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発明の名称 磁性多層膜およびその製造方法ならびに光磁気記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−186023
公開日 平成8年(1996)7月16日
出願番号 特願平6−339188
出願日 平成6年(1994)12月28日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石井 陽一
発明者 藤森 啓安 / 高梨 弘毅 / 三谷 誠司 / 中嶋 英雄 / 佐野 正志 / 大沢 明 / 佐藤 勝昭 / 野口 潔
要約 目的
垂直磁気異方性が大きく、しかもカー回転角の大きい磁性多層膜と、この磁性多層膜を光磁気記録膜に用いた光磁気記録媒体とを提供する。

構成
蒸着法によりFe単原子層とAu単原子層とを交互に積層することにより、(001)面配向の規則合金膜である磁性多層膜を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】 Fe単原子層とAu単原子層とが1層づつ積層されており、(001)面配向を有する磁性多層膜。
【請求項2】 X線回折チャートにおいて、(001)面配向を示すピークだけが認められる請求項1の磁性多層膜。
【請求項3】 蒸着法によりFe単原子層とAu単原子層とを交互に積層して規則合金膜を形成する磁性多層膜の製造方法。
【請求項4】 請求項1または2の磁性多層膜が形成される請求項3の磁性多層膜の製造方法。
【請求項5】 請求項1または2の磁性多層膜を光磁気記録膜として有する光磁気記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気光学カー回転を示す磁性多層膜およびその製造方法と、この磁性多層膜を光磁気記録膜として有する光磁気記録媒体とに関する。
【0002】
【従来の技術】異種金属を原子層レベルで交互に積層し得る今日の薄膜作製技術により、自然界には存在しないような規則的積層構造をもつ多層膜、すなわち金属人工格子の作製が可能となっている。
【0003】Mat.Res.Soc.Symp.Proc.,151,123(1989)(以下、文献1)では、Fe(110)配向のFe/Au人工格子膜において[Fe(4 A)/Au(28 A)]10のとき、実効的な垂直磁気異方性エネルギー定数が1.3×106 erg/cm3 であることが報告されている。
【0004】また、日本応用磁気学会誌,14,343(1990) (以下、文献2)では、Fe(001)/Au(001)配向の人工格子膜である[Fe(1.5 A)/Au(29A)]20を作製したことが報告されている。この人工格子膜の実効的な垂直磁気異方性エネルギー定数は、2.5×106 erg/cm3 である。文献2では、実効的な垂直磁気異方性エネルギー定数をK⊥で表わしており、文献2のFig.5では、tFe=2.0 AのときtFeK⊥=0.05erg/cm2 である。したがって、K⊥=0.05/(2×10-8)=2.5×106 erg/cm3 となる。
【0005】しかし、文献1および文献2にそれぞれ記載されている人工格子膜では、垂直磁気異方性が大きくないため良好な垂直磁化膜が得られず、垂直磁気記録膜や光磁気記録媒体の光磁気記録膜として実用化することは難しい。また、上記した従来のFe/Au多層膜では、Au層厚が28 A以上と厚く、層厚比Fe/Auを1/7以下としなければ垂直磁化膜にならなかった。そのため、カー回転角が小さくなってしまい、光磁気記録膜には不適である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、垂直磁気異方性が大きく、しかもカー回転角の大きい磁性多層膜と、この磁性多層膜を光磁気記録膜に用いた光磁気記録媒体とを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(5)のいずれかの構成により達成される。
(1)Fe単原子層とAu単原子層とが1層づつ積層されており、(001)面配向を有する磁性多層膜。
(2)X線回折チャートにおいて、(001)面配向を示すピークだけが認められる上記(1)の磁性多層膜。
(3)蒸着法によりFe単原子層とAu単原子層とを交互に積層して規則合金膜を形成する磁性多層膜の製造方法。
(4)上記(1)または(2)の磁性多層膜が形成される上記(3)の磁性多層膜の製造方法。
(5)上記(1)または(2)の磁性多層膜を光磁気記録膜として有する光磁気記録媒体。
【0008】
【作用および効果】本発明では、従来知られている単なる人工格子膜とは異なり、Fe単原子層とAu単原子層とを交互に1層づつ積層し、(001)面配向を有する規則合金と等価である磁性人工格子多層膜を得る。このような規則合金と等価なFe/Au多層膜は、本発明により初めて実現したものである。この磁性多層膜は、超高真空蒸着法により形成することが好ましい。
【0009】このようにして作製された多層膜は、垂直磁気異方性定数が大きいため良好な垂直磁化膜となり、また、カー回転角が大きいため、垂直磁気記録膜や光磁気記録膜として有用である。
【0010】なお、上記文献1および文献2にそれぞれ記載されている人工格子膜は、Fe単原子層とAu単原子層とを積層したものではなく、本発明の磁性多層膜とは異なる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を挙げ、本発明を詳細に説明する。
【0012】到達真空度を3×10-10 Torrとし、MgO(001)基板上に、2×10-9Torr未満の圧力下で厚さ10 AのFe(001)シード層を蒸着法により形成した後、厚さ500 AのAu(001)バッファ層を蒸着法により形成し、次いで500℃でアニールした。各層形成時の基板温度(Ts)は200℃とした。基板としては、MgO(001)の他、GaAs(001)、Si(001)等を用いてもよい。バッファ層としては、Au(001)の他、Pt(001)、Ag(001)等を用いてもよい。バッファ層の厚さは、150〜3000 A程度とすることが好ましい。バッファ層と基板との間に設けられるシード層は結晶成長を促進するためのものであり、特にバッファ層としてAu層を用いる場合には、このシード層を設けることが好ましい。シード層の厚さは、5〜20 A程度とすることが好ましい。シード層には、Feに限らずCrなどを用いてもよい。基板上のシード層およびバッファ層形成時の温度は、室温〜500℃程度とすることが好ましい。
【0013】次いで、バッファ層の上に、前記圧力下で[Fe(1ML)/Au(1ML)]100 多層膜を形成した。基板温度は70℃とした。蒸着装置には、2つの独立した電子銃をもつものを用いた。1MLは単原子層を意味する。Fe(1ML)の厚さは1.4 A、Au(1ML)の厚さは2.0 Aであり、この多層膜は、Fe(1ML)+Au(1ML)を1単位として100単位積層したものである。蒸着レートは0.1 A/min とした。蒸着中にはRHEED(Reflection HighEnergy Electron Diffraction )パターンをモニターし、(001)配向の単原子層が1層づつエピタキシャル成長していることを確認した。
【0014】多層膜形成時の基板温度は、通常、室温〜300℃とすることが好ましい。また、Fe(1ML)+Au(1ML)を1単位としたときの積層単位数は特に限定されないが、通常、10〜300程度とすることが好ましい。なお、多層膜形成時の圧力は、好ましくは1×10-8Torr以下とし、より好ましくは1×10-10 〜3×10-9Torr程度とする。
【0015】図1〜4に示すRHEEDパターンは、図1がAuバッファ層、図2が第1層であるFe層、図3が第2層であるAu層、図4が最上層であるAu層のものである。これらは、すべてAu[110]入射のものである。各図の縞状のパターンから、各膜の表面が原子スケールでかなり平坦であること、Fe単原子層およびAu単原子層が一層づつエピタキシャル成長した膜が形成されたことがわかる。図5に、この多層膜のX線回折チャートを示す。図5中には、一部のピークを拡大して示してある。このX線回折チャートには(001)面配向を示すピークが認められ、しかも他の配向を示すピークは認められない。このことから、原子レベルで規則構造をもつ膜が形成されていることがわかる。
【0016】この多層膜の磁気異方性を、室温でSQUID 磁気メータにより測定した。図6に、この多層膜の、膜面に対して平行(H//)および垂直(H⊥)方向の磁化カーブを示す。この磁化カーブから、この多層膜が大きな垂直磁気異方性を有することがわかる。
【0017】この多層膜の波長(λ)633nmでの磁気光学カー回転角(θk )を、室温で測定した。図7に、磁界強度とカー回転角との関係を示すカーループを示す。同図に示されるように、この多層膜の633nmでの飽和カー回転角は0.25度であった。
【0018】この多層膜の実効的な垂直磁気異方性定数は8.5×106 erg/cm3 であった。この値は、前記文献1および文献2の実効的な垂直磁気異方性エネルギー定数と比較されるものである。したがって、本発明により、前記文献1および文献2に記載の人工格子膜よりも良好な垂直磁気異方性が得られることがわかる。また、この多層膜において、実効的な垂直磁気異方性定数に形状異方性2πMs2 を加えた本質的な垂直磁気異方性定数は、1.1×107 erg/cm3 であった。なお、飽和磁化Msは650emu/ccであった。




 

 


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