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発明の名称 カラー陰極線管
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−22777
公開日 平成8年(1996)1月23日
出願番号 特願平6−153928
出願日 平成6年(1994)7月5日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】池内 寛幸 (外1名)
発明者 荒谷 純 / 岡本 隆三
要約 目的
カラー陰極線管のファンネル1とパネル2を接合する熱処理工程において、フレーム4に所定の張力を加えられた状態で支持されたシャドウマスク3の塑性変形を防止する。

構成
フレーム4をシャドウマスク34の材料よりも熱膨張係数の小さな材料で形成し、フレーム4の各辺41、42、43、44の断面2次モーメントが大きくなるような断面形状とする。
特許請求の範囲
【請求項1】 略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は多角形中空断面を有するカラー陰極線管。
【請求項2】 フレームの各辺の多角形中空断面は三角形又は四角形のいずれかである請求項1記載のカラー陰極線管。
【請求項3】 フレームは、中空材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものである請求項1又は2記載のカラー陰極線管。
【請求項4】 略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は一部が離れた略多角形状断面を有するカラー陰極線管。
【請求項5】 フレームの各辺は一部が離れた略多角形状断面は三角形又は四角形のいずれかである請求項4記載のカラー陰極線管。
【請求項6】 フレームは、板材を一部が離れた略多角形状断面を有するように折曲げたてなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものである請求項4又は5記載のカラー陰極線管。
【請求項7】 略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は略チャネル状断面を有するカラー陰極線管。
【請求項8】 フレームは、チャネル材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものである請求項7記載のカラー陰極線管。
【請求項9】 フレームは板材をプレス加工により一体に打ち抜いたものである請求項7記載のカラー陰極線管。
【請求項10】 略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は略V字状断面を有するカラー陰極線管。
【請求項11】 フレームは、略V字状アングル材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものである請求項10記載のカラー陰極線管。
【請求項12】 フレームは板材をプレス加工により一体に打ち抜いたものである請求項10記載のカラー陰極線管。
【請求項13】 フレームの各辺の内側は、シャドウマスクが支持されている一方の開放端部から他方の開放端部にかけて傾斜している請求項1〜12のいずれかに記載のカラー陰極線管。
【請求項14】 シャドウマスクは軟鋼(SPCC)で形成され、フレームは13%Cr−Fe、18%Cr−Fe、50%Ni−Fe及び42%Ni−Feから選択されたいずれかで形成されている請求項1〜13のいずれかに記載のカラー陰極線管。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ファンネルとパネルとを接合する際における、熱膨張によるシャドウマスクの塑性変形を防止するためのシャドウマスク構体を備えたカラー陰極線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】平面型カラー陰極線管の一般的な構成を図4に示す。図4において、カラー陰極線管は、ガラス等で形成されたファンネル1と、ガラス等で形成されたパネル2と、パネル2の内面に設けられた蛍光スクリーン8と、蛍光スクリーン8に略平行に設けられたシャドウマスク3と、シャドウマスク3を支持するためのフレーム4と、ファンネル部1のネックに設けられた電子銃6とを具備する。例えば、インライン型の電子銃6から出射されたRGB各色に対応する電子ビーム7は、それぞれシャドウマスク3に設けられた所定の孔を通過し、蛍光スクリーン8上のRGB各色に対応する蛍光体に到達する。電子ビーム7が照射された各蛍光体は、それぞれRGBの各色を発光し、パネル2の画面上にカラー画像が形成される。
【0003】電子銃6から出射された電子ビーム7の内、シャドウマスク3を通過して蛍光スクリーン8に到達するものは約20%であり、残りの約80%はシャドウマスク3に衝突する。シャドウマスク3は、電子ビーム7の衝突により発熱し、熱膨張により変形しようとする。ところが、シャドウマスク3はフレーム4によりその各辺を拘束されているため、シャドウマスク3の熱膨張はシャドウマスク3の表面に凹凸を生じる方向に作用する。ここで、仮にシャドウマスク3の表面が凹凸に変形したとすると、シャドウマスク3に設けられている孔の位置と蛍光スクリーン8の各蛍光体の位置とが対応しなくなる。そうすると、シャドウマスク3の孔を通過した電子ビームは本来到達すべき蛍光体とは異なる蛍光体に到達し、本来の色とは異なった色が発光する。もしくは、本来照射すべき蛍光体を完全に照射せず、その部分の輝度が下がり、色むらが発生する。その結果、パネル2の画面上に形成される画像の色純度が低下し、画質が低下する。
【0004】従って、シャドウマスク3の変形による画質の低下を防止するために、従来からシャドウマスク3に一定の張力を加えた状態でフレーム4に固定することが行われている。このようにシャドウマスク3にあらかじめ一定の張力を加えておくことにより、電子ビームの衝突によりシャドウマスクが発熱し熱膨張したとしても、シャドウマスク3に加えられた張力により変形が吸収され、シャドウマスク3の表面に凹凸が生じることがなくなる。その結果、シャドウマスク3と蛍光スクリーン8とが略平行に保たれ、シャドウマスク3の孔と蛍光スクリーン8の蛍光体との位置関係が対応し、色純度の低下を防止することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】カラー陰極線管の組立ては、パネル2の内側に蛍光スクリーン8を形成し、フレーム4に支持されたシャドウマスク3を組込んだ後、ファンネル1とパネル2とを加熱し、ガラスどうしの接着によりファンネル1とパネル2とを結合し、ファンネル1のネックに電子銃6を組み込む。ファンネル1とパネル2とを結合させるために、例えば400〜500℃という高温で熱処理を行わなければならず、また、この熱処理に長時間(例えば2〜3時間)を要する。そのため、シャドウマスク3やフレーム4等も同時に400〜500℃に加熱され、その後冷却される。ところが、シャドウマスク3及びフレーム4が加熱及び冷却の熱処理を受けると、シャドウマスク3が塑性変形を起こす。
【0006】次に、シャドウマスク3が塑性変形を起こすメカニズムを図5を参照しつつ説明する。図5(a)は初期状態、すなわち常温におけるシャドウマスク3とフレーム4の状態を示す。常温では、シャドウマスク3には、一定の張力(図中、矢印で示す)が加えられており、表面が平坦となるようにフレーム4に支持されている。なお、シャドウマスク3及びフレーム4の材料として、一般的によく用いられる軟鋼が用いられている。また、シャドウマスク3の厚さは0.02mm程度、フレーム4の厚さは1.8〜2mm程度である。
【0007】次に、図5(b)は、ファンネル1とパネル2とを接合するために加熱を開始した直後の昇温開始状態を示している。フレーム4の厚さはシャドウマスク3の厚さの約100倍もあるため、シャドウマスク3の熱容量はフレーム4の熱容量よりもはるかに小さい。そのため、昇温開始直後はシャドウマスク3の方が先に温度が高くなり、大きく膨張する。一方、フレーム4も若干は膨張するが、シャドウマスク3ほどではないため、シャドウマスク3の熱膨張による変形は、(b)に示すように表面を凹凸させるように作用する。このとき、シャドウマスク3に加えられた張力は、シャドウマスク3の熱膨張により緩和される。
【0008】図5(c)は、シャドウマスク3及びフレーム4の温度が均一になった状態、すなわち400〜500℃に加熱された高温安定状態を示している。この時、シャドウマスク3及びフレーム4は、図中2点鎖線で示す初期状態とほぼ相似形となっており、シャドウマスク3には初期状態とほぼ等しい張力が加わる。ところが、高温条件下では、シャドウマスク3の材料の弾性限界は、常温における値よりも著しく低下する。材料によっては、常温で例えば15Kgf/mm2であった弾性限界が、400〜500℃では6Kgf/mm2程度にまで下がる場合もある。そのため、シャドウマスク3に加えられていた張力の大きさによっては、この時点で塑性変形が生じる場合がある。
【0009】図5(d)は、ファンネル1とパネル2との接合工程において、加熱を終了した直後の降温開始状態を示している。前述のように、シャドウマスク3の熱容量の方がフレーム4の熱容量よりもはるかに小さいため、シャドウマスク3の収縮量の方が大きい。そのため、シャドウマスク3は図中2点鎖線で示すように内側に湾曲するように変形しようとするが、フレーム4に拘束されているため、実際にはほとんど変形しない。その結果、シャドウマスク3の収縮しようとする力はシャドウマスクの張力を増加させる方向に作用する。仮に、(c)に示した段階でシャドウマスク3が塑性変形が生じていなかったとしても、(d)に示す段階で、もともとシャドウマスク3に加えられていた張力に、さらにシャドウマスク3の収縮力が加わり、材料の弾性限界を超え塑性変形が生じる。
【0010】塑性変形を起こしたシャドウマスク3では、最初に加えた張力が低下しているため、電子ビームの衝突によりシャドウマスク3が発熱し熱膨張したとしても、シャドウマスク3に加えられた張力により変形を吸収することはできず、シャドウマスク3の表面に凹凸が生じ、シャドウマスク3と蛍光スクリーン8とが略平行に保たれなくなる。そのため、シャドウマスク3の孔と蛍光スクリーン8の蛍光体との位置関係が対応せず、色純度が低下し画質が低下する。すなわち、シャドウマスクに張力を加える本来の目的である「パネル2の画面上に形成される画像の色純度が低下し、画質が低下するという問題を解決する」ことができなくなる。さらに、シャドウマスク3は常温状態において所定の張力が加えられているため、シャドウマスク3の張力の大きさ及びフレーム4の機械的強度によっては、フレーム4が変形してしまうという問題点を有していた。
【0011】本発明は以上のような問題点を解決するためになされたものであり、ファンネルとパネルとを接合させるために熱処理を行う際、シャドウマスクに加わる張力を緩和し、シャドウマスクの塑性変形を防止するとともに、シャドウマスクの張力による変形を防止したシャドウマスク構体を備えたカラー陰極線管を得ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のカラー陰極線管は、略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は多角形中空断面を有するように形成されている。上記構成において、フレームの各辺の多角形中空断面は三角形又は四角形のいずれかであることが好ましい。また、上記構成において、フレームは、中空材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものであることが好ましい。
【0013】または、本発明のカラー陰極線管は、略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は一部が離れた略多角形状断面を有するように形成されている。上記構成において、フレームの各辺は一部が離れた略多角形状断面は三角形又は四角形のいずれかであることが好ましい。また、上記構成において、フレームは、板材を一部が離れた略多角形状断面を有するように折曲げたてなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものであることが好ましい。
【0014】または、本発明のカラー陰極線管は、略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は略チャネル状断面を有するように形成されている。上記構成において、フレームは、チャネル材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものであることが好ましい。または、上記構成において、フレームは板材をプレス加工により一体に打ち抜いたものであることが好ましい。
【0015】または、本発明のカラー陰極線管は、略矩形断面を有するフレームの一方の開口端部にシャドウマスクを所定の張力を加えた状態で支持したシャドウマスク構体を備え、前記シャドウマスク構体は、前記フレームが前記シャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成され、前記フレームの各辺は略V字状断面を有するように形成されている。上記構成において、フレームは、略V字状アングル材を所定の形状に切断してなる各辺の構成部材を、各辺の接合部において溶接したものであることが好ましい。または、上記構成において、フレームは板材をプレス加工により一体に打ち抜いたものであることが好ましい。
【0016】また、上記各構成において、フレームの各辺の内側は、シャドウマスクが支持されている一方の開放端部から他方の開放端部にかけて傾斜していることが好ましい。また、上記各構成において、シャドウマスクは軟鋼(SPCC)で形成され、フレームは13%Cr−Fe、18%Cr−Fe、50%Ni−Fe及び42%Ni−Feから選択されたいずれかで形成されていることが好ましい。
【0017】
【作用】以上のように、本発明のカラー陰極線管によれば、フレームをシャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成したので、シャドウマスク及びフレームが均一な温度に加熱された高温安定状態でも、フレーム膨張の方がシャドウマスクの膨張よりも小さい。従って、シャドウマスクはその張力が緩和される方向へ変形され、場合によってはシャドウマスクの表面には図5(b)に示すような凹凸が形成される。その結果、本発明では、図5(c)及び(d)に示した状態になることはなく、シャドウマスクの材料の弾性限界が、高温時において著しく低下したとしても、シャドウマスクに塑性変形は生じない。
【0018】また、フレームの各辺を多角形中空断面、一部が離れた略多角形状断面、チャネル状断面又は略V字状断面を有するように形成することにより、各辺の断面2次モーメントが増加し、フレームの機械的強度が増加する。そのため、常温状態においても、フレームはシャドウマスクの張力によっては変形されない。
【0019】また、フレームの各辺が多角形中空断面を有する場合、フレームの各辺の多角形中空断面を三角形又は四角形のいずれかにすることにより、市販の汎用中空パイプ等を用いることができ、材料の調達が容易になるとともに製造コストを下げることができる。また、中空材を所定の形状に切断した各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにより、フレームの組立てが容易になり、また自動化を図ることができる。
【0020】同様に、フレームの各辺が一部が離れた略多角形状断面を有する場合、略多角形を三角形又は四角形のいずれかにすることにより、板材をプレス加工することにより各辺の構成部材を容易に加工することができる。また、板材を一部が離れた略多角形状断面を有するように折曲げた各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにっても、フレームの組立てが容易になり、また自動化を図ることができる。
【0021】同様に、フレームの各辺が略チャネル状断面又は略V字状断面を有する場合、チャネル材又は略V字状アングル材を所定の形状に切断した各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにより、材料の調達が容易になりまた歩留りが向上する。または、フレームを、板材をプレス加工により一体に打ち抜いて形成することにより、加工工程を少なくすることができる。
【0022】また、シャドウマスクを軟鋼(SPCC)で形成し、フレームを13%Cr−Fe、18%Cr−Fe、50%Ni−Fe及び42%Ni−Feから選択されたいずれかで形成することにより、フレームの熱膨張係数がシャドウマスクの熱膨張係数よりも小さくなり、高温安定時におけるシャドウマスクの塑性変形を防止することができる。
【0023】
【実施例】本発明のカラー陰極線管のシャドウマスク構体の好適な一実施例について、図1から図3までを参照しつつ説明する。図1は、常温におけるフレーム及びシャドウマスクの状態を示す斜視図であり、図2は高温安定状態におけるシャドウマスク及びフレームの変形の状態を示す斜視図である。また、図3において、(a)〜(f)はそれぞれフレームの各辺のA−A断面形状を例示した断面図である。
【0024】図1において、フレーム4の開口部分は略矩形断面を有し、その一方の開口端部45には所定の張力を加えた状態でシャドウマスク3が支持されている。フレーム4の各辺41、42、43、44は、カラー陰極線管の画面の水平方向及び垂直方向に対応する。フレーム4の各辺41、42、43、44はそれぞれ図3に例示列挙するようなA−A断面形状を有している。また、フレーム4の各辺41、42、43、44の内側は、シャドウマスク3が支持されている一方の開放端部45から他方の開放端部46にかけて傾斜している。
【0025】シャドウマスク3の材料として、従来例と同様に一般的によく用いられる軟鋼(SPCC)を用いる。シャドウマスク3の厚さは従来例と同様に0.02mm程度である。フレーム4の大きさは、例えば短辺250mm×長辺330mm×幅40mmである。また、フレーム4の材料は、例えば13%Cr−Fe、18%Cr−Fe、50%Ni−Fe、42%Ni−Fe等の軟鋼よりも熱膨張係数の小さな材料を用いる。軟鋼(SPCC)の熱膨張係数は12〜14×10-6/℃程度、13%Cr−Fe及び18%Cr−Feの熱膨張係数は11〜12×10-6程度、50%Ni−Feの熱膨張係数は9〜10×10-6程度、42%Ni−Feの熱膨張係数は7〜9×10-6/℃程度である。なお、フレーム4の各辺は図3に例示列挙するように、断面2次モーメントが大きくなるような形状をしているため、その肉厚を従来例(1.8〜2.0mm程度)よりも薄くすることができる。
【0026】次に、フレーム4の各辺の断面形状について説明する。図3(a)はフレーム4の各辺の断面形状が四角形(台形)の中空である場合を示している。また、図3(d)はフレーム4の各辺の断面形状が三角形の中空である場合を示している。これらの場合、各辺41、42、43、44の断面2次モーメントが増加し、フレームの機械的強度が向上する。フレーム4の組立ては、中空材を各辺の形状に合せて所定の形状に切断し、切断された各辺の構成部材をそれらの接合部で溶接することにより行う。
【0027】図3(b)はフレーム4の各辺の断面形状が一部が離れた略四角形状である場合を示し、図3(e)は同じく略三角形の場合を示している。このように各辺の断面の一部を離すことにより、板材をプレス加工することにより各辺の構成部材を容易に加工することができる。フレーム4の組立ては、各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接することにより行う。
【0028】図3(c)はフレーム4の各辺の断面形状が略チャネル状である場合を示し、図3(f)は同じく略V字状の場合を示している。これらの場合、チャネル材又は略V字状アングル材を所定の形状に切断することにより、各辺の構成部材を容易に加工することができ、材料の調達が容易になりまた歩留りが向上する。フレーム4の組立ては、各辺の接合部において溶接することにより行う。または、これらの場合、板材をプレス加工により一体に打ち抜いてフレーム4を形成することも可能である。後者の場合、加工工程を少なくすることができる。
【0029】以上のように構成されたカラー陰極線管のシャドウマスク構体を加熱し、シャドウマスク3及びフレーム4の温度が均一に例えば400〜500℃になったとする。フレーム4の熱膨張係数はシャドウマスク3の熱膨張係数よりも小さいため、最初シャドウマスク3の大きさとほぼ等しかったフレーム4の開口端部45の大きさは、高温状態ではシャドウマスク3の膨張により相対的に小さくなる。その結果、シャドウマスク3は図5(d)に示す従来例のようにフレーム4に引張られるのではなく、逆にフレーム4の相対的な収縮により押し縮められる。その結果、シャドウマスク3に加えられた張力は減少し、場合によってはシャドウマスク3の表面に凹凸32が形成され、弾性限界を超えることはない。従って、シャドウマスク3には塑性変形が生じない。
【0030】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、フレームをシャドウマスクの材料の熱膨張係数よりも小さな熱膨張係数を有する材料で形成したので、シャドウマスク及びフレームが均一な温度に加熱された高温安定状態でも、フレーム膨張の方がシャドウマスクの膨張よりも小さくなり、シャドウマスクはその張力が緩和される方向へ変形され、場合によってはシャドウマスクの表面には凹凸が形成される。その結果、シャドウマスクの材料の弾性限界が、高温時において著しく低下したとしても、シャドウマスクに塑性変形は生じない。
【0031】また、フレームの各辺を多角形中空断面、一部が離れた略多角形状断面、チャネル状断面又は略V字状断面を有するように形成することにより、各辺の断面2次モーメントが増加し、フレームの機械的強度が増加する。そのため、常温状態においても、シャドウマスクの張力によるフレームの変形を防止することができる。
【0032】また、フレームの各辺が多角形中空断面を有する場合、フレームの各辺の多角形中空断面を三角形又は四角形のいずれかにすることにより、市販の汎用中空パイプ等を用いることができ、材料の調達が容易になるとともに製造コストを下げることができる。また、中空材を所定の形状に切断した各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにより、フレームの組立てが容易になり、また自動化を図ることができる。
【0033】また、フレームの各辺が一部が離れた略多角形状断面を有する場合、略多角形を三角形又は四角形のいずれかにすることにより、板材をプレス加工することにより各辺の構成部材を容易に加工することができる。また、板材を一部が離れた略多角形状断面を有するように折曲げた各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにっても、フレームの組立てが容易になり、また自動化を図ることができる。
【0034】また、フレームの各辺が略チャネル状断面又は略V字状断面を有する場合、チャネル材又は略V字状アングル材を所定の形状に切断した各辺の構成部材を各辺の接合部において溶接してフレームを形成することにより、材料の調達が容易になりまた歩留りが向上する。または、フレームを、板材をプレス加工により一体に打ち抜いて形成することにより、加工工程を少なくすることができる。
【0035】また、シャドウマスクを軟鋼(SPCC)で形成し、フレームを13%Cr−Fe、18%Cr−Fe、50%Ni−Fe及び42%Ni−Feから選択されたいずれかで形成することにより、フレームの熱膨張係数がシャドウマスクの熱膨張係数よりも小さくなり、高温安定時におけるシャドウマスクの塑性変形を防止することができる。


 

 


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