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発明の名称 無機ボンド磁石
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−115809
公開日 平成8年(1996)5月7日
出願番号 特願平6−276036
出願日 平成6年(1994)10月14日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石井 陽一
発明者 下村 健 / 笠原 孝彦 / 中野 淳二 / 平林 康之
要約 目的
本発明は、フェライト磁石粉末をベースとして、生産性、コストパフォーマンスに優れ、有機ボンド磁石の耐熱性をはじめ、耐油性、強度、特性に優れた無機ボンド磁石を提供することを目的とするものである。

構成
本発明の無機ボンド磁石は、粗大粒子と微小粒子を含み、平均粒径が1〜100μm の酸化物磁性粉と、酸化物ガラス質とから実質的になり、前記酸化物磁性粉の粗大粒子は分散分布されており、これらの粗大粒子間に存在する空間に、酸化物磁性粉の微小粒子が分散分布した酸化物ガラス質が充填されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 粗大粒子と微小粒子を含み、平均粒径が1〜100μm の酸化物磁性粉と、酸化物ガラス質とから実質的になり、前記酸化物磁性粉の粗大粒子は分散分布されており、これらの粗大粒子間に存在する空間に、酸化物磁性粉の微小粒子が分散分布した酸化物ガラス質が充填されていることを特徴とする無機ボンド磁石。
【請求項2】 前記粗大粒子のピーク粒子径が20〜200μm であり、前記微小粒子のピーク粒子径が0.3〜5μm である請求項1の無機ボンド磁石。
【請求項3】 前記微小粒子のピーク粒子径が0.5〜5μm である請求項2の無機ボンド磁石。
【請求項4】 前記微小粒子のピーク粒子径が0.7〜5μm である請求項3の無機ボンド磁石。
【請求項5】 酸化物磁性粉として、粒径300μm 以上の粒子を除いた焼結体の粉砕粉を用いた請求項1ないし4のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項6】 酸化物磁性粉として、粒径300μm 以上の粒子を除いた焼結体の粉砕粉と、平均粒径が0.3〜5μm の添加磁性粉との混合粉を用いた請求項1ないし4のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項7】 前記焼結体の粉砕粉が、酸化物磁性粉全体の30〜100wt% である請求項6の無機ボンド磁石。
【請求項8】 前記酸化物ガラス質が、酸化物磁性粉の磁場中成形後に実質的に硬化されたものである請求項1ないし7のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項9】 前記酸化物ガラス質が、酸化物磁性粉の磁場中成形後に、この成形体に溶液状態で含浸され、硬化されたものである請求項8の無機ボンド磁石。
【請求項10】 ガラス含有量が0.1wt% 〜10wt% である請求項1ないし9のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項11】 前記酸化物ガラス質が、SiO2 、P2 5 、TiO2 、Al2 3 のうちの少なくとも1種を主成分とし、SiO2 換算で0.1〜5wt% 、P2 5 換算で0.2〜10wt% 、TiO2 換算で0.1〜10wt% 、Al2 3 換算で0.1〜10wt% 、総量で0.1〜10wt% 含有している請求項1ないし10のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項12】 密度が3.75〜4.7g/cm3 である請求項1ないし11のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項13】 配向度が80%以上である請求項1ないし12のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項14】 比抵抗が104 〜107 Ωcm である請求項1ないし13のいずれかの無機ボンド磁石。
【請求項15】 気孔率が6〜26%である請求項1ないし14のいずれかの無機ボンド磁石。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機ボンド磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バルク磁石としては、焼結磁石およびボンド磁石が知られている。焼結磁石は磁性粉を磁場成形し、焼成したものであり、ボンド磁石は一般に磁性粉と樹脂を混合し、磁場成形したものである。
【0003】上記焼結磁石は、磁気特性、耐熱性、耐油性、強度の点で優れているものの、製品の寸法精度が望めないという欠点がある。そこで、焼結磁石においては、寸法精度を高めるために、その製造工程の各工程でのバラツキを抑えることが行なわれているが、各工程でのバラツキを抑えたとしても、製品の要求精度を満足することができなかった。このため、焼結磁石においては、精度のよい最終製品となすため、機械加工が必要である。また、焼結磁石は、耐熱衝撃性が劣るという欠点がある。
【0004】一方、ボンド磁石は、寸法精度が良好であり、複雑な形状に成形できるという利点があるが、樹脂を使用しているため、耐熱性、耐油性、強度に難点がある。特に、耐熱温度は約150℃程度と低かった。
【0005】このような従来のボンド磁石(以下、無機ボンド磁石と区別するため、有機ボンド磁石と呼ぶことがある)の欠点を解消するため、特開平5−121220号公報においては、希土類−鉄系合金を主体とする金属系の急冷磁石粉末と、無機バインダとを主体としてなる粉末磁石混練物を成形して得られた無機ボンド磁石(以下、本発明の無機ボンド磁石と区別するため、金属系無機ボンド磁石と称することがある)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平5−121220号公報に開示された無機ボンド磁石においては、磁石粉末として希土類−鉄系合金を主体とする急冷磁石粉末を用いるため、成形中に加圧するとともに、直接通電して発熱させ、これにより加熱圧縮し硬化させる製造方法を取らざるを得ず、従って、生産コスト、生産性、量産性、寸法精度等に問題がある。また、この従来の金属系無機ボンド磁石は、フェライト系よりエネルギ積の点では高いが、コストパフォーマンスが低いという欠点があった。また、この無機ボンド磁石は、希土類−鉄系合金を主体としているため、ガラス質で結着を行なっているにもかかわらず、酸化等により経時的に磁気特性の劣化が生じやすく、防錆等の処理を行なわなければならないという問題もある。
【0007】一方、映像・音響機器用モータ、OA機器用モータ、複写・印刷機等に用いる磁石においては、エネルギ積は金属系のものより低くてよいが、コストパフォーマンスが高く、生産性に優れ、しかも耐油性、耐熱性、耐酸化性および圧縮強度等の機械的強度に優れたものが望まれている。
【0008】このような磁石としては、従来のフェライト系の有機ボンド磁石のバインダとして、上記金属系無機ボンド磁石で用いている酸化物ガラス質を用いた無機ボンド磁石が考えられる。なお、従来のフェライト系有機ボンド磁石では、用いるフェライト磁性粉は、単磁区臨界径以下の粒子比率が多いければ多い程望ましいと考えられており、実際、平均粒径が0.8〜3μm 程度のものが用いられていた。
【0009】本発明の発明者らの実験によれば、このような、従来の有機ボンド磁石のバインダを単に酸化物ガラスに置き換えても、配向度、密度が充分でなく、特性(特に、Br)が悪く、強度も充分でないという欠点がある。また、成形性が非常に悪く、金型磨耗、生産性の点から問題がある。
【0010】そこで、本発明は、フェライト磁石粉末をベースとして、生産性、コストパフォーマンスに優れ、有機ボンド磁石の耐熱性をはじめ、耐油性、強度、特性に優れた無機ボンド磁石を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1)粗大粒子と微小粒子を含み、平均粒径が1〜100μm の酸化物磁性粉と、酸化物ガラス質とから実質的になり、前記酸化物磁性粉の粗大粒子は分散分布されており、これらの粗大粒子間に存在する空間に、酸化物磁性粉の微小粒子が分散分布した酸化物ガラス質が充填されていることを特徴とする無機ボンド磁石。
(2)前記粗大粒子のピーク粒子径が20〜200μm であり、前記微小粒子のピーク粒子径が0.3〜5μm である上記(1)の無機ボンド磁石。
(3)前記微小粒子のピーク粒子径が0.5〜5μm である上記(2)の無機ボンド磁石。
(4)前記微小粒子のピーク粒子径が0.7〜5μm である上記(3)の無機ボンド磁石。
(5)酸化物磁性粉として、粒径300μm 以上の粒子を除いた焼結体の粉砕粉を用いた上記(1)ないし(4)のいずれかの無機ボンド磁石。
(6)酸化物磁性粉として、粒径300μm 以上の粒子を除いた焼結体の粉砕粉と、平均粒径が0.3〜5μm の添加磁性粉との混合粉を用いた上記(1)ないし(4)のいずれかの無機ボンド磁石。
(7)前記焼結体の粉砕粉が、酸化物磁性粉全体の30〜100wt% である上記(6)の無機ボンド磁石。
(8)前記酸化物ガラス質が、酸化物磁性粉の磁場中成形後に実質的に硬化されたものである上記(1)ないし(7)のいずれかの無機ボンド磁石。
(9)前記酸化物ガラス質が、酸化物磁性粉の磁場中成形後に、この成形体に溶液状態で含浸され、硬化されたものである上記(8)の無機ボンド磁石。
(10)ガラス含有量が0.1wt% 〜10wt% である上記(1)ないし(9)のいずれかの無機ボンド磁石。
(11)前記酸化物ガラス質が、SiO2 、P2 5 、TiO2 、Al2 3のうちの少なくとも1種を主成分とし、SiO2 換算で0.1〜5wt% 、P2 5 換算で0.2〜10wt% 、TiO2 換算で0.1〜10wt% 、Al2 3 換算で0.1〜10wt% 、総量で0.1〜10wt% 含有している上記(1)ないし(10)のいずれかの無機ボンド磁石。
(12)密度が3.75〜4.7g/cm3 である上記(1)ないし(11)のいずれかの無機ボンド磁石。
(13)配向度が80%以上である上記(1)ないし(12)のいずれかの無機ボンド磁石。
(14)比抵抗が104 〜107 Ωcm である上記(1)ないし(13)のいずれかの無機ボンド磁石。
(15)気孔率が6〜26%である上記(1)ないし(14)のいずれかの無機ボンド磁石。
【0012】
【作用】本発明の無機ボンド磁石においては、磁石粉として、酸化物磁性粉、すなわちフェライト磁石粉末を用いているので、生産性、コストパフォーマンスに優れ、酸化等による磁気特性の劣化が起こらず、防錆等の処理を必要としない。
【0013】また、本発明においては、酸化物磁性粉として、粗大粒子と微小粒子を含むものを使用し、粗大粒子を、微小粒子とガラスの混合体で取り囲んで結着するようにしたので、磁石全体における酸化物磁性粉の含有量が多く、従って、有機ボンド磁石やこのボンド磁石のバインダを単に酸化物ガラス質に換えた磁石より、高密度、高性能(特に、Br)である。
【0014】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0015】本発明において、磁性粉は、酸化物磁石、特に、フェライト磁石であることが好ましい。上記フェライト磁石は、主にマグネトプランバイト型のM相、W相等の六方晶系のフェライトである。このようなフェライトとしては、特に、MO・nFe2 3 (Mは好ましくはSrおよびBaの1種以上、n=4.5〜6.5)であることが好ましい。このようなフェライトには、さらにCa、Pb、Al、Ga、Sn、Zn、In、Co、Ni、Ti、Cr、Mn、Cu、Ge、Nb、Zr、Cr等が含有されていてもよい。
【0016】本発明の無機ボンド磁石において、上記磁性粉は、平均粒径が1〜100μm、特に1〜80μm 、さらに1〜60μm であることが好ましい。本発明において、この平均粒径は次のようにして測定した。無機ボンド磁石の磁化容易軸に垂直な面を研磨し、その研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、認められる粒子の面積から粒子の円相当径を求め、ヒストグラムを作り、累積体積が50%となる径を平均粒径とした。また、上記磁性粉は、粗大粒子と微小粒子を含んでいることが必要である。上記粗大粒子は、そのピーク粒子径が20〜200μm 、特に25〜150μm 、さらに30〜100μm であることが好ましい。一方、上記微小粒子は、そのピーク粒子径が0.3〜5μm 、特に0.5〜5μm、さらに0.7〜5μm であることが好ましい。なお、ピーク粒子径とは、粗大粒子、微小粒子のそれぞれにおいて、最多の粒子分布(最大体積)における粒子の粒径をいうこととする。すなわち、本発明の無機ボンド磁石において、上記磁性粉は、図7に示すような粒度分布を備えていることが好ましい。粗大粒子は、焼結磁石を振動ミル等により粉砕することによって得られた配向ポリグレインであることが好ましい。これにより、粗大粒子は、磁場中成形により無機ボンド磁石中で良好に配向したものとなる。また、平均グレインサイズは、0.7〜3μm 程度であることが好ましい。微小粒子は、焼結磁石を振動ミル粉砕等により自然に生成することもあり、あるいは別途添加したものであってもよく、さらには両者であってもよい。なお、微小粒子が、上記焼結磁石の粉砕によって得られたものと、別途添加のものとの両者である場合には、図7のヒストグラムに破線で示すように、ピークが2つになる場合があるが、その両者の径が上記の好ましい値である0.3〜5μm の範囲にあることが好ましい。微小粒子は、通常、ポリグレインと単一グレインの混合体である。粗大粒子のピーク粒子量(総体積)と微小粒子のピーク粒子量(総体積)との比、すなわち図7のヒストグラムにおけるピーク粒子の高さ比は、1:0.2〜1:5とすることが好ましい。以上の粒子分布とすることにより、磁石の強度、磁気特性が向上する。なお、本発明の無機ボンド磁石においては、酸化物磁性粉の微小粒子の径の下限は特にないが、通常、0.1μm 程度である。また、酸化物磁性粉の粗大粒子の上限は、300μm 程度であることが好ましい。
【0017】本発明の無機ボンド磁石においては、酸化物磁性粉の上記粗大粒子が分散分布され、これらの粗大粒子間に存在する空間に、酸化物磁性粉の微小粒子が分散分布した酸化物ガラス質が充填されている。換言すれば、本発明の無機ボンド磁石は、上記粗大粒子を、酸化物磁性粉の微小粒子が分散分布した酸化物ガラス質で結着してなるものである。
【0018】本発明において、酸化物ガラス質は、SiO2 、P2 5 、TiO2 、Al23 のうちの少なくとも1種を主成分とする。それぞれのガラス質の含有量は、SiO2 換算で0.1〜5wt% 、P2 5 換算で0.2〜10wt% 、TiO2 換算で0.1〜10wt% 、Al2 3 換算で0.1〜10wt% が好ましい。これらの2種以上を含むときには、総量で0.1〜10wt% が好ましい。上記酸化物を主成分とし、上記の範囲で該酸化物を含有することにより、強度が高く、寸法精度のよい無機ボンド磁石を得ることができる。
【0019】本発明では、成形後の硬化により、ガラス成分間にガラス結合を生じさせて結着材としてのガラス質を形成する。酸化物ガラス成分としては、熱処理等によりガラス結合が生じ、酸化物ガラス質となるものを用いてもよい。ガラス結合が生じ酸化物ガラス質となる成分としては、例えば単純酸化物(SiO2 ,B2 3,P2 5 ,TiO2 ,Al2 3 など)、ケイ酸塩(TiO2 −SiO2 、CaO−SiO2 ,BaO−SiO2 ,PbO−SiO2 ,SrO−SiO2 ,Al2 3 −SiO2 ,Na2 O−SiO2 など)、ほう酸塩、酸化リン、リン酸塩、ゲルマン酸塩ガラス、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、テルル酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノホウ酸塩、アルミノホウケイ酸塩などがある。熱処理などにより酸化物ガラス質となる成分としては、例えば金属アルコキシド、ゾルーゲル法で用いられる金属アルコキシドの加水分解物、水ガラス等も使用できる。また、本発明において、酸化物ガラス質は、少量の有機物を含んでいてもよい。これは、一般に無機−有機複合体(ハイブリッド、有機修飾シリケート、セラマー等)と呼ばれ、「−O−Si−O−Si−」の結合と、「−O−Si−C−」の結合からできた物質で、無機部分が有機ポリマーまたはオリゴマーで結合されてネットワークとなったものである。以上のような、酸化物ガラス成分ないし酸化物ガラス質を用いることにより、低温で緻密化でき、脆性が低く、幅広い硬度および弾性率を持たせることができ、高い濡れ特性、耐湿性を持たせることができる。
【0020】ガラスは、それぞれのガラス系の特徴に応じてそのいずれかの系を選択する。中間酸化物や修飾酸化物であるAl、Ti、Zn、Pb、K、Na、Ba、Ca、Li、Srはガラスの熱膨張係数を制御するために有用であり、添加してもよいし、他から混入したものであってもよい。また、不純物や磁性粉の異相成分(磁性を担っている相以外の相成分)でもよい。金属アルコキシドを使う場合は、その系によっては硬化時に揮発する場合があるので、ガラス化の加水分解反応を促進するために水や触媒を磁性粉または金属アルコキシド溶液に加えることが望ましい。触媒としては酸、塩基、金属酸化物等が知られている。また、後に述べる熱処理時に水蒸気を導入することも有用である。
【0021】また、本発明においては、ガラス質として、完全にガラス化されておらず、いわゆるキセロゲル状となっているものも含むこととする。
【0022】上記ガラス質は、磁石全体の0.1〜10wt% 、特に0.5〜10wt% 、さらに0.7〜10wt% 含まれていることが好ましい。ガラス質の量が、0.1wt%未満であるときには、強度が低下し、10wt% を超える場合には、磁気特性、特にBrが低下してしまい、また寸法精度が低下してしまう。
【0023】無機ボンド磁石の密度は、3.75〜4.7g/cm3 、特に3.9〜4.7g/cm3 であることが好ましい。この密度は、成形体強度と磁気特性(Br)に影響を及ぼすため高ければ高い方が望ましい。また、無機ボンド磁石内の粒子の配向度は80%、特に83%以上であることが好ましい。この配向度の上限は特にないが、通常90%程度である。また、本発明の無機ボンド磁石は、その比抵抗が104 〜107 Ωcm であることが好ましい。さらに、本発明の無機ボンド磁石は、その気孔率が6〜26%であることが好ましい。
【0024】また、本発明の無機ボンド磁石において、磁束密度Brは2700〜3200G 、特に2800〜3200G 、さらに2900〜3200G 、保磁力HcJは2700〜3300Oe、特に2800〜3300Oe、さらに3000〜3300Oe、圧縮強度は350〜1000kgf 、特に400〜1000kgf 、そして耐熱温度は200℃以上、特に450℃以上であることが好ましい。
【0025】次に、本発明の無機ボンド磁石の製造方法の例について図1等を参照して説明する。
【0026】本発明の無機ボンド磁石の製造に用いる磁性粉は、(1)成型体密度が高くなるように粒度分布が調整されている、(2)磁性粉が単磁区型の磁化機構をもっており、粒子が複数の1次粒子から構成されている場合は、1次粒子がより緻密に結合しており、望ましくは焼結しているもの、(3)また、高い磁気特性を得るために、磁化容易軸方向ができるだけ揃っており、さらに単磁区臨界径以下の粒子比率が多いこと等の条件を備えていることが望ましい。
【0027】このため、フェライト磁石粉を、乾式あるいは湿式磁場成形、好ましくは湿式磁場成形し、これを焼結し、フェライト磁石の焼結体を得る。上記成形、焼結は常法に従って行なえばよく、例えば、成形は、圧力0.1〜0.5ton/cm2 、印加磁場5〜15kGで行なえばよく、焼結は、大気中で、例えば1000〜1350℃で1〜10時間程度行えばよい。
【0028】このような焼結体は、次いで粉砕される。この粉砕は、湿式、乾式のいずれでもよく、スタンプミル、ジョウクラッシャ等で荒砕きした後、振動ミル、ローラミル、アトマイザ、スーパーミクロンミル、ボールミル、アトライター等で行なえばよい。この粉砕によって、上記の粒度分布に準じた粒度分布を持つ磁性粉に粉砕する。なお、粉砕は、上記したように、荒砕きおよび本粉砕の2段で行なうことが望ましく、荒砕きは、焼結体を平均粒径3〜10mmとし、これを本粉砕によって上記の粒度分布、すなわち平均粒径でいうと1〜100μm 程度とする。なお、この粉砕後、粒径300μm を超えるような超粗大粒子は、篩等を用いて除去することが望ましい。これは、粒径300μm を超えるような超粗大粒子を磁石の製造に用いると、できた磁石の外観が滑らかでなくなる等の問題が生ずるおそれがあるからである。
【0029】この後、成形体密度、成形体強度および製品強度等を向上させるため、必要により、平均粒径0.3〜5μm 、好ましくは0.5〜5μm 、特に好ましくは0.7〜5μm のフェライト磁石の微粉砕材を添加する。この微粉砕材の添加量は、磁性材全体の70wt% 未満、特に50wt% 未満、さらに40wt% 未満であることが好ましい。このとき、磁石全体の酸化物磁性粉の30〜100wt% 、特に50〜100wt% 、さらに60〜100wt% が磁気的に配向した粒子であることが好ましい。このとき配向度が向上する。
【0030】次に、酸化物磁性粉の表面改質を行なうため、酸化物磁性粉と表面改質剤とを混合して、酸化物磁性粉表面に表面改質剤を施す。この混合は、酸化物磁性粉と表面改質剤に水やトルエン等の有機溶剤を加えスラリーとし、湿式撹拌機により行なう。また、市販のエマルジョンを混合してもよい。さらに、酸化物磁性粉表面にスプレー等により表面改質剤を施してもよい。上記スラリー中における表面改質剤の含有量は、酸化物磁性粉に対し、0.05〜5.0wt% 、特に0.1〜3.0wt% とすることが好ましい。あるいは、酸化物磁性粉の単位比表面積(1m2)当たり0.5〜10mg添加することが好ましい。用いる表面改質剤は、上記スラリー中において、添加したうちの実質的に全量が酸化物磁性粉に吸着するようなものが好ましい。
【0031】なお、上記スラリー中の酸化物磁性粉の含有量は、10〜70wt% 程度であることが好ましい。
【0032】上記表面改質剤としては、界面活性剤を用いることが好ましい。この界面活性剤としては、カチオン型、アニオン型、ノニオン型、両性型のいずれであってもよいが、特に、カルボン酸またはその塩、例えばステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Sr、ステアリン酸Ba、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al、ステアリン酸K、ステアリン酸Na、オレイン酸Zn、オレイン酸Ca、オレイン酸Sr、オレイン酸Ba、オレイン酸Mg、オレイン酸Al、オレイン酸K、オレイン酸Na、オレイン酸アンモニウムなどの炭素原子数4〜30程度の飽和または不飽和の脂肪酸またはその塩の1種以上を含むものが好適に使用される。また特にCa、Ba、Sr、Al、Cr、Ga、Cu、Zn、Mn、Co、Ti等のフェライトに添加する可能性のある有効添加元素を含む有機物(上記の脂肪酸の金属塩等の有機物界面活性剤の金属塩)を添加することにより、このような元素をフェライト粒子の周囲に高分散させることも可能である。この他、公知のスルホン酸またはその塩;ラウリン酸またはその塩;硫酸エステルまたはその塩;リン酸エステルまたはその塩;脂肪族アミン塩あるいはその四級アンモニウム;芳香族四級アンモニウム塩;ピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;ベタイン;アミノカルボン酸塩;イミダゾリン誘導体;天然界面活性剤のうち少なくとも一種も好適に使用される。なお、界面活性剤の一部は、焼結体の粉砕時に添加してもよい。この酸化物磁性粉の表面改質により、個々の酸化物磁性粉の流動性が向上し、成形体密度、配向度および充填性の向上を図れ、後の成形に用いられる金型の磨耗も極力抑えることができる。表面改質剤としては、上記の他、ワックス等の滑材を用いることができる。
【0033】上記酸化物磁性粉と表面改質剤の混合の後、乾燥を行なう。この乾燥はドライヤー等により行なえばよい。
【0034】ガラス成分として金属アルコキシドを使う場合は、その系によっては硬化時に揮発する場合があるので、ガラス化の加水分解反応を促進するために触媒を磁性粉または金属アルコキシド溶液に加えることが望ましい。触媒としては酸、塩基、金属酸化物等が知られている。具体的には、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、りんご酸、酒石酸等を好ましく用いることができる。また、後に述べる熱処理時に水蒸気を導入することも有用である。
【0035】この後、乾燥して塊となっている酸化物磁性粉を解砕する。この解砕は、アトマイザー等により行なう。このとき、酸化物磁性粉の粗大粒子の粉砕がなるべく起こらないようにすることが望ましい。
【0036】次いで、解砕された酸化物磁性粉を磁場中成形して成形体を製造する。成形圧力は3〜10ton/cm2 程度、印加磁場は5〜15kG程度とすればよい。得られた成形体の配向度Br/Br12(12kOe 磁界中でのBr)は、80%以上、例えば80〜90%となる。
【0037】成形後、成形体に上述したガラス成分の溶液、コロイド状態のもの等を含浸させる。上記ガラス成分の溶液としては、シリケート、チタネート、アルミネート、ジルコネートなどの金属アルコキシドや、ゾル−ゲル法で用いられる金属アルコキシドの加水分解物、水ガラス等が挙げられ、コロイド状態のものとしては、コロイダルシリカ等が挙げられる。ガラス成分の溶液におけるガラス成分固形分は、5〜50wt% であることが好ましい。上記成形体へのガラス成分の含浸は、成形体の大きさに応じて、5分〜12時間程度行なうことが望ましい。このガラス成分の含浸の後、ガラス成分の硬化を行なうが、この含浸・硬化を複数回繰り返してもよい。この繰り返しにより、磁気的等の特性はそのままで、強度の大きな磁石を得ることができる。この繰り返し回数に制限はないが、通常、1〜3回程度である。なお、ガラス成分は成形前に添加してもよいが、ガラス化すなわち硬化は成形後に行なう。この場合、後の成形時における配向等を損ねない程度での硬化、すなわち程度の低いゲル化は生じてもよい。また、含浸させるガラス成分の一部を、粉体状で予め酸化物磁性粉に添加しておいてもよい。この予め添加するガラス成分の量は、成形したときに密度や配向の劣化が生じない程度とする。また、予め添加するガラス成分は、成形後に含浸させるガラス成分と異なってもよい。
【0038】この後、ガラス成分の硬化を行なう。このガラス成分の硬化は、ガラス成分に応じた温度と時間で行なえばよく、一部のものを除いて、通常、500〜950℃で、30分〜4時間程度行なうことが望ましい。一部のガラス成分は、上記温度で硬化を行なうと磁気特性が劣化するものがあり、その場合は酸化物磁性粉のアニールが充分でないか、全く行なわれないので、ガラス成分添加の前に酸化物磁性粉のアニールを行なっておく必要がある。例えば、ガラス成分としてP2 5 を用いる場合には、P2 5 添加の前に、酸化物磁性粉を500〜950℃で30分〜4時間アニールすることが望ましい。昇降温速度は、60〜600℃/時間程度であることが好ましい。ガラス成分として金属アルコキシドを用いる場合には、上記の硬化に先だって、水蒸気を導入した状態で、常温〜300℃程度で、30分〜4時間熱処理を行い、ガラス化の加水分解反応を促進することが好ましい。
【0039】以上により、本発明の無機ボンド磁石が製造される。本発明の無機ボンド磁石は、映像・音響機器用モータ、OA機器用モータ、複写・印刷機等に用いる磁石として特に好ましく用いることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0041】実施例1この実施例1は、磁石としてSrフェライト磁石を、ガラス質としてSiO2を主成分とするものを用い、図2のフローチャートに従って無機ボンド磁石を製造した。
【0042】まず、Srフェライト磁石の焼結体(Srフェライト磁石粉を、湿式磁場成形し、焼結したもの)を準備し、この焼結体を粉砕した。この粉砕は、上記焼結体を粒径3〜10mmになるまで荒砕きした後、振動ミルで平均粒径40μm の粒子になるまで粉砕して行なった。この粒子のBET法による比表面積(以下、SBET と称することがある)は、0.7m2/gであった。また、この粉砕粉は、3μmと90μm でピーク粒子径を示した。すなわち、そのままの状態で、粗大粒子と微小粒子を含んでいた。なお、300μm を超える粒子は存在しなかった。
【0043】上記の材料とSrフェライト磁石の微粉砕材(平均粒径0.8μm 、SBET :9m2/g)で、微粉砕材の割合が、0、30、50、70、80、100wt% となるように混合して、材料1、2、3、4、5および6を作製した。
【0044】これらの材料に、それぞれ水をスラリー濃度が40wt% になるように、そして表面改質剤としてオレイン酸ナトリウムを酸化物磁性粉の単位比表面積(1m2)当たり2mgとなるように添加し、スラリーを作成し、これを30分間混合した。
【0045】これらを、130℃で乾燥し、乾燥後、アトマイザーで解砕し、酸化物磁性粉を得た。
【0046】これらの酸化物磁性粉を、9kOe の磁場中、成形圧力5ton/cm2 で乾式成形し、直径20mm、高さ10mmの円柱形の成形体を得た。
【0047】この後、これらの成形体を、エチルシリケート(オリゴマー 平均n=5、SiO2 固形分に換算して40%)溶液中で3時間含浸した。最後に、これらを硬化、アニール処理した。これは、上記成形体を、バッチ炉中に配し、水蒸気を導入しながら、100℃まで、5℃/min で昇温し、100℃で1時間保持し、その後、920℃まで、5℃/min で昇温し、920℃で2時間保持して行なった。なお、920℃で2時間保持した後は、5℃/min で降温し、上記材料1、2、3、4、5および6を用いた無機ボンド磁石のサンプルNo. 1ないし6を作成した。
【0048】また、原料を混合、成形し、仮焼きして得たSrフェライト材料を粉砕し、この粉砕粉(平均粒径2μm )に10wt% のポリアミド樹脂をバインダーとして添加し、これを圧力70kg/cm2、印加磁場12kOe で磁場成形し、これを硬化して得た従来のフェライトボンド磁石のサンプルも比較のため用意した。
【0049】上記サンプルNo. 1および2の研磨面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3および4にそれぞれ示し、上記従来のフェライトボンド磁石のサンプルの研磨面のSEM写真を図5に示した。図3および4から分かるように、本発明のサンプルの磁石においては、分散した磁石の粗大粒子(白い大きな部分)間に、磁石の微小粒子(白い小さな部分)が分散したガラス質(黒い部分)が充填された構造となっている。一方、従来のフェライトボンド磁石においては、単に微細な磁性粉(白い部分)の間に樹脂(黒い部分)が充填された構造となっている。なお、研磨は、磁石の磁場方向に対して直角な方向に行なった。また、本発明の実施例の各サンプルにつき、上記の写真より広範な範囲を写したSEM写真により、サンプルNo. 1〜5の平均粒径、粗大粒子のピーク粒子径および微小粒子のピーク粒子径を測定したところ、それぞれ、本発明の好ましい範囲である平均粒径(1〜100μm )、粗大粒子のピーク粒子径(20〜200μm )、微小粒子のピーク粒子径(0.3〜5μm )を示した。
【0050】また、それぞれのサンプルにつき、磁石中に含有されるSiO2 量(wt% )、Br(G )、HcJ(Oe)、配向度(%)、比抵抗(Ωcm)、気孔率(%)、密度(g/cm3 )、圧縮強度(kgf )および耐熱温度(℃)を測定した。その結果を表1に示した。上記のSiO2 量(wt% )、Br(G )、、HcJ(Oe)、配向度(%)、比抵抗(Ωcm)、気孔率(%)、密度(g/cm3 )、および圧縮強度(kgf )の測定は、次のようにして行なった。SiO2 量(wt% )は、上記研磨面を蛍光X線分析することにより求めた。Br(G )、HcJ(Oe)、配向度(%)は、B−Hトレーサにより求めた。比抵抗(Ωcm)は、円柱状で、両円形端面の面積1cm2 、高さ1cm、体積1cm3 のサンプルに4V の電圧をかけたときに流れた電流を測定して求めた。密度(g/cm3 )は、体積を円柱として、重量/体積で求めた。気孔率(%)は、密度とガラス量により算出した。圧縮強度(kgf )は、直径20mm、高さ10mmの円柱形のコアを用い、圧縮強度試験機で測定した。
【0051】なお、サンプルNo. 1〜6については、硬化、アニールを920℃で行なったので、これ以上の耐熱温度を有しているので、その温度を示した。以下の実施例のサンプルについても同じである。
【0052】
【表1】

【0053】表から明らかなように、本発明の実施例であるサンプルNo. 1〜5と、従来のフェライトボンド磁石を比べてみると、電気磁気的特性については、本発明の実施例によるサンプルでは、好ましい組成範囲で従来のものより上回り、また、圧縮強度が、従来のものは300kgf 程度であるのに対して、本発明では最低でも400kgf を超え、また耐熱温度が、従来のものでは100〜150℃であるのに対して、本発明のものでは920℃以上であった。また、無機ボンド磁石であっても、サンプルNo. 6のように、平均粒径0.3〜5μm の微小粒子のみを用いたものでは、Br、配向度、圧縮強度の点で本発明の実施例のものより劣った。
【0054】実施例2この実施例2においては、焼結体を平均粒径20μm (この粒子のSBET は、0.8m2/gであった)に粉砕した点、ピーク粒子が3μm と65μm である点、微粉砕材の添加量を10wt% に固定した点、ガラス成分として表2に示した種々のものを用いた点、硬化・アニールにおいて水蒸気を導入せず、100℃における前処理を行なわなかった点を除いては実施例1と同様にして、サンプルNo. 11〜22を作成し、実施例1と同様の特性を測定した。その結果を表3に示した。なお、サンプルNo. 22においては、ガラス成分AとHを1:1の割合で混合したガラス溶液を用いた。また、サンプルNo. 12の磁石の研磨面(研磨は実施例1と同様に行なった)におけるSEM写真を用いて、内部の磁性粉の粒度分布のヒストグラムを作成したところ、図8のようになった。このヒストグラムから、実施例2における磁性粉の平均粒径は、13μm 、粗大粒子のピーク粒子径は65μm 、微小粒子のピーク粒子は3μm と判断した。なお、微小粒子には、頻度分布が突出した径が1μm と3μm との2ヶ所あったが、共に本発明の好ましい範囲である0.3〜5μm 内であった。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】表から分かるように、ガラス成分として種々のものを用いても、実施例1の場合と同様の特性が得られる。なお、ガラス成分の粘度等の理由から、成形体へのガラス質の含浸が充分でなかったり、ガラス成分の揮発性等の理由から、硬化時にガラス化せずに揮発してしまい、ガラス質の含有量が好ましい範囲から外れるサンプルNo. 14、17および20については、圧縮強度が下ったが、耐熱温度等の他の特性は、好ましい値を示した。
【0058】実施例3この実施例3は、磁石としてSrフェライト磁石を、ガラス質としてP2 5を主成分とするものを用い、図6のフローチャートに従って無機ボンド磁石を製造した。
【0059】まず、Srフェライト磁石の焼結体(Srフェライト磁石粉を、湿式磁場成形し、焼結したもの)を準備し、この焼結体を粉砕した。この粉砕は、上記焼結体を粒径3〜10mmになるまで荒砕きした後、振動ミルで平均粒径20μm の粒子になるまで粉砕して行なった。この粒子のSBET は、0.8m2/gであった。また、この粉砕粉は、3μm と65μm でピーク粒子径を示した。すなわち、そのままの状態で、粗大粒子と微小粒子を含んでいた。なお、300μm を超える粒子は存在しなかった。
【0060】次いで、これらの粉砕粉を、バッチ炉に入れ、920℃まで、5℃/min で昇温し、920℃で2時間保持してアニールし、粉砕歪みを除去した。
【0061】上記アニール処理した粉砕粉に、ガラス成分として市販のリン酸(H3 PO4)をP2 5 換算で表4に示した値になるように秤量、添加し混合した。そして、この混合物を、60℃で乾燥した。ここで、後の成形時における配向、緻密化を阻害するようなガラス化が行われないように注意することが必要である。これらの材料に、表面改質剤としてオレイン酸ナトリウムを酸化物磁性粉の単位比表面積(1m2)当たり4mgとなるように秤量、添加し、トルエン溶液中で10分間混合した。
【0062】次いで、これらを、60℃で乾燥し、乾燥後、アトマイザーで解砕し、酸化物磁性粉を得た。
【0063】これらの酸化物磁性粉を、9kOe の磁場中、成形圧力5ton/cm2 で乾式成形し、直径20mm、高さ10mmの円柱形の成形体を得た。
【0064】この後、上記成形体を、バッチ炉中に配し、700℃まで、5℃/min で昇温し、700℃で1時間保持して硬化を行い、無機ボンド磁石のサンプルNo. 31〜36を作成した。これらのサンプルについても上記実施例1と同様の特性を測定し、その結果を表4に示した。
【0065】
【表4】

【0066】この表4から分かるように、ガラス質としてP2 5 を主成分とするものであっても、SiO2 を主成分とするガラス質を用いた場合と同様の特性を得ることができる。なお、ガラス質の含有量が好ましい範囲未満のサンプルNo. 31については、圧縮強度が下ったが、耐熱温度等の他の特性は、好ましい値を示した。一方、ガラス質の含有量が好ましい範囲を超えるサンプルNo. 36については、Brおよび密度が好ましい範囲である2700〜3200G 、3.75〜4.7g/cm3 を下回ってしまったが、耐熱温度等の他の特性は、好ましい値を示した。
【0067】実施例4実施例1のサンプルNo. 1および6の材料において、解砕工程の後に、エチルシリケート40を最終的にSiO2 換算で1.75wt% となるように秤量、添加し、よく混合し、ついで60℃で乾燥し、その後、成形、硬化を行ない、無機ボンド磁石のサンプル41および42を得た。成形、硬化の条件は実施例1のサンプルNo. 1と同じにした。これらのサンプルにつき、上記実施例1と同様の特性を測定した。その結果を表5に示した。
【0068】
【表5】

【0069】この表5から分かるように、サンプルNo. 41のように、ガラス成分を前添加した場合にも、実施例1のサンプルNo. 1の特性よりやや落ちるもののほぼ同等の特性を保っている。なお、実験によると、ガラス成分を前添加する場合、乾燥温度によっては、ガラス成分が成形前にかなり固いゲル状になってしまい、これが成形時の配向および緻密化を妨げ、特性を劣化させることがあるので、ガラス成分は、成形前に添加してもよいが、その硬化は成形後に行なうことが望ましい。また、サンプルNo. 42のように、平均粒径0.3〜5μmの微小粒子のみを用いたものでは、このようなガラス成分の前添加によっても、良好な特性が得られない。
【0070】以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかである。




 

 


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