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発明の名称 タルトロン酸の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開平8−151345
公開日 平成8年(1996)6月11日
出願番号 特願平6−315624
出願日 平成6年(1994)11月25日
代理人 【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
発明者 木村 洋
要約 目的


構成
酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びミッシュメタル酸化物からなる群より選ばれる1種以上の希土類元素酸化物を主成分とする触媒担体に白金を担持させた担持触媒の存在下、pH6.9以下の酸性雰囲気にて酸素含有ガスにより、グリセリン又はグリセリン酸を接触酸化することを特徴とするタルトロン酸の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】 酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びミッシュメタル酸化物からなる群より選ばれる1種以上の希土類元素酸化物を主成分とする触媒担体に白金を担持させた担持触媒の存在下、pH6.9以下の酸性雰囲気にて酸素含有ガスにより、グリセリン又はグリセリン酸を接触酸化することを特徴とするタルトロン酸の製造方法。
【請求項2】 希土類元素酸化物が酸化セリウムであることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】 接触酸化の反応温度が20〜50℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビルダー、中和剤、あるいはポリマー原料として重要なタルトロン酸のグリセリン又はグリセリン酸からの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】タルトロン酸の化学合成法に関する報告は数少なく、例えば“Acta. Chem. Scand., 15, 260-270 (1961)" にマロン酸ジエチルとtert−ブチル酢酸よりジエチルエステルとして合成する方法が記載されているが、収率は27%と低く、有機溶媒中での反応であることからも工業的に満足のいくものではない。
【0003】また、グリセリンを接触酸化してタルトロン酸塩(オキシマロン酸塩)を製造する方法が、特開昭52−116415号公報に記載されている。しかし、この方法では市販の5%Pd/C(パラジウム担持活性炭触媒)を触媒として使用しており、タルトロン酸塩の収率は高々20%であった。これは、中間生成物であるグリセリン酸塩をさらに酸化する活性が低いのみならず、生成したタルトロン酸塩の大部分が脱炭酸し、グリコール酸塩に分解するからである。さらに、該方法の場合、タルトロン酸塩からタルトロン酸を製造するためには、酸による酸分解、イオン交換法等を適用する必要があるが、前者は電気透析による脱塩、後者はイオン交換樹脂の再生が必要である。従って、タルトロン酸をその塩として製造した場合には、上記のような付帯工程が必要となるため、直接タルトロン酸そのものを製造する方法が望まれる。
【0004】本発明の目的は、グリセリン又はグリセリン酸から簡易な操作で直接タルトロン酸を製造することができるタルトロン酸の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく、グリセリンの1級水酸基を効率よく酸化して高収率でタルトロン酸に転化できるような触媒の開発を行った。その際、前記のようにグリセリンを市販の5%Pd/C触媒で接触酸化した場合、パラジウムが主元素であるため、1級水酸基のカルボン酸への酸化は塩基性雰囲気(pH>9)でなければ効率よく進行せず、カルボキシル基生成によるpHの低下による酸化速度の低下を防止するためには、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加して反応系を塩基性に維持しながら反応を行う必要がある。その場合、生成タルトロン酸は必然的にその塩となり、フリーのカルボン酸としてのタルトロン酸を製造するためには既述の酸分解やイオン交換が必要となる。これを回避するためにはパラジウム触媒使用時のようにアルカリを添加することなく酸性雰囲気で酸化反応を進行せしめる必要があり、このためには触媒主元素を白金にする必要があり、さらに、白金を触媒主元素としても従来より使用されてきた活性炭を担体とする限りにおいては、グリセリン酸からタルトロン酸への酸化能はまだ不充分であることを確認した。この原因は主に酸性雰囲気下におけるグリセリン酸の触媒表面上への吸着阻害であると考えられ、ここに高原子価、水不溶性の塩基性担体である希土類元素酸化物を触媒担体として使用する発想に到達し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、(1) 酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びミッシュメタル酸化物からなる群より選ばれる1種以上の希土類元素酸化物を主成分とする触媒担体に白金を担持させた担持触媒の存在下、pH6.9以下の酸性雰囲気にて酸素含有ガスにより、グリセリン又はグリセリン酸を接触酸化することを特徴とするタルトロン酸の製造方法、(2) 希土類元素酸化物が酸化セリウムであることを特徴とする(1)記載の製造方法、並びに(3) 接触酸化の反応温度が20〜50℃であることを特徴とする(1)又は(2)記載の製造方法、に関する。
【0007】本発明における担持触媒は、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、及びミッシュメタル酸化物からなる群より選ばれる1種以上の希土類元素酸化物を主成分とする触媒担体に白金を担持させたものであり、希土類元素酸化物を主な触媒担体とする白金触媒である。希土類元素酸化物としては経済的理由により上記のものが挙げられるが、触媒活性の点で酸化セリウム、酸化ネオジムが好ましく、酸化セリウムが特に好ましい。なお、かかる希土類元素酸化物は希土類元素の水酸化物を焼成することにより容易に得ることができる。
【0008】一般に塩基性担体を触媒担体に使用して水中で酸化反応を実施すると、生成カルボン酸との間に塩を形成することが予想されるが、これは、水不溶性の高原子価の希土類元素酸化物を低温(50℃以下)で使用することによって大きく抑制することができる。この観点からも本発明における触媒担体として、酸化セリウムが特に有効である。
【0009】酸化セリウム等の触媒担体は出来るだけ高表面積のものが好ましく、BET比表面積が30m2 /g以上、特に100〜300m2 /gのものがよい。高表面積のものとしては、例えば、三徳金属商事(株)の高表面積型酸化セリウム(L、S1 、S2 )を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの触媒担体の平均粒径は、反応速度が高い点から10μm以下が好ましい。
【0010】本発明における触媒担体として、希土類元素酸化物にアルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)の酸化物や炭酸塩を混合することにより触媒活性を一層向上させることが出来る。この場合、混合担体中に占めるアルカリ土類金属の酸化物や炭酸塩の割合は担体全重量中の1〜50重量%がよい。また、希土類元素酸化物の効果を損なわない範囲内で、不活性な成分、例えばアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等を含有させることができる。また、高表面積担体である活性炭やアルミナに希土類酸化物を担持させたものを触媒担体とすることにより、希土類元素の使用量を低減することができ、経済的となる。
【0011】本発明における担持触媒は、通常の含浸法、浸漬法、沈殿法により触媒成分を水中で触媒担体に担持させ、ホルマリン、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、水素、低級アルコール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等)による還元処理を行うことによって容易に調製することができる。
【0012】触媒成分としての白金の担持量は特に限定されないが、担持触媒中、通常0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%がよい(以下、%は特に断らない限り、重量%を意味する)。これらの範囲内であると、効率よく反応を進行させることができ、経済的にも有利となる傾向がある。
【0013】本発明のタルトロン酸の製造方法は、以上のような担持触媒の存在下、pH6.9以下の酸性雰囲気にて酸素含有ガスにより、グリセリン又はグリセリン酸を接触酸化することを特徴とするものである。
【0014】本発明における酸化反応は、pH6.9以下、好ましくはpH5〜0.5の範囲内の酸性雰囲気にて行われ、反応の進行と共に生成タルトロン酸によりpHが低下し、pH1〜3の範囲内で酸化反応が進行・終了するため、生成タルトロン酸の塩はほとんど生成しない。
【0015】酸化反応時の酸化剤としては、酸素含有ガスが使用され、例えば空気、酸素、又は酸素と空気の混合ガスを使用し得るが、経済的な面から、さらに白金触媒の過酸化による失活抑制の点からも空気を使用することが好ましい。即ち、酸素含有ガス中の酸素濃度としては、10〜80体積%が好ましく、より好ましくは10〜30体積%である。
【0016】また、酸素含有ガスの供給量は、酸素成分の供給律速で酸化反応が進行するように供給するのが、既述の触媒失活の抑制の点から好ましい。
【0017】タルトロン酸の原料となるグリセリンまたはグリセリン酸は、通常水溶液として使用するが、その濃度は3〜50%、好ましくは5〜20%がよい。これらの範囲内であると、生産性が良く、反応性も高い傾向がある。
【0018】接触酸化の反応温度は、担体の効果を有効に発現させる観点から重要であり、0〜70℃、好ましくは20〜50℃、特に好ましくは20〜40℃である。これらの範囲内であると、担体と酸化生成物との間に塩を形成しにくくなり、さらに生成タルトロン酸のグリコール酸への接触分解が抑制され、また効率よく酸化反応が進行する傾向がある。
【0019】反応時間は反応温度、触媒濃度等によって異なるが、通常1〜40時間であり、好ましくは30時間以内に収まるよう反応条件(触媒濃度、反応温度、原料濃度)を設定することが、生成タルトロン酸の分解を抑制する点からも好ましい。
【0020】反応圧力は常圧から10気圧であり、好ましくは常圧がよい。この範囲内であると、反応速度が高く、酸素由来の触媒被毒により反応速度が低下することもない。
【0021】担持触媒の濃度は原料水溶液に対して通常1〜100%、好ましくは2.5〜30%、特に好ましくは10〜30%である。また原料としての仕込みグリセリン、またはグリセリン酸に対する、触媒主成分としての白金の濃度は通常0.1〜50%、好ましくは2〜25%である。これらの範囲内であると、反応速度が高く、経済的にも有利となる傾向がある。
【0022】但し、触媒高濃度系の方が短時間に反応を完結することができ、生成タルトロン酸の分解等の副反応の抑制の点からも有効である。特に固定床反応装置を使用することは触媒高濃度系での反応という観点から、および原料高濃度系での反応による生産性の点で有効である。
【0023】本発明の製造方法は、回分式、連続式のいずれにも適用することができる。また、反応器の形式は攪拌槽式、インジェクター式、流動床式、固定床式等を用いることができる。本発明で使用する担持触媒の形状は特に限定されず、粉末状、粒状、成形品等を反応器の形式に応じて使用すればよい。本発明の担持触媒を固定床反応装置に適用する場合、触媒、原料の高濃度系の反応が可能となり、さらに触媒分離工程も不要となるため生産性の点で有利である。また固定床反応装置の操作方法は、フラッディング現象がないこと、プラグフローであること等の点からトリクルベッド方式がより好ましい。
【0024】反応終了後、タルトロン酸含有酸化反応物は、蒸留による脱水、あるいは凍結乾燥して粗タルトロン酸を得、さらに再結晶等により精製することが出来る。
【0025】本発明によると、希土類元素酸化物、特に酸化セリウムを担体とする白金触媒により、従来の活性炭担持白金触媒では発現し得なかったグリセリン酸からタルトロン酸への酸化が大きく促進される。
【0026】
【実施例】以下、触媒調製例、実施例、及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるものではない。なお、グリセリン等の転化率とは、仕込みグリセリン、グリセリン酸に対して酸化反応で消費されたモル数の割合を表す。タルトロン酸選択率とは、反応で消費されたグリセリン、グリセリン酸のモル数に対する生成タルトロン酸のモル数の率を示す。また、グリコール酸選択率は、反応で消費されたグリセリン、グリセリン酸のモル数に対する生成グリコールのモル数の割合を算出したものである。
【0027】なお、反応の進行は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でモニターし、生成物の定量を行った。HPLCの測定条件を以下に示す。
・高速液体クロマトグラフィー:D−2500/L−6000型 日立製作所(株)製・ディテクター :L−3300型(RIモニター)
・カラム :C−610S・溶離液 :0.5%リン酸水溶液 0.5ml/min・圧力 :19kg/cm2 G・温度 :40℃【0028】触媒調製例塩化白金酸六水和物(白金含量37.5%)1gを20mlのイオン交換水に溶解させ、和光純薬工業(株)の酸化セリウム(特級品、比表面積25m2 /g)12.0gを分散させた100mlのイオン交換水に攪拌下に滴下し、常温にて一昼夜担持処理を行った。担持後の水溶液のpHは1.5であった。次に、水酸化ナトリウム水溶液を使用して上記触媒前駆体の分散水溶液のpHを約13にし、攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム(モントン・インターナショナル製)溶液を0.6ml徐々に滴下し、常温にて還元処理を20分間行った。水素化ホウ素ナトリウムの滴下とともに、白金が還元されて触媒は黄色から褐色に変色した。この方法により酸化セリウムを担体とする白金担持量が3.0%の触媒が乾燥品換算で12.4g生成した。得られた還元触媒は水洗、濾過して、乾燥することなく酸化反応に使用した。
【0029】実施例1攪拌器、温度計、ガス導入・排出ラインの付いた500mlのフラスコに10%グリセリン水溶液300g、触媒調製例で調製した3%白金担持セリウム触媒を乾燥品換算で12.4g仕込んだ。攪拌下、50℃にて、酸素を常圧で1.2リットル/時で8時間バブリング導入し、次いで空気を常圧で6.0リットル/時の流速で16時間バブリング導入した。反応開始時のpHは7.2であった。反応終了後、反応終了物をHPLCで分析した結果を表1にまとめた。
【0030】実施例2触媒担体が酸化ランタン(和光純薬製,特級品,比表面積25m2 /g)、酸化プラセオジム(和光純薬製,特級品,比表面積25m2 /g)、酸化ネオジム(和光純薬製,特級品,比表面積25m2 /g)の場合について、それぞれ触媒調製例と同様の方法で3.0%白金触媒を調製し、実施例1と同一条件でグリセリンの酸化を行い、希土類元素の種類の効果を比較した。結果を表1にまとめた。
【0031】実施例3実施例1で使用した触媒を実施例1と同一条件で再使用した。結果を表1にまとめた。
【0032】実施例4グリセリン水溶液の濃度が5%、空気を4.5リットル/時で24時間供給すること以外は実施例1と同一の反応条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0033】実施例5触媒調製例で調製した触媒を乾燥品換算で50g仕込み、反応温度が40℃、空気を4.5リットル/時で24時間供給すること以外は実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0034】実施例6反応温度が40℃、空気を4.5リットル/時で24時間供給すること以外は実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0035】実施例7比表面積が160m2 /gの酸化セリウム(三徳金属商事製)を使用して触媒調製例と同様の方法で触媒を調製し、反応温度40℃にて空気を4.5リットル/時で24時間供給すること以外は実施例1と同一条件で行った。結果を表1にまとめた。
【0036】実施例810%グリセリン酸を使用し、触媒調製例の触媒を24.8g使用し、反応温度40℃とすること以外は実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0037】実施例9酸化セリウムの量が24gであること以外は触媒調製例と同一の条件で白金担持量が1.5%の触媒を調製し、得られた乾燥品換算で24.8gの触媒を全量添加して反応温度が40℃、空気を4.5リットル/時で24時間供給すること以外は実施例1と同一条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0038】実施例1020%グリセリン水溶液を使用し、空気を9.0リットル/時で48時間供給すること以外は実施例5と同一条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0039】比較例触媒が市販の3%白金/活性炭触媒であること以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果を表1にまとめた。
【0040】
【表1】

【0041】表1の結果が示すように、本発明の実施例において、特に触媒担体として酸化セリウムを用いた場合に、グリセリン等の転化率が高く、タルトロン酸選択率も実用上十分な結果が得られた。また、タルトロン酸の脱炭酸によるグリコール酸の生成も抑制できた。
【0042】
【発明の効果】本発明のタルトロン酸の製造方法によると、タルトロン酸の脱炭酸によるグリコール酸の生成を抑制しつつ、グリセリン又はグリセリン酸から簡易な操作で直接タルトロン酸を製造することができる。




 

 


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