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発明の名称 移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御方法およびその回転制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−195612
公開日 平成8年(1996)7月30日
出願番号 特願平7−5058
出願日 平成7年(1995)1月17日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】武 顕次郎 (外2名)
発明者 鴫原 亮
要約 目的
衛星捕捉が短時間で行え、且つステッピングモータが一時的な過負荷状態により異常停止してもその後の衛星捕捉動作に支障をきたさない、実用性および信頼性に優れた移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御方法と、その回転制御装置とを提供する。

構成
パルス発生回路31に対し所定時間ごとに減速制御パルスを出力するタイマー30を付加して、平面アンテナ2を回転させるためのステッピングモータ3に出力する駆動パルス信号の周波数を、周期的に増減させることにより、このステッピングモータ3を加速運転して高速で定速運転した後に減速運転するという一連の回転速度制御を繰り返し行うようにした。
特許請求の範囲
【請求項1】 移動体搭載用の追尾型アンテナを回転させるためのステッピングモータに出力する駆動パルス信号の周波数を、周期的に増減させることにより、このステッピングモータを加速運転して定速運転した後に減速運転するという一連の回転速度制御を、所定時間ごとに繰り返し行うようにしたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御方法。
【請求項2】 移動体搭載用の追尾型アンテナを回転させるためのステッピングモータに駆動パルス信号が出力されている間、このステッピングモータが回転を停止したか否かを検出し、回転停止時には、前記駆動パルス信号の周波数を低下させた後に増加させることにより前記ステッピングモータを起動させるようにしたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御方法。
【請求項3】 電源に接続されたときには該電源により充電され放電回路に接続されたときには放電する電圧保持手段と、この電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続する切替手段と、前記電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続させるための切替パルス信号を前記切替手段に対して所定時間ごとに出力する切替信号発生手段と、前記電圧保持手段に保持されている電圧に応じた周波数の駆動パルス信号を出力する駆動パルス出力手段と、この駆動パルス信号の周波数に応じた回転速度で駆動されて移動体搭載用の追尾型アンテナを回転せしめるステッピングモータとを、備えたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項4】 電源に接続されたときには該電源により充電され放電回路に接続されたときには放電する電圧保持手段と、この電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続する切替手段と、前記電圧保持手段に保持されている電圧に応じた周波数の駆動パルス信号を出力する駆動パルス出力手段と、この駆動パルス信号の周波数に応じた回転速度で駆動されて移動体搭載用の追尾型アンテナを回転せしめるステッピングモータと、前記駆動パルス信号が出力されているときに前記ステッピングモータが回転を停止するとこれを検出するモータ停止検出手段と、このモータ停止検出手段から検出信号が出力されると前記電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続させるための切替パルス信号を前記切替手段に対して出力する切替信号発生手段とを、備えたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項5】 請求項3および4のいずれかの記載において、追尾型アンテナで受信した受信信号強度が所定値以上のときには強判定信号を出力し所定値未満のときには弱判定信号を出力する受信強度判定手段を備え、受信信号の捕捉動作中に、前記弱判定信号が出力され且つ前記切替パルス信号が出力されていないときには前記電圧保持手段が電源もしくは放電回路のいずれか一方に接続され、前記強判定信号と前記切替パルス信号の少なくとも一方が出力されたときには前記電圧保持手段が電源もしくは放電回路のいずれか他方に接続されるように構成したことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項6】 請求項3および5のいずれかの記載において、前記切替信号発生手段が計時装置であることを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項7】 請求項3および5のいずれかの記載において、前記切替信号発生手段が計数装置であることを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項8】 請求項4および5のいずれかの記載において、前記モータ停止検出手段が、前記ステッピングモータの駆動回路へ電源から流れ込む電流を検出して該電流を所定値と比較するように構成したことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項9】 請求項3ないし8のいずれかの記載において、前記電圧保持手段としてコンデンサを用いたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
【請求項10】 請求項3ないし9のいずれかの記載において、前記駆動パルス出力手段として電圧制御発振器を用いたことを特徴とする移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車載用衛星通信アンテナや車載用衛星放送受信アンテナ等の移動体に搭載される追尾型アンテナの回転動作を制御する回転制御方法と、かかる追尾型アンテナの回転制御装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、この種の追尾型アンテナの回転制御システムの従来例を示すブロック図で、静止衛星を捕捉対象とする衛星放送受信用の追尾型アンテナについて例示している。同図において、符号1は、平面アンテナ2やステッピングモータ3や周波数変換器(LNB)4等にて構成されるアンテナ装置であり、5は受信機、6は受信レベル検出回路、7は受信レベル判定回路、8はパルス発生回路、9は相励磁回路、10は駆動回路である。また、符号18は図示せぬアンテナ制御回路に接続されて所定の信号を入力する捕捉制御端子である。
【0003】いま、このアンテナ装置1として本発明者の提案による特開平5−152824号公報記載のアンテナ装置を用いたとすると、メインビームの抑角は予め設定されているので、平面アンテナ2を方位角方向に適宜回転させることにより、目的とする静止衛星を見つけることができる。ここで、平面アンテナ2は、ステッピングモータ3と歯車等の減速機構を介して回転し、例えばステッピングモータ3のステップ角度が7.5度で減速比が10:1の場合、平面アンテナ2は0.75度ステップで回転することになる。
【0004】平面アンテナ2で受信された12GHz帯の衛星放送の電波は、周波数変換器4により約1GHz帯のBS−IF信号に周波数変換され、受信機5に入力される。受信機5は、映像や音声を復調すると共に、受信レベル検出回路6に検波出力を供給し、この検波出力に基づいて、受信レベル検出回路6は、受信強度に比例した直流電圧である受信レベルVaを作り出す。この受信レベルVaは、受信レベル判定回路7に供給されて、予め設定したしきい値Vtと比較される。そして、この受信レベル判定回路7は、VaとVtの大小関係を示す判定信号をパルス発生回路8に供給する。
【0005】このパルス発生回路8は、ステッピングモータ3に与える駆動パルス信号の基礎となるパルスを発生させる回路であるが、その詳細については後述する。パルス発生回路8により発生させたパルスは、相励磁回路9に供給され、ステッピングモータ3を駆動するために必要な駆動パルス信号を作り出す。ステッピングモータ3が例えば4相の場合、A巻線とB巻線の2つがあり、これに対応して4つの端子があるので、相励磁回路9では、これら4端子に加えるためのタイミングの異なるパルスで成る駆動パルス信号を作り出す。そして、駆動回路10は、相励磁回路9で発生させた駆動パルス信号を受けて、トランジスタ等から成るスイッチをオン・オフさせ、ステッピングモータ3の各巻線にタイミングの異なる電流を流し、こうしてステッピングモータ3を回転させることができる。
【0006】ところで、ステッピングモータには、周知のように次のような特長がある。
【0007】(1)回転速度はパルス周波数(1秒当りのパルス数)に比例するので、回転速度を任意にディジタル的に制御できる。(2)回転角度誤差がステップ毎に累積されない。(3)回転角度を検出するためのフィードバックが不要で、制御系が簡単である。(4)モータに摺動部分がないため、保守が不要で信頼性が高い。(5)静止時に大きな保持トルク(静止トルク)があるため、保持機構が不要である。
【0008】ステッピングモータは、上記のような優れた特性を有するため、これをマイクロコンピュータ等と組み合わせて使用すれば、比較的簡単な制御系で衛星捕捉や追尾を行うことができる。それゆえ、ステッピングモータは、移動体搭載用の衛星通信システムや衛星放送受信システムの低コスト化を図るうえで、極めて有利なモータとみなされている。
【0009】また、ステッピングモータのトルクは与えられる駆動パルスの周波数に応じて変化し、そのパルス周波数とトルクの相関関係は一般に図9のように表される。すなわち、図9において、プルイン特性曲線は、スターティング特性曲線とも呼ばれ、パルス周波数と該周波数でモータが起動できる最大の負荷トルクとの関係を示しており、このプルイン特性曲線から下の部分をプルイン領域と呼び、入力パルスに対応して起動、停止、逆転、加速、減速等の制御が可能である。また、図9におけるプルアウト特性曲線は、スルーイング特性曲線とも呼ばれ、プルイン領域の範囲内で起動した後、モータへ与えるパルス周波数を徐々に上げていった場合の、パルス周波数と該周波数に同期回転しながら発生できる最大の負荷トルクとの関係を示している。そして、プルイン特性曲線とプルアウト特性曲線とで囲まれた領域は、プルアウト領域と呼ばれ、モータの起動や停止の制御において加減速制御が必要になる。
【0010】さて、静止衛星を捕捉対象とする移動体搭載用の追尾型アンテナでは、出来るだけ短時間で衛星捕捉を行う必要があり、特開平5−152824号公報記載のアンテナ装置と同様の機構系を備えた図8のアンテナ装置1の場合、平面アンテナ2の最大回転速度は1回転/秒程度であるが、先述した衛星捕捉のための信号処理等の時間を考慮すると、平面アンテナ2の回転速度は約0.5回転/秒(つまり、2秒間で1回転程度)が実用的である。そして、平面アンテナ2を約0.5回転/秒で回転させるには、ステッピングモータ3を約5回転/秒の高速で回転させる必要があるので、図9におけるプルアウト領域でステッピングモータ3を回転させることになる。
【0011】なお、ステッピングモータ3をプルアウト領域で回転させる際には、まず、プルイン領域でステッピングモータ3を起動し、続いてパルス周波数を上昇させる加速運転を行って高速の定速運転に移行する。また、ステッピングモータ3がプルアウト領域で高速回転している場合に停止させるには、減速運転させて制御可能なプルイン領域に移行させた後、所定位置で停止させる。そして、このような加減速運転および定速運転を行うためには、ステッピングモータ3に与える駆動パルス信号の周波数を可変にする必要があるので、図8に示すパルス発生回路8は、例えば図10に示すような構成にすることで、加減速パルスが発生できるようになっている。
【0012】すなわち、図10において、符号11はV/F変換器とも称される電圧−周波数変換回路、12はスイッチ、13,14は抵抗、15はコンデンサ、16はAND回路、17は電源端子、18は捕捉制御端子、19は制御端子、20はパルス出力端子である。ここで、V/F変換器11は、入力直流電圧Vinに比例した周波数のパルスを出力する。スイッチ12はリレーまたは電子スイッチで、AND回路16から与えられるスイッチ制御信号がハイレベルの場合にa側に切り替わり、スイッチ制御信号がローレベルの場合にb側に切り替わる。AND回路16は、捕捉制御端子18と制御端子19の両方がハイレベルの場合にハイレベルのスイッチ制御信号を出力し、捕捉制御端子18と制御端子19のいずれかがローレベルの場合にローレベルのスイッチ制御信号を出力する。なお、捕捉制御端子18は、図示せぬアンテナ制御回路に接続されて、衛星捕捉が開始されるとハイレベルが入力され、衛星捕捉を停止するとローレベルが入力される端子である。また、制御端子19は、受信レベル判定回路7に接続されて、受信レベルVaがしきい値Vt未満の場合にはハイレベルが入力され、VaがVt以上の場合にはローレベルが入力される端子である。
【0013】次に、図8、図10および図11を参照しつつ、かかる従来技術における衛星捕捉動作を具体的に説明する。なお、捕捉開始時点では衛星からの電波が受信されておらず、従って制御端子19にはハイレベルが入力されているものとする。
【0014】まず、図11(a)に示すように、捕捉制御端子18に加えられる捕捉開始信号が時刻t0においてハイレベルになると、AND回路16からハイレベルのスイッチ制御信号が出力され、スイッチ12がa側に切り替わり、電源端子17から抵抗13を通してコンデンサ15に電流が流れ込み、このコンデンサ15が充電されていく。このとき、V/F変換器11の入力電圧Vinは、指数関数的に増加する。従って、V/F変換器11の出力パルスの周波数fpも図11(b)の(イ)で示すように指数関数的に増加し、よってステッピングモータ3は図11(c)に示すように、時刻t0より加速運転される。そしてコンデンサ15が十分に充電されると、Vinの増加は止まりfpも一定となるので、ステッピングモータ3は定速運転される。つまり、ステッピングモータ3は、プルイン領域から回転し始め、プルアウト領域において高速で定速回転することになって、このステッピングモータ3の回転に伴い平面アンテナ2が回転する。
【0015】こうして平面アンテナ2を定速で回転させてメインビームが目的の方位角に近付くと、受信信号の強度が急に増加するので、図11(d)に示すように、例えば時刻t1で受信レベルVaが増加し始め、時刻t2でVaがしきい値Vtに達する。そして、VaがVt以上になると、図11(e)に示すように受信レベル判定回路7がローレベル信号を出力し、この信号がパルス発生回路8の制御端子19に入力されるので、スイッチ12がb側に切り替わり、コンデンサ15から抵抗14を通して電流が放電される。このとき、コンデンサ15の両端電圧、つまりV/F変換器11の入力電圧Vinは、指数関数的に減少する。従って、V/F変換器11の出力パルスの周波数fpも、図11(b)の(ロ)で示すように指数関数的に減少し、よってステッピングモータ3は図11(c)に示すように、時刻t2より減速運転され、最終的に停止する。ここで、減速時間(t3−t2)を適切に設定することにより、図11(d)に示すように、受信レベルVaのピークで平面アンテナ2の回転を停止させることが可能である。
【0016】なお、ステッピングモータ3の加速時間は、抵抗13とコンデンサ15からなる時定数で設定することができ、また減速時間は、抵抗14とコンデンサ15からなる時定数で設定することができる。そこで、図11を参照しつつ、これらの加速時間および減速時間の一例を説明する。
【0017】先述したようにステッピングモータ3のステップ角度が7.5度で、減速比が10:1の場合、平面アンテナ2は、0.75度ステップで回転する。従って、ステッピングモータ3に対して480パルスを与えた場合に、平面アンテナ2は480ステップ回転し、1回転(360度回転)する。そこで、平面アンテナ2を2秒間で1回転させて停止させる場合、加速運転および減速運転の時間を含めて2秒となるように各時間や定速運転時の回転速度(パルス周波数fp)を設定する。例えば、加速運転に80ステップ(平面アンテナ2が60度回転)、定速運転に380ステップ(平面アンテナ2が285度回転)、減速運転に20ステップ(平面アンテナ2が15度回転)をそれぞれ割り当て、さらに、定速運転時のパルス周波数fpをプルアウト領域の250PPS(Pulses PerSecond)とする場合、定速運転時間は1.52秒となる。また、残りの0.48秒は、加速時間が0.38秒、減速時間が0.1秒となるようにする。
【0018】衛星からの電波がアンテナ装置1に到達している場合の通常の衛星捕捉においては、平面アンテナ2を1回転させる間に必ず衛星からの電波が受信されることから、上述した時間でステッピングモータ3の加減速運転および定速運転を行うことにより、2秒以内で衛星捕捉が完了する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、先述したようにステッピングモータは、移動体搭載用の追尾型アンテナにおけるアンテナ駆動手段として大変に有用であるが、その反面、高速回転時に過負荷状態が生じると脱調して停止しやすいという短所を有するため、ステッピングモータをプルアウト領域で高速回転させているときに何等かの外乱を受けると、衛星捕捉が行えなくなってしまう虞があった。特に、アンテナを搭載した自動車等の移動体が例えばトンネル内を通過しているときのように電波が遮断されている場合には、平面アンテナ2を1回転させても衛星捕捉ができず、この平面アンテナ2を高速で回転させ続ける状況が起こりやすいが、そのときステッピングモータ3に一時的な過負荷状態が生じると異常停止してしまい、トンネル通過後も衛星通信や衛星放送受信が行えないという不都合が発生しやすかった。なお、ステッピングモータに過負荷状態を生じさせる外乱の原因としては、温度低下や経年変化、あるいは機構系にごみや塵が堆積した場合などが考えられる。
【0020】また、ステッピングモータが高速回転時に脱調しやすい理由は、概略次のように説明できる。すなわち、ステッピングモータの巻線のインピーダンスは、等価的に抵抗とインダクタンスの直列回路とみなせるので、パルス周波数が0(直流)の場合には、ステッピングモータの巻線のインピーダンスは最小となって該巻線には最大の電流が流れ、図9に示すように最大のトルク(最大静止トルク)が得られる。一方、回転中は、インピーダンスがパルス周波数fpと共に大きくなるため、静止時に比較してステッピングモータの巻線に流れる電流が小さくなり、これに伴いトルクが低下する。高速回転時においてはこの現象が一段と顕著となり、わずかな外乱を受けた場合でもステッピングモータが脱調しやすくなる。
【0021】このように移動体搭載用追尾型アンテナに使用されるステッピングモータは、高速回転時に過負荷状態が生じると異常停止しやすく、しかも過負荷状態は不測の事態により起こりうるものなので、これまでは、常に確実に衛星捕捉が行える信頼性を維持するためにステッピングモータの回転速度を落とすか、さもなくば、衛星捕捉に要する時間を短くするという実用性を重んじて信頼性を若干犠牲にするしかなかった。
【0022】本発明は、上述した技術的背景に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、ステッピングモータを高速回転させて衛星捕捉が短時間で行え、且つ、高速回転時にステッピングモータが異常停止してもその後の衛星捕捉動作に支障をきたさない、実用性および信頼性に優れた移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御方法を提供することにあり、また、本発明の第2の目的は、かかる移動体搭載用追尾型アンテナの回転制御装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の第1の目的は、移動体搭載用の追尾型アンテナを回転させるためのステッピングモータに出力する駆動パルス信号の周波数を、周期的に増減させることにより、このステッピングモータを加速運転して定速運転した後に減速運転するという一連の回転速度制御を、所定時間ごとに繰り返し行うことによって達成される。
【0024】さらに、この第1の目的は、移動体搭載用の追尾型アンテナを回転させるためのステッピングモータに駆動パルス信号が出力されている間、このステッピングモータが回転を停止したか否かを検出し、回転停止時には、前記駆動パルス信号の周波数を低下させた後に増加させることにより前記ステッピングモータを起動させることによっても達成される。
【0025】また、上述した本発明の第2の目的は、電源に接続されたときには該電源により充電され放電回路に接続されたときには放電する電圧保持手段(例えばコンデンサ)と、この電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続する切替手段と、前記電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続させるための切替パルス信号を前記切替手段に対して所定時間ごとに出力する切替信号発生手段(例えば計時装置や計数装置)と、前記電圧保持手段に保持されている電圧に応じた周波数の駆動パルス信号を出力する駆動パルス出力手段と、この駆動パルス信号の周波数に応じた回転速度で駆動されて移動体搭載用の追尾型アンテナを回転せしめるステッピングモータとを、備えることによって達成される。
【0026】さらに、この第2の目的は、上記と同様の電圧保持手段と切替手段と駆動パルス出力手段とステッピングモータとに加え、駆動パルス信号が出力されているときに前記ステッピングモータが回転を停止するとこれを検出するモータ停止検出手段と、このモータ停止検出手段から検出信号が出力されると前記電圧保持手段を電源もしくは放電回路に択一的に接続させるための切替パルス信号を前記切替手段に対して出力する切替信号発生手段とを、備えることによっても達成される。なお、かかるモータ停止検出手段としては例えば、前記ステッピングモータの駆動回路へ電源から流れ込む電流を検出して該電流を所定値と比較するような構成のものが好ましい。
【0027】
【作用】ステッピングモータは駆動パルス信号によって1パルスごとに1ステップ(単位回転角度)ずつ回転するので、駆動パルス信号の周波数を変化させることによりステッピングモータの回転速度を変化させることができる。また、ステッピングモータは、高速駆動させている時に一時的な過負荷状態が生じると停止しやすいが、過負荷状態が解除されればプルイン領域において回転を開始させることができ、加速させれば再び高速で回転する。
【0028】したがって、駆動パルス信号の周波数を周期的に増減させることにより、ステッピングモータを加速運転して定速運転した後に減速運転するという一連の回転速度制御を、所定時間ごとに繰り返す回転制御方法を採用することにより、プルアウト領域で高速回転させているステッピングモータが一時的な過負荷状態により異常停止しても、速やかにプルイン領域で起動して再びプルアウト領域で高速回転し、その後の衛星捕捉動作に支障をきたす虞がない。
【0029】また、ステッピングモータが脱調して回転を停止したことを、例えば消費電流の増加から検出し、その際には駆動パルス信号の周波数を低下させた後に増加させるという回転制御方法を採用することにより、一時的な過負荷状態により異常停止したステッピングモータは速やかにプルイン領域で起動して再びプルアウト領域で高速回転する。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図7に基づいて説明する。ここで、図1〜図3は本発明の第1実施例を示し、図4および図5は本発明の第2実施例を示し、図6および図7は本発明の第3実施例を示しており、それぞれ、従来例と同等の構成要素には同一符号を付けている。
【0031】本発明の第1実施例は、図1と図8を比較参照すれば明らかなように、従来例にタイマー30を付加した構成になっている。このタイマー30は、所定時間ごとにローレベルの減速制御パルスを一定時間だけ出力するというもので、その制御パルスはパルス発生回路31の制御端子33に入力される。このパルス発生回路31は、図2と図10を比較参照すれば明らかなように、従来例のパルス発生回路8に制御端子33を付加したものであり、捕捉制御端子18と制御端子19と制御端子33のいずれかがローレベルになると、3入力AND回路32によりスイッチ12がb側に切り替わるようになっていて、そのとき、パルス発生回路31はステッピングモータ3に対して減速パルスを与えることになる。
【0032】次に、図1,2の如くに構成される第1実施例による衛星捕捉動作を、図3を参照しつつ説明する。
【0033】図3(a)に示すように、時刻t0において捕捉開始信号がハイレベルになると、ステッピングモータ3は従来例と同様に、加速運転されて高速回転状態で定速運転されるようになるが、このとき、タイマー30から図3(b)に示すようなローレベルの減速制御パルスが制御端子33に入力されると、ステッピングモータ3は減速運転に切り替わって回転速度が低下する。ここで、タイマー30から減速制御パルスが出力されておらずタイマー出力がハイレベルの時間をtm1とし、減速制御パルスが出力されてタイマー出力がローレベルの時間をtm2とすると、図3(b)に示すようにtm2はtm1に比較して極めて短い時間に設定してある。すなわち、このtm2は、ステッピングモータ3に与える駆動パルス信号の周波数を低下させて、プルアウト領域で高速回転しているステッピングモータ3をプルイン領域での低速回転状態に移行させることが可能な時間であれば良い。換言するなら、ステッピングモータ3は周期的に短時間tm2だけ減速運転されるが、停止することはなく、再び加速運転されて高速回転状態となる。
【0034】具体的には、本実施例を従来例と同様に平面アンテナ2を2秒で1回転させるものとすると、tm1=1.9秒、tm2=0.1秒に設定すれば良い。こうすることにより、ステッピングモータ3は、平面アンテナ2が1回転するごとに、低速回転状態から加速して高速回転状態を保った後に再び低速回転状態に戻るという一連の加減速運転を、繰り返し行うようになる。
【0035】さて、上述した第1実施例によれば、高速回転状態の衛星捕捉動作が継続的に行われている間に、外乱により一時的な過負荷状態が生じてステッピングモータ3が脱調し、図3(d)に示すように、時刻t4でその回転が停止してしまった場合には、次の加速開始時刻t5においてステッピングモータ3はプルイン領域から起動されてプルアウト領域での高速回転状態に移行するので、速やかに平面アンテナ2の回転が再開されて衛星捕捉動作が行われる。そして、アンテナ装置1に衛星からの電波が到達している場合には、従来例と同様に2秒以内で衛星捕捉が完了する。
【0036】なお、平面アンテナ2が回転してメインビームが目的の方位角に近づいた後の衛星捕捉動作については、従来例と同様(図11参照)なので、その説明は省略する。
【0037】次に、平面アンテナ2が2回転して静止衛星を捕捉したと仮定した場合の衛星捕捉時間を、本実施例と従来例とで比較してみる。本実施例では、加速→定速→減速→加速→定速→減速という動作となり、加速→定速→減速の1サイクルが2秒であるから、全体で4秒となる。一方、従来例では、加速→定速→減速という動作をし、それぞれの運転に要する時間は、先述したように加速時間が80ステップで0.38秒、減速時間が20ステップで0.1秒であるから、定速運転時間は860ステップで3.44秒であり、全体で960ステップで3.92秒となる。したがって、衛星捕捉動作中に連続回転が続く場合、本実施例と従来例とを比べると、従来例の方が平均回転速度が速くなる。しかし、静止衛星を捕捉するまでに平面アンテナ2が多数回回転する場合は、移動体がトンネル内やビル陰などの電波遮断地域にある場合であり、この場合に、平面アンテナ2の回転速度が従来例に比べて若干遅いとしても何ら支障なく、衛星捕捉動作に与える影響はない。
【0038】そして、本実施例の場合、外乱によりステッピングモータ3が衛星捕捉動作中に予期せず停止してしまった場合にも、ステッピングモータ3をプルイン領域から速やかに起動できるようになっているので、異常停止後の衛星捕捉動作に支障をきたさず、信頼性が大幅に高まっている。なお、上述した比較は、プルアウト領域での高速回転時のパルス周波数fpを本実施例と従来例とで同じ(fp=250PPS)として行ったものであるから、本実施例において、プルアウト領域での高速回転時のパルス周波数fpを従来例よりも若干高く設定しておけば、衛星捕捉時間の僅かな差も解消される。
【0039】本発明の第2実施例は、図4に示すように、従来例にパルスカウンタ40を付加した構成になっている。なお、図4中のパルス発生回路31の構成は、前記第1実施例と同等である(図2参照)。
【0040】この第2実施例において、パルスカウンタ40は、パルス発生回路31から相励磁回路9へ出力されるパルス数をカウントし、そのカウント値が設定値になるとローレベルの減速制御パルスを一定時間だけ、パルス発生回路31の制御端子33に入力するというものである。そして、このパルス発生回路31は、前記第1実施例と同様に、捕捉制御端子18と制御端子19と制御端子33のいずれかがローレベルになると、3入力AND回路32によりスイッチ12がb側に切り替わるようになっていて(図2参照)、そのとき、パルス発生回路31はステッピングモータ3に対して減速パルスを与えることになる。
【0041】パルスカウンタ40は、アップカウンタまたはダウンカウンタのどちらでも良いが、ダウンカウンタの例で説明する。ステッピングモータ3は、1パルスで1ステップ回転するため、回転角度はパルス数に比例する。従って、所定のパルス数を予め設定したパルスカウンタ(ダウンカウンタ)40により、パルス発生回路31から出力されるパルス数をカウント(減算)し、カウント値が0になった時には、パルスカウンタ40が一定時間だけローレベルの減速制御パルスを出力するようにしておく。そして、減速制御パルスを出力した後は再び所定のパルス数をパルスカウンタ40に設定して、カウントを繰り返すようにしておけば、所定のパルス数ごとに周期的にローレベルのカウンタ出力が得られる。図5(b)は、この様子を示している。ここで、カウンタ出力がローレベルになる時間tc2は、パルスカウンタ40がパルス数をカウント中でカウンタ出力がハイレベルである時間tc1に比して、極めて短く設定してあり、それゆえ、ステッピングモータ3は周期的に短時間tc2だけ減速運転されるが、停止することはなく、再び加速運転されて高速回転状態となる。
【0042】ここで、定速運転時のパルス周波数、加速運転と定速運転と減速運転の各ステップ数(パルス数)等を従来例と同様に設定し、平面アンテナ2を2秒間で1回転させるものとすると、加速運転と定速運転を含めたパルス数は460パルスであり、減速運転でのパルス数は20パルスとなる。つまり、パルスカウンタ40の設定値を460とし、そこからカウント(減算)を開始するように設定しておけば良い。時間的な見方をすると、図5(b)において、tc1=1.9秒、tc2=0.1秒となる。このように設定することにより、ステッピングモータ3は、平面アンテナ2が1回転するごとに、低速回転状態から加速して高速回転状態を保った後に再び低速回転状態に戻るという一連の加減速運転を行うようになる。
【0043】この第2実施例によれば、高速回転状態の衛星捕捉動作が継続的に行われている間に、外乱により一時的な過負荷状態が生じてステッピングモータ3が脱調し、図5(d)に示すように、時刻t6でその回転が停止してしまった場合には、次の加速開始時刻t7においてステッピングモータ3はプルイン領域から起動されてプルアウト領域での高速回転状態に移行するので、速やかに平面アンテナ2の回転が再開されて衛星捕捉動作が行われる。そして、アンテナ装置1に衛星からの電波が到達している場合には、従来例および第1実施例と同様に、2秒以内で衛星捕捉が完了する。
【0044】なお、この第2実施例においても、平面アンテナ2が回転してメインビームが目的の方位角に近づいた後の衛星捕捉動作は従来例と同様なので、その説明は省略する。また、衛星捕捉中に連続回転が続く場合の動作時間を第2実施例と従来例とで比較したときの説明についても、前記第1実施例における記載内容と同じなので省略する。
【0045】このように、本発明の第1実施例と第2実施例では、外乱によりステッピングモータ3が衛星捕捉動作中に予期せず停止してしまった場合にも、速やかにステッピングモータ3をプルイン領域から起動するので、その後の衛星捕捉動作に支障をきたさず信頼性が高く、しかもステッピングモータ3を高速で定速運転することができるので、短時間で衛星捕捉が行えて実用性が高い。また、これら第1および第2実施例は、従来例に比較してタイマー30やパルスカウンタ40が必要なため構成が複雑化してコストアップを招くようにもみえるが、移動体搭載用の追尾型アンテナの回転制御は一般にマイクロコンピュータ等で行われ、図1、図2および図4に示す各ブロックはマイクロコンピュータの機能やソフトウェアで実現できるものなので、実際の部品構成は従来例と変わることはなく、よってコストアップを招来する心配はない。
【0046】本発明の第3実施例は、図6に示すように、従来例に消費電流検出回路50とモータ停止判定回路51とを付加した構成になっている。なお、図6中のパルス発生回路31の構成は、前記第1実施例と同等である(図2参照)。
【0047】この第3実施例において、消費電流検出回路50は、電源から駆動回路10へ流れ込む電流、すなわちステッピングモータ3自体の消費電流と駆動回路10での消費電流とを合計した電流を検出するための回路である。ここで、ステッピングモータ3の消費電流は、先述したように静止時(モータを励磁して停止させた状態、つまりパルス周波数fpが0のとき)に最大となり、パルス周波数fpを上昇させると、それに反比例して減少する特性を有している。したがって、ステッピングモータ3に駆動パルス信号を出力して回転させようとしているにもかかわらず、図7(b)に示すように、外乱によりステッピングモータ3が脱調して回転が停止してしまった場合には、図7(c)に示すように、消費電流が急激に上昇する。また、モータ停止判定回路51は、消費電流検出回路50の検出した電流値が所定値を越えるとローレベルの減速制御パルスを一定時間だけ、パルス発生回路31の制御端子33に入力するというものである。そして、このパルス発生回路31は、前記第1および第2実施例と同様に、捕捉制御端子18と制御端子19と制御端子33のいずれかがローレベルになると、3入力AND回路32によりスイッチ12がb側に切り替わるようになっていて(図2参照)、そのとき、パルス発生回路31はステッピングモータ3に対して減速パルスを与えることになる。
【0048】すなわち、モータ停止判定回路51には、図7(c)に示すように、予め基準電流値Itが設定してあり、消費電流がこのItを越えた場合にはステッピングモータ3が停止したと判断し、図7(d)に示すように、一定時間だけローレベルの減速制御パルスを出力する。この一定時間とは、第1実施例におけるtm2や第2実施例におけるtc2と同様に、駆動パルス信号の周波数を低下させてステッピングモータ3がプルイン領域で起動可能となる時間(例えば0.1秒)であれば良い。
【0049】いま、図7(b)に示すように時刻t8において外乱によりステッピングモータ3が異常停止すると、パルス発生回路31の制御端子33に短時間(t9−t8)だけ減速制御パルスが入力され、よってパルス発生回路31から出力されるパルス周波数fpは図7(e)に示すように変化する。つまり、ステッピングモータ3は時刻t8で異常停止しても、その直後の時刻t9から加速運転されて高速回転状態に移行するので、速やかに衛星捕捉動作が再開される。
【0050】なお、この第3実施例において、ステッピングモータ3の異常停止が起こらない通常の衛星捕捉動作は従来例と同様なので、その説明は省略する。
【0051】さて、この第3実施例によれば、アンテナ装置1に衛星からの電波が到達しており、かつ外乱がない場合には、従来例と全く同様の衛星捕捉動作が行われる。また、外乱によりステッピングモータ3が異常停止してしまった場合にも、この異常停止を消費電流の変化から検出し、ステッピングモータ3に出力する駆動パルス信号の周波数を一旦下げてからすぐに上昇させるという制御を行うので、その後の衛星捕捉動作に支障をきたす虞がない。
【0052】なお、この第3実施例において、駆動電流検出回路50はハードウェアで構成しなければならないが、これは電源と駆動回路10との間に抵抗を1本挿入するだけの簡単なものでも十分実用になるため、従来例に比べてコストアップが問題となることはない。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、外乱により一時的な過負荷状態が生じて、高速回転している衛星捕捉動作中のステッピングモータが異常停止してしまった場合にも、このステッピングモータは周期的あるいは異常停止時にプルイン領域から加速運転するように制御されているので、速やかにプルアウト領域の高速回転状態に戻すことができ、よってその後の衛星捕捉動作に支障をきたさなくなって信頼性が高まるとともに、短時間で衛星捕捉が行えて実用性が高いという優れた効果を奏し、また、構成が複雑化しないのでコストアップも問題とならない。




 

 


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