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発明の名称 構造物の耐震支持構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−27811
公開日 平成8年(1996)1月30日
出願番号 特願平6−188998
出願日 平成6年(1994)7月20日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 学
発明者 米田 良三
要約 目的
地震の水平力を構造物に全く伝えず、地震の揺れによって構造物が壊れることはなく、建物内にいる人や物が地震の水平力の影響を受けることのない構造物の耐震支持構造を提供する。

構成
構造物の重量に耐え得る地耐力を有する地盤の表面に該構造物を所要の支持位置で支持するために、各支持位置に、前記地盤内に埋め込まれて上面が水平な仕上面となるように配置された多数の根石と、上面と下面が互いに平行な平面をなし前記多数の根石による前記仕上面と該下面との間で摩擦力を生ずるように配置された礎石と、該礎石の上面上で前記構造物を支持するように配置され該礎石の上面と接する底面は中央部を穿って周縁部のみが該礎石の上面に摩擦力を保持して接するような形状を有するように形成された柱脚とを備えた構成を有している。
特許請求の範囲
【請求項1】 構造物の重量に耐え得る地耐力を有する地盤の表面に該構造物を所要の支持位置で支持するために、各支持位置に、前記地盤内に埋め込まれて上面が水平な仕上面となるように配置された多数の根石と、上面と下面が互いに平行な平面をなし前記多数の根石による前記仕上面と該下面との間で摩擦力を生ずるように配置された礎石と、該礎石の上面上で前記構造物を支持するように配置され該礎石の上面と接する底面は中央部を穿って周縁部のみが該礎石の上面に摩擦力を保持して接するような形状を有するように形成された柱脚とを備えて、前記地盤内の地震による水平方向の振動波により前記根石が回転することと、前記根石が地盤面上で水平方向の滑りを起すことにより前記構造物に対する耐震機能を有せしめた構造物の耐震支持構造。
【請求項2】 前記柱脚の底面がリング状であることを特徴とする請求項1に記載の構造物の耐震支持構造。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地震による水平力を構造物に伝えない耐震支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】地震によって構造物が崩壊しないということは、外力としての地震エネルギーよりも大きなエネルギー保有の能力が、その構造物にあることである。そのため外力として十分大きな地震力と、これに耐える能力を必要保有水平耐力として構造物に求め、それらを比較して安全を保証しており、想定した地震力まで崩壊しない構造物がつくられている。従って、想定より大きい地震が起れば、構造物は壊れる可能性がある。また、想定した範囲の地震が起り構造物が壊れなかったとしても、例えば超高層建築物の上層階にいる人や物が、地震の水平力を解消するように構成された建物の揺れに耐えられるかどうかは不明である。
【0003】一方、免震構造物といわれるものも、「地震動の性質を考慮し、その影響をできるだけ小さく抑えるような配慮を特に施した構造物」と定義されるように、スリップ方式と弾性方式の二つに代表される免震装置を施しているが、構造物自体は地震の水平力を受けることを前提としている。また、制震構造と呼ばれる新しい構造形式が開発されつつあるが、これは地震による構造物の動きを人為的に制御する構造で、やはり構造物自体は地震の水平力を受けることを前提としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように現在の構造物は全て地震の水平力を受けることを前提としてつくられており、構造物自体に地震の水平力に対応した水平耐力を要求している。このような要求を満たすために構造物に地震の水平力を伝達しないようにする耐震支持構造として本願発明者は「構造物の耐震支持構造」(特願平5−211102号参照)を提案した。この先願の構造は柱脚と礎石の関係(上部構造と呼ぶことにする)に重点を置いている。さらに、その後の検討により、根石をはさんだ礎石と地盤との関係(下部構造と呼ぶことにする)自体も構造物に地震の水平力を伝達しない耐震支持構造の重要な要素を形成していることが明らかとなった。
【0005】本発明は、上部構造とともに下部構造についても考慮したうえで、前提とされてきた地震の水平力を構造物に全く伝えず、地震の揺れによって構造物が壊れることはなく、建物内にいる人や物が地震の水平力の影響を受けることのない構造物の耐震支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を解決するために、本発明による構造物の耐震支持構造は、構造物の重量に耐え得る地耐力を有する地盤の表面に該構造物を所要の支持位置で支持するために、各支持位置に、前記地盤内に埋め込まれて上面が水平な仕上面となるように配置された多数の根石と、上面と下面が互いに平行な平面をなし前記多数の根石による前記仕上面と該下面との間で摩擦力を生ずるように配置された礎石と、該礎石の上面上で前記構造物を支持するように配置され該礎石の上面と接する底面は中央部を穿って周縁部のみが該礎石の上面に摩擦力を保持して接するような形状を有するように形成された柱脚とを備えて、前記地盤内の地震による水平方向の振動波により前記根石が回転することと、前記根石が前記地盤面上で水平方向の滑りを起すことにより前記構造物に対する耐震機能を有せしめた構成を有している。
【0007】
【実施例】図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は本発明による支持構造を示す断面略図である。地盤1は改良地盤・人工地盤等のように構造物2を支える地耐力を有する良好な地盤とする。礎石3の位置に根石4を敷き地盤1に十分叩き込む。これにより各根石4の上端は、地盤1と一体となった石による水平の仕上面を形成する。根石4の上に上端が水平面となる礎石3を置き、礎石3の上端面に構造物2の柱脚5を据える。礎石3の自重と上に乗る構造物2の重量が加わって、根石4と礎石3との接触面に十分に大きい摩擦力が生じる。柱脚5の底面と礎石3との接触面についても同様である。しかし、もちろん礎石3は根石4に対して、また、柱脚5は礎石3に対して接合されている訳ではない。柱脚5の底面は水平を保つように造られており、その底面の外周は円又は正多角形等の円に内接する如き外形とし、さらに底面の中央部を穿って周縁部のみが礎石3の上面に接するリング形状の横断面となるように形成されている。
【0008】<下部構造>地盤1と根石4と礎石3との関係である。根石4はいわゆる割栗石と呼ばれる形状のもので割栗石と同様の強度が必要である。栗の実のように小端立てに設置する。地盤1は上部の加重はもちろん、地震時の鉛直加重の増加分にも耐える版築地盤とする。この関係を有する工法は従来からあったが、免震性に着目されたことはない。地震力αに対して、根石4と礎石3がどう動くかを、図2で説明する。地盤1が地震力αによって右に動く時、根石4の下端は地盤1と接しており、地盤1と共に右に動く。根石4は礎石3と柱脚5の重量を加えた存在として地盤1に接している。地震が起こった時、重量中心である根石4の上端部は、慣性の法則によりその位置に留まろうとする。これにより、根石4は左に回転することになる。もちろん長周期の地震力αによって根石4が回転することはない。割栗石形状の根石4が回転する範囲の地震力αはこの回転により解消し、礎石3と柱脚5には及ばない。地震力αがさらに大きくなれば、根石4は左に転び切った状態になる。この時、根石4と礎石3と柱脚5は地震力αに対して一体の存在となる。全体が−αの慣性力を受ける存在となり、その位置に留まろうとする。従って、地盤1は地震力αによって右に動き、根石4の下面を滑ることになる。根石4と礎石3と柱脚5は地震力αを受けない状態となる。以上のように地盤1と根石4と礎石3の関係は全ての地震力に対応する免震性能を有している。このことは関東大震災の体験者が余震に揺れるなかで、唯一、市電の敷石の上を歩くことが可能であったと述べていることと合致する。また石灯籠などが地震による崩壊を免れることの原理である。すなわち、重量が大きく、重心の低い構造物の免震工法が成り立っている。
【0009】<上部構造>以上から分かるように、従来の工法の根石4は下端を中心として、地震力α(長周期の地震力を除く)によって回転する。その上に乗る礎石3は地震力αを受けないが、根石4の回転により礎石3の上端面が水平に保たれているとは言えない。礎石3の上端面が水平を保ち、地震力αを受けなければ、建物は壊れることはないわけだが、過去に造られた礎石建物のいくつかは壊れている。従って、礎石3上端面と柱脚5の底面に一つの工夫が必要である。では、この工法の上部構造である礎石3と柱脚5の関係をみよう。ここで、礎石3が地震力αで動く根石4の上にあり、根石4が地盤と一体となっており、回転しないものと仮定しよう。その場合、礎石3には地震力αによって図2のように左に回転させようとする力βが働く。柱脚5の底面の外周が円であれば、任意の地震力において、礎石3に働く力は摩擦力の伝達される点X(実際は線である)について見れば図2に示す力W1 ,W2 ,βのみである。即ち、礎石3は慣性力βにより左回りに回転しようとし、構造物2の自重をW1 ,礎石3の自重をW2 とすれば、その回転力Fはaβ(W1 +W2 )である。一方この回転を止めようとする右回りの力として、礎石3の自重W2 と柱脚5に加わる構造物2の重量W1 があり、その力は【0010】
【数1】
bW2 +(b+R)W1 =b(W1 +W2 )+RW1である。
b(W1 +W2 )+RW1 −aβ(W1 +W2 )>0 ………(1)
であれば、礎石は回転しない。
【0011】図2に具体的な数値を想定してみる。慣性力βは地震力αと大きさは同じで方向が反対である。βの値として0.2Gを想定する。柱脚5に加わる構造物2の重量W1 は通常数トンから数十トンであり、5トン=5000kgを想定する。他の値も通常の構造物2の数値を次のように想定する。
【0012】
【数2】a=0.54m ,b=0.45m,R=0.235m,W1 =5000kg,W2 =400kg,β=0.2G(1)式にこの値を入れると、b(W1 +W2 )+RW1 −aβ(W1 +W2 )=0.45×(5000+400)+0.235×5000−0.54×0.2×(5000+400)=3021.8>0【0013】即ち、地震力によって礎石3は回転しようとするが、回転を止めようとする力が圧倒的に大きく回転力は解消される。
【0014】以上の本発明の動作(Dynamic)原理を模型を例にとってさらに説明する。ところで(1)式のbは柱脚5の中心軸から礎石3の回転中心点Xまでの距離であり、礎石3の底面の形状によって決まる。b=0は礎石3の回転中心が柱脚5の中心軸上にあることを意味する。例えば、礎石3の下部が半球の場合である。このとき【0015】
【数3】b(W1 +W2 )=0となり、(1)式から次の式を得る。
RW1 −aβ(W1 +W2 )>0 ……………(2)
RW1 がaβ(W1 +W2 )より大きければ、礎石は回転しない。
【0016】先の具体的な数値でb=0としたとき【数4】
RW1 =0.235×5000=1175(kg・m)
aβ(W1 +W2 )=0.54×0.2×(400+5000)=583.2(kg・m)
となり、(2)式は成り立っている。
【0017】以上のように柱脚5のリング形状底面は、礎石3が回転したとき、リング形状底面が接触する礎石3の上面で最大に変位する点Yに、構造物2の重量W1 を瞬時に移動させる装置となっており、構造物2の重量W1 を効率よく利用し、礎石3を回転させないのである。
【0018】次に本発明の原理を実証する模型として球に乗った構造物の例を図3を提示する。Aはアクリルプレート、BはアクリルプレートAに垂直に接着されたアクリルパイプ、CはアクリルパイプBの下端に回転自在にとりつけられたアクリル球、DはA上の重しである。図4はその柱脚の1つの断面図である。アクリルパイプBの内径Rの円と球Cとの接触部は線状であるが、図2の柱脚底面を表わしている。アクリルパイプBに加わる重量をW1 、球Cの重量をW2 、W1 が点Yに作用する時の(W1 +W2 )の重心の高さをaとする。このとき摩擦面上の球に地震力αに比例した慣性力βが右から加わり、球Cは左回りに回転する。しかし構造物の重量W1 が点Yに加わり、次の瞬間球は右回りに回転することを観察することができる。これは慣性力βを受けた点線の礎石に加わる力の様子を表していることになる。点Xに関する力を考えると、左回りの力aβ(W1 +W2 )を、右回りの力RW1 が解消しているのである。提示した原理模型は、図2において柱脚底面を水平に保ち、その底面形状をリング状にすることが、この構造の基本であることを示している。
【0019】また、この原理模型からこの構造は免震工法の一つである図5の如きボールベアリングの上の構造物の一種であることは明らかである。図5の場合、構造物2’はボールベアリング4’の中心に関して地震による地盤1’の変位と対称に変位する。
【0020】しかし、本発明の構造の場合、下部構造によって(礎石+構造物)は地盤の変位と関係なく、もとの位置を保つ。以上が上部構造の説明である。
【0021】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば上部構造の礎石の回転は、■図2に示した力の釣合いの原理に適っており、礎石がフリーで、その力の作用点に球を想定できることは、■ボールベアリング上の構造物と同じ原理にあることを示している。また、下部構造は■根石の動きによって、平常時の構造物の安定と地震時の回転及び滑りを可能にしている。以上の三点を組み合わせることによって、地震の水平力を構造物に伝えない工法が成り立っている。本発明の構造は、根石,礎石,柱脚の材料については、石・石・木,石・石・石,石・コンクリート・鉄,石・鉄・鉄等種々可能であり、施工方法,耐候性等を加味した産業上の有効性について広い利用分野を有している。




 

 


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