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発明の名称 Ti−Ni系超弾性合金の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−337854
公開日 平成8年(1996)12月24日
出願番号 特願平7−147118
出願日 平成7年(1995)6月14日
代理人
発明者 上埜 修司 / 野村 紘八
要約 目的
単純なプロセスによって、優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金の製造方法を提供する。

構成
熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を溶融状態から5×104 K/secの冷却温度で急冷凝固させた後、300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理をすることを特徴とするTi−Ni系超弾性合金の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】 熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を溶融状態から5×104 K/sec以上の冷却速度で急冷凝固させた後、300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理をすることを特徴とするTi−Ni系超弾性合金の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、室温近傍で優れた超弾性特性を示すTi−Ni系合金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金は、形状記憶特性とともに超弾性特性を示す超弾性合金としても広く知られている。超弾性特性とは、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金の逆変態完了温度(Af)以上の温度域において応力負荷を行うと、見かけ上、数%〜10%の塑性変形を起こすが、応力除去と同時に完全にもとの形状に戻る性質のことをいう。
【0003】Ti−Ni系超弾性合金の製造においては、従来、鋳造材を熱間鍛造・熱間加工した後に、中間焼鈍を繰り返し利用した冷間加工により、最終の製品形状に加工し、さらに、仕上げ熱処理を行って超弾性合金線材や超弾性合金板・薄材が作製されている。特公平2−51976号公報には、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を、圧下率20%以上の冷間加工によりすべり変形の起きにくい組織とした後、250℃以上の温度で再結晶させることなく加熱処理する製造方法が開示されており、冷間加工と熱処理を組み合わせることにより優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金が製造できることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明者らが従来の製造方法にしたがって、Ti−Ni系合金の鋳造材を熱間鍛造・熱間加工した後に、中間焼鈍を繰り返し利用した冷間加工により超弾性合金線材や超弾性合金板・薄材の製造を試みたところ、十分に焼鈍された材料においても冷間加工時の減面率や圧下率が約20〜30%ごとに加工が困難になり、最終製品の形状にするには莫大な回数の中間焼鈍が必要なことが判明した。特に、線径が0.2mm以下の超弾性合金細線や厚さが0.2mm以下の超弾性合金薄帯を製造するには、莫大な回数の中間焼鈍と冷間加工の繰り返しが必要であり、製品のコストが非常に高価なものとなっていた。
【0005】また、特公平2−51976号公報の開示にしたがって、優れた超弾性特性を有する合金材料を得るためには、仕上げ焼鈍をする前に25%以上45%以下の圧下率で冷間加工が施されていることが必要であり、種々の線径や厚さの超弾性合金細線や薄帯を得るためには最終線径や厚さを踏まえた厳密な焼鈍・加工プロセスの設計が必要であることが判明した。したがって、応力負荷を行うと見かけ上数%〜10%の塑性変形を起こすが、応力除去と同時に永久歪を残さず完全にもとの形状に戻る優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金を、単純なプロセスで製造する方法が望まれていた。本発明は単純なプロセスによって、優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、液体急冷法を利用することにより、熱処理前に20%以上の冷間加工を行わない場合においても優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金材料が得られることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を溶融状態から急冷凝固させた後に、300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理をすることを特徴とするTi−Ni系超弾性合金の製造方法を要旨とするものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、十分に焼鈍(加熱処理)された状態で熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金に適用することが必要であり、そのようなTi−Ni系合金としては、特に限定されるものではないが、Ti−48〜53at%Ni合金又はこれにFe、Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で5at%以下含有する合金や、Ti−30〜50at%Ni−0〜20at%Cu合金又はこれにFe、Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で5at%以下含有する合金が好ましい。その中でも、Ti−49.5〜51.5at%Ni合金又はこれにFe、Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で2at%以下含有する合金や、Ti−35〜50at%Ni−0〜15at%Cu合金又はこれにFe、Co、Mn、Cr、V、Zrの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で2at%以下含有する合金がより好ましい。
【0008】また、本発明においては、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を、溶融状態から5×104 K/sec以上の冷却速度で急冷凝固させることが必要である。本発明にいう冷却速度とは、溶融温度から1000℃までの平均冷却速度をいう。特に、本発明においては、1×105 K/sec以上の冷却速度で急冷凝固させることが好ましい。冷却速度が5×104 K/secより遅くなる場合には、凝固後にいかなる温度で加熱処理を行っても、熱処理後のTi−Ni系合金は室温近傍で5%程度の伸びを生じる応力に対してスベリ変形を生じ、応力除去後に永久歪を残す材料となってしまう。
【0009】本発明においては、熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を溶融状態から急冷凝固させるために、種々の液体急冷法を用いることができるが、単ロール法や双ロール法、メルト・イクストラクション法や回転液中紡糸法等の生産性に優れた液体急冷法を用いることが望ましい。例えば、液体急冷法の代表的な製造方法として知られている単ロール法においては、Ti−Ni系合金を、0.1〜1.0mmのノズル孔径を備えた石英や黒鉛、セラミックス製のノズル中でアルゴン雰囲気下にて溶融した後、真空又はアルゴン雰囲気下において1500rpm以上で回転している直径20cmの銅ロール上に噴出圧0.1〜2.0kg/cm2 で溶融金属を噴出させることにより、その溶融金属を急冷凝固させることができる。
【0010】また、回転液中紡糸法を用いる場合には、入射角を30〜65度、ドラムの周速度を7〜15m/sec、シリコンオイル等のオイル冷媒の液深を15〜40mmとした条件下において、0.10mm以下のノズル孔径を備えた石英や黒鉛、セラミックス製のノズルから、回転冷媒中に噴出圧4〜10kg/cm2 でTi−Ni系合金の溶湯ジェットを噴出させることにより、その溶融ジェットを急冷凝固させることができる。
【0011】なお、5×104 K/sec以上の冷却速度で急冷凝固されたTi−Ni系合金は、凝固歪を十分蓄えた合金材料になっており、室温(23℃付近)において、降伏応力が80kg/mm2 以上、引張り強さが100kg/mm2 以上、伸びが5%以下の材料特性を示すものである。
【0012】さらに、本発明においては、Ti−Ni系合金を溶融状態から急冷凝固させた後に、300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理を行うことが必要であり、この温度範囲で加熱処理を行うことにより,急冷凝固時に材料に導入された歪みを適度に回復させることができる。その中でも,400℃以上650℃以下の温度範囲で加熱処理をすることがより好ましく、さらに、425℃以上600℃以下の温度範囲で加熱処理すると,優れた超弾性特性を有する合金が特に得られやすいため、425℃以上600℃以下の範囲で加熱処理をすることが最も好ましい。
【0013】300℃未満の温度で急冷凝固剤に加熱処理を行った場合には、長時間の加熱処理を行っても急冷凝固時に材料に導入された歪みをほとんど回復することができず、優れた超弾性特性を得ることができない。また、750℃を越える温度で急冷凝固材に加熱処理を行った場合には、急冷凝固時に材料に導入された歪みを完全に回復させる結果となり、熱処理後の材料は形状記憶特性は示すものの、室温近傍で優れた超弾性特性を示さなくなり、5%程度の伸びを生じる応力を負荷した後に応力を除去しても永久歪を残す材料となってしまう。
【0014】なお、本発明においては、加熱温度が高いほど、超弾性特性を得るための熱処理時間が短くてもよい傾向が認められる。そして、600℃以上の温度範囲において30分以上の長時間の熱処理を施すことは、かえって急冷凝固時に材料に導入された歪みを完全に回復させてしまう場合もあり、超弾性特性を得るためには好ましくない。したがって、加熱温度によって適宜加熱時間を調節する必要があるが、通常、材料が300℃以上750℃以下の温度範囲に達してから1〜50000秒の範囲で熱処理を行えばよい。本発明における加熱処理については、大気、真空、不活性ガス中などの雰囲気の中で種々の加熱方法を用いて行うことができ、また塩浴等の液体熱媒からの熱伝導や加熱された固体からの熱伝導を利用した加熱方法を用いることもできる。
【0015】また、本発明においては、急冷凝固材に圧延や線引きなどにより18%以下の冷間加工を加えた後に加熱処理を行っても同様の効果が得られ、優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金を得ることができる。しかし、Ti−Ni系合金を急冷凝固させると著しい加工硬化挙動を起こすため、冷間加工の際に破断や亀裂、破損を材料中に生じやすくなり、最終製品の歩留まりが悪くなる傾向が認められる。
【0016】
【作用】本発明によって優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金が得られる機構についての詳細は不明であるが、5×104 K/sec以上の冷却速度で急冷凝固されることにより、転位や亜粒界などの欠陥密度の高い微細な結晶粒からなる組織のTi−Ni系合金が得られ、適切な加熱処理により微細結晶粒内の転位の再配列が生じるとともに微細なTi−Ni化合物の析出を生じ、応力に対するスベリ変形の起きにくい組織が得られるために、優れた超弾性特性を有するTi−Ni系合金が得られると考えられる。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明する。
実施例1アーク溶解で作製されたTi−50.5at%Ni母合金5gを、直径が90μmのノズル孔を有する黒鉛ノズル中で高周波誘導加熱により溶解した後、385rpmの速度で回転する直径500mmのアクリル製ドラム内壁に遠心力によって形成された、液深25mmで7℃のジメチルシリコンオイル(粘性10cst,竹本油脂社製UTN−901)層に入射角50度で溶融金属を噴出させて急冷凝固細線を作製した。この際、溶融金属の噴出温度は1400℃で、黒鉛ノズルよりArガスを用いて5.5kg/cm2 の加圧下で溶融金属を噴出させ、線径が85μmの急冷凝固細線を得た。なお、ノズル先端とシリコンオイル表面との間隔は3mmとし、この間をArガスで満たした。また、ドラム側面よりオイル冷媒中の細線軌跡の輝度観察を行った結果、1400〜1000℃までの温度範囲において、前記の急冷凝固細線の作製時の冷却速度は6×104 K/secであった。次に、作製した急冷凝固細線を抵抗炉を用いて大気中500℃において10分間加熱処理を行った。
【0018】そして、この熱処理材についてインストロン社の引張り試験装置により、試験長に対し5%の歪みまで荷重をかけて引張った後、荷重を除去することにより超弾性特性の有無を検討した。なお、荷重負荷及び除去時の歪み速度は4×10-4/secであり、試験長は12cmであった。この5%歪みまでの引張り試験の結果、マルテンサイト変態を開始する応力(以下、降伏応力という。)は36kg/mm2 であり、荷重除去後は永久歪みを残さず、良好な超弾性特性を有していた。一方、長さ12cmの急冷凝固細線について、歪み速度4×10-4/secで引張り試験を行った結果、降伏応力80kg/mm2 、破断応力115kg/mm2 で、破断伸びは4.2%であった。
【0019】実施例2実施例1で作製した急冷凝固細線に対し、大気中400℃において1時間加熱処理を行った。そして、この熱処理材について、実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力は66kg/mm2 であり、荷重除去後は永久歪みを残さず、良好な超弾性特性を有していた。
【0020】実施例3実施例1で作製した急冷凝固細線に対し、大気中650℃において3分間加熱処理を行った。そして、この熱処理材について実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力は38kg/mm2 であり、荷重除去後は永久歪みを残さず、良好な超弾性特性を有していた。
【0021】実施例4アーク溶解で作製されたTi−50.5at%Ni母合金1.5gを、直径が1mmのノズル孔を有する黒鉛ノズル中で高周波誘導加熱により溶解した後、3000rpmの速度で回転する直径20cmの銅製ロールの表面に、Arガスを用いて0.3kg/cm2 の加圧下で溶融金属を噴出させ、幅2.5mm、厚さ30μmの急冷凝固薄帯を作製した。なお、作製時の溶融金属の噴出温度は1400℃であり、ノズル先端とロール表面との間隔は2mmとし、この間をArガスで満たした。また、回転しているロール表面から着地地点まで飛行している薄帯の軌跡の輝度観察を行った結果、1400〜1000℃までの温度範囲において前記の急冷凝固薄帯の作製時の冷却速度は2×105 K/secであった。次に、作製した急冷凝固薄帯に対し、大気中500℃において10分間加熱処理を行った。
【0022】そして、この熱処理材について実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力は45kg/mm2 であり、荷重除去後は永久歪みを残さず、良好な超弾性特性を有していた。一方、長さ12cmの急冷凝固薄帯について、歪み速度4×10-4/secで引張り試験を行った結果、降伏応力105kg/mm2 、破断応力134kg/mm2 で破断伸びは3.6%であった。なお、急冷凝固薄帯をCu−Kα線を用いるX線回折実験により組織を確認したところ、B2相であり非晶質相の存在は確認できなかった。
【0023】比較例1アーク溶解で作製されたTi−50.5at%Ni母合金5gを、直径が120μmのノズル孔を有する黒鉛ノズル中で高周波誘導加熱により溶解した後、385rpmの速度で回転する直径500mm のアクリル製ドラム内壁に遠心力によって形成された、液深25mmで12℃のジメチルシリコンオイル(粘性9cst,竹本油脂社製UTN−901)層に入射角50度で溶融金属を噴出させて細線を作製した。この際、溶融金属の噴出温度は1400℃で、黒鉛ノズルよりArガスを用いて5.5kg/cm2 の加圧下で溶融金属を噴出させ、線径が115μmの細線を得た。なお、ノズル先端とシリコンオイル表面との間隔は3mmとし、この間をArガスで満たした。また、ドラム側面よりオイル冷媒中の細線軌跡の輝度観察を行った結果、1400〜1000℃までの温度範囲において前記の細線の作製時の冷却速度は3.5×104 K/secであった。次に、作製した細線を大気中500℃において10分間加熱処理を行った。
【0024】そして、この熱処理材についてインストロン社の引張り試験装置により、試験長に対し5%の歪みまで荷重をかけて引張った後、荷重を除去することにより超弾性特性の有無を検討した。なお、荷重負荷及び除去時の歪み速度は4×10-4/secであり、試験長は12cmであった。この5%歪みまでの引張り試験の結果、降伏応力は18kg/mm2 であり、荷重除去後は3.2%の永久歪みを残した。また、この永久歪みは細線の温度を約90℃に加熱すると回復することから、形状記憶特性を有していることが判明した。さらに、長さ12cmの凝固したままの状態の細線について、歪み速度4×10-4/secで引張り試験を行った結果、降伏応力20kg/mm2 、破断応力68kg/mm2 であり、破断伸びは16.6%であった。
【0025】比較例2アーク溶解で作製されたTi−50.5at%Ni母合金3.5gを、直径が1.5mmのノズル孔を有する黒鉛ノズル中で高周波誘導加熱により溶解した後、1200rpmの速度で回転する直径20cmの銅製ロールの表面に、Arガスを用いて0.5kg/cm2 の加圧下で溶融金属を噴出させ、幅3.2mm、厚さ68μmの薄帯を作製した。なお、作製時の溶融金属の噴出温度は1400℃であり、ノズル先端とロール表面との間隔は2mmとし、この間をArガスで満たした。また、回転しているロール表面から着地地点まで飛行している薄帯の軌跡の輝度観察を行った結果、1400〜1000℃までの温度範囲において前記の薄帯の作製時の冷却速度は4.6×104 K/secであった。次に作製した薄帯を大気中500℃において10分間加熱処理を行った。
【0026】そして、この熱処理材について実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力は27kg/mm2 であり、荷重除去後は0.6%の永久歪みを残した。また、この永久歪みは薄帯の温度を約90℃に加熱すると回復することから、形状記憶特性を有していることが判明した。また、長さ12cmの凝固したままの状態の薄帯について、歪み速度4×10-4/secで引張り試験を行った結果、降伏応力29kg/mm2 、破断応力72kg/mm2 で破断伸びは14.3%であった。
【0027】比較例3実施例1で作製した急冷凝固細線に対し、大気中780℃で30分間加熱処理を行った。そして、この熱処理材について実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力は17kg/mm2 であり、荷重除去後は3.9 %の永久歪みを残した。また、この永久歪みは細線の温度を約90℃に加熱すると回復することから、形状記憶特性を有していることが判明した。
【0028】比較例4実施例1で作製した急冷凝固細線に対し、大気中280℃で3時間加熱処理を行った。そして、この熱処理材について実施例1と同様に5%歪みまでの引張り試験を行った。その結果、降伏応力92kg/mm2 、破断応力119kg/mm2 で破断伸びは4.4%であり、超弾性特性を示さなかった。
【0029】前記の結果からも明らかなように、実施例1〜4の場合には、いずれも十分に焼鈍(加熱処理)された状態で熱弾性型マルテンサイト変態を示すTi−Ni系合金を溶融状態から急冷凝固させた後に、300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理を施すことにより、室温において5%歪みを与える荷重に対し、荷重除去後に永久歪みを全く残さない優れた超弾性特性を有する材料が得られた。
【0030】これに対し、比較例1、2の場合には、溶融状態からの冷却速度が、溶融金属を急冷凝固させるのに必要な冷却速度(5×104 K/sec)より遅いために本発明による効果が得られず、凝固した状態の材料に300℃以上750℃以下の温度範囲において加熱処理を施しても超弾性特性を示す材料が製造できなかった。また、比較例3、4の場合には、実施例1と同じ急冷凝固細線に加熱処理を施しているが、加熱温度が本発明の範囲外であり、超弾性特性を有する材料が得られなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、非常に簡単なプロセスによって、優れた超弾性特性を有する細線や薄帯材料を製造することが可能となり、工業上非常に有用なプロセスである。




 

 


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