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発明の名称 サージアブソーバおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−293377
公開日 平成8年(1996)11月5日
出願番号 特願平7−120598
出願日 平成7年(1995)4月21日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
発明者 小野 泰一 / 蛸島 武広 / 柿原 良亘 / 中村 功 / 中村 祗温
要約 目的
サージアブソーバにおいて、抵抗体層を隔てるギャップを高精度に形成し、応答速度や放電開始電圧を安定させる。

構成
平板チップ状の基体11の表面に高抵抗材料の抵抗体層12a,12bが蒸着またはスパッタにて形成され、これをエッチングにて除去することによりギャップ13が形成される。ギャップ13はその間隔を5μmまたは1μm以下の微細寸法にでき、放電が開始されるまでの応答時間を短縮できる。またギャップ13の間隔が高精度に設定されるため、放電開始電圧もばらつきの少ない安定したものとなる。抵抗体層12a,12bを高融点材料かつ耐スパッタ性の高い材料で形成することにより、放電による抵抗体層の損傷を防止でき、また抵抗体層12a、12bを非晶質カーボンを主体とした材料で形成することにより、ガラス封止体17内に封入された不活性ガス等によるプラズマに対する耐性の高いものとなる。
特許請求の範囲
【請求項1】 基体の表面に形成された抵抗体層と、抵抗体層の両側に配置された主電極とを有し、前記抵抗体層に1つ以上のギャップが形成されているサージアブソーバであって、前記抵抗体層が蒸着またはスパッタ等により成膜可能な高抵抗材料により形成されていることを特徴とするサージアブソーバ。
【請求項2】 高抵抗材料は、TaSiO2、CrSiO2、SiCとTa25との混合物、TiNとSiO2との混合物、HfNとSiO2との混合物、TaとHfO2との混合物、CrとHfO2との混合物のいずれかである請求項1記載のサージアブソーバ。
【請求項3】 高抵抗材料は、非晶質カーボンまたは、金属を含む非晶質カーボンである請求項1記載のサージアブソーバ。
【請求項4】 基体の表面に高抵抗材料を蒸着またはスパッタにより成膜して抵抗体層を形成する工程と、抵抗体層をエッチングして1つ以上のギャップを形成する工程と、基体の両側にて抵抗体層と電気的に導通する主電極を形成する工程と、基体および主電極を封止する工程とから成ることを特徴とするサージアブソーバの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子回路や電子部品をサージから保護するためのサージアブソーバに係り、特に抵抗体膜を蒸着やスパッタにて形成でき且つギャップをエッチングにて形成できるようにしたサージアブソーバおよびその製造方法、さらに抵抗体層の損傷の少ないサージアブソーバまたは封入される不活性ガス等のイオンによるスパッタリングに対する耐性の高い抵抗体層を有するサージアブソーバに関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来のギャップ方式のサージアブソーバの構造を示す斜視図、図6はサージアブソーバのギャップ部分を拡大して示す拡大断面図である。このサージアブソーバ1は、ガラス封止体2の内部に、アルミナ(酸化アルミニウム;Al23)などにより形成された丸棒状の基体3が設けられ、この基体3の表面に、ギャップ7を介して対向する抵抗体層4a,4bが形成されている。この抵抗体層4a,4bは酸化スズ(SnO2)などの高抵抗材料により形成されている。ギャップ7は基体3の円周方向全周に沿って形成されており、図6ではギャップ7の間隔(ギャップ長)をGで示している。
【0003】基体3の両端部には、それぞれの抵抗体層4a,4bに導通する主電極5a,5bが設けられている。この主電極5a,5bは抵抗値の低い金属材料によりキャップ状に形成されて、抵抗体層4a,4bの上から基体3の両端部に嵌着されたものである。両主電極5a,5bにはリード線6a,6bが接続され、このリード線6a,6bがガラス封止体2の外部に延びている。ガラス封止体2の内部は100〜500mmHg程度に設定され、この内部にはアルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)などの不活性ガスが充填されている。
【0004】この従来のサージアブソーバでは、丸棒状の基体3の外周全面に、厚さ20μm程度の抵抗体層を形成し、レーザ加工を用いて基体3の中央部にて円周に沿って抵抗体層を削除することにより、ギャップ7が形成される。レーザ加工の加工精度の限界から、ギャップ間隔Gは数10μm程度であり、実際のものは最小のギャップ間隔で30μm程度である。
【0005】上記サージアブソーバの動作を説明するための等価回路は例えば図8のように表わすことができる。図8においてR0,R0は、それぞれの抵抗体層4a,4bの抵抗値、Raはギャップ7での抵抗体層間の絶縁抵抗、Rbは抵抗体層4a,4bの間に放電が開始されたときの放電抵抗であり、例えば10〜100Ω程度である。またCは、ギャップ7での静電容量である。主電極5a,5b間にサージが印加されていない状態では、ギャップ7にて放電が行われず、よって等価回路にて表現されているスイッチS2は絶縁抵抗Ra側に接続され、サージアブソーバは非常に高い電気抵抗を有するものとなっている。
【0006】主電極5a,5b間にサージが印加された時点で、等価回路にて表現されるスイッチS1が閉じたことになり、抵抗体層の抵抗R0を通してギャップ7に充電され始める。ギャップ7(容量C)での放電開始電圧は、ギャップ長Gやガラス封止体2内のガス圧などにより決められる。容量Cでの充電電圧が放電開始電圧(パッシェン最低電圧)に至ると、抵抗体層4a,4b間で放電が開始される。図8の等価回路では、ギャップ7の充電電圧が放電開始電圧に至ったときに、情報αによりスイッチS2が放電抵抗Rbに切換えられるものとして表現されている。ギャップ7での放電は正放電または負放電であり、この放電は抵抗体層4a,4bの表面を移動し、最終的には主電極5a,5b間がアークで橋絡される。主電極5aと5b間が放電によるアークで橋絡された最終状態では、等価回路は、主電極5a,5b間が放電抵抗のみ(抵抗体層4a,4bの抵抗値R0よりも低い抵抗)で接続されたものとして表現できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の構造のサージアブソーバ1では、以下に列記する問題点がある。
(1)従来のサージアブソーバの製造方法は、アルミナなどにより形成された丸棒状の基体3の周囲にディップ工程などによりSnO2の高抵抗材料を付着させて抵抗体層を形成し、この抵抗体層をレーザ加工して、ギャップ7を形成している。したがって、ギャップ7の間隔Gは数10μm程度が限界でありこれ以上間隔Gを狭くすることが不可能である。実際のサージアブソーバでのギャップ7の間隔は最小でも30μm程度である。
【0008】抵抗体層4aと4bの間隔Gは、応答速度(放電が開始されるまでの応答時間)および放電開始電圧に影響を与える。ギャップ7の間隔Gが短いとサージが印加してから放電が開始されるまでの応答時間が短くなり、また間隔Gが長いと応答時間が長くなる。またギャップ7の間隔Gが短いと放電開始電圧が低くなり、間隔Gが長いと放電開始電圧が高くなる。したがって、例えば放電開始電圧が高くしかも応答速度の速いサージアブソーバを構成する場合には、サージアブソーバの基体3の軸方向へギャップ7を所定のピッチにて多重に設け、しかもそれぞれのギャップ7の間隔Gを可能な限り短く形成する必要がある。しかし、前述のように従来のサージアブソーバの製造方法では、ギャップ7の間隔Gを数10μmよりも小さくすることは困難であり、よって今以上に応答速度の速い(応答時間の短い)サージアブソーバを構成することができない。
【0009】(2)図7は、従来のサージアブソーバ1のギャップ7の部分を拡大して示したものである。従来のサージアブソーバ1では、抵抗体層をレーザ加工してギャップを形成しているが、レーザ加工での加工精度はあまり高いものではなく、ギャップ7を介して対向する抵抗体層4aと4bの対向縁部は高精度に直線状にならず、微細な凹凸形状となってしまう。実際のサージアブソーバでは、抵抗体層4a,4bのギャップ対向部分での凹凸の大きさが3〜5μm程度の非常に大きなものとなっている。したがって、ギャップ7の間隔Gは設計値通りに製造されることがなく、図7にて(イ)で示すように、抵抗体層に突起が形成されてギャップの間隔が狭くなっている部分と、(ロ)で示すように抵抗体層の間隔が広くなっている部分とが生じ、この間隔に最大で10μm程度の寸法差が生じることもあり得る。
【0010】サージアブソーバでの応答時間と放電開始電圧は、抵抗体層間の間隔の最小寸法により決められる。よって、上記のように抵抗体層間の間隔にばらつきがあると、応答時間と放電開始電圧とのばらつきが大きくなる。またギャップが多重に形成されているものでは、個々のギャップでの対向間隔の部分的な寸法のばらつきが大きいため、多重のギャップのそれぞれにおいて間隔のばらつきが累積され、よって、ギャップの数に比例した計算通りの放電開始電圧を得ることができず、サージアブソーバ全体として放電開始電圧のばらつきの大きなものとなる。
【0011】(3)図8に示す等価回路にて説明したように、リード線6aと6bの間にサージが印加されると、抵抗体層間の最も間隔の短い位置(例えば図7の(イ)の位置)で最初に放電が開始される。抵抗体層の材料の融点が低いと、このときの放電の熱により放電開始部分において抵抗体層が損傷を生じやすく、よって寿命の短いものとなる。
【0012】(4)さらに、主電極5aと5b間にて放電が開始されると、ガラス封止体2内に封入されている例えばアルゴンガスのイオンが抵抗体層4aと4bの表面をたたき、抵抗体層4aと4bの表面がターゲットとなったスパッタ現象が生じる。抵抗体層4aと4bの表面からスパッタされた抵抗物質がギャップ7の部分にて基体3の表面に再付着され、この再付着物によりギャップ7が短絡されると、サージアブソーバとして機能できなくなる。この点からの従来のサージアブソーバでは、抵抗体層4a,4bの寿命が短く、サージ印加回数に制限が与えられるものとなる。
【0013】本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、抵抗体層を蒸着またはスパッタにより成膜でき、この抵抗体層をエッチングしてギャップを形成できるものとし、ギャップの間隔寸法を従来よりも短くして応答速度を速めることができ、また抵抗体層のギャップに対向する部分の凹凸を小さくできるようにして、応答速度や放電開始電圧のばらつきを小さくした高性能なサージアブソーバおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【0014】さらに本発明は、融点の高い材料により抵抗体層を形成して、抵抗体層間の放電開始により抵抗体層の損傷を生じにくくし、または、放電時にアルゴンガスなどの不活性ガスによるスパッタ現象による抵抗体層の劣化を抑制できるようにしたサージアブソーバを提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、基体の表面に形成された抵抗体層と、抵抗体層の両側に配置された主電極とを有し、前記抵抗体層に1つ以上のギャップが形成されているサージアブソーバであって、前記抵抗体層が蒸着またはスパッタ等により成膜可能な高抵抗材料により形成されていることを特徴とするものである。上記基体は、平板状チップあるいは従来と同様の丸棒状(円柱状)である。
【0016】上記高抵抗材料は高融点材料の、TaSiO2、CrSiO2、SiCとTa25との混合物、TiNとSiO2との混合物、HfNとSiO2との混合物、TaとHfO2との混合物、CrとHfO2との混合物のいずれかであることが好ましい。
【0017】または、抵抗体層の材料としては、不活性ガス等のイオンによるスパッタリングに対する耐性の高い材料である、非晶質カーボンまたは、金属を含む非晶質カーボンが好ましい。
【0018】また、本発明のサージアブソーバの製造方法は、平板チップ状または丸棒状(円柱状)の基体の表面に高抵抗材料を蒸着またはスパッタ等の薄膜形成技術により成膜して抵抗体層を形成する工程と、抵抗体層をエッチングして1つ以上のギャップを形成する工程と、基体の両側にて抵抗体層と電気的に導通する主電極を形成する工程と、基体および主電極を封止する工程とから成ることを特徴とするものである。
【0019】
【作用】本発明のサージアブソーバおよびその製造方法では、平板チップ状または丸棒状の基体の表面に蒸着またはスパッタにて高抵抗材料の膜が形成されて抵抗体層が形成される。抵抗体層の膜厚は50〜1000nmまたは200〜500nm程度である。抵抗体層を成膜した後に、エッチング工程により抵抗体層が除去されてギャップが形成される。抵抗体層をエッチングにより除去する工程は従来のレーザ加工による工程よりも加工精度が高く、ギャップの間隔が短いものであっても、その間隔Gを高精度に設定できる。したがって、ギャップの間隔Gを、5μm以下または1μm以下あるいはさらに短くすることが可能である。ギャップの間隔Gを短くすることによりサージが印加されてから放電が開始されるまでの応答速度を速める(応答時間を短縮する)ことが可能である。またギャップの間隔を短くすると放電開始電圧が低くなる。よって応答速度が速く且つ放電開始電圧の高いサージアブソーバを構成する場合には、5μmまたは1μm以下の間隔のギャップを、主電極が並ぶ方向へ多重に形成することにより可能になる。よって本発明でのギャップの間隔は5μm以下または1μm以下とすることが好ましい。
【0020】またエッチングによる加工では、ギャップ部分にて対向する抵抗体層の縁部の粗さを低く抑えることができ、この縁部の凹凸を最大値で0.5μm以下とすることが可能である。ギャップにて対向する抵抗体層の縁部の凹凸の粗さを上記の0.5μm以下とすると、応答速度(応答時間)と放電開始電圧のばらつきの小さいサージアブソーバを構成できる。すなわち放電は抵抗体層の間隔の最も短い部分で開始されるが、図7に示すように、従来のサージアブソーバでは抵抗体層の縁部の凹凸が3〜5μm程度の粗さであるため、応答速度と放電開始電圧のばらつきが大きかった。一方本発明ではギャップに対向する抵抗体層の縁部の凹凸が小さいために上記ばらつきが非常に小さくなる。よって多重ギャップを構成した場合に、ギャップ数に比例した放電開始電圧を設定でき、この放電開始電圧のばらつきも小さくなる。よって本発明では、ギャップにて対向する抵抗体層の縁部の凹凸の大きさが、最大で0.5μm以下であることが好ましい。
【0021】上記のようにエッチングによりギャップが形成された基体は、その両端に主電極が取り付けられ、さらにガラスなどの封止体に封入される。
【0022】また抵抗体層として高抵抗材料で且つ高融点材料の、TaSiO2、CrSiO2、SiCとTa25との混合物、TiNとSiO2との混合物、HfNとSiO2との混合物、TaとHfO2との混合物、CrとHfO2との混合物のいずれかを使用することが好ましい。この融点の高い材料は放電時の熱により損傷が少ないものとなり、よって放電の繰返しによる抵抗体層の損傷を防止でき寿命を改善できる。
【0023】さらに抵抗体層として、不活性ガス等のイオンによるスパッタリングに対する耐性の高い材料、すなわちスパッタ耐性の高い材料である、非晶質カーボンまたは、金属を含む非晶質カーボンが使用できる。サージアブソーバでは、主電極間に放電が発生したときに封止体内のアルゴンガスなどの不活性ガスのイオンが抵抗体層の表面をたたき、抵抗体がスパッタされる現象が生じるが、非晶質カーボンを主体とした抵抗体層はこの不活性ガスによるスパッタ現象に対する耐性が高い。よって抵抗体層の表面から材料がスパッタされにくく、この材料がギャップ内に付着してギャップを短絡させるような現象が生じにくくなる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明のサージアブソーバの全体構造を示す斜視図、図2はその断面図である。このサージアブソーバ10は、平板状チップの基体11を有している。この基体11は、比較的融点の高いガラスやAl23などのセラミック材料などにより形成されている。基体11の表面には、抵抗体層12a,12bが形成され、抵抗体層12aと12bとの間に間隔Gのギャップ13が形成されている。基体11の両端部には、抵抗体層12a,12bのそれぞれに導通する導電層14a,14bが設けられ、この導電層14a,14bが主電極15a,15bに接合されている。
【0025】主電極15a,15bは、例えばジュメット(銅の表面に酸化銅膜が形成されているもの)により形成されている。この主電極15a,15bにはリード線16a,16bが接続されている。基体11および主電極15a,15bはガラス封止体17の内部に収納され、リード線16a,16bは、ガラス封止体17の外部に突出している。ガラス封止体17の内部は100〜500mmHgであり、ガラス封止体17の内部にはアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)などの不活性ガスが充填されている。
【0026】上記抵抗体層12a,12bは高抵抗材料により形成されている。この抵抗材料は、基体11の表面に蒸着またはスパッタなどの工程で成膜できるものが使用される。抵抗体層12a,12bを形成する高抵抗材料としては、金属と酸化物とから成る例えばTaSiO2、CrSiO2、金属と酸化物の混合物であるTa−HfO2、Cr−HfO2、炭化物または窒化物と酸化物との混合物であるSiC−Ta25、TiN−SiO2、HfN−SiO2などが例示できる。これらの材料はいずれも融点が高く、また比抵抗は10-3〜102Ω・cmの範囲で変えることができる。
【0027】また、高抵抗材料としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの非晶質カーボン、またはアルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)等が5〜40at%含まれた非晶質カーボンを使用することが好ましい。非晶質カーボンは比較的抵抗が高く、またガラス封止体に充填されているアルゴンやネオンなどの不活性ガス等によるプラズマに対する耐性が高いため、高抵抗の抵抗体層12a,12bの材料として好適である。サージが印加され抵抗体層12aと12b間で放電が開始されると、不活性ガスのイオンにより抵抗体層12a,12bの表面がスパッタされる現象が生じるが、非晶質カーボンを主体とした材料は、この不活性ガス等のイオンによるスパッタリングに対する耐性が高いため、スパッタにて放出された物質がギャップ13にて抵抗体層12aと12bの間に直接付着することがなく、抵抗体層12aと12bが短絡する現象を防止できる。
【0028】抵抗体層12a,12bの膜厚は50〜1000nmまたは200〜500nmの範囲とすることが好ましい。ギャップ13は、基体11の表面に上記高抵抗材料の膜を形成した後に、この膜を間隔Gとなるように除去することにより形成できる。この工程はウエットエッチングまたはドライエッチングにより行われる。高抵抗材料が非晶質カーボンの場合には、CF4+O2の混合ガス等を用いたドライエッチングなどによりギャップ13を加工することが可能である。
【0029】このエッチング工程では、ギャップ13の間隔Gを高精度に加工できる。また抵抗体層の膜厚を上記の50〜1000nmまたは200〜500nm程度の従来よりも薄いものとし、またエッチング工程によりギャップを形成すると、ギャップ間隔Gを短くでき、5μmまたは1μm以下あるいはそれ以下のものとすることが可能である。図4は横軸にギャップ間隔G(μm)を対数軸にとり、縦軸は応答時間(ns:ナノ秒)をとっている。この応答時間は、リード線16aと16bにサージが印加されたときを始点とし、抵抗体層間に放電が発生し、さらに主電極間15aと15b間で放電が開始されるまでの時間である。従来のレーザ加工によるギャップ間隔は最短で30μm程度であったが、この実施例では5μm以下または1μm以下とすることができ、図4に示すように応答時間をきわめて短縮でき応答速度を速めることが可能となる。
【0030】またエッチングにより形成されたギャップ13はその間隔Gの寸法誤差が小さく、間隔Gを高精度に設定できるのみならず、ギャップ部分で対向する抵抗体層12a,12bの縁部の凹凸を微細にできる。この凹凸は最大で0.5μm以下にでき、抵抗体層間で放電が開始されるまでの応答速度および放電開始電圧を安定して設定でき、ばらつきが小さいものとなる。よって主電極15aと15bの並び方向へ縞状に多重のギャップを形成することにより、ギャップ数にほぼ比例した放電開始電圧を設定でき、そのばらつきも小さくなる。以上から、応答速度が速く(応答時間が短く)且つ放電開始電圧のばらつきの小さいサージアブソーバを構成できる。また、前記導電層14a,14bは、クロム(Cr)やチタン(Ti)を下地膜として銅(Cu)やニッケル(Ni)が形成されたものである。
【0031】図3(A)から(F)は、図1と図2に示すサージアブソーバ10の製造方法を工程順に示している。図3(A)に示す基板11Aは、基体11を複数個取りできる面積のものであり、例えば「#7059」などの比較的融点の高いガラス基板である。また基板11Aはアルミナ基板であってもよい。またサージアブソーバとしての使用電力容量が高いものである場合には、表面がホーロー仕上げされた鉄基板を用いることも可能である。この基板11Aの表面に、前記において例示したいずれかの高抵抗材料による抵抗体層12Aが形成される。抵抗体層12Aの膜厚は、50〜1000nm、好ましくは200〜500nmである。
【0032】次に、抵抗体層12Aの上に感光性ポリイミドなどのフォトレジスト材料を塗布し、プリベークし、フォトマスクを用いて紫外線光による露光を行う。この露光、さらには現像、リンス、乾燥およびポストベークにより、ギャップ形成部分のレジスト材料が除去される。ギャップ間隔Gが5μm程度までは、フォトマスクを用いた密着露光により、ギャップ間隔Gの寸法に合わせて高精度にレジスト材料を除去することが可能である。ただし、ギャップ間隔Gが5μmよりも短く、1μm程度あるいはそれ以下まで短くする場合には、ステッパーを用いて縮小投影露光を行うことにより、短ギャップ寸法に相当するレジスト材料除去を高精度に行うことができる。
【0033】次に、エッチングによりギャップの部分にて抵抗体層12Aを除去する。ギャップ間隔はエッチングにより1μmまたはそれ以下の寸法とすることが可能である。上記間隔Gのエッチング工程はウエットエッチングまたはドライエッチングが可能であるが、抵抗体層12Aが、DLCなどの非晶質カーボン材料などにより形成されている場合には、CF4+O2ガス等を用いたドライエッチングにより、除去することが可能である。このエッチング終了後に、アセトンなどを用いてギャップ形成用のレジスト材料を除去する。図3(B)では、レジスト材料が除去された後の間隔Gのギャップ形成部分を符号13Aで示している。
【0034】次に、ダイサーを用いて個々のチップごとに切断する。チップ形状の個々の基体11の大きさは、1.2×2.0mm2〜4.5×7mm2である。図3(C)は切断された後の基体11を示している。そして図3(D)に示すように、導電層14a,14bを形成する。導電層14a,14bは、Cr,Tiを下地膜とし、Cu,Ni等を連続して成膜したものであり、膜厚は50〜300nm程度である。
【0035】次に、図3(E)(F)に示すように、基体11の両側に主電極15a,15bおよびリード線16a,16bを取り付けてガラスにより封止する。ジュメットによる主電極15a,15bは直径1〜3mmで、厚さ2〜5mm程度の円板である。主電極15a,15bにはリード線16a,16bを溶接により接続しておく。切断した個々の基体11を主電極15a,15bで挟み、ガラス筒に挿入し、カーボンヒータに装填する。約450℃で加熱し、真空ポンプで10-5torr程度の低圧に設定し、Ar、He、Neなどのガスを1〜500torrで充填する、約600℃まで急激に加熱すると、ガラスが溶け、図2に示すように封止される。室温まで冷却してサージアブソーバが完成する。
【0036】なお、本発明では基体が丸棒状のものであっても構成できる。ただし、抵抗体層の成膜とギャップのエッチング工程に適する点で、平板状の基体を用いることが好ましい。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明では、抵抗体層を蒸着またはスパッタリング等により形成し、エッチング工程によりギャップが形成されているため、ギャップ間隔を従来のものよりも短くして応答速度を速めることができる。またギャップ間隔が高精度となり放電開始電圧のばらつきが小さいものとなる。
【0038】また抵抗体層を高融点材料で形成することにより、放電による抵抗体層の損傷が少なくなる。また抵抗体層を非晶質カーボンを主体とした材料で形成することにより、封止された不活性ガス等によるプラズマに対する耐性を高くでき、長寿命のサージアブソーバを構成できる。




 

 


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