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発明の名称 セラミック塗料塗布用可撓性支持体及びセラミック電子部品の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−130152
公開日 平成8年(1996)5月21日
出願番号 特願平6−269139
出願日 平成6年(1994)11月1日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎
発明者 小林 亮 / 石垣 高哉 / 八木 弘 / 角田 栄蔵 / 川崎 薫 / 細萱 隆二
要約 目的
グリーンシートに対し、適度の剥離性と密着性とを与える。

構成
一面側がセラミック塗料塗布面して用いられる帯状の可撓性支持体19である。この可撓性支持体19は、セラミック塗料塗布面に、剥離処理がなされている領域190と、剥離処理がなされていない領域191とを有する。
特許請求の範囲
【請求項1】 一面側がセラミック塗料塗布面して用いられる帯状の可撓性支持体であって、前記セラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域と、剥離処理がなされていない領域とを有する可撓性支持体。
【請求項2】 請求項1に記載された可撓性支持体であって、前記剥離処理がなされていない領域は、幅方向の両側に設けられている可撓性支持体。
【請求項3】 請求項2に記載の可撓性支持体であって、前記剥離処理がなされていない領域の外側に、剥離処理がなされている領域を有する可撓性支持体。
【請求項4】 請求項2に記載の可撓性支持体であって、前記剥離処理がなされていない領域は、マーク形成領域を含み、前記マーク形成領域が着色されている可撓性支持体。
【請求項5】 可撓性支持体上で、セラミック塗料を塗布してグリーンシートを形成するグリーンシート成形工程と、前記グリーンシート上に電極を印刷する印刷工程とを実行する工程を含むセラミック電子部品の製造方法であって、前記可撓性支持体は、請求項1、2、3または4の何れかに記載されたものでなるセラミック電子部品の製造方法。
【請求項6】 請求項5に記載されたセラミック電子部品の製造方法であって、前記グリーンシート成形工程及び前記印刷工程を複数回実行した後、得られた積層グリーンシートを前記可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数の前記積層グリーンシートを積層する工程を含むセラミック電子部品の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミック塗料塗布用可撓性支持体及びそれを用いたセラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンデンサ、圧電部品、正特性サーミスタ、負特性サーミスタまたはバリスタ等のセラミック電子部品を製造する場合、可撓性支持体上に例えばドクターブレード法でセラミック粉、有機バインダー、可塑剤、溶剤等を含むセラミック塗料を塗布してグリーンシートを成形し、その上にパラジウム、銀、ニッケル等の電極をスクリーン印刷により形成する工程を取ることがある。この製造工程において、積層構造を得る場合は、得られたグリーンシートを、所望の積層構造になるように一枚ずつ積層し、プレス切断工程を経てセラミックグリーンチップを得る。このようにして得られたセラミックグリーンチップ中のバインダーをバーンアウトし、1000℃〜1400℃で焼成し、得られた焼成体に銀、銀−パラジウム、ニッケル、銅等の端子電極を形成し、セラミック電子部品を得る。
【0003】別の先行技術として、グリーンシートを可撓性支持体が上になるように熱転写する方法も提案されている(特開昭63−188926号など)。
【0004】更に別の従来技術として、可撓性支持体上で、グリーンシートを形成する工程と、グリーンシート上に電極を印刷する工程とを、必要な積層数だけ繰り返すことにより積層体を得る方法も提案されている。
【0005】上述の製造方法の何れにおいても、成形されたグリーンシートを可撓性性支持体から剥離する工程が伴う。従来は、この剥離工程において、グリーンシートに損傷等を与えることなく、グリーンシートを可撓性支持体から剥離することが困難で、出来上がった製品にショート等の特性不良が多発し、積層歩留りが悪くなるという問題点がある。この問題点は、グリーンシートを薄くした場合に、一層顕著に現れる。例えば、積層セラミックコンデンサの場合、小型化、大容量化の手法として、1層あたりの誘電体層の厚みを薄くし、積層数を多くすることが必要である。このとき、薄いグリーンシートを可撓性支持体からうまく剥離できず、積層歩留りが非常に悪くなる。また、薄いグリーンシートをハンドリングするため、出来上がった製品にショート等の特性不良が多発する。
【0006】剥離性をよくするために、可撓性支持体のセラミック塗料塗布面の全面に、剥離処理を施しておくことが考えられる。しかし、剥離性がよすぎると、今度は逆に、外部から加わるごく僅かの力によって、グリーンシートが、可撓性支持体から剥離したり、破損したグリーンシート片が異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招く。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、グリーンシートに対し、適度の剥離性と密着性とを与えることの可能な可撓性支持体及びこれを用いたセラミック電子部品の製造方法を提供することである。
【0008】本発明のもう一つの課題は、グリーンシートを薄くしても、剥離の困難性や製品の特性不良等を生じる確率を著しく小さくし得る可撓性支持体及びこれを用いたセラミック電子部品の製造方法を提供することである。
【0009】本発明の更にもう一つの課題は、電極に起因する積層間段差を著しく小さくし、信頼性を向上させたセラミック電子部品の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、一面側がセラミック塗料塗布面して用いられる帯状の可撓性支持体であって、セラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域と、剥離処理がなされていない領域を有する。好ましくは、前記剥離処理がなされていない領域は、幅方向の両側に設けられる。更に好ましくは、前記剥離処理がなされていない領域はマーク形成領域を含み、前記マーク形成領域が着色されていることもある。
【0011】本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、可撓性支持体上で、セラミック塗料を塗布してグリーンシートを形成するグリーンシート成形工程と、前記グリーンシート上に電極を印刷する印刷工程とを実行する工程を含む。前記可撓性支持体は、本発明に係る可撓性支持体である。
【0012】本発明に係るセラミック電子部品の製造方法において、グリーンシートと電極とを積層する方法には、2つの方法がある。第1の方法は、グリーンシート成形工程と印刷工程とを可撓性支持体上で繰り返す方法である。第2の方法は、 前記グリーンシート成形工程及び前記印刷工程を複数回実行した後、得られた積層グリーンシートを可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数の前記積層グリーンシートを積層する方法である。
【0013】
【作用】可撓性支持体のセラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域を有するから、可撓性支持体の上に成形されているグリーンシートを可撓性支持体から容易に剥離することができる。
【0014】しかも、セラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域に加えて、剥離処理がなされていない領域を有するから、可撓性支持体に対するグリーンシートの密着性が高くなる。このため、グリーンシートが可撓性支持体から剥離して製版に付着したり、破損したグリーンシート片が異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招くこともない。また、グリーンシートに対するノズル、ブレード等のセラミック塗料塗布手段の接触で、グリーンシートが可撓性支持体から剥離してしまうこともない。
【0015】特に、剥離処理がなされていない領域が可撓性支持体の幅方向の両側にある場合には、可撓性支持体に対し、グリーンシートの幅方向の両端が密着する。このため、可撓性支持体に対するグリーンシートのエッジ密着性が高くなるので、上述した作用が一層促進される。剥離処理がなされていない領域の幅は、通常の製造条件では、0.5〜20mm程度である。
【0016】次に、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、可撓性支持体上で、セラミック塗料を塗布してグリーンシートを形成するグリーンシート成形工程と、グリーンシート上に電極を印刷する印刷工程とを含むから、可撓性支持体の使用量が少なくて済むようになると共に、量産性が向上する。この工程を実行するに当たり、何れかの工程において、グリーンシートを可撓性支持体から剥離する。ここで、本発明に係る可撓性支持体を用いるので、上述した可撓性支持体の利点をそのまま得ることができる。一般的な製造方法であるグリーンシートに内部電極を印刷し、積層する方法においても十分に効果がある。
【0017】上記製造工程において、グリーンシート成形工程と印刷工程とを可撓性支持体上で繰り返す第1の方法を採用した場合、積層工程の途中で、グリーンシートの各々を、可撓性支持体から剥離する必要がないし、ハンドリングする必要もない。また、熱転写工程もない。このため、高精度、高信頼性のセラミック電子部品を簡単に製造することができる。また、電極のある部分と無い部分の段差が、グリーンシートの形成と電極印刷との繰り返しにより吸収され、このため、段差によるクラック等の欠陥が改善される。また、前記工程により、複数層のグリーンシートを、電極とと共に一体化した積層グリーンチップを得ることができるので、従来問題となっていたプレス後のデラミネーションは見られない。
【0018】第1の方法を採用した場合は、最終段階で、積層体を可撓性支持体から剥離することになる。ここで、本発明に係る可撓性支持体を用いるので、上述した利点をそのまま得ることができる。
【0019】グリーンシート成形工程及び印刷工程を、複数回実行した後、グリーンシートを可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数のセラミックグリンシートを積層する第2の方法を採用した場合も、本発明にかかる可撓性支持体を用いることにより、その利点を充分に発揮させることができる。
【0020】しかも、第2の方法の場合は、厚い積層帯の状態で取り扱うことになるので、グリーンシートの単層を可撓性支持体から剥離する必要がないし、ハンドリングする必要もない。また、熱転写工程もない。このため、高精度、高信頼性のセラミック電子部品を簡単に製造することができる。また、電極のある部分と無い部分の段差が、グリーンシートの形成と電極印刷との繰り返しにより吸収され、このため、段差によるクラック等の欠陥は改善される。また、前記工程により、複数層のグリーンシートを、電極とと共に一体化した積層帯を得ることができるので、従来問題となっていたプレス後のデラミネーションは見られない。
【0021】本発明の他の特徴及びそれによる作用効果は、添付図面を参照し、実施例によって更に詳しく説明する。
【0022】
【実施例】図1は本発明にかかる可撓性支持体の横断面図である。本発明にかかる可撓性支持体19は、 一面側がセラミック塗料塗布面して用いられる帯状のフィルムである。可撓性支持体19は、透明、半透明または不透明のプラスチックフィルムによって構成できる。可撓性支持体19のセラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域190と、剥離処理がなされていない領域191とを有する。剥離処理は、可撓性支持体19の1面上に例えばSi等でなる剥離用膜190を薄くコートすることによって実行することができる。
【0023】上述のように、可撓性支持体19のセラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域190を有するから、可撓性支持体19の上に成形されているグリーンシートを可撓性支持体19から容易に剥離することができる。
【0024】しかも、セラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域190に加えて、剥離処理がなされていない領域191を有するから、可撓性支持体19に対するグリーンシートの密着性が高くなる。このため、印刷時にグリーンシートが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、破損したグリーンシート片が異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招くこともない。また、グリーンシートに対するノズル、ブレード等のセラミック塗料塗布手段の接触で、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離してしまうこともない。剥離用膜190が可撓性支持体19の全面に設けられている場合、グリーンシートのエッジが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、破損したエッジが積層時に異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招く恐れがある。また、グリーンシートに対する僅かなノズルまたはドクターブレード等のセラミック塗料塗布手段の接触で、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離してしまうこともある。可撓性支持体19に剥離処理がなされていない領域191が生じるように、剥離用膜190を形成すると、可撓性支持体19に対するグリーンシートのエッジ密着性が高くなるので、上述した問題点を回避できる。この点については、後で、更に詳しく説明する。
【0025】図1の実施例では、剥離処理がなされていない領域191が可撓性支持体19の幅方向の両側にあるから、可撓性支持体19に対するグリーンシートのエッジ密着性が高くなり、上述した作用が一層促進される。剥離処理がなされていない領域191の幅は、通常の製造条件では、0.5〜20mm程度である。
【0026】図2は本発明に係る可撓性支持体の別の実施例を示す断面図である。この実施例では、剥離処理がなされていない領域191が可撓性支持体19の幅方向の両側にあって、剥離処理がなされていない領域191が、マーク形成領域192を含んでいる。マーク形成領域192は着色されている。マーク形成領域192は、可撓性支持体19に対してコントラストをなす色の塗料等を、可撓性支持体19の長さ方向に沿って条状に付着させることによって形成することができる。このマーク形成領域192の役割は、後で述べる画像処理において、ターゲットマーク及びチッチマークを的確に検知できるようにすることにある。
【0027】図3は本発明に係る可撓性支持体19の別の実施例を示す横断面図である。この実施例では、可撓性支持体19の幅方向の両側に、剥離処理がなされていない領域191を設けると共に、この剥離処理がなされていない領域191の外側に、剥離処理がなされている領域190を有する。
【0028】次に、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法について説明する。図4は本発明に係る製造方法によって製造されるセラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサの断面図を示す。図4において、1は積層セラミックコンデンサ、2は誘電体層、3は電極、4は端子電極である。図5は本発明に係る製造方法により積層セラミックコンデンサを製造する場合の製造フローチャート、図6は本発明に係る製造方法の別の例を示す製造フローチャートである。
【0029】図5の製造フローチャートにおいて、誘電体材料でなるセラミック粉体を塗料化しておき、塗料化されたセラミック塗料を可撓性支持体上で塗布し、グリーンシートを形成する。可撓性支持体は、図1〜図3に図示したような本発明に係る可撓性支持体である。セラミック粉体は得ようとするセラミック電子部品に応じて選択される。
【0030】次に、グリーンシートを乾燥させた後、グリーンシート上に電極を印刷する。電極印刷が終了した後、乾燥工程に付される。以上の工程の内、グリーンシート成形工程から画像処理による電極印刷工程を経て乾燥に至る工程を、必要な設定積層数に達するまで、可撓性支持体上で繰り返す。設定積層数に到達したとき、最上層に位置する電極及びそれを支持するセラミックグリーンシトの表面に、保護層となるグリーンシートを成形する。この後、積層体を可撓性支持体から剥離し、電極及びグリーンシートの積層体を切断して、積層セラミックコンデンサを取り出し、更に、焼成、端部電極付与等の必要な工程を経て、積層セラミックコンデンサの完成品が得られる。
【0031】図5に示した製造方法によると、可撓性支持体上で、セラミック塗料を塗布してグリーンシートを形成するグリーンシート成形工程と、グリーンシート上に電極を印刷する印刷工程とを含むから、可撓性支持体の使用量が少なくて済むようになると共に、量産性が向上する。
【0032】また、可撓性支持体19のセラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域190を有するから、剥離工程において、可撓性支持体19の上に成形されているグリーンシートを可撓性支持体19から容易に剥離することができる。
【0033】しかも、セラミック塗料塗布面は、剥離処理がなされている領域190に加えて、剥離処理がなされていない領域191を有するから、可撓性支持体19に対するグリーンシートの密着性が高くなる。このため、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、破損したグリーンシート片が異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招くこともない。また、グリーンシートに対するノズル、ブレード等のセラミック塗料塗布手段の接触で、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離してしまうこともない。剥離用膜190が可撓性支持体19の全面に設けられている場合、グリーンシートのエッジが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、破損したエッジが積層時に異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招く恐れがある。また、グリーンシートに対する僅かなノズルまたはドクターブレード等のセラミック塗料塗布手段のの接触で、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離してしまうこともある。可撓性支持体19に剥離処理がなされていない領域191が生じるように、剥離用膜190を形成すると、可撓性支持体19に対するグリーンシートのエッジ密着性が高くなるので、上述した問題点を回避できる。また、電極のある部分と無い部分の段差が、グリーンシートの形成と電極印刷との繰り返しにより吸収され、このため、段差によるクラック等の欠陥が改善される。また、複数層のグリーンシートを、電極と共に一体化した積層グリーンチップを得ることができるので、従来問題となっていたプレス後のデラミネーションは見られない。
【0034】電極印刷工程では、画像処理によって電極を印刷する。印刷工程より前、または、第1回目の印刷工程と同時に、可撓性支持体上に画像処理用の第1のターゲットマークを形成し、第1のターゲットマークの画像処理によって得られた情報に基づいて電極の印刷位置決めを行なう。これにより、第1のターゲットマークを基準とした所定の位置に、電極を高精度で形成することができる。したがって、複雑な電極積層構造であっても、精度よく、短時間で形成することができる。
【0035】図6に示す製造フローチャートにおいて、図5に示した製造フローチャートと異なる点は、グリーンシート成形工程及び印刷工程を複数回実行し、設定積層数に達した後、得られた積層グリーンシートを可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数の積層グリーンシートを積層することである。このようにして積層した後、プレスし、更に切断工程、焼成工程及び端部電極付与工程等の必要な工程をへて、積層セラミックコンデンサの完成品が得られる。
【0036】ここで、本発明にかかる可撓性支持体を用いるから、セラミック塗料の塗布及びグリーンシートの剥離に関しては、図5の製造フローチャートに従う場合と同様の作用を得ることができる。
【0037】図6に示す製造方法による場合、印刷工程は、グリーンシート上に第2のターゲットマークを印刷する工程を含んでおり、第2のターゲットマークの画像処理によって得られた情報に基づいて、積層グリーンシートの積層を行なう。これにより、複数のグリーンシート積層帯を、互いの電極が、第2のターゲットマークを基準とした所定の位置関係となるように、高精度で位置決めし、積層することができる。保護層は別途シート成形し、積層機により積層する。
【0038】次により具体的な実施例を参照して、更に詳しく説明する。
【0039】<誘電体の塗料化>粒径が0.1μm〜1.0μm程度のチタン酸バリウム、酸化クロム、酸化イットリウム、炭酸マンガン、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化硅素等の粉末を焼成した後、BaTiO3 100モル%として、Cr23に換算して0.3モル%、MnOに換算して0.4モル%、BaOに換算して2.4モル%、CaOに換算して1.6モル%、SiO2に換算して4モル%、Y23に換算して0.1モル%の組成になるように混合し、ボールミルにより24時間混合し、乾燥後誘電体原料を得た。この誘電体原料100重量部とアクリル樹脂5重量部、塩化メチレン40重量部、アセトン25重量部、ミネラルスピリット6重量部を配合し、市販のφ10mmジルコニアビーズを用い、ポット架台により24時間混合し、誘電体セラミック塗料を得た。
【0040】<グリーンシート成形>上述のようにして得られた誘電体セラミック塗料を、連続的に供給される帯状可撓性支持体に塗布し、グリーンシートを成形する。第1回目のグリーンシート成形工程は、図5に示された製造フローチャートに従う場合は可撓性支持体上に保護膜を形成する工程であり、図6に示された製造フローチャートに従う場合は保護膜となることを予定しないグリーンシートを形成する工程である。可撓性支持体は図1〜図3に記載された何れかを用いる。保護膜は、図4の積層セラミックコンデンサの場合、最上層または最下層の何れかを構成する外装となる。
【0041】図7はグリーンシート成形工程を示す図である。押し出し式塗布ヘッド10は、セラミック塗料17aを、可撓性支持体19に塗布する。11は繰り出しリール、121〜127は案内ローラ、161、162は蛇行修正ローラ、14は乾燥炉、17は巻き取りリールである。グリーンシート面を均一にするため、サクションローラ151ー152間でテンションをコントロールし、塗布ヘッド10の追い込み寸法、ノズル角度を制御する。
【0042】図8は上述のようにして塗布されたグリーンシート43を有する可撓性支持体19の平面図、図9は図1に示した可撓性支持体を用いてグリーンシート43を形成した場合の断面図、図10は図2に示した可撓性支持体を用いてグリーンシートを形成した場合の断面図を、それぞれ示している。可撓性支持体19は、図1〜図3に図示したように、セラミック塗料塗布面に、剥離処理がなされている領域190と、剥離処理がなされていない領域191とを有する。剥離処理は、可撓性支持体19の1面上に例えばSi等でなる剥離用膜190を薄くコートすることによって実行することができる。このような剥離処理を施しておくことにより、必要層数の積層工程が終了した後、可撓性支持体19の上に成形されている最下層のグリーンシート43を可撓性支持体19から容易に剥離することができる。
【0043】剥離用膜190は、図9に示すように、可撓性支持体19の全面に設けるのではなく、可撓性支持体19の幅方向の両側に剥離処理がなされていない領域191が生じるように形成する。図9に示された可撓性支持体19の利点は、既に、図1〜図3でされている。即ち、剥離用膜190が可撓性支持体19の全面に設けられている場合、次に述べる内部電極印刷工程において、グリーンシート43のエッジが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、破損したエッジが積層時に異物として積層界面に介在し、構造欠陥を招く恐れがある。また、グリーンシート43に対する僅かなノズル10の接触で、グリーンシート43が可撓性支持体19から剥離してしまうこともある。これに対して、図9に示すように、可撓性支持体19の幅方向の両側に剥離処理がなされていない領域191が生じるように、剥離用膜190を形成すると、可撓性支持体19に対するグリーンシート43のエッジ密着性が高くなるので、上述した問題点を回避できる。剥離処理がなされていない領域191の幅は、通常の製造条件では、0.5〜20mm程度であり、剥離処理がなされた領域190よりも充分に小さい。
【0044】図10において、剥離処理がなされていない領域191が可撓性支持体19の幅方向の両側にあって、この領域191内にマーク形成領域192が形成されている。グリーンシート43は、幅方向の端縁が、剥離用膜190とマーク形成領域192との間に位置するように塗布されている。
【0045】図示実施例のように、押し出し式塗布ヘッド10を用いると、非常に面精度がよく、かつ、厚みバラツキの少ない均一なグリーンシートを得ることができる。第1回目の保護膜となるグリーンシートの成形は、押し出し式塗布ヘッドの代わりに、従来のドクターブレード法やリバースロール法を用いてもよい。さらに、数回繰り返して所望の厚みにしても構わない。フィルタ8は最終的に異物を除去するために設置する。
【0046】図11に押し出し式塗布ヘッド10の形状を示す。46はセラミック塗料排出用スリット、47は上流側ノズル、48は下流側ノズル、49はセラミック塗料だまり、53はセラミック塗料だまりへの供給口である。このような押し出し式塗布ヘッドは公知である。
【0047】図11に示したような押し出し式塗布ヘッド10を用いた場合、定量ポンプ6、精密定量ギヤポンプ7を使用し、フィルタ8、質量流量計9を通して塗布ヘッド10にセラミック塗料17aを供給することが望ましい。図12は図9に示した押し出し式塗布ヘッド10を用いて、可撓性支持体19上にグリーンシート43を成形する状態を示しており、高度の面精度を持ち、厚みバラツキの極めて小さなグリーンシート43を得ることができる。図11において、参照符号F1は可撓性支持体19の走行方向を示している。
【0048】図13に塗布ヘッド10の別の例を示してある。図13に示すノズルは複数のノズル461、462を有する複数系列ノズルを有する。491、492はセラミック塗料だまり、531、532はセラミック塗料だまり491、492への供給口である。この塗布ヘッド10を用いた場合、図12に示すように、セラミック塗料だまり491に貯留されたセラミック塗料431がスリット461を通して可撓性支持体19に塗布された後、塗布されたセラミック塗料層431の上にスリット462を通してもう一層のセラミック塗料層432が塗布される。これにより、ピンホールの発生が抑制される。
【0049】次に、スジのないグリーンシート43を得るためには粘度の低いセラミック塗料を使用することが望ましい。押し出し式塗布ヘッド10はこのように粘度の低いセラミック塗料のグリーンシート成形に向いている。これは、粘度の低いセラミック塗料は、乾燥縮率が大きいため、同一乾燥後厚みを得るのに、供給量を多くでき、塗布ヘッド10の先端と可撓性支持体19(またはグリーンシート)との間のギャップを大きくとり、塗布ヘッド10によるスジの発生を回避できるためである。
【0050】押し出し式塗布ヘッド10は、前述したように、スジの入らない均一なグリーンシートを形成できるほかに、特筆すべき利点がある。それは、一度形成したグリーンシート43の上に再度グリーンシートを形成するのに非常に有効であるということである。ドクターブレード法においては、ドクターブレードのヘッドのエッジ側が常に可撓性支持体19に接触しているため、第1回目のグリーンシート成形時には問題ないが、第2回目以降のグリーンシート成形時にどうしても第1のグリーンシート43のエッジ側の乾燥面が接触する。このため第1のグリーンシート43のエッジ側が削れるという問題がある。また、積層数が増えるにつれて、トータル厚みが厚くなるため、ブレードの上流側に接触してしまい、最終的には剥離してしまう。
【0051】その点、押し出し式塗布ヘッド10においては、予め形成していたグリーンシート43の面上に、次のグリーンシート43を成形する際、予め形成していたグリーンシート43の面に押し出し式塗布ヘッド10が接触することがなく、削れのない良好なグリーンシート43を得ることができる。
【0052】グリーンシート43の成形後、可撓性支持体19は乾燥炉14を経て乾燥され、巻き取りリール17に巻き取られる(図7参照)。
【0053】<ターゲットマーク形成>次に、電極印刷の前に、図8〜10に示したように、グリーンシート43を有する可撓性支持体19上に画像処理用の第1のターゲットマークa1,b1,c1,d1及びピッチマークe1を形成する。可撓性支持体19が図1に示したような構造である場合は、図9に示すように、第1のターゲットマークa1〜d1及びピッチマークe1は、グリーンシート43が塗布されている面側であって、可撓性支持体19の幅方向の端部にある剥離処理をしていない領域191内に形成する。可撓性支持体19が図2に示したような構造である場合は、図10に示すように、第1のターゲットマークa1〜d1及びピッチマークe1は、剥離処理をしていない領域191内に設けられたマーク形成領域192の上に形成する。第1のターゲットマークa1〜d1及びピッチマークe1は、スクリーン印刷またはインクジェット印刷によって形成されたマークまたはスルホールなど、画像処理できるマークであればよく、印刷面は可撓性支持体19の表裏どちらの面でもよい。また、第1のターゲットマークa1〜d1及びピッチマークe1の形成タイミングは、画像処理による電極印刷を行なう以前であればいつでもよく、最初の電極形成と同時であっても構わない。第1のターゲットマークa1〜d1を形成する好ましいタイミングは、可撓性支持体用原反をスリッタで切断する前である。可撓性支持体用原反をスリッタで切断する前に第1のターゲットマークa1〜d1を形成してあれば、スリッタで原反を所定幅に切断する際、第1のターゲットマークa1〜d1を基準にして切断することができる。第1のターゲットマークa1〜d1は可撓性支持体19とのコントラストが明瞭な色で、かつ、円形が望ましい。
【0054】<画像処理による電極印刷>次に、可撓性支持体19を巻き取った巻き取りリール17を用いて、可撓性支持体19上のグリーンシート43に電極を印刷する。電極の印刷に当たり、第1のターゲットマークa1〜d1の画像処理によって得られた情報に基づいて電極の印刷位置決めを行なう。図15は電極印刷に用いられる画像処理装置付き印刷機(以下、画像処理印刷機と称す)の構成を概略的に示す図である。グリーンシート43を成形してある可撓性支持体19は、供給ロール21から引き出され、案内ローラ22を通り、x−y−θ−zテーブル25に導かれる。参照符号23は案内ローラ22を支持する支持体、参照符号24は支持台である。
【0055】テーブル25にはカメラ26a,26b,26c,26dが設けられており、このカメラ26a〜26dにより第1のターゲットマークa1〜d1を読み取り、その読み取り情報に基づいて電極の印刷位置決めを行なう。電極の印刷位置決めはx−y−θ−zテーブル25によって行なう。電極は製版台28に備えられた製版27によって印刷される。x−y−θ−zテーブル25は真空吸着面となっており、図16のように、4隅にカメラ26a〜26dがガラス56a,56b,56c,56dを介して埋め込まれている。カメラ26a〜26dは上向きに配置されており、カメラ26a〜26dの上側を可撓性支持体19が通るような配置となっている。このような構造であると、x−y−θ−zテーブル25の上で上下動する製版27による影響を受けることなく、カメラ26a〜26dによる画像処理を実行できるという極めて優れた効果を得ることができる。x−y−θ−zテーブル25は真空吸着面を有し、グリーンシート43の成形された可撓性支持体19は、真空吸着面に真空吸着されるから、x−y−θ−zテーブル25が補正動作によって駆動された場合でも、可撓性支持体19はx−y−θ−zテーブル25と一体に駆動され、位置ずれを生じることがない。図15に示すように、カメラ26a〜26dは上向きに配置されており、カメラ26a〜26dの上側を可撓性支持体19が通るような配置となっている場合、可撓性支持体19は透明なプラスチックフィルムで構成する。これにより、可撓性支持体19の下面側から可撓性支持体19を通して、上面側に設けられた第1のターゲットマークa1〜d1を、カメラ26a〜26によって読み取ることができる。特に、図10に示すように、第1のターゲットマークa1〜d1が、剥離処理をしていない領域191内に設けられたマーク形成領域192の上に形成されており、このマーク形成領域192が着色されている場合には、その着色を背景としてその面内に第1のターゲットマークa1〜d1が位置することになるので、第1のターゲットマークa1〜d1を、カメラ26a〜26dによって確実に読み取ることができるようになる。特に、第1のターゲットマークa1〜d1の色とマーク形成領域192の色とがコントラストをなす場合には、カメラ26a〜26dによる第1のターゲットマークa1〜d1の検知が一層確実に行なわれるようになる。
【0056】カメラ26a〜26dにより第1のターゲットマークa1〜d1の座標(x,y)を読み取られたデータに基づき、図示しないコンピュータシステムによりデータ処理を行ない、x−y−θ−zテーブル25を制御し、θ方向、x方向及びy方向にそれぞれ必要なだけ移動させる。
【0057】図17は上述の電極印刷工程によって得られた電極パターン44を示し、図18は図17の側面図を示している。電極パターン44を構成する各電極は、適当な電極材料、例えばニッケル、銅等を主成分とする電極材料によって構成されている。電極パターン44は個々の電極が横方向及び縦方向に間隔を隔てて配列されている。実施例において各電極は横方向にm行となるようにまた、縦方向には奇数行列においては6行、各偶数列には5行となっている。電極に付された参照番号のうち1桁目は当該電極の属する列を示し、2桁目は同じく属する行を示している。行数及び列数は任意である。上記電極のうち、横方向に隣り合う電極列、例えば第1列に属する電極211〜261と、第2列に属する電極212〜252では対応する個々の電極(211と212)〜(261と262)が縦方向に所定寸法Lだけ異なるように配列してある。寸法Lは電極間ピッチ2Lの1/2が適当である。ただし、電極パターンは、x−y−θ−zテーブル25により所望のパターンに移動できるため、図示のパターンである必要はない。例えば、各列の電極が同一の配列を繰り返すパターンでもあってもよい。
【0058】印刷工程において、電極パターン44とともに、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2及びピッチマークe2を印刷する。電極パターン44とともに、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2及びピッチマークe2を印刷することにより、図3に示したように、グリーンシート成形工程及び印刷工程を、複数回実行した後、得られた積層グリーンシートを可撓性支持体から剥離し、次に、剥離して得られた複数の積層グリーンシートを積層する工程をとる場合は、互いの電極パターン44が、第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2を基準とした所定の位置関係となるように、高精度で位置決めし、積層することができる。また、図4に示した第1の方法による場合は、製版を交換した時に、電極パターン44と同時に印刷形成される第2のターゲットマークa2,b2,c2,d2に対する第1のターゲットマークa1,b1,c1,d1の位置関係を見ることにより、第1のターゲットマークa1,b1,c1,d1と電極パターン44との相対位置が分かり、画像処理を行なうことができる。
【0059】<画像処理による位置合わせ>次に、x−y−θ−zテーブル25による位置決め及び位置合わせの詳細について説明する。図18はx−y−θ−zテーブル25に対する4台のカメラ26a〜26dの位置関係を示す図である。カメラ26a〜26dは、前述した可撓性支持体19上の第1のターゲットマークa1〜d1の位置に対応する4点に配置されている。カメラ26a〜26dの配置位置は設計上定まっているが、実際には配置誤差等があるため、そのままでは座標の読み取り誤差を生じる。これを補正する手段として、当該製造プロセスを稼働する前に、x−y−θ−zテーブル25の下に位置するカメラ26a〜26dの一つ、たとえばカメラ26aを基準として、その中心点を原点(0、0)と定める。次に、x−y−θ−zテーブル25をx軸方向に移動させ、原点(0、0)に対応する位置が、 カメラ26bの中心点に到達した時の座標(Xb,Yb)を読み取る。これによりカメラ26aの中心点を原点(0、0)としたときのカメラ26bの位置が座標(Xb,Yb)として表されたことになる。ほかのカメラ26c,26d についても同様にして、座標(Xc,Yc),(Xd,Yd)を求める。上記の初期補正は、ディスプレイ上の画像処理を併用して行なう。このように各カメラ26a〜26dの座標決定において、精度の高いx−y−θ−zテーブル25を駆動して行なうので、座標の読み取り誤差が極めて小さくなる。参照符号O0はカメラ26a〜26dの位置を表す座標(0、0)〜(Xd、Yd)から計算された中点である。
【0060】第1のターゲットマークa1〜d1の印刷位置は、殆ど位置ずれがないとしても、可撓性支持体19は搬送されているので、テーブル25の平面内で角度θで回転したり、X軸またはY軸の方向に位置ずれを起していることが多い。この位置ずれを補正して、電極パターン44を高精度で印刷する。その手段として、上記初期補正の終えたカメラ26a〜26dを使用し、x−y−θ−zテーブル25上に真空吸着されている可撓性支持体19の第1のターゲットマークa1〜d1の座標を、第19図に示すように読み取る。カメラ26a〜26dによる読み取り値は初期補正によって設定された座標(Xb〜Yb)〜(Xd〜Yd) を加味した座標に変換する。こうしてカメラ26aによって得られた第1のターゲットマークaの座標を(X1,Y1)、カメラ26bによって得られた第1のターゲットマークbの座標を(X2,Y2)、カメラ26cによって得られた座標を(X3,Y3)、カメラ26dによって得られた座標を(X4,Y4)とする。
【0061】得られた座標(X1,Y1)〜(X4,Y4)のデータから、図20に示すように、第1のターゲットマークa1〜d1によって囲まれた四辺形の最中点O1を求める。最中点O1は、対向2辺の中点(イ)、及び(ロ)を結ぶ線分L1の中点として求められる。この最中点O1が印刷時の位置合わせのための原点となる。そして線分L1に対し最中点O1を通る垂線L2を求める。垂線L2は通常、x−y−θ−zテーブル25のY軸に対して角度θを有する。最中点O1及び角度θの算出は、カメラ26a〜26dから図示しないコンピュータシステムに入力されるデータに基づいて、コンピュータシステムが行なう。そして、コンピュータシステムから与えられる制御信号に基づいて、x−y−θ−zテーブル25がθ=0になるように、矢印の方向に回転駆動され、これにより、角度θが補正される。x−y−θ−zテーブル25は、コンピュータシステムからの制御信号に基づき、更にX軸方向及びY軸方向に駆動され、X軸方向及びY軸方向の位置合わせが行なわれ、位置合わせが完了する。図21は角度θの補正が行なわれた後の状態を示し、図22はX軸方向の位置合わせが行なわれ後の状態を示し、図23はY軸方向の位置合わせが行なわれた後の状態を示している。但し、実際の位置合わせ動作は、角度θを補正しながら、最中点O1を、カメラ26a〜26dの中点O0に合わせるような動作になる。
【0062】ここでは、精度を上げるため、カメラ26a〜26d及び補正用カメラ29a〜29dを各4個使用しているが、第1のターゲットマーク2個、カメラ2個でも2点間の中点を出し、その2点間のずれ角度θを出し、コンピューターで処理することにより充分画像処理印刷は可能である。x−y−θ−zテーブル25は真空吸着面なっているため、x方向、y方向、θ方向にそれぞれ正確に移動することができる。このように画像処理を行なった後、可撓性支持体背面に接触するように任意の距離だけ、x−y−θ−zテーブル25がz方向に移動され、スクリーン印刷が行なわれる。
【0063】印刷後、可撓性支持体19は定尺送り装置29(図15参照)により一定寸法だけ移動され、引き続き、補正用のカメラ30a〜30dのある位置に送られる。定尺送り装置29は、可撓性支持体19の接する面が真空吸着面となっており、従って、可撓性支持体19の背面が定尺送り装置29の真空吸着面に吸着固定される。そして、ピッチマークe1をセンサ(カメラ)によって読み取ると共に、次のピッチマークe1がセンサによって読み取られるまで、可撓性支持体19に定尺送りを加える。このように、隣接するピッチマークe1とピッチマークe1との間の間隔分の定尺送りが加えられるので、第1のターゲットマークa1〜d2が搬送ずれによってカメラ30a〜30dの視野からはずれる等の不具合を生じることがない。しかも、定尺送り装置29は、可撓性支持体19の接する面が真空吸着面となっているから、定尺送りの動作中に可撓性支持体19が定尺送り装置29上で位置ずれを起すことがない。
【0064】カメラ30a〜30dは、ステーションは異なるものの、位置関係はカメラ26a〜26dと同じである。ここで、パターン製版の取付け時の位置ずれは、第1のターゲットマークと、第2のターゲットマークとの間のずれを、上記の画像処理と同じ方法で座標を読み取ることにより測定でき、図示しないコンピューターシステムにより、データ処理を行なって必要な補正量を算出し、x−y−θ−zテーブル25の制御システムにデータをフィードバックし、x−y−θ−zテーブル25を駆動し、位置補正をおこなう。上記説明では、4台のカメラ30a〜30dを使用する場合について説明したが、8台のカメラを用い、この8台のカメラによって、第1のターゲットマークa1〜d1及び第2のターゲットマークa2〜d2を同時に読み取る構成であってもよい。第1のターゲットマークa1〜d1と第2のターゲットマークa2〜d2との位置関係は、予め、第1のターゲットマークa1〜d1を印刷した標準版(例えばガラス標準版)を用いることによって明確化できる。
【0065】このようにして得られた電極の形成されたグリーンシート19を透過光目視検査台31、案内ローラ32をへて、ローラ33ー34間で回っているベルトコンベア36に乗せ、乾燥炉35で、例えば60℃にて乾燥した後、案内ローラ37及びカッタ38の間を通り、巻取り巻き取りローラ39で巻き取る。
【0066】<設定積層数を得る工程>a.図5の製造フローチャートに従う場合上述のようにして、電極を印刷したグリーンシートを、図7に示したグリーンシート成形工程に付し、再度、繰り出しローラ11に取付け、蛇行修正ローラ161、162を通して、第1のグリーンシート成形と同じように、所望のグリーンシート厚みになるように制御し、グリーンシート成形を行ない、次に、図15に示す画像処理印刷機による画像処理に基づいて、電極を印刷する工程を、必要とする積層数だけ繰り返す。
【0067】図24及び図25は第2回目以降の電極印刷工程における電極印刷位置を示す図で、第1回目の電極に対して、一列だけ位置をずらして印刷する。電極パターンが変化した場合は、電極パターンに対応して、x−y−θ−zテーブル25をx方向、y方向またはθ方向に制御し、必要な電極パターンの重なりが得られるように制御する。例えば、図27に示すように、電極パターン44が同一電極列を間隔を隔てて配置したパターンを有する場合は、第1回目の電極パターンに対して、第2回目の電極パターン44を可撓性支持体19の幅方向に移動させる。x−y−θ−zテーブル25はx方向、y方向、θ方向に任意に移動できるため、カメラ26a〜26dで得られた第1のターゲットマークa1〜d1の位置情報をコンピュターシステムに入力し、コンピュターシステムによって、必要な電極パターンの重なりとなるように、x−y−θ−zテーブル25を制御することができる。この2回目以降のグリーンシート成形と、画像処理印刷を所望の積層数まで繰り返す。そして、最終的に、第2の保護層56Bを、例えば160μmの厚みとなるように形成する。
【0068】次に、最終積層体を透過光目視検査台31、案内ローラ32をへて、ローラ33ー34間で回っているベルトコンベア36に乗せ、乾燥炉35で乾燥した後、案内ローラ37及びカッタ38の間に導き、カッタ38によって最終積層体の幅方向の両端に切断加工を施した後、積層グリーンシートを可撓性支持体19から剥離する。図27はカッタ38による切断工程を示す図であり、矢印r1の方向に回転するカッタ38によって最終積層体の幅方向の両端を切断する。カッタ38は刃先が剥離用膜190にかかるように、グリーンシート43及び電極54からなる積層グリーンシートを切断する。その後、、グリーンシート43及び電極54からなる積層グリーンシートを可撓性支持体19から剥離し、巻取り巻き取りローラ39で巻き取る。積層グリーンシートがカッタ38によって切断された後は、積層グリーンシートは剥離用膜190によって可撓性支持体19の上に支持されているだけであるから、積層グリーンシートは可撓性性支持体19から極めてスムーズに剥離される。残った可撓性支持体19も図示しない巻き取りローラで巻き取る。図28は剥離して得られた積層体の断面図を示している。
【0069】b.図6に示した製造フローチャートに従う場合図6に示した製造フローチャートに従う場合は、次に、グリーンシート成形工程及び印刷工程をQ回実行した後、得られた積層グリーンシート561〜56Qを可撓性支持体から剥離する。剥離に当たっては、図29に示すように、カッタ38によって積層グリーンシートの幅方向の両端に切断加工を施した後、積層グリーンシートを可撓性支持体19から剥離する。積層グリーンシートがカッタ38によって切断された後は、積層グリーンシートは剥離用膜190によって可撓性支持体19の上に支持されているだけであるから、積層グリーンシートは可撓性性支持体19から極めてスムーズに剥離される。図30は剥離して得られた積層グリーンシートの断面図を示している。
【0070】次に、図31に示すように、別途シート成形された第1の保護層上に、剥離して得られた複数の積層グリーンシートを積層する。そして、最終的に、第2の保護層56Bを、例えば160μmの厚みとなるように形成する。図32にその具体例を示す。
【0071】<設定積層数を得た後の工程>上述のようにして得られた積層グリーンシートを打ち抜き後プレスし、切断することにより、図23に示す積層グリーンチップが得られる。得られた積層グリーンチップを、所定の温度条件で脱バインダ処理した後、焼成し、更に、端子電極を焼き付け形成する。
【0072】脱バインダ及び焼成の条件は従来より周知である。例えば、280℃で12時間脱バインダし、還元雰囲気中で1300℃にて2時間焼成する。焼成後得られた積層体に端子電極4(図1参照)を形成する。端子電極4の材質及び形成方法も従来よりよく知られている。例えば、銅を主成分とし、N2+H2中で800℃にて30分焼き付けし、めっきを行なう。
【0073】<特性の評価1:可撓性支持体>可撓性支持体19の剥離処理に関する特性評価を表1に示す。表1において、全幅剥離処理とは、可撓性支持体のセラミック塗料塗布面の全面に剥離処理を施したもの、幅規制剥離処理とは図1及び図2に図示されているように、可撓性支持体のセラミック塗料塗布面が、剥離処理がなされている領域190と、剥離処理がなされていない領域191とを有する場合である。表1に示すように、75回の繰り返し走行(1000m/回)において、全幅剥離処理の場合、剥離頻度は5回であったが、幅規制剥離処理の場合は剥離頻度が0回であった。これは前述したように、剥離用膜190が可撓性支持体19の全面に設けられている全幅剥離処理の場合、グリーンシートのエッジが可撓性支持体19から剥離して製版に付着したり、グリーンシートに対する僅かなノズルまたはドクターブレード等のセラミック塗料塗布手段の接触により、グリーンシートが可撓性支持体19から剥離してしまうことがあるのに対し、可撓性支持体19に剥離処理がなされていない領域191が生じるように、剥離用膜190を形成した幅規制剥離処理の場合、可撓性支持体19に対するグリーンシートのエッジ密着性が高くなるためと推測される。
【0074】<特性の評価2:主として画像処理による位置合わせ>次に、上述の製造方法によって得られた積層セラミックコンデンサと、従来の製造方法によって得られた積層セラミックコンデンサの特性評価を、表2に示す。表2において、試料No.1〜3は図4の製造工程を経て得られた積層セラミックコンデンサ、試料No.6は図5の製造工程を経て得られた積層セラミックコンデンサ、試料No.4及び5は従来の製造方法によって得られた積層セラミックコンデンサである。
【0075】試料No.1はグリーンシート厚み8.0μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数75層である。試料No.2はグリーンシート厚み2.5μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5μm、積層数75層である。試料No.3はグリーンシート厚み2.5μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5μm、積層数150層である。
【0076】試料No.4はグリーンシート厚み8.0μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数75層である。
【0077】試料No.5はグリーンシート厚み2.5μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み1.5μm、積層数150層である。但し、試料No.5は2.5μmという薄いグリーンシートの厚みのために、積層セラミックコンデンサとして必要な特性を得ることができる程度に積層することができなかった(積層不可)。
【0078】試料No.6はグリーンシート厚み8.0μm、焼成後の誘電体層2の一層の厚み5μm、積層数75層である。試料No.1〜6を通して、外形寸法は、3.2mmx1.6mmに固定した。厚み寸法は積層数及び一層当たりの誘電体層の厚みによって異なる。
【0079】この積層セラミックコンデンサに対し、ピンホール数(個/10m)静電容量、誘電体損失、絶縁抵抗、破壊電圧、ショート不良率、印刷ずれ及び歩留の評価試験を行なった。表2はその評価結果を示している。試料No.1〜6のそれぞれにおいて、試験に供されたサンプル数は30,000個である。
【0080】表2に記載された評価試験結果について、本発明に係る製造方法と、従来技術とを対比するに当たり、同じグリーンシート数及び同じ積層数を有する試料間で行なうこととする。具体的には試料No.1、6と試料No.4との対比、試料No.2、3と試料No.5との対比である。
【0081】a.静電容量、誘電体損失ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザーHP−4284Aで20℃にて測定した。静電容量は、試料No.4では0.91μFであるのに対し、試料No.1では1.01μF、試料No.6では1.03μFであり、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.4よりも大きな静電容量を取得できる。
【0082】試料No.2、3と、試料No.5との比較では、試料No.5はグリーンシートの厚み2.5μmでは積層不可であるのに対し、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.2、3は、2.5μmという薄いグリーンシートを用いて、3.3μF、6.63μFの静電容量を取得できる。
【0083】tanδ(%)に関しては、試料No.4では1.88(%)であるのに対し、試料No.1では1.86(%)、試料No.6では1.85(%)であり、試料No.1、6は試料No.4よりも、誘電体損失が小さくなっている。試料No.2、3は、2.5μmという極めて薄いグリーンシトを用いても、1.87(%)及び1.96(%)の誘電体損失にとどまる。
【0084】b.絶縁抵抗及びショート不良率ヒューレットパッカード社製高抵抗計HP−4329Aで20℃にて10V印加し、30秒後測定した。絶縁抵抗が1000Ω以下のものをショート不良とし、各試料No.1〜6のそれぞれにおいて、試験に供されたサンプル数に対するショート不良発生数の割合をショート不良率として表示した。
【0085】絶縁抵抗は、試料No.4では1.7×109Ωであるのに対し、試料No.1では2.0×109Ω、試料No.6では3.1×109Ωであり、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.4よりも大きな絶縁抵抗を取得できる。また、試料No.2、3でも7.1×108Ω、4.6×108Ωの絶縁抵抗を確保できる。
【0086】ショート不良率は、試料No.4では33.2(%)であるのに対し、試料No.1では0.7(%)、試料No.6では0.4(%)であり、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.4よりもショート不良率が著しく小さくなっている。また、試料No.2、3でも0.8(%)、1.0(%)のショート不良率に納まっている。
【0087】c.破壊電圧破壊電圧の評価は、自動昇圧試験機にて測定した。破壊電圧は、試料No.4では150(v)であるのに対し、試料No.1、6では230(v)であり、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.4よりも大きな破壊電圧を確保できる。また、グリーンシート厚みが2.5μm(乾燥後厚み1.5μm)と非常に薄い試料No.2、3でも90(v)、80(v)の破壊電圧を確保できる。
【0088】d.印刷ずれ積層セラミックコンデンサを図25の点線部分で切断し、切断面において10個の電極の位置ずれ量の最大値ΔGmax(図25参照)の平均値ΔGmax−avを測定した。平均値ΔGmax−avは、試料No.4では250μmであるのに対し、試料No.1では8μm、試料No.6では11μmであり、本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1、6は、従来の製造方法による試料No.4よりも印刷ずれが著しく小さくなっている。試料No.2、3でも平均値ΔGmax−avは、12μm、13μmであり、印刷ずれが著しく小さい。
【0089】e.ピンホール数(個/10m)
本発明に係る製造方法によって得られた試料No.1〜3及び6の何れにおいても、ピンホール数は0(個/10m)である。これに対して、従来の製造方法によって得られた試料No.4では、49個/10mのピンホールが認められ、試料No.5では84個/10mのピンホール数が認められた。従来の製造方法では、可撓性支持体の誘電体ペースト塗布面が、塗布前及び塗布後の何れの場合においても、ローラに接触するため、グリーンシートに剥離によるピンホールを多発するのに対して、本発明に係る製造方法では、可撓性支持体の誘電体ペースト塗布面が、塗布前及び塗布後の何れの場合においても、ローラに接触することがないため、グリーンシートに剥離によるピンホールが発生しないためであると推測される。
【0090】f.歩留歩留は、試料No.4では33(%)であるのに対し、試料No.1、6では92(%)であり、試料No.2、3でも92(%)、90(%)の高歩留を確保できる。本発明に係る製造方法によれば、歩留が著しく改善される。
【0091】以上を要するに、本発明によれば、従来積層できなかった2.5μmという薄膜のグリーンシートを精度よく積層することが可能で、しかもショート不良率が低く、優れた特性を有する積層セラミックコンデンサを、高歩留で製造することができる。しかも、従来の方法でどうにか積層できる8μmというグリーンシート厚みのところであっても、非常に良好な効果が得られた。
【0092】更に、従来の方法では、電極のある部分とない部分では、電極の厚みと電極の本数との積だけの段差ができる。本発明においては、グリーンシート上に画像処理印刷を行なったグリーンシートに、再度グリーンシートを成形するため(以下、Wet on Dry)、この段差が解消できる方向にある。 実験の結果、電極1本あたり2μmあった段差が1.5μmの段差になった。このようにわずかとは言え、段差が解消された。電極1本あたりではわずかだが、積層数が増えると例えば150層の場合、0.5μmX150=75μmもの段差を解消できる。
【0093】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(a)グリーンシートに対し、適度の剥離性と密着性とを与えることの可能な可撓性支持体及びこれを用いたセラミック電子部品の製造方法を提供することができる。
(b)グリーンシートを薄くしても、剥離の困難性や製品の特性不良等を生じる確率を著しく小さくし得る可撓性支持体及びこれを用いたセラミック電子部品の製造方法を提供することができる。
(c)電極に起因する積層間段差を著しく小さくし、信頼性を向上させたセラミック電子部品の製造方法を提供できる。
(d)積層体の電極パターンの位置ずれを最小にし得るセラミック電子部品の製造方法を提供できる。




 

 


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