発明の名称 |
個別ダイオード装置 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開平8−32091 |
公開日 |
平成8年(1996)2月2日 |
出願番号 |
特願平7−126856 |
出願日 |
昭和60年(1985)6月4日 |
代理人 |
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発明者 |
樋口 泰之 |
要約 |
目的 抵抗値の安定し得る個別ダイオード装置を提供する。
構成 半導体基板10を第1導電領域とし、前記半導体基板の表面に第2導電領域12が形成された個別ダイオード装置において、前記半導体基板の表面に形成され、前記第1導電領域と通じる貫通穴を有する単一層からなる酸化膜13と、前記酸化膜の上面に形成され、一方端が前記貫通穴の周辺領域まで形成されたポリシリコン成長膜による薄膜抵抗15と、この薄膜抵抗の一方端、前記酸化膜の貫通穴の周辺領域および前記貫通穴内の第1導電領域を覆うように形成された電極14と、を有することを特徴とする個別ダイオード装置である。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 半導体基板を第1導電領域とし、前記半導体基板の表面に第2導電領域が形成された個別ダイオード装置において、前記半導体基板の表面に形成され、前記第1導電領域と通じる貫通穴を有する単一層からなる酸化膜と、前記酸化膜の上面に形成され、一方端が前記貫通穴の周辺領域まで形成されたポリシリコン成長膜による薄膜抵抗と、この薄膜抵抗の一方端、前記酸化膜の貫通穴の周辺領域および前記貫通穴内の第1導電領域を覆うように形成された電極と、を有することを特徴とする個別ダイオード装置。
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発明の詳細な説明
【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、1つのパッケージに収納された個別ダイオード装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ビデオテープレコーダ等、多数の各種電子回路を複合して構成される電子機器では、その構成回路を集積回路(IC)化することが機能面で不利になる場合や回路定数の設定等によりIC化が困難な場合がある。例えばダイオードは、その整流特性と順方向電圧降下特性を利用したクリップ回路、スライス回路、クランプ回路、電圧電流特性を利用した関数発生回路、また、整流特性を利用した電流の逆流防止回路など様々な回路部分に用いられるが、このように種々の目的に使用可能なダイオードは個別部品としての用途も多く、他のチップ部品とともにプリント基板に個別に実装されている。 【0003】ダイオードを用いた前記各種回路は、そのほとんどの場合、図3に示すようにダイオードDのアノード側に抵抗Rが接続されているか、図4に示すようにダイオードDのカソード側に抵抗Rが接続されている。したがって、個別部品としてダイオードを用いる場合には、ほとんどの場合、個別部品としての抵抗器も必要となる。このようにダイオードを用いた回路を個別部品で構成する場合、プリント基板上の部品実装面積が大きくなり、電子機器の小型軽量化を妨げ、またプリント基板に対する実装工程も多くなり、この種の回路を数多く必要とするビデオテープレコーダ等の電子機器では部品コストとともに製造コストも嵩む。 【0004】このため、ダイオードを構成する半導体基板上に抵抗を形成し、その抵抗の一端をダイオードの一方と接続して素子の複合化を図り、個別部品または集積回路では得ることのできない利点を持つ個別ダイオード装置の提供が要望されている。 【0005】このような要望に答えるべく、先行技術としての特開昭59−74665号公報に記載の入力保護回路は、図5に示すように、第1導電領域としての半導体基板1と、この第1導電領域と通じる貫通穴2を有する第1の酸化膜3と、この第1の酸化膜3上に形成された抵抗層4と、この抵抗層4上面における両端部に通じる貫通穴5、6および第1導電領域と通じる貫通穴2を有する第2の酸化膜7と、上記貫通穴2内および抵抗層4上の一方の貫通穴6を一体的に覆い且つ半導体基板1と通じる電極部8と、を有する構造になっている。 【0006】また、一般に、第1の酸化膜3上に形成される抵抗層4は、その形成される幅寸法がその長さ方向において一定することが少なく、その幅寸法を大きくした状態にして長さ方向における幅寸法の変化率をできるだけ小さくし、抵抗値が少しでも一定するように形成されている。このため、例えば大きな抵抗値を必要とした場合、抵抗層4をその長さ寸法をできるだけ大きくし、これにともなってその幅寸法を大きくすることにより所定の抵抗値を得ようとしている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような構造において、電極部8は、第2の酸化膜7を跨ぐように半導体基板1と抵抗層4とを電気的に接続させているので、第2の酸化膜7を跨ぐ分、電極部8の長さ寸法が大きくなり、これにともなって抵抗層4の長さ寸法が短くなる傾向にある。このため、さらに抵抗層4の長さ寸法を大きくして、その長さ方向における幅寸法の変化率を低減させて、安定し且つ大きな抵抗値を得ることのできる構造を有するものが望まれている。 【0008】この発明の目的は、抵抗値の安定し得る個別ダイオード装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】この発明は、半導体基板を第1導電領域とし、前記半導体基板の表面に第2導電領域が形成された個別ダイオード装置において、前記半導体基板の表面に形成され、前記第1導電領域と通じる貫通穴を有する単一層からなる酸化膜と、前記酸化膜の上面に形成され、一方端が前記貫通穴の周辺領域まで形成されたポリシリコン成長膜による薄膜抵抗と、この薄膜抵抗の一方端、前記酸化膜の貫通穴の周辺領域および前記貫通穴内の第1導電領域を覆うように形成された電極と、を有することを特徴とする個別ダイオード装置とする。 【0010】 【発明の作用および効果】この発明の個別ダイオード装置では、半導体基板上に酸化膜が単一層に形成されているので、この酸化膜上に形成されたポリシリコン成長膜による薄膜抵抗を、第1の導電領域に通じる貫通穴に近づく領域まで形成することが可能になる。このため、薄膜抵抗を、その長さ寸法を大きくすることができ、この長さ寸法を大きくした分、例えば大きな抵抗値を必要とする際に、その幅寸法を大きくすることができるので、抵抗値をより安定させることが可能となる。 【0011】また、この発明によれば、ダイオードと抵抗を接続した回路部分に本願発明の個別ダイオード装置を適用することができ、従来の個別ダイオードを用いていた箇所に本願発明の個別ダイオード装置を用いることにより、個別部品としての抵抗器が不要となる。また、3端子構造を有する個別トランジスタ装置と同様のパッケージに収納することができ、個別トランジスタ装置と同等に取り扱うことができる。そのため、電子回路としての汎用性だけでなく、基板に対する実装方法も汎用化され、電子機器の小型軽量化に寄与する。更に、この発明によれば、抵抗回路として、酸化膜の表面にポリシリコン成長膜による薄膜抵抗を形成したため、例えば拡散抵抗によるものに比較して、抵抗回路の占有面積が小さく全体に大型化しない、組成,膜厚の制御が容易であり抵抗値を広範囲に亘って正確に設定することができる、隣接する他の層間の寄生容量(浮遊容量)が小さく高周波特性に優れる、許容電流値および耐圧上の問題が生じない、などの効果もある。 【0012】 【実施例】図1は、この発明の実施例である個別ダイオード装置のペレット部の断面図である。図1において10はN+ の半導体基板、11はN層であり、これらは第1導電領域として作用する。12は第2導電領域であるP層、13は11の表面部を覆い且つP層12と通じる貫通穴を有するSiO2 等で形成された単一層からなる酸化膜、15は一方端が酸化膜13の貫通穴の周辺領域まで形成されたポリシリコンの薄膜抵抗である。14,14’はそれぞれアルミニウムや金等による電極であり、電極14は薄膜抵抗の他方端に導通する第1の電極として作用し、14’は薄膜抵抗15の一方端とP層12とに導通する第2の電極として作用する。すなわち、電極14’は、薄膜抵抗15の一方端、酸化膜13の貫通穴の周辺領域および貫通穴内の第1導電領域を覆うように形成されている。図1においてT1,T2,T3は図3に示した各端子の記号と一致している、即ちT1は抵抗の他方の端子、T2は抵抗の一方の端子およびダイオードのアノード端子、T3はダイオードのカソード端子である。 【0013】図1に示したペレットは従来の3端子型トランジスタのパッケージングと同様に、先ず、ペレットを端子T3に連続するリードフレームにダイボンディングし、電極14,14’をリードボンディング等により端子T1,T2にそれぞれ電気的に接続する。 【0014】図1に示した個別ダイオード装置のペレットの製法手順は次の通りである。 【0015】まず、N+ の半導体基板(ウエハー)に対してN層をエピタキシャル成長させる。このようにドーピング濃度を設定することにより、ダイオードの順方向電圧降下の値を小さくする。次に、その表面に熱酸化法によりシリコン酸化膜13を形成する。次に、前記酸化膜13の所定位置つまりダイオードのアノードを形成すべき位置にエッチングにより窓を開ける。続いて、この窓に対してP層12を拡散により形成する。その後、酸化膜の表面にポリシリコンの薄膜をCVD法により成膜する。そしてポリシリコンの膜をパターンニングすることにより薄膜抵抗15を得る。更に、表面にアルミニウムや金等の金属膜を蒸着により形成し、図1に示すように、薄膜抵抗の一方端と、薄膜抵抗の他方端およびP層12の上部に電極14,14’をパターンニングする。その後、ウエハーをスクライビングしてペレットとして分離する。 【0016】上記実施例はダイオードのアノード側に抵抗を接続したものであったが、逆にダイオードのカソード側に抵抗を接続することもできる。図2はその例を示す半導体装置の断面図である。 【0017】図2において20はP+ の半導体基板、21はP層、22はN層である。つまり端子T2がカソード、端子T3がアノードとなる。このように形成することにより、図4に示したような回路ユニットが構成される。 【0018】以上に示した実施例によれば、従来の個別ダイオード装置と同様のサイズに薄膜抵抗を形成することができ、ウエハーあたりの取り数を下げることなく製造できる。 【0019】また、薄膜抵抗15は、図1に示しているよりも、酸化膜13の貫通穴の外周縁部により近づけることができることは言うまでもない。
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