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発明の名称 焼結磁心の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−64410
公開日 平成8年(1996)3月8日
出願番号 特願平6−224149
出願日 平成6年(1994)8月25日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】石井 陽一
発明者 堀野 賢治 / 安原 克志 / 野村 武史
要約 目的
10kHz における初透磁率が高く、相対損失係数(tan δ/μi)が小さな焼結磁心を製造する方法を提供する。

構成
主成分として、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を含み、副成分として、酸化ケイ素、酸化カルシウムおよび酸化ビスマスを含む焼結磁心を製造する方法であって、主成分原料と副成分原料とを含む成形体を焼結する焼結工程が、昇温過程、温度保持過程および降温過程から構成され、降温過程において1350℃から温度T0 ℃(ただし、1130≦T0 ≦1180である)まで降温する際に、雰囲気中の酸素濃度Po2 を{−8600×(1/T)+2.16}≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+17.0}(ただし、Tは絶対温度である)となるように制御し、かつ降温時にT0 ℃未満の温度ではPo2≦1×10-4となるように制御する。
特許請求の範囲
【請求項1】 主成分として、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を含み、副成分として、酸化ケイ素、酸化カルシウムおよび酸化ビスマスを含む焼結磁心を製造する方法であって、主成分原料と副成分原料とを含む成形体を焼結する焼結工程が、昇温過程、温度保持過程および降温過程から構成され、降温過程において1350℃から温度T0 ℃(ただし、1130≦T0 ≦1180である)まで降温する際に、雰囲気中の酸素濃度Po2 を{−8600×(1/T)+2.16}
≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+17.0}
(ただし、Tは絶対温度である)となるように制御し、かつ降温時にT0 ℃未満の温度ではPo2 ≦1×10-4となるように制御することを特徴とする焼結磁心の製造方法。
【請求項2】 主成分中における比率が、酸化鉄がFe23 換算で50〜60モル%であり、酸化マンガンがMnO換算で20〜30モル%であり、酸化亜鉛がZnO換算で20〜30モル%であり、主成分に対する副成分の比率が、酸化ケイ素がSiO2 換算で20〜100ppm であり、酸化カルシウムがCaO換算で30〜300ppm であり、酸化ビスマスがBi23 換算で10〜500ppm である焼結磁心を製造する請求項1の焼結磁心の製造方法。
【請求項3】 温度保持過程における温度が1350〜1500℃である請求項1または2の焼結磁心の製造方法。
【請求項4】 温度保持過程における雰囲気中のPo2 が0.15以上である請求項1〜3のいずれかの焼結磁心の製造方法。
【請求項5】 降温過程において、1150℃から800℃まで降温する際の冷却速度が20〜100℃/時間である請求項1〜4のいずれかの焼結磁心の製造方法。
【請求項6】 成形体の密度が2.5〜3.2g/cm3 である請求項1〜5のいずれかの焼結磁心の製造方法。
【請求項7】 2価のFeの含有率が1.2〜2.2重量%である焼結磁心が製造される請求項1〜6のいずれかの焼結磁心の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気・電子機器用のトランスに用いられる高透磁率磁心を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通信機器、コンピュータの周辺機器、VTR、OA機器等の性能の向上、小型化に伴い、これらに用いられるトランス用の磁心にはより高い透磁率の材料が要求されるようになってきている。特に、高透磁率かつ高飽和磁束密度を有するMn−Znフェライトは、高性能ソフトフェライトとして需要が急増している。
【0003】Mn−Znフェライトの初透磁率を大きくするために、従来、高純度の原料を用いたり、主成分である酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛の比率や、少量添加する副成分を検討したり、焼成条件等の製造条件を検討したりしていた。
【0004】例えば特公平5−55463号公報には、主成分として酸化第二鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を用い、副成分として二酸化ケイ素および酸化カルシウムを用い、さらに副成分として酸化ビスマスおよび酸化アルミニウムを添加することにより、初透磁率が高く、相対損失係数が小さい酸化物磁性材料が得られた旨が記載されている。
【0005】また、例えば特開平4−85802号公報には、Fe23 、MnOおよびZnOを主成分とするフェライト粉末を成形して焼結する場合、1100℃までの降温過程における冷却速度V(℃/時間)と酸素濃度P(%)との間にV=100P(ただし0.3≦P≦3.0)の関係が成立する方法で製造すると、初透磁率を大きくできるとともに、相対損失係数およびヒステリシス損失係数を小さくすることができる旨が記載されている。
【0006】また、セラミックス vol.28 p.937-945 (1993)(セラミックス基礎工学講座、複合化の科学と技術 V.5 フェライト)には、高透磁率、高飽和磁束密度を有するMnZnフェライトは、特に化学量論組成よりもFe23 に富む組成において、磁気特性がすぐれていること、そして、この過剰の酸化鉄の酸化状態を制御するために焼成雰囲気の酸素分圧の厳密な制御が必要であること、そのために、酸化鉄がスピネルフェライト単相となってウスタイト相やヘマタイト相が析出しないように、温度に対応した酸素分圧を選んで酸素分圧を温度の変化に連動させて加熱、冷却を行なう必要があること、さらに、焼結体の微細構造も初透磁率等の磁気特性に影響をおよぼすことから、焼結の初期段階から昇温速度と雰囲気中の酸素濃度を制御してフェライト中の酸素濃度や微細構造を所望の範囲に制御することが重要であることなどが記載されている。
【0007】しかし、最適な組成を選択すること、冷却速度を酸素濃度に応じて制御すること、スピネルフェライト単相となるように温度と酸素分圧との関係を制御することだけでは、適用される電気・電子機器類の小型化や性能向上にともなって求められているいっそう高い初透磁率と小さな相対損失係数とをもつ磁心を実現することは難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、10kHz における初透磁率が高く、相対損失係数(tan δ/μi )が小さな焼結磁心を製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(7)のいずれかの構成により達成される。
(1)主成分として、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を含み、副成分として、酸化ケイ素、酸化カルシウムおよび酸化ビスマスを含む焼結磁心を製造する方法であって、主成分原料と副成分原料とを含む成形体を焼結する焼結工程が、昇温過程、温度保持過程および降温過程から構成され、降温過程において1350℃から温度T0 ℃(ただし、1130≦T0 ≦1180である)まで降温する際に、雰囲気中の酸素濃度Po2 を{−8600×(1/T)+2.16}
≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+17.0}
(ただし、Tは絶対温度である)となるように制御し、かつ降温時にT0 ℃未満の温度ではPo2 ≦1×10-4となるように制御することを特徴とする焼結磁心の製造方法。
(2)主成分中における比率が、酸化鉄がFe23 換算で50〜60モル%であり、酸化マンガンがMnO換算で20〜30モル%であり、酸化亜鉛がZnO換算で20〜30モル%であり、主成分に対する副成分の比率が、酸化ケイ素がSiO2 換算で20〜100ppm であり、酸化カルシウムがCaO換算で30〜300ppm であり、酸化ビスマスがBi23 換算で10〜500ppm である焼結磁心を製造する上記(1)の焼結磁心の製造方法。
(3)温度保持過程における温度が1350〜1500℃である上記(1)または(2)の焼結磁心の製造方法。
(4)温度保持過程における雰囲気中のPo2 が0.15以上である上記(1)〜(3)のいずれかの焼結磁心の製造方法。
(5)降温過程において、1150℃から800℃まで降温する際の冷却速度が20〜100℃/時間である上記(1)〜(4)のいずれかの焼結磁心の製造方法。
(6)成形体の密度が2.5〜3.2g/cm3 である上記(1)〜(5)のいずれかの焼結磁心の製造方法。
(7)2価のFeの含有率が1.2〜2.2重量%である焼結磁心が製造される上記(1)〜(6)のいずれかの焼結磁心の製造方法。
【0010】
【作用および効果】本発明では、所定組成のMn−Znフェライト焼結磁心を製造する。そして、焼結工程の降温過程において1350℃からT0 ℃(1130≦T0 ≦1180)まで降温する際に、酸素濃度を所定範囲に制御し、かつ降温過程のT0 ℃未満の温度域においても酸素濃度を所定範囲に制御する。降温過程における酸素濃度制御により、磁心中の過剰の酸化鉄の酸化状態を精密に制御することができ、磁気異方性定数が0に近づく。このため、初透磁率が高く、相対損失係数が小さな焼結磁心が得られる。
【0011】上記した特公平5−55463号公報および特開平4−85802号公報では、実施例において高い初透磁率と小さい相対損失係数( tanδ/μi )とが得られた旨が記載されている。しかし、特開平4−85802号公報では、降温過程において冷却速度および酸素濃度の制御は行なっているが、酸素濃度が本発明範囲と重なるのは一部だけであり、1130℃未満において実質的な無酸素雰囲気とはしていない。また、同公報の実施例で用いたMn−Znフェライトは副成分の添加がなく、本発明とは異なる。後記の本願実施例の項において比較例として示すように、同公報記載の方法では本発明と同様に副成分を添加した場合でも、本発明と同等の効果は得られず、また、原料組成および焼結時の酸素濃度を特公平5−55463号公報の実施例と同様にした場合でも、本発明と同等の効果は得られない。
【0012】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0013】本発明により製造される焼結磁心は、主成分として、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化亜鉛を含み、副成分として、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化ビスマスを含むMn−Zn系フェライト焼結磁心である。
【0014】主成分中における各酸化物の比率は、酸化鉄がFe23 に換算して好ましくは50〜60モル%、より好ましくは52.0〜53.5モル%であり、酸化マンガンがMnOに換算して好ましくは20〜30モル%、より好ましくは23〜25モル%であり、酸化亜鉛がZnOに換算して好ましくは20〜30モル%、より好ましくは22〜25モル%である。主成分の組成がこのような範囲を外れると、Mn−Zn系フェライトとしての性能が得られなくなる。
【0015】主成分に対する副成分の比率は、酸化ケイ素がSiO2 に換算して好ましくは20〜100ppm 、より好ましくは40〜100ppm であり、酸化カルシウムがCaOに換算して好ましくは30〜300ppm 、より好ましくは50〜250ppm であり、酸化ビスマスがBi23 に換算して好ましくは10〜500ppm 、より好ましくは50〜500ppm である。酸化ケイ素や酸化カルシウムの比率が低すぎると高い粒界抵抗が得られず、相対損失係数が大きくなってしまう。一方、酸化ケイ素や酸化カルシウムの比率が高すぎると初透磁率が低くなってしまう。酸化ビスマスの比率が低すぎると十分に結晶粒が成長せず、初透磁率が低くなってしまい、酸化ビスマスの比率が高すぎても初透磁率が低くなってしまう。
【0016】本発明により製造される焼結磁心は、2価のFeの含有率が好ましくは1.2〜2.2重量%、より好ましくは1.4〜2.0重量%である。2価のFeの含有率がこのような範囲にあることで磁気異方性定数が0に近くなって、高い初透磁率が得られ、また、相対損失係数を小さくすることができる。なお、2価のFeの含有率は、滴定により求めることができる。
【0017】本発明では、主成分原料と副成分原料とを含む成形体を焼結して磁心を製造する。
【0018】主成分原料の製造方法は特に限定されない。例えば、酸化物または焼成により酸化物となる炭酸塩等の化合物を混合して仮焼し、仮焼物を粉砕して主成分原料とする方法を用いることができる。この方法では、800〜1000℃の範囲内の所定の温度で仮焼し、仮焼物を平均粒径1〜3μm 程度まで粉砕することが好ましい。また、主成分原料を酸化焙焼法により製造してもよい。酸化焙焼法では、通常、塩化物を酸化焙焼する。例えば、塩化鉄、塩化マンガン、塩化亜鉛を含有する水溶液を酸化焙焼することにより、Fe、MnおよびZnを含む複合酸化物の粉末が得られる。通常、この複合酸化物はスピネル相を含む。ただし、塩化亜鉛は蒸気圧が高く、組成ずれが生じやすい。そこで、塩化鉄および塩化マンガンを含む水溶液を用いてFeおよびMnを含む複合酸化物の粉末を製造し、この粉末と酸化亜鉛粉末または亜鉛フェライト粉末とを混合して、主成分原料としてもよい。酸化焙焼法で製造された複合酸化物粉末を主成分原料として用いる場合には、上述した仮焼を行なわなくてもよい。
【0019】副成分原料は、通常、酸化物または焼成により酸化物となる炭酸塩等の化合物の粉末を用いるが、場合によっては副成分の構成元素である金属単体の粉末を用いることもできる。また、酸化焙焼法により製造可能な副成分原料は、主成分原料を酸化焙焼により製造する際に同時に製造してもよい。また、主成分原料中に不純物として含まれるSiO2 やCaOを副成分原料として利用することもできる。酸化焙焼法を用いる場合、塩化物溶解液を原料とし、主成分原料と同時に酸化焙焼法により製造することができる。
【0020】主成分と副成分との混合比率は、最終組成に対応したものとする。主成分原料と副成分原料との混合は、上記した仮焼の前に行なってもよく、仮焼後に行なってもよい。
【0021】次に、主成分原料と副成分原料との混合物に適当なバインダ、例えばポリビニルアルコール(PVA)を少量加え、スプレードライヤー等にて80〜200μm 程度の粒径となるように造粒した後、成形する。成形は、成形体密度が好ましくは2.5〜3.2g/cm3 、より好ましくは2.6〜3.1g/cm3 となるように行なう。密度の低い成形体は粒子間の接触が悪いので、均一に焼結することが難しい。一方、成形体密度が高すぎると、初透磁率が低くなりやすい。
【0022】次いで、成形体を焼結する。焼結工程は、昇温過程、温度保持過程および降温過程から構成される。
【0023】本発明では、降温過程において、1350℃からT0 ℃まで降温する際に、好ましくは、温度保持工程での保持温度からT0 ℃まで降温する際に、雰囲気中の酸素濃度Po2 を{−8600×(1/T)+2.16}
≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+17.0}
となるように、好ましくは{−11000×(1/T)+3.85}
≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+16.8}
となるように、より好ましくは{−12500×(1/T)+4.91}
≦log Po2 ≦{−28000×(1/T)+16.6}
となるように制御し、かつ降温時にT0 ℃未満の温度域ではPo2 ≦1×10-4となるように、好ましくはPo2 ≦1×10-5となるように制御する。ただし、1130≦T0 ≦1180、好ましくは1140≦T0 ≦1170であり、Po2 =酸素分圧/雰囲気圧力であり、Tは降温時の絶対温度である。本発明範囲を表わす104 /Tとlog Po2 との関係を、図1に示す。降温過程において所定の温度範囲における酸素濃度を絶対温度Tに基づいてこのように制御することにより、2価Feの量と3価Feの量とを厳密に制御することができ、2価Feの比率を最適範囲にすることができる。このため、焼結磁心の磁気異方性定数を零に近づけることができ、高い初透磁率と小さい相対損失係数とをもつ焼結磁心が得られる。より具体的には、T0 ℃以上におけるPo2 が低すぎると相対損失係数が大きくなってしまい、高すぎると初透磁率が低くなってしまう。また、T0 ℃未満でのPo2 が高すぎると、初透磁率が低くなってしまう。なお、T0 ℃未満でのPo2 の下限は特にないが、通常、1×10-6程度である。
【0024】降温過程において、温度保持工程での保持温度から1150℃まで降温するときの冷却速度は、好ましくは200〜400℃/時間であり、1150℃から800℃まで降温するときの冷却速度は、好ましくは20〜100℃/時間、より好ましくは30〜80℃/時間である。特に1150〜800℃における冷却速度をこのように制御することにより冷却歪みを少なくできるので、高透磁率が得られる。冷却速度が高すぎると冷却歪みが増加しやすくなり、冷却速度が低すぎると冷却に要する時間が長くなって生産性が低くなってしまう。
【0025】焼結工程の温度保持過程における条件は特に限定されないが、本発明の効果を損ねないためには、温度保持過程における温度を好ましくは1350〜1500℃、より好ましくは1380〜1480℃とし、この範囲の温度域に保持する時間を好ましくは4〜12時間、より好ましくは6〜10時間とする。そして、温度保持過程におけるPo2 を好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2〜1とする。温度保持工程におけるPo2 が低いとZnの蒸発量が多くなって焼結体表面付近に組成ずれが生じ、これにより焼結体に応力が発生して高透磁率が得られにくくなる。
【0026】また、焼結工程の昇温過程における条件も特に限定されず、従来のMn−Znフェライトの焼結の際の条件と同様とすればよい。
【0027】このようにして製造された焼結磁心は、通常、緻密かつ均一な微細構造をもち、平均結晶粒径は、通常、20μm 以上、好ましくは30〜80μm である。
【0028】本発明により製造される焼結磁心は、通常、1〜100kHz 程度で用いられる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
降温過程での酸素濃度制御による比較52.8モル%のFe23 、24.9モル%のMnO、22.3モル%のZnO、60ppm のSiO2 、100ppm のCaOを含み、酸化焙焼法により製造した原料粉末に、400ppm のBi23 粉末を混合した後、粉砕した。SiO2 、CaO、Bi23 の量は、Fe23 +MnO+ZnOに対する重量比である。粉砕物にバインダとしてPVAを1重量%加えて混合し、造粒した。造粒物を1.5t/cm2 の圧力でトロイダル状(外径20mm、内径10mm、厚さ5mm)に成形し、密度3.0g/cm3 の成形体を得た。
【0030】次いで、この成形体を以下に示すように異なる条件で焼結して、表1に示す焼結体サンプルを得た。焼結の際の温度保持過程では、1450℃に9時間保った後、降温した。温度保持過程における酸素濃度Po2 と、降温過程において温度保持過程での保持温度から1150℃まで降温するまでの酸素濃度Po2 と、1150℃未満での酸素濃度Po2 とを、表1に示す。また、降温過程における冷却速度を、表1に示す。表1のサンプルNo. 107は、前記の特公平5−55463号公報の実施例と同じ酸素濃度としたものである。なお、酸素ガス以外の雰囲気ガスは、窒素ガスである。
【0031】各サンプルについて、20℃、10kHz における初透磁率μi および20℃、10kHz における相対損失係数 tanδ/μi を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】表1に示されるように、降温過程における酸素濃度制御を本発明にしたがって行なうことにより、初透磁率を高くでき、かつ相対損失係数を小さくできることがわかる。
【0034】なお、参考のために、表1のサンプルの降温過程における104 /Tとlog Po2 との関係を図2に示す。また、表2以降のサンプルについても、同様に図2に示す。ただし、log Po2 ={−28000×(1/T)+16.55}およびlog Po2 ={−28000×(1/T)+16.40}については表示を省略した。
【0035】表1のサンプルNo. 101〜105について、サンプル中の2価のFeの含有率を求めた。この結果、サンプル中の2価のFeの含有率は、1.62〜1.65重量%であった。なお、サンプル中の2価のFeの含有率は、滴定法により求めた。具体的には、まず、サンプルを粉砕して約0.2g を乾燥したフラスコに秤量し、被検体とした。次いで、窒素ガスを通しながら20%しゅう酸溶液10mlを加えて振り混ぜ、さらに、強りん酸20mlを加えて振り混ぜた後、加熱溶解した。加熱は、溶解後に泡が発生しなくなるまで持続させた。次いで、溶液を室温付近まで冷却し、窒素ガスの通気を中止した後、脱ガスした純水100mlで希釈して被検溶液とした。被検溶液に0.4%のジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム溶液を指示薬として2〜3滴加え、0.01NのK2 Cr27 標準溶液で被検溶液を滴定した。滴定の終点は、無色の被検溶液が青紫色に変化し、これが1分間以上消失しない点とした。K2 Cr27 標準溶液の滴下量(ml)をaとし、被検体の重量(mg)をWとしたとき、Fe2+量(重量%)は、Fe2+=(0.55847a/W)×100となる。
【0036】降温過程での酸素濃度制御による比較降温過程の1100℃までを表2に示す酸素濃度とし、かつ1100℃未満を実質的に無酸素雰囲気とした以外は、表1のサンプルと同様にして焼結体サンプルを作製した。これらのサンプルについても上記と同様な測定を行なった。結果を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】表2に示される結果から、降温過程の1130℃未満で酸素濃度が高すぎる場合には、高い初透磁率が得られないことがわかる。
【0039】降温過程での酸素濃度制御および冷却速度による比較特開平4−85802号公報記載の実施例に準じて、温度保持過程における保持温度を1350℃とし、温度保持過程および降温過程でのPo2 を3×10-3(0.3%)に固定し、かつ1350℃から1100℃まで降温する際の冷却速度を30℃/時間と小さくした以外は表1のサンプルと同様にして、焼結体サンプルを作製した。このサンプルについても上記と同様な測定を行なった。結果を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】表3に示される結果から、酸素濃度および冷却速度を特開平4−85802号公報記載の実施例と同様に制御すると、焼結体組成を本発明で限定する範囲内とした場合でも、高透磁率が得られないことがわかる。
【0042】焼結体組成による比較焼結体組成を表4〜8に示されるものとした以外は表1のサンプルと同様にして焼結体サンプルを作製した。これらのサンプルについても上記と同様な測定を行なった。結果を各表に示す。
【0043】
【表4】

【0044】
【表5】

【0045】
【表6】

【0046】
【表7】

【0047】
【表8】

【0048】なお、2価Feの含有率は、表4のサンプルが1.42〜1.44重量%、表5のサンプルが1.53〜1.60重量%、表6のサンプルが1.53〜1.67重量%、表7のサンプルが1.68〜1.70重量%、表8のサンプルが1.90〜1.91重量%であった。
【0049】以上の実施例の結果から、本発明の効果が明らかである。




 

 


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