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発明の名称 分布帰還型半導体レーザおよびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−264890
公開日 平成8年(1996)10月11日
出願番号 特願平7−94518
出願日 平成7年(1995)3月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
発明者 阿部 博明
要約 目的
凹凸による回折格子が形成された分布帰還型半導体レーザにおいて、活性層への電流供給効率を高め、しきい電流値を低下させる。

構成
n型基板12、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15、p型コンタクト層16および電極18を有し、p型コンタクト層16からp型クラッド層15にかけて規則的な凹部20が形成されて、共振器となる回折格子が構成されている。p型クラッド層15では活性層14の発振領域α以外の部分にn型電流狭窄層22が接して設けられている。電極18からp型クラッド層15に与えられる電流は、n型電流狭窄層とのp−n接合の電位障壁により左右に分散することがなく、凹部20が形成されていない部分でも、電流Iが発振領域αに効率よく与えられる。よって、しきい電流値を低下させることが可能である。
特許請求の範囲
【請求項1】 活性層と、この活性層を挟むn型の半導体層およびp型の半導体層と、両半導体層の表面に形成された電極と、活性層の発振領域以外の部分にて一方の半導体層に一定ピッチで規則的に形成された凹部とを有し、一方の電極から前記発振領域に至る電流がp型の半導体層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型の半導体層に接して設けられていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
【請求項2】 順に積層されたn型基板、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層と、層表面に形成された電極と、p型クラッド層にて活性層の発振領域以外の部分に一定ピッチで規則的に形成された凹部と有し、前記凹部が形成されていない部分の断面では、電極から前記発振領域に至る電流がp型クラッド層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型クラッド層に接して設けられていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
【請求項3】 順に積層されたp型基板、p型クラッド層、活性層、n型クラッド層と、層表面に形成された電極と、n型クラッド層にて活性層の発振領域以外の部分に一定ピッチで規則的に形成された凹部と有し、電極から前記発振領域に至る電流がp型基板またはp型クラッド層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型基板またはp型クラッド層に接して設けられていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
【請求項4】 n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の各層を積層する工程と、この工程中のp型の半導体層を形成した時点でこのp型の半導体層のうちの電流供給経路以外の領域を部分的に除去する工程と、この除去部分にn型電流狭窄層を形成する工程と、n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の積層が完了した時点で、前記活性層の発振領域以外の部分でいずれかの半導体層に一定ピッチの規則的な凹部を形成する工程と、層表面に電極を形成する工程とを有することを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
【請求項5】 n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の各層を積層する工程と、この工程中のp型の半導体層を形成した時点でこのp型の半導体層にn型電流狭窄層を積層する工程と、活性層の発振領域に至る電流供給経路の部分にて前記n型電流狭窄層を貫通するp型の拡散層を形成する工程と、n型の半導体層と活性層とp型半導体層の積層が完了した時点で、前記発振領域以外の部分でいずれかの半導体層に一定ピッチの規則的な凹部を形成する工程と、層表面に電極を形成する工程とを有することを特徴とする分布帰還型半導体レーザの製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定な縦単一モード発振を可能にした分布帰還型半導体レーザに係り、特に活性層の光を発振する領域に電流を効果的に供給してレーザ光の発光のしきい電流値を低下させることが可能な分布帰還型半導体レーザおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザの応用分野としては、光メモリ、光通信、光応用計測、ホログラムスキャナなどがある。例えば光通信の分野では光ファイバの導波特性との関係で、赤外波長帯の半導体レーザが好ましく、また光応用計測やホログラムスキャナなどの分野では、可視赤色帯の半導体レーザの使用が好ましいものとされている。
【0003】従来の半導体レーザはファブリペロー型が一般的に使用されている。しかしファブリペロー型の半導体レーザは、モードホッピングによる発振波長の変動があり、また使用温度によって発振波長が変動する欠点を有し、高速変調時に縦単一モードの発振が不可能なものとなっている。そこで、分布帰還型半導体レーザが着目されており、例えばY.Itaya et.al.,Electron.Lett., Vol.18, No.23 P.1006(1982)にその内容が開示されている。従来例の分布帰還型半導体レーザは図6に示すような構造となっている。
【0004】図6に示す従来の分布帰還型半導体レーザは、発振波長が赤外波長帯のものであり、その基本的な構造は、Au(金)などの電極1を下面に有したInP(インジウム−リン)のn型基板2を有している。n型基板2の上にはInPのn型クラッド層3と、InGaAsP(インジウム−ガリウム−ヒ素−リン)の活性層4、InGaAsPの回折格子層5、InPのp型クラッド層6、およびInGaAsPのp型コンタクト層7が積層されており、このp型コンタクト層7の上面にAuなどによる電極8が積層されている。そして、回折格子層5とp型クラッド層6の間に回折格子9が形成されている。活性層4および回折格子層5内の光は、回折格子9により分布帰還され、共振して縦単一モードのレーザ光が発せられる。レーザ光の発振波長は、前記回折格子9の周期により決定される。
【0005】この種の半導体レーザの製造工程では、有機金属気相成長法「MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)」を使用して各層をエピタキシャル結晶成長させる。図6に示す従来例では、回折格子9が活性層近傍に埋め込まれたものであるため、この回折格子9上にp型クラッド層6などを結晶成長させていくものとなる。凹凸を有する回折格子9上にエピタキシャル結晶成長させていく製法では、回折格子9上の層に結晶欠陥が生じやすく、信頼性および歩留りが低下する。
【0006】また、図7に示すように、分布帰還型半導体レーザでは、半導体材料の物性や各層の厚さなどによって左右されるゲインカーブのピーク(イ)と、回折格子9の周期により決められる発振波長λ1とを動作温度において一致させることが、発振を生じさせるしきい電流値を低下させるための望ましい状態となる。しかし図6に示すように回折格子9が埋設されている構造では、各層を結晶成長させている途中で回折格子9の凹凸の周期を測定しまたは管理することが難しく、また全層の積層が完了した完成品でしか前記ゲインカーブのピーク(イ)を評価することができない。そのため、全層が積層された結果の完成品において始めてゲインカーブ特性と発振波長との関係を把握できるものとなり、動作温度においてゲインカーブのピーク(イ)と発振波長λ1とを一致させることが困難となっている。
【0007】図8は、上記欠点を解消するものとして、本発明の発明者が特願平6−332529号として特許出願した分布帰還型半導体レーザを示している。この分布帰還型半導体レーザは、下面に電極1を有するn型基板2の上に、n型クラッド層3、活性層4、p型クラッド層6、p型コンタクト層7が順に積層されている。これらの各層がエピタキシャル結晶成長にて積層された後に、p型コンタクト層7の上面側から回折格子が形成される。この回折格子は、図8の紙面直交方向へ一定のピッチにて規則的に配列された凹部9aにて構成される。この凹部9aは、p型コンタクト層7からp型クラッド層6にかけて、またはp型コンタクト層7からp型クラッド層6を経て活性層4にかけて所定の深さにて形成される。上記凹部9aが形成された後に、絶縁層10および電極8が形成される。
【0008】図8に示す分布帰還型半導体レーザは、図6に示したもののように回折格子の上にp型クラッド層6などをエピタキシャル結晶成長させているものではないため、結晶欠陥が生じにくい。また回折格子を構成する凹部9aは、p型クラッド層6までの各層をエピタキシャル結晶成長により形成した後に、ドライエッチングまたはドライエッチングとウエットエッチングにより形成できるため、回折格子の製造工程が簡単である。しかも、回折格子を構成する凹部9aの周期の測定および管理が容易であり、ゲインカーブのピーク(イ)と発振波長λ1とを一致させやすく、しきい電流値を低下させやすいものとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図8に示す分布帰還型半導体レーザでは、回折格子を構成する凹部9aが紙面直交方向に一定のピッチにて規則的に形成されている。図8(A)は、凹部9aが形成されていない部分の断面を示し、図8(B)は凹部9aが形成されている部分の断面を示している。この分布帰還型半導体レーザでは、電極8と電極1との間に電界が与えられ、電流は電極8からp型コンタクト層7およびp型クラッド層6を経て活性層4に与えられ、活性層4では、凹部9aが形成されていない発振領域αで発振(共振)が生じ、所定波長のレーザ光が発光される。
【0010】ここで、図8(B)に示す凹部9aが形成されている断面では、凹部9aと9aで挟まれた領域にて電極8からp型コンタクト層7およびp型クラッド層6を経て活性層4の発振領域αに電流が与えられる。しかし図8(A)に示す断面では、p型クラッド層6が、活性層4の発振領域αに対して左右両側に広がっているため、電極8からp型コンタクト層7を経てp型クラッド層6に至る電流が発振領域α以外の部分に及ぶことになる。そのため、活性層4の発振領域αへの電流供給効率が低くなり、レーザ発振におけるしきい電流値が大きくなる欠点を有している。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するものであり、半導体層の表面に回折格子を形成する凹凸部が形成されているものにおいて、凹凸部が形成されていない部分にて活性層の発振領域に電流を効果的に供給してレーザ発振のしきい電流値を低下させることのできる分布帰還型半導体レーザを提供することを目的としている。
【0012】さらに本発明は、活性層の発振領域に電流を効果的に供給でき、レーザ発振のしきい電流値を低下させることの可能な分布帰還型半導体レーザを製造する方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の分布帰還型半導体レーザは、活性層と、この活性層を挟むn型の半導体層およびp型の半導体層と、両半導体層の表面に形成された電極と、活性層の発振領域以外の部分にて一方の半導体層に一定ピッチで規則的に形成された凹部とを有し、一方の電極から前記発振領域に至る電流がp型の半導体層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型の半導体層に接して設けられていることを特徴とするものである。
【0014】各層の構成としては、順に積層されたn型基板、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層と、層表面に形成された電極と、p型クラッド層にて活性層の発振領域以外の部分に一定ピッチで規則的に形成された凹部と有し、前記凹部が形成されていない部分の断面では、電極から前記発振領域に至る電流がp型クラッド層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型クラッド層に接して設けられ、【0015】あるいは、順に積層されたp型基板、p型クラッド層、活性層、n型クラッド層と、層表面に形成された電極と、n型クラッド層にて活性層の発振領域以外の部分に一定ピッチで規則的に形成された凹部と有し、電極から前記発振領域に至る電流がp型基板またはp型クラッド層内に拡散するのを防止するn型電流狭窄層が、前記p型基板またはp型クラッド層に接して設けられたものとなる。
【0016】また、本発明による分布帰還型半導体レーザの製造方法は、n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の各層を積層する工程と、この工程中のp型の半導体層を形成した時点でこのp型の半導体層のうちの電流供給経路以外の領域を部分的に除去する工程と、この除去部分にn型電流狭窄層を形成する工程と、n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の積層が完了した時点で、前記活性層の発振領域以外の部分でいずれかの半導体層に一定ピッチの規則的な凹部を形成する工程と、層表面に電極を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
【0017】または、n型の半導体層と活性層とp型の半導体層の各層を積層する工程と、この工程中のp型の半導体層を形成した時点でこのp型の半導体層にn型電流狭窄層を積層する工程と、活性層の発振領域に至る電流供給経路の部分にて前記n型電流狭窄層を貫通するp型の拡散層を形成する工程と、n型の半導体層と活性層とp型半導体層の積層が完了した時点で、前記発振領域以外の部分でいずれかの半導体層に一定ピッチの規則的な凹部を形成する工程と、層表面に電極を形成する工程とを有することを特徴とするものである。
【0018】
【作用】本発明の分布帰還型半導体レーザでは、活性層での光を共振させる回折格子として、p型の半導体層とn型の半導体層のいずれか一方に一定ピッチの規則的な凹部が形成されている。そしてp型の半導体層に接するn型電流狭窄層が形成され、p−n接合部の電位障壁によりp型の半導体層に流れる電流が拡散せずに狭窄されるものとなっている。よって、電極からp型の半導体層を経て活性層の発振領域に流れる電流が、前記電位障壁により他の部分に逃げることがなく、活性層の発振領域に電流が効率よく与えられる。
【0019】例えば、図3と図4に示すように、p型のクラッド層にて活性層の発振領域を挟む位置に、回折格子を構成する凹部が形成されている場合には、凹部が形成されていない断面にて、前記凹部に相当する位置にn型電流狭窄層が形成される。したがって、電極からp型クラッド層を経て活性層に与えられる電流は、凹部が形成されている断面では凹部に挟まれた部分が電流供給経路となり、また凹部が形成されていない断面では、n型電流狭窄層との電位障壁により電流の拡散が防止され、n型電流狭窄層に挟まれた部分が電流供給経路となる。よって、p型クラッド層のいずれの部分においても、活性層の発振領域以外の部分に電流が逃げることがなく、前記発振領域に効果的に電流が供給される。
【0020】また図5に示すように、p型基板およびp型クラッド層に活性層が積層され、その上に積層されたn型クラッド層に、回折格子を構成する凹部が一定ピッチにて規則的に形成されているものでは、p型基板またはp型クラッド層において、活性層の発振領域に至る電流供給経路がn型電流狭窄層に挟まれた構造となる。この場合では、p型基板またはp型クラッド層のいずれか一方、あるいはp型基板とp型クラッド層の双方において、n型電流狭窄層との電位障壁により、電流供給経路が狭窄され、電流が他の部分に逃げるのが防止され、活性層の発振領域に電流が効果的に供給されるものとなる。
【0021】また、本発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法では、図3または図5に示すようにp型の半導体層であるp型クラッド層またはp型基板にて、電流供給経路となる領域以外でこのp型の半導体層が除去される。そしてこの除去された部分にn型電流狭窄層が積層される。すなわち、p型クラッド層またはp型基板の例えば電流供給経路を挟む領域がエッチングにより部分的に除去され、この除去された部分にn型電流狭窄層がエピタキシャル結晶成長により形成される。
【0022】あるいは、図4に示すように、p型の半導体層である例えばp型クラッド層にn型電流狭窄層が一面に積層される。そして、電流供給経路となる部分のn型電流狭窄層の表面にp型ドーパントが蒸着などにより形成され、これが熱拡散されてn型電流狭窄層を貫通するp型半導体の拡散層が形成される。電流供給経路は、前記p型半導体の拡散層により形成され、この電流はn型電流狭窄層との電位障壁により他の部分に逃げるのが防止される。これにより、電流は活性層の発振領域に効果的に与えられるものとなる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明の分布帰還型半導体レーザの第1実施例の概略構造を示す一部を破断した斜視図、図2は図1のII−II線の断面図である。図3(A)は、図2のA−A断面図であり、回折格子を構成する凹部が形成されていない部分の断面図、図3(B)は、図2のB−B断面図であり、回折格子を構成する凹部が形成されている部分の断面図である。図1ないし図3に示す分布帰還型半導体レーザでは、活性層14の図示下側にn型の半導体層が、図示上側にp型の半導体層が設けられている。
【0024】n型基板12の下面に電極11が形成されている。n型基板12の上には、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15が積層されている。活性層14の発振領域αを挟む両側部分では、p型クラッド層15の上部が部分的に除去されており、この除去された部分にn型電流狭窄層22が積層されている。そして、p型クラッド層15の中央の残された領域15a(電流供給経路となる領域)とn型電流狭窄層22の上面にp型コンタクト層16が形成されている。
【0025】p型コンタクト層16の上では、n型電流狭窄層22の真上の領域、すなわち電流供給経路以外の領域に絶縁層17が形成されている。p型クラッド層15の中央の領域15aの真上部分では、左右の絶縁層17が形成されていない所定幅寸法のコンタクト用の窓19が開口している。また、絶縁層17の上面および絶縁層の窓19に露出しているp型コンタクト層16の上面に電極18が形成されている。絶縁層の窓19およびp型クラッド層15の中央の領域15aの幅寸法内において、前記活性層14で光の発振(共振)が行われる。この発振領域すなわち共振(帰還)領域が符号αで示されている。
【0026】図3(B)に示すように、電流供給経路(ほぼ領域15aの部分)を残して、その左右両側部分では、p型コンタクト層16からn型電流狭窄層22にかけて規則的な凹部20,20,…が形成されている。図1と図2に示すように、凹部20,20,…の中間は相対的な凸部21,21,…となり、凹部20,20,…と凸部21,21,…により、回折格子が形成されている。この回折格子は、絶縁層の窓19およびp型クラッド層15の中央の領域15a(電流供給経路)以外の部分で且つ活性層14の近傍に形成されるものであり、図1ないし図3に示す実施例では、絶縁層の窓19および前記領域15aの両側部に回折格子が2列に形成されている。ただし回折格子が、絶縁層の窓19の一方の側部に1列のみ形成されていてもよい。
【0027】また図1と図2に示す実施例では、凹部20,20,…が、p型コンタクト層16とn型電流狭窄層22とにかけて形成され、図3(B)に示すように、凹部20の底部にn型電流狭窄層22がわずかに残されているが、凹部20の底部がn型電流狭窄層22を貫通してp型クラッド層15に及ぶ深さまで形成され、さらには活性層14内に及ぶ深さまで形成されていてもよい。また、図2に示す例では、凹部20と凸部21が矩形断面のものとなっているが、凹部20と凸部21の境界線が、図6に示す回折格子9のように波型に連続する形状であってもよい。
【0028】所定周波数の交流駆動電力は下面の電極11と電極18に対して与えられる。活性層14の発振領域αでは、凹部20と凸部21とから成る回折格子が共振器となって共振(帰還)が生じ、共振波長λ1の縦単一モードのレーザ光が発せられる。また図1と図2において、活性層14とp型クラッド層15の間に導波路層が形成されてもよい。
【0029】上記各層の材料の組み合せを(n型クラッド層13−活性層14−p型クラッド層15−n型電流狭窄層22−p型コンタクト層16)の順に例示すると以下の■の例えば3通りである。なお電極層11と18はAuを主体とし、これに下地層が設けられたものである。
【0030】■(n型のInP−InGaAsP−p型のInP−n型のInP−p型のInP)
■(n型のAlGaAs−GaAs−p型のAlGaAs−n型のAlGaAs−p型のAlGaAs)
■(n型のInGaAlP−InGaP−p型のInGaAlP−n型のInGaAlP−p型のGaAs)
【0031】上記■に示すInP(インジウム−リン)とInGaAsP(インジウム−ガリウム−ヒ素−リン)の組み合せのものは、発振波長λ1が赤外線波長帯の1.3μmとなり、■に示すInGaAlP(インジウム−ガリウム−アルミニウム−リン)とInGaP(インジウム−ガリウム−リン)の組み合せでは、発振波長λ1が可視赤色帯の0.68μmとなる。
【0032】ここで、発振波長λ1と回折格子の周期Λとの関係は以下の数1により表わされる。数1において、Nは半導体材料の屈折率により決められる等価屈折率、mは次数であり自然数である。
【0033】
【数1】

【0034】前記■の材料の組み合せである場合には、等価屈折率Nが3.36、発振波長λ1が1.3μmである。次数mを1とすると、Λは0.19μmである。よって、凹部20(回折格子)の周期Λは0.19μmに設定される。前記■の材料の組み合せでは、等価屈折率Nが3.44であり、次数mを1とすると、Λは0.1μmとなり、規則的な凹部20の加工が難しくなる。そこで次数mを3とし、Λを0.3μmとすればよい。このようにΛを設定することにより、図7に示すゲインカーブのピーク(イ)を発振周波数λ1に一致させることが容易である。
【0035】図1ないし図3に示した分布帰還型半導体レーザでは、電極11と18間に電界が印加されると、電流は、コンタクト用の窓19の部分の電極18からp型コンタクト層16およびp型クラッド層15を経て活性層14に及び、さらにn型クラッド層13からn型基板12を経て電極11に至る。活性層14内での光の発振領域は、回折格子を構成する凹部20と20で挟まれたαの領域である。この発振領域αに電流を効率的に与えることが、レーザ発振のしきい電流値を低下させることにつながる。
【0036】図3(B)に示す断面では、p型コンタクト層16およびp型クラッド層15の左右両側部分に凹部20,20が形成され、中央の発振領域αの上方部分にのみp型コンタクト層16とp型クラッド層15(中央の領域15a)が残されている。よって図3(B)の断面では、電極18からp型コンタクト層16とp型クラッド層15へ流れる電流Iが、p型コンタクト層16内にて左右に逃げることがなく、活性層14の発振領域αに効率的に与えられる。
【0037】また図3(A)に示す断面では、前記凹部20,20が形成されていないが、凹部20,20が形成されている部分にほぼ相当する位置にn型電流狭窄層22,22が設けられている。p型クラッド層15の中央の領域15aとn型電流狭窄層22との境界部に、半導体のp−n接合の電位障壁が形成されているため、図3(A)の断面においても、電極18からp型クラッド層15に与えられる電流が図示左右方向へ逃げることがなく、電流Iが活性層14の発振領域αに効率的に与えられる。凹部20が形成されていない断面において、電流の拡散が防止されるため、活性層14の発振領域αに効率的に電流が与えられ、しきい電流値を低下させることが可能となる。
【0038】なお、図3(A)の実施例では、p型クラッド層15の膜厚内にn型電流狭窄層22が形成され、p型クラッド層15とn型電流狭窄層22の表面全域にp型コンタクト層16が形成されているが、p型クラッド層15とp型コンタクト層16の両層が形成された後に、この両層が部分的に除去され、n型電流狭窄層22が両層の厚さ全域に形成された構造であってもよい。
【0039】次に、上記分布帰還型半導体レーザの製造方法について説明する。まず、n型半導体基板12上に、有機金属気相成長法(MOCVD法)により、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15を順にエピタキシャル結晶成長させる。次に、p型クラッド層15に対してメサエッチングを行い、p型クラッド層15の中央の領域15aを除いた両側部分を部分的に除去する。この除去部分は図3の紙面直交方向(図1のX方向)の全長にわたるものとする。次に、前記除去部分に対し、X方向全長にわたってn型電流狭窄層22を結晶成長させる。このとき例えば、p型クラッド層15の中央の領域15aの上面にSiO2膜を形成するなどして、p型クラッド層15のエッチングによる除去部分にのみn型電流狭窄層22を形成する。SiO2膜を除去した後に、p型クラッド層15の中央の領域15aとn型電流狭窄層22の上面にp型コンタクト層16を結晶成長させる。
【0040】次に、p型コンタクト層16、p型クラッド層15およびn型電流狭窄層22の部分に凹部20を一定ピッチにて形成する。この工程では、p型コンタクト層16の表面に感光性レジスト材料を塗布し、二光束干渉露光法によりレジスト材料を露光し且つ現像して、回折格子パターンを形成する。そしてドライエッチングまたはドライエッチングとウエットエッチングの組み合せにより、p型コンタクト層16、p型クラッド層15およびn型電流狭窄層22に規則的な凹部を形成する。その後に、SiO2などの絶縁層17をスパッタ法などにより成膜し、絶縁層17にコンタクト用の窓19を形成し、Auなどの電極18を形成する。
【0041】図4(A)(B)は、本発明の分布帰還型半導体レーザの第2実施例を示しており、図4(A)は回折格子を構成する凹部20が形成されていない部分の断面、図4(B)は凹部20が形成されている部分の断面を示している。この実施例での凹部20の形状や周期または深さなどは、図1と図2に示したものと同じである。
【0042】図4に示すものでは、下面に電極11が形成されたn型基板12の上に、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15がエピタキシャル結晶成長により形成され、さらにその上面にn型電流狭窄層22が形成されている。n型クラッド層13からn型電流狭窄層22までの各層の材料の組み合せは、前記第1実施例での■と同じである。図3の実施例では、p型クラッド層15のエッチング除去部分にn型電流狭窄層22が形成されているが、図4の実施例では、p型クラッド層15の表面全域にn型電流狭窄層22が形成されている。
【0043】そして、活性層14の発振領域αの真上部分にて、p型半導体材料のドーパントによる拡散層23が、n型電流狭窄層22を貫通してp型クラッド層15に及んで形成されている。さらにn型電流狭窄層22の上に絶縁層17が形成され、絶縁層17の中央部にコンタクト用の窓19が形成され、その上に電極18が形成されている。
【0044】回折格子を形成する凹部20は、拡散層23の両側にて、n型電流狭窄層22とp型クラッド層15に及ぶ深さで、紙面直交方向(X方向)へ一定のピッチで形成されている。なお、凹部20の底部が活性層14内に及ぶよう、凹部20を深く形成してもよい。
【0045】この分布帰還型半導体レーザでは、電極18からp型の拡散層23に電流が流れる。図4(A)に示す凹部20が形成されていない断面において、拡散層23の両側にn型電流狭窄層22が形成されているため、半導体のp−n接合の電位障壁により、拡散層23に流れる電流Iが図示左右方向に逃げることがなく、よって活性層14の発振領域αに効率的に電流が与えられる。そのため、しきい電流値を低下させることが可能である。
【0046】次に、上記第2実施例の分布帰還型半導体レーザの製造方法を説明する。図3に示した実施例と同様に、MOCVD法により、n型基板12の上に、n型クラッド層13、活性層14、p型クラッド層15を順に結晶成長させる。さらにp型クラッド層15の上面全域にn型電流狭窄層22を結晶成長させる。
【0047】n型電流狭窄層22の上面の中央部分に、Zn(亜鉛)などのp型ドーパントを蒸着する。このドーパントの蒸着では、n型電流狭窄層22の上面の左右領域をレジスト膜により覆い、n型電流狭窄層22の上面の中央にて、ドーパントを図4の紙面直交方向(図1のX方向)の全長にわたって帯状に形成する。次に加熱して、ドーパントをn型電流狭窄層22およびp型クラッド層15内に熱拡散させて拡散層23を形成する。その後に前記第1実施例と同様に、回折格子を構成する凹部20を形成する。この凹部20は、n型電流狭窄層22およびp型クラッド層15をドライエッチングすることにより形成される。その後に、絶縁層17と電極18を形成して半導体レーザが完成する。
【0048】図5は本発明の分布帰還型半導体レーザの第3実施例を示す断面図である。図5は、回折格子を構成する凹部20が形成されていない部分の断面を示し、凹部20は点線にて示している。この分布帰還型半導体レーザでは、下面に絶縁層17と電極18が形成されたp型基板24の上に、p型クラッド層15、活性層14、n型クラッド層13が順に形成され、n型クラッド層13の上面に電極11が形成されている。そして、p型基板24の上面にて、活性層14の発振領域αの真下に位置している中央の領域24aを除いた両側部分が除去され、この部分にn型電流狭窄層22が形成されている。
【0049】各層の材料を(n型電流狭窄層22−p型クラッド層15−活性層14−n型クラッド層13)の順に列記すると以下の■の組み合せがある。
■(n型のInP−p型のInP−InGaAsP−n型のInP)
■(n型のAlGaAs−p型のAlGaAs−GaAs−n型のAlGaAs)
■(n型のInGaAlP−p型のInGaAlP−InGaP−n型のInGaAlP)
【0050】回折格子を構成する凹部20は、n型クラッド層13にて紙面直交方向(X方向)へ一定ピッチにて形成されている。なお、凹部20の底部は活性層14に及ぶ深さであってもよい。また、n型電流狭窄層22は、p型基板24にて中央の領域24aを除く部分に形成されているが、p型クラッド層15が中央部分を除いて除去され、この除去部分にn型電流狭窄層22が形成されていてもよい。あるいはp型基板24とp型クラッド層15の双方にn型電流狭窄層22が形成されていてもよい。
【0051】この分布帰還型半導体レーザでは、電極11と18間に電界が与えられたときに、図示下側の電極18の窓19の部分からp型基板24およびp型クラッド層15を経て活性層14に電流が及ぶ。この電流供給経路の途中部分では、発振領域αを挟む両側部分にn型電流狭窄層22が形成されているため、電流が左右に拡散せずに狭窄され、活性層14の発振領域αに効率的に電流が与えられ、しきい電流値を低下させることが可能である。
【0052】図5に示す分布帰還型半導体レーザの製造方法では、p型基板24に中央の領域24aを除いてエッチングを行い、p型基板24を部分的に除去する。この除去された部分にMOCVD法によりn型電流狭窄層22を形成し、その上にp型クラッド層15、活性層14、n型クラッド層13を形成する。
【0053】次に、p型基板24の下面を上向きにし、SiO2などの絶縁層17をスパッタにより成膜し、その後にコンタクトの窓19を形成する。また、n型クラッド層13に対し、回折格子を形成する凹部20をドライエッチングにより形成し、最後にAuなどにより電極11と18を形成する。
【0054】また、図5に示す構造の分布帰還型半導体レーザにおいて、例えばp型基板24の上面あるいは下面にn型電流狭窄層を形成し、このn型電流狭窄層の表面にZnなどのp型のドーパントを形成し、これを熱拡散させ、n型電流狭窄層を貫通するp型の拡散層を形成してもよい。または、図5において、p型基板24の代わりにn型基板を使用し、このn型基板を貫通するp型の拡散層を形成し、n型基板をn型電流狭窄層としてもよい。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明の分布帰還型半導体レーザでは、回折格子を構成する凹部が形成されていない部分において、p型の半導体層での電流供給経路となる部分を除いてn型電流狭窄層が形成されている。よって、回折格子を構成する凹部が形成されていない部分であっても、電流がp型の半導体層にて拡散せずに狭窄され、活性層の発振領域に効率的に電流が与えられるものとなり、しきい電流値を低下させることができる。
【0056】また、本発明の分布帰還型半導体レーザの製造方法では、エッチング工程または熱拡散工程により、前記しきい電流値の低い半導体レーザを製造することが可能である。




 

 


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