気抵抗効果多層膜試料の電気抵抗変化率(ΔMR)を測定した結果、7.5%の高い値が得られた。
【0043】(製造例3)図6に示すターゲット配置の蒸着装置を用いて、シリコンウエハ基板の(100)面上に、Co層と、Cu層と、高濃度Co層を含むNi-Fe合金層とからなる積層ユニット膜をCuの非磁性層を介して複数積層して図4に示す構造と同等の構造(繰り返し積層回数5回)の磁気抵抗効果多層膜を得た。
【0044】スパッタ条件として、高周波パワーをCo膜、高濃度Co層を含むNi-Fe合金層の成膜については100W、Cu膜の成膜については75Wに設定し、Arガス圧を3mTorrとした。Co膜の厚さを15Å、Cu膜の厚さを40Å、Ni-Fe合金膜の厚さを15Å、そのうちの高Co濃度層の厚さを5Åとした。また、成膜後に300℃で10分間加熱する熱処理を施した。得られた磁気抵抗効果多層膜試料の電気抵抗変化率(ΔMR)を測定したところ、8.5%の優れた値が得られた。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、非磁性層を挟んで設けられる強磁性層の少なくとも一方を2種類の異種磁性材料から構成し、非磁性層を挟んで対向する強磁性層の非磁性層側をそれぞれ同じ種類の磁性材料から形成しているので、非磁性層と強磁性層の組み合わせを最も大きな電気抵抗変化を生じるCuと、CoあるいはCo10at%Feの組み合わせとすることができるために、高い電気抵抗変化率を生じる。また、異種磁性材料層のうち、非磁性層側ではない主層をNiFeにより構成できるために、低磁界での高感度な電気抵抗変化を両立して得ることができる。従って本発明の磁気抵抗効果多層膜は、磁気ヘッド、位置センサ、回転センサ等に用いられる磁気抵抗効果素子用として好適に使用することができる。次に、2種類の異種磁性材料からなる強磁性層として、薄膜層と主層からなる2層構造とするか、一方の強磁性層に他方の強磁性層の構成元素の濃度勾配が付与された構造とすることができる。この場合、強磁性層中に余分な磁界を有さない濃度勾配層の方が抵抗変化率を大きくすることができ、好ましい。
【0046】一方、前記強磁性層に接するように交換バイアス層を設けることで一方の強磁性層の磁化の向きを固定できるので、他方の強磁性層の磁化の向きを外部磁界に応じて回転させた場合に両強磁性層間で磁化の向きの回転角を異なるようにすることができ、これにより抵抗変化を得ることができる。更に、少なくとも2層の対になる強磁性層が非磁性層を介在させて構成される積層ユニットが基板上に複数形成された構造であると、強磁性層の磁化の向きが磁界の作用していない状態と磁界の作用した状態において平行状態と反平行状態のどちらかになるので、この変化に応じた抵抗変化を得ることができる。
【0047】一方、前記構造の磁気抵抗効果多層膜を製造する場合、第1〜第4のターゲットを備えた蒸着装置を用い、第2ターゲットと第3ターゲットの少なくとも一方を異種材料形成用に本体ターゲットと補助ターゲットから構成すると、2種類の異種磁性材料から構成される強磁性層を基板上に成膜することができる。よって本発明方法によれば、非磁性層を介して少なくとも対になる強磁性層が基板上に設けられ、かつ、対になる強磁性層のうち、少なくとも一方を2種類の異種磁性材料から構成した磁気抵抗効果多層膜を製造することができる。
【0048】また、第1〜第3ターゲットと第5ターゲットを備え、第2のターゲットを本体ターゲットと補助ターゲットからなる複合ターゲットから構成すると、非磁性層を挟んでその両側に強磁性層が設けられる構造で、強磁性層のうち少なくとも一方を2種類の異種磁性材料から構成してなる磁気抵抗効果多層膜を製造することができる。しかもその場合、複合ターゲットを用いることで必要とするターゲット数を少なくできるので装置コストと生産コストを削減できる効果がある。




 

 


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