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発明の名称 ガラクトース測定用寒天培地
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−116995
公開日 平成8年(1996)5月14日
出願番号 特願平6−284023
出願日 平成6年(1994)10月25日
代理人
発明者 鈴木 寛二 / 川田 征克 / 中山 広徳
要約 目的


構成
大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法に用いる培地において、微量のガラクトースを含有することを特徴とする新生児血液中のガラクトース測定用寒天培地。
特許請求の範囲
【請求項1】 大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法に用いる培地において、微量のガラクトースを含有することを特徴とするガラクトース測定用寒天培地。
【請求項2】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.08mgであることを特徴とする、請求項1記載のガラクトース測定用寒天培地。
【請求項3】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.06mgであることを特徴とする、請求項1記載のガラクトース測定用寒天培地。
【請求項4】 ガラクトース測定用寒天培地がさらに乳糖を含有していることを特徴とする、請求項1〜3記載のガラクトース測定用寒天培地。
【請求項5】 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特徴とする、請求項4記載のガラクトース測定用寒天培地。
【請求項6】 塩化第二鉄、ゼラチン、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウム、グリシン、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、L−メチオニン、L−スレオニン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、塩化カルシウム、チアミン、リン酸1カリウム、乳糖を組成とするガラクトース測定用粉末培地と、グリセリン、水酸化ナトリウム、塩化トリフェニルテトラゾリウムクロライド、遊離ガラクトースを除去した寒天、大腸菌およびファージより調製されるガラクトース測定用寒天培地において、微量のガラクトースを添加されてなることを特徴とするガラクトース測定用寒天培地。
【請求項7】 請求項1〜6記載のガラクトース測定用寒天培地の調製に用いる粉末培地であって、遊離ガラクトースを除去した寒天と共に用いる、微量のガラクトースを添加したガラクトース測定用粉末培地。
【請求項8】 ガラクトースの添加量が、ガラクトース測定用粉末培地1000gあたり0.1〜5.5mgであることを特徴とする、請求項7記載のガラクトース測定用粉末培地。
【請求項9】 ガラクトースの添加量が、ガラクトース測定用粉末培地1000gあたり0.2〜3.5mgであることを特徴とする、請求項7記載のガラクトース測定用粉末培地。
【請求項10】 請求項1〜6記載のガラクトース測定用寒天培地の調製に用いる遊離ガラクトースを除去した寒天であって、ガラクトース測定用粉末培地と共に用いる、微量のガラクトースを添加した遊離ガラクトースを除去した寒天。
【請求項11】 ガラクトースの添加量が、寒天1000gあたり0.2〜10.0mgであることを特徴とする、請求項10記載の遊離ガラクトースを除去した寒天。
【請求項12】 ガラクトースの添加量が、寒天1000gあたり0.4〜6.4mgであることを特徴とする、請求項10記載の遊離ガラクトースを除去した寒天。
【請求項13】 大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量のガラクトースを含有するガラクトース測定用寒天培地を用いることを特徴とする血中ガラクトース測定法。
【請求項14】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.08mgであることを特徴とする、請求項13記載の血中ガラクトース測定法。
【請求項15】 ガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.06mgであることを特徴とする、請求項13記載の血中ガラクトース測定法。
【請求項16】 ガラクトース測定用寒天培地がさらに乳糖を含有していることを特徴とする、請求項13〜15記載の血中ガラクトース測定法。
【請求項17】 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特徴とする、請求項16記載の血中ガラクトース測定法。
【請求項18】 大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量のガラクトースを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる方法。
【請求項19】 大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量および/またはガラクトース−1−リン酸量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量の乳糖および微量のガラクトースを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新生児血液中のガラクトース量(正確にはガラクトース量およびガラクトース−1−リン酸量であるが、本明細書では単にガラクトース量と記載する)を測定する血中ガラクトース測定法(ペイゲン法および吉田法)に用いる、ガラクトース測定用寒天培地に関するものである。本発明は先天性代謝異常症の一つであるガラクトース血症(ガラクトセミア)の診断に用いられる。
【0002】
【用語】本明細書においては次の用語を使用する1.ガラクトース測定用粉末培地ガラクトース測定用寒天培地の調製に使用される粉末乾燥培地。一般的な組成例として、臨床病理、VOL24、1022−1029、1976(ペイゲン法)では組成(1)のものが使用され、また血中ガラクトース測定試薬(吉田法)‘栄研’では組成(2)のものが使用されている。
【0003】
【化1】

【0004】
【化2】

【0005】2.寒天細菌検査用に精製された寒天。精製が不十分な寒天は不定量の遊離ガラクトースを含む。
3.ガラクトース測定用寒天培地ガラクトース測定用粉末培地を溶解し、20%グリセリン、1N水酸化ナトリウム、場合により5%塩化トリフェニルテトラゾリウムクロライド(以下TTCと略)を加え(吉田法のときのみTTC添加)、溶解滅菌した寒天を加え、大腸菌Q396及びファージC−21を加えた寒天培地。
4.寒天平板/プレート上記ガラクトース測定用寒天培地をシャーレ中で平板に固めたもの。
【0006】5.標準血液ろ紙一定量のガラクトース(2,4,6,8,10,16,20mg/dl)を含む乾燥血液ろ紙。富士レビオ株式会社より市販されている。
6.血中ガラクトース測定試薬(吉田法)‘栄研’ガラクトース測定用粉末培地(吉田法)、大腸菌Q396、ファージC−21がセットされた試薬キット。栄研化学株式会社より市販されている。
【0007】
【従来の技術】現在、臨床症状を呈する種々の先天性代謝異常症が知られている。特に脳障害を起こし、精神薄弱を伴う先天性代謝異常症のひとつとして、ガラクトース血症が知られている。この代謝異常症は早期に発見すれば食事療法などにより後遺症が残らない様にすることが可能である。この疾患の罹患患児の血液中には、疾患に対応してガラクトースが増加する事から、この血中ガラクトース量を指標とするスクリーニング法がガラクトース血症の早期発見の為に広く実施されている(例えば福井県衛生研究所年報、VOL30、56−67、1992)。
【0008】このスクリーニング法の一つにペイゲン法(臨床病理、VOL24、1022−1029、1976)、(ぶんせき、VOL7、413−419、1977)がある。1960年代後半にペイゲンはファージC−21による大腸菌Q396株の溶菌が、ガラクトースが存在すると阻止されることを見出し、ガラクトース血症のスクリーニングに応用出来る事を示唆した。その後、ガスリー(1970年)によって改良され実用化された。その方法は大腸菌とファージを加えた寒天平板上に、新生児血液を滲み込ませたろ紙片(ディスク)を置いて培養すると、血液中に存在するガラクトースの量に比例して、ディスクの周囲に大腸菌の発育帯を生じ、その発育帯の直径を測ることにより、血液中のガラクトース量を半定量するというものである。この方法は、ペイゲン法もしくはペイゲン−ファージ法として知られている。
【0009】しかし、ペイゲン法の発育帯は種々の条件により不鮮明となる。この発育帯を見やすくする為の一般的な手法としては、培養後の寒天平板にTTCを加えて発育帯を赤色に染色させる方法がとられていた。さらに、吉田らは、培地に微量の乳糖を加えて大腸菌の発育を向上させ、またTTCも培地中に含有させることによって、TTCの染色性が向上し、発育帯が見やすくなることを見出した(第7回代謝異常スクリーニング研究会会報、VOL4、121−123、1980)。この吉田らの開発した方法が、一般に血中ガラクトース測定法(吉田法)と呼ばれ、現在、新生児のガラクトース血症のマススクリーニング法として広く行われている。
【0010】吉田法による血中ガラクトースの測定はおおむね次のように行われる(血中ガラクトース測定試薬(吉田法)‘栄研’の添付文書より抜粋)。
1)プレートの作り方(培地量150ml分)
(1) ガラクトース測定用粉末培地(吉田法)2.2gを精製水40mlに溶解し、20%グリセリン7ml、1N水酸化ナトリウム3ml、5%TTC 0.3mlを加える。
(2) 寒天1.2gを精製水100mlで溶解し、高圧蒸気滅菌する。
(3) (1)と(2)を混合し、大腸菌Q396及びファージC−21を適量加え、よく混ぜ合せる。
(4) (3)をプラスチックシャーレ(70×253mm)に注ぎ、静置して寒天平板とする。
【0011】2)培養(1) 採血した検体ろ紙を直径3mmのディスクに打ち抜き、平板上の所定の位置に置く。標準血液ろ紙も同様に操作する。
(2) 37℃で16〜18時間培養する。
【0012】3)判定培養後、検体ディスク周囲に生じた赤色発育帯の直径を測定し、標準ディスクの赤色発育帯と比較し、血中ガラクトース量を判定する。
【0013】従来の血中ガラクトース測定法では、使用する寒天の製造元やロットの違いによって、大腸菌の発育帯の辺縁が不鮮明であったり、発育帯がボケて不明瞭になったりして、正しい結果が得られないと行った問題が頻繁に発生していた。つまり、発育帯がボケ易い寒天、発育帯がクリアーに出る寒天と、寒天に当り外れが存在しており、発育帯がボケ易い寒天を使用すると、大腸菌やファージ量のわずかの違い、寒天平板作成時の条件(培地温度のばらつき)などによって、同じ性能の寒天平板を作りにくく、また、発育帯がボケると発育帯径の測定にバラツキが出やすく、試験精度が劣るといった問題があり、しかもこのような場合、吉田法で加えている乳糖の量を増減しても発育帯の不明瞭さは改善できなかった。一方、発育帯がクリアーに出る寒天を使用すれば、加えるファージと大腸菌の量が変動してもかなりの広い範囲で発育帯がクリアーに出ることがしられている。しかし寒天の良否はガラクトース測定用寒天培地を作成し、使用して始めて判別可能であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術に於ける問題点を解決する為のものであり、その目的とするところは、高い精度で明瞭な発育帯を形成することができるガラクトース測定用寒天培地とそれを用いた血中ガラクトース測定法を提供する事にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来のガラクトース測定用寒天培地での大腸菌の不明瞭な発育帯は、培地組成中に含まれるガラクトースの量に起因しているのではと考え、鋭意検討の結果、本発明を完成した。すなわち、ガラクトース測定用寒天培地の成分は大部分が純粋な化学物質であり、ガラクトースは含まれない。ところが使用する寒天は天然物であり、しかもガラクトースの重合体である。そして、その製造元やロットの違いにより発育帯の不明瞭さが現れることから、寒天中に含まれる遊離のガラクトース量、言い換えれば寒天の精製度の違いにより不明瞭な発育帯が現れることを確認し、本発明を完成した。具体的には遊離のガラクトースを除去した寒天を用い、一定量のガラクトースを培地中に加えることにより、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量をコントロールし、常に明瞭な発育帯を形成させることに成功したのである。
【0016】(1) 本発明は、大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法に用いる培地において、微量のガラクトースを含有することを特徴とするガラクトース測定用寒天培地である。
(2) 本発明の寒天培地はガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.08mgであることを特徴とする、(1)記載のガラクトース測定用寒天培地であり、(3) 好ましくはガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.06mgであることを特徴とする、(1)記載のガラクトース測定用寒天培地である。
(4) また本発明は、ガラクトース測定用寒天培地がさらに乳糖を含有していることを特徴とする、(1)〜(3)記載のガラクトース測定用寒天培地であり、(5) 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特徴とする、(4)記載のガラクトース測定用寒天培地である。
【0017】(6) さらに具体的に述べると本発明は、塩化第二鉄、ゼラチン、塩化アンモニウム、硫酸マグネシウム、グリシン、塩化ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、L−メチオニン、L−スレオニン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、塩化カルシウム、チアミン、リン酸1カリウム、乳糖を組成とするガラクトース測定用粉末培地と、グリセリン、水酸化ナトリウム、TTC、遊離ガラクトースを除去した寒天、大腸菌およびファージより調製されるガラクトース測定用寒天培地に、微量のガラクトースを添加したガラクトース測定用寒天培地である。乳糖・TTCは吉田法でのみ使用し、ペイゲン法では使用しない。また、大腸菌はQ396株を、ファージはC−21を本発明のガラクトース測定用寒天培地の調製に用いる。
【0018】本発明は、明瞭な発育帯を形成させるために、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量をコントロールするものであるので、遊離ガラクトースを除去した寒天の使用は必須である。またガラクトースは最終のガラクトース測定用寒天培地中に一定量含まれていればよいので、ガラクトース測定用寒天培地の調製の際に一定量を添加してもよいし、遊離ガラクトースを除去した寒天中やガラクトース測定用粉末培地中に予め添加しておいてもよい。
【0019】(7) 本発明のガラクトース測定用粉末培地は、(1)〜(6)記載のガラクトース測定用寒天培地の調製に用いる粉末培地であって、遊離ガラクトースを除去した寒天と共に用いる、微量のガラクトースを添加したガラクトース測定用粉末培地であり、(8) またガラクトース測定用粉末培地2.2gと遊離ガラクトースを除去した寒天1.2gの割合でガラクトース測定用寒天培地を調製するのであれば、ガラクトースの添加量が、ガラクトース測定用粉末培地1000gあたり0.1〜5.5mgであることを特徴とする、(7)記載のガラクトース測定用粉末培地であり、(9) 好ましくはガラクトースの添加量が、ガラクトース測定用粉末培地1000gあたり0.2〜3.5mgであることを特徴とする、(7)記載のガラクトース測定用粉末培地である。
【0020】(10) 本発明に使用する寒天は、(1)〜(6)記載のガラクトース測定用寒天培地の調製に用いる遊離ガラクトースを除去した寒天であって、ガラクトース測定用粉末培地と共に用いる、微量のガラクトースを添加した遊離ガラクトースを除去した寒天であり、(11) またガラクトース測定用粉末培地2.2gと寒天1.2gの割合でガラクトース測定用寒天培地を調製するのであれば、ガラクトースの添加量が寒天1000gあたり0.2〜10.0mgであることを特徴とする、(10)記載の遊離ガラクトースを除去した寒天であり、(12) 好ましくはガラクトースの添加量が、寒天1000gあたり0.4〜6.4mgであることを特徴とする、(10)記載の遊離ガラクトースを除去した寒天である。
【0021】(13) 本発明は、大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量のガラクトースを含有するガラクトース測定用寒天培地を用いることを特徴とする血中ガラクトース測定法である。
(14) 本発明は、ガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.002〜0.08mgであることを特徴とする、(13)記載の血中ガラクトース測定法であり、(15) 好ましくはガラクトースの含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり0.003〜0.06mgであることを特徴とする、(13)記載の血中ガラクトース測定法である。
(16) また本発明はガラクトース測定用寒天培地がさらに乳糖を含有していることを特徴とする、(13)〜(15)記載の血中ガラクトース測定法であり、(17) 乳糖の含有量が、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり1.0〜3.0mgであることを特徴とする、(16)記載の血中ガラクトース測定法である。
【0022】(18) 言い換えれば本発明は、大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量のガラクトースを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる方法を提供する。
(19) また本発明は、大腸菌とファージを用い、血液中のガラクトース量を大腸菌の発育帯の大きさで測定する方法において、微量の乳糖および微量のガラクトースを含有する培地を用いることにより、大腸菌に明瞭な発育帯を形成させる方法を提供する。
微量のガラクトースをガラクトース測定用寒天培地中に添加し、培地中のガラクトース量をコントロールすることにより、大腸菌の発育帯は明瞭となる。そこにさらに微量の乳糖も共存させると相乗効果により極めて明瞭な発育帯が形成される。
【0023】本発明に使用する寒天は、高度に精製し、遊離のガラクトースをできるだけ除去したものが必須である。遊離ガラクトースを含まない寒天を用い、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース含量を、添加するガラクトース量でコントロールすることにより、大腸菌の発育帯が明瞭となる。
【0024】本発明のガラクトース測定用寒天培地は、一定量のガラクトースを培地成分として含む乾燥粉末培地(ガラクトース測定用粉末培地)としては勿論、使用する寒天に一定量のガラクトースを含有させた形態でも供給することができる。また、寒天プレート作成時に一定量のガラクトースを添加してもよく、要はガラクトース測定用寒天培地中に一定量のガラクトースを使用時に含有していればよい。
【0025】
【作用】大腸菌Q396株はファージC−21により溶菌されるが、ガラクトースが存在すると菌壁がガラクトースにより変化し、C−21による溶菌現象が阻害される。この原理を利用したガラクトース測定法において、本発明の作用機序は次のようにまとめることができる。
1) ガラクトースを全く含まないガラクトース測定用寒天培地で適量のファージC−21を加えて大腸菌Q396株を培養すると、大腸菌はファージによって溶菌される為に発育してこない(寒天平板のバックグランドに大腸菌の発育は無い)。
2) しかし、培地中に微量の(適量の)ガラクトースが存在すると、ファージの溶菌活性が弱められ、肉眼では確認できない程度に大腸菌が発育する(バックグランドの大腸菌の発育は見えない)。
3) さらに培地中に過剰のガラクトースが存在するとファージによる溶菌が阻害される為に、ガラクトースの量に比例して大腸菌が発育してくる(バックグランドに大腸菌が発育する)。
【0026】この様な上記1)〜3)の系に標準血液ろ紙ディスクを置くと、1’) ガラクトース測定用寒天培地中にガラクトースが存在しない状況下では、ファージの溶菌活性が強い為に血液ろ紙ディスクの周囲以外の寒天平板のバックグランドには大腸菌の発育は無く、また、血液ろ紙ディスクの周囲の大腸菌の発育帯はきわめて弱く、特に発育帯の辺縁は不鮮明である。
2’) 適量のガラクトースの存在下では、培地中のガラクトースによってファージ活性が弱められる為に大腸菌の増殖が優勢となるが、寒天平板のバックグランドには大腸菌の発育を認めず、それゆえ血液ろ紙ディスクの周囲の発育帯が明瞭になる。
3’) 過剰量のガラクトースの存在下では、ファージ活性が阻害される為に寒天平板のバックグランドでの大腸菌の増殖が過剰となり、血液ろ紙ディスクの周囲の発育帯の境との区別ができなくなり、発育帯がボケて不明瞭になる。
【0027】本発明ではガラクトース含量が一定にコントロールされているので、発育帯が常に同じ条件で得られる。ガラクトース含量を最も明瞭な発育帯を形成する範囲に設定しておくことにより、安定した結果の得られる血中ガラクトース量の測定が可能となる。また大腸菌やファージの濃度、培地中の試薬濃度が少々変動しても発育帯が明瞭であるので良好な測定が可能となる。
【0028】乳糖の作用機序についても同様な作用機序が考えられる。すなわち、乳糖はガラクトースとグルコースの二量体であり、大腸菌の菌体酵素によってガラクトースとグルコースに分解され遊離する。この段階で遊離のガラクトースは上述の作用機序と同様の作用を示すと思われる。上述のガラクトースの作用機序と異なるのは、大腸菌の増殖に伴って遊離のガラクトース量が増加していくことである。発育帯の明瞭さは乳糖よりもガラクトースを加えた方が良好であり、TTCをフォルマザンに還元する能力は、ガラクトースよりも乳糖の方が優れている為、両者の反応機序は多少異なることが予想される。
【0029】
【実施例】本発明を更に詳細に説明する為に、以下に実施例を示す。実験に使用した寒天は、寒天に由来する遊離ガラクトースの影響を無くす為、高度精製寒天(清水食品株式会社製、TAIYO-AGAR TRP-800)を使用した。この寒天に含まれる遊離ガラクトースは高速液体クロマトグラフィーで検出限界以下であった。従って、この寒天中に含まれる遊離のガラクトース量はゼロとみなして以下の実施例に用いた。ガラクトース測定用寒天培地は組成(2)より乳糖を除いたガラクトース測定用粉末培地と高度精製寒天を用いて、血中ガラクトース測定試薬(吉田法)‘栄研’の添付文書にしたがって調製し、寒天平板とした。大腸菌とファージ液は通常使用される菌濃度のものを使用した。すなわち、ファージC−21(108個/ml)、大腸菌Q396(1010個/ml)を、150ml寒天平板あたりファージ0.4ml、大腸菌0.15mlを使用した。ガラクトース標準血液ろ紙は富士レビオ(株)製を使用した。寒天平板は、70mm×253mmのプラスチックシャーレに150mlのガラクトース測定用寒天培地を分注して作成した。%は特に規定しない限り重量/容量%を示す。
【0030】実施例1.ガラクトース測定用寒天培地中の乳糖量の検討まず、吉田法における乳糖の効果が大腸菌の発育向上と発育帯の見やすさであることから、乳糖量について検討をおこなった。実験は吉田法で使用する乳糖の量を中心に添加量を変動させて乳糖添加量と発育帯の良否について検討した。乳糖の添加は予め調製しておいた0.1%乳糖水溶液をガラクトース測定用寒天培地の調製時に必要量添加した。結果を表1に示す。表1の結果から、遊離ガラクトースを含まないガラクトース測定用寒天培地を使用すると、乳糖の添加効果は認められるものの、種々の濃度の乳糖を添加しても菌の発育が弱く、発育帯が不明瞭であった。更にTTCの発色も弱い。このことから良好な発育帯を得る為には、乳糖だけでは不十分であることが確認された。ただし乳糖の最適量は吉田法の添加量と同様に、ガラクトース測定用寒天培地1000mlあたり1.87mgであった。
【0031】
【表1】

【0032】実施例2.ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量の検討2−1)ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース最適量次に、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトースの最適量について検討を行なった。実験は乳糖を含まないガラクトース測定用寒天培地にガラクトースを添加して、ガラクトースの添加量と発育帯の良否について検討を加えた。ガラクトースの添加は予め調製しておいた0.001%ガラクトース水溶液を培地調製時に必要量添加した。結果を表2に示す。表2の結果から、ガラクトース添加量は培地1000mlあたり0.0032〜0.0512mgで比較的良好な結果が得られた。しかし、乳糖を加えない本実験系では、TTCの発色が弱い傾向にあった。
【0033】
【表2】

【0034】2−2)寒天中のガラクトース最適量次に、寒天中の添加ガラクトースの最適量について検討を行なった。実験は乳糖を含まないガラクトース測定用粉末培地に、種々の量のガラクトースを加えた高度精製寒天(TAIYO-AGAR TRP-800、清水食品製)を添加し、ガラクトースの添加量と発育帯の良否について検討を加えた。結果を表3に示す。表3の結果から、寒天中の添加ガラクトース量は、寒天1000gあたり0.4〜6.4mgで良い結果が得られた。乳糖を加えない本実験系では、TTCの発色が弱い傾向にあった。
【0035】
【表3】

【0036】実施例3.ガラクトース測定用寒天培地中の乳糖とガラクトースの組合せによる最適量上述の結果から、乳糖やガラクトース単独では良好な発育帯は得られなかった。そこで、乳糖とガラクトースを組合せ、その最適量について検討した。
3−1)乳糖含有のガラクトース測定用寒天培地中におけるガラクトース最適量実施例1の最適量の乳糖(培地1000mlあたり1.87mg)を加えた培地について、培地1000mlあたりの添加ガラクトースの最適量を検討した。ガラクトースの添加方法は実施例2−1)と同様に実施した。結果を表4に示す。表4の結果から、乳糖とガラクトースの相乗効果により、培地1000mlあたりのガラクトース量が0.0032〜0.0512mgで極めて良好な発育帯を形成し、TTCの発色も良いことが確認された。
【0037】
【表4】

【0038】3−2)寒天中のガラクトース最適量ガラクトース測定用粉末培地(組成(2)、乳糖を含む)に、2−2)と同様に種々の量のガラクトースを加えた高度精製寒天(TAIYO-AGAR TRP-800、清水食品製)を添加し、ガラクトース測定用寒天培地を調製し、寒天中のガラクトースの添加量と発育帯の良否について検討を加えた。結果を表5に示す。表5の結果から、乳糖とガラクトースの相乗効果により、寒天1000gあたりのガラクトース量が0.4〜6.4mgで極めて良好な発育帯を形成し、TTCの発色も良いことが確認された。
【0039】
【表5】

【0040】
【発明の効果】従来の血中ガラクトース測定法における発育帯形成不良は使用する寒天中に含まれる遊離のガラクトース含量に起因するものであった。そこで遊離ガラクトースを除去した高度精製寒天を使用し、ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトースの量を調節することにより、改良されたガラクトース測定用寒天培地を完成した。この培地は吉田法のみならず、ペイゲン法でも使用可能であった。また特に乳糖とガラクトースを組合わせて用いることにより極めて明瞭な大腸菌の発育帯が形成された。
【0041】本発明により、寒天のロット差や大腸菌量/ファージ量の変動により大腸菌の発育帯が不明瞭となり、試験精度が不安定であった新生児の血中ガラクトース測定において、1)ガラクトース測定用寒天培地中のガラクトース量をコントロールすることによって、ファージと大腸菌の最適使用量の範囲が広くなり、また測定(培養)条件の設定がしやすくなり、2)ガラクトース測定用専用の遊離ガラクトースを除去した高度精製寒天を使用することによって、寒天のロット差の影響がなくなり、3)発育帯が明瞭になることによって読み取り誤差が減少し、個人差、再現性などの試験精度の向上をもたらし、常に安定した正しい試験成績を得ることが出来るようになった。




 

 


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